(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
A.第1実施形態:
A−1:消耗品消費システムの構成:
図1は、本発明の第1実施形態としての消耗品消費システム10の概略図である。
図2は、サブタンクと供給用ポンプと補給用ポンプの接続状態を説明するための図であり、サブタンクの空気圧の制御図である。
図2では理解の容易のために、消耗品消費装置30が備える複数のスロット90を破線で模式的に示している。
【0022】
消耗品消費システム10(
図1)は、メインタンク20と消耗品消費装置30とサブタンク40とを備える。メインタンク20は、消耗品消費装置30の筐体の外側に配置されている。消耗品消費装置30は、用紙などの媒体に消耗品の一例であるインクを噴射することによって記録(印刷)を行うインクジェット式のプリンターである。
【0023】
メインタンク20は、利用者によって新たなメインタンク20に交換可能に構成されている。メインタンク20は、スロット(サブタンク装着部)90に装着されたサブタンク40に補給する消耗品としてのインクを収容する。4つのメインタンク20を収容する消耗品の属性(色)に応じて区別して用いる場合は、符号「20C」,「20M」,「20Y」、「20K」を用いる。本実施形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)のインクが、それぞれ異なるメインタンク20C〜20Kに収容されている。メインタンク20Cは、シアンのインクを収容している。メインタンク20Mは、マゼンタのインクを収容している。メインタンク20Yは、イエローのインクを収容している。メインタンク20Kは、ブラックのインクを収容している。メインタンク20は、後述するサブタンク40よりも多くの量の消耗品を収容できる。メインタンク20に収容されている消耗品は、例えば沈降成分(顔料)を有するインクである。メインタンク20は、容器本体22と、容器本体22に収容されたメイン消耗品収容部23とを有する。メイン消耗品収容部23は、可撓性を有する袋体であり、消耗品が消費されるに従って容積が減少する。
【0024】
メインタンク20は、後述するサブタンクセット72C〜72K(
図2)ごとに1つずつ設けられ、サブタンクセット72C〜72Kを構成する複数のサブタンク40に並列に連通する。メインタンク20はサブタンク40に供給するための消耗品を収容する。
【0025】
メインタンク20(
図1)は、タンク配置部25に配置される。詳細には、タンク配置部25の底壁26にメインタンク20が配置される。底壁26から上方に立ち上がるメインタンクレバー27を、支点28を中心として矢印R1の方向に回動させることで、メインタンク20の消耗品供給部が外部に露出する。メインタンク20の消耗品供給部は、メイン消耗品収容部23の消耗品を後述する消耗品消費装置30の接続部材に供給するための部分である。利用者は、メインタンクレバー27を矢印R1の方向に回動させて開いた後に、メインタンク20の消耗品供給部から消耗品消費装置30の接続部材を取り外す。そして、取り外したメインタンク20を持ち上げてタンク配置部25から取り外し、その後に新たなメインタンク20をタンク配置部25の底壁26に配置する。そして、新たなメインタンク20の消耗品供給部と消耗品消費装置30の接続部とを接続した後に、メインタンクレバー27を矢印R1とは反対の方向に回動させることで閉じる。これにより、利用者は新たなメインタンク20に交換できる。
【0026】
サブタンク40は、消耗品消費装置30(詳細には後述する放出部60)に消耗品を供給する。サブタンク40は、ケース42、ケース42に収容された消耗品収容部44、回路基板402などを備える。サブタンク40は、メインタンク20C〜20Kごとに2つずつ設けられている。つまりサブタンク40は、消耗品の属性(本実施形態では色)ごとに2つずつ設けられている。サブタンク40は消耗品消費装置30の後述する各スロット90に着脱可能に取り付けることができる。またサブタンク40は、構成が同じ他の消耗品消費装置30(つまり同じ機種の他の消耗品消費装置30)の各スロット90にも着脱可能に取り付けることができる。以上のように、サブタンク40は、複数のスロット90について共通して着脱できるように互換性を有する。サブタンク40の詳細については後述する。
【0027】
図1では、複数のサブタンク40のうちで、シアンの消耗品を収容するメインタンク20Cから消耗品が補給された2つのサブタンク40C1,40C2を図示している。2つのサブタンク40C1,40C2の他に、
図2に示すように、サブタンク40M1,40M2,40Y1,40Y2,40K1,40K2が各スロット90に着脱可能に装着される。2つのサブタンク40M1,40M2は、マゼンタの消耗品を収容するメインタンク20Mから消耗品が補給される。2つのサブタンク40Y1、40Y2は、イエローの消耗品を収容するメインタンク20Yから消耗品が補給される。2つのサブタンク40K1,40K2は、ブラックの消耗品を収容するメインタンク20Kから消耗品が補給される。複数のサブタンク40C1〜40K2を区別することなく用いる場合は「サブタンク40」を用いる。属性が同じ消耗品を収容する2つのサブタンク40のうちで、一方のサブタンク40を第1サブタンク40aとも呼び、他方のサブタンク40を第2サブタンク40bとも呼ぶ。サブタンク40の詳細は後述する。
【0028】
消耗品消費装置30は、外表面を形成する外殻31と、制御部32と、放出部60と、表示部34と、複数のスロット90と、を備える。制御部32は、外殻31の内部に配置され、消耗品消費装置30の動作を制御する。制御部32の詳細については後述する。
【0029】
複数のスロット90はそれぞれ、サブタンク40が着脱可能に取り付けられるサブタンク装着部を形成する。複数のスロット90は、属性(本実施形態では色)が異なる消耗品を収容するメインタンク20ごとに2つずつ設けられている。つまり、複数のスロット90は、1種類の消耗品ごと(シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインク)に2つずつ設けられている。
【0030】
複数のスロット90はそれぞれ、流路接続部715と、電気接点部902と、中継基板904とを備える。流路接続部715は、中空の針状部材であり、サブタンク40に接続される。流路接続部715は、メインタンク20および放出部60が有する後述する噴射口63と連通する。これにより、サブタンク40は、メインタンク20から消耗品が補充されたり、放出部60に消耗品を供給したりできる。電気接点部902は、サブタンク40の回路基板402と接触することで回路基板402に電気的に接続される導電性部材である。電気接点部902は、9つ(
図2は2つのみ図示)設けられている。中継基板904は、電気接点部902と制御部32とに電気的に接続されている。中継基板904は、不揮発性メモリーなどの記憶部を備え、この記憶部には各スロット90を識別するための情報(例えば、スロット識別子)が記憶されている。
【0031】
ここで、メインタンク20Cと連通する流路接続部715を有するスロット90をスロット90Cとも呼び、2つのスロット90Cの一方をスロット90C1、他方をスロット90C2とも呼ぶ(
図2)。メインタンク20Mと連通する流路接続部715を有するスロット90をスロット90Mとも呼び、2つのスロット90Mの一方をスロット90M1、他方をスロット90M2とも呼ぶ。メインタンク20Yと連通する流路接続部715を有するスロット90をスロット90Yとも呼び、2つのスロット90Yの一方をスロット90Y1、他方をスロット90Y2とも呼ぶ。メインタンク20Kと連通する流路接続部715を有するスロット90をスロット90Kとも呼び、2つのスロット90Kの一方をスロット90K1、他方をスロット90K2とも呼ぶ。
【0032】
2つのスロット90C1,90C2が有するそれぞれの流路接続部715は、シアンの消耗品を放出する噴射口63と並列に連通する。2つのスロット90M1,90M2が有するそれぞれの流路接続部715は、マゼンタの消耗品を放出する噴射口63と並列に連通する。2つのスロット90Y1,90Y2が有するそれぞれの流路接続部715は、イエローの消耗品を放出する噴射口63と並列に連通する。2つのスロット90K1,90K2が有するそれぞれの流路接続部715は、ブラックの消耗品を放出する噴射口63と並列に連通する。
【0033】
放出部60は、駆動機構(図示せず)によって、所定方向(
図1のX方向)に沿って往復移動する印刷ヘッドである。放出部60は、消耗品(本実施形態ではインク)を媒体に向けて放出(噴射)するノズル列61を有する。ノズル列61は4つ設けられている。4つのノズル列61を区別して用いる場合は、符号「61C」,「61M」,「61Y」,「61K」を用いる。各ノズル列61C〜61Kは複数の噴射口63を有する。ノズル列61Cは、2つのサブタンク40C1,40C2の一方から供給されたシアンインクを噴射する。ノズル列61Mは、2つのサブタンク40M1,40M2の一方から供給されたマゼンタインクを噴射する。ノズル列61Yは、2つのサブタンク40Y1,40Y2の一方から供給されたイエローインクを噴射する。ノズル列61Kは、2つのサブタンク40K1,40K2の一方から供給されたブラックインクを噴射する。インクを媒体上に噴射して記録(印刷)を行う際には、放出部60がX方向に沿って往復移動すると共に、媒体が搬送機構(図示せず)によって外殻31内部をX方向と直交する+Y方向に沿って移動する。なお、他の実施形態では、放出部60は往復移動することなく位置が固定されたラインヘッドであってもよい。
【0034】
以上のように、放出部60は複数種類(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの色)の消耗品を媒体に噴射するための複数種類の噴射口63を有する。複数種類の噴射口63は、各ノズル列61C〜61Kに形成され、異なる属性の消耗品を噴射する。
【0035】
表示部34は、利用者が視認可能な位置に配置されている。表示部34は、例えば、外殻31の上面や前面に配置された液晶モニターである。表示部34は、制御部32や利用者からの要求に応じてメッセージなどの消耗品消費システム10に関する情報を表示する。
【0036】
消耗品消費装置30は、さらに、メインタンク20のメイン消耗品収容部23と、対応するサブタンク40の消耗品収容部44とを連通させる第1補給用流路71および第2補給用流路74と、消耗品収容部44と放出部60とを連通させる第1供給用流路77、第2供給用流路78、および合流供給用流路79とを備える。第1補給用流路71と第2補給用流路74とは接続流路75から分岐している。
【0037】
各流路71,74,75,77,78,79はそれぞれ、4つのメインタンク20C〜20Kに対応して4つずつ設けられている。なお、
図1にはメインタンク20Cに対応して設けられた流路71,74,75,77,78,79のみを図示しているが、他のメインタンク20M,20Y,20Kに対応して設けられた流路71,74,77,78,79も同様の構成を有する。
【0038】
接続流路75は、一端部にメインタンク20の液体供給部と着脱可能に接続される接続部(図示せず)を有する。接続流路75の他端部は第1補給用流路71と第2補給用流路74とに分岐する。
【0039】
第1補給用流路71は、接続流路75を介してメインタンク20のメイン消耗品収容部23と第1サブタンク40aの消耗品収容部44とを連通させる。第1補給用流路71の一端部は、スロット90に設けられた流路接続部715に接続されている。第1補給用流路71は、メインタンク20の消耗品を第1サブタンク40aに補給するための流路である。第1補給用流路71の途中には、第1開閉弁81と第1補給用弁82とが配置されている。第1開閉弁81は、外殻31の外側に配置され、利用者によって操作できる。第1開閉弁81は、第1補給用流路71を開閉する。例えば、利用者はメインタンク20を交換する際には、第1開閉弁81を閉じた後にメインタンク20を第1補給用流路71から取り外し、新たなメインタンク20を第1補給用流路71に接続した後に第1開閉弁81を開く。また、第1開閉弁81は、動作制御部322の指示に応じても開閉できる。第1補給用弁82は、動作制御部322の指示に応じて開閉し、第1補給用流路71を開閉する。
【0040】
第2補給用流路74は、接続流路75を介してメインタンク20のメイン消耗品収容部23と第2サブタンク40bの消耗品収容部44とを連通させる。第2補給用流路74の一端部は、スロット90に設けられた流路接続部715に接続されている。第2補給用流路74は、メインタンク20の液体を第2サブタンク40bに補給するための流路である。第2補給用流路74の途中には、第2開閉弁84と第2補給用弁85とが配置されている。第2開閉弁84は、外殻31の外側に配置され、利用者によって操作される。例えば、利用者はメインタンク20を交換する際には、第2開閉弁84を閉じた後にメインタンク20を第2補給用流路74から取り外し、新たなメインタンク20を第2補給用流路74に接続した後に第2開閉弁84を開く。また、第2開閉弁84は、動作制御部322の指示に応じても開閉できる。第2補給用弁85は、動作制御部322の指示に応じて開閉し、第2補給用流路74を開閉する。
【0041】
第1供給用流路77は、第1補給用流路71のうちで第1補給用弁82と第1開閉弁81との間の部分に接続された流路である。第1供給用流路77の途中には、第1供給弁83が配置されている。第1供給弁83は、制御部32の指示に応じて開閉する。
【0042】
第2供給用流路78は、第2補給用流路74のうちで第2補給用弁85と第2開閉弁84との間の部分に接続された流路である。第2供給用流路78の途中には、第2供給弁86が配置されている。第2供給弁86は、制御部32の指示に応じて開閉する。
【0043】
合流供給用流路79は、第1供給用流路77と第2供給用流路78とが合流する流路である。合流供給用流路79は、放出部60(詳細には、対応するノズル列61)と連通する。
【0044】
メインタンク20から第1サブタンク40aに消耗品を補給する場合は、第1開閉弁81が開状態、第1供給弁83が閉状態、第1補給用弁82が開状態となる。この弁の開閉状態を第1補給可能状態と呼ぶ。これにより、メインタンク20から第1補給用流路71を経由した第1サブタンク40aへの消耗品の補給が可能となる。メインタンク20から第2サブタンク40bに消耗品を補給する場合は、第2開閉弁84が開状態、第2供給弁86が閉状態、第2補給用弁85が開状態となる。この弁の開閉状態を第2補給可能状態と呼ぶ。これにより、メインタンク20から第2補給用流路74を経由した第2サブタンク40bへの消耗品の補給が可能となる。
【0045】
第1サブタンク40aから放出部60へ消耗品を供給する場合は、第1開閉弁81が閉状態、第1補給用弁82が開状態、第1供給弁83が開状態となる。この弁の開閉状態を第1供給可能状態と呼ぶ。これにより、第1サブタンク40aから第1補給用流路71の一部と第1供給用流路77と合流供給用流路79とを経由した第1サブタンク40aから放出部60への消耗品の供給が可能となる。第2サブタンク40bから放出部60への液体を供給する場合は、第2開閉弁84が閉状態、第2補給用弁85が開状態、第2供給弁86が開状態となる。この弁の開閉状態を第2供給可能状態と呼ぶ。これにより、第2サブタンク40bから第2補給用流路74の一部と第2供給用流路78と合流供給用流路79とを経由した第2サブタンク40bから放出部60への消耗品の供給が可能となる。
【0046】
第1補給用流路71と第1供給用流路77との第1接続部分には、第1流路圧センサー88が配置されている。第1流路圧センサー88は、第1接続部分の流路圧を検出し、検出結果を制御部32に送信する。第2補給用流路74と第2供給用流路78との第2接続部分には、第2流路圧センサー89が配置されている。第2流路圧センサー89は、第2接続部分の流路圧を検出し、検出結果を制御部32に送信する。
【0047】
補給用ポンプ52(
図2)は、メインタンク20からサブタンク40へと消耗品を補給するために、補給対象のサブタンク40のケース42内を予め定めた減圧状態とする。また、補給用ポンプ52と各サブタンク40とを連通させる流路の途中にはそれぞれ補給用開閉弁523〜530が配置されている。補給用開閉弁523〜530は制御部32によって制御される。また、補給用ポンプ52と補給用開閉弁523〜530との間に位置する流路から分岐する流路580が設けられている。この流路580は大気と連通する。流路580の途中には、制御部32によって制御される大気開放弁53が配置されている。
【0048】
供給用ポンプ54は、サブタンク40から放出部60に消耗品を供給するために、供給元のサブタンク40のケース42内を予め定めた圧力まで加圧状態するために用いられる。また、供給用ポンプ54と各サブタンク40とを連通させる流路の途中にはそれぞれ供給用開閉弁543〜550が配置されている。供給用開閉弁543〜550は制御部32によって制御される。また、供給用開閉弁543〜550と供給用ポンプ54との間に位置する流路から分岐する流路581が設けられている。この流路581は大気と連通する。流路581の途中には、制御部32によって制御される開閉弁55が配置されている。開閉弁55は、原則として消耗品消費装置30の電源がOFFの時のみ開状態となる。
【0049】
図3〜
図5を用いて制御部32の詳細について説明する。
図3は、制御部32の内部ブロック図である。
図4は、識別子テーブル332を示す図である。
図5は、補給テーブル334を示す図である。
【0050】
制御部32(
図3)は、CPU321と、RAM328と、ROM329と、本体側記憶部331とを有する。CPU321は、ROM329が記憶する各種プログラムをRAM328に展開して実行することで奏する機能として、動作制御部322を備える。
【0051】
動作制御部322は、メインタンク20からサブタンク40への消耗品の補給や、サブタンク40から放出部60への消耗品の供給などを制御する。例えば、動作制御部322は、複数のサブタンクセット72のそれぞれ(本実施形態では2つ)のサブタンク40a,40bを、噴射口63に消耗品を供給可能な状態の供給側サブタンク40B(
図2)と、メインタンク20からの消耗品を補給可能な状態の補給側サブタンク40A(
図2)とに切り替える。予め定めたタイミングにおいて、補給側サブタンク40Aは供給側サブタンク40Bに切り替えられ、切り替え前の供給側サブタンク40Bは補給側サブタンク40Aに切り替えられる。ここで、サブタンクセット72が有する複数(本実施形態では2つ)のサブタンク40において、切り替えが実行されるまでの期間において一つのサブタンク40(例えば、第1サブタンク40a)が消耗品を噴射口63に供給している間は、残りのサブタンク40(例えば、第2サブタンク40b)は消耗品を噴射口63に供給しないよう制御される。
【0052】
また動作制御部322は、スロット90に装着されたサブタンク40に関連する動作を制御する。例えば、動作制御部322は、サブタンク40が複数のスロット90の一つに初めて装着されたときに、装着されたサブタンク40の回路基板402(詳細にはサブタンク側記憶部)に消耗品情報を記憶させる。消耗品情報とは、メインタンク20から補給される消耗品の属性(種類)に関する情報であり、本実施形態ではインク色を表す情報である。サブタンク40に記憶された消耗品情報をサブタンク側消耗品情報ともよぶ。また消耗品情報は、複数のスロット90毎に紐付けられて識別子テーブル332に本体側消耗品情報として記憶されている。例えば、スロット90Cに紐付けられた消耗品情報は「シアン」であり、スロット90Mに紐付けられた消耗品情報は「マゼンタ」であり、スロット90Yに紐付けられた消耗品情報は「イエロー」であり、スロット90Kに紐付けられた消耗品情報は「ブラック」である。
【0053】
本体側記憶部331(
図3)は、データの書き換えが可能なメモリーであり、本実施形態では例えばフラッシュメモリーを用いている。本体側記憶部331は、識別子テーブル332と、補給テーブル334とを備える。
【0054】
識別子テーブル332(
図4)は、スロット識別子領域と、本体側消耗品情報領域と、本体側識別子領域とを有する。スロット識別子領域には、消耗品消費装置30が備える複数のスロット90を識別するための固有のスロット識別子が記憶されている。スロット90C1には「SC1a」、スロット90C2には「SC2a」、スロット90M1には「SM1a」、スロット90M2には「SM2a」、スロット90Y1には「SY1a」、スロット90Y2には「SY2a」、スロット90K1には「SK1a」、スロット90K2には「SK2a」のスロット識別子が割り当てられている。スロット識別子は、同じ構成(機種)の他の消耗品消費装置30の各スロットにおいても固有のスロット識別子が割り当てられる。例えば、他の消耗品消費装置30において、スロット90C1には「SC1b」、スロット90C2には「SC2b」、スロット90M1には「SM1b」、スロット90M2には「SM2b」、スロット90Y1には「SY1b」、スロット90Y2には「SY2b」、スロット90K1には「SK1b」、スロット90K2には「SK2b」のスロット識別子が割り当てられている。
【0055】
本体側消耗品情報領域には、各スロット識別子に紐付けた状態で本体側消耗品情報が記憶されている。本体側識別子領域は、スロット90に初めて装着されたサブタンク40が有するサブタンク側識別子を本体側識別子として各スロット識別子に紐付けた状態で記憶する領域である。
【0056】
補給テーブル334(
図5)は、スロット識別子領域と、補給量領域と、消費量領域と、消耗品残量領域と、加圧回数領域と、減圧回数領域とを有する。スロット識別子領域には、識別子テーブル332のスロット識別子領域と同じ情報(スロット識別子)が記憶されている。補給量領域は、後述する1回の補給処理によってメインタンク20からサブタンク40に補給された消耗品の補給量情報を各スロット識別子に紐付けた状態で記憶する領域である。補給量情報は、補給処理が実行されるごとに最新のデータに更新される。消耗品残量領域は、サブタンク40の消耗品残量情報を各スロット識別子に紐付けた状態で記憶する領域である。消耗品残量は、あるサブタンク40が装着されたスロット90における、補給量情報と消費量情報(スロット90に装着されたサブタンク40から放出部60に供給された消耗品量情報)とに基づいて制御部32が算出する。各スロット識別子に紐付けられた消耗品残量情報は、スロット識別子ごとに予め定めた消耗品の消費量ごと(例えば、2mlごと)に更新される。消耗品の消費量は、スロット90に装着されたサブタンク40が供給側サブタンク40Bとして機能していたときの放出部60から噴射されるドットをカウントして、ドット毎に消費される量とカウント数に基づいて制御部32が推定する。
【0057】
加圧回数領域は、各スロット識別子に紐付けた状態で、スロット90に装着されたサブタンク40に対して実行された加圧状態の回数情報を記憶する領域である。減圧回数領域は、各スロット識別子に紐付けた状態で、スロット90に装着されたサブタンク40に対して実行された減圧状態の回数情報を記憶する領域である。
【0058】
補給量情報と、消費量情報と、消耗品残量情報と、加圧回数情報と、減圧回数情報は、サブタンク関連情報を構成する。加圧回数と減圧回数の合計値が予め定めた閾値に到達した場合に、制御部32は閾値に到達したスロット90に装着されているサブタンク40について寿命がきたと判定する。そして制御部32は、寿命がきたと判定したサブタンク40を新たなサブタンク40に交換することを促す情報を表示部34に表示する。
【0059】
なお、本実施形態では、識別子テーブル332と補給テーブル334とが別のテーブルとして本体側記憶部331に記憶されているが、一つのテーブルとして記載されていてもよい。
【0060】
A−2.サブタンクへの補給工程:
図6は、サブタンク40への補給処理工程を説明するためのフローチャートである。補給処理工程は、例えば以下のいずれかの条件を満たした場合に実行される。
<条件1>未使用のサブタンク40が初めてスロット90に装着されたとき
<条件2>サブタンク側記憶部420の後述する不一致フラグが「1」にセットされているとき
<条件3>供給側サブタンク40Bの消耗品残量が予め定めた閾値に到達したとき
【0061】
本実施形態において、サブタンク40の最大容量は900mlであり、メインタンク20から補給側サブタンク40Aへの消耗品の補給速度(最小補給速度)は公差を含め遅くとも50ml/分であり、供給側サブタンク40Bの放出部60への消耗品の最大供給速度は公差を含めて早くとも20ml/分である。最大供給速度とは、媒体に単色ベタ印刷を行うときの供給側サブタンク40Bから放出部60への消耗品供給速度である。
【0062】
図6に示すように、動作制御部322は、補給用ポンプ52と補給側サブタンク40Aとの間の開閉弁523〜530を開状態とした後に、補給用ポンプ52の駆動を開始させる(ステップS110)。例えば、各色の第1サブタンク40aが補給側サブタンク40Aである場合、動作制御部322は
図2に示す開閉弁523,525,527,529を開状態とし、開閉弁524,526,528,530を閉状態とし、大気開放弁53を閉状態として補給用ポンプ52の駆動を開始する。一方で、各色の第2サブタンク40bを供給側サブタンク40Bとして機能させるために、動作制御部322は
図2に示す開閉弁544,546,548,550を開状態とし、開閉弁543,545,547,549を閉状態とし、開閉弁55を閉状態として、供給用ポンプ54を駆動させて放出部60に消耗品を供給する。
【0063】
ステップS110の後に、動作制御部322は、補給側サブタンク40Aのケース42内が予め定めた減圧状態となるまで補給用ポンプ52を駆動させる(ステップS120)。予め定めた減圧状態とは、メインタンク20の消耗品を吸引するために、ケース42内が予め定めた負圧となる状態である。動作制御部322は、ケース42内の圧力を補給側サブタンク40Aの圧力センサー56(
図1)によって検出する。補給側サブタンク40Aの補給が完了するまで予め定めた減圧状態が維持されるように、動作制御部322は補給用ポンプ52を駆動させる。
【0064】
次に、動作制御部322は、第1補給用弁82(
図1)を閉状態から開状態に切り替えて、メインタンク20から補給側サブタンク40Aへと消耗品の補給を開始する(ステップS130)。ステップS130では、第1開閉弁81(
図1)は開状態に設定される。第1補給用弁82を閉状態から開状態へと切り替えることで、メイン消耗品収容部23の消耗品が第1補給用流路71を介して補給側サブタンク40Aの消耗品収容部44へと吸引される。
【0065】
補給側サブタンク40Aの補給が完了後、補給側サブタンク40Aのケース42内の減圧状態を解除するために、動作制御部322は補給用ポンプ52の駆動を停止させる(ステップS140)。またステップS140において、動作制御部322は、第1補給用弁82を開状態から閉状態へと切り替えることで、メインタンク20から補給側サブタンク40Aへと消耗品を流通させる第1補給用流路71(
図1)を非連通状態とする。なお、補給側サブタンク40Aの消耗品残量がゼロの状態から最大容量(900ml)に充填するまでに消耗品を実際に補給している時間は、本実施形態では18分間である。ステップS3およびステップS4の工程をまとめて実補給工程とも呼ぶ。
【0066】
ステップS140の次に、補給側サブタンク40Aに対して大気開放を行う(ステップS150)。大気開放とは、補給側サブタンク40Aに対して補給用ポンプ52および供給用ポンプ54を駆動させない状態であり、負圧となっているケース42内の圧力を大気圧にするためのステップである。負圧から大気圧への圧力変動は、補給用ポンプ52と開閉弁523〜530の間にある
図2に記載の大気開放弁53を開状態にすることで、外気が流路580を介してケース42内に取り込まれることで行われる。動作制御部322は、圧力センサー56によって検出したケース42内の圧力が大気圧となった時点でステップS150を終了する。なお、ケース42内の減圧状態を大気圧状態にするために要する時間は数秒であり、後述する切替準備工程の実行時間に含まれる。
【0067】
ステップS150の次に、動作制御部322は、供給用ポンプ54と補給側サブタンク40Aとの間の開閉弁543,545,547,549を開状態とした後に、供給用ポンプ54の駆動を開始させる(ステップS160)。動作制御部322は、補給側サブタンク40Aのケース42内が予め定めた加圧状態となるまで供給用ポンプ54を駆動させる(ステップS170)。予め定めた加圧状態とは、放出部60に消耗品を供給するための圧力状態であり、ケース42内が予め定めた大気圧よりも高い圧力となる状態である。これにより、補給側サブタンク40Aを供給側サブタンク40Bに切り替えて消耗品を放出部60に供給可能な状態となる。実際には、第1開閉弁81が閉状態、第1補給用弁82が開状態、第1供給弁83が開状態となるよう制御することで、補給側サブタンク40Aを供給側サブタンク40Bとして、消耗品の放出部60への供給が開始される。
【0068】
ここで、ステップS110とステップS120とステップS150〜ステップS170の工程は、メインタンク20からの消耗品の補給や、放出部60への消耗品の供給を伴わない工程であり、メインタンク20からの消耗品の補給が可能な補給側サブタンク40Aと供給側サブタンク40Bとを切り替えるための圧力制御に必要な工程であるとも言える。よって、ステップS110とステップS120とステップS150〜ステップS170の工程を切替準備工程とも呼ぶ。本実施形態において、切替準備工程の実行時間(「切替準備時間A」とも呼ぶ。)は6分間であり、実補給工程の実行時間Bは最大で18分間である。切替準備時間は、補給側サブタンク40Aと供給側サブタンク40Bとの切り替えに必要な時間であり、切り替えのための圧力制御が行われる時間である。
【0069】
A−3.サブタンク40の詳細説明:
図1に加え、
図7〜
図9を用いてサブタンク40の詳細について説明する。
図7は、回路基板402の正面図である。
図8は、回路基板402の側面図である。
図9は、サブタンク側記憶部420を説明するための図である。
【0070】
サブタンク40(
図1)は、ケース42と、ケース42に収容された消耗品収容部44と、消耗品流通部47と、回路基板402と、を有する。ケース42は、略直方体形状の筐体であり、消耗品収容部44を内部に収容する。ケース42は、複数のスロット90や他の消耗品消費装置30のスロット90に着脱可能に取り付けることができる形状を有する。
【0071】
消耗品収容部44は、放出部60に供給するための消耗品を収容可能である。消耗品収容部44は可撓性を有する袋体であり、消耗品が消費されるに従って容積が減少する。消耗品収容部44は、スロット90に初めて取り付けられる前の未使用状態では、内部に消耗品を収容していない。サブタンク40がスロット90に初めて装着されると、装着先のスロット90と連通するメインタンク20から消耗品が補給されることで、消耗品収容部44は消耗品を収容する。
【0072】
消耗品流通部47は、消耗品収容部44に接続され消耗品収容部44と連通する。消耗品流通部47は筒状部材であり、スロット90にサブタンク40が装着されたときに流路接続部715が挿入されて接続される。これにより、メインタンク20からサブタンク40への消耗品の補給や、サブタンク40から放出部60への消耗品の供給が可能となる。
【0073】
回路基板402(
図1)は、ケース42の表面に取り付けられている。回路基板402(
図7)は、表面402faに設けられたサブタンク側端子群499(
図8)と、裏面402fbに設けられたサブタンク側記憶部420とを有する。
【0074】
サブタンク側端子群499(
図7)は、9つのサブタンク側端子431〜439からなる。9つのサブタンク側端子431〜439はそれぞれ略矩形状に形成され、スロット90に設けられた対応する電気接点部902と接触する接触部cpを有する。
【0075】
各サブタンク側端子431〜439は、機能(用途)からそれぞれ以下のように呼ぶことができる。
(1)装着検出端子(第1の端子)435
(2)電源端子436
(3)接地端子437
(4)データ端子438
(5)装着検出端子(第2の端子)439
<第2の端子列RN2>
(6)装着検出端子(第3の端子)431
(7)リセット端子432
(8)クロック端子433
(9)装着検出端子(第4の端子)434
【0076】
4つの装着検出端子431,434,435,439は、スロット90に設けられた対応する電気接点部902(
図1)との電気的接触の良否を制御部32が検出することで、スロット90にサブタンク40が装着されたか否かを検出するために用いられる。よって、4つの装着検出端子431,434,435,439は、「装着検出端子群」とも呼ぶことができる。本実施形態では、4つの装着検出端子431,434,437,439は、回路基板402の内部で相互に電気的に接続されており、サブタンク40がスロット90に装着された際に、接地端子437を通じて消耗品消費装置の接地ライン(図示しない)に電気的に接続される。
【0077】
他の5つの端子432,433,436,437,438は、サブタンク側記憶部420用の端子である。よって、5つの端子432,436,437,438は、「記憶部用端子群」とも呼ぶことができる。
【0078】
リセット端子432は、サブタンク側記憶部420に対するリセット信号RSTの供給を受け付ける。クロック端子433は、サブタンク側記憶部420に対するクロック信号SCKの供給を受け付ける。電源端子436は、サブタンク側記憶部420に対する電源電圧VDD(例えば、定格3.3V)の供給を受け付ける。接地端子437は、サブタンク側記憶部420に対する接地電圧VSS(0V)の供給を受け付ける。データ端子438は、サブタンク側記憶部420と本体側記憶部331との間でやり取りされるデータ信号SDAの供給を受け付ける。
【0079】
サブタンク側記憶部420は、データの書き換えが可能なメモリーであり、本実施形態では例えばフラッシュメモリーを用いている。サブタンク側記憶部420(
図9)は、サブタンク側識別子領域422と、サブタンク側消耗品情報領域423と、不一致フラグ444とを有する。
【0080】
サブタンク側識別子領域422は、他のサブタンク40と識別するための固有のサブタンク側識別子を記憶する。サブタンク側識別子は、スロット90に初めて装着される前の未使用状態において、サブタンク側識別子領域422に記憶されている。サブタンク側識別子は、例えば、
図4の本体側識別子領域に格納されている識別子「TA11」〜「TA18」などである。
【0081】
サブタンク側消耗品情報領域423は、サブタンク40がスロット90に初めて装着され、メインタンク20から消耗品収容部44に消耗品が補給された後に、装着先のスロット90(スロット識別子)に紐付けられた本体側消耗品情報がサブタンク側消耗品情報として書き込まれる領域である。つまり、サブタンク側記憶部420は、サブタンク40がスロット90に初めて装着され、メインタンク20から消耗品収容部44への消耗品の補給が行われた後の状態では、消耗品収容部44に補給された消耗品の属性に関するサブタンク側消耗品情報(例えば、「シアン」や「マゼンタ」などの消耗品情報)を記憶する。
【0082】
不一致フラグ444は、初めて装着された消耗品消費装置30とは異なる他の消耗品消費装置30のスロット90にサブタンク40が装着されたときに、他の消耗品消費装置30のスロット90にサブタンク40が装着されたことを識別するための情報を含む。サブタンク40が他の消耗品消費装置30に装着されたときには、他の消耗品消費装置30の制御部32は不一致フラグを「1」にセットする。不一致フラグが「1」にセットされているという情報が、課題を解決するための「識別情報」に相当する。なお、サブタンク40が他の消耗品消費装置30に装着されていないときには、不一致フラグは「0」にセットされている。不一致フラグが「1」にセットされるための他の消耗品消費装置30のスロット90(他装置スロット90)は、以下である。つまり、他装置スロット90は、サブタンク側記憶部420が記憶するサブタンク側消耗品情報と同じ本体側消耗品情報(同じインク色)に紐付けられたスロット90である。より具体的には、他装置スロット90とは、本実施形態ではサブタンク40が収容する消耗品の色と同じ色の消耗品をメインタンク20から補給したり、放出部60へ供給したりするためのスロット90である。
【0083】
サブタンク側記憶部420には、サブタンク40における消耗品残量や消耗品消費量が記憶されていない。つまり、消耗品消費システム10において、消耗品残量や消耗品消費量は消耗品消費装置30側で管理する。これにより、制御部32がサブタンク側記憶部420に対して消耗品残量や消耗品消費量を読み書きする必要がないので、制御部32の負荷を低減できる。また、サブタンク40はスロット90に着脱可能であり、持ち運びできる。これにより、サブタンク40が落下や他の部材に衝突することなどによってサブタンク側記憶部420のデータが破損する可能性が生じ得る。この場合においても、消耗品消費装置30側で消耗品残量や消耗品消費量を管理(記憶)することで、消耗品残量や消耗品消費量のデータが破損する可能性を低減できる。よって、交換時期に到達していないにも拘わらず、サブタンク40が使用できなくなる可能性を低減できる。
【0084】
サブタンク40(
図1)は、さらに、ケース42内の圧力を検出するための圧力センサー56と、ケース42の内部に撹拌ローラー45とを有する。圧力センサー56は、ケース42内側の圧力を検出し、回路基板402を介して検出結果を制御部32に送信する。
図1では、圧力センサー56は理解の容易のためにケース42外に位置しているが、実際には、ケース42内に配置されている。撹拌ローラー45は、消耗品収容部44を挟むように2つ設けられている(
図1では1つのみ図示)。2つの撹拌ローラー45は、回路基板402と電気的に接続され、制御部32からの指示に応じて消耗品収容部44を挟みながら
図1の左右方向に移動する。これにより、消耗品収容部44内の消耗品が撹拌される。
【0085】
A−4.サブタンクの管理制御工程:
図10は、動作制御部322が実行するサブタンク40の管理制御工程の第1のフローチャートである。
図11は、動作制御部322が実行するサブタンク40の管理制御工程の第2のフローチャートである。
図13は、動作制御部322が実行するサブタンク40の管理制御工程の第3のフローチャートである。上述のごとく、サブタンク40は互換性を有し、複数のスロット90や他の消耗品消費装置30のスロット90に共通して用いることができる。また、消耗品が補給された後のサブタンク40は、定期的に表示部34に表示される撹拌推奨情報などを元に利用者の判断によってスロット90から取り外されて振るなどして撹拌される。消耗品を収容するサブタンク40がスロット90から取り外された場合、本来装着すべきスロット90とは別のスロット90に誤って装着される場合が生じ得る。別のスロット90にサブタンク40が装着された場合でも、同じ消耗品情報(属性)に紐付けられたスロット90であれば使用が可能である。また、あるスロット90(例えば、シアンインクのためのスロット90C1)に装着されているサブタンク40の寿命がきた場合などに、以下の事態が生じ得る。つまり、未使用のサブタンク40が手元にない場合には、利用者は寿命がきたサブタンク40をスロット90(例えば、スロット90C1)から取り外し、他の消耗品消費装置30の同じ属性(例えば、シアン)の消耗品を収容するサブタンク40を使用中の消耗品消費装置30のスロット90(例えば、スロット90C1)に装着する事態が生じ得る。このように、本来装着すべきスロット90とは異なるものの、消耗品の属性(色の種類)が同じ他のスロット90にサブタンク40が装着された場合、他のスロット90に装着されたサブタンク40は使用可能である。よって異なるスロット90にサブタンク40が装着されたものの使用可能なときには、利用者の操作を低減するために消耗品消費装置30の印刷動作を実行可能とする。ただし、サブタンク40が収容する消耗品が印刷動作の途中でゼロになることを抑制するために以下に説明するサブタンク40の管理制御工程が実行される。サブタンク40の管理制御工程は、スロット90にサブタンク40が装着されることで、装着されたサブタンク40に対して実行される。ここで、管理制御工程の対象となるスロット90に装着されたサブタンク40を対象サブタンク40ともよぶ。
【0086】
図10に示すように、スロット90に対象サブタンク40が装着された場合、動作制御部322は装着された対象サブタンク40が未使用のサブタンク40であるか否かを判定する(ステップS2)。対象サブタンク40が未使用であるか否かは、対象サブタンク40のサブタンク側消耗品情報領域423(
図9)にサブタンク側消耗品情報が記憶されているか否かで判定できる。つまり、動作制御部322は、サブタンク側消耗品情報領域423にサブタンク側消耗品情報が記憶されていない場合、対象サブタンク40が未使用であると判定する。
【0087】
ステップS2で「YES」の判定がされた場合、動作制御部322は、装着された対象サブタンク40のサブタンク側識別子をサブタンク側記憶部420から読み出す。そして、対象サブタンク40が装着されたスロット90(スロット識別子)に紐付けた状態で読み出したサブタンク側識別子を本体側識別子として本体側記憶部331(
図4)の本体側識別子領域に記憶させる(ステップS4)。ステップS4の次に、動作制御部322は、装着された対象サブタンク40に対して補給処理を実行してメインタンク20から消耗品を消耗品収容部44に補給する(ステップS6)。なお、補給処理を実行した場合には、動作制御部322は、補給テーブル334(
図5)に最新の補給量を記憶させる。また補給処理を実行した場合には、動作制御部322は、各スロット90において現在までに補給処理で実行された加圧状態の回数(加圧回数)と減圧状態の回数(減圧回数)を記憶させる。つまり、動作制御部322は、補給処理工程が実行された場合、ケース42内を予め定めた加圧状態にした場合に加圧回数を1だけ加算し、ケース42内を予め定めた減圧状態にした場合に減圧回数を1だけ加算する。補給処理は、
図6に示すステップS110からステップS170までの工程であってもよいし、ステップS110からステップS140までの工程であってもよい。
【0088】
次に、動作制御部322は、サブタンク側記憶部420のサブタンク側消耗品情報領域423に、対象サブタンク40が装着されたスロット90に紐付けられた本体側消耗品情報をサブタンク側消耗品情報として記憶させる(ステップS8)。例えば、未使用のサブタンク40がスロット90C1に装着された場合は、サブタンク側消耗品情報領域423にはサブタンク側消耗品情報として「シアン」が記憶される。
【0089】
ステップS2で「NO」の判定がされた場合、動作制御部322は、装着された対象サブタンク40のサブタンク側識別子が装着先のスロット90に紐付けられた本体側識別子と一致するか否かを判定する(
図11のステップS10)。サブタンク側識別子と本体側識別子が一致する場合、スロット90から取り外された対象サブタンク40が正しく元のスロット90に戻されたと判定できる。ステップS10で「YES」の判定がされた場合、動作制御部322は、対象サブタンク40のサブタンク側記憶部420を参照して不一致フラグが「1」であるか否かを判定する(ステップS12)。不一致フラグが「1」でない場合(ステップS12:NO)、他の消耗品消費装置30のスロット90に対象サブタンク40が過去に装着されていないと判定できる。つまり、不一致フラグが「1」でない場合、すなわち不一致フラグが「0」である場合は、対象サブタンク40は他の消耗品消費装置30によって収容する消耗品が消費されていない。よって、動作制御部322は、対象サブタンク40のサブタンク側識別子と同じ本体側識別子に紐付けられたスロット識別子(対象スロット識別子)における、補給テーブル334に記憶された補給量および消耗品残量を維持する(ステップS14)。これにより制御部32は、維持した消耗品残量に基づいて対象サブタンク40の残量制御を行う。例えば、動作制御部322は、維持した消耗品残量がゼロになる前に対象サブタンク40から放出部60への消耗品の供給を停止する。
【0090】
一方で、不一致フラグが「1」である場合(ステップS12:YES)、過去に他の消耗品消費装置30のスロット90に対象サブタンク40が装着されたことを意味する。よって対象サブタンク40の消耗品が他の消耗品消費装置30によって消費された可能性がある。このため、補給テーブル334に記憶された対象サブタンク40の消耗品残量と、対象サブタンク40の実際の消耗品残量よりも少ない可能性がある。よって、ステップS12で「YES」の判定がなされた場合、動作制御部322は、補給処理を実行する(ステップS22)。次いで、動作制御部322は、補給テーブル334の対象サブタンク40が装着されたスロット識別子に紐付けられた補給量を、ステップS22で補給した補給量に更新する(ステップS24)。次いで、動作制御部322は、対象サブタンク40が最大容量(本実施形態では900ml)に充満されたか否かを判定する(ステップS26)。ステップS26の判定は、対象サブタンク40が装着されたスロット90とメインタンク20とを接続する流路に配置された流路圧センサー88,89の検出値に基づいて判定される。具体的には、動作制御部322は、ステップS22の工程において流路圧が予め定めた閾値以下になった場合に、対象サブタンク40が最大容量に充満されたと判定する。
【0091】
ステップS26において「NO」の判定がなされた場合、対象サブタンク40の実際の消耗品残量を確定できない。よって動作制御部322は、ステップS24で更新した補給量を対象サブタンク40の消耗品残量として残量制御を行う(ステップS27)。具体的には、例えば、識別情報(不一致フラグが「1」)を記憶する対象サブタンク40が供給側サブタンク40Bに切り替えられた場合に、対象サブタンク40が放出部60に消耗品を供給する供給量が、ステップS22でメインタンク20から補給された消耗品の補給量以上となる前に、放出部60への消耗品の供給を停止する。これにより、対象サブタンク40の消耗品が空状態になる可能性を低減できる。また、対象サブタンク40の実際の消耗品残量が確定できないため、動作制御部322は不一致フラグを「1」に維持する(ステップS27)。これにより、対象サブタンク40がスロット90から取り外され、再び元のスロット90に装着されたときにステップS22の補給処理が実行できるので、対象サブタンク40について消耗品を最大容量に充満させることが可能となる。
【0092】
一方で、ステップS26において「YES」の判定がなされた場合、対象サブタンク40には最大容量(900ml)の消耗品が収容されていると推定できる。よって、動作制御部322は、対象スロット識別子における、補給テーブル334に記憶された消耗品残量を最大容量に更新する(ステップS28)。また動作制御部322は、対象サブタンク40の不一致フラグを「0」にセットする(ステップS28)。
【0093】
図12に示すように、ステップS10において「NO」の判定がなされた場合、対象サブタンク40が記憶するサブタンク側消耗品情報と、装着先のスロット90のスロット識別子に紐付けられた本体側消耗品情報とが一致するか否かを判定する(ステップS30)。サブタンク側消耗品情報と本体側消耗品情報とが一致しない場合(ステップS30:NO)、装着先のスロット90が扱う消耗品の属性(本実施形態では色)と、対象サブタンク40が収容する消耗品の属性とが異なる。よってこの場合は、利用者に対象サブタンク40を装着先のスロット90から取り外すことを促すために、動作制御部322は表示部34にエラーを表示させる(ステップS31)。
【0094】
一方で、サブタンク側消耗品情報と本体側消耗品情報とが一致する場合(ステップS30:YES)、装着先のスロット90が扱う消耗品の属性(本実施形態では色)と、対象サブタンク40が収容する消耗品の属性とが同じであるので対象サブタンク40を継続して使用できる。よってこの場合は、動作制御部322は、装着先のスロット90が、対象サブタンク40が初めて装着された消耗品消費装置30が備えるスロット90であるか否かを判定する(ステップS32)。この判定は、識別子テーブル332(
図4)に記憶された本体側識別子のいずれかと、対象サブタンク40のサブタンク側記憶部420(
図9)に記憶されたサブタンク側識別子が一致するか否かで判定する。本体側識別子のいずれかと、サブタンク側識別子が一致する場合は、ステップS32において「YES」の判定がなされる。ステップS32において「YES」の判定がなされる一例としては、例えば、
図1においてサブタンク40C1をスロット90C1から取り外し、サブタンク40C2をスロット90C2から取り外し、サブタンク40C1をスロット90C2に装着し、サブタンク40C2をスロット90C1に装着した場合(入れ替え装着の場合)である。
【0095】
ステップS32において「YES」の判定がなされた場合、動作制御部322は、識別子テーブル332において、装着先のスロット90のスロット識別子に紐付けて記憶された本体側識別子を対象サブタンク40のサブタンク側識別子に書き換える(ステップS52)。例えば、上述の入れ替え装着の場合、
図4に示す識別子テーブル332において、矢印に示すように、スロット識別子SC1aに紐付けて記憶された本体側識別子を「TA11」から「TA12」に書き換え、スロット識別子SC2aに紐付けて記憶された本体側識別子を「TA12」から「TA11」に書き換える。
【0096】
また、ステップS32において「YES」の判定がなされた場合、動作制御部322は、補給テーブル334において、装着先のスロット90のスロット識別子に紐付けて記憶されたサブタンク情報を、装着されたサブタンク40のサブタンク側識別子の書き換えに応じて書き換える(ステップS54)。例えば、上述の入れ替え装着の場合、
図5に示す補給テーブル334において、矢印に示すように、スロット識別子SC1aに紐付けて記憶されたサブタンク関連情報と、スロット識別子SC2aに紐付けて記憶されたサブタンク関連情報とを入れ替える。これにより、利用者にとってサブタンク40の取り扱いが煩雑になる可能性を低減しつつ、入れ替え装着後のサブタンク40における残量制御や交換時期判定を正しく行うことができる。
【0097】
ステップS32において「NO」の判定がなされた場合、他の消耗品消費装置30に初めて装着されたサブタンク40が、本フローを実行している消耗品消費装置30のスロット90に装着されたことを意味する(別装置装着状態)。よって、消耗品消費装置30の動作制御部322は、装着されたサブタンク40のサブタンク側記憶部420に記憶された不一致フラグを「1」にセットする(ステップS34)。次いで、動作制御部322は、識別子テーブル332において、装着先のスロット90のスロット識別子に紐付けて記憶された本体側識別子を対象サブタンク40のサブタンク側識別子に書き換える(ステップS36)。
【0098】
また別装置装着状態の場合、本フローを実行している消耗品消費装置30は装着されたサブタンク40の実際の消耗品残量を確定できない。よって、消耗品消費装置30は、装着されたサブタンク40に対して補給処理を実行する(ステップS38)。次いで、動作制御部322は、補給テーブル334の対象サブタンク40が装着されたスロット識別子に紐付けられた補給量(
図5)を、ステップS38で補給した補給量に更新する(ステップS39)。次いで、動作制御部322は、対象サブタンク40が最大容量(本実施形態では900ml)に充満されたか否かを判定する(ステップS40)。ステップS40は、
図11のステップS26と同じ処理内容である。
【0099】
ステップS40で「NO」の判定がなされた場合、動作制御部322は、ステップS39で更新した補給量を対象サブタンク40の消耗品残量として残量制御を行う(ステップS42)。具体的には、例えば、識別情報(不一致フラグが「1」)を記憶する対象サブタンク40が供給側サブタンク40Bに切り替えられた場合に、対象サブタンク40が放出部60に消耗品を供給する供給量が、ステップS38でメインタンク20から補給された消耗品の補給量以上となる前に、放出部60への消耗品の供給を停止する。これにより、対象サブタンク40の消耗品が空状態になる可能性を低減できる。
【0100】
ステップS40で「YES」の判定がなされた場合、動作制御部322は、対象サブタンク40のサブタンク側識別子と同じ本体側識別子に紐付けられたスロット識別子における、補給テーブル334に記憶された消耗品残量を最大容量に更新する(ステップS44)。動作制御部322は、ステップS44で更新した消耗品残量に基づいて対象サブタンク40の残量制御を行う。例えば、動作制御部322は、更新した消耗品残量がゼロになる前に対象サブタンク40から放出部60への消耗品の供給を停止する。
【0101】
上記第1実施形態によれば、サブタンク40は複数のスロット90に着脱可能に取り付けることができるケース42(
図1)を有し、メインタンク20から消耗品が補給された場合に、サブタンク側記憶部420がサブタンク側消耗品情報を記憶する(
図10のステップS8)。これにより、スロット90に初めて装着される前の状態において、サブタンク40を複数のスロットに共通して用いることができるので、スロット90毎にサブタンク40の在庫を管理する必要がない。また、サブタンク40は複数のスロット90に着脱可能に取り付けることができるケース42(
図1)を有することで、形状が非互換のケース42をスロット90ごとに製造する場合に比べ、サブタンク40の製造コストを低減できる。また上記第1実施形態によれば、サブタンク側記憶部420がサブタンク側識別子を記憶しているため、消耗品が消耗品収容部44に補給された後においても、他のサブタンクと容易に識別することができる。
【0102】
また、サブタンク40のサブタンク側記憶部420は、サブタンク40が初めて装着された消耗品消費装置30とは異なる他の消耗品消費装置30のスロット90に装着されたときに、識別情報としての不一致フラグ「1」を記憶する。これにより、消耗品消費装置30の動作制御部322は、識別情報によってサブタンク40が他の消耗品消費装置30のスロット90に装着されたか否かを判定することが可能となる。
【0103】
また上記第1実施形態によれば、動作制御部322は、未使用のサブタンク40が複数のスロット90のうちの一つに初めて装着されると、制御部32はサブタンク側識別子を読み出して装着先のスロット90に紐付けて本体側識別子として本体側記憶部331に記憶させている。これにより、動作制御部322は、本体側識別子とサブタンク側識別子とを比較することで、ある一つのスロット90にある一つのサブタンク40が過去に装着されたことがあるか否かを容易に判定できる。
【0104】
また上記第1実施形態によれば、サブタンク側消耗品情報をサブタンク側記憶部420に記憶する対象サブタンク40がスロット90に装着されたときに、動作制御部322は以下の条件(識別情報条件)を満たす場合に、対象サブタンク40のサブタンク側記憶部420に識別情報として不一致フラグ「1」をセットする(
図12のステップS32:NO、ステップS34)。これにより、対象サブタンク40が他の消耗品消費装置30のスロット90に装着されたことを動作制御部322は容易に判定できる。
<識別情報条件>
装着先のスロット90に紐付けられた本体側識別子と、サブタンク側記憶部420が記憶するサブタンク側識別子とが異なる場合であって、かつ、サブタンク側識別子が複数のスロットのそれぞれに紐付けられた複数の本体側識別子のいずれとも異なること。
【0105】
また上記第1実施形態によれば、識別情報は、フラグ(不一致フラグ)によって表されている。これにより、フラグを用いて他の消耗品消費装置30のスロット90にサブタンク40が装着されたか否かを容易に判定できる。
【0106】
また上記第1実施形態によれば、動作制御部322は、対象サブタンク40がスロット90に装着されたときに、対象サブタンク40のサブタンク側記憶部420に識別情報が記憶されている場合は、対象サブタンク40に対してメインタンク20から消耗品を補給する(
図11のステップS22、
図12のステップS38)。これにより、対象サブタンク40の消耗品が消費される前に消耗品を対象サブタンク40に補給できる。よって、対象サブタンク40の消耗品が空状態になる可能性を低減できる。
【0107】
また上記第1実施形態によれば、動作制御部322は、サブタンク側消耗品情報をサブタンク側記憶部420に記憶する対象サブタンク40がスロット90に装着されたときに、以下の条件(書換条件)を満たす場合に、以下の書き換え動作を行う(
図12のステップS32:YES、ステップS52、ステップS54)。これにより、利用者にとってサブタンク40の取り扱いが煩雑になる可能性を低減できる。
【0108】
<書換条件>
装着先のスロット90に紐付けられた本体側識別子と、サブタンク側記憶部420が記憶するサブタンク側識別子とが異なる場合であって、かつ、サブタンク40が、同じ消耗品消費装置30が有する複数のスロット90のうちで、サブタンク側消耗品情報と同じ本体側消耗品情報に紐付けられた他のスロット90に装着されたこと。
<書き換え動作>
装着先のスロット90に紐付けられた本体側識別子を、装着されたサブタンク40のサブタンク側識別子に書き換えると共に、装着先のスロット90に紐付けられたサブタンク関連情報(
図5)を、装着されたサブタンク40のサブタンク側識別子の書き換えに応じて書き換える。
【0109】
また、書換条件を満たした場合、動作制御部322は、不一致フラグを「1」にセットすることなく、本体側識別子とサブタンク関連情報の書き換えを行う。これにより、不一致フラグが「1」にセットされていることによるサブタンク40の補給処理が実行されることがない。よって、ケース42内が必要回数以上に加圧状態や減圧状態となることを抑制できるので、サブタンク40の寿命を縮めることを抑制できる。
【0110】
B.第2実施形態:
上記第1実施形態では、動作制御部322はサブタンク側記憶部420において不一致フラグが「1」にセットされていることを判別することで、サブタンク40が他の消耗品消費装置30のスロット90に装着されていたことを判定していた。しかしながら、他の情報を用いることで、動作制御部322はサブタンク40が他の消耗品消費装置30のスロット90に装着されていたことを判定してもよい。以下にこの具体例を説明する。
【0111】
図13は、第2実施形態のサブタンク側記憶部420aを説明するための図である。上記第1実施形態のサブタンク側記憶部420(
図9)と異なる点は、不一致フラグ444に代えてサブタンク側加圧回数領域444aとサブタンク側減圧回数領域444bとを備えている点である。その他の構成については第1実施形態と同様の構成であるので、同様の構成については同一符号を付すと共に説明を省略する。
【0112】
サブタンク側加圧回数領域444aは、補給処理においてケース42内が加圧状態となった回数が記憶される領域である。動作制御部322は対象サブタンク40に対して補給処理を実行してケース42内を加圧状態にするごとに、サブタンク側加圧回数領域444aに記憶された加圧状態の回数を1つずつ加算する。サブタンク側減圧回数領域444bは、補給処理においてケース42が減圧状態となった回数が記憶される領域である。動作制御部322は対象サブタンク40に対して補給処理を実行してケース42内を減圧状態にするごとに、サブタンク側減圧回数領域444bに記憶された減圧状態の回数を1ずつ加算する。
【0113】
ここで、サブタンク40が初めて装着された1つのスロット90(例えば、スロット識別子SC1a)に正しく着脱されている場合(正着脱状態の場合)は、補給テーブル334(
図5)に記憶された減圧状態の回数(例えば、1回)と、サブタンク側減圧回数領域444bに記憶された減圧状態の回数(例えば、1回)とは一致する。また、正装着状態の場合は、補給テーブル334に記憶された加圧状態の回数(例えば、1回)と、サブタンク側加圧回数領域444aに記憶された加圧状態の回数(例えば、1回)とは一致する。一方で、サブタンク40が初めて装着された1つのスロット90とは異なる他の消耗品消費装置30のスロット90に対象サブタンク40が装着された場合(別装置装着状態の場青)、消耗品消費装置30で管理している補給テーブル334の加圧状態の回数と減圧状態の回数と、対象サブタンク40のサブタンク側記憶部420aに記憶された加圧状態の回数と減圧状態の回数とが一致しない可能性が高い。
【0114】
よって、動作制御部322は、サブタンク側消耗品情報をサブタンク側記憶部420aに記憶するサブタンク40がスロット90に装着されたときに、以下の2つの条件(不一致条件)の少なくともいずれかの条件を満たす場合に、装着されたサブタンク40に対してメインタンク20から消耗品を補給する(補給処理を実行する)。つまり、第2実施形態では、動作制御部322は、識別情報に代えて、減圧状態の回数と加圧状態の回数とを用いて別装置装着状態を判定する。減圧状態の回数や加圧状態の加圧が、課題を解決するための手段に記載の「他の消耗品消費装置の前記スロット(90)に装着されたことを識別するための情報」に相当する。
【0115】
<第1不一致条件>
スロット90に紐付けて記憶された減圧状態の回数と、対象サブタンク40のサブタンク側記憶部420aに記憶された減圧状態の回数とが一致しないこと。
<第2不一致条件>
スロット90に紐付けて記憶された加圧状態の回数と、対象サブタンク40のサブタンク側記憶部420aに記憶された加圧状態の回数とが一致しないこと。
【0116】
また、第2実施形態の消耗品消費システムは、第1実施形態の消耗品消費システム10が実行する不一致フラグが「1」か否かの判定(
図11のステップS12)に代えて、第1不一致条件と第2不一致条件との少なくともいずれかを満たすか否かの判定を実行する。また、第2実施形態の消耗品消費システムは、
図11、
図12に示す、不一致フラグを「1」に維持すること(
図11のステップS27の一部)、不一致フラグを「0」にセットすること(
図11のステップS28の一部)、不一致フラグを「1」にセットすること(
図12のステップS34)の処理を省略できる。
【0117】
上記第2実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の構成を有する点において同様の効果を奏する。また第2実施形態によれば、別装置装着状態のときにサブタンク40への補給処理を実行することで、サブタンク40の消耗品が消費される前に消耗品をサブタンク40に補給できる。よって、サブタンクの消耗品が空状態になる可能性を低減できる。
【0118】
また、動作制御部322は、第1不一致条件と第2不一致条件との少なくともいずれかの条件を満たした場合に消耗品が補給されたサブタンク40において、放出部60に消耗品を供給する供給量が、消耗品の補給量以上となる前に、放出部60への消耗品の供給を停止する。これにより、サブタンク40の消耗品が空状態になる可能性をより低減できる。
【0119】
C.他の実施形態:
なお、この発明は上記実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような他の実施形態としての実施できる。
【0120】
C−1.第1の他の実施形態:
上記第1,第2実施形態において別装置装着状態のとき(例えば、第1実施形態では不一致フラグが「1」にセットされているとき)に、動作制御部322が実行する補給処理での補給量(実補給工程)は以下のように制御してもよい。
【0121】
動作制御部322は、サブタンク40が他の消耗品消費装置30に装着されていた時間(別装置装着時間)を推定し、推定した時間において他の消耗品消費装置30によってサブタンク40の消耗品が消費できる最大量(推定消耗品消費量)を推定する。別装置装着時間は、本体側識別子と同じサブタンク側識別子を記憶するサブタンク40が取り外された時間である。推定消耗品消費量は、取り外されていた時間に最大供給速度(本実施形態では、20ml/分)を乗じることで推定できる。これにより、他の消耗品消費装置30で消費される消耗品の推定消耗品消費量分だけサブタンク40に消耗品を補給できるので、サブタンク40の消耗品が空状態になる可能性を低減できる。
【0122】
また、スロット識別子に紐付けられた消耗品残量が、予め定めた閾値(例えば、300ml)以下の場合にサブタンク40に推定消耗品消費量分だけ消耗品を補給してもよい。こうすることで、サブタンク40の消耗品が空状態になる可能性を低減しつつ、補給処理の実行回数を低減できるので、サブタンク40の寿命が縮まる可能性を低減できる。
【0123】
C−2.第2の他の実施形態:
図14は、動作制御部322が実行する利用者に報知する撹拌指示の条件を示す図である。利用者への撹拌指示の判定は
図14に示す条件に従って行ってもよい。撹拌指示は、例えば、表示部34に「スロット90C1に装着されたサブタンク40を取り外して撹拌してください」というメッセージによって行われる。動作制御部322は、前回の補給処理からの経過時間が3週間未満の場合は、前回の消耗品の補給量に拘わらず、撹拌指示を行わない。また、動作制御部322は、前回の補給処理からの経過時間が3週間以上、6週間未満のときであって、前回の消耗品の補給量が600ml未満の場合は、撹拌指示を表示部34に表示させる。また、動作制御部322は、前回の補給処理からの経過時間が6週間以上の場合は、前回の消耗品の補給量に拘わらず撹拌指示を表示部34に表示させる。このように、動作制御部322は、前回の補給処理からの経過時間と、前回の消耗品の補給量とに基づいて撹拌指示を利用者に行うか否かを判定することで、消耗品収容部44の消耗品の濃度分布に偏りが生じている可能性が高い場合に撹拌指示を利用者に行うことができる。
【0124】
また、
図14のよって撹拌指示の対象となったサブタンク40(撹拌対象サブタンク40)がある場合において、他のサブタンク40が以下の条件(他サブタンク撹拌条件)を満たす場合に、動作制御部322は撹拌対象サブタンク40に加え他のサブタンク40についても撹拌指示を行ってもよい。
<他サブタンク撹拌条件>
(i)前回の消耗品の補給量が600ml未満で、前回の補給処理からの経過時間が2週間未満、かつ、(ii)前回の補給処理後からの消耗品の消費量が600ml未満。
【0125】
また、動作制御部322が実行する撹拌指示は、撹拌指示の条件を満たした場合でも、サブタンク40のケース42内が加圧されているときや減圧されているときには行わず、静圧時(補給用ポンプ52や供給用ポンプ54が稼動していない時)に行ってもよい。こうすることで、切替準備工程の実行中に、サブタンク40がスロット90から取り外される可能性を低減できる。
【0126】
C−3.第3の他の実施形態:
上記各実施形態では、サブタンク40は消耗品としてのインク(液体)を収容し、放出部60はインクを噴射していたが、消耗品はインク以外であってもよい。例えば、消耗品は、トナーや、紙の再生に用いる使用済の紙や、3Dプリンターに用いられる樹脂原料であってもよい。また、消耗品情報は、インク色であったが、これに限定されるものではない。例えば、消耗品情報としては、消耗品の粘性や原材料などの他の属性であってもよい。
【0127】
C−4.第4の他の実施形態:
本発明は、インクジェットプリンター、及び、インクジェットプリンターにインクを供給するためのサブタンクおよびメインタンクに限らず、インク以外の他の消耗品を噴射する任意の消耗品消費装置及びその消耗品を収容するためのサブタンクおよびメインタンクにも適用することができる。例えば、以下のような各種の消耗品消費装置及びそのサブタンクに適用可能である。
(1)ファクシミリ装置等の画像記録装置
(2)液晶ディスプレイ等の画像表示装置用のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射装置
(3)有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイや、面発光ディスプレイ (Field Emission Display、FED)等の電極形成に用いられる電極材噴射装置
(4)バイオチップ製造に用いられる生体有機物を含む液体を噴射する消耗品消費装置
(5)精密ピペットとしての試料噴射装置
(6)潤滑油の噴射装置
(7)樹脂液の噴射装置
(8)時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する消耗品消費装置
(9)光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂液等の透明樹脂液を基板上に噴射する消耗品消費装置
(10)基板などをエッチングするために酸性又はアルカリ性のエッチング液を噴射する消耗品消費装置
(11)他の任意の微小量の液滴を吐出させる消耗品消費ヘッドを備える消耗品消費装置。
【0128】
なお、「液滴」とは、消耗品消費装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう「液体」とは、消耗品消費装置が噴射させることができるような材料であれば良い。例えば、「液体」は、物質が液相であるときの状態の材料であれば良く、粘性の高い又は低い液状態の材料、及び、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような液状態の材料も「液体」に含まれる。また、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散または混合されたものなども「液体」に含まれる。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インクおよび油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種の液体状組成物を包含するものとする。
【0129】
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。