(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、印刷装置の一実施形態について図を参照しながら説明する。
図1に示すように、印刷装置11は、装置本体としての筐体12と、筐体12を支持する脚部13とを備えている。印刷装置11は、筐体12外から筐体12内に向けて媒体Sを繰り出す繰出部14と、繰出部14から繰り出された媒体Sを支持する媒体支持部20とを備えている。印刷装置11は、媒体支持部20に沿うように媒体Sを搬送方向Yに搬送する搬送部30を備えている。印刷装置11は、媒体Sに文字、写真等の画像を印刷するための印刷部40と、印刷部40により印刷された媒体Sを巻き取る巻取部15とを備えている。媒体支持部20、搬送部30及び印刷部40は、筐体12に取り付けられている。
【0017】
繰出部14は、筐体12外に配置され、脚部13に取り付けられている。繰出部14は、媒体Sをロール状に巻き重ねたロール体R1を着脱自在に保持する保持体16を有している。繰出部14は、保持体16に取り付けられたロール体R1を回転させることによって、媒体Sをロール体R1から巻き解いて繰り出す。本実施形態における繰出部14は、保持体16に保持されるロール体R1を
図1において反時計回り方向に回転させることによって媒体Sを繰り出す。本実施形態において、媒体Sは、用紙とされている。
【0018】
媒体支持部20は、筐体12の内外に亘って設けられている。媒体支持部20は、それぞれ板状の部材で構成される第1案内部21、第2案内部22及び支持部23を有している。第1案内部21は、筐体12外から筐体12内に亘って設けられ、繰出部14から繰り出された媒体Sを筐体12内に向けて案内するように媒体Sを支持する。支持部23は、筐体12内に設けられ、第1案内部21により案内された媒体Sを支持する。第2案内部22は、筐体12内から筐体12外に亘って設けられ、支持部23上を通過した媒体Sを筐体12外に向けて案内するように媒体Sを支持する。すなわち、第1案内部21は、媒体Sが搬送される搬送方向Yにおいて支持部23よりも上流側に配置されている。第2案内部22は、搬送方向Yにおいて支持部23よりも下流側に配置されている。
【0019】
第1、第2案内部21、22は、その上面が媒体Sを案内するための案内面24、25とされている。支持部23は、その上面が媒体Sを支持するための支持面26とされている。本実施形態において、媒体Sが搬送される搬送方向Yとは、支持部23の支持面26上において搬送部30の駆動により媒体Sが移動する方向のことを指す。本実施形態における第1、第2案内部21、22は、案内面24、25が搬送方向Yに対して湾曲するように構成されている。
【0020】
搬送部30は、筐体12内に設けられ、搬送方向Yにおいて第1案内部21と支持部23との間となる位置に配置されている。搬送部30は、駆動回転が可能な搬送ローラー31と、搬送ローラー31の回転に対して従動回転が可能な従動ローラー32とを有している。搬送部30は、搬送ローラー31と従動ローラー32とが媒体Sを挟み込んだ状態で回転することによって、媒体Sを搬送方向Yに搬送する。本実施形態において、搬送ローラー31は、上下方向Zの下方から媒体Sに接触可能とされている。従動ローラー32は、上下方向Zの上方から媒体Sに接触可能とされている。なお、本実施形態において、上下方向Zは、鉛直方向と一致する。
【0021】
印刷部40は、筐体12内に設けられ、支持部23と対向するように配置されている。本実施形態において、印刷部40は、上下方向Zにおいて支持部23よりも上方に配置され、支持部23と対向する領域において搬送方向Yの下流側寄りとなる位置に配置されている。印刷部40は、媒体Sの幅方向Xに延びるガイド軸41と、ガイド軸41に支持されるキャリッジ42と、キャリッジ42に搭載されるヘッド43とを有している。
【0022】
キャリッジ42は、ガイド軸41に沿って移動可能とされている。すなわち、キャリッジ42は、幅方向Xに移動可能に構成されている。ヘッド43は、対向する支持部23に向けて例えばインク等の液体を噴射可能とされている。ヘッド43は、支持部23に支持される媒体Sに液体を噴射することによって、媒体Sに画像を印刷する。ヘッド43は、キャリッジ42が幅方向Xに移動することによって、搬送方向Yに搬送される媒体Sに対して幅方向Xに亘って印刷可能とされている。本実施形態におけるヘッド43は、支持部23において搬送方向Yの下流側寄りとなる部分と対向するように位置している。
【0023】
本実施形態における印刷装置11は、通常、水平に広がる床面に設置された状態で使用される。本実施形態の印刷装置11は、設置される床面と支持部23の支持面26とが略平行となるように構成されている。そこで、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸の3軸からなる座標系を考え、Z軸が上下方向Zに延びるように座標軸をとると、水平に広がる床面はX軸及びY軸からなる平面となる。すなわち、支持部23の支持面26は、X軸及びY軸からなる平面となる。また、Z軸は、床面及び支持部23の支持面26に対して垂直に延びる座標軸となる。換言すると、上下方向Zは、支持部23の支持面26に対して垂直となるZ軸が延びる方向となる。そのため、本実施形態において、上下方向Zは、印刷装置11が水平面に設置される場合に、鉛直方向と一致する。
【0024】
次に、上下方向ZとZ軸の延びる方向とを一致させたうえで、X軸がガイド軸41に沿うように、つまり幅方向Xに延びるように座標軸をとる。すると、本実施形態の印刷装置11においては、Y軸の延びる方向が搬送方向Yと一致する。幅方向Xに延びるX軸と、搬送方向Yに延びるY軸と、上下方向Zに延びるZ軸とは、それぞれ互いに直交する関係にある。すなわち、本実施形態において、幅方向X、搬送方向Y及び上下方向Zは、それぞれ互いに異なる3つの方向を示している。
【0025】
巻取部15は、筐体12外に配置され、脚部13に取り付けられている。巻取部15は、媒体Sをロール状に巻き重ねたロール体R2を着脱自在に保持する保持体17と、媒体Sを巻き取る際に媒体Sにテンションを付与するテンションバー18とを有している。このロール体R2は、印刷部40により画像が印刷された媒体Sを巻取部15が巻き取ることで形成される。本実施形態における巻取部15は、保持体17に保持されるロール体R2を
図1において時計回り方向に回転させるようにして、テンションバー18に巻き掛けられた媒体Sを巻き取る。
【0026】
図1及び
図2に示すように、印刷装置11は、搬送部30を構成する搬送ローラー31を回転可能に支持する支持部材50と、支持部材50が取り付けられるプレート19とを備えている。なお、
図2においては、搬送ローラー31と対向する従動ローラー32の図示を省略している。
【0027】
プレート19は、筐体12内において支持部23よりも下方に配置され、装置本体である筐体12に対して固定されている。プレート19は、幅方向Xにおいて長尺に設けられ、支持部23の支持面26と略平行となるように構成されている。本実施形態におけるプレート19は、水平に延びるように設けられ、幅方向Xにおいて支持部23よりもその幅が少し短くなるように構成されている。プレート19の上面には、支持部材50が取り付けられている。
【0028】
支持部材50は、プレート19の上面において、搬送ローラー31の直下となる位置に配置されている。本実施形態における支持部材50は、プレート19の上面において、搬送方向Yの上流側寄りとなる位置に配置されている。なお、説明の便宜のために、幅方向Xにおいて、
図2においてプレート19の右端となる端部を第1端、
図2においてプレート19の左端となる端部を第2端と呼称する。
【0029】
図2に示すように、支持部材50は、プレート19の上面において、幅方向Xの中央寄りとなる位置に配置される。特に、本実施形態における搬送ローラー31は、幅方向Xに長尺であるため、幅方向Xの両端が支持される構成の場合、自重によりその中央部分が下方に撓み易い。そのため、印刷装置11は、搬送ローラー31において幅方向Xの中央部分を支持する支持部材50を有する。支持部材50は、搬送ローラー31を支持することによって搬送ローラー31の撓みを抑制し、搬送ローラー31による媒体Sの搬送精度を確保する。
【0030】
支持部材50により搬送ローラー31の撓みを抑制するためには、プレート19に対する支持部材50の取付精度が重要となる。例えば、支持部材50が搬送方向Yにおいてずれた状態で取り付けられると、支持部材50に支持される搬送ローラー31の中央部分が搬送方向Yに撓み、搬送精度が低下する。そのため、本実施形態における支持部材50は、支持する搬送ローラー31の搬送方向Y及び上下方向Zにおける位置を調整可能に構成されている。
【0031】
図3、
図4、
図5及び
図6に示すように、支持部材50は、プレート19に取り付けられる第1ブラケット51を有している。支持部材50は、第1ブラケット51に取り付けられる第2ブラケット52と、第2ブラケット52に取り付けられる軸受体53とを有している。支持部材50は、軸受体53を上下方向Zにおいて変位させるための第1偏心軸54と、軸受体53を搬送方向Yにおいて変位させるための第2偏心軸55とを有している。
【0032】
第1ブラケット51は、前板61と、後板62と、右側板63と、左側板64とを有している。前板61は、搬送方向Yにおいて下流側から支持部材50を見たときにその正面に位置する板状の部材である。後板62は、搬送方向Yにおいて上流側から支持部材50を見たときにその正面に位置する板状の部材である。右側板63は、幅方向Xにおいてプレート19の第1端側から支持部材50を見たときにその正面に位置する板状の部材である。左側板64は、幅方向Xにおいてプレート19の第2端側から支持部材50を見たときにその正面に位置する板状の部材である。
【0033】
第1ブラケット51は、前板61、後板62、右側板63及び左側板64がそれぞれ固定されることによって、角筒状をなすように設けられている。すなわち、前板61及び後板62は、搬送方向Yにおいて間隔をあけて略平行に配置され、それぞれ右側板63及び左側板64と固定されている。右側板63及び左側板64は、幅方向Xにおいて間隔をあけて略平行に配置され、それぞれ前板61及び後板62と固定されている。本実施形態において、各板61、62、63、64は、それぞれ矩形状をなすように設けられ、それぞれの上縁の位置が上下方向Zで一致するように固定されている。
【0034】
図3、
図4及び
図7に示すように、前板61及び後板62は、上下方向Zにおけるその長さが、右側板63及び左側板64の上下方向Zにおける長さよりも短くなるように構成されている。前板61及び後板62は、幅方向Xにおいて中央寄りであって且つ上下方向Zにおいて下方寄りとなる位置に、第1偏心軸54を支持するための軸孔65を有している。すなわち、前板61及び後板62は、互いに同様の構成とされている。
【0035】
右側板63及び左側板64は、その下部が、プレート19の上面に沿うように屈曲して延びる取付部分66、67とされている。右側板63の取付部分66は、左側板64に向かうように延びている。左側板64の取付部分67は、右側板63に向かうように延びている。第1ブラケット51は、右側板63及び左側板64の取付部分66、67がそれぞれねじ68で留められることによって、プレート19に固定される。すなわち、第1ブラケット51は、装置本体としての筐体12に固定される。
【0036】
図3、
図4、
図5及び
図6に示すように、第2ブラケット52は、第1ブラケット51を構成する右側板63に取り付けられている。第2ブラケット52は、矩形状をなす板状の部材で構成され、右側板63において左側板64と対向する面に取り付けられている。すなわち、第2ブラケット52は、前板61、後板62、右側板63、左側板64で囲まれる空間内に位置し、第1ブラケット51に収容されている。本実施形態の第2ブラケット52は、搬送方向Yにおけるその長さが、右側板63及び左側板64の搬送方向Yにおける長さと略同一となるように構成されている。本実施形態の第2ブラケット52は、上下方向Zにおけるその長さが、前板61及び後板62の上下方向Zにおける長さよりも短くなるように構成されている。
【0037】
第2ブラケット52は、ねじ69により右側板63に取り付けられている。本実施形態において、第2ブラケット52は、上下方向Zにおいて中央寄りであって且つ搬送方向Yにおいて上流側寄り及び下流側寄りとなる2箇所に、ねじ69を固定可能なねじ孔71を有している。第2ブラケット52が取り付けられる右側板63は、第2ブラケット52が有するねじ孔71と対応する位置に、ねじ69を挿し通すための長孔72を有している。すなわち、右側板63は、上下方向Zにおいて中央寄りであって且つ搬送方向Yにおいて上流側寄り及び下流側寄りとなる2箇所に長孔72を有している。長孔72は、上下方向Zにおいて広がりを有する孔である。第2ブラケット52は、第2ブラケット52のねじ孔71と第1ブラケット51の長孔72とに挿入されるねじ69によって、第1ブラケット51に固定される。
【0038】
図5、
図6及び
図8に示すように、第2ブラケット52は、搬送方向Yにおいて中央寄りであって且つ上下方向Zにおいて上方寄りとなる位置に、第2偏心軸55を支持するための軸孔73を有している。第2ブラケット52は、搬送方向Yにおいて中央寄りであって且つ上下方向Zにおいて下方寄りとなる位置に、搬送方向Yにおいて広がりを有する長孔74を有している。長孔74は、軸受体53を第2ブラケット52に固定するためのねじ75が挿し通される孔である。
【0039】
第1ブラケット51を構成する右側板63は、搬送方向Yにおいて中央寄りであって且つ上下方向Zにおいて上方寄り及び中央寄りとなる2箇所に露出孔76、77を有している。すなわち、露出孔76、77は、上下方向Zにおいて並ぶように設けられている。露出孔76、77は、幅方向Xにおいてプレート19の第1端側から右側板63を見たときに、第2ブラケット52の一部を露出させる矩形状の孔である。右側板63において上下方向Zの上方寄りに位置する露出孔76は、第2ブラケット52が有する軸孔73を露出させる。右側板63において上下方向Zの中央寄りに位置する露出孔77は、第2ブラケット52が有する長孔74を露出させる。なお、露出孔76、77は、上下方向Zにおける開口幅が、長孔72の上下方向Zにおける開口幅と同程度の大きさを有することが好ましい。
【0040】
図3、
図4、
図5及び
図6に示すように、軸受体53は、直方体状をなす本体部分81と、本体部分81の上部から上方に突出する軸受部分82とを有している。軸受体53は、その本体部分81が前板61、後板62、右側板63、左側板64で囲まれる空間内に位置し、第1ブラケット51に収容されている。そのため、軸受体53は、軸受部分82が第1ブラケット51の上方から突出するように第1ブラケット51に収容されている。
【0041】
軸受体53は、その本体部分81が第2ブラケット52に取り付けられるように構成されている。本体部分81は、第2ブラケット52において第1ブラケット51の左側板64と対向する面に取り付けられている。本体部分81は、搬送方向Yにおけるその長さが、右側板63及び左側板64の搬送方向Yにおける長さよりも短くなるように構成されている。本体部分81は、幅方向Xにおけるその長さが、第1ブラケット51の左側板64と第2ブラケット52との間の距離と略同一となるように構成されている。すなわち、軸受体53は、幅方向Xにおいて、第1ブラケット51を構成する左側板64と第2ブラケット52とで挟み込まれているともいえる。
【0042】
軸受部分82は、本体部分81の上部において、幅方向Xの中央部分に設けられている。軸受部分82は、搬送方向Yにおけるその長さが、本体部分81の搬送方向Yにおける長さと略同一となるように構成されている。軸受部分82は、幅方向Xにおけるその長さが、本体部分81の幅方向Xにおける長さよりも短くなるように構成されている。軸受部分82は、その上部に、搬送ローラー31の周面と接触可能な軸受面83を有している。軸受面83は、幅方向Xから見たときに円弧状をなすように湾曲する面とされている。軸受体53は、軸受面83が搬送ローラー31の周面に接触することによって、搬送ローラー31を回転可能に支持する。
【0043】
図7及び
図8に示すように、軸受体53は、その本体部分81に、第1偏心軸54が挿入されるための第1挿入孔84と、第2偏心軸55が挿入されるための第2挿入孔85とを有している。第1挿入孔84は、本体部分81を搬送方向Yに貫くように延びる孔である。そのため、第1偏心軸54は、搬送方向Yに延びる略円柱状の軸とされている。第1偏心軸54は、搬送方向Yにおけるその両端部分が、第1ブラケット51の前板61及び後板62が有する軸孔65に挿入される小径部分86とされている。小径部分86は、その径が、軸孔65の径と略同一となるように構成されている。すなわち、第1偏心軸54は、第1ブラケット51に支持されている。
【0044】
第1偏心軸54は、搬送方向Yにおいて小径部分86同士の間となる部分が、小径部分86よりも径が大きい大径部分87とされている。第1偏心軸54は、小径部分86と大径部分87とでその軸心が異なるように構成されている。すなわち、第1偏心軸54は、大径部分87が小径部分86に対して偏心するように構成されている。なお、第1偏心軸54の小径部分86のうち、搬送方向Yにおいて上流側に位置する小径部分86には、第1偏心軸54を回転させるための溝88が切り欠かれている。
【0045】
第1挿入孔84は、搬送方向Yから見たときに、本体部分81において幅方向Xの中央寄りであって且つ上下方向Zの下方寄りとなる位置に設けられている。第1挿入孔84は、搬送方向Yから見たときに、その開口が矩形状となるように構成されている。第1挿入孔84は、上下方向Zにおける開口幅が、第1偏心軸54の大径部分87の径と略同一となるように構成されている。第1挿入孔84は、幅方向Xにおける開口幅が、第1偏心軸54の大径部分87の径よりも大きくなるように構成されている。そのため、第1偏心軸54は、大径部分87が第1挿入孔84の天面89に接触した状態で、第1挿入孔84に挿入されている。
【0046】
第1偏心軸54は、第1挿入孔84に挿入されることによって、軸受体53と、本体部分81に取り付けられる第2ブラケット52との荷重を受けている。すなわち、第1偏心軸54は、軸受体53及び第2ブラケット52を支持している。具体的には、第1偏心軸54は、その大径部分87が第1挿入孔84の天面89に接触することによって、軸受体53及び第2ブラケット52を支持する。
【0047】
第2挿入孔85は、本体部分81を幅方向Xに貫くように延びる孔である。そのため、第2偏心軸55は、幅方向Xに延びる略円柱状の軸とされている。第2偏心軸55は、幅方向Xにおいてプレート19の第1端が位置する側(
図8においては右側)となる端部が、第2ブラケット52が有する軸孔73に挿入される小径部分91とされている。小径部分91は、その径が、軸孔73の径と略同一となるように構成されている。すなわち、第2偏心軸55は、第2ブラケット52に支持されている。
【0048】
第2偏心軸55は、幅方向Xにおいて、小径部分91よりもプレート19の第2端が位置する側(
図8において左側)となる部分が、小径部分91よりも径が大きい大径部分92とされている。第2偏心軸55は、小径部分91と大径部分92とでその軸心が異なるように構成されている。すなわち、第2偏心軸55は、大径部分92が小径部分91に対して偏心するように構成されている。
【0049】
本実施形態における第2偏心軸55は、幅方向Xにおいて小径部分91が位置する側とは逆側の端部が、第2挿入孔85内に位置するように構成されている。すなわち、第2偏心軸55の大径部分92は、第2挿入孔85内に収まっている。なお、第2偏心軸55の小径部分91には、第2偏心軸55を回転させるための溝93が切り欠かれている。
【0050】
第2挿入孔85は、幅方向Xから見たときに、本体部分81において搬送方向Yの中央寄りであって且つ上下方向Zの中央寄りとなる位置に設けられている。第2挿入孔85は、その開口が矩形状となるように構成されている。第2挿入孔85は、搬送方向Yにおける開口幅が、第2偏心軸55の大径部分92の径と略同一となるように構成されている。第2挿入孔85は、上下方向Zにおける開口幅が、第2偏心軸55の大径部分92の径よりも大きくなるように構成されている。すなわち、第2偏心軸55は、その大径部分92が、第2挿入孔85において搬送方向Yの上流側に位置する側面94と、下流側に位置する側面95とに接触した状態で、第2挿入孔85に挿入されている。
【0051】
軸受体53は、第2ブラケット52が有する長孔74と対応する位置に、ねじ75と固定可能なねじ孔96を有している。ねじ孔96は、本体部分81において、上下方向Zにおいて下方寄りであって且つ搬送方向Yにおいて中央寄りとなる位置に設けられている。軸受体53は、本体部分81のねじ孔96と第2ブラケット52の長孔74とに挿入されるねじ75によって、第2ブラケット52に固定される。
【0052】
次に、上記のように構成された印刷装置11の作用について、特に支持部材50に注目して説明する。
支持部材50により搬送ローラー31を支持するべく、まず、支持部材50をプレート19に取り付ける。すなわち、第1ブラケット51を構成する右側板63及び左側板64の取付部分66、67を、ねじ68によってプレート19に固定する。本実施形態における印刷装置11は、支持部材50をプレート19に取り付けることによって、軸受体53の軸受面83が搬送ローラー31の周面と接触する状態となるように構成されている。このときの支持部材50は、第2ブラケット52がねじ69によって第1ブラケット51に仮留めされ、軸受体53がねじ75によって第2ブラケット52に仮留めされた状態で組み立てられている。すなわち、支持部材50は、第2ブラケット52が、第1ブラケット51(右側板63)が有する長孔72の上下方向Zにおける長さの分だけ上下方向Zに変位可能な状態となっている。支持部材50は、軸受体53が、第2ブラケット52が有する長孔74の搬送方向Yにおける長さの分だけ搬送方向Yに変位可能な状態となっている。
【0053】
次に、搬送ローラー31の上下方向Zにおける位置を調整するべく、第1偏心軸54を回転させる。本実施形態においては、第1偏心軸54の小径部分86に設けられた溝88に例えばドライバー等を差し込むことによって、第1偏心軸54を回転させる。このとき、第1偏心軸54は、第1ブラケット51の前板61及び後板62が有する軸孔65に支持される小径部分86の軸心を中心として回転する。そのため、第1偏心軸54の大径部分87は、大径部分87の軸心が小径部分86の軸心まわりを周回するように回転する。すなわち、第1挿入孔84内において第1偏心軸54の大径部分87が変位する。
【0054】
軸受体53は、第1挿入孔84の天面89が第1偏心軸54の大径部分87と接触することによって第1偏心軸54に支持されている。そのため、第1偏心軸54が回転すると、軸受体53は、第1挿入孔84の天面89が第1偏心軸54の大径部分87に接触した状態を維持したまま変位する。第1偏心軸54の回転によって軸受体53が変位する際、ねじ75を介して軸受体53に仮留めされている第2ブラケット52もともに変位する。なお、第2ブラケット52は、ねじ69を介して第1ブラケット51(右側板63)の長孔72により上下方向Zにガイドされている。すなわち、軸受体53及び第2ブラケット52は、第1偏心軸54の回転により、第1ブラケット51を基準に上下方向Zにおいて変位する。このとき、第2偏心軸55も上下方向Zにおいて変位する。
【0055】
本実施形態においては、軸受体53及び第2ブラケット52が、幅方向Xにおいて第1ブラケット51の右側板63及び左側板64に挟み込まれている。そのため、第1偏心軸54が回転する際、右側板63及び左側板64は、軸受体53及び第2ブラケット52を上下方向Zにガイドする。また、本実施形態における第2ブラケット52は、搬送方向Yにおける長さが、第1ブラケット51の前板61と後板62との搬送方向Yにおける距離と略同一とされている。すなわち、第2ブラケット52は、搬送方向Yにおいて第1ブラケット51の前板61及び後板62に挟み込まれている。そのため、第1偏心軸54が回転する際、前板61及び後板62は、第2ブラケット52を上下方向Zにガイドする。
【0056】
支持部材50は、第1偏心軸54の回転により軸受体53を上下方向Zにおいて変位させることによって、搬送ローラー31の上下方向Zにおける位置を調整する。すなわち、第1偏心軸54は、搬送ローラー31の上下方向Zにおける位置を調整する上下方向調整機構として機能する。本実施形態において、上下方向調整機構は、第1偏心軸54を有する。第1偏心軸54の回転により搬送ローラー31の上下方向Zにおける位置の調整が完了した後、第1ブラケット51と第2ブラケット52とを仮留めしているねじ69を本締めする。これにより、第2ブラケット52が第1ブラケット51に固定され、上下方向Zにおいて第2ブラケット52と連動する軸受体53の上下方向Zにおける位置が決定される。
【0057】
次に、搬送ローラー31の搬送方向Yにおける位置を調整するべく、第2偏心軸55を回転させる。本実施形態においては、第1偏心軸54と同様に、第2偏心軸55の小径部分91に設けられた溝93に例えばドライバー等を差し込むことによって、第2偏心軸55を回転させる。このとき、第2偏心軸55は、第2ブラケット52が有する軸孔73に支持される小径部分91の軸心を中心として回転する。そのため、第2偏心軸55の大径部分92は、大径部分92の軸心が小径部分91の軸心まわりを周回するように回転する。すなわち、第2挿入孔85内において第2偏心軸55の大径部分92が変位する。
【0058】
第2偏心軸55は、その大径部分92が第2挿入孔85の側面94、95に接触するように第2挿入孔85に挿入されている。そのため、第2偏心軸55が回転すると、軸受体53は、第2挿入孔85の側面94、95が第2偏心軸55の大径部分92に接触した状態を維持したまま変位する。すなわち、軸受体53は、回転する第2偏心軸55の大径部分92によって、第2挿入孔85の側面94、又は側面95が押し出されるように変位する。これにより、軸受体53が第2ブラケット52に対して変位する。なお、軸受体53は、ねじ75を介して第2ブラケット52の長孔74により搬送方向Yでガイドされている。すなわち、軸受体53は、第2偏心軸55の回転により、第2ブラケット52を基準に搬送方向Yにおいて変位する。
【0059】
本実施形態においては、軸受体53が、幅方向Xにおいて第1ブラケット51の左側板64と第2ブラケット52とに挟み込まれている。そのため、第2偏心軸55が回転する際、左側板64及び第2ブラケット52は、軸受体53を搬送方向Yにガイドする。また、本実施形態における第1偏心軸54は、搬送方向Yに延びる構成とされている。そのため、第2偏心軸55が回転する際、第1偏心軸54は、軸受体53を搬送方向Yにガイドする。
【0060】
支持部材50は、第2偏心軸55の回転により軸受体53を搬送方向Yにおいて変位させることによって、搬送ローラー31の搬送方向Yにおける位置を調整する。すなわち、第2偏心軸55は、搬送ローラー31の搬送方向Yにおける位置を調整する搬送方向調整機構として機能する。本実施形態において、搬送方向調整機構は、第2偏心軸55を有する。第2偏心軸55の回転により搬送ローラー31の搬送方向Yにおける位置の調整が完了した後、第2ブラケット52と軸受体53とを仮留めしているねじ75を本締めする。これにより、軸受体53が第2ブラケット52に固定され、軸受体53の搬送方向Yにおける位置が決定される。
【0061】
まとめると、本実施形態における支持部材50は、第1偏心軸54の回転動作が、搬送ローラー31の搬送方向Yにおける位置の調整に寄与しない構成とされている。本実施形態における支持部材50は、第2偏心軸55の回転動作が、搬送ローラー31の上下方向Zにおける位置の調整に寄与しない構成とされている。すなわち、支持部材50は、搬送ローラー31の位置を調整するにあたって、上下方向Zにおける搬送ローラー31の位置と、搬送方向Yにおける搬送ローラー31の位置とをそれぞれ独立して調整可能に構成されている。
【0062】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)第1偏心軸(上下方向調整機構)54は、搬送ローラー31の上下方向Zにおける位置を調整する機構である。第2偏心軸(搬送方向調整機構)55は、搬送ローラー31の搬送方向Yにおける位置を調整する機構である。そのため、第1偏心軸(上下方向調整機構)54により搬送ローラー31の上下方向Zにおける位置を調整する際に、搬送ローラー31の搬送方向Yにおける位置を変位させることは好ましくない。すなわち、第1偏心軸(上下方向調整機)54により搬送ローラー31の上下方向Zにおける位置を調整する際に、第2偏心軸(搬送方向調整機構)55が搬送方向Yにおいて変位することは好ましくない。
【0063】
この点、上記実施形態によれば、搬送ローラー31の上下方向Zにおける位置を第1偏心軸(上下方向調整機構)54により調整する際、第2偏心軸(搬送方向調整機構)55が搬送ローラー31とともに上下方向Zにおいて変位する。すなわち、搬送ローラー31の上下方向Zにおける位置を第1偏心軸(上下方向調整機構)54により調整する際に、搬送ローラー31の搬送方向Yにおける位置を調整するための第2偏心軸(搬送方向調整機構)55が搬送方向Yにおいて変位し難い構成とされている。これにより、搬送ローラー31の位置を精度良く調整できる。したがって、媒体Sの搬送精度を向上できる。
【0064】
(2)第1偏心軸(上下方向調整機構)54は、第1ブラケット51に対して第2ブラケット52及び軸受体53を上下方向Zにおいて変位させる。第2偏心軸(搬送方向調整機構)55は、第2ブラケット52に対して軸受体53を搬送方向Yにおいて変位させる。そのため、第1偏心軸(上下方向調整機構)54が第1ブラケット51を基準に軸受体53の上下方向Zにおける位置を調整する。第2偏心軸(搬送方向調整機構)55が第2ブラケット52を基準に軸受体53の搬送方向Yにおける位置を調整する。すなわち、第1偏心軸(上下方向調整機構)54及び第2偏心軸(搬送方向調整機構)55は、それぞれ上下方向Z及び搬送方向Yにおいて独立して搬送ローラー31の位置を調整可能とされている。そのため、支持部材50により搬送ローラー31の位置を精度良く調整できる。
【0065】
(3)上記実施形態において、上下方向調整機構は第1偏心軸54とされている。そのため、第1偏心軸54を回転させるという比較的簡易な動作によって、搬送ローラー31の上下方向Zにおける位置を調整できる。
【0066】
(4)上記実施形態において、搬送方向調整機構は第2偏心軸55とされている。そのため、第2偏心軸55を回転させるという比較的簡易な動作によって、搬送ローラー31の搬送方向Yにおける位置を調整できる。
【0067】
(5)第1偏心軸(上下方向調整機構)54及び第2偏心軸(搬送方向調整機構)55は、上下方向Zにおいて搬送ローラー31よりも下方に位置する。そのため、本実施形態のように、搬送ローラー31が媒体Sに対して下方から接触するように印刷装置11が構成される場合において、搬送ローラー31の位置を調整し易くできる。
【0068】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。また、以下に示す変更例は適宜組み合わせてもよい。
・上下方向調整機構は、第1偏心軸54を電気的に回転させる構成でもよい。
【0069】
・搬送方向調整機構は、第2偏心軸55を電気的に回転させる構成でもよい。
・軸受体53は、第1挿入孔84に替えて、本体部分81を切り欠いて設けられる溝を有する構成とされてもよい。第1偏心軸54の回転により軸受体53を上下方向Zにおいて変位させるにあたって、その溝が、第1挿入孔84の天面89に相当する構成を有していればよい。
【0070】
・軸受体53は、第1挿入孔84を有しなくともよい。例えば、第1偏心軸54の大径部分87が、軸受体53の本体部分81の底面に接触するような構成としてもよい。
・軸受体53は、第2挿入孔85に替えて、本体部分81を切り欠いて設けられる溝を有する構成とされてもよい。第2偏心軸55の回転により軸受体53を搬送方向Yにおいて変位させるにあたって、その溝が、第2挿入孔85の側面94、95に相当する構成を有していればよい。
【0071】
・第1偏心軸54は、幅方向Xに延びる構成としてもよい。この場合、第1挿入孔84は、幅方向Xに延びる孔となる。
・第2偏心軸55は、小径部分91が設けられる逆側の端部が軸受体53から飛び出してもよい。この場合、第1ブラケット51の左側板64に、第2挿入孔85が露出する開口を設けることが好ましい。
【0072】
・上下方向調整機構は、大径部分87が小径部分86に対して偏心する偏心軸に限らず、例えば大径部分87が楕円形状となる軸でもよい。
・軸受体53は、第1偏心軸54が第2偏心軸55よりも上方に位置する構成とされてもよい。
【0073】
・支持部材50は、搬送方向Yにおける位置を調整した後に、上下方向Zにおける位置を調整するように構成されていてもよい。
・支持部材50は、第1ブラケット51に対して第2ブラケット52及び軸受体53が搬送方向Yに変位可能で、第2ブラケット52に対して軸受体53が上下方向Zに変位可能な構成とされてもよい。
【0074】
・支持部材50は、第2ブラケット52が右側板63だけに設けられる構成に限らず、左側板64にも第2ブラケット52が設けられる構成とされてもよい。この場合、第1ブラケット51の左側板64は、右側板63と同様の構成を有することが好ましい。
【0075】
・媒体Sは、ロール体R1から繰り出される連続紙に限らず、単票紙でもよい。また、媒体Sは、用紙に限らず、プラスチックフィルム、金属フィルム、布帛などでもよい。
・印刷部40は、幅方向Xにおいて長尺に設けられ、筐体12内において固定して配置される所謂ラインヘッドとして設けられてもよい。
【0076】
・印刷装置11は、インク以外の他の流体(液体や、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体、ゲルのような流状体、流体として流して噴射できる固体を含む)を噴射したり吐出したりして記録を行う流体噴射装置であってもよい。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を噴射して記録を行う液状体噴射装置であってもよい。また、ゲル(例えば物理ゲル)などの流状体を噴射する流状体噴射装置、トナーなどの粉体(粉粒体)を例とする固体を噴射する粉粒体噴射装置(例えばトナージェット式記録装置)であってもよい。そして、これらのうちいずれか一種の流体噴射装置に本発明を適用することができる。なお、本明細書において「流体」とは、例えば液体(無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)等を含む)、液状体、流状体、粉粒体(粒体、粉体を含む)などが含まれる。