(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、従来、記憶媒体を有する現像カートリッジが知られている。記憶媒体は、例えば、ICチップである。記憶媒体は、電気的接触面を有する。記憶媒体の電気的接触面は、画像形成装置に設けられた端子部と接触する。しかしながら、画像形成装置から、現像カートリッジが取り出されるときに、画像形成装置の一部分に、電気的接触面が擦れる。
【0006】
本発明の目的は、電気的接触面を有する現像カートリッジを使用する画像形成装置において、電気的接触面の擦れを低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、ドラムカートリッジに装着された状態の現像カートリッジを装着可能な画像形成装置であって、前記現像カートリッジは、第1方向に延びる第1回転軸について回転可能な現像ローラと、現像剤を収容可能な筐体であって、前記筐体の第2方向における一端部に前記現像ローラが位置する筐体と、電気的接触面を有する記憶媒体と、前記第1方向における前記筐体の一方に位置し、前記電気的接触面を保持するホルダであって、前記電気的接触面と交差する第3方向の一方に位置し、前記電気的接触面を保持する第1外表面と、前記第3方向の他方に位置し、前記第1外表面と前記第3方向に離れて位置する第2外表面と、前記第1外表面と前記第2外表面との間に位置し、前記第3方向に伸縮可能な弾性部材と、を備えるホルダと、を備え、前記ドラムカートリッジは、前記第1方向に延びる第2回転軸について回転可能な感光体ドラムを備え、前記画像形成装置は、前記電気的接触面と接触可能な電気接点と、前記現像カートリッジが前記ドラムカートリッジに装着された状態で、前記現像カートリッジが装着されるフレームと、をさらに備え、前記フレームは、前記第1外表面の少なくとも一部をガイドする第1ガイド面であって、前記現像カートリッジが前記フレームに装着されるときに、前記第1外表面の少なくとも一部と接触する第1ガイド面であり、前記第2方向において、前記電気接点に対して、前記現像ローラの反対側に位置する第1接触面を有する第1ガイド面を有し、前記現像カートリッジが前記フレームから取り出されるときに、前記ホルダが、前記フレームに対して、第1位置から第2位置へ移動可能であり、前記ホルダが前記第1位置に位置する場合に、前記弾性部材の前記第3方向の長さは、第1長さであり、かつ、前記電気的接触面は、前記電気接点と接触し、前記ホルダが前記第2位置に位置する場合に、前記弾性部材の前記第3方向の長さは、前記第1長さよりも長い第2長さであり、かつ、前記電気的接触面は、前記電気接点と接触し、前記ホルダが前記第1位置から前記第2位置へ移動する場合に、前記ホルダは、前記第1ガイド面の前記接触面に接触した状態において、前記第1外表面の一部について回動することを特徴とする。
【0008】
本願の第2発明は、第1発明の画像形成装置であって、前記現像カートリッジが前記フレームから取り出されるときに、前記ホルダが、前記フレームに対して、前記第2位置から第3位置へ移動可能であり、前記ホルダが前記第3位置に位置する場合に、前記弾性部材の前記第3方向の長さは、前記第2長さよりも長い第3長さであり、かつ、前記電気的接触面は、前記電気接点から離間することを特徴とする。
【0009】
本願の第3発明は、第2発明の画像形成装置であって、前記画像形成装置は、前記現像カートリッジが前記ドラムカートリッジに装着された状態で、前記現像カートリッジが前記フレームに装着された場合に、前記感光体ドラムと接触する転写ベルトをさらに備え、前記ホルダが前記第1位置に位置する場合に、前記感光体ドラムは、前記転写ベルトと接触し、前記ホルダが前記第2位置に位置する場合に、前記感光体ドラムは、前記転写ベルトから離間することを特徴とする。
【0010】
本願の第4発明は、第2発明の画像形成装置であって、前記画像形成装置は、前記現像カートリッジが前記ドラムカートリッジに装着された状態で、前記現像カートリッジが前記フレームに装着された場合に、前記感光体ドラムと接触する転写ベルトをさらに備え、前記ホルダが前記第3位置に位置する場合の前記感光体ドラムと前記転写ベルトの間の距離は、前記ホルダが前記第2位置に位置する場合の前記感光体ドラムと前記転写ベルトの間の距離よりも長いことを特徴とする。
【0011】
本願の第5発明は、第1発明から第4発明のいずれか1発明の画像形成装置であって、前記第1外表面は、前記第2方向において、前記電気的接触面に対して前記現像ローラの反対側に位置する第2接触面を有し、前記ホルダが前記第1位置から前記第2位置に位置する場合に、前記第1接触面に前記第2接触面が接触した状態において、前記第2接触面について、前記ホルダが回動することを特徴とする。
【0012】
本願の第6発明は、第5発明の画像形成装置であって、前記第2接触面は、前記第2方向および前記第3方向に対して傾斜する傾斜面であることを特徴とする。
【0013】
本願の第7発明は、第1発明から第6発明のいずれか1発明の画像形成装置であって、前記ドラムカートリッジは、前記現像カートリッジが前記ドラムカートカートリッジに装着された状態において、前記第2外表面と接触するホルダ支持部をさらに備え、前記第2外表面は、前記現像カートリッジが前記ドラムカートリッジに装着された状態において、前記ホルダ支持部に対して、前記第2方向に移動可能であることを特徴とする。
【0014】
本願の第8発明は、第1発明から第7発明のいずれか1発明の画像形成装置であって、前記ホルダは、前記筐体に対して、前記第2方向および前記第3方向に移動可能であることを特徴とする。
【0015】
本願の第9発明は、第8発明の画像形成装置であって、前記ホルダおよび前記筐体のいずれか一方は、第1方向に延びるボスを有し、前記ホルダおよび前記筐体の他方は、前記ボスが挿入される凹部または貫通孔を有し、前記凹部または前記貫通孔の前記第2方向の長さは、前記ボスの前記第2方向の長さよりも長く、前記凹部または前記貫通孔の前記第3方向の長さは、前記ボスの前記第3方向の長さよりも長いことを特徴とする。
【0016】
本願の第10発明は、第7発明の画像形成装置であって、前記フレームは、前記ホルダ支持部の少なくとも一部をガイドする第2ガイド面であって、前記現像カートリッジが前記フレームに装着されるときに、前記ホルダ支持部の少なくとも一部と接触する第2ガイド面であり、前記第3方向において前記第1ガイド面と間隔を空けて位置する第2ガイド面と、をさらに有することを特徴とする。
【0017】
本願の第11発明は、第10発明の画像形成装置であって、前記第1ガイド面は、前記第1方向において前記電気的接触面の一方側に位置し、前記電気的接触面から離れるにつれて前記第2ガイド面に接近する第1面と、前記第1方向において前記電気的接触面の他方側に位置し、前記電気的接触面から離れるにつれて前記第2ガイド面に接近する第2面と、を有することを特徴とする。
【0018】
本願の第12発明は、第11発明の画像形成装置であって、前記第1外表面は、前記第2方向において、前記電気的接触面に対して、前記現像ローラの反対側に位置する第2接触面を有し、前記第1位置から前記第2位置に移動する場合に、前記第1接触面に前記第2接触面が接触した状態において、前記第2接触面について、前記ホルダが回動することを特徴とする。
【0019】
本願の第13発明は、第12発明の画像形成装置であって、前記第1接触面は、前記第1方向において、前記第1面と前記第2面の間に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本願の第1発明〜第13発明によれば、フレームから現像カートリッジを取り出すときに、ホルダが第1位置から第2位置に移動する場合に、ホルダが、第1ガイド面の第1接触面に接触した状態において、第1外表面の一部について回動する。すると、弾性部材の長さが、第1長さから第2長さとなる。これにより、第1外表面に対して、第2外表面が移動する。その結果、電気接点に対する電気的接触面の押圧力を下げることができる。したがって、フレームから現像カートリッジを取り出すときに、電気的接触面と電気接点の擦れを抑制できる。
【0021】
また、本願の第6発明によれば、フレームから現像カートリッジを取り出すときに、傾斜面に沿ってホルダをスムーズに移動させることができる。
【0022】
また、本願の第7発明によれば、フレームから現像カートリッジを取り出すときに、ホルダ支持部を第2方向に移動させつつ、第2外表面を回動させることができる。
【0023】
また、本願の第8発明によれば、ホルダを容易に回動させることができる。
【0024】
また、本願の第11発明によれば、第1面および第2面により、ホルダを第1方向に位置決めできる。したがって、電気的接触面を電気接点により確実に接触させることができる。また、ホルダが第1方向に精度よく位置決めされることで、現像カートリッジを取り出すときのホルダの動きも円滑となる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0027】
<1.画像形成装置の構成>
図1は、画像形成装置100の概念図である。この画像形成装置100は、電子写真方式のプリンタである。画像形成装置100の例としては、レーザプリンタまたはLEDプリンタが挙げられる。
【0028】
画像形成装置100は、4つのプロセスカートリッジ10と、ドラムカートリッジ保持部90とを備える。プロセスカートリッジ10は、現像カートリッジ1と、ドラムカートリッジ2とを有する。現像カートリッジ1は、ドラムカートリッジ2に対して装着される。4つの現像カートリッジ1は、互いに異なる色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックの各色)の現像剤を収容する。ただし、現像カートリッジ1の数は、1〜3つであってもよく、5つ以上であってもよい。ドラムカートリッジ保持部90は、プロセスカートリッジ10が装着されるフレームである。ドラムカートリッジ保持部90は、4つのスロット91を備える。各スロット91には、プロセスカートリッジ10が装着される。画像形成装置100は、4つのプロセスカートリッジ10それぞれの現像カートリッジ1から供給される現像剤(例えば、トナー)により、印刷用紙の記録面に画像を形成する。
【0029】
4つの現像カートリッジ1は、それぞれ、ICチップ51を有する。ICチップ51は、情報の読み出しおよび書き込みが可能な記憶媒体である。また、画像形成装置100は、制御部80を備える。ドラムカートリッジ保持部90のスロット91に、プロセスカートリッジ10が装着されると、各現像カートリッジ1のICチップ51と、制御部80とが、それぞれ電気的に接続される。制御部80は、例えば、回路基板により構成される。制御部80は、CPU等のプロセッサおよび各種のメモリを有する。制御部80は、プログラムに従ってプロセッサが動作することにより、画像形成装置100における諸処理を実行する。
【0030】
<2.プロセスカートリッジについて>
<2.1.現像カートリッジについて>
図2は、プロセスカートリッジ10の斜視図である。上述の通り、プロセスカートリッジ10は、現像カートリッジ1と、ドラムカートリッジ2とを有する。現像カートリッジ1は、ドラムカートリッジ2に対して着脱可能である。画像形成装置100のユーザは、現像カートリッジ1およびドラムカートリッジ2のうち、いずれか一方のみを新品に交換できる。したがって、現像カートリッジ1の寿命と、ドラムカートリッジ2の寿命とを、それぞれ有効に消費することができる。
【0031】
図3は、現像カートリッジ1の斜視図である。
図3では、現像カートリッジ1の一部が分解された状態を示している。
図3に示すように、現像カートリッジ1は、ケーシング11、アジテータ20、現像ローラ30、ギア部40、およびICチップアセンブリ50を有する。
【0032】
ケーシング11は、現像剤を収容可能な筐体である。ケーシング11は、一方向に延びる。以下では、画像形成装置100に現像カートリッジ1が装着された状態において、ケーシング11が延びる方向を「第1方向」と称する。また、第1方向に交差(好ましくは直交)する方向を「第2方向」と称する。画像形成装置100に現像カートリッジ1が装着された状態において、現像ローラ30は、ケーシング11の第2方向における一端部に位置している。この第2方向は、画像形成装置100のスロット91に対するプロセスカートリッジ10の挿入方向および取り出し方向でもある。また、第1方向と第2方向とのそれぞれに交差(好ましくは直交)し、画像形成装置100に現像カートリッジ1が装着された状態において、ICチップ51の後述する電気的接触面511と交差する方向を「第3方向」と称する。
【0033】
ケーシング11の内部には、収容室13が設けられる。現像剤は、収容室13内に収容される。ケーシング11は、開口部14を有する。開口部14は、ドラムカートリッジ2に対する現像カートリッジ1の装着方向におけるケーシング11の端部に位置する。収容室13と、ケーシング11の外部空間とは、開口部14を介して連通する。
【0034】
アジテータ20は、アジテータシャフト21と撹拌羽根22とを有する。アジテータシャフト21は、第1方向に沿って延びる。撹拌羽根22は、アジテータシャフト21から径方向外側へ向けて拡がる。アジテータシャフト21の少なくとも一部と、撹拌羽根22とは、収容室13の内部に配置される。アジテータシャフト21の第1方向の一端部には、ギア部40に含まれるアジテータギアが連結される。そして、アジテータシャフト21および撹拌羽根22は、アジテータギアと共に回転する。撹拌羽根22が回転すると、収容室13内の現像剤が撹拌される。
【0035】
現像ローラ30は、第1方向に延びる回転軸(第1回転軸)について回転可能なローラである。現像ローラ30は、ケーシング11の開口部14に配置される。本実施形態の現像ローラ30は、現像ローラ本体31と現像ローラシャフト32とを有する。現像ローラ本体31は、第1方向に延びる円筒状の部材である。現像ローラ本体31の材料には、例えば、弾性を有するゴムが用いられる。現像ローラシャフト32は、現像ローラ本体31を第1方向に貫通する円柱状の部材である。現像ローラシャフト32の材料には、金属または導電性を有する樹脂が用いられる。現像ローラ本体31は、現像ローラシャフト32に対して、相対回転不能に固定される。
【0036】
現像ローラシャフト32の第1方向の一方の端部は、ギア部40に含まれる現像ローラギアに対して、相対回転不能に固定される。現像ローラギアが回転すると、現像ローラシャフト32も回転し、現像ローラシャフト32と共に現像ローラ本体31も回転する。
【0037】
なお、現像ローラシャフト32は、現像ローラ本体31を第1方向に貫通していなくてもよい。例えば、一対の現像ローラシャフト32が、現像ローラ本体31の第1方向の両端から、第1方向にそれぞれ延びていてもよい。
【0038】
また、現像カートリッジ1は、図示を省略した供給ローラを有する。供給ローラは、現像ローラ30と収容室13との間に位置する。また、供給ローラは、第1方向に延びる回転軸について回転可能である。現像カートリッジ1が駆動力を受けると、ケーシング11内の収容室13から、供給ローラを介して、現像ローラ30の外周面に、現像剤が供給される。その際、供給ローラと現像ローラ30との間において、現像剤は摩擦帯電される。一方、現像ローラ30の現像ローラシャフト32には、バイアス電圧がかけられている。このため、現像ローラシャフト32と現像剤との間の静電気力によって、現像ローラ本体31の外周面に、現像剤が引き付けられる。
【0039】
また、現像カートリッジ1は、図示を省略した層厚規制ブレードを有する。層厚規制ブレードは、現像ローラ本体31の外周面に供給された現像剤を、一定の厚みに成形する。その後、現像ローラ本体31の外周面の現像剤は、ドラムカートリッジ2に設けられた、後述の感光体ドラム72へ供給される。このとき、現像剤は、感光体ドラム72の外周面に形成された静電潜像に応じて、現像ローラ本体31から感光体ドラム72へ移動する。これにより、感光体ドラム72の外周面において、静電潜像が可視像化される。
【0040】
ギア部40は、第1方向におけるケーシング11の一端面である第1端面12に位置する。ギア部40は、上述したアジテータギアおよび現像ローラギアを含む複数のギアと、カップリング41と、ギアカバー45を有する。ギアカバー45は、ケーシング11の第1端面12に、例えばねじ止めで固定される。複数のギアの少なくとも一部は、第1端面12とギアカバー45との間に位置する。カップリング41は、ギアカバー45から露出する。画像形成装置100にプロセスカートリッジ10が装着されると、画像形成装置100の駆動シャフトがカップリング41に接続される。そして、駆動シャフトの回転が、カップリング41を介して、アジテータギアおよび現像ローラギアを含む複数のギアに伝達される。
【0041】
また、現像カートリッジ1は、ホルダカバー47を有する。ホルダカバー47は、ギアカバー45に固定される。ホルダカバー47は、第1方向において、ギアカバー45に対して、ケーシング11と反対側に位置する。
【0042】
なお、ギア部40に含まれる複数のギアは、歯の噛み合いによって回転力を伝達するものであってもよく、摩擦によって回転力を伝達するものであってもよい。
【0043】
ICチップアセンブリ50は、記憶媒体であるICチップ51と、ICチップ51を保持するホルダ52とを有する。ICチップ51は、4つの電気的接触面511を有する。電気的接触面511は、導体である金属からなる。また、ICチップ51は、現像カートリッジ1に関する種々の情報を記憶可能である。ただし、ICチップ51が有する電気的接触面511の数は、1つ〜3つであってもよく、5つ以上であってもよい。
【0044】
ホルダ52は、第1外表面52Aと、第2外表面52Bとを有する。第1外表面52Aは、ホルダ52の第3方向の一方の端部に位置する。第2外表面52Bは、ホルダ52の第3方向の他方の端部に位置する。第1外表面52Aは、第2外表面52Bに対して、第3方向に移動可能である。
【0045】
より詳述すると、本実施形態のホルダ52は、第1ホルダ部材521と、第2ホルダ部材522と、それらの間に位置するコイルばね523とを有する。第1ホルダ部材521は、例えば樹脂製である。第2ホルダ部材522は、例えば樹脂製である。第1ホルダ部材521は、第1外表面52Aを有する。ICチップ51は、第1外表面52Aに含まれる保持面520に固定される。第2ホルダ部材522は、第2外表面52Bを有する。組み立て後のホルダ52において、第1外表面52Aと第2外表面52Bとは、第3方向に離れている。
【0046】
コイルばね523は、第3方向に伸縮可能な弾性部材である。コイルばね523は、第3方向において、第1外表面52Aと第2外表面52Bとの間に配置される。コイルばね523は、第1外表面52Aと第2外表面52Bとに直接接続されてもよいし、接続部材を介して、間接的に接続されてもよい。コイルばね523の第3方向の長さは、少なくとも、第1長さと、第1長さよりも長い第2長さとの間で、変化する。本実施形態では、コイルばね523の第3方向の長さは、第1長さと、第2長さと、第2長さよりもさらに長い第3長さと、第3長さよりもさらに長い第4長さとの間で、変化する。コイルばね523が第2長さのときの第1外表面52Aと第2外表面52Bとの間の第3方向の距離は、コイルばね523が第1長さのときの第1外表面52Aと第2外表面52Bとの間の第3方向の距離よりも長い。また、少なくとも第1長さは、コイルばね523の自然長よりも短い。
【0047】
第2ホルダ部材522は、円筒形のばねホルダ522Aを有する。ばねホルダ522Aは、第2ホルダ部材522から第3方向に突出する。コイルばね523は、このばねホルダ522Aに挿入される。なお、図示しないが、ばねホルダ522Aの内側には、円柱形状の突出部が設けられる。この突出部は、コイルばね523の径内側に挿入される。これにより、コイルばね523は、突出部の外周面と、ばねホルダ522Aの内周面とで支持される。
【0048】
第2ホルダ部材522は、第1爪部522Bおよび第2爪部522Cを有する。第1爪部522Bおよび第2爪部522Cは、それぞれ、第2ホルダ部材522から第3方向に対して交差する方向に突出する。一方、第1ホルダ部材521は、第1開口521Aを有する。第1爪部522Bは第1開口521Aに挿入される。また、第1ホルダ部材521は、図示しない、第2開口を有する。第2爪部522Cは、この第2開口に挿入される。
【0049】
コイルばね523が第4長さのときには、第1開口521Aの第2外表面52B側の縁において、第1爪部522Bが第1ホルダ部材521に接触する。また、コイルばね523が第4長さのときには、第2開口の第2外表面52B側の縁において、第2爪部522Cが第1ホルダ部材521に接触する。これにより、コイルばね523の第3方向の長さが、第2長さよりも長くなることが防止される。また、第1ホルダ部材521が、第2ホルダ部材522から取り外されるのが防止される。一方、コイルばね523が第1長さ、第2長さ、または第3長さのときには、第1爪部522Bおよび第2爪部522Cが、第1ホルダ部材521から離れる。
【0050】
第1ホルダ部材521の第1外表面52Aに含まれる保持面520には、ICチップ51が固定される。つまり、第1ホルダ部材521が、第2ホルダ部材522に対して、第3方向に移動することで、ICチップ51の電気的接触面511も第3方向に移動する。なお、ICチップ51は、第1外表面52Aから第2ホルダ部材522に向けて、第3方向に凹んだ位置で固定される。
【0051】
第1ホルダ部材521は、ボス53A、ボス53B、およびボス53Cを有する。ボス53Aおよびボス53Bは、第1ホルダ部材521のギアカバー45と向かい合う面からギアカバー45へ向けて、第1方向に延びる。一方、ギアカバー45は、貫通孔45Aおよび貫通孔45Bを有する。貫通孔45Aおよび貫通孔45Bは、ギアカバー45を第1方向に貫通する。ボス53Aは貫通孔45Aに挿入される。ボス53Bは貫通孔45Bに挿入される。
【0052】
ボス53Cは、第1ホルダ部材521のホルダカバー47と向かい合う面からホルダカバー47へ向けて、第1方向に延びる。一方、ホルダカバー47は、貫通孔47Aを有する。貫通孔47Aは、ホルダカバー47を第1方向に貫通する。ボス53Cは、貫通孔47Aに挿入される。
【0053】
貫通孔47Aの第2方向の大きさ(内寸)は、ボス53Cの第2方向の大きさ(外寸)よりも大きい。貫通孔45Aの第2方向の大きさ(内寸)は、ボス53Aの第2方向の大きさ(外寸)よりも大きい。また、貫通孔45Bの第2方向の大きさ(内寸)は、ボス53Bの第2方向の大きさ(外寸)よりも大きい。このため、ホルダ52は、ボス53A、ボス53B、およびボス53Cと共に、ギアカバー45およびホルダカバー47に対して、第2方向に相対移動することが可能である。ホルダ52が第2方向に移動すると、ホルダ52と共に、電気的接触面511を有するICチップ51も、第2方向に移動する。
【0054】
貫通孔47Aの第3方向の大きさ(内寸)は、ボス53Cの第3方向の大きさ(外寸)よりも大きい。貫通孔45Aの第3方向の大きさ(内寸)は、ボス53Aの第3方向の大きさ(外寸)よりも大きい。また、貫通孔45Bの第3方向の大きさ(内寸)は、ボス53Bの第3方向の大きさ(外寸)よりも大きい。このため、ホルダ52は、ボス53A、ボス53B、およびボス53Cと共に、ギアカバー45およびホルダカバー47に対して、第3方向に相対移動することが可能である。ホルダ52が第3方向に移動すると、ホルダ52と共に、電気的接触面511を有するICチップ51も、第3方向に移動する。
【0055】
なお、ギアカバー45は、貫通孔45Aに代えて、ボス53Aが挿入可能な凹部を有していてもよい。また、ギアカバー45は、貫通孔45Bに代えて、ボス53Bが挿入可能な凹部を有していてもよい。また、ホルダカバー47は、貫通孔47Aに代えて、ボス53Cが挿入可能な凹部を有していてもよい。また、ギアカバー45がボスを有し、第1ホルダ部材521が、そのボスが挿入される貫通孔または凹部を有していてもよい。また、ホルダカバー47がボスを有し、第1ホルダ部材521が、そのボスが挿入される貫通孔または凹部を有していてもよい。
【0056】
すなわち、ケーシング11、ギアカバー45、およびホルダカバー47で構成される筐体とホルダ52とのいずれか一方がボスを有し、筐体とホルダとの他方が、そのボスが挿入される貫通孔または凹部を有していればよい。
【0057】
<2.2.ドラムカートリッジについて>
図4は、ドラムカートリッジ2の斜視図である。ドラムカートリッジ2は、1つの現像カートリッジ1を保持する1つの現像カートリッジ保持部71を有する。現像カートリッジ保持部71には、感光体ドラム72が設けられている。感光体ドラム72は、第1方向に延びる回転軸(第2回転軸)について回転可能である。現像カートリッジ1がドラムカートリッジ2に装着されると、現像カートリッジ1の現像ローラ30が、感光体ドラム72に接触する。現像カートリッジ1が装着されたドラムカートリッジ2は、画像形成装置100に設けられたドラムカートリッジ保持部90(
図1参照)に対して、装着される。
【0058】
現像カートリッジ保持部71の第1方向の一端面である第1端面71Aには、保持プレート731が設けられる。保持プレート731は、現像カートリッジ1がドラムカートリッジ2に装着された際、ホルダ52の第2外表面52Bが、第3方向に向かい合う位置にある。保持プレート731は、第1方向と第2方向それぞれに延びる面を有する。この面には、突部73が設けられる。突部73は、保持プレート731の前記面から、ホルダ52に向けて、第3方向に突出する。突部73は、ホルダ52に向かって、第3方向に漸次に収束する、略四角錐状である。
【0059】
一方、ICチップアセンブリ50の第2ホルダ部材522は、第2外表面52Bに窪み522Dを有する(
図8〜
図12参照)。窪み522Dは、第2外表面52Bから、第1ホルダ部材521に向かって、第3方向に漸次に収束する、略四角錐状である。現像カートリッジ1がドラムカートリッジ2に装着されると、ドラムカートリッジ2の突部73が、第2ホルダ部材522の窪み522Dに嵌まる。そして、保持プレート731と、第2ホルダ部材522の第2外表面52Bとは、接触する。つまり、保持プレート731と突部73とは、ICチップアセンブリ50のホルダ52を保持するホルダ支持部として機能する。
【0060】
ただし、窪み522Dの第2方向の長さは、突部73の第2方向の長さよりも長い。このため、現像カートリッジ1がドラムカートリッジ2に装着された状態においても、ホルダ52の第2外表面52Bは、保持プレート731および突部73に対して、第2方向に移動可能である。これにより、後述するプロセスカートリッジ10の取り出し時に、ホルダ52を回転させることが容易となる。
【0061】
<3.ドラムカートリッジ保持部について>
この画像形成装置100のドラムカートリッジ保持部90は、4つのスロット91を有する。
図5は、ドラムカートリッジ保持部90の1つのスロット91付近の断面図である。
図6は、第1ガイド面92および第2ガイド面93の断面図である。
図7は、第1ガイド面92および第2ガイド面93の平面図である。
【0062】
ドラムカートリッジ保持部90は、第1ガイド面92と、第2ガイド面93とを有する。第1ガイド面92と第2ガイド面93とは、プロセスカートリッジ10が挿入されるスロット91の挿入口において、第3方向に間隔をあけて、互いに向かい合って配置される。プロセスカートリッジ10がスロット91に挿入されると、ICチップアセンブリ50が、第1ガイド面92と、第2ガイド面93との間に挿入される。
【0063】
第1ガイド面92は、現像カートリッジ保持部71に対するプロセスカートリッジ10の装着時または取り出し時に、ホルダ52の第1外表面52Aの少なくとも一部と接触して、第1外表面52Aをガイドする部位である。第1ガイド面92は、ICチップ51の電気的接触面511に接触可能な金属製の電気コネクタ81を支持する。電気コネクタ81は、第1ガイド面92の表面から、第2ガイド面93へ向けて、第3方向に突出する電気接点である。第1ガイド面92は、第2方向に並ぶ第1凸部921と、第2凸部922とを有する。電気コネクタ81は、第2方向において、第1凸部921と、第2凸部922との間に位置する。第1凸部921は、第2方向において、電気コネクタ81よりも挿入口の近くに、位置する。第1凸部921および第2凸部922はそれぞれ、第2ガイド面93へ向けて、電気コネクタ81よりも第3方向に突出する。
【0064】
第2ガイド面93は、現像カートリッジ保持部71に対するプロセスカートリッジ10の装着時または取り出し時に、保持プレート731の少なくとも一部と接触して、保持プレート731をガイドする部材である。第2ガイド面93は、第1ガイドプレート931と、第2ガイドプレート932とを有する。第1ガイドプレート931は、挿入口から、プロセスカートリッジ10の挿入方向に進むに従い、徐々に第1ガイド面92に向かうよう、第2方向に対して傾斜する。第1ガイドプレート931は、プロセスカートリッジ10の挿入時に、保持プレート731を、電気コネクタ81に近づける方向にガイドする。第2ガイドプレート932は、第2方向に沿って設けられる。第2ガイドプレート932は、第1ガイドプレート931により電気コネクタ81に近づいた保持プレート731を、挿入方向にガイドする。
【0065】
また、
図5中に破線で示したように、画像形成装置100は、転写ベルト82と、スロット91ごとに位置する転写ローラ83とを有する。転写ベルト82は、各スロット91の挿入口とは反対側の端部に位置する。転写ローラ83は、各スロット91の挿入口とは反対側の端部に位置する。転写ローラ83は、転写ベルト82に対して、感光体ドラム72の反対側に位置する。スロット91にプロセスカートリッジ10が装着されると、感光体ドラム72の外周面と、転写ベルト82とが、互いに接触する。印刷用紙は、感光体ドラム72と転写ベルト82との間を通過する。このとき、転写ローラ83に転写バイアスが印加される。これにより、感光体ドラム72の外表面に付着した現像剤が、印刷用紙に転写される。
【0066】
図7に示すように、第1ガイド面92は、第1面923と第2面924とを有する。第1面923は、第1方向において、電気的接触面511の一方側に位置する。第1面923は、電気的接触面511から離れるにつれて、第2ガイド面93に接近する傾斜面である。第2面924は、第1方向において、電気的接触面511の他方側に位置する。第2面924は、電気的接触面511から離れるにつれて、第2ガイド面93に接近する傾斜面である。
【0067】
現像カートリッジ保持部71にプロセスカートリッジ10を装着するときには、ホルダ52の第1外表面52Aが、第1面923または第2面924に接触する。これにより、ホルダ52が、第1面923または第2面924によってガイドされつつ、現像カートリッジ保持部71に挿入される。その結果、ホルダ52が第1方向に位置決めされる。これにより、電気的接触面511を電気コネクタ81に、より確実に接触させることができる。また、ホルダ52が第1方向に精度よく位置決めされることで、ドラムカートリッジ保持部90からプロセスカートリッジ10を取り出すときのホルダ52の動きも円滑となる。
【0068】
<4.プロセスカートリッジの取り出し動作>
図8、
図9、および
図11は、プロセスカートリッジ10を、ドラムカートリッジ保持部90から取り出すときの様子を示した図である。
図10は、
図9のホルダ52付近の拡大図である。
図12は、
図11のホルダ52付近の拡大図である。
【0069】
図8は、プロセスカートリッジ10が、ドラムカートリッジ保持部90から取り出される前の様子を示している。プロセスカートリッジ10がドラムカートリッジ保持部90から取り出される前は、感光体ドラム72は、転写ベルト82に接触している。このとき、ドラムカートリッジ保持部90に対するホルダ52の位置は、第1位置となっている。第1位置では、ホルダ52が、第1ガイド面92と第2ガイド面93との間に、第3方向に挟まれている。そして、ICチップ51の電気的接触面511が、電気コネクタ81に接触している。また、第1位置では、コイルばね523の第3方向の長さは、第1長さとなっている。
【0070】
図9に示すように、プロセスカートリッジ10を、ドラムカートリッジ保持部90から取り出すときには、ドラムカートリッジ2が、転写ベルト82から離れる方向へ移動する。そうすると、感光体ドラム72が、転写ベルト82から離間する。このとき、ホルダ52の第2外表面52Bも、転写ベルト82から離れる方向へ移動する。一方、ホルダ52の第1外表面52Aは、第1ガイド面92の第1凸部921に接触する。これにより、第1外表面52Aの第2方向の移動が制限される。
【0071】
ここで、
図10に示すように、第1凸部921は、第1接触面921Aを有する。ドラムカートリッジ保持部90にプロセスカートリッジ10が装着された状態において、第1接触面921Aと現像ローラ30とは、電気コネクタ81に対して、第2方向の互いに反対側に位置する。また、第1接触面921Aは、第1方向において、第1面923と第2面924との間に位置する。一方、ホルダ52の第1外表面52Aは、第2接触面52Cを有する。第2接触面52Cは、第2方向において、電気的接触面511に対して、現像ローラ30の反対側に位置する。
【0072】
第2接触面52Cは、第1接触面921Aに接触する。これにより、ホルダ52は、第1凸部921と第1外表面52Aとの接触箇所について回動する。すなわち、第1接触面921Aに第2接触面52Cが接触した状態において、第2接触面52Cについて、ホルダ52が回動する。すなわち、ホルダ52は、第1ガイド面92の第1接触面921Aに接触した状態において、第1外表面52Aについて回動する。その結果、ドラムカートリッジ保持部90に対するホルダ52の位置は、
図8に示す第1位置から、
図9および
図10に示す第2位置へ移動する。
【0073】
電気コネクタ81は、第1ガイド面92に対して、第3方向に伸縮可能である。ホルダ52が第2位置のときには、ホルダ52が第1位置のときよりも、電気コネクタ81は、電気的接触面511へ向けて突出する。このため、第2位置では、まだ、電気的接触面511は、電気コネクタ81に接触している。また、第2位置では、コイルばね523の第3方向の長さは、第1長さよりも長い第2長さとなる。
【0074】
このように、第1位置から第2位置への移動の際には、第1凸部921によって、第1外表面52Aの第2方向の移動が制限される。したがって、電気コネクタ81に対する電気的接触面511の第2方向の移動も制限される。これにより、電気コネクタ81に対する電気的接触面511の擦れが抑制される。電気コネクタ81に対する電気的接触面511の押圧力は、コイルばね523が第1長さから第2長さへ伸びることによって、徐々に低下する。
【0075】
上述の通り、ホルダ52は、ケーシング11、ギアカバー45、およびホルダカバー47に対して、第2方向および第3方向に移動可能である。すなわち、ホルダ52は、第2方向および第3方向の、少なくとも2方向の移動自由度を有する。このため、第1位置から第2位置への移動の際に、ホルダ52を容易に回動させることができる。
【0076】
その後、ホルダ52は、
図9および
図10に示す第2位置から、
図11および
図12に示す第3位置へ移動する。これにより、電気的接触面511が、電気コネクタ81から離間する。ホルダ52が第3位置に位置するときの感光体ドラム72と転写ベルト82との間の距離は、ホルダ52が第2位置に位置するときの感光体ドラム72と転写ベルト82との間の距離よりも長い。また、第3位置では、コイルばね523の第3方向の長さは、第2長さよりも長い第3長さとなる。
【0077】
図12のように、第2接触面52Cは、第2方向および第3方向に対して傾斜する傾斜面である。第2位置から第3位置への移動の際には、第2接触面52Cが、第1接触面921Aに接触した状態において、第1接触面921Aに沿って移動する。これにより、第1ガイド面92に対してホルダ52をスムーズに移動させることができる。その結果、電気コネクタ81に対する電気的接触面511の擦れを抑制しつつ、電気コネクタ81から電気的接触面511を離間させることができる。
【0078】
その後、ドラムカートリッジ保持部90からプロセスカートリッジ10が完全に取り出されると、ホルダ52の第1外表面52Aは、第1ガイド面92から離間する。また、ドラムカートリッジ2の保持プレート731は、第2ガイド面93から離間する。そうすると、コイルばね523の第3方向の長さは、第3長さよりも長い第4長さとなる。
【0079】
<5.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
【0080】
上記の実施形態では、弾性部材としてコイルばね523が用いられていた。しかしながら、コイルばね523に代えて、板ばね、トーションばねなどの他の種類のばねが用いられてもよい。
【0081】
また、上記の実施形態では、ホルダの外表面に、電気的接触面を有するICチップが固定されていた。しかしながら、ホルダの外表面には、電気コネクタと接触する電気的接触面のみを固定し、ICチップの電気的接触面以外の部分は、現像カートリッジの他の箇所に配置されていてもよい。
【0082】
また、画像形成装置を構成する各部品の細部の形状については、本願の各図に示された形状と相違していてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。