(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記中継導電路は、前記基幹側端子部、及び前記分岐側端子部と異なる部分であって、絶縁性の合成樹脂に埋設された埋設部を有する、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のフレキシブルフラットケーブルの接続構造。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<実施形態1>
本明細書に開示された技術の実施形態1を、
図1から
図17を参照しつつ説明する。本実施形態に係る分岐箱10は、ケース11と、ケース11に固定された基幹ケーブル12(基幹フレキシブルフラットケーブルの一例)と、ケース11に固定された分岐ケーブル13(分岐フレキシブルフラットケーブルの一例)と、基幹ケーブル12と分岐ケーブル13とを電気的に接続する中継導電路14と、ケース11に組み付けられるカバー15と、を備える。分岐箱10は、例えば、電気自動車、ハイブリッド自動車等の車両(図示せず)に搭載され、電力回路及び信号回路を分岐させる。以下の説明においては、Z方向を上方とし、Y方向を前方とし、X方向を左方として説明する。なお、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0023】
分岐箱10
図1に示すように、分岐箱10は、上方から見て、全体として略T字状をなしている。分岐箱10の後部は、上方から見て左右方向に細長い長方形状をなしている。分岐箱10の前部は、分岐箱10の後部の左右方向について中央付近から前方に延びて形成されており、上方から見て長方形状をなしている。分岐箱10の左端部及び右端部からは、基幹ケーブル12が左方及び右方に導出されている。分岐箱10の前端部からは分岐ケーブル13が前方に導出されている。
【0024】
分岐箱10は、上方に開口するケース11と、このケース11に上方から組み付けられるカバー15と、を有する。カバー15は、ケース11の外形状よりもやや大きく形成されている。ケース11は底壁11Aと、この底壁11Aの側縁から上方に立ち上がる側壁を有する。カバー15は上壁と、上壁の側縁から下方に延びる側壁と、を有する。ケース11の側壁の外面から突出するロック部16と、カバー15の側壁に設けられたロック受け部17とが弾性的に係合することにより、ケース11とカバー15とが一体に組み付けられるようになっている。
【0025】
ケース11
図3に示すように、ケース11の底壁11Aには、右端部寄りの位置に2つの位置決めピン18Aが左右方向に間隔を空けて並ぶと共に上方に突出しており、左端部寄りの位置に1つの位置決めピン18Aが上方に突出している。これらの位置決めピン18Aが、基幹ケーブル12に貫通された位置決め孔19Aの内部に挿通されることにより、ケース11に対して基幹ケーブル12の相対的な位置決めがなされる。基幹ケーブル12に形成された位置決め孔19Aは、基幹ケーブル12のうち後述する電力用基幹導体30、信号用基幹導体31、及びグランド用基幹導体32と異なる位置に形成されている。
【0026】
更に、ケース11の底壁11Aには、前端部寄りの位置に2つの位置決めピン18Bが、前後方向に間隔を空けて並ぶと共に、上方に突出している。この位置決めピン18Bが、分岐ケーブル13に貫通された位置決め孔19Bの内部に挿通されることにより、ケース11に対して分岐ケーブル13の相対的な位置決めがなされる。分岐ケーブル13に形成された位置決め孔19Bは、分岐ケーブル13のうち後述する電力用分岐導体37、信号用分岐導体38、及びグランド用分岐導体39と異なる位置に形成されている。
【0027】
ケース11の左端部には側壁が形成されておらず、左方に開口している。また、ケース11の右端部にも側壁は形成されておらず、右方に開口している。これにより、基幹ケーブル12が、ケース11から、左方及び右方に導出されるようになっている。
【0028】
ケース11の左端部には、底壁11Aとの間で基幹ケーブル12を挟持する左側挟持部20A(挟持部の一例)が、ヒンジ21を介してケース11と一体に形成されている。左側挟持部20Aの先端にはロック爪22が形成されている。このロック爪22が、ケース11のうちヒンジ21と反対側に設けられた被ロック部23に係止することにより、基幹ケーブル12が、底壁11Aと左側挟持部20Aとの間で挟持されるようになっている。ロック爪22と被ロック部23とが係止した状態において、左側挟持部20Aのうち基幹ケーブル12と対向する面には、前後方向に延びると共に、左右方向に間隔を空けて並ぶ複数(本実施形態では3つ)の挟持リブ24が形成されている。この挟持リブ24が基幹ケーブル12に上方から当接することにより、基幹ケーブル12が確実に挟持されるようになっている。
【0029】
ケース11の右端部には、底壁11Aとの間で基幹ケーブル12を挟持する右側挟持部20B(挟持部の一例)が、ヒンジ21を介してケース11と一体に形成されている。右側挟持部20Bの構成は左側挟持部20Aと同じなので、同一構成については同じ符号を付して重複する説明を省略する。
【0030】
ケース11の前端部には、底壁11Aとの間で分岐ケーブル13を挟持する分岐挟持部20C(挟持部の一例)が、ヒンジ21を介してケース11と一体に形成されている。分岐挟持部20Cの構成は左側挟持部20Aと同じなので、同一構成については同じ符号を付して重複する説明を省略する。
【0031】
カバー15
図1に示すように、カバー15の上壁には、左右方向の中央付近であって、かつ前後方向の中央付近の位置に上方に開口するヒューズ装着部25が設けられている。ヒューズ装着部25には、複数(本実施形態では2つ)のヒューズ26が左右方向に並んで装着されるようになっている。
【0032】
カバー15の左端部に位置する側壁の下端部は、上方にやや凹んで形成されている。同様に、カバー15の右端部に位置する側壁の下端部は、上方にやや凹んで形成されている。これにより、ケース11の底壁11Aとの間に基幹ケーブル12が挿通可能な隙間が形成される。
【0033】
また、カバー15の前端部に位置する側壁の下端部は、上方にやや凹んで形成されている。これにより、ケース11の底壁11Aとの間に分岐ケーブル13が挿通可能な隙間が形成される。
【0034】
図5に示すように、カバー15の上壁の下面には、後述するカバーシールド部材27(シールド部材の一例)が装着されるシールド部材装着部28が下方に突出して形成されている。シールド部材装着部28には上壁を貫通する有底孔が形成されている。この有底孔の内部に、カバーシールド部材27を貫通した状態でビス29が下方から螺合されることにより、カバー15にカバーシールド部材27が固定されるようになっている。
【0035】
基幹ケーブル12
図3に示すように、基幹ケーブル12は、基幹ケーブル12の後部に配された3個の電力用基幹導体30(基幹導体の一例)と、基幹ケーブル12の前部に配されると共に、前後方向に間隔を空けて配された2個の信号用基幹導体31(基幹導体の一例)と、信号用基幹導体31を前後に挟む位置に配された2個のグランド用基幹導体32(基幹導体の一例)と、を備える。電力用基幹導体30、信号用基幹導体31、及びグランド用基幹導体32は、左右方向に細長く延びると共に、前後方向に間隔を空けて並んで配されている。電力用基幹導体30、信号用基幹導体31、及びグランド用基幹導体32は、長尺状且つ平板状に形成されている。
【0036】
電力用基幹導体30、信号用基幹導体31、及びグランド用基幹導体32は電気伝導性を有する材料によって形成される。電力用基幹導体30、信号用基幹導体31、及びグランド用基幹導体32の主成分としては例えば銅が挙げられる。より具体的には、電力用基幹導体30、信号用基幹導体31、及びグランド用基幹導体32は軟銅線であることが好ましい。
【0037】
図6は、基幹ケーブル12のうち、電力用基幹導体30が配された領域を示す一部拡大模式的断面図である。また、
図7は、基幹ケーブル12のうち、信号用基幹導体31及びグランド用基幹導体32が配された領域を示す一部拡大模式的断面図である。電力用基幹導体30、信号用基幹導体31、及びグランド用基幹導体32は、導体保持接着剤33に埋設された状態で、互いに間隔を空けて並んで配されている。導体保持接着剤33によって、電力用基幹導体30、信号用基幹導体31、及びグランド用基幹導体32は電気的に絶縁されている。
【0038】
導体保持接着剤33の上面及び下面には、絶縁フィルム34(基幹絶縁被覆の一例)が積層されている。絶縁フィルム34としては、具体的には絶縁性を有する合成樹脂製のフィルムを用いることができる。合成樹脂としては、例えば、ポリイミド、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイドなどが好適に用いられる。
【0039】
図6に示すように、基幹ケーブル12の後部寄りの位置に配された2個の電力用基幹導体30と、前部寄りの位置に配された電力用基幹導体30とは、前後方向についてやや離間して配されている。この領域に、電力用基幹導体30を避けて、位置決め孔19Aが形成されている。
【0040】
図7に示すように、基幹ケーブル12の前部に配された信号用基幹導体31、及びグランド用基幹導体32に対応する位置には、導体保持接着剤33の上面に積層された絶縁フィルム34の上面に、導電性を有するシールド層35(基幹シールドの一例)と、このシールド層35の外面を覆う絶縁層36(基幹絶縁被覆の一例)と、が積層されている。シールド層35は導電性を有する材料から構成される。シールド層35の材料としては、例えば、金属箔、金属蒸着膜、導電性織布、導電性不織布等を用いることができる。シールド層35において導電性を発現する成分としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、銀、鉄等が挙げられ、特に比較的に安価で導電性に優れる銅又はアルミニウムが好適である。絶縁層36は、上記した絶縁フィルム34と同様なので重複する説明を省略する。シールド層35と、グランド用基幹導体32とは、詳細には図示しないが、電気的に接続されている。
【0041】
導体保持接着剤33の下面に積層された絶縁フィルム34の下面にも、シールド層35と絶縁層36が積層されている。これらシールド層35及び絶縁層36は、絶縁フィルム34の上面に積層されたものと同様なので、同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0042】
分岐ケーブル13
図3に示すように、分岐ケーブル13は、分岐ケーブル13の右側に配された3個の電力用分岐導体37(分岐導体の一例)と、分岐ケーブル13の左側に配されると共に、左右方向に間隔を空けて配された2個の信号用分岐導体38(分岐導体の一例)と、信号用分岐導体38を左右から挟む位置に配された2個のグランド用分岐導体39(分岐導体の一例)と、を備える。電力用分岐導体37、信号用分岐導体38、及び
グランド用分岐導体39は、左右方向に細長く延びると共に、前後方向に間隔を空けて並んで配されている。電力用分岐導体37、信号用分岐導体38、及びグランド用分岐導体39は、長尺状且つ平板状に形成されている。
【0043】
電力用分岐導体37、信号用分岐導体38、及びグランド用分岐導体39は電気伝導性を有する材料によって形成される。電力用分岐導体37、信号用分岐導体38、及びグランド用分岐導体39の主成分としては例えば銅が挙げられる。より具体的には、電力用分岐導体37、信号用分岐導体38、及びグランド用分岐導体39は軟銅線であることが好ましい。
【0044】
図8は、分岐ケーブル13のうち、電力用分岐導体37が配された領域を示す一部拡大模式的断面図である。また、
図9は、分岐ケーブル13のうち、信号用分岐導体38及びグランド用分岐導体39が配された領域を示す一部拡大模式的断面図である。電力用分岐導体37、信号用分岐導体38、及びグランド用分岐導体39は、導体保持接着剤40に埋設された状態で、互いに間隔を空けて並んで配されている。導体保持接着剤40によって、電力用分岐導体37、信号用分岐導体38、及びグランド用分岐導体39は電気的に絶縁されている。
【0045】
図8に示すように、分岐ケーブル13の右端部寄りの位置に配された2個の電力用分岐導体37と、左端部寄りの位置に配された電力用分岐導体37とは、左右方向についてやや離間して配されている。この領域に、電力用分岐導体37を避けて、位置決め孔19Bが形成されている。
【0046】
導体保持接着剤40の上面及び下面には、絶縁フィルム41(分岐絶縁被覆の一例)が積層されている。絶縁フィルム41としては、具体的には絶縁性を有する合成樹脂製のフィルムを用いることができる。合成樹脂としては、例えば、ポリイミド、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイドなどが好適に用いられる。
【0047】
図9に示すように、分岐ケーブル13の前部に配された信号用分岐導体38、及びグランド用分岐導体39に対応する位置には、導体保持接着剤40の上面に積層された絶縁フィルム41の上面に、導電性を有するシールド層42(分岐シールドの一例)と、このシールド層42の外面を覆う絶縁層43(分岐絶縁被覆の一例)と、を有する。シールド層42は導電性を有する材料から構成される。シールド層42の材料としては、例えば、金属箔、金属蒸着膜、導電性織布、導電性不織布等を用いることができる。シールド層42において導電性を発現する成分としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、銀、鉄等が挙げられ、特に比較的に安価で導電性に優れる銅又はアルミニウムが好適である。
シールド層42上の絶縁層43は、上記した絶縁フィルム41と同様なので重複する説明を省略する。シールド層42と、グランド用分岐導体39とは、詳細には図示しないが、電気的に接続されている。
【0048】
導体保持接着剤40の下面に積層された絶縁フィルム41の下面にも、シールド層42及び絶縁層43が積層されている。これらシールド層42及び絶縁層43は、絶縁フィルム41の上面に積層されたものと同様なので、同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0049】
基幹ケーブル12と分岐ケーブル13の接続構造
続いて、基幹ケーブル12と分岐ケーブル13の接続構造(フレキシブルフラットケーブルの接続構造の一例)について説明する。
図3に示すように、ケース11の底壁11Aには、前後方向に延びて配された分岐ケーブル13の前端部よりもやや前方の位置に、基幹ケーブル12が左右方向に延びて配されている。基幹ケーブル12の上面には、分岐ケーブル13の左側縁よりもやや左方の位置であって、後部寄りの位置に、絶縁フィルム34が除去されて電力用基幹導体30が露出した複数(本実施形態では3個)の電力用基幹開口部44が設けられている。電力用基幹開口部44は、左右方向に細長い長方形状をなしている。電力用基幹開口部44は、前後方向に間隔を空けて並んで配されている。この電力用基幹開口部44から露出した電力用基幹導体30は、電力用基幹ランド45とされる。
【0050】
基幹ケーブル12の上面には、分岐ケーブル13の左側縁よりもやや左方の位置であって、前部寄りの位置に、絶縁フィルム34、シールド層35、及び絶縁層36が除去されて信号用基幹導体31が露出した複数(本実施形態では2個)の信号用基幹開口部46と、グランド用基幹導体32が露出した複数(本実施形態では2個)のグランド用基幹開口部47が設けられている。信号用基幹開口部46、及びグランド用基幹開口部47は、左右方向に細長い長方形状をなしており、前後方向に間隔を空けて並んで配されている。信号用基幹開口部46から露出した信号用基幹導体31は、信号用基幹ランド48とされる。また、グランド用基幹開口部47から露出したグランド用基幹導体32はグランド用基幹ランド49とされる。
【0051】
電力用基幹開口部44、信号用基幹開口部46、及びグランド用基幹開口部47は、例えば、パンチ加工、ドリル加工、レーザー加工等、公知の手法により形成される。
【0052】
分岐ケーブル13の上面には、前端部からやや後方の位置に、絶縁フィルム34が除去されて電力用分岐導体37が露出した複数(本実施形態では3個)の電力用分岐開口部50が設けられている。電力用分岐開口部50は、前後方向に細長い長方形状をなしている。電力用分岐開口部50は、左右方向に間隔を空けて並んで配されている。この電力用分岐開口部50から露出した電力用分岐導体37は、電力用分岐ランド51とされる。
【0053】
分岐ケーブル13の上面には、電力用分岐開口部50の左方の位置に、絶縁フィルム41、シールド層42、及び絶縁層43が除去されて信号用分岐導体38が露出した複数(本実施形態では2個)の信号用分岐開口部52と、グランド用分岐導体39が露出した複数(本実施形態では2個)のグランド用分岐開口部53が設けられている。信号用分岐開口部52、及びグランド用分岐開口部53は、前後方向に細長い長方形状をなしており、左右方向に間隔を空けて並んで配されている。信号用分岐開口部52から露出した信号用分岐導体38は、信号用分岐ランド54とされる。また、グランド用分岐開口部53から露出したグランド用分岐導体39はグランド用分岐ランド55とされる。
【0054】
電力用分岐開口部50、信号用分岐開口部52、及びグランド用分岐開口部53は、電力用基幹開口部44、信号用基幹開口部46、及びグランド用基幹開口部47と同様の手法により形成することができる。
【0055】
図10及び
図11に示すように、基幹ケーブル12に形成された電力用基幹ランド45のうち、後ろから1個目と2個目の電力用基幹ランド45は、第1基幹側バスバー56(中継導電路14の一例)の左端部に形成された2個の基幹側端子部57Aと接続されている。基幹側端子部57Aは、下方にクランク状に屈曲した形状をなしている。電力用基幹ランド45と基幹側端子部57Aとは、半田付け、ろう付け、抵抗溶接、レーザー溶接等の公知の手法により電気的に接続されている。第1基幹側バスバー56は上方から見てL字状に屈曲している。第1基幹側バスバー56の前端部は上方に屈曲すると共に2股に分岐して、後述するヒューズ26(中継導電路14の一例)のリード部59を挟持可能なヒューズ接続端子部58Aとされる。
【0056】
分岐ケーブル13に形成された電力用分岐ランド51のうち、右から1個目と2個目の電力用分岐ランド51は、第1分岐側バスバー60(中継導電路14の一例)の前端部に形成された2個の分岐側端子部61Aと接続されている。分岐側端子部61Aは下方にクランク状に屈曲した形状をなしている。電力用分岐ランド51と分岐側端子部61Aとは、半田付け、ろう付け、抵抗溶接、レーザー溶接等の公知の手法により電気的に接続されている。第1分岐側バスバー60は側方から見てクランク状に屈曲している。第1分岐側バスバー60の前端部は上方に屈曲すると共に2股に分岐して、後述するヒューズ26のリード部59を挟持可能なヒューズ接続端子部58Cとされる。
【0057】
ヒューズ26のリード部59が、第1基幹側バスバー56のヒューズ接続端子部58Aに挟持されると共に、第1分岐側バスバー60のヒューズ接続端子部58Cに挟持されることより、第1基幹側バスバー56と、第1分岐側バスバー60とがヒューズ26を介して電気的に接続される。
【0058】
基幹ケーブル12に形成された電力用基幹ランド45のうち、後ろから3個目の電力用基幹ランド45は、第2基幹側バスバー62(中継導電路14の一例)の左端部に形成された基幹側端子部57Bと接続されている。基幹側端子部57Bは、下方にクランク状に屈曲した形状をなしている。電力用基幹ランド45と基幹側端子部57Bとは、半田付け、ろう付け、抵抗溶接、レーザー溶接等の公知の手法により電気的に接続されている。第2基幹側バスバー62は上方から見てL字状に屈曲している。第2基幹側バスバー62の前端部は上方に屈曲すると共に2股に分岐して、後述するヒューズ26のリード部59を挟持可能なヒューズ接続端子部58Bとされる。
【0059】
分岐ケーブル13に形成された電力用分岐ランド51のうち、右から3個目の電力用分岐ランド51は、第2分岐側バスバー63(中継導電路14の一例)の前端部に形成された分岐側端子部61Bと接続されている。分岐側端子部61Bは、下方にクランク状に屈曲した形状をなしている。電力用分岐ランド51と分岐側端子部61Bとは、半田付け、ろう付け、抵抗溶接、レーザー溶接等の公知の手法により電気的に接続されている。第2分岐側バスバー63は側方から見てクランク状に屈曲している。第2分岐側バスバー63の前端部は上方に屈曲すると共に2股に分岐して、後述するヒューズ26のリード部59を挟持可能なヒューズ接続端子部58Dとされる。
【0060】
カバー15とケース11とが一体に組み付けられた状態で、ヒューズ接続端子部58A,58B,58C,58Dは、カバー15に設けられたヒューズ装着部25の内部に配されるようになっている。
【0061】
ヒューズ26のリード部59が、第2基幹側バスバー62のヒューズ接続端子部58Bに挟持されると共に、第2分岐側バスバー63のヒューズ接続端子部58Dに挟持されることより、第2基幹側バスバー62と、第2分岐側バスバー63とがヒューズ26を介して電気的に接続される。
【0062】
基幹ケーブル12に形成された信号用基幹ランド48は、分岐ケーブル13に形成された信号用分岐ランド54と、中継バスバー64(中継導電路14の一例)を介して電気的に接続されている。これにより、基幹ケーブル12の信号用基幹導体31と、分岐ケーブル13の信号用分岐導体38とが、電気的に接続される。本実施形態においては、2個の中継バスバー64により、基幹ケーブル12に設けられた2個の信号用基幹ランド48と、分岐ケーブル13に設けられた2個の信号用分岐ランド54とが、それぞれ接続されている。
【0063】
中継バスバー64は、信号用基幹ランド48に接続される基幹側端子部57Cと、信号用分岐ランド54に接続される分岐側端子部61Cと、を有する。本実施形態では、2個の中継バスバー64が間隔を空けて配されている。中継バスバー64は、上方から見てL字状に屈曲している。基幹側端子部57C、及び分岐側端子部61Cは、下方にクランク状に屈曲した形状をなしている。
【0064】
信号用基幹ランド48と基幹側端子部57Cとは、半田付け、ろう付け、抵抗溶接、レーザー溶接等の公知の手法により電気的に接続されている。また、信号用分岐ランド54と分岐側端子部61Cとは、半田付け、ろう付け、抵抗溶接、レーザー溶接等の公知の手法により電気的に接続されている。
【0065】
基幹ケーブル12に形成された2個のグランド用基幹ランド49は、ベースシールド部材65(シールド部材の一例)の左端部に形成された2個の基幹側グランド端子部66と、それぞれ接続されている。基幹側グランド端子部66は、下方にクランク状に屈曲した形状をなしている。グランド用基幹ランド49と基幹側グランド端子部66とは、半田付け、ろう付け、抵抗溶接、レーザー溶接等の公知の手法により電気的に接続されている。ベースシールド部材65は、上方から見て略長方形状をなす基板部67を有する。上記した基幹側グランド端子部66は、基板部67から下方にクランク状に屈曲した形状に形成されている。基板部67には、上方から見てL字状に屈曲したシールド側第1スリット68と、このシールド側第1スリット68の左方の位置に、上方から見て前後方向に延びるシールド側第2スリット69と、を有する。
【0066】
分岐ケーブル13に形成された2個のグランド用分岐ランド55は、ベースシールド部材65の前端部に形成された2個の分岐側グランド端子部70と、それぞれ接続されている。分岐側グランド端子部70は、基板部67から下方にクランク状に屈曲した形状をなしている。グランド用分岐ランド55と分岐側グランド端子部70とは、半田付け、ろう付け、抵抗溶接、レーザー溶接等の公知の手法により電気的に接続されている。
【0067】
第1基幹側バスバー56、第1分岐側バスバー60、第2基幹側バスバー62、第2分岐側バスバー63、及び中継バスバー64は、絶縁製の合成樹脂からなる絶縁板71の上面に配されている。絶縁板71の上面には上方に突出する複数条のリブ72が形成されている。このリブ72が介在することによって、第1基幹側バスバー56、第1分岐側バスバー60、第2基幹側バスバー62、第2分岐側バスバー63、及び中継バスバー64は、互いに電気的に絶縁されている。
【0068】
図10に示すように、絶縁板71の下面には、下方に突出する複数の脚部73が形成されている。この脚部73により、絶縁板71は、ケース11の底壁11Aに載置された状態で、ケース11の底壁11Aと間隔を空けて配されるようになっている。
【0069】
絶縁板71の下面には、ベースシールド部材65が配されている。ベースシールド部材65の基板部67は、上方から見て、絶縁板71を介して2個の中継バスバー64と重なる位置に配されるようになっている。絶縁板71には、ベースシールド部材65が絶縁板71に配された状態で、ベースシールド部材65のシールド側第1スリット68及びシールド側第2スリット69に対応する位置に、それぞれ、絶縁板側第1スリット74及び絶縁板側第2スリット75が形成されている。
【0070】
絶縁板71と、第1基幹側バスバー56、第1分岐側バスバー60、第2基幹側バスバー62、第2分岐側バスバー63、及び中継バスバー64、並びに、ベースシールド部材65とは、接着、熱溶着等の公知の手法により固定されている。
【0071】
絶縁板71の上方には、カバー15にネジ止めされたカバーシールド部材27(シールド部材の一例)が配置されるようになっている。カバーシールド部材27は、上壁76と、上壁76の側縁から下方に延びる、第1側壁77と、第2側壁78と、を有する。第1側壁77は上方から見てL字状に屈曲している。この第1側壁77は、上記したシールド側第1スリット68及び絶縁板側第1スリット74に対応した形状をなしており、第1側壁77の下端部は、シールド側第1スリット68及び絶縁板側第1スリット74に上方から挿通され、絶縁板71の下方に貫通するようになっている。
【0072】
第2側壁78は上方から見て前後方向に延びて形成されている。この第2側壁78は、上記したシールド側第2スリット69及び絶縁板側第2スリット75に対応した形状をなしており、第2側壁78の下端部は、シールド側第2スリット69及び絶縁板側第2スリット75に上方から挿通され、絶縁板71の下方に貫通するようになっている。
【0073】
ケース11にカバー15を組み付けた状態で、中継バスバー64の下方には絶縁板71を介してベースシールド部材65が配され、中継バスバー64の側方及び上方にはカバーシールド部材27が配されている。これにより、中継バスバー64は、ベースシールド部材65及びカバーシールド部材27によって包囲された状態になっている。本実施形態においては、ベースシールド部材65とカバーシールド部材27とは電気的に接続されていない。
【0074】
第1基幹側バスバー56、第1分岐側バスバー60、第2基幹側バスバー62、第2分岐側バスバー63、中継バスバー64、ベースシールド部材65、及びカバーシールド部材27は、金属板材をプレス加工することにより所定の形状に形成される。金属板材は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、任意の金属から必要に応じて選択できる。第1基幹側バスバー56、第1分岐側バスバー60、第2基幹側バスバー62、第2分岐側バスバー63、中継バスバー64、ベースシールド部材65、及びカバーシールド部材27の表面には、メッキ層が形成されていてもよい。メッキ層を構成する金属としては、スズ、ニッケル等、任意の金属から必要に応じて選択できる。
【0075】
本実施形態の製造工程の一例
続いて、本実施形態に係る分岐箱10の製造工程の一例について説明する。なお、分岐箱10の製造工程は以下の記載に限定されない。
【0076】
合成樹脂により、ケース11とカバー15を射出成型する。また、合成樹脂により、絶縁板71を射出成型する。
【0077】
基幹ケーブル12の上面に、電力用基幹開口部44、信号用基幹開口部46、及びグランド用基幹開口部47を形成し、それぞれ、電力用基幹ランド45、信号用基幹ランド48、及びグランド用基幹ランド49を露出させる。
【0078】
分岐ケーブル13の上面に電力用分岐開口部50、信号用分岐開口部52、及びグランド用分岐開口部53を形成し、それぞれ、電力用分岐ランド51、信号用分岐ランド54、及びグランド用分岐ランド55を露出させる。
【0079】
図12に示すように、ケース11に設けられた、左側挟持部20A、右側挟持部20B、及び分岐挟持部20Cを、ヒンジ21を軸に回動させることにより、上方に跳ね上げる。
【0080】
図12に示すように、ケース11の後部に基幹ケーブル12を載置する。このとき、ケース11の位置決めピン18Aが、基幹ケーブル12の位置決め孔19Aの内部に挿入されるようにする。これにより、基幹ケーブル12がケース11に位置決めされた状態で載置される。
【0081】
ケース11の前部に、分岐ケーブル13を載置する。このとき、ケース11の位置決めピン18Bが、分岐ケーブル13の位置決め孔19Bの内部に挿入されるようにする。これにより、分岐ケーブル13ルがケース11に位置決めされた状態で載置される。
【0082】
図13に示すように、左側挟持部20A、及び右側挟持部20Bを、ヒンジ21を軸に回動させることにより、ケース11の底壁11Aに向けて移動させる。左側挟持部20A、及び右側挟持部20Bのロック爪22と、ケース11の被ロック部23とを弾性的に係合させる。これにより、左側挟持部20A、及び右側挟持部20Bと、ケース11の底壁11Aとの間に基幹ケーブル12が挟持される。
【0083】
分岐挟持部20Cを、ヒンジ21を軸に回動させることにより、ケース11の底壁11Aに向けて移動させる。分岐挟持部20Cのロック爪22と、ケース11の被ロック部23とを弾性的に係合させる。これにより、分岐挟持部20Cと、ケース11の底壁11Aとの間に分岐ケーブル13が挟持される。
【0084】
電力用基幹ランド45、信号用基幹ランド48、グランド用基幹ランド49、電力用分岐ランド51、信号用分岐ランド54、及びグランド用分岐ランド55の上面に、半田ペーストを、スクリーン印刷等の公知の手法により塗布する。
【0085】
金属板材をプレス加工することにより、第1基幹側バスバー56、第1分岐側バスバー60、第2基幹側バスバー62、第2分岐側バスバー63、中継バスバー64、ベースシールド部材65、及びカバーシールド部材27を形成する。
【0086】
第1基幹側バスバー56、第1分岐側バスバー60、第2基幹側バスバー62、第2分岐側バスバー63、及び中継バスバー64を絶縁板71の上面に配置すると共に、ベースシールド部材65を絶縁板71の下面に配置し、熱溶着により、これらを絶縁板71に固定する。
【0087】
図14及び
図16に示すように、絶縁板71に、第1基幹側バスバー56、第1分岐側バスバー60、第2基幹側バスバー62、第2分岐側バスバー63、中継バスバー64、及びベースシールド部材65が固定されたものを、ケース11に載置された基幹ケーブル12及び分岐ケーブル13の上に配置する。この作業は、作業者が行ってもよいし、また、マウンター等の機械を用いてもよい。
【0088】
電力用基幹ランド45には、第1基幹側バスバー56、及び第2基幹側バスバー62の基幹側端子部57A,57Bの下端部が載置されるようにし、信号用基幹ランド48には、中継バスバー64の基幹側端子部57Cの下端部が載置されるようにし、グランド用基幹ランド49には、ベースシールド部材65の基幹側グランド端子部66の下端部が載置されるようにする。
【0089】
また、電力用分岐ランド51には、第1分岐バスバー、及び第2分岐バスバーの分岐側端子部61A,61Bの下端部が載置されるようにし、信号用分岐ランド54には、中継バスバー64の分岐側端子部61Cの下端部が載置されるようにし、グランド用分岐ランド55には、ベースシールド部材65の分岐側グランド端子部70の下端部が載置されるようにする。
【0090】
電力用基幹ランド45と、第1基幹側バスバー56、及び第2基幹側バスバー62の基幹側端子部57A,57Bの下端部とを半田付けし、信号用基幹ランド48と、には、中継バスバー64の基幹側端子部57Cの下端部とを半田付けし、グランド用基幹ランド49と、ベースシールド部の基幹側グランド端子部66の下端部と、を半田付けする。
【0091】
また、電力用分岐ランド51と、第1分岐バスバー、及び第2分岐バスバーの分岐側端子部61A,61Bの下端部とを半田付けし、信号用分岐ランド54と、中継バスバー64の分岐側端子部61Cの下端部とを半田付けし、グランド用分岐ランド55と、ベースシールド部材65の分岐側グランド端子部70の下端部とを半田付けする。
【0092】
はんだ付けは、作業者が半田ごてを用いて行ってもよく、また、公知のリフロー半田付けにより行ってもよく、必要に応じて任意の手法を選択することができる。
【0093】
図5に示すように、カバーシールド部材27を、カバー15の上板の下面に、ビス29によりネジ止めする。
【0094】
図15に示すように、カバー15をケース11に対して上方から組み付ける。ケース11の側壁に設けられたロック部16と、カバー15の側壁に設けられたロック受け部17とが弾性的に係合することにより、ケース11とカバー15とが一体に組み付けられる。
【0095】
図17に示すように、カバー15に設けられたヒューズ装着部25に上方から、2個のヒューズ26を装着する。ヒューズ26のリードが、ヒューズ接続端子部58A,58B,58C,58Dに挟持されることにより、一のヒューズ26が、第1基幹側バスバー56及び第1分岐側バスバー60と電気的に接続され、他のヒューズ26が第2基幹側バスバー62及び第2分岐側バスバー63と電気的に接続される。これにより、本実施形態に係る分岐箱10が完成する(
図1参照)。分岐箱10は、車両に、任意の姿勢で配置することができる。
【0096】
本実施形態の作用効果
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態に係る基幹ケーブル12と分岐ケーブル13との接続構造は、基幹ケーブル12と、分岐ケーブル13と、中継導電路14と、を備える。基幹ケーブル12は、電力用基幹導体30,並びに信号用基幹導体31と、電力用基幹導体30を覆う絶縁フィルム34、及び信号用基幹導体31を覆う絶縁フィルム34及び絶縁層36と、を備える。分岐ケーブル13は、電力用分岐導体37、及び信号用分岐導体38と、電力用分岐導体37を覆う絶縁フィルム41、並びに信号用分岐導体38を覆う絶縁フィルム41及び絶縁層43と、を備える。
【0097】
電力用基幹導体30と電力用分岐導体37とは、第1基幹側バスバー56、ヒューズ26、及び第1分岐側バスバー60により電気的に接続されていると共に、第2基幹側バスバー62、ヒューズ26、及び第2分岐側バスバー63により電気的に接続されている。信号用基幹導体31と信号用分岐導体38とは中継バスバー64により電気的に接続されている。
【0098】
電力用基幹導体30は、絶縁フィルム34に設けられた電力用基幹開口部44から露出する電力用基幹ランド45を有し、電力用分岐導体37は絶縁フィルム41に設けられた電力用分岐開口部50から露出する電力用分岐ランド51を有し、第1基幹側バスバー56及び第2基幹側バスバー62は、それぞれ、電力用基幹ランド45に接続された基幹側端子部57A,57Bを有し、第1分岐側バスバー60及び第2分岐側バスバーは、それぞれ、電力用分岐ランド51に接続された分岐側端子部61A,61Bと、を有する。
【0099】
信号用基幹導体31は、絶縁フィルム34、シールド層35、及び絶縁層36に設けられた信号用基幹開口部46から露出する信号用基幹ランド48を有し、信号用分岐導体38は、絶縁フィルム34、シールド層35、及び絶縁層36に設けられた信号用分岐開口部52から露出する信号用分岐ランド54を有し、中継バスバー64は、信号用基幹ランド48に接続された基幹側端子部57Cと、信号用分岐ランド54に接続された分岐側端子部61Cと、を有する。
【0100】
上記の構成によれば、電力用基幹導体30に設けられた電力用基幹ランドと、基幹側端子部57A,57Bとが接続されており、電力用分岐導体37に設けられた電力用分岐ランド51と、分岐側端子部61A,61Bとが接続されている。また、信号用基幹導体31に設けられた信号用基幹ランド48と、基幹側端子部57Cとが接続されており、信号用分岐導体38に設けられた信号用分岐ランド54と、分岐側端子部61Cとが接続されている。これにより、導体に接続部材を突き刺すことにより複数のフレキシブルフラットケーブルを接続する場合に比べて、より広い面積で、基幹ケーブル12の電力用基幹導体30と分岐ケーブル13の電力用分岐導体37とを電気的に接続することができると共に、基幹ケーブル12の信号用基幹導体31と分岐ケーブル13の信号用分岐導体38とを電気的に接続することができる。この結果、基幹ケーブル12と分岐ケーブル13との電気的な接続信頼性を向上させることができる。
【0101】
本実施形態においては、中継バスバー64によって、基幹ケーブル12の信号用基幹導体31と分岐ケーブル13の信号用分岐導体38とを電気的に接続することができる。
【0102】
本実施形態においては、基幹側端子部57Aを有する第1基幹側バスバー56と、第1基幹側バスバー56に設けられたヒューズ接続端子部58Aに接続されるヒューズ26と、ヒューズ26が接続されるヒューズ接続端子部58Cを有すると共に、分岐側端子部61Aを有する第1分岐側バスバー60と、によって、基幹ケーブル12の電力用基幹導体30と、分岐ケーブル13の電力用分岐導体37とを、ヒューズ26を介して電気的に接続することができる。また、基幹側端子部57Bを有する第2基幹側バスバー62と、第2基幹側バスバー62に設けられたヒューズ接続端子部58Bに接続されるヒューズ26と、ヒューズ26が接続されるヒューズ接続端子部58Dを有すると共に、分岐側端子部61Bを有する第2分岐側バスバー63と、によって、基幹ケーブル12の電力用基幹導体30と、分岐ケーブル13の電力用分岐導体37とを、ヒューズ26を介して電気的に接続することができる。
【0103】
上記の構成により、基幹ケーブル12と分岐ケーブル13との間に過電流が流れることを抑制することができる。
【0104】
本実施形態によれば、第1基幹側バスバー56、第1分岐側バスバー60、第2基幹側バスバー62、第2分岐側バスバー63、及び中継バスバー64は、絶縁性の合成樹脂からなる絶縁板71に組み付けられている。
【0105】
上記の構成によれば、第1基幹側バスバー56、第1分岐側バスバー60、第2基幹側バスバー62、第2分岐側バスバー63、及び中継バスバー64が組み付けられた絶縁板71を、基幹ケーブル12、及び分岐ケーブル13の所定の位置に載置することにより、電力用基幹ランド45、及び信号用基幹ランド48のそれぞれに基幹側端子部57A,57Bを載置すると共に、電力用分岐ランド51、及び信号用分岐ランド54のそれぞれに分岐側端子部61A,61Bを載置することができる。この結果、第1基幹側バスバー56及び第2基幹側バスバー62と、電力用基幹ランド45と、を接続する作業、並びに、第1分岐側バスバー60及び第2分岐側バスバー63と、電力用分岐ランド51と、を接続する作業の効率を向上させることができる。また、中継バスバー64と、信号用基幹ランド48及び信号用分岐ランド54と、を接続する作業の効率を向上させることができる。
【0106】
本実施形態に係る基幹ケーブル12と分岐ケーブル13との接続構造は、信号用基幹導体31と、グランド用基幹導体32と、グランド用基幹導体32に電気的に接続されると共に信号用基幹導体31の外周を包囲して信号用基幹導体31を電磁的にシールドするシールド層35と、信号用基幹導体31、グランド用基幹導体32、及びシールド層35を覆う絶縁層36と、を備えた基幹ケーブル12と、信号用分岐導体38と、グランド用分岐導体39と、グランド用分岐導体39に電気的に接続されると共に信号用分岐導体38の外周を包囲して信号用分岐導体38を電磁的にシールドするシールド層42と、信号用分岐導体38、グランド用分岐導体39、及びシールド層42を覆う絶縁層43と、を備えた分岐ケーブル13と、信号用基幹導体31に接続される基幹側端子部57Cと、信号用分岐導体38に接続される分岐側端子部61Cと、を有する中継バスバー64と、中継バスバー64を包囲して中継バスバー64を電磁的にシールドするベースシールド部材65及びカバーシールド部材27と、を備える。
【0107】
上記の構成によれば、ベースシールド部材65及びカバーシールド部材27によって、中継バスバー64を電磁的にシールドすることができる。これにより、基幹ケーブル12の信号用基幹導体31と、分岐ケーブル13の信号用分岐導体38とを、電磁的にシールドした状態で接続することができる。
【0108】
また、本実施形態によれば、ベースシールド部材65は、グランド用基幹導体32に接続される基幹側グランド端子部66と、グランド用分岐導体39に接続される分岐側グランド端子部70と、を備える。これにより、中継バスバー64に対するシールド性能を向上させることができる。
【0109】
また、本実施形態によれば、ベースシールド部材65を、グランド用基幹導体32及びグランド用分岐導体39に接続し、ベースシールド部材65とカバーシールド部材27の間に中継バスバー64を配することにより、中継バスバー64をシールドすることができる。
【0110】
本実施形態にかかる分岐箱10は、ケース11と、ケース11に固定された基幹ケーブル12と、基幹ケーブル12と電気的に接続された状態でケース11に固定される分岐ケーブル13と、ケース11に組み付けられて、基幹ケーブル12、及び分岐ケーブル13を覆うカバー15と、を備える。
【0111】
基幹ケーブル12は電力用基幹導体30と、電力用基幹導体30を覆う絶縁フィルム34と、を有し、分岐ケーブル13は電力用分岐導体37と、電力用分岐導体37を覆う絶縁フィルム41と、を有する。電力用基幹導体30のうち絶縁フィルム34に設けられた電力用基幹開口部44から露出する電力用基幹ランド45と、電力用分岐導体37のうち絶縁フィルム41に設けられた電力用分岐開口部50から露出する電力用分岐ランド51とに、中継導電路14(第1基幹側バスバー56、第2基幹側バスバー62、ヒューズ26、第1分岐側バスバー60、及び第2分岐側バスバー63)が電気的に接続されている。
【0112】
また、基幹ケーブル12は信号用基幹導体31と、信号用基幹導体31を覆う絶縁フィルム34及び絶縁層36と、を有し、分岐ケーブル13は信号用分岐導体38と、信号用分岐導体38を覆う絶縁フィルム41及び絶縁層43と、を有する。信号用基幹導体31のうち絶縁フィルム34及び絶縁層36に設けられた信号用基幹開口部46から露出する信号用基幹ランド48と、信号用分岐導体38のうち絶縁フィルム41及び絶縁層43に設けられた信号用分岐開口部52から露出する信号用分岐ランド54とに、中継導電路14(中継バスバー64)が電気的に接続されている。
【0113】
上記の構成によれば、ケース11に、基幹ケーブル12、及び分岐ケーブル13を固定することにより、基幹ケーブル12と分岐ケーブル13とを位置決めした状態で、中継導電路14によって基幹ケーブル12と分岐ケーブル13とを電気的に接続することができる。
【0114】
本実施形態によれば、ケース11は、底壁11Aと、底壁11Aとの間で基幹ケーブル12を挟持する左側挟持部20A及び右側挟持部20Bと、底壁11Aとの間で分岐ケーブル13を挟持する分岐挟持部20Cと、を有する。
【0115】
上記の構成によれば、ケース11に対して、左側挟持部20A及び右側挟持部20Bによって基幹ケーブル12を固定すると共に、分岐挟持部20Cによって分岐ケーブル13を固定することができる。
【0116】
本実施形態によれば、ケース11は、底壁11Aから突出する位置決めピン18A,18Bを有し、基幹ケーブル12には位置決め孔19Aが貫通形成されており、分岐ケーブル13には位置決め孔19Bが貫通形成されている。
【0117】
上記の構成によれば、ケース11に対して、基幹ケーブル12、及び分岐ケーブ、を確実に固定することができる。
【0118】
<実施形態2>
次に、本明細書に開示された技術の実施形態2に係る分岐箱80を
図18から
図25を参照しつつ説明する。
【0119】
カバー81
図19に示すように、カバー81の上壁の後部には、左右方向に延びる部分のうち、やや左側に位置する領域に、前後方向に延びる基幹作業孔82が上下に貫通している。基幹作業孔82は上方から見て長方形状をなしている。基幹作業孔82の孔縁部は、カバー81の上壁から僅かに上方に突出する枠部83とされる。枠部83の前端部には、後述するサブカバー係止爪84が係止するサブカバー係止受け部85が前方に膨出して形成されている。
【0120】
基幹作業孔82の後端部には、ヒンジ87を介して後方に延びる基幹サブカバー86が、カバー81と一体に形成されている。基幹サブカバー86は前後方向に細長く延びた形状をなしており、基幹作業孔82と同じか、又はやや大きく形成されており、基幹作業孔82を塞ぐことができるようになっている(
図18参照)。基幹サブカバー86の後端部には弾性変形可能なサブカバー係止爪84が設けられている。基幹サブカバー86は、ヒンジ87が変形することにおりヒンジ87を軸にして回動し、基幹作業孔82を塞ぐようになっている。このとき、サブカバー係止爪84が、サブカバー係止受け部85と弾性的に係止することにより、基幹サブカバー86が基幹作業孔82を塞いだ状態で保持される。
【0121】
図19に示すように、カバー81の上壁のうち、前方に突出した部分であって、ヒューズ装着部25の前方の位置には、左右方向に延びる分岐作業孔88が上下に貫通している。分岐作業孔88は上方から見て長方形状をなしている。分岐作業孔88の孔縁部は、カバー81の上壁から僅かに上方に突出する枠部83とされる。枠部83の左端部には、サブカバー係止爪84が係止するサブカバー係止受け部85が前方に膨出して形成されている。
【0122】
分岐作業孔88の右端部には、ヒンジ87を介して右方に延びる分岐サブカバー90が、カバー81と一体に形成されている。分岐サブカバー90は左右方向に細長く延びた形状をなしており、分岐作業孔88と同じか、又はやや大きく形成されており、分岐作業孔88を塞ぐことができるようになっている(
図18参照)。分岐サブカバー90の右端部には弾性変形可能なサブカバー係止爪84が設けられている。分岐サブカバー90は、ヒンジ87が変形することにおりヒンジ87を軸にして回動し、分岐作業孔88を塞ぐようになっている。このとき、サブカバー係止爪84が、サブカバー係止受け部85と弾性的に係止することにより、分岐サブカバー90が分岐作業孔88を塞いだ状態で保持される。
【0123】
図22に示すように、カバー81の上壁の下面には、第1基幹側バスバー56、第1分岐側バスバー60、第2基幹側バスバー62、第2分岐側バスバー63、及び中継バスバー64が配索される配索部91が、下方に突出して形成されている。配索部91の下面には下方に突出する複数条のリブ92が形成されている。このリブ92が介在することによって、第1基幹側バスバー56、第1分岐側バスバー60、第2基幹側バスバー62、第2分岐側バスバー63、及び中継バスバー64は、互いに電気的に絶縁されている。配索部91と、第1基幹側バスバー56、第1分岐側バスバー60、第2基幹側バスバー62、第2分岐側バスバー63、及び中継バスバー64、とは、接着、熱溶着等の公知の手法により固定されている。
【0124】
図21に示すように、配索部91には、カバーシールド部材93が装着される装着凹部94が、上方に陥没して形成されている。装着凹部94は、カバーシールド部材93の外形状よりも大きく形成されており、カバーシールド部材93を収容可能に形成されている。カバーシールド部材93は、カバー81に対してビス29によりネジ止めされている。
【0125】
カバーシールド部材93の側壁の下端部には、下方に突出するカバー側接続片95が設けられている。カバー側接続片95は、側方から見て長方形状をなしている。
【0126】
図23に示すように、配索部91には、絶縁性の合成樹脂からなる絶縁板96が、下方から組み付けられる。配索部91の側面には外方に突出するロック部97が設けられている(
図20参照)。カバー81の上壁には、ロック部97に対応する位置に、ロック部97を射出成型するための型抜き孔98が形成されている。絶縁板96には、ロック部97に対応する位置に、ロック部97と弾性的に係止する門形状をなすロック受け部99が上方に突出して形成されている。ロック受け部99がロック部97と弾性的に係止することにより、絶縁板96は配索部91に取り付けられる。これにより、配索部91と、絶縁板96との間に、第1基幹側バスバー56、第1分岐側バスバー60、第2基幹側バスバー62、第2分岐側バスバー63、及び中継バスバー64が挟持されるようになっている。
【0127】
ベースシールド部材100
図24に示すように、絶縁板96の下面には、ベースシールド部材100が配されている。ベースシールド部材100は、上方から見てL字状をなしている。カバー81の配索部91に中継バスバー64が取り付けられ、且つ、絶縁板96の下面にベースシールド部材100が取り付けられた状態で、上方から見て、中継バスバー64とベースシールド部材100とは上下に重畳する配置となっている。ベースシールド部材100の外形状は、中継バスバー64の配索スペースよりも、やや大きく設定されている。これにより、ベースシールド部材100は、中継バスバー64に対して、下方からノイズが混入することを抑制することができる。
【0128】
ベースシールド部材100の側縁には、カバーシールド部材93に形成されたカバー側接続片95と対応する位置に、下方に垂下するベース側接続片101が形成されている。ベース側接続片101は側方から見て長方形状をなしている。このベース側接続片101と、カバー81に設けられたカバー側接続片95とは、略同じ大きさに形成されている。カバー81に、カバーシールド部材93と、ベースシールド部材100とが組み付けられた状態で、カバー側接続片95とベース側接続片101とが接触するようになっている。これにより、カバーシールド部材93とベースシールド部材100とが電気的に接続されるようになっている。
【0129】
基幹作業孔82及び分岐作業孔89
図20に示すように、基幹ケーブル12と分岐ケーブル13が所定の位置に固定されたケース11に、基幹サブカバー86、及び分岐サブカバー90が開放された状態のカバー15を取り付けると、基幹作業孔82からは、電力用基幹開口部44、電力用基幹ランド45、第1基幹側バスバー56の基幹側端子部57A、第2基幹側バスバー62の基幹側端子部57B、信号用基幹開口部46、信号用基幹ランド48、中継バスバー64の基幹側端子部57C、グランド用基幹開口部47、グランド用基幹ランド49、及びベースシールド部材100の基幹側グランド端子部66が露出するようになっている。これにより、基幹作業孔82からカバー81の内部に、例えば半田ごて等の治具(図示せず)を挿入し、電力用基幹ランド45と、第1基幹側バスバー56及び第2基幹側バスバー62の基幹側端子部57A,57Bと、の接続作業を行い、信号用基幹ランド48と、中継バスバー64の基幹側端子部57Cと、の接続作業を行い、更に、グランド用基幹ランド49と、ベースシールド部材100の基幹側グランド端子部66と、の接続作業を行うことができるようになっている。
【0130】
また、分岐作業孔88からは、電力用分岐開口部50、電力用分岐ランド51、第1分岐側バスバー60の分岐側端子部61A、第2分岐側バスバー63の分岐側端子部61B、信号用分岐開口部52、信号用分岐ランド54、中継バスバー64の分岐側端子部61C、グランド用分岐開口部53、グランド用分岐ランド55、及びベースシールド部材100の分岐側グランド端子部70が露出するようになっている。これにより、分岐作業孔88からカバー81の内部に、例えば半田ごて等の治具を挿入し、電力用分岐ランド51と、第1分岐側バスバー60及び第2分岐側バスバー63の分岐側端子部61A,61Bと、の接続作業を行い、信号用分岐ランド54と、中継バスバー64の分岐側端子部61Cと、の接続作業を行い、更に、グランド用分岐ランド55と、ベースシールド部材100の分岐側グランド端子部70と、の接続作業を行うことができるようになっている。
【0131】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0132】
本実施形態の製造工程の一例
続いて、本実施形態に係る分岐箱80の製造工程の一例について説明する。なお、分岐箱80の製造工程は以下の記載に限定されない。実施形態1に係る分岐箱80の製造工程と重複する工程については、説明を省略する。
【0133】
ケース11の所定位置に基幹ケーブル12を載置して固定する。ケース11の所定位置に分岐ケーブル13を載置して固定する。電力用基幹ランド45、信号用基幹ランド48、グランド用基幹ランド49、電力用分岐ランド51、信号用分岐ランド54、及びグランド用分岐ランド55の上面に、半田ペーストを、スクリーン印刷等の公知の手法により塗布する。
【0134】
図21に示すように、カバー81の上壁の下面に形成された配索部91の装着凹部94に、カバーシールド部材93を下方から組み付け、カバーシールド部材93をカバー81に対してビス29によりネジ止めする。
【0135】
図22に示すように、配索部91に、下方から、第1基幹側バスバー56、第1分岐側バスバー60、第2基幹側バスバー62、第2分岐側バスバー63、及び中継バスバー64を組み付け、接着、熱溶着等の公知の手法により固定する。
【0136】
図23に示すように、絶縁板96を配索部91に対して下方から組み付ける。配索部91のロック部97に、絶縁板96のロック受け部99を弾性的に係止させることにより、配索部91と絶縁板96により、第1基幹側バスバー56、第1分岐側バスバー60、第2基幹側バスバー62、第2分岐側バスバー63、及び中継バスバー64を挟持する。
【0137】
図24に示すように、絶縁板96に対して下方からベースシールド部材100を組み付け、接着、熱溶着等の公知の手法により固定する。このとき、カバーシールド部材93のカバー側接続片95と、ベースシールド部材100のベース側接続片101とを当接させることにより、カバーシールド部材93とベースシールド部材100とを電気的に接続する。
【0138】
カバー81に設けられたヒューズ装着部25に上方から、2個のヒューズ26を装着する。ヒューズ26のリードが、ヒューズ接続端子部58A,58B,58C,58Dに挟持されることにより、一のヒューズ26が、第1基幹側バスバー56及び第1分岐側バスバー60と電気的に接続され、他のヒューズ26が第2基幹側バスバー62及び第2分岐側バスバー63と電気的に接続される。
【0139】
図25に示すように、ケース11に対して、カバー81を上方から組み付ける。ケース11の側壁に設けられたロック部16と、カバー81の側壁に設けられたロック受け部17とが弾性的に係合することにより、ケース11とカバー81とが一体に組み付けられる。
【0140】
基幹作業孔82から半田ごて等の治具(図示せず)をカバー81内に挿入し、電力用基幹ランド45と、第1基幹側バスバー56及び第2基幹側バスバー62の基幹側端子部57A,57Bと、の接続作業を行い、信号用基幹ランド48と、中継バスバー64の基幹側端子部57Cと、の接続作業を行い、更に、グランド用基幹ランド49と、ベースシールド部材100の基幹側グランド端子部66と、の接続作業を行う(
図20参照)。
【0141】
分岐作業孔88から半田ごて等の治具をカバー81内に挿入し、電力用分岐ランド51と、第1分岐バスバー及び第2分岐側バスバー63の分岐側端子部61A,61Bと、の接続作業を行い、信号用分岐ランド54と、中継バスバー64の分岐側端子部61Cと、の接続作業を行い、更に、グランド用分岐ランド55と、ベースシールド部材100の分岐側グランド端子部70と、の接続作業を行う(
図20参照)。
【0142】
基幹サブカバー86をヒンジ21を軸にして回動させ、サブカバー係止爪84とサブカバー係止受け部85とを弾性的に係止させることにより、基幹作業孔82を基幹サブカバー86によって塞ぐ。同様にして、分岐作業孔88を分岐サブカバー90によって塞ぐ。これにより、本実施形態に係る分岐箱80が完成する(
図18参照)。
【0143】
本実施形態の作用効果
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態によれば、カバー81は、基幹ランドに対応する位置に開口すると共に電力用基幹ランド45及び信号用基幹ランド48が臨む基幹作業孔82を有すると共に、分岐ランドに対応する位置に開口すると共に電力用分岐ランド51及び信号用分岐ランド54が臨む分岐作業孔88を有し、カバー81は、基幹作業孔82を塞ぐ基幹サブカバー86が取り付けられるようになっていると共に、分岐作業孔88を塞ぐ分岐サブカバー90が取り付けられるようになっている。
【0144】
上記の構成によれば、ケース11にカバー81を取り付けた状態で、基幹作業孔82から治具を挿入して、電力用基幹ランド45と、第1基幹側バスバー56及び第2基幹側バスバー62の基幹側端子部57A,57Bとの接続作業を行うと共に、信号用基幹ランド48と、中継バスバー64の基幹側端子部57Cと、の接続作業を行うことができる。また、電力用分岐ランド51と、第1分岐側バスバー60及び第2分岐側バスバー63の分岐側端子部61A,61Bと、の接続作業を行うと共に、信号用分岐ランド54と、中継バスバー64の分岐側端子部61Cと、の接続作業を行うことができる。その後、基幹作業孔82を基幹サブカバー86で塞ぐと共に、分岐作業孔88を分岐サブカバー90で塞ぐことにより、ケース11内に、塵埃等の異物が侵入することを抑制することができる。これにより、分岐箱80を製造する際の作業性を向上させることができる。
【0145】
本実施形態によれば、ベースシールド部材100と、カバーシールド部材93とは、電気的に接続されている。
【0146】
上記の構成によれば、グランド用基幹導体32、グランド用分岐導体39、ベースシールド部材100、及びカバーシールド部材93を電気的に接続することができるので、中継バスバー64を確実にシールドすることができる。
【0147】
<実施形態3>
次に、本明細書に開示された技術の実施形態3を
図26から
図29を参照しつつ説明する。
【0148】
図27に示すように、絶縁板110は、絶縁性の合成樹脂からなり、上方から見て略長方形状をなしている。絶縁板110は、上方から見てL字状に屈曲した絶縁板側第1スリット74と、この絶縁板側第1スリット74の左方の位置に、上方から見て前後方向に延びる絶縁板側第2スリット75と、を有する。
【0149】
第1基幹側バスバー56、第1分岐側バスバー60、第2基幹側バスバー62、第2分岐側バスバー63、及び中継バスバー64は、絶縁板110の上面に配されている。絶縁板110の上面には上方に突出する複数条のリブ72が形成されている。このリブ72が介在することによって、第1基幹側バスバー56、第1分岐側バスバー60、第2基幹側バスバー62、第2分岐側バスバー63、及び中継バスバー64は、互いに電気的に絶縁されている。
【0150】
図26に示すように、絶縁板110の上面には、カバーシールド部材111が配されるようになっている。カバーシールド部材111は、上壁と、上壁の側縁から下方に延びる、第1側壁112と、第2側壁113と、を有する。第1側壁112は上方から見てL字状に屈曲している。この第1側壁112は、上記した絶縁板側第1スリット74に対応した形状をなしており、第1側壁112の下端部は、絶縁板側第1スリット74に上方から挿通されるようになっている。
【0151】
第2側壁113は上方から見て前後方向に延びて形成されている。この第2側壁113は、上記した絶縁板側第2スリット75に対応した形状をなしており、第2側壁113の下端部は、絶縁板側第2スリット75に上方から挿通されるようになっている。
【0152】
図27に示すように、カバーシールド部材111の第1側壁112、及び第2側壁113の下端縁には、下方に突出するカバー側接続片115が設けられている。カバー側接続片115は側方から見て略長方形状をなしている。
【0153】
絶縁板110の下面には、下方に突出する複数の脚部73が形成されている。この脚部73により、絶縁板110は、ケース11の底壁11Aに載置された状態で、底壁11Aと間隔を空けて配されるようになっている。
【0154】
絶縁板110の下面には、ベースシールド部材114が配されている。ベースシールド部材114は、上方から見てL字状をなしている。カバー81の配索部91に中継バスバー64が取り付けられ、且つ、絶縁板110の下面にベースシールド部材114が取り付けられた状態で、上方から見て、中継バスバー64とベースシールド部材114とは上下に重畳する配置となっている。ベースシールド部材114の外形状は、中継バスバー64の配索スペースよりも、やや大きく設定されている。これにより、ベースシールド部材114は、中継バスバー64に対して、下方からノイズが混入することを抑制することができる。
【0155】
ベースシールド部材114の側縁には、カバーシールド部材111に形成されたカバー側接続片115と対応する位置に、下方に垂下するベース側接続片116が形成されている。ベース側接続片116は側方から見て長方形状をなしている。このベース側接続片116と、カバー81に設けられたカバー側接続片115とは、略同じ大きさに形成されている。
【0156】
図28及び
図29に示すように、カバー81に、カバーシールド部材111と、ベースシールド部材114とが組み付けられた状態で、カバー側接続片115とベース側接続片116とが接触するようになっている。これにより、カバーシールド部材111とベースシールド部材114とが電気的に接続されるようになっている。
【0157】
絶縁板110と、第1基幹側バスバー56、第1分岐側バスバー60、第2基幹側バスバー62、第2分岐側バスバー63、及び中継バスバー64、並びに、ベースシールド部材114とは、接着、熱溶着等の公知の手法により固定されている。
【0158】
図28に示すように、中継バスバー64と、カバーシールド部材111との間には、絶縁性の合成樹脂からなる絶縁カバー117が配されている。絶縁カバー117は、上方から見てL字状をなしている(
図27参照)。
【0159】
図26に示すように、絶縁カバー117の前端部は、カバーシールド部材111の前端部から前方に突出する突出部118Aとされる。また、絶縁カバー117の左端部は、カバーシールド部材111の左端部から左方に突出する突出部118Bとされる。突出部118A,118Bの幅寸法は、絶縁部のうち他の部分と比べて幅広に形成されている。突出部118A,118Bの側縁からは、下方に延びる脚部119が形成されている。この脚部119が絶縁板110に上方から当接することにより、絶縁カバー117と絶縁板110との間に中継バスバー64が配索可能な空間が形成される。
【0160】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0161】
本実施形態によれば、中継バスバー64と、カバーシールド部材111との間には、絶縁性の合成樹脂からなる絶縁カバー117が介在されている。
【0162】
上記の構成によれば、中継バスバー64と、カバーシールド部材111とが短絡することを抑制することができる。
【0163】
<実施形態4>
次に、本明細書に開示された技術の実施形態4を
図30を参照しつつ説明する。
【0164】
図30に示すように、本実施形態に係るベースシールド部材130においては、ベース側接続片131は、下方に突出する基部132と、この基部132の両側縁から側方に延びる一対の弾性接触片133を有する。弾性接触片133は、基部132に向かって折り返された形状になっている。基部132と、折り返された一対の弾性接触片133によって囲まれた空間内に、カバーシールド部材111のカバー側接続片115が上方から挿入されるようになっている。
【0165】
カバー側接続片115の外面が一対の弾性接触片133と当接することにより、弾性接触片133の弾発力によってカバー側接続片115が基部132へと押圧される。これにより、カバーシールド部材111とベースシールド部材130とが電気的に接続されるようになっている。
【0166】
上記以外の構成については、実施形態3と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0167】
上記の構成によれば、カバー側接続片115は、ベース側接続片131に設けられた弾性接触片133の弾発力によって、基部132へ押圧されることにより、ベース側接続片131と確実に接触することができる。これにより、カバーシールド部材111とベースシールド部材130との電気的な接続信頼性を向上させることができる。この結果、中継バスバー64に対するシールド性能を向上させることができる。
【0168】
<実施形態5>
次に、本明細書に開示された技術の実施形態5を
図31を参照しつつ説明する。
【0169】
図31に示すように、本実施形態に係るカバーシールド部材140は、前端部から前方に延出されると共に下方にクランク状に屈曲する1個の分岐側グランド端子部141を有する。この分岐側グランド端子部141は、分岐ケーブル13のグランド用分岐ランド55と電気的に接続されるようになっている。
【0170】
また、ベースシールド部材143の左端部には、左方に延出されると共に下方にクランク状に屈曲する1個の基幹側グランド端子部142を有する。この基幹側グランド端子部142は、基幹ケーブル12のグランド用基幹ランド49と電気的に接続されるようになっている。
【0171】
上記以外の構成については、実施形態4と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0172】
本実施形態によれば、ベースシールド部材143がグランド用基幹ランド49と接続されると共に、カバーシールド部材140がグランド用分岐ランド55と接続される。更に、ベースシールド部材143のベース側接続片131とカバーシールド部材140のカバー側接続片115とは、ベース側接続片131に形成された弾性接触片133の弾発力により、電気的に接続される。これにより、ベースシールド部材130とカバーシールド部材140のシールド性能を一層向上させることができる。
【0173】
<実施形態6>
次に、本明細書に開示された技術の実施形態6を、
図32から
図33を参照しつつ説明する。
【0174】
図32に示すように、本実施形態に係る第1基幹側バスバー56、第1分岐側バスバー60、第2基幹側バスバー62、第2分岐側バスバー63、中継バスバー64、カバーシールド部材150、及びベースシールド部材151は、絶縁性の合成樹脂でインサート成型されることにより、一体に形成されている。成形された合成樹脂は絶縁部152とされる。絶縁部152は、概ね、上下方向に扁平な直方体形状をなしている。絶縁部152の下面には下方に延びる脚部153が形成されている。
【0175】
図33に示すように、第1基幹側バスバー56、及び第2基幹側バスバー62のうち、基幹側端子部57A,57B、及びヒューズ接続端子部58A,58Bと異なる部分は、絶縁部152に埋設された第1基幹側埋設部154A、第2基幹側埋設部154Bとされる。また、第1分岐側バスバー60、及び第2分岐側バスバー63のうち、分岐側端子部61A,61B、及びヒューズ接続端子部58C,58Dと異なる部分は、絶縁部152に埋設された第1分岐側埋設部(図示せず)、第2分岐側埋設部(図示せず)とされる。
【0176】
中継バスバー64のうち、基幹側端子部57C、及び分岐側端子部61Cと異なる部分は、絶縁部152に埋設された埋設部155とされる。
【0177】
ベースシールド部材151は、中継バスバー64の下方の位置に、合成樹脂が介在した状態で配されている。ベースシールド部材151の前端部には、分岐側グランド端子部70が、下方にクランク状に屈曲した形状に形成されている。ベースシールド部材151の後端部は、中継バスバー64が配された位置からやや後方に延びており、合成樹脂材の内部において、上方に直角に曲がっている。ベースシールド部材151の後端部において上方に屈曲した部分は、カバーシールド部材150と、前後方向にやや間隔を空けた位置に配されている。ベースシールド部材151のうち、分岐側グランド端子部70と異なる部分は、絶縁部152に埋設されている。
【0178】
カバーシールド部材150は、中継バスバー64の上方の位置に、合成樹脂が介在した状態で配されている。カバーシールド部材150の左端部は、下方にクランク状に屈曲した形状に形成された基幹側グランド端子部66とされる。カバーシールド部材150のうち、基幹側グランド端子部66と異なる部分は、合成樹脂に埋設されている。
【0179】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0180】
本実施形態によれば、第1基幹側バスバー56、及び第2基幹側バスバー62のうち、基幹側端子部57、及びヒューズ接続端子部58A,58Bと異なる部分は、合成樹脂からなる絶縁部152に埋設された第1基幹側埋設部154A,及び第2基幹側埋設部154Bとされる。また、第1分岐側バスバー60、及び第2分岐側バスバー63のうち、分岐側端子部61A,61B、及びヒューズ接続端子部58C,58Dと異なる部分は、絶縁部152に埋設された第1分岐側埋設部、及び第2分岐側埋設部とされる。また、中継バスバー64のうち、基幹側端子部57C、及び分岐側端子部61Cと異なる部分は、絶縁部に埋設された埋設部155とされる。
【0181】
上記の構成によれば、絶縁性の合成樹脂によって、第1基幹側バスバー56、第2基幹側バスバー62、第1分岐側バスバー60、第2分岐側バスバー63、及び中継バスバー64を、確実に電気的に絶縁することができる。
【0182】
<他の実施形態>
本明細書に開示された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に開示された技術の技術的範囲に含まれる。
【0183】
(1)ケース11には、複数の基幹ケーブル12が配されていてもよく、また、複数の分岐ケーブル13が配されていてもよい。
【0184】
(2)信号線にヒューズが設けられてもよい。
【0185】
(3)電力線がシールド部材に包囲されることにより電磁的にシールドされていてもよい。
【0186】
(4)ケース11とカバー15とは、ヒンジにより一体化されていてもよい。
【0187】
(5)カバー15と、基幹サブカバー86及び分岐サブカバー90とは別部品であってもよい。また、カバー15と基幹サブカバー86及び分岐サブカバー90とが別部品であって、一方に設けられた軸部が、他方に設けられた軸受け部によって、基幹サブカバー86及び分岐サブカバー90が回動自在にカバー15に保持される構成であってもよい。
【0188】
(6)左側挟持部20A、右側挟持部20B、及び分岐挟持部20Cは省略してもよい。
【0189】
(7)基幹ケーブル12、及び分岐ケーブル13に設けられた電力用導電路の数は、1本、2本、又は、4本以上でもよい。
【0190】
(8)基幹ケーブル12、及び分岐ケーブル13に設けられた信号用導電路の数は、1本、又は3本以上でもよい。
【0191】
(9)基幹ケーブル12、及び分岐ケーブル13に設けられたグランド用導電路の数は、1本、又は3本以上でもよい。
【0192】
(10)1個の基幹ケーブル12が、複数の分岐ケーブル13に接続される構成としてもよい。