(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
赤外光を投写する赤外光投写装置をプロジェクター本体に一箇所設置するだけでは、設置する場所によりコントラストが十分でない投写領域が発生する場合がある。そこで、十分なコントラストを得るためには、例えば、投写面に対峙するプロジェクター本体の先端部と後端部とにそれぞれ赤外光投写装置を設置して投写することが考えられる。しかし、このような構成では、プロジェクター本体において広い間隔が必要となり、プロジェクターの大型化を招きやすいという課題がある。
【0008】
また、赤外光投写装置は、例えば、LED(発光ダイオード)と、LEDから射出される赤外光などを反射させて投写面に投写させる反射ミラー等を含んで構成される。インタラクティブプロジェクターは、一般的に投写面に近接する位置から投写面に投写する装置である。そのため、近接する投写領域に検出光としての赤外光を適切に投写させるための反射ミラーの設計及び製造等の難易度が高くなり、照明効率も悪くなりやすいという課題がある。
【0009】
特許文献2に記載される構成を実施した場合、投写レンズ前段に光の合成用のプリズムを増やすこと等が必要となる。この構成によれば、光学系の構成要素の増加や、投写レンズのバックフォーカスが長くなる等が考えられる。その場合、投写レンズの大型化や構成要素の増加による光学系の大型化が懸念される。また、投写レンズの大型化に伴う投写レンズの性能低下等の結果、フォーカスぼけや解像度の低下等、投写画像の品質低下が懸念される。
従って、大型化を抑制し、可視光による投写画像の品質低下を防止し、検出光を適切に投写領域に投写するインタラクティブ機能を備えたプロジェクターが要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0011】
[適用例1]本適用例に係るプロジェクターは、投写面に可視光と赤外光とを投写するプロジェクターであって、赤色光及び赤外光を互いに異なる直線偏光光として射出する赤色光/赤外光用光源と、緑色光を射出する緑色光用光源と、青色光を射出する青色光用光源と、赤色光/赤外光用光源から射出された赤色光と、赤外光とのうち一方を透過し、他方を反射することで分離する偏光分離合成素子と、偏光分離合成素子で分離された赤色光を画像データに応じて偏光変換して射出する反射型の赤色光用偏光変換素子と、偏光分離合成素子で分離された赤外光を偏光変換して射出する赤外光用偏光変換素子と、偏光分離合成素子により、赤色光用偏光変換素子で偏光変換されて射出された赤色光と、赤外光用偏光変換素子で偏光変換されて射出された赤外光とのうち一方を透過し、他方を反射することで、赤色光と赤外光とを合成し、合成された赤色光及び赤外光と、緑色光及び青色光とを合成して合成光として射出するプリズムと、プリズムから射出された合成光を投写する投写レンズと、を備えたことを特徴とする。
【0012】
本適用例のプロジェクターによれば、赤色光及び赤外光が、赤色光/赤外光用光源から互いに異なる直線偏光光(例えば、赤色光はP偏光光、赤外光はS偏光光)として射出される。そして、偏光分離合成素子により、射出された赤色光と赤外光とのうち一方を透過し、他方を反射することで、赤色光と赤外光とが分離される。例えば、偏光分離合成素子により、赤色光は透過され、赤外光は反射されることで分離される。そして、分離(透過)された赤色光は、反射型の赤色光用偏光変換素子で画像データに応じて偏光変換(S偏光光)されて射出される。また、分離(反射)された赤外光は、赤外光用偏光変換素子で偏光変換(P偏光光)されて射出される。そして、偏光分離合成素子により、赤色光用偏光変換素子で偏光変換(S偏光光)されて射出された赤色光と、赤外光用偏光変換素子で偏光変換(P偏光光)されて射出された赤外光とのうち一方を透過し、他方を反射することで、赤色光と赤外光とが合成される。例えば、赤外光を透過し、赤色光を反射することで合成される。そして、合成された赤色光及び赤外光と、緑色光及び青色光とは、プリズムにより合成されて合成光として射出される。そして、プリズムで合成された合成光が、投写レンズから投写面に投写される。
このような構成とすることにより、投写面に投写する可視光の光学系と、同じく投写面に投写する赤外光の光学系とを分けて構成する必要がなくなり、可視光と赤外光とを一体の光学系として構成し、同一の投写レンズから同一の投写面(投写領域)に投写させることができる。従って、インタラクティブ機能を備えたプロジェクターの大型化を抑制し、検出光としての赤外光を適切に投写領域に投写することができる。
【0013】
[適用例2]本適用例に係るプロジェクターは、投写面に可視光と赤外光とを投写するプロジェクターであって、赤色光及び赤外光を互いに異なる直線偏光光として射出する赤色光/赤外光用光源と、緑色光を射出する緑色光用光源と、青色光を射出する青色光用光源と、赤色光/赤外光用光源、緑色光用光源、及び青色光用光源から射出された赤外光と、赤色光、緑色光、及び青色光とのうち一方を透過し、他方を反射することで分離する偏光分離合成素子と、偏光分離合成素子で分離された赤色光、緑色光、及び青色光を各色光に分離を行うプリズムと、プリズムで分離された赤色光、緑色光、及び青色光を画像データに応じて偏光変換して射出する反射型の赤色光用偏光変換素子、反射型の緑色光用偏光変換素子、及び反射型の青色光用偏光変換素子と、偏光分離合成素子で分離された赤外光を、偏光変換して射出する反射型の赤外光用偏光変換素子と、赤色光用偏光変換素子、緑色光用偏光変換素子、及び青色光用偏光変換素子から射出された赤色光、緑色光、及び青色光は、プリズムに入射して可視光の合成光として射出され、偏光分離合成素子により、可視光の合成光と、偏光変換された赤外光とのうち一方を透過し、他方を反射することで可視光の合成光と赤外光とを合成し、偏光分離合成素子で合成された可視光の合成光と赤外光とを投写する投写レンズと、を備えたことを特徴とする。
【0014】
本適用例のプロジェクターによれば、赤色光及び赤外光が、赤色光/赤外光用光源から互いに異なる直線偏光光(例えば、赤色光はP偏光光、赤外光はS偏光光)として射出される。また、緑色光用光源から緑色光が射出され、青色光用光源から青色光が射出される。そして、偏光分離合成素子により、赤外光と、可視光となる赤色光、緑色光、及び青色光とのうち一方を透過し、他方を反射することで、赤外光と、可視光(赤色光、緑色光、及び青色光)とが分離される。例えば、可視光(赤色光、緑色光、及び青色光)を透過し、赤外光を反射することで分離される。そして、プリズムに入射した可視光は、プリズムにより、各色光(赤色光、緑色光、及び青色光)に分離される。分離された赤色光、緑色光、及び青色光は、反射型の赤色光用偏光変換素子、反射型の緑色光用偏光変換素子、及び反射型の青色光用偏光変換素子により、それぞれ、画像データに応じて偏光変換されて射出される。なお、偏光分離合成素子で分離(反射)された赤外光は、反射型の赤外光用偏光変換素子により、偏光変換(P偏光光)されて射出される。そして、各色光用偏光変換素子で偏光変換されて射出された赤色光、緑色光、及び青色光は、プリズムに入射して合成され、可視光の合成光として射出される。そして、偏光分離合成素子により、可視光の合成光と、偏光変換された赤外光とのうち一方を透過し、他方を反射することで、可視光の合成光と赤外光とが合成される。例えば、赤外光を透過し、可視光の合成光を反射することで合成される。そして、投写レンズにより、偏光分離合成素子で合成された可視光の合成光と赤外光とが投写面に投写される。
このような構成とすることにより、投写面に投写する可視光の光学系と、同じく投写面に投写する赤外光の光学系とを分けて構成する必要がなくなり、可視光と赤外光とを一体の光学系として構成し、同一の投写レンズから同一の投写面(投写領域)に投写させることができる。従って、インタラクティブ機能を備えたプロジェクターの大型化を抑制し、検出光としての赤外光を適切に投写領域に投写することができる。
【0015】
[適用例3]本適用例に係るプロジェクターは、投写面に可視光と赤外光とを投写するプロジェクターであって、可視光となる赤色光と緑色光と青色光とを合成するプリズムを備え、プリズムは、可視光が入射するそれぞれの側面に対して垂直方向となる側面から赤外光を入射させて、可視光に合成して射出することを特徴とする。
【0016】
本適用例のプロジェクターによれば、従来、プリズムとしてクロスダイクロイックプリズムである場合、内部には、例えば、赤色光反射用のダイクロイック膜と、青色光反射用のダイクロイック膜とが、平面視でX字状に配置される。そして、平面視でそれぞれ直交する面(側面)から、可視光の赤色光、緑色光、青色光がそれぞれ入射することで、赤色光、青色光がそれぞれの反射用ダイクロイック膜で反射され、各反射用ダイクロイック膜を透過した緑色光と合成されてプリズムから射出される。
このようなプリズムに対して、本適用例では、例えば、断面視で隣り合わない対向する交点を結ぶ様に、また、可視光の射出方向に合わせて、赤外光反射用のダイクロイック膜を配置することで、可視光が入射するそれぞれの側面に対して垂直方向となる側面から赤外光を入射させることにより、入射した赤外光は赤外光反射用のダイクロイック膜により反射されると共に、可視光と合成されてプリズムから射出される。
この構成により、1つのプリズムで可視光と赤外光とを合成して射出することができるため、複数のプリズムを用いる必要がなくなり光学系を小型化することができる。また、複数のプリズムを用いる場合に比べて、投写レンズのバックフォーカスを短くすることができる。これらにより、投写レンズの大型化を抑制し、投写レンズの性能低下等を抑制することができることで、フォーカスぼけや解像度の低下等、可視光による投写画像の品質低下を防止することができる。
【0017】
[適用例4]上記適用例2に係るプロジェクターにおいて、プリズムは、クロスダイクロイックプリズム、ギャップレスプリズム、及びフィリップスプリズムのいずれかを用いていることが好ましい。
【0018】
本適用例のプロジェクターによれば、分離と合成を行うプリズムとして、クロスダイクロイックプリズム、ギャップレスプリズム、及びフィリップスプリズムのいずれかを用いていることで、光学系の設計における自由度が増す。
【0019】
[適用例5]上記適用例2に係るプロジェクターにおいて、投写レンズの前段に設置される偏光板と、偏光板の前段に設置される赤外光の偏光を変換する位相差板と、を備えていることが好ましい。
【0020】
本適用例のプロジェクターによれば、例えば、偏光分離合成素子により透過した赤外光の偏光方向を、位相差板を用いることにより、偏光分離合成素子により反射された可視光の偏光方向に揃えることができる。そして、偏光方向が揃った赤外光と可視光とを偏光板により、偏光度を上げて投写レンズに入射させる。これにより、赤外光が偏光板に吸収されることを避けると共に、投写レンズから投写される投写画像のコントラストを高くすることができる。
【0021】
[適用例6]上記適用例1,2,4,5に係るプロジェクターにおいて、赤外光用偏光変換素子は、反射型の赤外光用液晶ライトバルブ、又は反射板を有する1/4波長板を含んで構成されていることが好ましい。
【0022】
本適用例のプロジェクターによれば、赤外光用偏光変換素子が、反射型の赤外光用液晶ライトバルブ、又は反射板を有する1/4波長板を含んで構成されることにより、偏光分離合成素子で例えば反射された赤外光の偏光(例えば、S偏光光)を変換して(例えば、P偏光光)射出させることができ、その後の偏光分離合成素子を透過させることができる。
【0023】
[適用例7]上記適用例3に係るプロジェクターにおいて、赤外光が入射するプリズムの側面に、透過型の赤外光用偏光変換素子を備えることが好ましい。
【0024】
本適用例のプロジェクターによれば、透過型の赤外光用偏光変換素子として、例えば、透過型の赤外光用液晶ライトバルブを備えることにより、入力される画像データに応じて赤外光を変調して射出し、プリズムに入射させることができる。また、透過型の赤外光用偏光変換素子として、例えば、透過型の1/2波長板を備えることにより、偏光方向を変えてプリズムに入射させることができる。
【0025】
[適用例8]上記適用例3,7に係るプロジェクターにおいて、赤外光を射出する光源は、放電式ランプ、発光ダイオード、半導体レーザー、エレクトロルミネッセンス素子のいずれかを用いていることが好ましい。
【0026】
本適用例のプロジェクターによれば、赤外光を射出する光源が、放電式ランプ、発光ダイオード、半導体レーザー、エレクトロルミネッセンス素子のいずれかを用いることにより、赤外光を容易に取り出すことができる。
【0027】
[適用例9]上記適用例のいずれかに係るプロジェクターにおいて、赤外光用偏光変換素子は、赤外光を画像データに応じて変調し、構造化光として射出することが好ましい。
【0028】
本適用例のプロジェクターによれば、赤外光用偏光変換素子により、赤外光が構造化光として射出されるため、インタラクティブ機能を実現する際、対象物の位置検出精度を向上させることができる。
【0029】
[適用例10]上記適用例のいずれかに係るプロジェクターにおいて、赤外光を構造化光として射出する遮光部を備えていることが好ましい。
【0030】
本適用例のプロジェクターによれば、遮光部として、例えば、パターンが形成された遮光膜を積層したガラス板等を用いることで、赤外光を構造化光として射出することができる。これにより、インタラクティブ機能を実現する際、対象物の位置検出精度を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明を行う。なお、各図面における構成要素は、図面上で認識可能な大きさとするために、構成要素毎に寸法や位置関係の縮尺を異ならせている。
【0033】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係るプロジェクターの光学系の構成を示す概略図である。
図2は、赤色光/赤外光用光源1を平面視した場合の構成を示す概略図である。なお、
図1では、各色光の概略の光路を色光毎に矢印で示している。
図1、
図2を参照してプロジェクターの光学系について説明する。
【0034】
図1に示すように、本実施形態のプロジェクターの光学系は、光源として赤色光R及び赤外光IRを射出する赤色光/赤外光用光源1と、緑色光Gを射出する緑色光用光源1Gと、青色光Bを射出する青色光用光源1Bと、を備えている。また、コリメート光学系2,3,4と、偏光分離合成素子5と、偏光素子6,7と、反射型の偏光変換素子として赤色光用偏光変換素子8R、緑色光用偏光変換素子8G、青色光用偏光変換素子8Bと、赤外光用偏光変換素子9と、プリズムとしてのクロスダイクロイックプリズム10と、投写レンズ11等とを備えて概略構成されている。なお、
図1では、赤色光用偏光変換素子8R及び赤外光用偏光変換素子9からクロスダイクロイックプリズム10までの光路長が長くなっているが、実際には、赤色光用偏光変換素子8R及び赤外光用偏光変換素子9からクロスダイクロイックプリズム10までの光路長は、緑色光G及び青色光Bの光路長と同程度となるように構成されている。
【0035】
本実施形態の赤色光/赤外光用光源1、緑色光用光源1G、及び青色光用光源1Bは、それぞれレーザーダイオードがアレイ状に構成されたLD(半導体レーザー)光源となっている。赤色光/赤外光用光源1は、詳細には、
図2に示すように、赤色光Rを射出する赤色光用レーザーダイオード1Rと、赤外光IRを射出する赤外光用レーザーダイオード1IRとが、列状で交互に配列されたアレイ状に構成されている。また、赤外光用レーザーダイオード1IRの向きは、赤色光用レーザーダイオード1Rの向きに対して90度回転させた状態で配置されている。この配置により、本実施形態の赤色光/赤外光用光源1からは、赤色光と赤外光とが互いに異なる直線偏光光として射出される。詳細には、赤色光RはP偏光光として射出され、赤外光IRは、S偏光光として射出される。
【0036】
赤色光/赤外光用光源1の後段には、詳細には、図示省略する集光光学系、光拡散板、及びコリメート光学系2が配置されている。なお、集光光学系は、図示省略する平行化レンズと集光レンズで構成される。平行化レンズは、赤色光/赤外光用光源1のアレイ状に構成された各LD光源に対応して配置されている。この平行化レンズにより、各LD光源から射出された光をそれぞれ略平行化する。集光レンズは、平行化レンズで射出された略平行化された光を光拡散板に向けて集光する。光拡散板は、集光された光を拡散することで拡散光を生成して射出する。コリメート光学系2は、光拡散板から射出された拡散光を略平行化して射出する。
【0037】
コリメート光学系2から射出された赤色光Rと赤外光IRとは、偏光分離合成素子5に入射する。偏光分離合成素子5は、入射する赤色光Rと赤外光IRとのうち一方を透過し、他方を反射することで、赤色光Rと赤外光IRとを分離する。本実施形態では、P偏光光の赤色光Rを透過し、S偏光光の赤外光IRを反射する。このように、偏光分離合成素子5により、赤色光Rと赤外光IRとが分離される。
【0038】
なお、本実施形態の偏光分離合成素子5は、ガラス基板上にアルミニウム等の金属からなる微細な複数の線状リブを互いに平行に微細なピッチで配列した、いわゆるワイヤーグリッド型の偏光素子で構成されている。偏光分離合成素子5は、線状リブの延在方向に対して垂直な偏光方向の偏光光(一方の偏光成分)を透過し、線状リブの延在方向に平行な偏光方向の偏光光(他方の偏光成分)を反射する。なお、偏光分離合成素子5としてフィルム多層積層型の偏光素子を用いることもできる。なお、偏光素子6,7も偏光分離合成素子5と同様に、ワイヤーグリッド型の偏光素子で構成されている。
【0039】
偏光分離合成素子5を透過した赤色光Rは、反射型の赤色光用偏光変換素子8Rに入射する。本実施形態の赤色光用偏光変換素子8Rは、液晶ライトバルブで構成されている。反射型の赤色光用偏光変換素子8Rに入射した赤色光Rは、液晶ライトバルブを駆動する画像データに応じて偏光変換されることにより、P偏光光からS偏光光に変換された成分が射出される。
【0040】
偏光分離合成素子5で反射した赤外光IRは、赤外光用偏光変換素子9に入射する。本実施形態の赤外光用偏光変換素子9は、反射ミラーと位相差板とで構成されている。位相差板は詳細には、1/4波長板で構成され、直線偏光と円偏光との間での変換を行う。赤外光用偏光変換素子9に入射した赤外光IRは、1/4波長板に入射し、反射ミラーで反射された後、再度1/4波長板から射出される。これにより、S偏光光の赤外光IRはP偏光光に変換されて射出される。
【0041】
そして、反射型の赤色光用偏光変換素子8Rから射出された赤色光Rと、赤外光用偏光変換素子9から射出された赤外光IRは、再び偏光分離合成素子5に入射する。偏光分離合成素子5では、入射した赤色光Rと赤外光IRとのうち一方を透過し、他方を反射することで、赤色光Rと赤外光IRとを合成して射出する。本実施形態では、P偏光光の赤外光IRを透過し、S偏光光の赤色光Rを反射する。このように、偏光分離合成素子5により、赤色光Rと赤外光IRとが合成される。
【0042】
偏光分離合成素子5で合成された赤色光Rと赤外光IRとは、クロスダイクロイックプリズム10の一方向の側面に入射する。
【0043】
光源としての緑色光用光源1Gの後段には、赤色光/赤外光用光源1の後段に配置したと同様に、図示省略する集光光学系、光拡散板、及びコリメート光学系3が配置されている。なお、集光光学系は、図示省略する平行化レンズと集光レンズで構成される。平行化レンズは、緑色光用光源1Gのアレイ状に構成された各LD光源に対応して配置されている。この平行化レンズにより、各LD光源から射出された光をそれぞれ略平行化する。集光レンズは、平行化レンズで射出された略平行化された光を光拡散板に向けて集光する。光拡散板は、集光された光を拡散することで拡散光を生成して射出する。コリメート光学系3は、光拡散板から射出された拡散光を略平行化して射出する。なお、射出された緑色光Gは、本実施形態ではS偏光光の偏光状態となっている。
【0044】
コリメート光学系3から射出されたS偏光光の緑色光Gは偏光素子6に入射する。なお、本実施形態の偏光素子6の線状リブの延在方向は、偏光分離合成素子5の線状リブの延在方向に直交する方向となっている。それにより、偏光素子6に入射したS偏光光の緑色光Gは偏光素子6を透過する。
【0045】
偏光素子6を透過した緑色光Gは、反射型の緑色光用偏光変換素子8Gに入射する。本実施形態の緑色光用偏光変換素子8Gは、液晶ライトバルブで構成されている。反射型の緑色光用偏光変換素子8Gに入射した緑色光Gは、液晶ライトバルブを駆動する画像データに応じて偏光変換されることにより、S偏光光からP偏光光に変換された成分が射出される。
【0046】
反射型の緑色光用偏光変換素子8Gから射出されたP偏光光の緑色光Gは、偏光素子6で反射されて、クロスダイクロイックプリズム10の赤色光Rと赤外光IRが入射した側面に平面視で直交する側面に入射する。
【0047】
光源としての青色光用光源1Bの後段には、赤色光/赤外光用光源1の後段に配置したと同様に、図示省略する集光光学系、光拡散板、及びコリメート光学系4が配置されている。なお、集光光学系は、図示省略する平行化レンズと集光レンズで構成される。平行化レンズは、青色光用光源1Bのアレイ状に構成された各LD光源に対応して配置されている。この平行化レンズにより、各LD光源から射出された光をそれぞれ略平行化する。集光レンズは、平行化レンズで射出された略平行化された光を光拡散板に向けて集光する。光拡散板は、集光された光を拡散することで拡散光を生成して射出する。コリメート光学系4は、光拡散板から射出された拡散光を略平行化して射出する。なお、射出された青色光Bは、本実施形態ではP偏光光の偏光状態となっている。
【0048】
コリメート光学系4から射出されたP偏光光の青色光Bは偏光素子7に入射する。なお、本実施形態の偏光素子7の線状リブの延在方向は、偏光分離合成素子5の線状リブの延在方向と同様の方向となっている。それにより、偏光素子7に入射したP偏光光の青色光Bは偏光素子7を透過する。
【0049】
偏光素子7を透過した青色光Bは、反射型の青色光用偏光変換素子8Bに入射する。本実施形態の青色光用偏光変換素子8Bは、液晶ライトバルブで構成されている。反射型の青色光用偏光変換素子8Bに入射した青色光Bは、液晶ライトバルブを駆動する画像データに応じて偏光変換されることにより、P偏光光からS偏光光に変換された成分が射出される。
【0050】
反射型の青色光用偏光変換素子8Bから射出されたS偏光光の青色光Bは、偏光素子7で反射されて、クロスダイクロイックプリズム10の緑色光Gが入射した側面に平面視で直交する側面に入射する。
【0051】
本実施形態のクロスダイクロイックプリズム10は、赤色光及び赤外光反射用のダイクロイック膜(緑色光G、青色光Bは透過する)と、青色光反射用のダイクロイック膜(赤色光R、赤外光IR、緑色光Gは透過する)とが、4つの直角プリズム(三角柱プリズム)を貼り合せた界面に沿って、平面視でX字状に配置された構成となっている。
【0052】
このクロスダイクロイックプリズム10により、入射した赤色光R及び赤外光IRは、赤色光及び赤外光反射用のダイクロイック膜により反射する。また、クロスダイクロイックプリズム10に入射した青色光Bは、青色光反射用のダイクロイック膜により反射する。また、クロスダイクロイックプリズム10に入射した緑色光Gは、赤色光及び赤外光反射用のダイクロイック膜、青色光反射用のダイクロイック膜を透過する。これにより、赤色光R及び赤外光IRと、青色光Bと、緑色光Gとが合成される。言い換えると、クロスダイクロイックプリズム10により、可視光と赤外光IRとが合成された合成光として射出される。
【0053】
クロスダイクロイックプリズム10から射出された合成光は投写レンズ11に入射する。合成光(可視光と赤外光IR)は投写レンズ11により、投写面に対して設定された投写領域に投写する。これにより、投写領域には可視光により画像が投写され、併せて同様の投写領域には赤外光IRが重畳して一様に投写される。
【0054】
なお、本実施形態のプロジェクターは、図示省略するCCDやCMOSセンサー等の撮像素子を搭載したカメラや赤外光カメラ、及び処理回路等を備えている。そして、プロジェクターから投写された検出光としての赤外光IRに対し、赤外光IRを反射する対象物を含む画像を撮像する。そして、撮像した画像を用いて対象物の位置を検出することができる。
【0055】
上述した第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)本実施形態のプロジェクターにおいて、光学系は、上述したように、赤色光/赤外光用光源1と、緑色光用光源1Gと、青色光用光源1Bと、偏光分離合成素子5と、反射型の赤色光用偏光変換素子8Rと、赤外光用偏光変換素子9と、プリズム(クロスダイクロイックプリズム10)と、投写レンズ11とを備えて構成されている。この光学系の動作により、投写面に投写する可視光の光学系と、同じく投写面に投写する赤外光IRの光学系とを分けて構成する必要がなくなり、可視光と赤外光IRとを一体の光学系として構成し、同一の投写レンズ11から同一の投写面(投写領域)に可視光と赤外光IRとを重畳させて投写させることができる。従って、インタラクティブ機能を備えたプロジェクターの大型化を抑制し、検出光としての赤外光IRを適切に投写領域に投写することができる。
【0056】
(2)本実施形態のプロジェクターにおいて、赤外光用偏光変換素子9が、反射板を有する1/4波長板を含んで構成されることにより、偏光分離合成素子5で反射された赤外光IRの偏光方向(S偏光光)を変えた偏光方向(P偏光光)として射出させることができ、その後の偏光分離合成素子5を透過させることができる。
【0057】
(3)本実施形態のプロジェクターにおいて、赤色光/赤外光用光源1により、赤色光Rと赤外光IRとの偏光方向を異ならせて射出すると共に、偏光分離合成素子5により、赤色光Rと赤外光IRとの分離及び合成を行っている。これにより、赤色光Rの利用効率を向上させている。また、赤色光Rと赤外光IRとの偏光方向を異ならせて射出する一体に構成される赤色光/赤外光用光源1を用いることにより、赤色光Rと赤外光IRとを別々に射出する光源を用いる必要が無く、光学系の構成を簡易化できる。
【0058】
(4)本実施形態のプロジェクターにおいて、クロスダイクロイックプリズム10に入射する赤色光R、緑色光G、青色光Bが、S偏光光、P偏光光、S偏光光として入射させることにより、クロスダイクロイックプリズム10における各色光の利用効率を向上させることができと共に、可視光による画像の画質低下を防止することができる。
【0059】
(5)本実施形態のプロジェクターによれば、可視光と赤外光IRとの光学系を一体の光学系とすることにより、可視光と赤外光IRとを重畳させて投写領域に投写することができる。そのため、従来の赤外光投写装置を用いる必要が無く、設置場所によるコントラスト不足の領域は発生しにくくなり、対象物の位置検出に対する投写領域とのコントラストを確保することができる。
【0060】
〔第2実施形態〕
図3は、第2実施形態に係るプロジェクターの光学系の構成を示す概略図である。なお、
図3では、各色光の概略の光路を色光毎に矢印で示している。
図3を参照してプロジェクターの光学系について説明する。なお、本実施形態の光学系は、第1実施形態の光学系と比べて、構成要素の配置等が異なっている。なお、
図3において、
図1と共通の構成要素には同一の符号を付記し、その構成要素についての詳細な説明は省略する。
【0061】
図3に示すように、本実施形態のプロジェクターの光学系は、光源として赤色光R及び赤外光IRを射出する赤色光/赤外光用光源1と、緑色光Gを射出する緑色光用光源1Gと、青色光Bを射出する青色光用光源1Bと、を備えている。また、クロスダイクロイックプリズム12と、コリメートレンズ13と、反射ミラー14と、インテグレーター光学系15と、偏光分離合成素子16と、集光レンズ17と、プリズムとしてのクロスダイクロイックプリズム18と、反射型の偏光変換素子として赤色光用偏光変換素子8R、緑色光用偏光変換素子8G、及び青色光用偏光変換素子8Bと、赤外光用偏光変換素子9と、投写レンズ11等とを備えて概略構成されている。
【0062】
本実施形態の光源としての赤色光/赤外光用光源1、緑色光用光源1G、及び青色光用光源1Bは、第1実施形態と同様に構成されている。赤色光/赤外光用光源1からは、赤色光RはP偏光光として射出され、赤外光IRはS偏光光として射出される。また、緑色光用光源1GからはP偏光光の緑色光Gが射出される。青色光用光源1BからはP偏光光の青色光Bが射出される。各光源から射出された各色光は、図示省略する集光光学系、光拡散板、コリメート光学系で集光、拡散、及び平行化されて、クロスダイクロイックプリズム12の側面に入射する。
【0063】
本実施形態のクロスダイクロイックプリズム12は、赤色光及び赤外光反射用のダイクロイック膜(緑色光G、青色光Bは透過する)と、青色光反射用のダイクロイック膜(赤色光R、赤外光IR、緑色光Gは透過する)とが、4つの直角プリズムを貼り合せた界面に沿って、平面視でX字状に配置された構成となっている。
【0064】
このクロスダイクロイックプリズム12により、入射した赤色光R及び赤外光IRは、赤色光及び赤外光反射用のダイクロイック膜により反射する。また、クロスダイクロイックプリズム12に入射した青色光Bは、青色光反射用のダイクロイック膜により反射する。また、クロスダイクロイックプリズム12に入射した緑色光Gは、赤色光及び赤外光反射用のダイクロイック膜、青色光反射用のダイクロイック膜を透過する。これにより、赤色光R及び赤外光IRと、青色光Bと、緑色光Gとが合成される。言い換えると、クロスダイクロイックプリズム12により、可視光と赤外光IRとが合成されて射出される。
【0065】
クロスダイクロイックプリズム12から射出された可視光と赤外光IRとは、コリメートレンズ13により、平行化されて、反射ミラー14に入射する。反射ミラー14に入射した可視光と赤外光IRとは、反射して反射ミラー14から射出される。
【0066】
反射ミラー14から射出された可視光と赤外光IRとは、インテグレーター光学系15に入射する。インテグレーター光学系15は、レンズアレイ151と重畳レンズ152等で構成されている。レンズアレイ151は、入射する光を複数の分割光に分割する。重畳レンズ152は、レンズアレイ151からの各分割光を集光して後述する反射型の各色光用の偏光変換素子の画像形成領域に重畳させる。これにより、インテグレーター光学系15は、画像形成領域における照度分布を均一にする。
【0067】
インテグレーター光学系15から射出された可視光と赤外光IRは、偏光分離合成素子16に入射する。なお、偏光分離合成素子16は、入射する可視光(赤色光R、緑色光G、及び青色光B)と赤外光IRとのうち一方を透過し、他方を反射することで、可視光(赤色光R、緑色光G、及び青色光B)と、赤外光IRとを分離する。本実施形態では、可視光(P偏光光の赤色光R、緑色光G、青色光B)は偏光分離合成素子16を透過し、赤外光IR(S偏光光)は偏光分離合成素子16で反射される。なお、本実施形態の偏光分離合成素子16は、第1実施形態の偏光分離合成素子5と同様に、ワイヤーグリッド型の偏光素子で構成されている。
【0068】
偏光分離合成素子16で分離(透過)された可視光(赤色光R、緑色光G、及び青色光B)は、集光レンズ17を透過して、クロスダイクロイックプリズム18に入射する。なお、集光レンズ17は、赤外光用偏光変換素子9に対して赤色光用偏光変換素子8R、緑色光用偏光変換素子8G、及び青色光用偏光変換素子8Bが遠くなるため、バックフォーカスを長くする目的で設置している。
【0069】
本実施形態のクロスダイクロイックプリズム18は、赤色光反射用のダイクロイック膜(緑色光G、青色光Bは透過する)と、青色光反射用のダイクロイック膜(赤色光R、緑色光Gは透過する)とが、4つの直角プリズムを貼り合せた界面に沿って、平面視でX字状に配置された構成となっている。
【0070】
このクロスダイクロイックプリズム18に入射した赤色光Rは、赤色光反射用のダイクロイック膜により反射する。また、クロスダイクロイックプリズム18に入射した青色光Bは、青色光反射用のダイクロイック膜により反射する。また、クロスダイクロイックプリズム18に入射した緑色光Gは、赤色光反射用のダイクロイック膜、青色光反射用のダイクロイック膜を透過する。これにより、可視光は、赤色光Rと、青色光Bと、緑色光Gとにそれぞれ分離されて、平面視で、可視光が入射した側面以外のそれぞれ直交する他の側面から各色光が射出される。
【0071】
赤色光Rが射出されたクロスダイクロイックプリズム18の側面に対向して、反射型の赤色光用偏光変換素子8Rが設置されている。同様に、緑色光Gが射出されたクロスダイクロイックプリズム18の側面に対向して、反射型の緑色光用偏光変換素子8Gが設置され、青色光Bが射出されたクロスダイクロイックプリズム18の側面に対向して、反射型の青色光用偏光変換素子8Bが設置されている。
【0072】
クロスダイクロイックプリズム18から射出した赤色光Rは、反射型の赤色光用偏光変換素子8Rに入射する。本実施形態の赤色光用偏光変換素子8Rは、液晶ライトバルブで構成されている。反射型の赤色光用偏光変換素子8Rに入射した赤色光Rは、液晶ライトバルブを駆動する画像データに応じて偏光変換されて射出される。画像データにより変換されたことにより、例えば、クロスダイクロイックプリズム18からP偏光光で赤色光用偏光変換素子8Rに射出した赤色光Rは画像データに応じて変換され、S偏光光に変換された成分がクロスダイクロイックプリズム18から偏光分離合成素子16へ射出される。
【0073】
クロスダイクロイックプリズム18から射出した緑色光Gと青色光Bも赤色光Rと同様に、反射型の緑色光用偏光変換素子8Gと、青色光用偏光変換素子8Bとに入射し、それぞれの液晶ライトバルブを駆動する画像データに応じて偏光変換されて射出される。画像データにより変換されたことにより、例えば、クロスダイクロイックプリズム18からP偏光光で緑色光用偏光変換素子8Gに射出した緑色光Gは画像データに応じて変換され、S偏光光に変換された成分がクロスダイクロイックプリズム18から偏光分離合成素子16へ射出される。また、クロスダイクロイックプリズム18からP偏光光で青色光用偏光変換素子8Bに射出した青色光Bは画像データに応じて変換され、S偏光光に変換された成分がクロスダイクロイックプリズム18から偏光分離合成素子16へ射出される。
【0074】
赤色光用偏光変換素子8Rから射出された赤色光Rは、再びクロスダイクロイックプリズム18に入射し、赤色光反射用のダイクロイック膜により反射する。青色光用偏光変換素子8Bから射出された青色光Bは、再びクロスダイクロイックプリズム18に入射し、青色光反射用のダイクロイック膜により反射する。また、緑色光用偏光変換素子8Gから射出された緑色光Gは、再びクロスダイクロイックプリズム18に入射し、赤色光反射用のダイクロイック膜、青色光反射用のダイクロイック膜を透過する。これにより、赤色光R、緑色光G、及び青色光Bは、クロスダイクロイックプリズム18により合成され、可視光の合成光として射出される。
【0075】
なお、インテグレーター光学系15を透過して、偏光分離合成素子16で分離(反射)された赤外光IRは、赤外光用偏光変換素子9に入射する。本実施形態の赤外光用偏光変換素子9は、第1実施形態と同様に、反射ミラーと位相差板とで構成されている。位相差板は詳細には、1/4波長板で構成されている。これにより、S偏光光の赤外光IRはP偏光光に変換されて赤外光用偏光変換素子9から射出される。そして、赤外光用偏光変換素子9から射出された赤外光IRは、偏光分離合成素子16に入射する。
【0076】
クロスダイクロイックプリズム18から射出された可視光の合成光は、集光レンズ17を透過して偏光分離合成素子16に入射する。また、赤外光用偏光変換素子9から射出された赤外光IRは、偏光分離合成素子16に入射する。
【0077】
なお、偏光分離合成素子16は、入射する可視光(赤色光R、緑色光G、及び青色光B)と赤外光IRとのうち一方を透過し、他方を反射することで、可視光(赤色光R、緑色光G、及び青色光B)と、赤外光IRとを合成する。本実施形態では、赤外光IR(P偏光光)は偏光分離合成素子16を透過し、可視光(S偏光光の赤色光R、緑色光G、青色光B)は偏光分離合成素子16で反射される。
【0078】
偏光分離合成素子16で合成された可視光と赤外光IRとの合成光は投写レンズ11に入射する。合成光(可視光と赤外光IR)は投写レンズ11により、投写面に対して設定された投写領域に投写する。これにより、投写領域には可視光により画像が投写され、併せて同様の投写領域には赤外光IRが一様に投写される。
【0079】
上述した第2実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)本実施形態のプロジェクターにおいて、光学系は、上述したように、赤色光/赤外光用光源1と、緑色光用光源1Gと、青色光用光源1Bと、偏光分離合成素子16と、プリズム(クロスダイクロイックプリズム18)と、反射型の赤色光用偏光変換素子8Rと、緑色光用偏光変換素子8Gと、青色光用偏光変換素子8Bと、赤外光用偏光変換素子9と、投写レンズ11とを備えて構成されている。この光学系の動作により、第1実施形態と同様に、投写面に投写する可視光の光学系と、同じく投写面に投写する赤外光IRの光学系とを分けて構成する必要がなくなり、可視光と赤外光IRとを一体の光学系として構成し、同一の投写レンズ11から投写面に投写させることができる。従って、インタラクティブ機能を備えたプロジェクターの大型化を抑制し、検出光としての赤外光IRを適切に投写領域に投写することができる。
【0080】
(2)本実施形態のプロジェクターにおいて、赤外光用偏光変換素子9が、反射板を有する1/4波長板を含んで構成されることにより、偏光分離合成素子16で反射された赤外光IRの偏光方向(S偏光光)を変えた偏光方向(P偏光光)として射出させることができ、その後の偏光分離合成素子16を透過させることができる。
【0081】
(3)本実施形態のプロジェクターにおいて、赤色光/赤外光用光源1により、赤色光Rと赤外光IRとの偏光方向を異ならせて射出すると共に、偏光分離合成素子16により、赤色光Rと赤外光IRとの分離及び合成を行っている。これにより、赤色光Rの利用効率を向上させている。また、赤色光Rと赤外光IRとの偏光方向を異ならせて射出する一体に構成される赤色光/赤外光用光源1を用いることにより、赤色光Rと赤外光IRとを別々に射出する光源を用いる必要が無く、光学系の構成を簡易化できる。
【0082】
(4)本実施形態のプロジェクターによれば、可視光と赤外光IRとの光学系を一体の光学系とすることにより、可視光と赤外光IRとを重畳させて投写領域に投写することができる。そのため、従来の赤外光投写装置を用いる必要が無く、設置場所によるコントラスト不足の領域は発生しにくくなり、対象物の位置検出に対する投写領域とのコントラストを確保することができる。
【0083】
<第2実施形態での第1変形例>
図4は、第2実施形態での第1変形例に係る光学系のプリズムの構成を示す概略図である。
図5は、第1変形例に係る光学系の他のプリズムの構成を示す概略図である。
図4、
図5は、詳細には、
図3におけるプリズムとしてのクロスダイクロイックプリズム18と同様の機能を有し、クロスダイクロイックプリズム18と置き換えることが可能なプリズムを示す図である。
図4、
図5を参照してプリズムの構成と動作に関して概略説明する。
【0084】
第2実施形態のクロスダイクロイックプリズム18は、入射する可視光を分離し、その後、分離した各色光を合成する機能を有している。その機能と同様の機能を有するプリズムとして、
図4では、いわゆるフィリップスプリズム18A(フィリップス方式のプリズム)を示している。また、
図5では、ギャップレスプリズム18B(ギャップレス方式のプリズム)を示している。また、
図4、
図5では、可視光が分離される概略の光路を色光毎に矢印で示している。
【0085】
フィリップスプリズム18Aにおいては、
図4に示すように、概略、所定の角度を有する3つの角柱を貼り合せた界面に沿ってダイクロイック膜を配置し、更にエアーギャップAGを備えた構成となっている。
【0086】
特定の入射/射出面18Aaから入射した可視光は、それぞれのダイクロイック膜で反射され、全反射面で全反射して青色光Bと、赤色光Rとに分離される。また、入射/射出面18Aaから入射した可視光は、各ダイクロイック膜を透過することにより緑色光Gが分離される。そして、分離された各色光は、フィリップスプリズム18Aの所定の各側面から射出される。
【0087】
なお、各色光が射出される各側面に対向し、各色光に対応した反射型の偏光変換素子(8R,8G,8B)が設置される。そして、各側面から射出された各色光は、反射型の各偏光変換素子(8R,8G,8B)に入射して、偏光変換されて射出される。各偏光変換素子(8R,8G,8B)から射出された各色光は、分離されたときの光路とは逆の光路を進むことにより、入射/射出面18Aaから各色光が合成された合成光として射出される。
このように構成されるフィリップスプリズム18Aを、クロスダイクロイックプリズム18と置き換えて使用することができる。
【0088】
ギャップレスプリズム18Bは、
図5に示すように、上述したフィリップスプリズム18AからエアーギャップAGを無くした方式のプリズムである。特定の入射/射出面18Baから入射した可視光は、ダイクロイック膜で反射されて、更に全反射する赤色光Rと、ダイクロイック膜で反射されるのみの青色光Bとに分離される。また、入射/射出面18Baから入射した可視光は、各ダイクロイック膜を透過することにより緑色光Gが分離される。そして、分離された各色光は、ギャップレスプリズム18Bの所定の各側面から射出される。
【0089】
なお、各色光が射出される各側面に対向し、各色光に対応した反射型の偏光変換素子(8R,8G,8B)が設置される。そして、各側面から射出された各色光は、反射型の各偏光変換素子(8R,8G,8B)に入射して、偏光変換されて射出される。各偏光変換素子(8R,8G,8B)から射出された各色光は、分離されたときの光路とは逆の光路を進むことにより、入射/射出面18Baから各色光が合成された合成光として射出される。
このように構成されるギャップレスプリズム18Bを、クロスダイクロイックプリズム18と置き換えて使用することができる。
【0090】
<第2実施形態での第2変形例>
図6は、第2実施形態での第2変形例に係る光学系の構成を示す概略図である。
図6は詳細には、
図3に示す光学系の偏光分離合成素子16から投写レンズ11に至る領域を取り出して図示している。
図6を参照して偏光分離合成素子16から投写レンズ11に至る光学系を主に説明する。
【0091】
本変形例は、
図3に示す第2実施形態の光学系において、偏光分離合成素子16と投写レンズ11との間に、位相差板19と偏光板20とを追加した構成となっている。詳細には、投写レンズ11の前段に偏光板20が設置され、偏光板20の前段に位相差板19が設置される。なお、位相差板19は、赤外光IRに対して1/2波長板となる波長選択性の位相差板で構成されている。
【0092】
この光学系の構成によれば、赤外光用偏光変換素子9から射出されて偏光分離合成素子16を透過した赤外光IRの偏光方向を、位相差板19を用いることにより、偏光分離合成素子16により反射された可視光(赤色光R、緑色光G、及び青色光B)の偏光方向に揃えることができる。そして、偏光方向が揃った赤外光IRと可視光とを偏光板20により、偏光度を上げて投写レンズ11に入射させる。この光学系により、赤外光IRが偏光板20に吸収されることを避けると共に、投写レンズ11から投写される投写画像のコントラストを高くすることができる。
【0093】
〔第3実施形態〕
図7は、第3実施形態に係るプロジェクターの光学系の構成を示す概略平面図である。
図8は、プロジェクターの光学系の構成を示す概略断面図である。なお、
図7、
図8では、プリズムとしてのクロスダイクロイックプリズム23を中心に光学系の概構成を図示している。また、
図8は、
図7におけるA−A断面図である。
図7、
図8を参照してプロジェクターの光学系を説明する。なお、
図7、
図8において、
図1、
図3と共通の構成要素には同一の符号を付記し、その構成要素についての詳細な説明は省略する。
【0094】
本実施形態のプロジェクターの光学系は、第1、第2実施形態のプロジェクターの光学系とは異なり、赤色光/赤外光用光源1を色光毎の光源で構成している。詳細には、赤色光Rを射出する赤色光用光源30Rと、赤外光IRを射出する赤外光用光源30IRとで構成されている。また、光学系は、緑色光Gを射出する緑色光用光源1Gと、青色光Bを射出する青色光用光源1Bと、を備えている。これらの光源30R,1G,1B,30IRは、レーザーダイオードで構成されている。また、光学系は、図示省略する集光光学系、光拡散板、及びコリメート光学系21と、透過型の赤色光用偏光変換素子22R、緑色光用偏光変換素子22G、青色光用偏光変換素子22B、及び透過型の赤外光用偏光変換素子22IRと、プリズムとしてのクロスダイクロイックプリズム23と、投写レンズ11とを備えている。なお、各色光用の偏光変換素子22R,22G,22B,22IRは、各色光用の液晶ライトバルブで構成されている。
【0095】
本実施形態では、
図7に示すように、クロスダイクロイックプリズム23において、可視光が入射するそれぞれの側面に対して、
図8に示すように、垂直方向となる側面(本実施形態では上方向)から赤外光IRを入射させて、可視光に合成して射出する構成となっている。
【0096】
本実施形態のクロスダイクロイックプリズム23は、
図7に示すように、赤色光反射用のダイクロイック膜23r(緑色光G、青色光Bは透過する)と、青色光反射用のダイクロイック膜23b(赤色光R、赤外光IR、緑色光Gは透過する)とが、
図7に示すように、外観上、4つの直角プリズム(三角柱プリズム)を貼り合せた界面に沿って、平面視でX字状に配置された構成となっている。
【0097】
更に、本実施形態のクロスダイクロイックプリズム23は、
図8に示すように、赤外光反射用のダイクロイック膜23ir(赤色光R、緑色光G、青色光Bは透過する)が、外観上、2つの直角プリズム(三角柱プリズム)を貼り合せた界面に沿って、断面視で対角状に配置された構成となっている。詳細には、赤外光反射用のダイクロイック膜23irは、断面視で隣り合わない対向する交点を結ぶ様に、また、可視光の射出方向に合わせて配置されている。従って、クロスダイクロイックプリズム23は、実際には、8つのプリズムを貼り合せた構造となっている。
【0098】
上述した第3実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)本実施形態のプロジェクターにおいて、プリズム(クロスダイクロイックプリズム23)は、可視光が入射するそれぞれの側面に対して垂直方向となる側面から赤外光IRを入射させて、可視光に合成して射出する。そのため、断面視で隣り合わない対向する交点を結ぶように、また、可視光の射出方向に合わせて、赤外光反射用のダイクロイック膜を配置することで、可視光が入射するそれぞれの側面に対して垂直方向となる側面から赤外光IRを入射させることにより、入射した赤外光IRは赤外光反射用のダイクロイック膜により反射されると共に、可視光と合成されてクロスダイクロイックプリズム23から射出される。
この構成により、1つのプリズム(クロスダイクロイックプリズム23)で可視光と赤外光IRとを合成して射出することができるため、複数のプリズムを用いる必要がなくなり光学系を小型化することができる。また、複数のプリズムを用いる場合に比べて、投写レンズ11のバックフォーカスを短くすることができる。これらにより、投写レンズ11の大型化を抑制し、投写レンズ11の性能低下等を抑制することができることで、フォーカスぼけや解像度の低下等、可視光による投写画像の品質低下を防止することができる。
【0099】
(2)本実施形態のプロジェクターにおいて、赤外光用偏光変換素子22IRとして透過型の赤外光用液晶ライトバルブを用いている。これにより、赤外光IRを画像データに応じて変調する構造化光として射出することができる。このように、赤外光IRを構造化光として射出することで、意図するパターン画像等を構造化光として投写させることができるため、インタラクティブ機能を実現する際、対象物の位置検出精度を向上させることができる。
【0100】
なお、上述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更や改良等を加えて実施することが可能である。変形例を以下に述べる。
【0101】
(1)上記、第1、第2実施形態のプロジェクターの光学系において、赤外光用偏光変換素子9は、反射板を有する1/4波長板を含んで構成されている。しかし、これに限られず、反射型の赤外光用液晶ライトバルブで構成されていてもよい。なお、この場合、赤外光用液晶ライトバルブは、一様の明るさで投写可能な画像データにより駆動されることでよい。この構成でも、例えば、偏光分離合成素子5,16で反射された赤外光IRの偏光方向を変えた偏光方向として射出させることができ、その後の偏光分離合成素子5,16を透過させることができる。
【0102】
(2)上記、第3実施形態のプロジェクターの光学系において、赤外光用偏光変換素子22IRは、透過型の赤外光用液晶ライトバルブで構成されている。しかし、赤外光用偏光変換素子は用いずに、コリメート光学系21を透過した赤外光IRをそのままクロスダイクロイックプリズム23に入射させて、ダイクロイック膜23irで反射させることでもよい。
【0103】
(3)上記、第3実施形態のプロジェクターの光学系において、赤外光IRは、垂直方向となる側面として上方向から赤外光IRを入射させて、可視光に合成して射出する構成となっている。しかし、これに限られず、赤外光IRは、垂直方向となる側面として、下方向から赤外光IRを入射させてもよい。
【0104】
(4)上記、第3実施形態のプロジェクターの光学系において、赤外光IRを射出する光源(赤外光用光源30IR)として半導体レーザーを用いているが、その他に、LED、EL(エレクトロルミネッセンス)素子等の固体光源を用いることもできる。また、放電式ランプ(特に、キセノンランプ、ハロゲンランプ)を用いることもできる。これらの光源のいずれかを用いることにより、赤外光IRを容易に取り出すことができる。
【0105】
(5)上記、第1、第2実施形態の赤外光用偏光変換素子9として赤外光用液晶ライトバルブ等を用いることで、赤外光IRを画像データに応じて変調する構造化光として射出することでもよい。このような構成によれば、赤外光IRが構造化光として射出されるため、意図するパターン画像等を構造化光として投写させることができるため、インタラクティブ機能を実現する際、対象物の位置検出精度を向上させることができる。これは、第3実施形態の透過型の赤外光用偏光変換素子22IRとして赤外光用液晶ライトバルブ等を用いる場合にも同様のことが言える。
【0106】
(6)上記、第1、第2実施形態の赤外光用偏光変換素子9として赤外光用液晶ライトバルブ等を用いる場合、赤外光用液晶ライトバルブを2枚使用した構成とすることでもよい。その場合、波長域が互いに異なる2つの赤外光IRに分離するダイクロイックミラー等の構成を備えることでよい。この構成とすることにより、分離された赤外光IRは対応する赤外光用液晶ライトバルブで変調され、それぞれ異なる赤外光IRの画像を構造化光として射出することができる。
【0107】
(7)上記、第1実施形態の赤外光用偏光変換素子9として反射板と1/4波長板を用いる場合、赤外光用偏光変換素子9と偏光分離合成素子5との間に、赤外光を構造化光として射出する遮光部を備えた構成としてもよい。なお、遮光部として、意図するパターンが形成された遮光膜を積層したガラス板等を用いることで、赤外光IRを構造化光として射出することができる。このような構成とすることにより、インタラクティブ機能を実現する際、対象物の位置検出精度を向上させることができる。同様に、第2実施形態の赤外光用偏光変換素子9と偏光分離合成素子16との間に、赤外光IRを構造化光として射出する遮光部を備える構成としても、同様の効果を奏することができる。また、第3実施形態の赤外光用偏光変換素子22IRとして1/2波長板を用いる場合、赤外光用偏光変換素子22IRとクロスダイクロイックプリズム23との間に、赤外光IRを構造化光として射出する遮光部を備える構成としても、同様の効果を奏することができる。
【0108】
(8)上記、第3実施形態の光学系において、独立した赤外光用光源30IRを用いる場合、駆動電圧を上げることで、赤外光用光源30IRから射出される赤外光IRの高輝度化を図ることができ、対象物と投写領域とのコントラストを大きくすることが容易となり、対象物の位置検出精度を更に向上させることができる。なお、第1、第2実施形態の赤色光/赤外光用光源1において、列状に配置される赤外光IRを射出する赤外光用レーザーダイオード1IRの駆動電圧を、赤色光を射出する赤色光用レーザーダイオード1Rの駆動電圧と独立して駆動できる場合には、赤外光用レーザーダイオード1IRの駆動電圧を上げて赤外光IRの高輝度化を図ることができる。この構成によると、対象物と投写領域とのコントラストを大きくすることが容易となり、対象物の位置検出精度を更に向上させることができる。
【0109】
(9)上記、第1実施形態の光学系において、赤色光R、緑色光G、青色光Bは、投写レンズ11に、S偏光光、P偏光光、S偏光光として入射する。しかし、これには限定されず、赤色光R、緑色光G、青色光Bが、P偏光光、S偏光光、P偏光光として入射させてもよいし、P偏光光、P偏光光、P偏光光として入射させてもよい。これらにより、クロスダイクロイックプリズム10における光合成時の光利用効率を向上することができる。なお、各色光の偏光の組み合わせは、光学設計により適宜選択することでよい。