(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第一幅領域には内包部材が載置されるとともに前記第一幅領域よりも幅方向外側の第二幅領域には前記内包部材が載置されていない帯状の連続体を張架しつつ搬送する搬送機構と、
前記連続体において前記第一幅領域に対して前記第二幅領域を折り立てて前記内包部材を前記連続体で被包する被包機構と、
前記連続体に対して前記内包部材が載置される側とは反対側に前記連続体を吸引する吸引機構と、を備え、
前記吸引機構は、
前記被包機構よりも搬送方向上流側であって前記被包機構による前記第二幅領域の折り立てにともなって捲り上がる方向へ付勢される上流領域において、前記第一幅領域よりも前記第二幅領域に対する吸引力が小さく設定され、
前記搬送機構によって前記連続体が前記被包機構を搬送される被包領域において、前記第一幅領域よりも前記第二幅領域に対する吸引力が小さく設定された
被包装置。
前記連続体のうち少なくとも前記第二幅領域は、目付量が8〜18[gsm]であり、通気度が0.02〜10[kPa・s/m]であり、幅方向の寸法が20〜40[mm]であり、
前記吸引機構は、前記上流領域の前記第二幅領域に対する吸引力が0〜1.0[kPa]である
請求項1〜3の何れか1項に記載された被包装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態では、帯状の連続体で内包部材を被包する装置を説明する。ここでは、吸収性物品の製造装置に用いられた被包装置を例示する。
吸収性物品とは、着用者に装着され、着用者から排泄される尿や経血といった液体を吸収し保持する衛生用品である。この吸収性物品としては、テープ型やパンツ型の紙おむつ(いわゆる「使い捨ておむつ」),尿パッド,生理用ナプキン,パンティーライナーなどが挙げられる。以下の実施形態では、吸収性物品として紙おむつを例示する。
【0010】
本実施形態で説明に用いる方向については、下記のように定義する。
紙おむつにおいては、着用者の腹部に対向して配置される前身頃と背部に対向して配置される後身頃とを結ぶ方向を長手方向とする。これらの前身頃と後身頃との間には、着用者の股下に配置(股間に対向して配置)される股下部が位置する。また、紙おむつが着用者に装着された状態(以下「装着状態」と略称する)において、着用者の肌に向かう側(装着状態で内側)を肌面側とし、肌面側の反対側(装着状態で外側)を非肌面側とする。さらに、肌面側と非肌面側とを結ぶ方向を厚み方向とし、長手方向および厚み方向の何れにも直交する方向を幅方向とする。
【0011】
また、製造装置においては、吸収体を構成する資材の搬送方向を基準に上流および下流を定める。さらに、搬送方向と資材の厚み方向との双方に直交する方向を幅方向とする。なお、鉛直方向を基準に上下を定め、鉛直方向に直交する方向を水平方向とする。ここでは、搬送方向が水平であって、搬送方向および幅方向に直交する方向(基準方向)が鉛直方向の被包装置を主に説明する。
そのほか、特に断らない限り「数値X〜数値Y」なる表記は、「数値X以上であって数値Y以下である」ことを意味する。
【0012】
[I.一実施形態]
[1.構成]
以下、製造装置の製造対象である紙おむつの構成を述べ、その後に、製造装置の構成を述べる。
[1−1.紙おむつ]
図1に示すように、紙おむつ1には吸収体10が内蔵され、この吸収体10に対して種々のシート2,3,4,5が重ね合わせられている。
【0013】
〈吸収体〉
吸収体10は、吸水性部材である。この吸収体10は、コアラップシート(以下「ラップシート」と略称する)11で吸収体コア(以下「コア」と略称する)12が被包されている。
ラップシート11には、ティシュペーパや親水性の不織布などのシート状部材が用いられる。
【0014】
コア12には、粉砕あるいは解繊されたパルプ繊維(繊維材料)に高吸水性樹脂(混合剤)が混合されたマット状部材が用いられている。
なお、パルプ繊維に加えてまたは替えて、レーヨン繊維やコットン繊維といった他の繊維材料を用いてもよい。また、高吸水性樹脂に加えてまたは替えて、消臭剤や芳香剤といった他の混合剤を用いてもよい。
【0015】
〈シート〉
上記した吸収体10に対して、肌面側にはセンターシート2およびサイドシート3が積層され、非肌面側にはバックシート4およびカバーシート5が積層されている。
センターシート2は、水分を透過させて吸収体10に吸収させるため、透水性をもつ。また、センターシート2は、紙おむつ1において最も肌面側に配置される(このことから「トップシート」とも称される)。このセンターシート2は、吸収体10よりも幅方向寸法が大きく、肌面側から吸収体10を被覆する。
【0016】
サイドシート3は、吸収体10よりも肌面側において幅方向側方への液漏れを防ぐため、非透水性をもつ。このサイドシート3は、紙おむつ1において最も肌面側に配置される(このことからセンターシート2と同様に「トップシート」とも称される)。
また、バックシート4は、吸収体10から非肌面側への液漏れを防ぐため、非透水性をもつ。
【0017】
カバーシート5は、上記した吸収体10およびシート2,3,4を非肌面側から被覆する。このカバーシート5は、バックシート4を補強するとともに触感(たとえば手触り)を向上させるために設けられ、紙おむつ1において最も非肌面側に配置される。なお、カバーシート5は、単層構造に限らず、インナカバーシートおよびアウターカバーシートを有する多層構造であってもよい。
【0018】
〈ギャザー〉
そのほか、紙おむつ1には、装着状態における着用者への追従性を高めるため、立体ギャザー6,レッグギャザー7,ウエストギャザー8といった種々のギャザーが設けられている。これらのギャザー6,7,8では、糸ゴムや伸縮フィルムといった伸縮性部材によってサイドシート3やカバーシート5などが皺寄せられる。
【0019】
[1−2.製造装置]
つぎに、
図2を参照して、紙おむつ1の製造装置20を説明する。
製造装置20では、吸収体10の半製品(以下「中間体」という)を被包することによって製造する工程をはじめ、シート2,3,4,5の積層やギャザー6,7,8の形成といったさまざまな工程が実施される。ここでは、製造装置20のうち、吸収体10の中間体を製造する被包ユニット21(被包装置)を詳述する。
【0020】
被包ユニット21は、ラップシート11に対応するシート中間体11′(連続体)と、コア12に対応するマット中間体12′(内包部材)とを被包資材として用いる。この被包ユニット21では、シート中間体11′に対してマット中間体12′が載置されており、シート中間体11′でマット中間体12′が被包されることによって中間体が製造される。図示省略するが、製造された中間体は、所定のサイズに分断され、ラップシート11でコア12が被包された吸収体10として紙おむつ1に内蔵される。
【0021】
シート中間体11′よりもマット中間体12′のほうが厚く(厚み寸法が大きく)、これらの中間体11′,12′は、何れも搬送方向に延在する帯状をなす。
ただし、マット中間体12′として、搬送方向に沿って断続的に配置されるマット中間体を用いてもよいし、幅方向に沿って断続的に配置されるマット中間体を用いてもよい。言い換えれば、互いに搬送方向や幅方向に離間させた状態のマット中間体がシート中間体11′に載置されてもよい。
【0022】
この被包ユニット21には、マット中間体12′の載置されたシート中間体11′を搬送する搬送機構30が設けられている。また、シート中間体11′を折り立ててマット中間体12′を被包する被包機構40が設けられている。そのうえ、搬送機構30によって搬送されるシート中間体11′を吸引する吸引機構50が設けられている。
以下、搬送機構30,被包機構40,吸引機構50の順に各構成を述べる。
【0023】
〈搬送機構〉
搬送機構30は、シート中間体11′を搬送するコンベヤである。この搬送機構30は、シート中間体11′に対して搬送方向に沿う張力(いわゆる「ドロー」)を印加(張架)しつつ搬送する。
このように搬送されるシート中間体11′の上方には、マット中間体12′が載せられている。具体的には、
図3に示すように、シート中間体11′の幅方向において、中央領域R
C(第一幅領域)にマット中間体12′が載置されている。逆に言えば、シート中間体11′の中央領域R
Cよりも幅方向外側の端縁領域R
S(第二幅領域)には、マット中間体12′が載置されていない。
【0024】
ここでは、以下に示すパラメータ1〜3のシート中間体11′が用いられている。
・パラメータ1:「目付量」8〜18[gsm]
・パラメータ2:「通気度」0.02〜10[kPa・s/m]
・パラメータ3:「端縁領域R
Sにおける幅方向の寸法」20〜40[mm]
【0025】
「目付量」とは、不織布の厚みあるいは積層度合いに対応するパラメータであり、単位面積あたりの重量で表される。ここでは、一平米あたりのグラム数を「目付量」とする。
「通気度」とは、シート中間体11′の通気性に対応するパラメータである。ここで用いる「通気度」は、シート中間体11′の厚み方向に空気が流れるときの抵抗であり、通気度(通気抵抗)が小さいほど通気性が高くなる。なお、ここでいう「通気度」は、カトーテック製AUTOMATIC AIR−PERMEABILITY TESTER KES−F8−AP1(通気性試験機)によって測定された通気抵抗(kPa・s/m)である。
【0026】
ここでは、上記したパラメータ1,2に示すように、皺やヨレの発生しやすい薄さであって通気性の高いシート中間体11′が用いられている。このシート中間体11′としては、SMS(Spunbound Meltblown Spunbound)不織布やSMMS(Spunbound Meltblown Meltblown Spunbound)不織布のようにメルトブローン層を含ませることにより、柔軟性を高めたスパンボンド不織布を用いることが好ましい。あるいは、シート中間体11′として、スパンボンド不織布をなす繊維の繊度や目付量が抑えられることにより、柔軟性を向上させたスパンボンド不織布を用いることが好ましい。このように、種々のスパンボンド不織布をシート中間体11′に用いることができる。そのほか、通気性を高める観点からは、いわゆるエアスルー不織布を用いることが好ましい。
なお、上記したパラメータ1,2は、シート中間体11′のうち少なくとも端縁領域R
Sのパラメータであり、中央領域R
Cは上記したパラメータ1,2に限定されるものではない。
【0027】
「端縁領域R
Sにおける幅方向の寸法」は、中央領域R
Cに対して片側(幅方向一方)だけの幅方向に沿った長さである。この長さは、シート中間体11′のうちマット中間体12′に対して幅方向に延出した寸法であり、折り立てられる部分(いわば「折り代」)の幅寸法とも言える。
【0028】
搬送機構30には、
図2に示すように、上流領域R
Uに上流搬送機構31(第一搬送機構)が設けられ、下流領域R
D(被包領域)に下流搬送機構32(第二搬送機構)が設けられている。上流搬送機構31では、コンベヤロール31rに巻き掛けられたコンベヤベルト31bが搬送方向に沿って移動する。同様に、下流搬送機構32では、コンベヤロール32rに巻き掛けられたコンベヤベルト32bが搬送方向に沿って移動する。
【0029】
これらのコンベヤベルト31b,32b上には、シート中間体11′の搬送経路が設定される。コンベヤベルト31b,32bの移動に伴ってシート中間体11′が搬送され、このシート中間体11′に載置されたマット中間体12′も搬送される。
さらに、コンベヤベルト31b,32bは、シート中間体11′を下方(コンベヤベルト31b,32bで囲まれる空間内)へ吸引可能に構成されている。たとえば、コンベヤベルト31b,32bが通気性材料から構成される。あるいは、幅方向(
図2では紙面手前側と紙面奥側とを結ぶ方向)に間隔をあけて並設されたコンベヤベルト31b,32bが用いられる。
【0030】
〈被包機構〉
被包機構40は、シート中間体11′の中央領域R
Cに対して端縁領域R
Sを折り立てて、シート中間体11′でマット中間体12′を包み込む機構である。
ここでは、
下流搬送機構32と搬送方向位置が重畳して配置された被包機構40を例示する。そのため、下流領域R
Dに搬送されたシート中間体11′の中央領域R
Cに対して端縁領域R
Sが折り立てられる。
【0031】
以下の説明では、シート中間体11′のうち、下流領域R
Dかつ中央領域R
Cを下流中央領域R
DCとも呼び、下流領域R
Dかつ端縁領域R
Sを下流端縁領域R
DSとも呼ぶ。同様に、シート中間体11′のうち、上流領域R
Uかつ中央領域R
Cを上流中央領域R
UCとも呼び、上流領域R
Uかつ端縁領域R
Sを上流端縁領域R
USとも呼ぶ。
【0032】
ところで、折り立てられるシート中間体の下側(マット中間体が載置される側とは反対側)だけが案内されるだけでは、上方へばたつくことでシート中間体への皺やヨレの発生を招くおそれがある。
そこで、本実施形態の被包機構40には、シート中間体11′に対して二方向から折り立てを案内する二種のロール41,45が設けられている。
【0033】
この被包機構40には、シート中間体11′の下流端縁領域R
DSを折り立てる円筒状のロール41,45が搬送方向に沿って並設されている。
ロール41,45のうち上流側に配置された一方は、下流端縁領域R
DSの幅方向外側(第二側)に対して周面42から張力を印加する上流ロール41(第二ロール,第二部材)である。他方は、下流端縁領域R
DSの幅方向内側(第一側)に対して周面46から張力を印加する下流ロール45(第一ロール,第一部材)である。
【0034】
敷衍して言えば、上流ロール41からは、シート中間体11′に対してマット中間体12′が載置される側とは反対側からシート中間体11′へ張力が印加される。反対に、下流ロール45からは、シート中間体11′に対してマット中間体12′が載置される側からシート中間体11′へ張力が印加される。
これらのロール41,45は、シート中間体11′の折り立てを協働して案内することから、「案内機構」と言える。また、ロール41,45は、折り立てられるシート中間体11′に対して協働して張力を印加することから、「張力印加機構」とも言える。
【0035】
ここでは、
図4に示すように、上流ロール41の周面42におけるシート中間体11′への当接箇所(第二箇所)43と下流ロール45の周面46におけるシート中間体11′への当接箇所(第一箇所)47とを結ぶ方向が搬送方向と交差している。具体的には、二種の当接箇所43,47を結ぶ方向は、当接箇所43,47よりも上流側で搬送方向と交差する。
【0036】
すなわち、前者の当接箇所43よりも後者の当接箇所47のほうが下流側であって幅方向外側に位置するように、ロール41,45が配置される。
言い換えれば、二種のロール41,45によって折り立てられているシート中間体11′の下流端縁領域R
DSは、上流側が幅方向内側に凸であって下流側が幅方向外側に凸のS字状をなす。
【0037】
また、
図5に示すように、鉛直方向に対してわずかに傾斜して各ロール41,45が設けられている。詳細に言えば、上流ロール41の軸心C
Uは、鉛直方向に対して上流側に向けて2〜7[°]だけ傾斜して配向される。また、下流ロール45の軸心C
Dは、鉛直方向に対して上流側に向けて2〜10[°]だけ傾斜して配向される。
さらに、ロール41,45どうしの搬送方向間隔が35〜50[mm]に設定されている。ここでいう「搬送方向間隔」とは、ロール41,45の軸心C
U,C
Dどうしの軸心間距離を意味する。
【0038】
上記したロール41,45によってシート中間体11′の下流端縁領域R
DSが折り立てられると、この折り立てにともなって上流端縁領域R
USにまで上方(捲り上がる方向)へ付勢される領域(以下「上流領域」という)が延びる。上流領域は、ロール41,45によって折り立てられる領域(以下「被包領域」という)よりも上流側の領域であり、上流端縁領域R
USと重複する。
厳密に言えば、下流端縁領域R
DSのうちロール41,45よりも上流側の領域の一部は被包領域に含まれる。ただし、以下の説明では、上流端縁領域R
USを上流領域と見做すとともに下流端縁領域R
DSを被包領域と見做して、端縁領域
RSの捲り上がりに関する領域を簡明に区分する。
【0039】
上記したロール41,45に加えて、被包機構40には、下流中央領域R
DCにおけるシート中間体11′に載置されたマット中間体12′を押さえる押さえロール49(押さえ部)が設けられている。すなわち、上面視で下流中央領域R
DC内に重複するように、押さえロール49が配置されている。また、押さえロール49は、シート中間体11′に対してマット中間体12′が載置される側とは反対側(ここでは下側)に向けてマット中間体12′を押さえる。
【0040】
押さえロール49は、搬送されるシート中間体11′に載置されたマット中間体12′を下方(下流搬送機構32のコンベヤベルト32bへ向かう方向)へ押さえる押圧部材である。
図5には、幅方向に沿う軸心C
Pをもつ三つ(複数)の円板部材が互いに間隔をあけて並設された押さえロール49を例示する。
この押さえロール49は、ロール41,45よりも上流側に配置されている。ここでいう「上流側に配置されている」とは、押さえロール49の軸心C
Pがロール41,45よりも上流側に位置することを意味する。
【0041】
そのほか、ロール41,45,49は、中間体11′,12′の搬送速度に応じて回転可能に設けられている。ロール41,45,49の回転方式としては、中間体11′,12′との摩擦によって連れ回される自由回転方式を採用することができる。あるいは、コンベヤベルト31b,32bの搬送速度に応じた回転速度で駆動される駆動回転方式も採用可能である。
【0042】
〈吸引機構〉
つぎに、
図2を参照して、吸引機構50について説明する。
吸引機構50は、シート中間体11′を下方(マット中間体12′が載置される側とは反対側,すなわち、コンベヤベルト31b,32bへ向かう側)に吸引するサクション機構である。吸引機構50によって吸引されたシート中間体11′は、コンベヤベルト31b,32bに向けて付勢される。
【0043】
この吸引機構50は、搬送機構31,32のそれぞれにおいてコンベヤベルト31b,32bで囲まれる空間内に設けられている。具体的には、上流搬送機構31に上流吸引機構51(第一吸引機構)が付設され、下流搬送機構32に下流吸引機構52(第二吸引機構)が付設される。
これらの吸引機構51,52によれば、コンベヤベルト31b,32bが通気性材料から構成されている場合には、コンベヤベルト31b,32bを上方から下方に透過させた空気が吸引(吸気)される。また、吸引機構51,52は、コンベヤベルト31b,32bが幅方向に間隔をあけて並設されている場合には、その間隔を通じて吸気される。
【0044】
上記した吸引機構50によってシート中間体11′をコンベヤベルト31b,32bの上面(搬送面)へ付勢することで、シート中間体11′の安定搬送を図っている。そのため、シート中間体11′を安定して搬送させる観点からは、吸引機構50による吸引力は大きいほど好ましい。
ところが、吸引機構50によるシート中間体11′の吸引力を一律に増大させると、被包機構40によるシート中間体11′の折り立て方向と吸引方向とが反対向きであることから、シート中間体11′の折り立て性の低下を招くおそれがある。
【0045】
また、搬送方向に沿う複数の領域ごとに吸引力の大小を調節しただけでは、小さい吸引力の設定された領域ではシート中間体11′の不安定な搬送を招くおそれがある。
そこで、本実施形態の吸引機構50では、シート中間体11′において幅方向に沿って並ぶ領域ごとに吸引力の大小が調節されている。具体的には、下記の表1に示すように吸引機構50による吸引力が設定されている。
【0047】
以下、上記の表1を参照して、シート中間体11′の領域ごとに設定された吸引力の大小を説明する。
シート中間体11′の幅方向に着目すると、シート中間体11′の折り立て性を確保しつつ搬送の安定性を確保する観点から、上流領域R
Uおよび下流領域R
Dの双方において、中央領域R
Cよりも端縁領域R
Sのほうが小さい。すなわち、中央領域R
Cに大きな吸引力を設定することで、シート中間体11′の安定した搬送を確保しつつ、端縁領域R
Sに抑えられた吸引力を設定することで、シート中間体11′の折り立て性を確保している。
【0048】
シート中間体11′の搬送方向に着目すると、上述したようにシート中間体11′の安定搬送を図るため、中央領域R
Cについては、上流領域R
Uおよび下流領域R
Dの双方において吸引力が大きく設定されている。
一方、端縁領域R
Sについては、上流領域R
Uのほうが下流領域R
Dよりも吸引力が小さく設定されている。たとえば、上流端縁領域R
USの吸引力は0〜1.0[k
Pa]に設定され、下流端縁領域R
DSの吸引力は0〜1.5[k
Pa]に設定される。
【0049】
このように下流端縁領域R
DSよりも上流端縁領域R
USの吸引力が小さくされた設定は、被包機構40によるシート中間体11′の折り立てにともなって捲り上がりはじめる箇所(上流端縁領域R
US)を強く吸引すると、皺やヨレの発生を招くおそれがあり、立ち上がり難くなるという知見に基づいてなされている。そのため、シート中間体11′に対する折り立て性の確保を重視する場合には、上流端縁領域R
USで吸引しないことが好ましく、下流端縁領域R
DSで吸引しないことが更に好ましい。
【0050】
[2.作用および効果]
本実施形態は、上述したように構成される。
以下、吸引機構50による作用および効果を述べ、その後に、ロール41,45による作用および効果を述べる。
【0051】
[2−1.吸引機構]
(1)シート中間体11′に対する吸引機構50の吸引力は、上流中央領域R
UCよりも上流端縁領域R
USのほうが小さく設定される。このことから、被包機構40によるシート中間体11′の折り立てにともなって捲り上がりはじめる上流端縁領域R
USに対する吸引力が抑えられる。そのため、上流端縁領域R
USにおける皺やヨレの発生を抑えることができ、上流端縁領域R
USの円滑な立ち上がりに寄与する。よって、シート中間体11′によるマット中間体12′の被包性を高めることができる。
【0052】
(2)また、下流中央領域R
DCよりも下流端縁領域R
DSの吸引力が小さく設定される。このようにして、被包機構40によるシート中間体11′の折り立てに対抗する吸引力が抑えられる。この点からも、シート中間体11′による被包性を高めることができる。
【0053】
(3)さらに、下流端縁領域R
DSよりも上流端縁領域R
USの吸引力が小さく設定される。このように吸引力の大小を調節することで、シート中間体11′の折り立て時に皺やヨレの発生しやすい上流端縁領域R
USの吸引力を確実に抑え、シート中間体11′によるマット中間体12′の被包性を確実に向上させることができる。
(4)特に、上流端縁領域R
USに対する吸引力がゼロに設定される場合には、上流端縁領域R
USは吸引されない。そのため、搬送機構30によって搬送されるシート中間体11′に印加された張力によって、上流端縁領域R
USの立ち上がりを促すことができる。この点からも、シート中間体11′による被包性を更に高めることができる。そのうえ、
上流端縁領域R
USへの
上流吸引機構5
1の配設を省略が可能であり、装置コストの低減に寄与する。
【0054】
(5)吸引機構50による吸引対象として、通気性は確保されるものの皺やヨレの発生しやすいパラメータ1,2のシート中間体11′を採用する場合であっても、上流端縁領域R
USに対する吸引機構50の吸引力を0〜1.0[k
Pa]に設定することにより、シート中間体11′による被包性を確保することができる。また、下流端縁領域R
DSに対する吸引機構50の吸引力を0〜1.5[k
Pa]に設定することにより、シート中間体11′による被包性を更に確保することができる。
【0055】
(6)そのほか、吸引機構50によって吸引されるシート中間体11′に対応するラップシート11によって、マット中間体12′に対応するコア12が被包された吸収体10が紙おむつ1に用いられる。そのため、皺やヨレのないラップシート11でコア12が被包された吸収体10を製造することができる。
【0056】
[2−2.ロール]
(1)被包機構40には、シート中間体11′の下流端縁領域R
DSに対して、幅方向外側から張力を印加する上流ロール41だけでなく、幅方向内側から張力を印加する下流ロール45が設けられる。そのため、上流ロール41で折り立てられた下流端縁領域R
DSに皺やヨレが発生したとしても、かかる皺やヨレを下流ロール45で延ばすことで解消することができる。よって、シート中間体11′によるマット中間体12′の被包性を高めることができる。
【0057】
(2)さらに、シート中間体11′に対する上流ロール41の当接箇所43と下流ロール45の当接箇所47とを結ぶ方向が搬送方向と交差し、前者の当接箇所43よりも後者の当接箇所47のほうが下流側の幅方向外側に位置する。そのため、シート中間体11′の下流端縁領域R
DSの上流側が幅方向内側に凸であって下流側が幅方向外側に凸のS字状をなす姿勢に付勢され、ロール41,45によって下流端縁領域R
DSに張力を確実に印加することができる。よって、シート中間体11′による被包性を向上させることができる。
【0058】
(3)被包機構40には、ロール41,45の上流側にマット中間体12′の押さえロール49が設けられているため、マット中間体12′の載置されたシート中間体11′も押さえられる。そのため、ロール41,45によるシート中間体11′の折り立てによってシート中間体11′やマット中間体12′の搬送軌道が逸脱することが抑えられ、シート中間体11′による被包性を向上させることができる。
【0059】
(4)特に、鉛直方向に対して上流側に2〜7[°]傾斜した配向の上流ロール41と鉛直方向に対して上流側に2〜10[°]傾斜した配向の下流ロール45とを用いることにより、シート中間体11′による被包性を確実に向上させることができる。また、ロール41,45どうしの搬送方向間隔が35〜50[mm]に設定することによっても、シート中間体11′による被包性を確実に向上させることができる。
【0060】
(5)被包機構40による被包対象として、通気性は確保されるものの皺やヨレの発生しやすいパラメータ1,2のシート中間体11′を採用する場合であっても、ロール41,45によって幅方向内側および幅方向外側の双方から張力を印加しつつ折り立てることにより、シート中間体11′による被包性を向上させることができる。
【0061】
(6)そのほか、ロール41,45で折り立てられるシート中間体11′に対応するラップシート11によって、マット中間体12′に対応するコア12が被包された吸収体10が紙おむつ1に用いられる。そのため、皺やヨレのないラップシート11でコア12が被包された吸収体10を製造することができる。
【0062】
[II.その他]
上述した実施形態はあくまでも例示に過ぎず、この実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせることもできる。
【0063】
たとえば、被包機構でシート中間体を折り立てるロールに替えてまたは加えて、シート中間体に対して摺接する部材を用いてもよい。この摺接部材としては、シート中間体に対して円滑に摺接するのであれば、丸棒状や半円柱状などのさまざまな形状をなす部材を用いることができる。更に言えば、シート中間体を折り立てるロールに替えてまたは加えて、幅方向外側(第二側)から吸引する吸引装置(第二部材)と幅方向内側(第一側)から吸引する吸引装置(第一部材)とを用いてもよい。
【0064】
また、被包装置で被包されることにより製造される物は、紙おむつの吸収体に限らず、内側の部材(内包部材)が外側の部材(連続体)で被包された物であればよい。
さらに、搬送方向は、水平方向に限らず、周囲の構成や要求仕様等に応じて種々の配向に設定することができる。たとえば、上流搬送機構における搬送方向は水平方向であり、下流搬送機構における搬送方向が下流に向かうにつれて上方に延びる斜め上向きであってもよい。
【0065】
そのほか、上流搬送機構と下流搬送機構との間に中間体を押圧するプレスロールが設けられていてもよい。
なお、搬送機構のベルトコンベヤに替えて、ローラコンベヤやスラットコンベヤなどの通気性が確保されたさまざまなコンベヤを用いることもできる。