(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記中間区域における前記第2の寸法が、前記第1の区域及び前記第2の区域のうちの一方又はそれぞれにおける前記第2の寸法の半分よりも小さい、請求項1〜3のいずれか一項に記載の物品。
前記中間区域における前記第2の寸法が、前記第1の区域及び前記第2の区域のうちの一方又はそれぞれにおける前記第2の寸法の四分の一よりも小さい、請求項4に記載の物品。
前記第2の寸法が前記中間区域から前記第1の区域及び前記第2の区域のうちの一方の方に進むにつれて増加する少なくとも一つのテーパ領域を備える、請求項1〜6のいずれか一項に記載の物品。
前記少なくとも一つのテーパ領域は、前記第2の寸法が前記中間区域から前記第1の区域の方に進むにつれて増加する第1のテーパ領域と、前記第2の寸法が前記中間区域から前記第2の区域の方に進むにつれて増加する第2のテーパ領域とを備える、請求項7に記載の物品。
前記第1の寸法が当該加熱要素の長さであり、前記第2の寸法が当該加熱要素の厚さであり、前記第1の部分が当該加熱要素の第1の長手方向端部であり、前記第2の部分が当該加熱要素の、反対側の第2の長手方向端部である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の物品。
前記加熱材が、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、コバルト、導電性炭素、グラファイト、普通炭素鋼、ステンレス鋼、フェライトステンレス鋼、銅及び青銅からなる群から選択された一つ以上の材料を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の物品。
磁場発生器が、一つ以上の変動磁場のうちの第1の変動磁場を発生させるための第1のコイルと、前記一つ以上の変動磁場のうちの第2の変動磁場を発生させるための第2のコイルとを備え、前記第2の変動磁場が前記第1の変動磁場と重なり合う、請求項23〜26のいずれか一項に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本書では、用語「喫煙材」は、加熱されると揮発成分を、典型的には蒸気又はエアロゾルの形態で供する材料を含む。「喫煙材」は非タバコ含有材料であってもよいし、タバコ含有材料であってもよい。「喫煙材」は、例えば、タバコ自体、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、タバコ抽出物、均質化タバコ、又はタバコ代替品のうちの一つ以上を含んでいてもよい。喫煙材は、挽きタバコ、刻みラグタバコ、押出タバコ、再生タバコ、再生喫煙材、液体、ゲル、ゲル化シート、粉末、又は塊などの形態とすることが可能である。「喫煙材」は、他に非タバコ製品を含んでいてもよい。この非タバコ製品は、製品によってニコチンを含んでもよいし、含まないでもよい。「喫煙材」は、一つ以上の保湿剤、例えばグリセロール又はプロピレングリコールを含んでいてもよい。
【0036】
本書では、用語「加熱材」又は「ヒータ材」は、変動磁場の侵入によって加熱され得る材料を指す。
【0037】
誘導加熱は、導電性物体に変動磁場を侵入させることによってその物体を加熱するプロセスである。このプロセスは、ファラデーの電磁誘導の法則及びオームの法則によって説明される。誘導ヒータは、電磁石と、この電磁石に交流電流などの変動電流を流すための装置を備えることができる。加熱しようとする物体と電磁石が、電磁石によって生じた変動磁場がこの物体に侵入するような適切な相対位置に配置されると、この物体内に一つ以上の渦電流が発生する。この物体は電流の流れに対する抵抗を有する。したがって、この物体内にこのような渦電流が発生すると、渦電流が物体の電気抵抗に抗して流れ、それによってこの物体が加熱される。このプロセスは、ジュール加熱、オーム加熱、又は抵抗加熱と呼ばれる。誘導加熱することができる物体は、サセプタとして知られている。
【0038】
サセプタが閉電気回路の形態のときは、使用時におけるサセプタと電磁石との磁気結合が強くなり、その結果、ジュール加熱が増大し、又は改善されることが分かっている。
【0039】
磁気ヒステリシス加熱は、磁性材料からなる物体に変動磁場が侵入することによって物体を加熱するプロセスである。磁性材料は、原子スケールの磁石すなわち磁気双極子を多く含んでいると考えることができる。磁場がこのような材料に侵入すると、磁気双極子は磁場に沿って整列する。したがって、交流磁場(例えば、電磁石によって生じたもの)などの変動磁場が磁性材料に侵入すると、磁気双極子の向きは、印加された変動磁場に応じて変化する。このような磁気双極子の再配向によって、磁性材料内に熱が発生する。
【0040】
物体が導電性及び磁性の両方を有するときは、その物体に変動磁場を侵入させると、物体にジュール加熱及び磁気ヒステリシス加熱の両方を生じさせることができる。さらに、磁性材料を使用すると、磁場を強めることができ、それによりジュール加熱及び磁気ヒステリシス加熱を強めることができる。
【0041】
上記のプロセスの各々において、熱は、外部熱源によって熱伝導により発生するのではなく、物体自体の内部で発生するので、物体内の急速な温度上昇と、より均一な熱分布を達成することができる。これは、特に、物体の材料及び幾何形状を適切に選び、その物体に対して変動磁場の大きさ及び向きを適切に選ぶことによって達成することができる。さらに、誘導加熱及び磁気ヒステリシス加熱では、変動磁場の源と物体との間に物理的な接続部を設ける必要がないので、設計自由度及び加熱プロファイルの制御性を高めるとともに、コストを抑えることができる。
【0042】
図1を参照すると、本発明の実施形態による加熱要素の例の概略透視図が示されている。加熱要素10は、
図9に示され以下で説明する装置200のような喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるよう喫煙材を加熱するための装置とともに使用するためのものである。
【0043】
加熱要素10は、変動磁場の侵入によって加熱される加熱材から形成される。さらに、本実施形態では加熱要素10全体が、均質な又は実質的に均質な加熱材(本実施形態では鋼)から形成される。加熱要素10は、単一体の加熱要素10であるが、他の実施形態では、加熱要素10は代わりに、互いに接合又は固定された複数の加熱要素部分からなるものであってもよい。
【0044】
加熱要素10は、第1の寸法と、この第1の寸法の方向に対して直角な方向の第2の寸法とを有する。第1の寸法は、加熱要素10の第1の部分から加熱要素10の第2の部分まで延びる。本実施形態では、第1の寸法は加熱要素10の長さLであり、第2の寸法は加熱要素10の厚さTである。さらに、本実施形態では、第1の部分は加熱要素10の第1の長手方向端部11であり、第2の部分は加熱要素10の反対側の第2の長手方向端部12である。加熱要素10はまた、長さL及び厚さTのそれぞれの方向に直角な方向の深さDを有する。深さDは長さLより小さく且つ厚さTより小さい。
【0045】
第1の長手方向端部11及び第2の長手方向端部12から離間している加熱要素10の中間区域14の厚さT
3は、中間区域14と第1及び第2の長手方向端部11、12のそれぞれとの間に配置される第1の区域16及び第2の区域17のそれぞれの厚さT
1、T
2よりも小さい。この小さくされた厚さは、本書では「幾何学的狭窄(部)」と称している。使用時、加熱要素10に変動磁場が侵入したとき、中間区域14のこの小さくされた厚さは、第1及び第2の区域16、17における磁力線の集中に比して、加熱要素10の中間区域14における磁場の磁力線の集中を増大させることを助長する。この現象は
図2に示されており、
図2は使用時に
図1の加熱要素10の半分を通る磁力線の経路のプロットを示している。
【0046】
図3は、使用時における
図1の加熱要素10の長さLに沿う距離に応じた磁場強度のグラフを示している。このグラフから、中間区域14の磁場強度は、第1の区域16及び第2の区域17のそれぞれの磁場強度よりも相当に高いことが分かる。本実施形態では、加熱要素10の長さLは約42ミリメートルであり、第1及び第2の区域16、17の厚さT
1、T
2はそれぞれ約10ミリメートル、中間区域14の厚さT
3は約2ミリメートルである。したがって、中間区域14の厚さT
3と第1及び第2の空気16、17のそれぞれの厚さT
1、T
2との比は、約1:5である。
図3から分かるように、加熱要素10に侵入される特定の磁場の磁場強度は、第1及び第2の区域16、17よりも中間区域14において相当に高い(本実施形態では約8倍高い)。
【0047】
本実施形態では、中間区域14、第1の区域16及び第2の区域17のそれぞれの厚さT
1、T
2、T
3は長さLより小さい。しかしながら、いくつかの実施形態においては、中間区域、第1の区域及び第2の区域の一つの又はそれぞれの第2の寸法は、第1の寸法と同等又はそれ以上であってもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、加熱要素の長さLは、30〜40ミリメートルの範囲内等、30〜50ミリメートルの範囲内とすることができる。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の区域16、17の厚さT
1、T
2は、5〜8ミリメートルの範囲内等、4〜10ミリメートルの範囲内とすることができる。いくつかの実施形態では、中間区域14の厚さT
3は、0.5ミリメートル〜1ミリメートルの範囲内等、0.4ミリメートル〜2ミリメートルの範囲内とすることができる。いくつかの実施形態では、中間区域14の厚さT
3と、第1及び第2の区域16、17の一方又はそれぞれにおける厚さT
1、T
2との比は、1:7〜1:5〜1:25の範囲内等、1:5〜1:25の範囲内、例えば1:10とすることができる。
【0049】
使用時に加熱要素10に蓄積されるエネルギー量は、励起周波数等のいくつかある要因の中でも特に、磁場強度に依存する。磁場強度が比較的高い加熱要素10の領域に蓄積されるエネルギー量は、磁場強度が比較的低い加熱要素10の領域に蓄積されるエネルギー量よりも多い。例えば、本実施形態では、第1及び第2の区域16、17と比較して、中間区域14において磁場強度が8倍高い。したがって、磁気ヒステリシス加熱によって加熱要素10の体積当たりに蓄積されるエネルギーは、第1及び第2の区域16、17と比較して、中間区域14において対応して8倍高い。磁気ヒステリシス加熱に加えてジュール加熱のために、蓄積される単位体積当たりの総エネルギーはより高くなり得る。したがって、本発明の実施形態の幾何学形状を有する加熱要素10を使用することにより、加熱要素10の中間区域14を、所定の侵入磁場によって加熱要素10の第1及び第2の区域16、17よりも高い温度に加熱することができる。
【0050】
所与の加熱要素10における別々の領域の温度を前述したように変えることは、使用時に多くの技術的利点をもたらすために使用され得る。
【0051】
例えば、使用時の喫煙材の漸進的な加熱を可能とするために、第1及び第2の区域16、17よりも中間区域14を所与の温度まで急速加熱することが用いられる。中間区域14の比較的急速な加熱は、中間区域14と熱的に接触している喫煙材本体の第1の部分における少なくとも一つの成分の揮発、及びそこでのエアロゾルの形成を開始することができる。第1及び第2の区域16、17の加熱は経時的に、第1及び第2の区域16、17と熱的に接触している喫煙材本体の第2及び第3の部分における少なくとも一つの成分の揮発、及びそこでのエアロゾルの形成を開始することができる。
【0052】
他の例では、加熱要素10が、誘導コイルを含む磁場発生器を使用して誘導加熱されると、加熱要素10の中間区域14は、第1及び第2の区域16、17がキュリー点温度に達する前に、加熱材のキュリー点温度に達することができる。これにより、加熱要素10の中間区域14の透磁率がほぼゼロに向かって低下し、磁場に対して本質的に空隙が生じる。このことは誘導コイルが示す誘導負荷を変える。電子回路等の検出器は、この現象を検出するために誘導コイル内の電流を監視するように構成でき、この監視の結果に基づいて誘導加熱を制御することができる。
【0053】
加熱要素10の中間区域14と加熱要素10の第1及び第2の区域16、17とを加熱する相対速度は、中間区域14と第1及び第2の区域16、17の適切な相対断面積の選定によって少なくとも部分的に制御することができる。
【0054】
本実施形態では、中間区域14の厚さT
3は、第1及び第2の区域16、17のそれぞれの厚さT
1、T
2の半分未満である。実際、中間区域14の厚さT
3は、第1及び第2の区域16、17のそれぞれの厚さT
1、T
2の4分の1未満である。他の実施形態では、中間区域14の厚さT
3は、第1及び第2の区域16、17の一方又はそれぞれの厚さT
1、T
2の半分より大きくても1/4より大きくてもよい。
【0055】
本実施形態では、第1の区域16における厚さT
1は、第2の区域17における厚さT
2に等しい。しかしながら、他の実施形態では、これはそうでない場合もある。例えば、いくつかの実施形態では、第1の区域16における厚さT
1は、第2の区域17における厚さT
2よりも小さくてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、中間区域14における厚さT
3と第1の区域16における厚さT
1との比は、中間区域14における厚さT
3と第2の区域17における厚さT
2との比とは異なることがある。これはさらに、使用時に加熱要素10と熱的に接触している任意の喫煙材のそれぞれの部分を徐々に加熱することを助長できる。
【0056】
図1の加熱要素10は平板状又は実質的に平板状である。本実施形態のいくつかの変形形態では、加熱要素10は平板状以外のものでもよい。
【0057】
例えば、
図4及び
図5を参照すると、本発明の別の実施形態による加熱要素の一例の概略斜視図及び断面図が示されている。加熱要素20は、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるための装置、例えば
図10に示され以下で説明する装置300とともに使用するための管状の加熱要素20である。
【0058】
また、加熱要素20も、変動磁場を侵入させることによって加熱することができる加熱材でできている。さらに、本実施形態では、加熱要素20全体は、均質又は実質的に均質な加熱材、本実施形態では鋼である加熱材で作られている。加熱要素20は単一体の加熱要素20であるが、他の実施形態では、加熱要素20は代わりに互いに接合又は固定された複数の加熱要素部品を備えることができる。
【0059】
加熱要素20は、その中に加熱要素20の内面21によって画定された通路23を有する。使用時、喫煙材は通路23内に配置されることができる。また、加熱要素20は、第1の寸法と、この第1の寸法の方向に対して直角な方向の第2の寸法とを有する。第1の寸法は、加熱要素20の第1の部分から加熱要素20の第2の部分まで延びる。本実施形態では、第1の寸法は加熱要素20の軸線方向寸法である。より具体的には、第1の寸法は加熱要素20の長さLであり、第1の部分は加熱要素20の第1の長手方向端部11であり、第2の部分は加熱要素20の反対側の第2の長手方向端部12である。通路23は、加熱要素20の第1及び第2の長手方向端部11、12のそれぞれに開口部を有する。他の実施形態では、通路23は、第1及び第2の長手方向端部11、12の一方又はそれぞれにおいて閉じられてもよい。
【0060】
第2の寸法は、加熱要素20の厚さTである。厚さTは、加熱要素20の内面21から加熱要素20の反対側の外面22まで、本実施形態では加熱要素20の長手方向軸線に対して直角な方向に半径方向に測定される。第1及び第2の長手方向端部11、12から離れている加熱要素20の中間区域14の厚さT
3は、中間区域14と第1及び第2の長手方向端部11、12のそれぞれとの間に位置する第1の区域16及び第2の区域17のそれぞれの厚さT
1、T
2より小さい。本実施形態では、中間区域14の厚さT
3は、第1及び第2の区域16、17のそれぞれの厚さT
1、T
2の1/4未満である。他の実施形態では、中間区域14の厚さT
3は、例えば、第1及び第2の区域16、17の一方又はそれぞれの厚さT
1、T2の半分未満及び/又は1/4超であり得る。本実施形態では、第1の区域16における厚さT
1は、第2の区域17における厚さT
2に等しい。しかしながら、他の実施形態では、このことはそうではない場合もある。
【0061】
図1、
図2、
図4及び
図5の加熱要素10、20のそれぞれにおいて、中間区域14は、加熱要素10の第1の長手方向端部11と第2の長手方向端部12との間の中間にある。他の実施形態では、中間区域14は、第2の長手方向端部12よりも第1の長手方向端部11に近くてもよく、又はその逆でもよい。
【0062】
図1、
図2、
図4及び
図5の加熱要素10、20のそれぞれにおいて、加熱要素10、20は、中間区域14から第1の区域16に向かって厚さTが増加する第1のテーパ領域13と、中間区域14から第2の区域17に向かって厚さTが増加する第2のテーパ領域15とを備える。テーパ領域13、15は、加熱要素10、20の加熱中に中間区域14と第1及び第2の区域16、17との間の応力集中を緩和するのに役立つ。それらはまた、磁力線が使用時に通るための比較的滑らかな経路を提供するのを助ける。しかしながら、いくつかの実施形態では、テーパ領域13、15の一方又は両方を省略してもよい。
【0063】
図4及び
図5の加熱要素20の中間区域14は、第1及び第2の区域16、17のそれぞれよりも短い外周を有する。本実施形態のいくつかの変形形態では、中間区域14は、第1及び第2の区域16、17のうちの一方だけよりも短い外周を有するようにしてもよい。いくつかの実施形態では、中間区域14は、第1及び第2の区域16、17のうちの一方又はそれぞれよりも長い内周を有するようにしてもよい。
【0064】
例えば、
図6を参照すると、本発明の別の実施形態による加熱要素の一例の概略断面図が示されている。加熱要素30は、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるための装置、例えば
図10に示され以下で説明する装置300に対する変形である装置とともに使用するための管状の加熱要素30である。
図6の加熱要素30は、中間区域14及び隣接するテーパ領域13、15の形態を除いて、
図4及び
図5の加熱要素と同等である。加熱要素30もまた、第1の寸法と、第1の寸法の方向に直角な方向の第2の寸法とを有し、第1の寸法は加熱要素30の第1の部分から加熱要素30の第2の部分まで延びる。
図4及び
図5の加熱要素20と同様に、本実施形態では、第1の寸法は加熱要素30の軸線方向寸法である。より具体的には、第1の寸法は加熱要素30の長さLであり、第1の部分は加熱要素30の第1の長手方向端部11であり、第2の部分は加熱要素30の反対側の第2の長手方向端部12である。しかしながら、本実施形態では、中間区域14の厚さT
3は、中間区域14が第1及び第2の区域16、17の外周と一致する外周を有し且つ第1及び第2の区域16、17のそれぞれよりも大きな内周を有することによって、第1及び第2の区域16、17のそれぞれの位置での厚さT
1、T
2よりも小さい。
【0065】
上述した実施形態に対するいくつかの他の変形形態(図示せず)では、加熱要素は管状であり、加熱要素の第1の寸法は加熱要素の直径であり、加熱要素の第1及び第2の部分は径方向において相対する側にあり、第1の寸法の方向に直角な方向の第2の寸法は加熱要素の軸線方向寸法である。そのようないくつかの実施形態では、加熱要素は細長く、軸線方向寸法は加熱要素の長さである。いくつかの実施形態では、管状の加熱要素は、均質な又は実質的に均質な加熱材から作られる。加熱要素は、単一体の加熱要素とすることができる。
【0066】
これらの変形形態では、管状の加熱要素は、加熱要素の径方向に相対する側面から周方向に離間した中間区域を有する。さらに、加熱要素は、中間区域とそれぞれの径方向に相対する側面との間に周方向に配置された第1及び第2の区域を有する。加熱要素には幾何学的な軸線方向の狭窄部が設けられており、加熱要素の中間区域の軸線方向寸法が第1及び第2の区域のそれぞれの位置における軸線方向寸法よりも小さくなっている。中間区域の軸線方向寸法は、例えば、第1及び第2の区域部分の一方又はそれぞれの位置での軸線方向寸法の半分未満又は1/4未満であり得る。
図1及び
図4〜
図6の加熱要素と同様に、加熱要素は、中間区域から第1の区域に向かうにつれて軸線方向寸法が大きくなる第1のテーパ領域を有し、また、中間区域から第2の区域に向かうにつれて軸線方向が大きくなる第2のテーパ領域を有することができる。
【0067】
このようないくつかの実施形態では、幾何学的な軸線方向の狭窄部は加熱要素の軸線方向の両端部から離間されている。例えば、幾何学的な軸線方向の狭窄部は、軸方向端部間の中間にあってもよい。他の実施形態では、幾何学的な狭窄部は加熱要素の第1の軸線方向端部からのみ離間し、加熱要素の反対側の第2の軸線方向端部に位置する。
【0068】
本発明を具現化する加熱要素10、20、30は、喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるために喫煙材を加熱するための装置とともに使用するための物品の一部として提供され、その物品は、加熱要素と、この加熱要素と熱的に接触する喫煙材とからなる。
【0069】
例えば、
図7を参照すると、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための物品の一例の概略断面図が示されている。物品1は、喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるために喫煙材を加熱するための装置、例えば
図8に示され以下で説明する装置100とともに使用するためのものである。
【0070】
物品1は、
図1の加熱要素10と、加熱要素10と熱的に接触している喫煙材50と、喫煙材50の周囲のカバー60とを含む。簡潔にするために、加熱要素10については再度詳細には説明しない。
【0071】
本実施形態では、喫煙材50は加熱要素10と面接触している。より詳細には、加熱要素10の中間区域14並びに第1及び第2の部分16、17に、喫煙材50の対応の部分が面接触している。これは、喫煙材50を加熱要素10に接着することによって達成される。しかしながら、他の実施形態では、固定は接着以外によるものでもよい。いくつかの実施形態では、喫煙材50は、それ自体では加熱要素10に固定されていなくてもよい。面接触は、加熱要素10から喫煙材50へ直接熱が伝導されるのを助ける。他の実施形態では、加熱要素10は喫煙材50と面接触しないようにしてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、物品1は、加熱材を含まない熱伝導性バリアであって、使用時に加熱要素10を物品1の喫煙材50から離間させる熱伝導性バリアを備えてもよい。いくつかの実施形態では、熱伝導性バリアは加熱要素10上のコーティングとすることができる。かかるバリアを設けることは、加熱要素10内のホットスポットを軽減するために熱を消散させるのを助けるのに有利であり得る。
【0072】
本実施形態では、加熱要素10の加熱材は、喫煙材50の燃焼温度よりも低いキュリー点温度を有する。燃焼温度は、喫煙材50の自己発火温度又は燃焼点であり得る。すなわち、喫煙材50が通常の大気中で火炎や火花等の外部発火源なしに自然発火する最低温度である。
【0073】
したがって、使用時の加熱要素10の温度がキュリー点温度に達した場合、変動磁場が侵入することによる加熱要素10をさらに加熱する能力は低下し又はなくなる。例えば、上述したように、加熱材が導電性である場合、ジュール加熱は、変動磁場が加熱材に侵入することによって依然として達成され得る。加熱材が非導電性である場合、加熱材の化学組成によっては、このような変動磁場の侵入によるさらなる加熱は起こり得ないであろう。
【0074】
したがって、使用時において、加熱要素10の加熱材のこの固有のメカニズムは、隣接する喫煙材50が燃焼又は爆発する程度にまで隣接する喫煙材50の温度が達するのを回避するのを助けるために、加熱要素10のさらなる加熱を制限又は防止するために使用され得る。したがって、いくつかの実施形態では、加熱要素10の化学組成は、喫煙材50を燃焼させることなく喫煙材50の少なくとも一つの成分を揮発させるのに十分な程度に喫煙材50を加熱できるようにするのを助ける。いくつかの実施形態では、これはまた、物品1が使用されている装置の過熱を防止するのを助け、及び/又は物品1の使用中における過熱によりカバー60又は接着剤等の物品1の部分が損傷するのを防ぐのを助ける。
【0075】
いくつかの実施形態では、喫煙材50の燃焼温度がX℃より高い場合、キュリー点温度がX℃以下になるように加熱材の化学組成を構成するとよい。例えば、喫煙材50の燃焼温度が300℃より高い場合、加熱材の化学組成は、キュリー点温度が300℃以下であるように構成されるとよい。キュリー点温度は、例えば、300℃未満、280℃未満、260℃未満、240℃未満、又は220℃未満であり得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、加熱材の温度がキュリー点温度を下回ったときに、磁気ヒステリシス加熱による変動磁場の侵入による加熱材を加熱する能力が回復し得る。
【0077】
本実施形態では、カバー60は喫煙材50を取り囲んでいる。カバー60は、物品1の輸送中及び使用中に喫煙材50が損傷しないように保護する助けとなる。使用中、カバー60はまた、空気の流れが喫煙材50に入ってそれを通るように導く助けとなり得、蒸気又はエアロゾルの流れが喫煙材50を通ってそれを出るように導く助けとなり得る。
【0078】
本実施形態では、カバー60は被覆体を備え、被覆体は、その自由端が互いに重なるように喫煙材50の周りに巻かれる。したがって、被覆体は、物品1の周方向の外面のすべて又は大部分を形成する。被覆体は、紙、再生タバコ等から形成することができる。カバー60はまた、被覆体の互いに重ね合わされた自由端を互いに接着する接着剤(図示せず)を備える。接着剤は、例えば、ポリ酢酸ビニル(PVA)、アラビアゴム、天然樹脂又は合成樹脂、でんぷん、及びニスのうちの一つ以上を含むことができる。接着剤は、被覆体の互いに重ね合わされた自由端が分離するのを防ぐ助けとなる。他の実施形態では、接着剤を省略してもよい。
【0079】
カバー60は、物品1の外面を画定し、使用時、装置と接触することができる。本実施形態では、物品1は、実質的に円形の断面を有する細長い円筒状である。しかしながら、他の実施形態では、物品1は、円形以外の断面を有してもよく、及び/又は細長くなくてもよく、及び/又は円筒状でなくてもよい。本実施形態では、加熱要素10は、喫煙材50の第1の長手方向端部から喫煙材50の反対側の第2の長手方向端部まで延びる。これは他の実施形態ではそうである必要はない。本実施形態では、加熱要素10及び喫煙材50は、物品1の第1の長手方向端部から物品1の反対側の第2の長手方向端部まで延びる。これは他の実施形態ではそうである必要はない。
【0080】
いくつかの実施形態では、物品1は、喫煙材50とカバー60との間の境界面の位置のようなカバー60の半径方向内側のある位置で喫煙材50の温度の測定を補助するためのサーマルウィック(thermal wick)を備えるとよい。
【0081】
図7の実施形態では、物品1は
図1の加熱要素10を含む。いくつかの他の実施形態では、物品は、代替的に又は追加的に、
図4と
図5の加熱要素20、及び/又は
図6の加熱要素30、及び/又は
図1、
図4、
図5及び
図6の加熱要素10、20、30に対する本書で述べた変形形態のような本書に記載の加熱要素のうちの一つを含み得る。
【0082】
図8を参照すると、本発明の一実施形態によるシステムの一例の概略断面図が示されている。システム1000は、
図7の物品1と、物品1の喫煙材50を加熱して喫煙材50の少なくとも一つの成分を揮発させるための装置100とを備える。簡潔にするために、物品1については再度詳細には説明しない。
図7の物品1に対する本書に記載の可能な変形形態のいずれかを、システムの別個のそれぞれの実施形態を形成するために
図8のシステム1000の物品1に加えることができる。同様に、
図7の物品1は、システム1000において、上述の他の物品のうちの一つと置き換えて、システムの別個のそれぞれの実施形態を形成することができる。装置100は、物品1を収容するための加熱ゾーン111と、物品1が加熱ゾーン111内に配置されたときに物品1の加熱要素10を加熱するためのデバイス112とを備える。
【0083】
本実施形態の装置100は、本体110と吸い口120とを備える。吸い口120は、それを貫通するチャネル122を画定する。吸い口120は、加熱ゾーン111内への開口を覆うように、本体110に対して配置可能となっている。吸い口120を本体110に対してこのように配置すると、吸い口120のチャネル122は、加熱ゾーン111と流体連通する。使用時、チャネル122は、揮発材が加熱ゾーン111に挿入された物品1から装置100の外部に流れることを可能にする通路として働く。本実施形態では、装置100の吸い口120は、本体110に吸い口120を接続するために、本体110と取外し可能に係合することができる。他の実施形態では、吸い口120は、蝶番又は可撓性部材等によって、本体110と永続的に接続することができる。物品自体が吸い口を備える実施形態又は本体110がチャネル122を備える実施形態等のいくつかの実施形態では、装置100の吸い口120を省略することができる。
【0084】
装置100は、加熱領域111を装置100の外部と流体接続する空気入口を画定する。空気入口は、装置100の本体110及び/又は装置100の吸い口120によって画定することができる。使用者は、吸い口120のチャネル122を通して(一つ以上の)揮発成分を引き込むことによって喫煙材50の(一つ以上の)揮発成分を吸引することができる。(一つ以上の)揮発成分が物品から出ると、空気は、装置100の空気入口を経て加熱領域111内に引き込むことができる。
【0085】
本実施形態では、本体110は加熱ゾーン111を備える。本実施形態では、加熱ゾーン111は、物品1を収容するための凹部を備える。物品1は、例えば装置100の壁に設けられたスロットを通す等の適当な態様で使用者により、又は、吸い口120のような装置の一部分を加熱ゾーン111にアクセスするためにまず移動させることにより、加熱ゾーン111内に挿入することができる。他の実施形態では、加熱ゾーン111は、凹部以外、例えば、棚、面、又は突起であってもよく、また、物品と協働するため又はそれを受け入れるために物品と機械的に対となることを必要としてもよい。本実施形態では、加熱ゾーン111は、物品1全体を受け入れるような大きさと形状とされている。他の実施形態では、加熱ゾーン111は物品1の一部分だけ受け入れるように寸法決めされてもよい。
【0086】
デバイス112は、使用時に物品1の加熱要素10に侵入するための(交番磁場のような)変動磁場を発生させるための磁場発生器112を備える。
【0087】
本実施形態では、磁場発生器112は、電源113と、コイル114と、コイル114に交流電流などの変動電流を流すためのデバイス116と、コントローラ117と、コントローラ117を使用者が操作するためのユーザインターフェース118とを備える。
【0088】
本実施形態では、電源113は充電式バッテリーである。他の実施形態では、電源113は、例えば、非充電式バッテリー、コンデンサ又は商用電源への接続部等、充電式バッテリー以外とすることができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、電源113はDC電源を備え、装置100は、DC電源に接続されたDC/ACインバータを備える。DC/ACインバータは、クラスEパワーアンプを備えることができる。
【0090】
コイル114は任意の適切な形態を採ることができる。本実施形態では、コイル114は、銅等の導電性材料の螺旋コイルである。本実施形態では、コイル114の断面は円形であるが、他の実施形態では、四角形等、円形以外とすることができる。いくつかの実施形態では、磁場発生器112は、コイル114が巻かれた透磁性コアを備えることができる。このような透磁性コアは、使用時、コイル114によって生成される磁束を集中させ、磁場をより強力にする。透磁性コアは、例えば鉄で作ることができる。本実施形態では、コイル114は加熱ゾーン111を取り囲む。本実施形態では、コイル114は、加熱ゾーン111の長手方向軸線と実質的に整列された長手方向軸線に沿って延びている。本実施形態では、コイル114は、円形断面の導電性材料からなる螺旋コイルであるが、他の実施形態では、断面形状は、円形以外、例えば扁平形又は長方形とすることができる。コイル114は、メッキ、例えば銀メッキされてもよい。
【0091】
いくつかの実施形態では、コイル114のインピーダンスは加熱要素10のインピーダンスと一致させてもよい。これは、例えば、コイル114の巻回数の適切な選定、加熱要素10とコイル114との間の間隔の適切な選定、加熱要素10に用いられる加熱材の適切な選定、駆動回路のキャパシタンスの適切な選定、及び/又はサセプタ電流経路の電気抵抗の適切な選定によって達成され得る。
【0092】
本実施形態では、コイル114に変動電流を流すためのデバイス116は、電源113とコイル114との間に電気的に接続される。本実施形態では、コントローラ117もまた、電源113に電気的に接続され、デバイス116に通信可能に接続されてデバイス116を制御する。より詳細には、本実施形態では、コントローラ117はデバイス116を制御して、電源113からコイル114への電力の供給を制御するためのものである。本実施形態では、コントローラ117は、プリント回路基板(PCB)上の集積回路(IC)等のICを備える。他の実施形態では、コントローラ117は異なる形態を採ることができる。いくつかの実施形態では、本装置は、デバイス116及びコントローラ117を備える単一の電気又は電子構成部品を有することができる。コントローラ117は、ユーザインターフェース118を使用者が操作することによって動作する。ユーザインターフェース118は、本体110の外側に配置される。ユーザインターフェース118は、押しボタン、トグルスイッチ、ダイヤル、タッチスクリーン等を備えることができる。
【0093】
本実施形態では、使用者がユーザインターフェース118を操作すると、コントローラ117は、デバイス116がコイル114に交流電流を流すようにさせ、これによって、コイル114に交番磁場が発生する。コイル114及び加熱ゾーン11120は相対位置に配置されるので、物品1が加熱ゾーン111内に配置された場合、コイル114によって生成された交番磁場が物品1の加熱要素10の加熱材に侵入する。加熱要素10の加熱材が導電性材料である場合、本実施形態等では、これは、加熱材に一つ以上の渦電流を生じさせる。渦電流が加熱材の電気抵抗に抗して加熱材内を流れると、加熱材はジュール加熱によって加熱される。さらに、加熱材が磁性材料で作られているとき、本実施形態等では、加熱材内の磁気双極子の向きは印加された磁場の変化に応じて変化し、それによって、加熱材内に熱が生成される。
【0094】
使用時、誘導コイル114を含む磁場発生器112を使用して加熱要素10が誘導加熱されると、加熱要素10の中間区域14は、第1及び第2の区域16、17が加熱材のキュリー点温度に達する前にその温度に達する。上述したように、これにより、加熱要素10の中間区域14の透磁率はほぼゼロに向かって低下し、磁場に対して本質的に空隙が生じる。ひいては、これは誘導コイル114が示す誘導負荷を変えるであろう。磁場発生器112のデバイス116は、コイル114内の電流を検出するための検出器を備え、コントローラ117は、検出器によって検出された電流の変化に基づいて磁場発生器112の動作を制御するように構成される。すなわち、検出器から受信した一つ以上の信号に基づいて、コントローラ117は、コイル114を通る変動電流又は交流電流の特性を調整することができる。この特性は、例えば、振幅又は周波数又はデューティサイクルであり得る。
【0095】
例えば、コントローラ117は、加熱要素10の中間区域14が所定の回数、例えば1回、2回、3回、5回又は10回を越えてキュリー点温度に到達したとき、又は、加熱要素10がキュリー点温度に達しようとしていると判定されたとき、変動磁場の発生を停止させるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラ117は、磁場発生器112を駆動するのに必要な電力を監視するように構成されてもよい。コントローラ117は、加熱要素10がそのキュリー点温度まで加熱するときに使用される電力を検出するように構成されてもよい。コントローラ117は、喫煙材の状態(水分含有量又は揮発分含有量等)の指標であるその既知の温度を維持するのに必要とされる電力を判定するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラ117は、加熱要素10の温度をキュリー点温度又はそれよりわずかに低い温度に維持するように構成されてもよい。
【0096】
したがって、上述したように、加熱材のキュリー点温度は、喫煙材50の温度が所定の温度範囲内に確実に維持されるように、キュリー点温度を超えて加熱要素10を誘導加熱することを本質的に阻止又は妨げるために使用され得る。所定の温度範囲内で、使用時、喫煙材50は、喫煙材50を燃焼させることなく喫煙材50の少なくとも一つの成分を揮発させるのに十分に加熱される。したがって、コントローラ117、及び装置100は全体として、喫煙材50を燃焼させることなく喫煙材50の少なくとも一つの成分を揮発させるよう喫煙材を加熱するように構成される。いくつかの実施形態では、温度範囲は、約50℃〜約350℃、例えば、約50℃と約250℃との間、約50℃と約150℃との間、約50℃と約120℃との間、約50℃と約100℃との間、約50℃と約80℃との間、又は約60℃と約70℃との間である。いくつかの実施形態では、温度範囲は約170℃と約220℃との間である。他の実施形態では、温度範囲は、この範囲以外であってもよい。いくつかの実施形態では、温度範囲の上限は300℃よりも高くてもよい。さらに、使用時に加熱要素10の中間区域14がキュリー点温度に達することにより、コントローラ117をして、磁場発生器112の動作方法を変更させることができる。
【0097】
いくつかの実施形態では、装置100は、加熱要素10の温度を感知し、温度の程度を表す識別子を含む信号をコントローラ117に送信するための追加の温度センサ(図示せず)を含んでもよい。コントローラ117は、少なくとも部分的に受信信号に基づいて磁場発生器112を制御することができる。コントローラ117は、加熱要素10の加熱材のキュリー点温度と感知された温度の程度と比較することにより判定された加熱要素10の温度検出エラーに基づき、デバイス16に供給される電力を調整する比例積分微分(PID)コントローラを含むことができる。
【0098】
いくつかの実施形態では、装置は、喫煙材50の少なくとも一つの成分の揮発を開始するのに使用者が待つ必要がある時間を短縮するために、使用時にコイル114を流れる電流を迅速に増加させるのを助けるべく、例えばコントローラにより、制御されるコンデンサ又はコンデンサ放電ユニットを備えることができる。代替的又は追加的に、装置は、喫煙材50の少なくとも一つの成分の揮発を開始するのに使用者が待つ必要がある時間を短縮するために、潜熱プラトーを検出し、次いで検出した潜在温度にもとついて加熱要素を瞬間的又は急速に上昇するのに十分に敏感な態様で、システムの使用前に喫煙材の潜在温度を検出するための温度センサ(図示せず)を含むことができる。
【0099】
いくつかの実施形態では、コントローラ117は、電子部品の製造上のばらつきに対応するように、例えば、使用時における特定の回路の動作方法における脆弱性に対応するように構成されたソフトウェアを実行してもよい。
【0100】
いくつかの実施形態では、コントローラ117は、供給電圧が変化した場合に、バックレギュレータ又はチョークレギュレータを使用することによってコイル114への出力電力を制御するように構成されてもよい。
【0101】
図8のシステム1000では、加熱要素10は物品1の一部であり、装置100は、磁場発生器112によって生成された変動磁場が侵入するよう配置された加熱要素10を含まない。しかしながら、他の実施形態では、装置自体がそのような加熱要素を含む。
【0102】
例えば、
図9を参照すると、本発明の一実施形態による他のシステムの一例の概略断面図が示されている。このシステム2000は、装置200と、物品2とを備える。
図9のシステム2000は、物品の形態を除いて、また、装置200が物品2ではなく
図1の加熱要素10を含むことを除いて、
図8のシステム1000と同一である。
図8のシステム1000と同様の特徴部は、
図9において同じ参照番号とした。
図8のシステム1000に対する本書で説明した可能な変形形態のいずれかを
図9のシステム2000に適用して、システムの別の各実施形態を形成してもよい。
【0103】
物品2は管状であり、喫煙材25を含む。加熱要素10は加熱ゾーン111内に突出する。より具体的には、本実施形態では、加熱要素10の第1の長手方向端部11は、物品2が加熱ゾーン111内に挿入されるときに、管状の物品2の中央の空間に入るように加熱ゾーン111に対して配置される自由端である。他方、加熱要素10の第2の長手方向端部12は装置200の他の部分に直接取り付けられるか又は固定される。
【0104】
図10を参照すると、本発明の一実施形態による別のシステムの一例の概略断面図が示されている。システム3000は、装置300と、物品3とを備える。
図10のシステム3000は、物品の形態、並びに装置の加熱ゾーン及び加熱要素の形態を除いて、
図9のシステム2000と同一である。
図9のシステム2000と同様の特徴部は、
図10においても同じ参照番号としている。システムの別の各実施形態を形成するために、上述のシステムに対する本書に記載の可能な変形形態のいずれかを
図10のシステム3000に適用するができる。
【0105】
図10の実施形態では、物品3はロッド状であり、喫煙材35を含む。装置300の加熱要素は
図4及び
図5の加熱要素20である。加熱要素20は加熱ゾーン111の周りに延びているので、加熱要素20の通路23は事実上加熱ゾーン111である。本実施形態の変形形態では、加熱要素20は、加熱ゾーン111の周りに部分的にのみ延びるように変更することができる。
【0106】
図9及び
図10のシステム2000、3000のそれぞれにおいて、装置200、300の装置112は装置200、300の加熱要素10、20を加熱するためのものである。また、装置200、300の加熱要素10、20は加熱ゾーン111を加熱するためのものである。より詳細には、
図9及び
図10の装置200、300のデバイス112の各々が、加熱ゾーン111に配置された物品の誘導加熱可能部分を誘導加熱するように構成されるのではなく、装置200、300の加熱要素10、20を誘導加熱するために用いられる点を除き、
図9及び
図10の装置200、300のデバイス112の各々は、
図8の装置100のデバイス112と同じものである。装置200、300の加熱要素10、20で発生した熱は、使用時に熱伝導によって加熱ゾーン111内の物品2、3に移動する。
【0107】
したがって、装置200、300が使用可能である物品2、3は、喫煙材25、35の少なくとも一つの成分を揮発させるのに十分な温度に喫煙材25、35を加熱するのに容易に誘導加熱することができる材料を含む必要はない。これにより、物品2、3をより安価な材料又はより容易に入手可能な材料で製造することが可能になる。
【0108】
上述のシステムでは、加熱要素の形状により、加熱要素に侵入する磁場の強度が加熱要素の異なる位置で異なるものとなる。しかしながら、他の実施形態では、装置の磁場発生器の構成によってこの効果がもたらされる。
【0109】
例えば、
図11を参照すると、本発明の一実施形態による他のシステムの一例の概略断面図が示されている。システム4000は、装置400と、物品4とを備える。
図11のシステム4000は、装置の加熱要素の形態を除いて、及び磁場発生器112が第1のコイル114の一部を囲む第2のコイル115を備えることを除いて、
図9のシステム2000と同一である。
図9のシステム2000と同様の特徴部は、
図11と同じ参照番号とした。上述したシステムに対する本書で述べた可能性のある変形形態のいずれかを
図11のシステム4000に適用して、システムの別の各実施形態を形成してもよい。
【0110】
本実施形態の装置400の加熱要素130は、上述した加熱要素10、20、30のもののようないかなる幾何学的狭窄部もない。むしろ、本実施形態では、加熱要素130は、第1及び第2の長手方向端部131、132、第1の長手方向端部131から反対側の第2の長手方向端部132まで延びる長さ、並びにその長さに沿った一定の断面形状及びサイズを有する。断面形状は、例えば、多角形、正方形又は円形であり得る。
【0111】
物品4は管状であり、喫煙材45を含む。加熱要素130は加熱ゾーン111内に突出している。より詳細に、加熱要素130の第1の長手方向端部131は、物品4が加熱ゾーン111に挿入されるときに管状の物品4の中央の空間に入るように加熱ゾーン111に対して配置される自由端である。一方、加熱要素130の第2の長手方向端部132は装置400の他の部分に直接取り付けられるか又は固定される。加熱要素130の汚れを防止することを助けるために、加熱要素130の上にナノコーティング又はカバー層を設けることができる。本実施形態の変形形態では、加熱要素130は、管状の物品4の内部に形成された雌ねじ部と協働するための雄ねじ部を有することができ、それによって使用時に物品4を加熱要素130に螺合させることができる。
【0112】
図12を参照すると、本発明の一実施形態による別のシステムの一例の概略断面図が示されている。システム5000は、装置500と、物品5とを備える。
図12のシステム5000は、装置の加熱ゾーン及び加熱要素の形態を除いて、
図11のシステム4000と同一である。
図11のシステム4000と同様の特徴部は、
図12において同じ参照番号とした。上述したシステムに対する本書で述べた可能性のある変形形態のいずれかを
図12のシステム5000に適用して、システムの別の各実施形態を形成してもよい。
【0113】
装置500の加熱要素130は加熱ゾーン111の周りに延びる。本実施形態の変形形態では、加熱要素130は、加熱ゾーン111の周りに部分的にのみ延びるように変更することができる。
【0114】
図13を参照すると、本発明の実施形態による別のシステムの一例の概略断面図が示されている。システム6000は、装置600と、物品6とを備える。
図13のシステム6000は、物品の形態を除いて
図12のシステム5000と同一であり、装置は、磁場発生器112によって発生された変動磁場が侵入するように配置構成された加熱要素を有しない。
図12のシステム5000と同様の特徴部は、
図13において同じ参照番号とした。上述したシステムに対する本書で述べた可能性のある変形形態のいずれかを
図13のシステム6000に適用して、システムの別の各実施形態を形成してもよい。
【0115】
物品6は管状であり、加熱材からなる管状の加熱要素61と、加熱材と熱的に接触するように加熱要素61の内面に固定された管状の喫煙材65とからなる。他の実施形態では、喫煙材65は加熱要素61の外面に固定されてもよく、又は物品はロッド状等の異なる形態をとってもよい。しかしながら、これらの実施形態の各々において、物品6は、加熱材を含む加熱要素と、加熱材と熱的に接触(好ましくは面接触)をしている喫煙材との両方を備える。
【0116】
本実施形態の変形形態では、物品6は他の多くの採り得る形態のうちの一つとすることができる。例えば、物品6は、喫煙材を含むコアを囲むことができる「ワイヤウール体」又はスチールウール体の形態の加熱要素を備える。或いは、物品6の加熱要素は、連続気泡フォームの形態をとってもよいし、蒸着を用いて喫煙材上又はさらなる支持体上に堆積させてもよい。或いは、物品6は、中空であり得る加熱材の一つ以上の球状の加熱要素を備えてもよく、この球状加熱要素は喫煙材で被覆されてもよい。或いは、物品6は、加熱材からなる複数の加熱要素フィラメントを含んでもよく、加熱要素フィラメントは物品6内の様々な位置に異なる密度で配置され得る。物品6の加熱要素は、加熱の不均一を減少させるために一つ以上の表面の凸凹や隆起を含んでもよく、又は軸線方向に短い円筒の形態をとってもよい。代わりに、物品6は、喫煙材中に分散されたフェライトを含ませることができ、その結果、フェライトは複数の加熱要素として機能する。さらに別の実施形態において、物品は、積層体状のタブレットの形態をとってもよく、この積層体の第1の層は喫煙材を含み、積層体の第2の層は加熱材からなる加熱要素を含む。使用時に物品内で生成されたエアロゾルの放出及び方向のために、前記の層に直角な方向に物品を貫通する穴を形成するとよい。いくつかの実施形態では、加熱要素は、喫煙材と加熱材との間のような、より大きな表面積の創出を可能にする一つ以上の製造技術を使用して形成することができる。そのような技術は、それだけに限らないが、積層造形法(3D印刷)及びロストワックス鋳造法等の鋳造法を含む。
【0117】
図11〜
図13のシステムの各装置400、500、600において、磁場発生器112は複数の変動磁場を発生させるためのものであり、これらの磁場は、これらの磁場の合計の強度が加熱要素61、1360内の様々な位置で異なるような態様で、使用時に加熱要素61、130に侵入するというものである。
【0118】
より詳細には、
図11〜
図13の各実施形態では、磁場発生器112は、第1の変動磁場を発生させるための第1のコイル114と、第2の変動磁場を発生させるための第2のコイル115とを備え、第2の変動磁場は使用時に第1の変動磁場と重なり合う。これらの実施形態では、第2の変動磁場は使用時に第1の変動磁場と部分的にのみ重なる。デバイス116は電源113と第2のコイル115との間に電気的に接続されて、デバイス116が可変電流を第2のコイル115に流すことを可能にする。
【0119】
第1及び第2のコイル114、115の各々は螺旋状コイルであるが、別の実施形態では、コイル114、115の一方又は各々は異なる形態をとってもよい。さらに、第1及び第2の螺旋状コイルのそれぞれは1本の軸線に沿って延び、各実施形態における第1及び第2のコイル114、115の軸線は一致している。したがって、二つの螺旋状コイル114、115は同軸である。しかしながら、他の実施形態では、二つの螺旋状コイル114、115のそれぞれの軸線は互いに平行であるか又は互いに傾いていてもよい。
【0120】
これらの実施形態の各々において、第2のコイル115は第1のコイル114を囲む。すなわち、第2のコイル115は、第1のコイル114よりも大きい半径を有する。さらに、これらの各実施形態では、第2のコイル115は、第1のコイル114全体ではなく、第1のコイル114の一部の区域のみを囲む。これらの各実施形態では、その区域は第1のコイル114の長さの半分未満である。
【0121】
いくつかの実施形態では、コントローラ117はデバイス116を制御してデバイス116をして第1及び第2のコイル114、115にそれぞれ異なる電流を同時に流させ、その結果、第1及び第2のコイル114、115によって生成された磁場の合計の強度が、加熱要素61、130の第1の部分の位置において、加熱要素61、130の第2の部分の位置におけるよりも大きくなる。使用時、これは、加熱要素61、130の第1の部分に隣接する喫煙材45、55、65の少なくとも一つの成分の揮発及びその中のエアロゾルの形成を開始し、その後、加熱要素61、130の第2の部分に隣接する喫煙材45、55、65の少なくとも一つの成分の揮発及びその中のエアロゾルの形成が開始する。したがって、物品4、5、6の喫煙材45、55、65が全時間にわたって漸進的に加熱されることになる。
【0122】
これらの実施形態では、第2のコイル115によって囲まれた第1のコイル114の区域は、装置のチャネル122に最も近い区域である。これは、使用者による吸引のために、通路122に比較的近い位置で物品4、5、6からエアロゾルを比較的迅速に形成及び放出することを可能にするのを助け、さらにエアロゾルの時間に依存する放出を可能とし、その結果、加熱要素61、130の第1の部分に隣接する喫煙材45、55、65がエアロゾルの生成を停止した後でも、エアロゾルは形成され放出され続ける。このようなエアロゾル生成の停止は、喫煙材45、55、55が揮発性成分を使い果たした結果として起こり得る。
【0123】
いくつかの実施形態では、装置は、
図11〜
図13を参照して上述した相対的な配置構成における二つのコイル114、115を備えることができ、さらに加熱要素は、
図1〜
図6を参照して上述した幾何学的狭窄部のうちの一つ等の幾何学的狭窄部を含むことができる。加熱要素は、装置内又は装置とともに使用するための物品内に設けられてもよい。
【0124】
いくつかの実施形態において、装置は、使用者がチャネル122を介し装置を通して流体を吸い込んでいるときを検出し、検出されたパフを表す信号をコントローラ117に送信するためのパフ検出器(図示せず)を備えることができる。いくつかのそのような実施形態では、コントローラ117は、パフ検出器から受信した信号に応じて、対応する時間に各コイル114、115に対応の変化する電流をデバイス116に流させるよう、デバイス116を制御することができる。例えば、コントローラ117は、検出されたパフ数のカウントに応じて、デバイス116により二つのコイル114、115のどちらに電流を流すかを切り換えさせるよう、デバイス116を制御することができる。このような方式もまた、漸進的な加熱を可能にするために使用され得る。いくつかの実施形態では、使用時における加熱要素又は喫煙材の冷却は、加熱要素の温度をそのキュリー点温度未満に低下させる可能性がある。コントローラ117は、この検出された低下に基づいて、使用者が装置を通して流体を吸い込んでいると判断するように構成されてもよい。
【0125】
比較的小さい断面積を有する第1のコイル114の区域は、比較的大きい断面積を有する第1のコイル114の区域よりも高い強度の磁場を作り出すことができる。したがって、いくつかの実施形態では、第1のコイル114は、その軸線方向の長さに沿って変化する断面積を有して、加熱要素61、130の第1の部分における磁界強度が加熱要素61、130の第2の部分におけるよりも高くなるようにすることができる。コイル114の断面積は、コイル114の軸線方向長さに沿って大から小へと先細になっていてもよい。いくつかのそのような実施形態では、第2のコイル115を省略することができ、その結果、磁場発生器112は、使用時に加熱要素61、130に侵入する一つの変動磁場のみを発生させるためのものとなる。
【0126】
いくつかの実施形態では、物品1、2、3、4、5、6は、使用者の唇との接触を検出するリップセンサ(図示せず)を有してもよい。リップセンサは、例えば、圧電装置、圧力センサ、又は唇がリップセンサから離れている場合と比較して使用者の唇がリップセンサに接触しているときのリップセンサの電気導電性が異なるように構成されたセンサ等があり得る。物品1、2、3、4、5、6が加熱ゾーン111内にあるときにリップセンサをコントローラ117に通信可能に接続し、それによってコントローラ117が、センサ117から受信した信号に基づいて動作するようにしてもよい。
【0127】
上述の各実施形態では、加熱要素10、20、30には単一の幾何学的狭窄部しかない。他の実施形態では、加熱要素は、互いに相違する可能性がある複数の幾何学的狭窄部を含み得る。例えば、一方の狭窄部における加熱要素の厚さは、他方の狭窄部における加熱要素の厚さと異なっていてもよい。いくつかのそのような実施形態では、使用時に、第1の狭窄部(例えば、最小厚さを有する狭窄部)が最初に加熱要素の加熱材のキュリー点温度に達し、その後、第2の狭窄部(例えば第1の狭窄部よりもより大きな厚さを有する狭窄部)がキュリー温度に達する。そのような構成は、上述したのと同様の態様で、全時間にわたって喫煙材の漸進的な加熱を可能とするために使用され得る。
【0128】
いくつかの実施形態では、装置100、200、300、400、500、600は、装置100、200、300、400、500、600とともに使用可能である物品1,2,3,4,5,6とは別個に、販売され又は供給され、そうでなければ提供される。しかしながら、いくつかの実施形態では、装置100、200、300、400、500、600と、一つ以上の物品1、2、3、4、5、6とは一緒に、キット又は組立体のようなシステムとして、可能であれば清掃道具のような追加の部品とともに、提供されてもよい。
【0129】
上述の各実施形態では、物品1、2、3、4、5、6は消耗品である。物品1、2、3、4、5、6中の喫煙材25、35、45、50、55、65の揮発性成分の全部又は実質的に全部が消費されると、使用者は、物品1、2、3、4、5、6を装置100、200、300、400、500、600から取り外し、物品1、2、3、4、5、6を処分することができる。使用者はその後、別の物品1、2、3、4、5、6とともに装置100、200、300、400、500、600を再使用することができる。しかしながら、他のそれぞれの実施形態では、物品は消耗品でなくてもよく、喫煙材の揮発性成分が消費された後に、装置と物品とは一緒に処分されてもよい。
【0130】
上述の各実施形態では、加熱材は鋼である。しかしながら、他の実施形態では、加熱材は、導電性材料、磁性材料、及び磁性導電性材料からなる群から選択された一つ以上の材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、加熱材は金属又は金属合金を含むことができる。いくつかの実施形態では、加熱材は、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、コバルト、導電性炭素、グラファイト、普通炭素鋼、ステンレス鋼、フェライトステンレス鋼、銅、及び青銅からなる群から選択された一つ以上の材料を含むことができる。比較的低い加熱温度を用いる用途では、鉄とニッケルを含む合金又はそれらからなる合金のような、より低いキュリー点温度を有する加熱材を使用することが有効である。そのような合金及びそれらに関連するキュリー点温度の例は、30%Ni−70%Fe(100℃)、36%Ni−64%Fe(279℃)、及び42%Ni−58%e(325℃)である。他の実施形態では他の加熱材を使用することもできる。いくつかの実施形態では、加熱要素は、積層体又は複合材料として構成された複数の材料を含み得る。積層体又は複合材料の材料は、使用時の温度制御を最適化するように選択されるとよい。積層体又は複合体の材料のそれぞれは、例えば、この段落よりも前に列挙した材料のリストから選択することができる。加熱材として磁性導電性材料を用いると、使用時、磁性導電性材料と装置の電磁石との磁気結合を強くすることができることが分かっている。これは、磁気ヒステリシス加熱を潜在的に可能にすることに加えて、加熱材のジュール加熱を増大させる、又は改善することができ、したがって、喫煙材の加熱を増大させる、又は改善することができる。
【0131】
加熱材は、誘導電流及び/又は磁気双極子の誘導再配向のほとんどが生じる外側の領域である表皮深さを有することができる。加熱材の厚さを相対的に薄くすることによって、加熱材の他の寸法に比べて相対的に長い奥行き又は厚さを有する加熱材と比べると、所与の変動磁場によって加熱材のより大きな割合を加熱可能にすることができる。したがって、材料をより効率的に使用することになり、それはコストを削減する。
【0132】
上記の実施形態の各々において、喫煙材はタバコを含んでいる。しかしながら、これらの実施形態の各々に対する各変形形態では、喫煙材は、タバコのみからなるものであってもよいし、ほぼ全体がタバコのみからなるものであってもよいし、タバコとタバコ以外の喫煙材とを含むものであってもよいし、タバコ以外の喫煙材を含むものであってもよいし、タバコを含まないものであってもよい。いくつかの実施形態においては、喫煙材は、ニコチンを含み又はニコチンからなる非タバコ材料である。いくつかの実施形態では、喫煙材は、蒸気又はエアロゾルの形成剤や、保湿剤(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、トリアセチン、又はジエチレングリコール)を含んでいてもよい。
【0133】
様々な課題に対処し、技術を進歩させるため、本開示はその全体にわたって様々な実施形態を例証及び例示によって示している。これらの実施形態において、特許請求された発明を実施することが可能である。また、これらの実施形態は、喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるよう喫煙材を加熱するための装置とともに使用するための優れた加熱要素、喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるよう喫煙材を加熱するための装置とともに使用するための優れた物品、喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるよう喫煙材を加熱するための優れた装置、及び、前記物品と前記装置とを備える優れたシステムを提供する。本開示の利点及び特徴は、実施形態のうち代表的な例のものにすぎず、すべての利点や特徴を網羅したものでもなければ、他の利点や特徴を排除するものでもない。これらは、特許請求の範囲などに開示される特徴の理解と教示を助けるためだけに提示されている。本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の側面は、特許請求の範囲によって規定されたとおりに本開示を限定するもの、或いは特許請求の範囲の均等物を制限するものと考えるべきではなく、本開示の範囲及び/又は趣旨から逸脱することなく他の実施形態を利用し、変形を施すことができることを理解されたい。様々な実施形態が、開示された要素、構成、特徴、部品、ステップ、手段などの様々な組合せを適切に備え、それらのみから構成され、或いは実質的にそれらから構成されてもよい。本開示は、特許請求の範囲に現在は記載されていないが将来記載される可能性のある他の発明を含む可能性がある。