(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
重力方向に平行な方向をZ方向とし、前記Z方向のうちの前記重力方向と同じ方向を+Z方向とし、前記Z方向のうちの前記重力方向と反対の方向を−Z方向とし、前記Z方向に直交する方向をY方向とし、前記Y方向のうちのひとつの方向を+Y方向とし、前記Y方向のうちの他の方向を−Y方向とし、前記Z方向と前記Y方向とに直交する方向をX方向とし、前記X方向のうちのひとつの方向を+X方向とし、前記X方向のうちの他の方向を−X方向とするとき、
前記Y方向に延びている液体導入部と、前記−Y方向に付勢されている端子部を有する装置側電気的接続部と、を備えるプリンターに対して、前記+Y方向に挿入され、前記液体導入部と前記装置側電気的接続部とに前記−Y方向側から接続されるカートリッジであって、
前記カートリッジが前記プリンターに装着された装着状態において、前記+Y方向に向く前面と、前記Y方向において前記前面に対向し、前記−Y方向に向く後面と、前記+Z方向に向く下面と、前記Z方向において前記下面に対向し、前記−Z方向に向く上面と、前記X方向において対向する2つの側面と、を有する本体と、
前記本体の内部に設けられ、液体を収容する液体収容部と、
前記前面に設けられ、前記装着状態において、前記液体導入部に接続されて、前記液体収容部に収容されている前記液体を供給する液体供給口と、
前記前面に設けられ、前記装着状態において、前記端子部から前記−Y方向への付勢力を受けつつ、前記装置側電気的接続部に接続されるカートリッジ側電気的接続部と、
前記後面に設けられ、前記装着状態にある前記カートリッジの前記プリンターに対する前記−Y方向への移動を規制するロック機構と、
を備え、
前記ロック機構の操作部をZ方向に移動されることにより、前記ロック機構は、前記装着状態にある前記カートリッジの前記プリンターに対する前記−Y方向への移動を規制する状態となり、規制時とは逆方向に前記操作部を移動されることにより、前記ロック機構は、規制を解除するように構成されている、カートリッジ。
重力方向に平行な方向をZ方向とし、前記Z方向のうちの前記重力方向と同じ方向を+Z方向とし、前記Z方向のうちの前記重力方向と反対の方向を−Z方向とし、前記Z方向に直交する方向をY方向とし、前記Y方向のうちのひとつの方向を+Y方向とし、前記Y方向のうちの他の方向を−Y方向とし、前記Z方向と前記Y方向とに直交する方向をX方向とし、前記X方向のうちのひとつの方向を+X方向とし、前記X方向のうちの他の方向を−X方向とするとき、
カートリッジ収納部が内部に設けられているプリンターであって、前記Y方向に延びている液体導入部と、前記−Y方向に付勢されている端子部を有する装置側電気的接続部と、前記プリンターの外部から前記カートリッジ収納部に挿入される固定対象であって、第1カートリッジとは異なる構成を有する第2カートリッジに、前記−Z方向の付勢力を付与して固定する装置側固定構造と、前記固定対象である前記第2カートリッジに前記−Y方向への付勢力を付与する付勢部材と、を備えるプリンターに、液体を供給する液体供給ユニットであって、
前記カートリッジ収納部に前記+Y方向に挿入されて、前記液体導入部と前記装置側電気的接続部とに前記−Y方向側から接続される前記第1カートリッジと、
前記プリンターに装着された装着状態にある前記第1カートリッジの前記プリンターに対する前記−Y方向への移動を規制するロック部と、
を備え、
前記第1カートリッジは、
前記装着状態において、前記+Y方向に向く前面と、前記Y方向において前記前面に対向し、前記−Y方向に向く後面と、前記+Z方向に向く下面と、前記Z方向において前記下面に対向し、前記−Z方向に向く上面と、前記X方向において対向する2つの側面と、を有する本体と、
前記本体の内部に設けられ、液体を収容する液体収容部と、
前記前面に設けられ、前記装着状態において、前記液体導入部に接続されて、前記液体収容部に収容されている前記液体を供給する液体供給口と、
前記前面に設けられ、前記装着状態において、前記端子部から前記−Y方向への付勢力を受けつつ、前記装置側電気的接続部に接続されるカートリッジ側電気的接続部と、
を備え、
前記第1カートリッジは、前記本体が前記装置側固定構造と前記付勢部材のそれぞれから付勢力を受けることなく、前記プリンターに装着されるように構成されており、
前記ロック部は、
前記装着状態にある前記第1カートリッジの前記後面より−Y方向側に設けられており、
前記ロック部の操作部をZ方向に移動されることにより、前記ロック部は、前記装着状態にある前記第1カートリッジの前記プリンターに対する前記−Y方向への移動を規制する状態となり、規制時とは逆方向に前記操作部を移動されることにより、前記ロック部は、規制を解除するように構成されている、液体供給ユニット。
【発明を実施するための形態】
【0020】
A.第1実施形態:
第1実施形態では、
図1〜
図5を参照して、第1実施形態のカートリッジ100(
図6,
図8)が装着されるプリンター10の構成を説明する。そして、
図6〜
図8を参照して、カートリッジ100の構成を説明し、
図9,
図10A,
図10Bを参照して、プリンター10に対するカートリッジ100の装着機構について説明する。
【0021】
A1.プリンターの構成:
[プリンターの外観構成]
図1は、プリンター10の外観構成を示す概略斜視図である。
図1には、互いに直交する3つの方向を示す矢印X,Y,Zが図示されている。なお、矢印X,Y,Zは、本明細書において参照される他の各図においても、
図1に対応するように、適宜、図示されている。
【0022】
矢印X,Y,Zが示す方向は、通常の使用状態にあるときのプリンター10の配置姿勢に対応している。プリンター10の通常の使用状態とは、プリンター10が水平面に配置されて使用されるときの状態を意味している。以下では、矢印X,Y,Zが示す方向をそれぞれ「X方向」、「Y方向」、「Z方向」と呼ぶ。各X方向のうち、ひとつの方向を「+X方向」と呼び、他の方向を「−X方向」と呼ぶ。Y,Z方向についても、同様に、ひとつの方向を「+Y方向」および「+Z方向」と呼び、他の方向を「−Y方向」および「−Z方向」と呼ぶ。
【0023】
X,Y,Z方向について、Z方向、Y方向、X方向の順で説明する。Z方向は、重力方向に平行な方向を示している。+Z方向は重力方向であり、−Z方向は、重力方向とは反対の方向である。Z方向は、プリンター10の上下方向(高さ方向)に一致している。以下の説明において、プリンター10に関して「上」あるいは「下」と呼ぶときは、特に断らない限り、矢印Zの方向を基準とする上下方向を意味しており、「上」は−Z方向を意味し、「下」は+Z方向を意味している。Y方向は、プリンター10の前後方向(奥行き方向)に平行な方向を示している。+Y方向は、プリンター10の前面側から背面側に向かう方向であり、−Y方向は、逆に、プリンター10の背面側から正面側に向かう方向である。X方向は、プリンター10の左右方向(幅方向)に平行な方向を示している。+X方向は、プリンター10の前面に正対したときに右側から左側に向かう方向に一致し、−X方向は、逆に、左側から右側に向かう方向に一致する。なお、本明細書において、カートリッジ100に関する説明におけるX,Y,Z方向は、いずれも通常の使用状態にあるときのプリンター10に適切に装着された装着状態での姿勢を基準とするものである。
【0024】
本実施形態では、プリンター10は、液体噴射装置の一態様であるインクジェットプリンターである。プリンター10は、液体であるインクを媒体に向かって吐出して、当該媒体上にインクドットを記録して画像を形成する。前記の媒体は、例えば、印刷用紙である。プリンター10は、プリンター10の外装を構成する樹脂製の中空箱体であるハウジング11を備えている。ハウジング11は、略直方体形状を有する。ハウジング11は、−Y方向側に向き、ユーザーがプリンター10を操作するときに正対することが想定されている前面部12を有する。前面部12には、操作部13と、媒体排出口14と、媒体受部15と、媒体収納口16と、媒体収納部17と、カバー部材18と、が設けられている。
【0025】
操作部13は、ユーザーに対する情報を表示する表示部13iと、ユーザーの操作を受け付ける複数の操作ボタン13bと、を有する。媒体排出口14は、プリンター10の内部から繰り出される媒体の出口である。媒体排出口14は、X方向に幅の広いスリット状の開口部として形成されており、−Y方向に開口している。媒体受部15は、媒体排出口14の下側において−Y方向に庇状に張り出しており、媒体排出口14から排出された媒体を受け止める。
【0026】
媒体収納口16は、ユーザーがプリンター10に対して媒体を補給するための開口部である。本実施形態では、媒体収納口16は、媒体受部15の下方において、−Y方向に開口しており、X方向に幅の広い略長方形の開口形状を有している。媒体収納部17は、媒体のストックを収納するトレー状の部材である。媒体収納部17は、その前面が媒体収納口16を介してプリンター10の外部から見える状態で、媒体収納口16に収納されている。ユーザーは、媒体収納口16を介してプリンター10から−Y方向に引き出した媒体収納部17に媒体を収納し、再び、媒体収納口16から媒体収納部17を、媒体収納口16に装填することによって、プリンター10に媒体を補給することができる。
【0027】
カバー部材18は、プリンター10のハウジング11の一部を構成する樹脂製の板状部材である。本実施形態では、カバー部材18は、X方向に幅が広い略長方形形状を有しており、媒体収納口16の下に配置されている。カバー部材18は、ハウジング11に対して下端部側の回動軸(図示は省略)を中心に回動することによって開閉する。カバー部材18は、カートリッジ100が収納されるカートリッジ収納部60を被覆して保護する。
図1では、カートリッジ収納部60はカバー部材18に覆われて見えないため、カートリッジ収納部60の位置に破線で符号を付してある。カートリッジ100(
図6,
図8)がカートリッジ収納部60に収納されるときには、カバー部材18は開かれた状態にされる。
【0028】
[プリンターの内部構成]
図2〜
図5を順に参照してプリンター10の内部構成の概要を説明する。
図2は、ハウジング11およびカバー部材18を取り除いてプリンター10を+Y方向に見たときの概略図である。
図2には、プリンター10の主要な構成要素のうち、制御部20と、噴射実行部30と、媒体搬送部35と、液体受入部40と、カートリッジ収納部60と、を抜き出して図示してある。また、
図2では、カートリッジ収納部60に複数のカートリッジ100が装着されている状態が図示されている。
図3は、カートリッジ収納部60の構成を示す概略図であり、ハウジング11およびカバー部材18を取り除いてプリンター10を+Z方向に見たときの概略図である。
図3では、
図2に図示されている制御部20と噴射実行部30と媒体搬送部35の図示は省略されている。
図3には、複数のカートリッジ100が正常に装着されたときの配置位置である配置領域LAを一点鎖線で図示してある。
【0029】
プリンター10は、制御部20と、噴射実行部30と、媒体搬送部35と、液体受入部40と、カートリッジ収納部60と、を備えている(
図2)。プリンター10では、液体受入部40の供給配管42を介して、カートリッジ収納部60に収納されているカートリッジ100から噴射実行部30に液体が供給される。そして、媒体搬送部35が媒体収納部17から繰り出して搬送している媒体MPに噴射実行部30が液体を吐出することによって、媒体MPに印刷画像が形成される。制御部20、噴射実行部30、媒体搬送部35、液体受入部40およびカートリッジ収納部60について順に説明する。
【0030】
[制御部]
制御部20は、プリンター10における各構成部の駆動を制御する。制御部20は、少なくとも、中央処理装置と、主記憶装置と、を備えるマイクロコンピューターによって構成される。制御部20は、中央処理装置が主記憶装置に種々のプログラムを読み込んで実行することによって種々の機能を発揮する。制御部20の機能については、順次、説明する。
【0031】
[噴射実行部]
噴射実行部30は、ヘッド部31と、複数のチューブ32と、を備える(
図2)。ヘッド部31は、複数のチューブ32を介して、液体受入部40から液体の供給を受ける。液体受入部40からの液体の供給機構については後述する。ヘッド部31は、液体受入部40から供給された液体を収容する液体室(図示は省略)を備える。当該液体室の底面には、下方に向かって開口するノズル33が設けられている。ヘッド部31は、制御部20の制御下において、例えば、ピエゾ素子によるインクへの圧力の印加などの公知の方法によって、液体室の液体をノズル33から吐出する。
【0032】
本実施形態では、ヘッド部31は、キャリッジ34に搭載されており、制御部20の制御下において、X方向に直線的に往復移動するように構成されている。
図2には、ヘッド部31の移動方向および移動範囲を示す両矢印PSが図示されている。本実施形態では、プリンター10の主走査方向はX方向に一致する。噴射実行部30は、ヘッド部31を移動させるための駆動機構として、キャリッジ34が移動するためのガイド軸と、駆動力を発生するモーターと、その駆動力を伝達するプーリーと、を備える。なお、それらについての図示および詳細な説明は省略する。
【0033】
ヘッド部31に接続されている複数のチューブ32は可撓性を有している。複数のチューブ32はY方向に並列に配列されている。複数のチューブ32は、後述する液体受入部40の供給配管42との接続部位である継手部43からヘッド部31の走査経路に沿って+X方向に略直線状に配置されるとともに、上方に向かって湾曲して−X方向に折り返してヘッド部31に接続されている。複数のチューブ32の湾曲部位32rは、ヘッド部31の移動に伴ってX方向に変位する。これによって、ヘッド部31の主走査が複数のチューブ32に阻害されてしまうことが抑制され、ヘッド部31の移動動作が円滑化されている。
【0034】
[媒体搬送部]
媒体搬送部35は、制御部20の制御下において、処理対象である媒体MPを搬送する(
図2)。媒体搬送部35は、ヘッド部31の下方においてX方向に架設された搬送ローラー36を備える。搬送ローラー36の下方には、上述した媒体収納部17が配置されている。媒体搬送部35は、媒体収納部17から搬送ローラー36の外周側面上に媒体MPを1枚ずつ繰り出す繰出機構(図示は省略)を備えている。媒体搬送部35は、駆動モーター(図示は省略)によって搬送ローラー36を回転させ、その回転駆動力によって、媒体MPをヘッド部31の下方において−Y方向に移動させる。本実施形態では、プリンター10の副走査方向は、−Y方向に一致する。ヘッド部31の下方領域を通過した媒体MPは、媒体排出口14(
図1)を介してプリンター10の外部に排出される。
【0035】
プリンター10における印刷処理の実行時には、制御部20は、媒体搬送部35によって、媒体MPを上述した副走査方向に搬送する。そして、搬送ローラー36の上方において、ヘッド部31を、搬送ローラー36に沿って主走査方向に往復移動させ、印刷データに基づいて決定したタイミングで、媒体MPの印刷面に向かって、ヘッド部31からインク滴を吐出させる。これによって、媒体MP上には、印刷データに基づいて決定された位置にインクドットが記録され、印刷データに基づく画像が形成される。
【0036】
[液体受入部]
図4を、
図2および
図3とともに参照し、液体受入部40について説明する。
図4は、液体受入部40を抜き出して示す概略斜視図である。液体受入部40は、上述した複数の供給配管42と継手部43に加えて、複数の接続受入部50と、変動圧力発生部45と、圧力伝達配管46と、を備える(
図3,
図4)。まず、複数の接続受入部50の構成について説明し、次に、供給配管42および継手部43について説明する。そして、液体の吸引・送出機構を構成する変動圧力発生部45および圧力伝達配管46について説明する。
【0037】
[接続受入部]
液体受入部40は、複数の接続受入部50を介して、カートリッジ収納部60に収納される複数のカートリッジ100(
図2)のそれぞれに接続される。本実施形態のプリンター10では、後述するように、色インクごとの4つのカートリッジ100が装着される。そのため、本実施形態では、液体受入部40は、4つのカートリッジ100のそれぞれに対応するように、4つの接続受入部50を備えている(
図3,
図4)。
【0038】
複数のカートリッジ100には、液体を収容可能な容量が小さい第1カートリッジ100aと、液体を収容可能な容量が大きい第2カートリッジ100bと、が含まれている(
図2)。複数の接続受入部50には、第1カートリッジ100aに対応する第1接続受入部50aと、第2カートリッジ100bに対応する第2接続受入部50bと、が含まれている(
図3,
図4)。本実施形態のプリンター10には、3つの第1カートリッジ100aと、1つの第2カートリッジ100bと、が装着される。そのため、本実施形態の液体受入部40は、3つの第1接続受入部50aと、1つの第2接続受入部50bと、を備える。
【0039】
本明細書では、第1カートリッジ100aと、第2カートリッジ100bとを、特に区別する必要がない限り、「カートリッジ100」と総称している。第1接続受入部50aおよび第2接続受入部50bについても、同様に、特に区別する必要がない限り、「接続受入部50」と総称する。なお、本実施形態では、第1接続受入部50aと第2接続受入部50bとは、カートリッジ100との接続のための構成に関して構成上の実質的な相違はほとんどない。
【0040】
複数の接続受入部50は、カートリッジ収納部60の+Y方向側の端部に設置されている(
図3)。各接続受入部50は、プリンター10において背面側の最も奥まった位置の最下段において、X方向に一列に配列されている。各接続受入部50は、対応するカートリッジ100の−Y方向側からの接続を受け入れる。本実施形態では、3つの第1接続受入部50aが右側からほぼ等間隔で3つ並列に設置され、第2接続受入部50bが最も左側に設置されている。
【0041】
図5を参照して、各接続受入部50の概略構成を説明する。
図5は、複数の接続受入部50のうちの第1接続受入部50aの一部を抜き出して示す概略斜視図である。以下の説明は、特に断らない限り、第1接続受入部50aと第2接続受入部50bとに共通である。接続受入部50は、液体導入部51と、装置側電気的接続部52と、装置側固定構造54と、付勢部材57と、が一体化された一部品として構成されている。
【0042】
液体導入部51には、カートリッジ100から液体が流入する。本実施形態では、液体導入部51は、X方向における接続受入部50のほぼ中央において、−Y方向に突出している。液体導入部51は、Y方向に沿って延びた形状を有する管状の部材によって構成されている。液体導入部51の−Y方向側の先端部には液体が流入する液体導入口51oが設けられている。液体導入部51は、その先端部の液体導入口51oが、カートリッジ100の液体供給口(後述)に挿入されることによって、カートリッジ100に接続される。
【0043】
液体導入部51の+Y方向側の後端部は、接続受入部50の内部に設けられたポンプ室(図示は省略)に連通している。液体導入部51に流入した液体はポンプ室に流入する。なお、接続受入部50の内部には、ポンプ室に流入した液体が再び液体導入部51へと逆流することを抑制するための逆止弁構造が設けられている(図示は省略)。
【0044】
本実施形態の接続受入部50では、液体導入部51の下に、液体受部56が設けられている。液体受部56は、液体導入部51に沿って−Y方向に延び出ている。液体受部56は、液体導入部51とカートリッジ100との接続部位から漏洩した液体を受け止める受け皿として機能する。液体受部56は、省略されてもよい。
【0045】
装置側電気的接続部52は、カートリッジ100に対して電気的に接続されるコネクター部である。本実施形態では、装置側電気的接続部52は、その表面の法線ベクトルが、−Y方向のベクトル成分と、+Z方向のベクトル成分と、を有するように、斜め下方を向いて配置されている。装置側電気的接続部52は、カートリッジ100のカートリッジ側電気接続部に対して、−Y方向および+Z方向に接触する(詳細は後述)。
【0046】
装置側電気的接続部52は、X方向に配列された複数の端子部52tを有している。各端子部52tは、装置側電気的接続部52の表面から突出しており、カートリッジ100のカートリッジ側電気接続部(後述)に接触して電気的に接続される。各端子部52tは、板バネなどの弾性部材(図示は省略)によって、−Y方向に付勢されている。本実施形態では、各端子部52tは、−Y方向に加えて、+Z方向にも付勢されている。装置側電気的接続部52は、各端子部52tによって、カートリッジ100のカートリッジ側電気接続部に対して、−Y方向と+Z方向とに付勢力を付与する。
【0047】
装置側電気的接続部52は、配線(図示は省略)を介して、制御部20(
図2)に接続されている。配線は、例えば、フレキシブルフラットケーブルによって構成される。装置側電気的接続部52とカートリッジ側電気接続部とが電気的に接続されることによって、制御部20は、カートリッジ100との間で電気信号をやりとりする。これによって、制御部20は、カートリッジ100に収容されている液体に関する情報を取得する。「液体に関する情報」には、例えば、インクの色や、インクの種類、カートリッジ100における液体の収容量を表すパラメーターなどが含まれる。また、制御部20は、カートリッジ100との電気信号のやりとりによってカートリッジ100の接続状態を電気的に検出する。
【0048】
装置側固定構造54は、被係合部を備えるカートリッジが、カートリッジ収納部60に挿入されたときに、そのカートリッジを固定対象として、−Z方向の付勢力を付与して固定する。ただし、本実施形態のカートリッジ100は、当該固定対象であるカートリッジと交換してプリンター10に装着されるものであり、被係合部を有していない。本実施形態のカートリッジ100は、装置側固定構造54から付勢力を受けることなく、プリンター10に装着できるように構成されている(詳細は後述)。本明細書では、装置側固定構造54が固定対象とするカートリッジについての説明は省略する。
【0049】
装置側固定構造54は、上述の固定対象であるカートリッジの下側に入り込めるように、−Y方向側に向かって延び出ている。装置側固定構造54は、アーム状の部材部として構成されている。装置側固定構造54は、液体導入部51よりも−X方向側に位置しており、装置側電気的接続部52の下方に位置している。
【0050】
装置側固定構造54は、接続受入部50の内部に配置された弾性部材(図示は省略)によって−Z方向に付勢されている。装置側固定構造54は、−Y方向側の先端部54tがZ方向に外力を受けたときに、+Y方向側の後端部を支点として、矢印EZで示されているように、Z方向に弾性的に回動する。また、装置側固定構造54は、先端部54tがX方向に外力を受けたときに、+Y方向側の後端部を支点として、矢印EXで示されているように、X方向に弾性的に回動する。
【0051】
装置側固定構造54の先端部54tには、突起部54pが設けられている。突起部54pは先端部54tの中央において−Z方向に突出している。突起部54pは、固定対象となるカートリッジがカートリッジ収納部60に装着されたときに、当該カートリッジの下面に設けられた被係合部に接触し、−Z方向への付勢力を付与しつつ係合する。突起部54pの係合によって、固定対象となるカートリッジの−Y方向への移動が規制される。本明細書では、固定対象であるカートリッジの被係合部に対する装置側固定構造54の係合メカニズムの説明は省略する。
【0052】
付勢部材57は、液体導入部51および液体受部56の+Y方向側の後端部に設けられている。付勢部材57は、上述した装置側固定構造54の固定対象であるカートリッジの固定性を高めるために、当該カートリッジに−Y方向に接触して、−Y方向への付勢力を付与する。ただし、本実施形態のカートリッジ100は、後述するように、付勢部材57から付勢力を受けることなく、プリンター10に装着されるように構成されている。
【0053】
付勢部材57は、液体導入部51が挿通される貫通孔57pを有する樹脂部材である。付勢部材57は、Y方向への移動が可能なように取り付けられている。付勢部材57の背面側には弾性部材57eである弦巻ばねが、液体導入部51の周囲を囲むように配置されており、付勢部材57に−Y方向の付勢力を付与している。これによって付勢部材57は、+Y方向に押されたときに、矢印SDで示されているように、Y方向に弾性的に移動する。
【0054】
[供給配管および継手部]
複数の供給配管42は、可撓性を有する樹脂製のチューブ部材によって構成されている(
図4)。各供給配管42は、各接続受入部50の内部に設けられた上述したポンプ室(図示は省略)にそれぞれ1本ずつ接続されている。各供給配管42は、接続受入部50からカートリッジ100が収容される領域の上方を通って−X方向側の端部に集められた後、−Y方向に並列に引き回されている(
図3,
図4)。そして、プリンター10の前方側の端部において−Z方向へと引き回されて、媒体搬送部35よりも高い位置に設置されている継手部43に接続されている(
図2,
図4)。上述したように、各供給配管42は、継手部43を介して、噴射実行部30の複数のチューブ32のうちの対応する1本に接続されている。
【0055】
[液体受入部における液体の吸引・送出機構]
変動圧力発生部45は、液体の吸引・送出のための圧力変動を発生させる発生源であり、例えば、ポンプによって構成される(
図2,
図3)。変動圧力発生部45は、プリンター10の前面部12に寄った位置においてカートリッジ収納部60よりも上方に設置されている。変動圧力発生部45は、第1カートリッジ100aの装着位置の上に位置する。圧力伝達配管46は、変動圧力発生部45に接続されており、変動圧力発生部45が発生させた圧力変動を伝達する。圧力伝達配管46は、各接続受入部50の内部に設けられた圧力室(図示は省略)に接続されている。
【0056】
各接続受入部50の圧力室は、可撓膜を挟んで、カートリッジ100から液体が流入する上述したポンプ室に隣接している。そのため、変動圧力発生部45が圧力室の圧力を低下させたときには、可撓膜が圧力室側に撓み、ポンプ室の容積が増加して、カートリッジ100の液体が液体導入部51を介してポンプ室へと吸引される。一方、変動圧力発生部45が圧力室の圧力を上昇させたときには、可撓膜がポンプ室側に撓み、ポンプ室の容積が低下して、ポンプ室に流入していた液体が、供給配管42へと押し出される。このように、液体受入部40では、変動圧力発生部45が圧力室における圧力の上昇と下降とを繰り返すことによって、カートリッジ100からの液体の吸入と、噴射実行部30への液体の供給と、が実現される。
【0057】
[カートリッジ収納部/液体供給ユニット]
本実施形態のプリンター10では、カートリッジ収納部60は、最下段に設けられている(
図1〜
図3)。カートリッジ収納部60には、複数のカートリッジ100が+Y方向に挿入される(
図2,
図3)。カートリッジ収納部60の床面には、カートリッジ100の移動をガイドするためのY方向に沿ったレールや、Y方向に回転するローラーが設けられている(図示は省略)。複数のカートリッジ100は、カートリッジ収納部60において、X方向に一列に配列された状態で収納される。プリンター10では、カートリッジ収納部60と複数のカートリッジ100とが、液体受入部40を介して噴射実行部30に液体を供給する液体供給ユニット70を構成する。
【0058】
本実施形態のカートリッジ収納部60では、+X方向側の端に第2カートリッジ100bが収納され、その−X方向側に3つの第1カートリッジ100aが収納される(
図2)。各カートリッジ100の配置領域LAの+Y方向側には、対応する接続受入部50がひとつずつ設置されている(
図3)。上述したとおり、本実施形態では、カートリッジ100にはそれぞれ異なる色インクが収容されている。各カートリッジ100に収容される色インクの組み合わせは特に限定されることはない。例えば、3つの第1カートリッジ100aにはそれぞれ、シアン、マゼンタ、イエローが収容され、第2カートリッジ100bには、最も消費量が多いことが見込まれるブラックが収容されるものとしてもよい。なお、カートリッジ100の一部または全部が同じ色インクを収容していてもよい。カートリッジ100のプリンター10に対する着脱の詳細については後述する。
【0059】
カートリッジ収納部60の−Y方向側の端には、開口部材62が設置されている(
図2)。開口部材62は、略長方形形状を有する板状部材であり、カートリッジ100が挿入される挿入口である複数の貫通孔63が設けられている。開口部材62は、その厚み方向がY方向に一致し、その長手方向がX方向に一致する状態で固定的に設置されている。各貫通孔63は、挿入される対応するカートリッジ100をY方向に見たときの外周輪郭形状に対応する開口形状を有している。開口部材62によって、プリンター10へのカートリッジ100の挿入・引き出しがガイドされる。また、ユーザーが、第1カートリッジ100aと第2カートリッジ100bとを間違った場所に挿入してしまうことが抑制される。開口部材62は省略されてもよい。
【0060】
カートリッジ収納部60の−Y方向側の端には、開口部材62よりも+Y方向側の位置に、低壁部65がX方向にわたって形成されている(
図3)。低壁部65は、カートリッジ収納部60に装着された装着状態にあるカートリッジ100よりも低い位置にある。また、低壁部65は、装着状態にあるカートリッジ100の後面(後述)よりも−Y方向側に位置する。低壁部65の+Y方向側には、+Z方向に窪んだ凹部66が形成されている。当該凹部66は、カートリッジ100のロック機構140(
図2)の係合部が係合する被係合部として機能する(詳細は後述)。
【0061】
[カートリッジの構成]
図6および
図7を参照して、第1カートリッジ100aの構成を説明する。その後、
図8を参照して、第2カートリッジ100bの構成を説明する。
【0062】
[第1カートリッジ]
図6は、第1カートリッジ100aの構成を示す概略斜視図である。
図7は、
図6に示す7−7切断における第1カートリッジ100aの概略断面図である。第1カートリッジ100aは、Y方向を長手方向とする略直方体形状の本体101を有している。本実施形態では、本体101は、内部に液体収容部110(
図7)を収納する中空の筐体として構成されているケースである。本体101は、例えば、ポリプロピレンなどの樹脂部材によって作製される。第1カートリッジ100aは、本体101を有することによって、耐衝撃性が高められている。
【0063】
本体101は、前面102と、後面103と、下面104と、上面105と、2つの側面106,107と、を有する。前面102は、第1カートリッジ100aの装着方向(+Y方向)における先端側に位置し、プリンター10に装着された装着状態において+Y方向に向く(
図6,
図7)。後面103は、第1カートリッジ100aの装着方向における後端側に位置する。後面103は、Y方向において前面102に対向する位置にあり、−Y方向に向く(
図6,
図7)。
【0064】
下面104は、前面102と後面103とに交差し、+Z方向に向く(
図6,
図7)。上面105は、前面102と後面103とに交差し、Z方向において下面104に対向する位置にあり、−Z方向に向く(
図6,
図7)。
【0065】
第1側面106は、前面102と後面103と下面104と上面105とに交差し、+X方向に向く(
図6)。第1側面106は、後面103に正対したときに左側に位置する。第2側面107は、X方向において第1側面106と対向する位置にある(
図6)。第2側面107は、前面102と後面103と下面104と上面105とに交差し、−X方向に向く。第2側面107は、後面103に正対したときに右側に位置する。
【0066】
本体101の各面102〜107は、平面である必要はなく、全体が湾曲していてもよいし、凹部や凸部、貫通孔などが形成されていてもよい。上述した各面102〜107が向いている方向は、各面102〜107を全体として見たときに実質的に特定される方向を意味している。また、本明細書において、2つの面が「交差する」とは、2つの面が相互に実際に交差する状態と、一方の面の延長面が他方の面部に交差する状態と、2つの面の延長面同士が交差する状態と、のいずれかの状態であることを意味する。従って、例えば、互いに交差している2つの面の間には、当該2つの面が交差する角部において曲面や斜面を構成する面取り部が介在していてもよい。
【0067】
本実施形態では、本体101のZ方向における幅は、X方向における幅およびY方向における幅よりも小さい。この「幅」は、各方向において本体101の最も外側に位置する部位同士の間の当該方向における距離を意味している。第1カートリッジ100aは、厚みの薄い平板な形状を有しており、プリンター10に装着されたときの配置姿勢の安定性が高められている。
【0068】
上述したように、本体101の内部空間SPには、上述した液体収容部110が収容されている(
図7)。本実施形態では、液体収容部110は、可撓性を有する袋状部材によって構成されている。液体収容部110は、Y方向を長手方向とする略長方形の外周輪郭を有する2枚のシート部材111,112をZ方向に重ね合わせて、それらの外周端部113を溶着することによって作製される。第1シート部材111は−Z方向側に配置され、第2シート部材112は+Z方向側に配置される。各シート部材111,112は、可撓性とガスバリア性、液不透過性を有する素材で形成されている。各シート部材111,112は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET),ナイロン,ポリエチレンなどのフィルム部材によって構成される。液体収容部110がガスバリア性を有していることによって、液体収容部110の気密性が高められ、液体の蒸発による液体の濃度変化などの液体の劣化が抑制される。
【0069】
第1カートリッジ100aは、前面102に、液体導出部120と、カートリッジ側電気的接続部130と、を有する(
図6,
図7)。本実施形態では、液体導出部120は、前面102のほぼ中央において、+Y方向に突出する管状の部位として構成されている(
図6)。液体導出部120の−Y方向側の後端は、液体収容部110に接続されている(
図7)。液体導出部120は、液体導入部51(
図5)に接続され、液体導入部51に液体収容部110の液体を供給する。
【0070】
液体導出部120の+Y方向側の先端には、液体導入部51に液体収容部110の液体を供給するための液体供給口121が開口している(
図6)。液体供給口121には、プリンター10の液体導入部51(
図5)の先端が+Y方向に挿入される(後述)。
図6および
図7では、液体供給口121は、溶着されたフィルム部材123によって封止されている。フィルム部材123は省略されてもよい。液体供給口121が前面102から突出した位置に設けられていることによって、液体による前面102の汚損が抑制される。また、液体供給口121の周縁部に付着している液体の視認性が高められるため、液体がユーザーの指に誤って付着してしまうことなどが抑制される。
【0071】
カートリッジ側電気的接続部130は、液体導出部120とX方向に隣り合う位置に設けられている(
図6)。カートリッジ側電気的接続部130は、前面102から+Y方向に突出した略直方体形状の凸構造として設けられている。カートリッジ側電気的接続部130は、装置側電気的接続部52(
図5)に電気的に接続される。
【0072】
カートリッジ側電気的接続部130の先端側には、+Y方向および−Z方向に開口している凹部131が形成されている。凹部131内には、+Y方向と−Z方向との間の斜め上方に向いている傾斜面131sが形成されており、当該傾斜面131s上には、基板132が配置されている。以下では、凹部131を、「基板配置部131」とも呼ぶ。
【0073】
基板132の表面には、装置側電気的接続部52の端子部52t(
図5)に電気的に接触する複数の電極板133が配置されている。複数の電極板133は、装置側電気的接続部52の端子部52tに対応する位置に配置されている。基板132は、傾斜面131sにおいて斜め上方を向くように配置されており、各電極板133の表面の法線ベクトルは、+Y方向のベクトル成分と、−Z方向のベクトル成分と、を有している。これによって、装置側電気的接続部52との良好な電気的接続が可能になっている(詳細は後述)。
【0074】
カートリッジ側電気的接続部130の+Z方向側に向いている底面135(
図7)は、段差を介して、本体101の下面104よりも−Z方向側に位置している。第1カートリッジ100aがカートリッジ収納部60に装着されるときには、底面135の下方の領域には、第1接続受入部50aの装置側固定構造54(
図5)が、当該底面135に接触することなく配置される(詳細は後述)。
【0075】
本実施形態では、基板132の裏側には、液体に関する情報を記憶する記憶装置や、装置側電気的接続部52の接続を検出するための回路などが、カートリッジ側電気的接続部130の内部に埋設されている(図示および詳細な説明は省略)。また、本実施形態では、基板132は、カートリッジ側電気的接続部130の奥まった位置に設置されており、X方向における両側において、基板132よりも−Z方向および+Y方向に突出している2つの側壁部136によって挟まれている。これらの側壁部136は基板132が保護部として機能するため、ユーザーが基板132に誤って触れてしまうことや、第1カートリッジ100aが誤って落下してしまったときなどに基板132が損傷してしまうことなどが抑制される。
【0076】
第1カートリッジ100aの後面103には、ロック機構140が設けられている(
図6,
図7)。ロック機構140は、操作部141と、係合部142と、連結部143と、を有する(
図7)。操作部141は、ユーザーが操作可能なように、後面103の−Z方向に寄った位置において、−Y方向に突出している。係合部142は、後面103の+Z方向に寄った位置において、+Z方向に延び出て、下面104よりも下方に突出している。連結部143は、後面103を構成している後面壁部108の裏側に配置されている。連結部143は、Z方向に沿って延びており、操作部141の+Y方向側の端部と、係合部142の−Z方向側の端部と、を連結している。
【0077】
ロック機構140は、矢印SDによって示されているように、本体101に対して、Z方向に変位可能に設置されている(
図7)。ユーザーが、操作部141に指を掛けてスライドさせると、それに応じて、係合部142の+Z方向側の下端の位置がZ方向に変位する。操作部141が+Z方向側の規定の下限位置にある状態が、ロック機構140の「ロック状態」であり、操作部141が−Z方向側の規定の上限位置にある状態が、ロック機構140の「解除状態」である。
【0078】
本実施形態の液体供給ユニット70(
図2,
図3)では、第1カートリッジ100aがカートリッジ収納部60に挿入された後に、ユーザーが操作部141を押し下げてロック機構140をロック状態にすることによって、係合部142がプリンター10に係合する。これによって、第1カートリッジ100aのプリンター10に対する−Y方向への移動が規制されて、第1カートリッジ100aがプリンター10に固定される。ロック機構140による第1カートリッジ100aの固定のメカニズムについては後述する。
【0079】
第1カートリッジ100aの後面103には、ユーザーが把持する把持部150が設けられている(
図6,
図7)。本実施形態では、把持部150は、X方向を長手方向とする略長方形の枠状部材によって、ハンドルとして構成されている(
図6)。把持部150は、矢印Rで示されているように、+Y方向側の端部に設けられた回動軸RXを中心として、後面103に対して回動可能に取り付けられている(
図7)。ユーザーは、プリンター10に装着される前の第1カートリッジ100aを、把持部150を把持して運搬することができる。また、ユーザーは、カートリッジ収納部60に挿入されている第1カートリッジ100aを、把持部150を把持して引き出すことができる(
図2)。
【0080】
[第2カートリッジ]
図8は、第2カートリッジ100bの上面側を示す概略斜視図である。
図8および以下の説明においては、上述した第1カートリッジ100aの各種の構成部と同じ、または、対応する構成部には、同じ符号を用いている。そうした対応する符号が付された構成部は、第2カートリッジ100bにおいて、第1カートリッジ100aにおける対応する構成部と同様な機能を奏する。よって、上記の第1カートリッジ100aにおいて説明した種々の効果は、そうした対応している構成によって、第2カートリッジ100bにおいても得ることができる。
【0081】
第2カートリッジ100bは、以下に説明する点以外は、第1カートリッジ100aとほぼ同じ構成を有している。第2カートリッジ100bは、本体101と、本体101に収容されている液体収容部110(図示は省略)と把持部150のそれぞれのX方向における幅が、第1カートリッジ100aの本体101よりも大きく構成されている。第2カートリッジ100bは、X方向の幅が拡大されていることによって、収容できる液体の量が、第1カートリッジ100aよりも多くなっている。
【0082】
[カートリッジの装着機構]
図9、
図10Aおよび
図10Bを順に参照して、プリンター10に対するカートリッジ100の装着機構を説明する。
図9は、プリンター10の液体導入部51および装置側電気的接続部52に対するカートリッジ100の液体導出部120およびカートリッジ側電気的接続部130の接続状態を示す概略図である。
図9には、カートリッジ100が接続受入部50に接続されているときの
図2に示されている領域Aを抜き出して示してある。以下の説明は、第1カートリッジ100aおよび第2カートリッジ100bの両方に共通である。
【0083】
カートリッジ100は、カートリッジ収納部60における規定の配置領域LAに向かって、+Y方向へと挿入される。すると、カートリッジ100の前面102に設けられている液体導出部120が、プリンター10の接続受入部50が有する液体導入部51に接続される。また、同じく前面102に設けられているカートリッジ側電気的接続部130が、プリンター10の接続受入部50が有する装置側電気的接続部52に接続される。
【0084】
本実施形態では、液体導出部120の液体供給口121および装置側電気的接続部52は、上述したように、前面102よりも+Y方向側に突出した位置に設けられている。そのため、本体101が、液体導入部51や装置側電気的接続部52に誤って接触してしまうことが抑制されている。従って、本体101の接触によって、液体導入部51や装置側電気的接続部52が破損するなど劣化してしまうことが抑制される。また、本体101が液体導入部51に接触し、液体導入部51に付着していた液体によって汚損してしまうことが抑制される。
【0085】
カートリッジ100の液体導出部120とプリンター10の液体導入部51との接続では、液体導入部51の先端が、液体導出部120の先端にある液体供給口121に、フィルム部材123を貫通して挿入される。これによって、カートリッジ100の液体導出部120とプリンター10の液体導入部51とが接続され、液体収容部110(
図7)に収容されている液体が、液体導出部120の液体供給口121を介して、液体導入部51へと供給される。
【0086】
カートリッジ100のカートリッジ側電気的接続部130とプリンター10の装置側電気的接続部52との接続では、カートリッジ側電気的接続部130の2つの側壁部136が装置側電気的接続部52のX方向における両側に嵌まる。そして、基板132の各電極板133(
図6,
図8)に、装置側電気的接続部52の対応する端子部52t(
図5)が電気的に接触する。これによって、カートリッジ100とプリンター10との間で電気信号のやりとりが可能となる。なお、
図9では、基板132は、装置側電気的接続部52の下に隠れてほとんど見えないため、破線でその配置位置に符号を付してある。
【0087】
本実施形態では、各電極板133は、対応する端子部52tから、カートリッジ100が装着されるときの+Y方向に押し込まれる力に反する−Y方向の付勢力を受けて、当該対応する端子部52tに接触する。これによって、カートリッジ側電気的接続部130と装置側電気的接続部52とが緊密に接触することができ、カートリッジ側電気的接続部130との電気的な接続状態が良好になる。
【0088】
加えて、本実施形態では、上述したように、基板132は、その表面が−Z方向側を向くように斜め上方を向いて配置されている(
図6,
図8)。また、装置側電気的接続部52の各端子部52t(
図5)は、+Z方向にも付勢されている。そのため、カートリッジ側電気的接続部130と装置側電気的接続部52とが電気的に接続されるときには、基板132の各電極板133(
図6,
図8)は、装置側電気的接続部52の対応する端子部52tから、上述した−Y方向の付勢力に加えて、+Z方向の付勢力も受ける。この付勢力によって、カートリッジ側電気的接続部130と装置側電気的接続部52とがより緊密に接触することができ、カートリッジ側電気的接続部130に対する電気的な接続性が高められている。
【0089】
本実施形態では、カートリッジ側電気的接続部130と装置側電気的接続部52との接続の際には、装置側電気的接続部52の端子部52tの先端が、カートリッジ側電気的接続部130の各電極板133の接触面を擦りつつ移動した上で、その接続が完了する。この端子部52tの摺動によって、カートリッジ側電気的接続部130の各電極板133の接触面に付着した油脂成分や粉塵などの異物が装置側電気的接続部52の端子部52tによって除去される。従って、そうした異物の付着に起因するカートリッジ側電気的接続部130と装置側電気的接続部52との間の接触抵抗の増大が抑制される。
【0090】
本実施形態では、カートリッジ100をカートリッジ収納部60から取り出すために、後述するロック機構140による係止が解除されると、装置側電気的接続部52から受けている−Y方向の付勢力によって、カートリッジ100の−Y方向への移動が補助される。従って、カートリッジ収納部60からのカートリッジ100の取り出し操作が容易化される。
【0091】
本実施形態では、カートリッジ100が装着状態にあるときに、接続受入部50の装置側固定構造54および付勢部材57は、カートリッジ100の前面102よりも−Y方向側に位置している。−Y方向に延びているアーム状の装置側固定構造54は、カートリッジ側電気的接続部130の底面135より下の隙間に入り込むものの、カートリッジ100の本体101にまでは到達しない。また、付勢部材57は、液体導出部120の先端が到達しない液体導入部51の後端に設けられており、カートリッジ100の本体101に直接的に接触しない位置にある。
【0092】
このように、本実施形態のカートリッジ100は、その本体101が装置側固定構造54と付勢部材57とのそれぞれから付勢力を受けることなく、プリンター10に装着される。これによって、ユーザーは、上述した装置側電気的接続部52からの付勢力以外の余計な付勢力を受けることが抑制された状態で、カートリッジ100をプリンター10に装着できる。ユーザーは、装置側固定構造54および付勢部材57の付勢力を受けて固定される固定対象であるカートリッジをプリンター10に装着するときよりも、より小さい力でカートリッジ100をプリンター10に装着することが可能である。よって、ユーザーによるプリンター10に対するカートリッジ100の装着操作が容易化されている。
【0093】
図10Aおよび
図10Bは、ロック機構140によるカートリッジ100のロック動作を示す概略図である。
図10Aは、解除状態にあるときのロック機構140を示しており、
図10Bは、ロック状態にあるときのロック機構140を示している。上述したように、カートリッジ100は、装置側電気的接続部52から少なくとも−Y方向への付勢力を受けた状態でプリンター10に装着される。そのため、カートリッジ100は、装着状態にあるときには、−Y方向への移動が規制されることが望ましい。本実施形態のカートリッジ100では、ユーザーが後面103に設けられているロック機構140を操作して、ロック状態にすることによって、カートリッジ100の−Y方向への移動が規制される。
【0094】
カートリッジ100は、ロック機構140の操作部141が−Z方向側の上限位置にある解除状態において、後面103が、カートリッジ収納部60の−Y方向側の端の位置に到達するまで、カートリッジ収納部60に対して+Y方向に押し込まれる(
図10A)。このとき、ユーザーが操作部141を下限位置まで押し下げて、ロック機構140をロック状態にすると、係合部142の下端が+Z方向に変位する(
図10B)。これによって、係合部142の下端が、低壁部65の+Y方向側にある凹部66に入り込み、係合部142が当該凹部66に係合し、カートリッジ100の−Y方向への移動が規制される。よって、カートリッジ100の配置位置が固定され、接続受入部50に対するカートリッジ100の接続状態が維持される。なお、カートリッジ100をカートリッジ収納部60から取り出す場合には、ユーザーは、操作部141を上限位置まで移動させて、ロック機構140を解除状態とすれば、把持部150を持って、カートリッジ100を−Y方向に引き出すことが可能になる。
【0095】
本実施形態のカートリッジ100では、ロック機構140が、ユーザーがアクセスしやすいカートリッジ100の後面103に設けられている。そのため、ユーザーによるカートリッジ100の固定操作が容易化されている。ロック機構140は、単一の部材で構成された比較的簡易な構成であるため、複数の部材を組み合わせて構成する場合よりも、ロック機構140に不具合が発生しにくくなっている。従って、ロック機構140の不具合に起因して、カートリッジ100の着脱操作が困難になってしまうことが抑制される。また、ロック機構140に不具合が生じたとしても、ロック機構140がカートリッジ収納部60から露出したユーザーに見える位置に設けられているため、その不具合の解消が容易である。
【0096】
ここで、本実施形態のカートリッジ100は、上述したように、装着状態にあるときに、前面102側のカートリッジ側電気的接続部130において、装置側電気的接続部52から+Z方向の付勢力を受ける。これに対して、ロック機構140は、カートリッジ側電気的接続部130から離れている後面103に設けられている。そのため、ロック機構140の動作が、その+Z方向の付勢力によって生じるモーメントの影響を受けてしまうことが抑制される。
【0097】
[第1実施形態のまとめ]
以上のように、本実施形態のカートリッジ100およびそれが装着される液体供給ユニット70によれば、カートリッジ側電気的接続部130が、−Y方向の付勢力を受けつつ装置側電気的接続部52に接続される。これによって、カートリッジ側電気的接続部130と装置側電気的接続部52とが緊密に接続され、その電気的な接続状態が良好になる。また、カートリッジ100が装置側電気的接続部52からの付勢力を受けつつ、ロック機構140によってその移動が規制されるため、プリンター10に対するカートリッジ100の接続状態が、より緊密に維持される。また、カートリッジ100のプリンター10への装着の際に、カートリッジ100が装置側固定構造54や付勢部材57からの付勢力を受けない分だけ、その装着が容易である。その他に、本実施形態のカートリッジ100およびそれが装着される液体供給ユニット70によれば、上記の第1実施形態中で説明した種々の作用効果を得ることができる。
【0098】
B.第2実施形態:
図11および
図12を参照して、第2実施形態におけるカートリッジ100Bの構成を説明する。
図11は、第2実施液体のカートリッジ100Bを示す概略斜視図である。
図12は、第2実施形態のカートリッジ100Bが装着されているカートリッジ収納部60を+Z方向に見たときの概略図である。なお、
図12では、便宜上、接続受入部50以外のカートリッジ収納部60内に設けられている構成部の図示は省略されている。
【0099】
第2実施形態のカートリッジ100Bの構成は、本体101のX方向における幅が、第1実施形態のカートリッジ100の本体101よりも拡大されている点以外は、第1実施形で説明したカートリッジ100の構成とほぼ同じである(
図11)。カートリッジ100Bでは、本体101のX方向における幅は、Y方向における幅よりも大きい。カートリッジ100Bでは、本体101の内部に設けられている液体収容部110(図示は省略)も、本体101に合わせて、X方向における幅が拡大されている。これによって、カートリッジ100Bが収容可能な液体量は、第1実施形態のカートリッジ100よりも多くなっている。
【0100】
カートリッジ100Bが装着される第2実施形態のプリンター10B(
図12)は、単色印刷を実行するインクジェットプリンターである点以外は、第1実施形態で説明したプリンター10(
図1〜
図5)とほぼ同じである。プリンター10Bが備える液体供給ユニット70Bにおけるカートリッジ収納部60には、1つのカートリッジ100Bが装着される(
図12)。カートリッジ100Bが接続される接続受入部50は、カートリッジ収納部60の+Y方向側の領域において、X方向のほぼ中央あたりに1つ設置されている。
【0101】
カートリッジ100Bの液体導出部120およびカートリッジ側電気的接続部130は、第1実施形態で説明したのと同様に、接続受入部50の液体導入部51および装置側電気的接続部52と接続される。また、カートリッジ100Bは、第1実施形態で説明したのと同様に、後面103に設けられたロック機構140によって、装着後の−Y方向への移動が規制される。第2実施形態においても、カートリッジ100Bは、プリンターの装置側固定構造54および付勢部材57からの付勢力を受けることなく、プリンターに装着される。
【0102】
第2実施形態のカートリッジ100Bによれば、液体の収容量を増大させることができる。また、X方向の幅が拡大されていることによって、プリンターにおけるカートリッジ100Bの配置姿勢の安定性が高められている。その他に、第2実施形態のカートリッジ100Bおよび第2実施形態の液体供給ユニット70Bによれば、第1実施形態で説明したのと同様な種々の作用効果を奏することができる。
【0103】
C.第3実施形態:
図13は、第3実施形態における第1カートリッジ100Cの構成を示す概略分解斜視図である。
図13は、第1カートリッジ100Cのトレー115から蓋部材116を取り外した状態を示している。第3実施形態の第1カートリッジ100C(以下、単に「カートリッジ100C」とも呼ぶ。)の構成は、以下に説明する点以外は、第1実施形態で説明した第1カートリッジ100aの構成とほぼ同じである。なお、以下に説明する第1実施形態からの改変は、第1実施形態の第2カートリッジ100bや第2実施形態のカートリッジ100Bに対しても適用されてもよい。
【0104】
カートリッジ100Cの本体101は、トレー115と、蓋部材116と、を備える。トレー115は、−Z方向に開口している箱状部材であり、前面102と後面103と下面104と2つの側面106,107の各面を構成する壁部を備える。蓋部材116は、トレー115の開口部を閉塞するように配置され、本体101の上面105を構成する。
【0105】
カートリッジ100Cの液体収容部110Cは、可撓性を有する袋状の部材によって構成されておらず、トレー115の開口部が蓋部材116によって封止されたときに形成される本体101の内部空間SPに、液体LQが直に収容される構成を有している。つまり、液体収容部110Cは、内部空間SPによって構成されている。
【0106】
トレー115と蓋部材116との境界には、内部空間SPからの液体LQの漏洩を防止するためのシール部が設けられている(図示は省略)。また、蓋部材116には、液体LQの消費に伴って内部空間SPに空気を導入するための大気開放口や、大気開放口からの液体LQの漏洩・蒸発を抑制するための液体流路が設けられている(図示は省略)。内部空間SPには、液体LQを内部に吸収して保持する液体保持部材や、液体導出部120と内部空間SPとを連通する配管部材が配置されていてもよい。
【0107】
第3実施形態のカートリッジ100Cによれば、筐体である本体101の内部空間SPのほぼ全体を液体収容部110Cとして利用できるため、収容できる液体LQの量を、第1実施形態の第1カートリッジ100aよりも増大させることができる。その他に、第3実施形態のカートリッジ100Cによれば、上記の第1実施形態および第2実施形態で説明したのと同様な種々の作用効果を奏することができる。
【0108】
D.第4実施形態:
図14は、第4実施形態のプリンター10Dが備える液体供給ユニット70Dの構成を示す概略図である。第4実施形態のプリンター10Dの構成は、第1実施形態の液体供給ユニット70の代わりに、液体供給ユニット70Dを備えている点以外は、第1実施形態のプリンター10の構成とほぼ同じである。第4実施形態の液体供給ユニット70Dの構成は、カートリッジ100のロック機構140が省略され、開口部材62にロック部68が設けられている点以外は、第1実施形態の液体供給ユニット70の構成とほぼ同じである。
【0109】
第4実施形態の液体供給ユニット70Dでは、装着状態にあるカートリッジ100の−Y方向への移動を規制するロック部68が、開口部材62の各貫通孔63の周縁部に設けられている。ロック部68は、装着状態にあるカートリッジ100の後面103よりも−Y方向側に設けられており、後面103に対して−Y方向側から当接してカートリッジ100の移動を規制する。第4実施形態では、ロック部68は、開口部材62の各貫通孔63の周縁部とカートリッジ100の後面103とにわたって貼付されるテープ部材によって構成される。
【0110】
ユーザーは、カートリッジ100を、開口部材62の貫通孔63からカートリッジ収納部60へと、+Y方向に挿入した後、ロック部68であるテープ部材を貼り付けることによって、カートリッジ100の−Y方向への移動を規制する。ユーザーは、ロック部68を取り外すことによって、カートリッジ100をカートリッジ収納部60から取り出すことができる。
【0111】
第4実施形態の液体供給ユニット70Dにおいては、ロック部68が、ロック機構140と同様に、ユーザーがアクセスしやすい位置に設けられている。そのため、ロック部68によって、第1実施形態においてロック機構140によって得られていたのと同様な種々の作用効果を奏することができる。また、第4実施形態の液体供給ユニット70Dでは、第1実施形態の液体供給ユニット70と同様に、カートリッジ100が接続受入部50の装置側固定構造54や付勢部材57からの付勢力を受けることなく装着される(図示は省略)。そのため、カートリッジ100を装着するときに、ユーザーがカートリッジ100に加える力を低減させることができ、カートリッジ100の装着操作が容易化される。その他に、第4実施形態の液体供給ユニット70Dによれば、カートリッジ100やカートリッジ収納部60が、第1実施形態で説明したのと同様な構成を有していることによって、第1実施形態で説明したのと同様な種々の作用効果を奏することができる。
【0112】
E.変形例:
上記の各実施形態の変形例を説明する。以下に説明する変形例はいずれも、上記の各実施形態と同様に、発明を実施するための形態の一例として位置づけられる。なお、以下の説明では、参照する実施形態を特に区別する必要がない場合には、各実施形態を区別するために各構成部の符号の末尾に付したアルファベットは省略する。
【0113】
E1.変形例1:
上記各実施形態では、カートリッジ収納部60に対するカートリッジ100の装着方向である+Y方向は、プリンター10の前方から後方に向かう方向に一致している。これに対して、カートリッジ収納部60に対するカートリッジ100の装着方向である+Y方向は、プリンター10の前方から後方に向かう方向に一致していなくてもよい。カートリッジ収納部60に対するカートリッジ100の装着方向は、例えば、プリンター10の横方向であってもよい。つまり、カートリッジ100の装着口が、プリンター10の右側または左側の側面に設けられていてもよい。
【0114】
E2.変形例2:
上記第1実施形態では、液体供給ユニット70に4つのカートリッジ100が装着され、第2実施形態では、液体供給ユニット70に1つのカートリッジ100Bが装着されている。これに対して、液体供給ユニット70に装着されるカートリッジ100の個数は、上記の各実施形態の個数に限定されることはない。例えば、液体供給ユニット70には、第1実施形態の第1カートリッジ100aまたは第2カートリッジ100bが1つのみ装着可能に構成されていてもよいし、それぞれが2つ以上、装着されてもよい。また、上記の第1実施形態では、液体供給ユニット70には、2種類のカートリッジ100a,100bが装着されている。これに対して、液体供給ユニット70には、構成の異なる3種類以上のカートリッジが装着されてもよい。また、第2実施形態のカートリッジ100Bが装着される液体供給ユニット70Bは、複数のカートリッジ100BをZ方向に積層して並列に装着する構成を有していてもよい。この場合には、第2実施形態のプリンター10Bはカラー印刷を実行するインクジェットプリンターとして構成されてもよい。
【0115】
E3.変形例3:
上記の各実施形態では、カートリッジ100は、装着状態において前面102が装置側固定構造54や付勢部材57よりも−Y方向側に位置するように本体101が構成されている。これによって、上記の各実施形態のカートリッジ100は、装置側固定構造54や付勢部材57から付勢力を受けることなくプリンター10に装着されている。これに対して、カートリッジ100は、本体101が他の構成を有することによって、装置側固定構造54や付勢部材57から付勢力を受けることなくプリンター10に装着されてもよい。例えば、本体101の前面102に、装置側固定構造54や付勢部材57を収容する空間を構成する凹部が設けられていてもよい。この場合には、液体供給口121やカートリッジ側電気的接続部130は、前面102から+Y方向側に突出した位置に形成されていなくてもよい。液体供給口121は、前面102や前面102よりも−Y方向に奥まった位置において開口していてもよい。また、カートリッジ側電気的接続部130も、同様に、前面102に設けられていてもよし、前面102よりも−Y方向に奥まった位置に設けられていてもよい。
【0116】
E4.変形例4:
上記の各実施形態では、カートリッジ側電気的接続部130は、装置側電気的接続部52から−Y方向の付勢力と、+Z方向の付勢力と、を受けた状態で、装置側電気的接続部52に接続されている。これに対して、カートリッジ側電気的接続部130は、装置側電気的接続部52から+Z方向の付勢力を受けることなく、装置側電気的接続部52に接続されてもよい。この場合には、カートリッジ側電気的接続部130の基板132は、その表面の法線ベクトルがY方向にほぼ平行になる角度で配置されていてもよい。
【0117】
E5.変形例5:
上記の第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態において、ロック機構140は、操作部141と係合部142と連結部143とを有し、Z方向にスライドする部材によって構成されている。これに対して、ロック機構140は、他の構成によって実現されてもよい。ロック機構140は、例えば、後面103上において後面103の表面に沿って回動して、プリンター10の壁部に係合する留め具によって構成されてもよい。また、ロック機構140は、後面103からZ方向またはX方向に張り出して、開口部材62の貫通孔63周縁に−Y方向側から接触して貼り付く張出部によって構成されてもよい。
【0118】
E6.変形例6:
上記の第4実施形態において、ロック部68は、カートリッジ100の後面103と開口部材62とに貼付されるテープ部材によって構成されている。これに対して、ロック部68は、他の構成によって実現されてもよい。ロック部68は、例えば、カートリッジ100の後面103と開口部材62との間に配置されて、カートリッジ100の後面103に当接し、開口部材62の貫通孔63からカートリッジ100の後面103が−Y方向に突出することを規制する部材によって構成されてもよい。当該部材は、板状や矩形状などの形状を有する固い部材によって構成されてもよいし、粘度部材や繊維部材などの変形可能な軟らかいに部材によって構成されていてもよい。また、ロック部68は、第1実施形態等で説明したロック機構140と同様なスライド操作によってロック状態と解除状態とを切替可能な構成で、開口部材62に設けられていてもよい。その他に、ロック部68は、開口部材62の貫通孔63を閉塞する蓋状の部材によって構成されてもよい。
【0119】
E7.変形例7:
上記の各実施形態において、把持部150は、略長方形の枠状部材によって構成されている。これに対して、把持部150は、他の構成を有していてもよい。把持部150は、例えば、紐状の部材によって構成されていてもよい。また、−Y方向に突出した凸部として構成されてもよいし、ユーザーが指を入れることができる凹部として構成されていてもよい。上記の各実施形態において、把持部150は、省略されてもよい。
【0120】
E8.変形例8:
上記の各実施形態の液体供給ユニット70において、装着されている各カートリッジ100の液体収容部110に対して、カートリッジ収納部60の外部からチューブなどの配管部材を介して液体を補充する構成が適用されてもよい。
【0121】
E9.変形例9:
カートリッジ100が接続される接続受入部50は、上記の各実施形態で説明した構成に限定されることはない。接続受入部50は、単一の部品として構成されていなくてもよく、液体導入部51や、装置側電気的接続部52がそれぞれ異なる部材として独立に分離配置されている構成を有していてもよい。
【0122】
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、本明細書中において、省略されてもよい、と説明されているものに限らず、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。