(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ランドとグルーブの双方に信号が記録される記録媒体に対して、光源より発せられた光を照射して前記ランドと前記グルーブの記録信号の双方を反映した信号光を得、且つ前記光源より発せられた光から参照光を生成し、前記信号光と前記参照光とを重ね合わせた重ね合わせ光を形成し、光分割素子によって前記重ね合わせ光の断面をタンジェンシャル方向及び/又はラジアル方向に複数の領域に分割し、
分割した領域と対応する複数の重ね合わせ光を使用して、ほぼ0°の位相差を与えた第1の信号光と参照光の組と、ほぼ180°の位相差を与えた第2の信号光と参照光の組と、ほぼ90°の位相差を与えた第3の信号光と参照光の組と、ほぼ270°の位相差を与えた第4の信号光と参照光の組をそれぞれ生成する光学系と、
前記第1の信号光と参照光の組に対応する受光信号(I)と、前記第2の信号光と参照光の組に対応する受光信号(J)と、前記第3の信号光と参照光の組に対応する受光信号(K)と、前記第4の信号光と参照光の組に対応する受光信号(L)を出力する受光部と、
前記受光信号(I)と前記受光信号(J)の差分である差分信号aと、前記受光信号(K)と前記受光信号(L)の差分である差分信号bを演算し、前記差分信号a及びbから演算によって再生信号を得る再生信号生成回路と
を備える再生装置。
前記光分割素子の分割数をNとすると、前記受光部がそれぞれN以下の個数の前記受光信号(I)及び前記受光信号(J)と、それぞれN以下の個数の前記受光信号(K)及び前記受光信号(L)を出力するようにした請求項1に記載の再生装置。
前記光分割素子の分割数をNとすると、前記受光信号(I)及び前記受光信号(J)の組と、前記受光信号(K)及び前記受光信号(L)の組の一方に関してN以下の個数の信号を出力するようにした請求項1に記載の再生装置。
前記差分信号a及び前記差分信号bがそれぞれ適応イコライザ回路に供給され、前記適応イコライザ回路の出力が合成されることによって再生信号が形成される請求項1に記載の再生装置。
前記適応イコライザ回路は、等化目標信号と等化信号から等化誤差を求め、該等化誤差を、適応等化のための制御信号として供給するようにした請求項4に記載の再生装置。
前記位相オフセットは、(Ψ=4πnd/λ)(nは、屈折率、dは、前記ランド及びグルーブ間の段差、λは光の波長)にほぼ等しいものとされる請求項6に記載の再生装置。
ランドとグルーブの双方に信号が記録される記録媒体に対して、光源より発せられた光を照射して前記ランドと前記グルーブの記録信号の双方を反映した信号光を得、且つ前記光源より発せられた光から参照光を生成し、前記信号光と前記参照光とを重ね合わせた重ね合わせ光を形成し、光分割素子によって前記重ね合わせ光の断面をタンジェンシャル方向及び/又はラジアル方向に複数の領域に分割し、
分割した領域と対応する複数の重ね合わせ光を使用して、ほぼ0°の位相差を与えた第1の信号光と参照光の組と、ほぼ180°の位相差を与えた第2の信号光と参照光の組と、ほぼ90°の位相差を与えた第3の信号光と参照光の組と、ほぼ270°の位相差を与えた第4の信号光と参照光の組をそれぞれ生成し、
受光部によって、前記第1の信号光と参照光の組に対応する受光信号(I)と、前記第2の信号光と参照光の組に対応する受光信号(J)と、前記第3の信号光と参照光の組に対応する受光信号(K)と、前記第4の信号光と参照光の組に対応する受光信号(L)を出力し、
再生信号生成回路によって前記受光信号(I)と前記受光信号(J)の差分である差分信号aと、前記受光信号(K)と前記受光信号(L)の差分である差分信号bを演算し、前記差分信号a及びbから演算によって再生信号を得る
再生方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に説明する実施の形態は、本技術の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されている。しかしながら、本技術の範囲は、以下の説明において、特に本技術を限定する旨の記載がない限り、これらの実施の形態に限定されないものとする。
なお、本技術の説明は、下記の順序にしたがってなされる。
<1.ホモダイン検出方法の一例について>
<2.ホモダイン検出方法の他の例について>
<3.第1の実施の形態>
<4.第2の実施の形態>
<5.変形例>
【0013】
<1.ホモダイン検出方法の一例について>
ホモダイン検出方法の一例について説明する。以下では一例として、いわゆる位相ダイバーシティ方式によるホモダイン検出方法について説明する。
【0014】
「再生対象の光記録媒体」
図1に、再生対象とする光記録媒体1の断面構造図を示す。回転駆動される光記録媒体1に対するレーザ光照射が行われて記録信号の再生が行われる。光記録媒体1は、例えば記録マークの形成により情報が記録されたいわゆる追記型の光記録媒体とされる。
【0015】
図1に示されるように光記録媒体1には、上層側から順にカバー層2、記録層(反射膜)3、基板4が形成されている。ここで、「上層側」とは、再生装置側からのレーザ光が入射する面を上面としたときの上層側を指す。つまりこの場合、光記録媒体1に対しては、カバー層2側からレーザ光が入射することになる。
【0016】
光記録媒体1において、基板4は、例えばポリカーボネートなどの樹脂で構成され、その上面側には凹凸の断面形状が与えられている。このような基板4は、例えばスタンパを用いた射出成形などにより生成される。
【0017】
そして、上記凹凸形状が与えられた基板4の上面側に対して、スパッタ等により記録層3が形成される。ここで、従来のホモダイン検波で再生対象とする光記録媒体1のトラックは、光学的限界値を超えない通常のトラックピッチで形成されている。すなわち、記録層3におけるトラックピッチは、「λ/NA/2」(λは再生波長、NAは対物レンズの開口数)でその理論値が表される光学的限界値よりも大に設定されているものである。
【0018】
記録層3の上層側に形成されるカバー層2は、例えば紫外線硬化樹脂をスピンコート法等により塗布した後、紫外線照射による硬化処理を施すことで形成されたものとなる。カバー層2は、記録層3の保護のために設けられている。
【0019】
図2は、再生対象の光記録媒体1の記録面の構造を示している。
図2Aは記録面の一部を拡大した平面図であり、
図2Bは記録面の一部を拡大した斜視図である。なお、
図2Bは、再生のためのレーザ光が照射される側の面を示すすなわち、図面の上側より、再生のためのレーザ光が照射される。光記録媒体1には、グルーブGとランドLとが形成されている。ここで本明細書においては、BD(Blu-ray Disc:登録商標)の場合と同様に、再生のためのレーザ光が先に到達する側、すなわち凸部側をグルーブGとし、凹部側をランドLと称するものとする。
【0020】
再生対象とする光記録媒体1には、グルーブGとランドLの双方にマーク列が形成されている。マーク列をトラックとすると、トラックピッチTpは、
図2Bに示されるようにランドLとグルーブGとの形成ピッチと定義できる。トラックピッチTpが光学的限界値を超える狭ピッチに設定されることで、情報記録密度の向上が図られたものとなる。例えば、光記録媒体1におけるグルーブGの形成ピッチが、従来の光記録媒体におけるトラックピッチ(マーク列の形成ピッチ)と同じであるとすると、光記録媒体1は、従来のほぼ2倍に情報記録密度が高められたものとなる。
【0021】
ランドLとグルーブGとの間の段差(深さと適宜称する)をdと表す。例えば光記録媒体1の屈折率をnとすると、深さdが「λ/8/n」とされる。例えば再生波長λ=405nm、n=1.5の条件であれば、約33nmの深さdが形成される。
【0022】
ここで、光記録媒体1では、ランドLとグルーブGとの形成ピッチが光学的限界値を超えているので、記録面上に形成される再生光のビームスポットとランドL、グルーブGとの関係は、例えば
図3に示すようなものとなる。
【0023】
従来と同様に、グルーブG或いはランドLを対象として対物レンズのトラッキングサーボ制御を行ったとする。
図3では、グルーブGを対象として対物レンズのトラッキングサーボ制御を行った場合を例示している。この場合、サーボの対象とされたグルーブGの再生信号に対して、隣接する2本のランドLの記録情報が混在してしまうことが分かる。
【0024】
すなわち、ランド/グルーブ記録方法において、トラックピッチが狭くなると、隣接トラックからクロストークが発生する。
図4に示すように、グルーブを再生する場合、グルーブの再生信号f(t)のみならず、隣接するランドの再生信号g(t)も混入する。グルーブの再生信号の位相φ=0とすると、ランドの位相Ψ=4πnd/λ(λは、波長、nは、光記録媒体1の基板の屈折率である)となる。
【0025】
「位相ダイバーシティ方式によるホモダイン検出方法の一例」
位相ダイバーシティ方式では、互いの位相差が90°ずつ異なるようにされた4つの信号光・参照光の組を用いる。具体的に位相ダイバーシティ方式では、位相差がそれぞれほぼ0°、ほぼ180°、ほぼ90°、ほぼ270°となるように調整された信号光・参照光の組について、それぞれ検波を行うようにされる。これらの各検波は、信号光と参照光とを干渉させた光についての光強度をそれぞれ検出することで行われる。
【0026】
図5は、位相ダイバーシティ方式で用いる光学系の構成を主に示す。光記録媒体1は、再生装置に装填されると、スピンドルモータによって回転駆動される。光学系には、再生のためのレーザ光源となるレーザ(半導体レーザ)10が設けられている。レーザ10より出射されたレーザ光は、コリメーションレンズ11を介して平行光となるようにされた後、1/2波長板12を介して偏光ビームスプリッタ13に入射する。
【0027】
このとき、偏光ビームスプリッタ13は、例えばP偏光を透過しS偏光を反射するように構成されているとする。1/2波長板12の取り付け角度(レーザ光の入射面内において光軸を中心した回転角度)は、偏光ビームスプリッタ13を透過して出力される光(P偏光成分)と反射して出力される光(S偏光成分)との比率(すなわち偏光ビームスプリッタ13による分光比)が例えばほぼ1:1となるように調整されているとする。
【0028】
偏光ビームスプリッタ13にて反射されたレーザ光は、1/4波長板14を介した後、2軸アクチュエータ16により保持された対物レンズ15を介して光記録媒体1の記録層に集光するようにして照射される。
【0029】
2軸アクチュエータ16は、対物レンズ15をフォーカス方向(光記録媒体1に対して接離する方向)及びトラッキング方向(光記録媒体1の半径方向:上記フォーカス方向とは直交する方向)に変位可能に保持する。2軸アクチュエータ16には、フォーカスコイル、トラッキングコイルが備えられており、これらフォーカスコイル、トラッキングコイルにそれぞれ後述するフォーカスドライブ信号FD、トラッキングドライブ信号TDが供給される。対物レンズ15は、フォーカスドライブ信号FD、トラッキングドライブ信号TDにしたがってフォーカス方向、トラッキング方向にそれぞれ変位する。
【0030】
光記録媒体1の記録層からの反射光は、対物レンズ15及び1/4波長板14を介して偏光ビームスプリッタ13に入射される。偏光ビームスプリッタ13に入射した反射光(復路光)は、1/4波長板14による作用と記録層における反射時の作用とにより、その偏光方向が、レーザ10側から入射し該偏光ビームスプリッタ13にて反射された光(往路光とする)の偏光方向に対して90°異なったものとなっている。すなわち、反射光は、P偏光で偏光ビームスプリッタ13に入射する。このため、反射光は、偏光ビームスプリッタ13を透過する。なお、以下、このように偏光ビームスプリッタ13を透過することになる光記録媒体1の記録信号を反映した反射光のことを、信号光と称する。
【0031】
図5において、レーザ10より出射され偏光ビームスプリッタ13を透過したレーザ光(P偏光)は、ホモダイン検出方式における参照光として機能する。偏光ビームスプリッタ13を透過した参照光は、図中の1/4波長板17を介した後、ミラー18にて反射されて、再び1/4波長板17を通過して偏光ビームスプリッタ13に入射する。
【0032】
ここで、このように偏光ビームスプリッタ13に入射する参照光(復路光)は、1/4波長板17による作用とミラー18での反射時の作用とにより、その偏光方向が往路光としての参照光とは90°異なるものとされる(つまりS偏光となる)。従って、復路光としての参照光は、偏光ビームスプリッタ13にて反射されることになる。
【0033】
図5中では、このように偏光ビームスプリッタ13にて反射された参照光を破線矢印により示している。
図5中では、偏光ビームスプリッタ13を透過した信号光を実線矢印により示している。偏光ビームスプリッタ13によって、これら信号光と参照光とが重ね合わされた状態で同方向に出射される。具体的にこの場合、信号光と参照光とはそれらの光軸が一致するように重ね合わされた状態で同方向に出射される。ここで、参照光は、いわゆるコヒーレント光である。
【0034】
偏光ビームスプリッタ13から出力された信号光と参照光の重ね合わせ光は、ハーフビームスプリッタ19に入射する。ハーフビームスプリッタ19は、入射光をほぼ1:1の割合で反射光と透過光とに分割する。
【0035】
ハーフビームスプリッタ19を透過した信号光と参照光の重ね合わせ光は、1/2波長板20を介して偏光ビームスプリッタ21に入射される。一方、ハーフビームスプリッタ19で反射した信号光と参照光の重ね合わせ光は、1/4波長板22を介して偏光ビームスプリッタ23に入射される。
【0036】
1/2波長板20及び1/4波長板22は、偏光面を回転させることが可能とされている。したがって、1/2波長板20と偏光ビームスプリッタ21とを組み合わせることによって、偏光ビームスプリッタ21によって分岐される光量の比を調整することができる。同様に、1/4波長板22によって、偏光ビームスプリッタ23によって分岐される光量の比を調整することができる。
【0037】
偏光ビームスプリッタ21及び23のそれぞれによって分岐される光の光量がほぼ1:1となるようにされる。偏光ビームスプリッタ21によって反射された光が光検出部24に入射され、偏光ビームスプリッタ21を透過した光が光検出部25に入射される。偏光ビームスプリッタ23によって反射された光が光検出部26に入射され、偏光ビームスプリッタ23を透過した光が光検出部27に入射される。
【0038】
光検出部24から出力される受光信号をIと表記し、光検出部25から出力される受光信号をJと表記し、光検出部26から出力される受光信号をLと表記し、光検出部27から出力される受光信号をKと表記する。
【0039】
これらの受光信号I〜Lは、減算器31a及び31bに対して供給される。減算器31aに対して、受光信号I及びJが供給され、減算器31aが(a=I−J)の差分信号aを発生し、減算器31bが(b=K−L)の差分信号bを発生する。
【0040】
図6に示すように、上述した差分信号a及びbが演算回路32に供給される。演算回路32は、遅延回路33a及び33b、乗算回路34a及び34b、ローパスフィルタ35a及び35b、オフセット(φ)設定回路36a及び36b、並びに加算器37を有する。遅延回路33aは、ローパスフィルタ35a及びオフセット(φ)設定回路36aにおいて生じる遅延量に等しい遅延時間を有する。遅延回路33bは、ローパスフィルタ35b及びオフセット(φ)設定回路36bにおいて生じる遅延量に等しい遅延時間を有する。乗算回路34aの出力及び乗算回路34bの出力が加算器37に供給される。加算器37の出力に再生信号が取り出される。
【0041】
上述した再生装置は、以下に説明するように、光記録媒体1の面ブレ等による参照光の位相ズレ(θ(t))の成分の影響を受けない再生信号を得ることができる。
【0042】
受光信号I〜Lは、下記の数式で示すものとなる。式中の各項の意味を下記に示す。
R:参照光成分
A:光記録媒体の記録面に形成されるミラー面(ランド部分)の反射成分
f:記録マークの有/無に応じた変調成分(正負値をとる)
t:サンプリング時間
φ:読みたいマークと信号光の平均位相の位相差である。使用者が推定してセットする値である。
θ:信号光と参照光の光路長差(主に光記録媒体1の面ブレに起因して生じる)
【0043】
図7に示すように、対物レンズ15と光記録媒体1の信号面とが面ブレによって変化すると、信号光の光路長が変化する。一方、参照光は、ミラー18において反射するので、光路長が変化しない。その結果、信号光及び参照光の間の位相差が設定した値とずれた値となる。この位相ずれの成分がθ(t)である。
【0044】
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】
【0045】
減算器31aの差分信号a(=I−J)及び減算器31bの差分信号b(=K−L)は、以下の式に示すものとなる。
【0047】
図8Aに示すように、ホモダイン検出を行わない通常の検出においても、再生信号のDC成分が背景のミラー部分に対応して現れている。ホモダイン検出の場合、
図8Bに示すように、ミラー部分に対応するDC成分が上述した参照光の光路長差に対応する位相θによってうねることになる。
【0048】
この位相θを求めるために、
図8Bに示す差分信号a及びbをローパスフィルタ35a及び35bにそれぞれ供給する。ローパスフィルタ35a及び35bによって、
図8Cに示すように、cosθ(t)及びsinθ(t)を求めることができる。すなわち、数式(5)及び数式(6)において、fは、記録マークの有/無に応じた変調成分(正負値をとる)としているので、関数fが乗算されている項が消えて、sinθ及びcosθの項が残ると考えられる。
【0049】
(tanθ=sinθ/cosθ)であるので、(arctanθ=θ)によってθを求め、φ(オフセット)を設定して、乗算回路34aにおいて、(cos(φ−θ(t))をaに乗算し、乗算回路34bにおいて、(sin(φ−θ(t))をbに乗算する。そして、加算器37によって、これらの乗算出力を加算する。加算器37から得られる再生信号は、以下の式に示すものとなる。
【0051】
この数式から分かるように、再生信号では、θ(t)の成分が消えて、安定した信号となる。なお、ホモダイン検出方式として、ミラー18の位置制御を行って、面ブレに伴い生じる信号光と参照光との位相差をキャンセルする方法もあるが、位相ダイバーシティ方式によれば、このようなミラー18の位置制御のための構成を省略することができる。さらに、信号光の成分が参照光の成分で増幅された再生結果が得られることが分かる。すなわち、光記録媒体1の記録信号が増幅されて検出されるものであり、この点でSNRの改善が図られる。なお、位相ダイバーシティ方式の用語は、差分信号a及びbの二乗和(a
2+b
2)又は二乗和の平方根を計算することによって、再生信号を求める方式を意味している。本明細書では、上述したように、(cos(φ−θ(t))をaに乗算し、乗算回路34bにおいて、(sin(φ−θ(t))をbに乗算する演算に対しても位相ダイバーシティ方式の用語を使用している。
【0052】
上述したようなランド/グルーブ記録の光記録媒体を
図9Aに示す光学系によって再生することを想定し、トラックピッチTpを変えた場合の再生信号(グルーブの再生信号又はランドの再生信号)のジッタをシミュレーションによって求めた結果を
図9Bのグラフに示す。なお、ジッタは、再生性能を表す指標の一つであり、ジッタ以外の指標を使用しても良い。
【0053】
図9Aに示すように、レーザダイオード41からのレーザ光がレンズ42、偏光ビームスプリッタ43及び対物レンズ44を通って光記録媒体1の信号面に照射される。信号面からの反射光が偏光ビームスプリッタ43によって反射され、レンズ45を介して光検出部46に供給される。光検出部46から再生信号が得られる。
図9Aに示す再生光学系は、上述したホモダイン検出を使用しないものである。
【0054】
シミュレーションは、下記の計算条件で行った。なお、面ブレがないものとし、トラック間クロストークを減少させるような再生方法を使用するようにしている。
λ=405nm、NA=0.85、リム=65%/65%、グルーブデューティ=50%
傾斜=90°、マーク反射率=0%、マーク幅=0.9Tp、線密度=25GB一定
【0055】
図9Bに示すグラフは、(Mrr(ミラーを意味し、d=0)、(d=0.125λ)、(d=0.15λ)、(d=0.175λ))のそれぞれについて、Tpに対するジッタの値の変化を示している。例えば(Tp=0.22)において、ミラー以外のグルーブの深さに関して、ジッタを少ないものとできる。さらに、グルーブの深さが異なっても、ジッタの変化をほぼ同様のものとできる。
【0056】
図10は、ランド/グルーブ記録の光記録媒体1をホモダイン検出を利用して再生する場合のシミュレーション結果を示している。
図10Aに示すように、ミラー47が設けられ、光記録媒体1からの反射光(信号光)とミラー47の反射光(参照光)とがレンズ45を介して光検出部46に供給される。
【0057】
図10Aに示す光学系を使用した場合のシミュレーションの結果を
図10Bに示す。シミュレーションの計算条件は、
図9Bと同様である。
図10Bに示すグラフは、(Mrr(ミラーを意味し、d=0)、(d=0.1λ)、(d=0.125λ=λ/8)、(d=0.15λ)、(d=0.175λ))のそれぞれについて、Tpに対するジッタの値の変化を示している。
【0058】
例えば(Tp=0.15)において、ミラーに比してジッタを少なくできる。しかしながら、深さdの値によって、ジッタの値の変化にバラツキがある。すなわち、(d=0.125λ=λ/8)の場合では、ジッタを大幅に改善できるのに対して、(d=0.175λ)の場合では、ジッタが大きすぎる。さらに、(d=0.1λ)及び(d=0.15λ)の場合のジッタの値は、充分良好とはいえない。d=λ/8とする場合には、グルーブの再生信号とランドの再生信号との間に90°の位相差を生じさせることができるので、クロストークを少ないものとでき、ジッタを良好とできる。
【0059】
上述したように、特定のグルーブの深さdの場合にしか、良好な再生性能が得られないことは、光記録媒体1の設計上の制約が生じる。しかも、d=λ/8の値は、比較的大きな値であり、グルーブ間のランドにマークを記録する面では、好ましいものとはいえない。さらに、dが大きい場合には、光ディスクを成型する場合に段差の壁の面を傾斜なく、きれいなものとすることが困難となる。したがって、dの値が(λ/8)に限定されないことが好ましい。
【0060】
<2.ホモダイン検出方法の他の例について>
この点を改良するために、
図5と同様の再生光学系を使用し、
図6に示すのと同様の再生信号生成回路を使用する。
図5の光検出部24〜27のそれぞれから出力される受光信号I〜Lから形成される差分信号が
図11に示すような構成の再生信号生成回路に供給される。
【0061】
再生信号生成回路は、減算器31a及び31bと、演算回路40とからなる。減算器31aに対して、受光信号I及びJが供給され、減算器31aが(a=I−J)の差分信号aを発生し、演算回路31bが(b=K−L)の差分信号bを発生する。減算器31aの差分信号a及び減算器31bの差分信号bが演算回路40に供給される。
【0062】
演算回路40は、遅延回路33a及び33b、乗算回路34a及び34b、ローパスフィルタ35a及び35b、オフセット(Ψ)設定回路39a及び39b、並びに減算器50を有する。遅延回路33aは、ローパスフィルタ35a及びオフセット(Ψ)設定回路39aにおいて生じる遅延量に等しい遅延時間を有する。遅延回路33bは、ローパスフィルタ35b及びオフセット(Ψ)設定回路39bにおいて生じる遅延量に等しい遅延時間を有する。乗算回路34aの出力及び乗算回路34bの出力が減算器50に供給される。減算器50の出力に再生信号が取り出される。
【0063】
オフセット(Ψ)設定回路39a及び39bは、以下に説明するように、クロストーク分と信号光の平均位相の位相差に相当する値(Ψ)を使用者が推定してセットする固定値である。例えばグルーブGとランドLとの段差、すなわち、深さdに応じた位相のオフセットを設定する。再生対象の光記録媒体1の深さdの値は、予め分かっているので、オフセットΨを設定することが可能である。
【0064】
上述したホモダイン方式の他の例では、以下に説明するように、光記録媒体1の面ブレ等による参照光の位相ズレ(θ(t))の成分の影響を受けず、しかも、トラック間クロストークが除去された再生信号を得ることができる。
図3及び
図4を参照して説明したように、ランド/グルーブ記録方法において、トラックピッチが狭くなると、隣接トラックからクロストークが発生する。
図4に示すように、グルーブを再生する場合、グルーブの再生信号f(t)のみならず、隣接するランドの再生信号g(t)も混入する。グルーブの再生信号の位相φ=0とすると、ランドの位相Ψ=4πnd/λ(λは、波長、nは、光記録媒体1の基板の屈折率である)となる。
【0065】
図5に示す再生光学系を使用して受光信号I〜Lを求める。上述した数式と同様に、式中の各項の意味を下記に示す。
R:参照光成分
A:光記録媒体の記録面に形成されるミラー面(ランド部分)の反射成分
f:記録マークの有/無に応じた変調成分(正負値をとる)
g:隣接トラックからのクロストーク成分
t:サンプリング時間
φ:読みたいマークと信号光の平均位相の位相差である。使用者が推定してセットする値である。
θ:信号光と参照光の光路長差(主に光記録媒体1の面ブレに起因して生じる)
Ψ:クロストーク分と信号光の平均位相の位相差である。使用者が推定してセットする値である。
【0066】
【数8】
【数9】
【数10】
【数11】
【0067】
さらに、
図11に示す再生信号生成回路を使用して演算を行う。減算器31aの差分信号a(=I−J)及び減算器31bの差分信号b(=K−L)は、以下の式に示すものとなる。
【0069】
上述したように、ローパスフィルタ35a及び35bによって、cosθ(t)及びsinθ(t)を求める。すなわち、式(12)及び式(13)において、fは、記録マークの有/無に応じた変調成分(正負値をとる)としており、gが隣接トラックからのクロストーク成分としているので、関数f及びgが乗算されている項が消えて、sinθ及びcosθの項が残ると考えられる。(tanθ=sinθ/cosθ)であるので、(arctanθ=θ)によってθを求め、オフセット(Ψ)設定回路39a及び39bによってΨ(オフセット)を設定して、乗算回路34aにおいて、(sin(Ψ−θ(t))をaに乗算し、乗算回路34bにおいて、(cos(Ψ−θ(t))をbに乗算する。そして、減算器50によって、これらの乗算出力を合成する。減算器50から得られる再生信号は、以下の式に示すものとなる。
【0071】
式(14)に示されるように、再生信号では、θ(t)の成分が消えて、安定した信号となる。加えて、再生信号中には、隣接トラックの再生信号成分g(t)が含まれておらず、トラック間クロストークを除去される。
【0072】
図10Aに示す光学系と同様の光学系を使用した場合のシミュレーションの結果を
図12に示す。シミュレーションの計算条件は、
図9B及び
図10Bと同様である。
図12に示すグラフは、(Mrr(ミラーを意味し、d=0)、(d=0.1λ)、(d=0.125λ=λ/8)、(d=0.15λ)、(d=0.175λ))のそれぞれについて、Tpに対するジッタの値の変化を示している。
【0073】
図12のグラフから分かるように、ミラー以外の全てのdの値に関して、ジッタを少なくすることができる。上述した
図10Bの場合では、(d=0.125λ=λ/8)の場合のみ、ジッタを大幅に改善できるのに対して、ホモダイン方式の他の例では、dが他の値の場合でも、同様に、ジッタを大幅に改善することができる。
【0074】
<3.第1の実施の形態>
本技術の第1の実施の形態の概要は、
図13に示すように、信号光と参照光が重ね合わされた光束の断面を光分割素子28によって複数例えば3個の領域に分割して、各領域に対応する複数チャンネルの再生信号を得るようになされる。光分割素子28によって分割する際には、例えば、対物レンズを通過し、フォトディテクタに至る光路中に、複数の領域を分離するための光路変換素子を配置し、光路変換素子によって分離された複数のビームを異なるフォトディテクタで受光する方法を使用することができる。光路変換素子としては、ホログラフィック光学素子等の回折素子や、マイクロレンズアレイ、マイクロプリズム等の屈折素子等を使用することができる。領域毎の再生情報信号を得る方法としては、光分割素子28によって分割する方法以外にも、光検出部のフォトディテクタを分割することによってフォトディテクタに光分割素子の機能をもたせる方法も使用できる。
【0075】
瞳分割は、タンジェンシャル方向及び/又はラジアル方向に行われる。例えば
図14に示すように、瞳をタンジェンシャル方向に3個の領域A,B,Cに分割する。3分割の比率は、例えば(4:3:4)となされる。瞳分割の光分割素子28によって分離された3個の領域に対応する信号(チャンネル1の信号,チャンネル2の信号及びチャンネル3の信号と適宜称する)は、異なる周波数成分を含む。すなわち、中央の領域Bに対応するチャンネル2の信号は、比較的低域周波数成分を多く含んでおり、両側の領域A及びCのそれぞれと対応するチャンネル1の信号及びチャンネル3の信号は、比較的高域周波数成分を多く含んでいる。3個の再生信号がそれぞれホモダイン方式の信号処理部29a,29b,29cに供給される。信号処理部29a,29b,29cには、適応イコライザ回路がそれぞれ設けられている。信号処理部29a,29b,29cの出力が加算回路30において合算することによって例えばディスク表面の微小な凹凸に起因する位相変動分が除去された再生信号を得ることができる。
【0076】
「光学系の構成」
図15を参照して本技術の第1の実施の形態の光学的構成について説明する。上述した
図5に示される位相ダイバーシティ方式で用いる光学系の構成と同様の構成であり、対応する部分に対しては同一参照符号を付すことにする。なお、再生光の光路を実線で示し、参照光の光路を破線で示す。
【0077】
光記録媒体1は、再生装置に装填されると、スピンドルモータによって回転駆動される。光学系には、再生のためのレーザ光源となるレーザ(半導体レーザ)60が設けられている。レーザ60より出射されたレーザ光は、偏光ビームスプリッタ13、1/4波長板14、対物レンズ15を介して光記録媒体1の記録層3に集光するようにして照射される。
【0078】
記録層3からの反射光(復路光)は、対物レンズ15及び1/4波長板14を介した後、偏光ビームスプリッタ13に入射する。偏光ビームスプリッタ13に入射した反射光は、1/4波長板14による作用と記録層3における反射時の作用とにより、その偏光方向が、レーザ60側から入射し該偏光ビームスプリッタ13を透過した光(往路光)の偏光方向に対して90°異なったものとなっている。すなわち、反射光はS偏光で偏光ビームスプリッタ43に入射する。このため、復路光としての反射光が偏光ビームスプリッタ13にて反射される。
【0079】
レーザ60からのレーザ光が偏光ビームスプリッタ13に入射される場合、その一部例えば1/2の光量が反射され、1/4波長板17及びレンズ61を介してミラー18に入射される。ミラー18によって反射された成分がレンズ61及び1/4波長板17を通って偏光ビームスプリッタ13に参照光として入射される。上述した復路光と参照光の重ね合わせ光が光分割素子としてのホログラフィック光学素子100に入射される。
【0080】
ホログラフィック光学素子100によって偏光ビームスプリッタ13からの重ね合わせ光は、光ディスク1のタンジェンシャル方向に帯域の異なる信号を含む複数例えば3個の領域に分割される。ホログラフィック光学素子100から光がハーフビームスプリッタ19に入射する。ハーフビームスプリッタ19は、入射光をほぼ1:1の割合で反射光と透過光とに分割する。
【0081】
ハーフビームスプリッタ19を透過した復路光と参照光の重ね合わせ光は、1/2波長板20を介して偏光ビームスプリッタ21に入射される。一方、ハーフビームスプリッタ19で反射した復路光と参照光の重ね合わせ光は、ミラー62で反射されて1/4波長板22を介して偏光ビームスプリッタ23に入射される。
【0082】
1/2波長板20及び1/4波長板22は、偏光面を回転させることが可能とされている。したがって、1/2波長板20と偏光ビームスプリッタ21とを組み合わせることによって、偏光ビームスプリッタ21によって分岐される光量の比を調整することができる。同様に、1/4波長板22によって、偏光ビームスプリッタ23によって分岐される光量の比を調整することができる。
【0083】
偏光ビームスプリッタ21及び23のそれぞれによって分岐される光の光量がほぼ1:1となるようにされる。偏光ビームスプリッタ21を透過した光がレンズを介して光検出部としてのフォトディテクタPD1
1,PD1
2,PD1
3にそれぞれ入射される。また、偏光ビームスプリッタ21で反射された光がミラー28を介してフォトディテクタPD2
1,PD2
2,PD2
3にそれぞれ入射される。偏光ビームスプリッタ23を透過した光がレンズを介してフォトディテクタPD3
1,PD3
2,PD3
3にそれぞれ入射される。また、偏光ビームスプリッタ23で反射された光がミラー29を介してフォトディテクタPD4
1,PD4
2,PD4
3にそれぞれ入射される。
【0084】
図5に示す光学系と対応させると、フォトディテクタPD1
1,PD1
2,PD1
3から出力される3個の受光信号がJ
1〜J
3となり、フォトディテクタPD2
1,PD2
2,PD2
3から出力される3個の受光信号がI
1〜I
3となり、フォトディテクタPD3
1,PD3
2,PD3
3から出力される3個の受光信号がK
1〜K
3となり、フォトディテクタPD4
1,PD4
2,PD4
3から出力される3個の受光信号がL
1〜L
3となる。
【0085】
「電気的構成」
これらの受光信号が供給される再生信号処理回路の全体構成を
図16に示す。受光信号L
1,J
1,K
1,L
1が前処理回路101に供給され、受光信号L
2,J
2,K
2,L
1が前処理回路102に供給され、受光信号L
3,J
3,K
3,L
3が前処理回路103に供給される。前処理回路101、102及び103のそれぞれは、差動演算と検出位相回転演算と検出位相オフセトの処理を行う。前処理回路101、102及び103に対して共通に抽出位相(θ)71が供給される。抽出位相71を得るためには、フォトディテクタPD1
1〜PD4
3からの電気信号に関して、(I=I
1 +I
2 +I
3)の加算信号、(J=J
1 +J
2 +J
3)の加算信号、K(=K
1 +K
2 +K
3)の加算信号、並びにL(=L
1 +L
2 +L
3)の加算信号を形成する。そして、差分信号a(=I−J)及び差分信号b(=K−L)を形成し、ローパスフィルタを使用し、ローパスフィルタの出力を演算する構成を使用することができる。
【0086】
前処理回路101が出力する差分信号a'
1及びb'
1、前処理回路102が出力する差分信号a'
2及びb'
2、前処理回路103が出力する差分信号a'
3及びb'
3が後処理回路104に対して供給される。後処理回路104は、補間及び適応イコライザの処理を行うものである。後処理回路104の出力がビタビ検出器105に供給され、ビタビ検出器105から再生データが得られる。
【0087】
本技術の第1の実施の形態における前処理回路101〜103は、互いに同様の構成(
図17参照)を有している。すなわち、抽出位相を用いて変動(摂動要因)による信号品質低下を抑制するものである。差分信号a及びbに対して、抽出位相を用いて演算を施す。その結果、下記の式(15)及び数式(16)で表される信号a’及びb’を独立に読み出すことができる。
【0090】
図17に示すように、受光信号I
i(i=1,2,又は3)及びJ
iが減算器31aに対して供給され、受光信号K
i及びL
iが減算器31bに対して供給される。減算器31aが(a
i =I
i−J
i)の差分信号a
iを発生し、減算器31bが(b
i=K
i−L
i)の差分信号b
iを発生する。
【0091】
オフセット設定回路72及び73が設けられており、それぞれ再生対象の光ディスクに対応して設定されたオフセットφ及びΨを出力する。上述したように、φは読みたいマークと信号光の平均位相の位相差であり、Ψはクロストーク分と信号光の平均位相の位相差である。これらのオフセットは、使用者が推定してセットする値である。
【0092】
抽出位相71の出力及びオフセット設定回路72の出力が減算器74に供給され、減算器74から(Ψ−θ)の位相が得られる。信号発生回路76及び77は、それぞれ(Ψ−θ)の位相と同期した正弦波及び余弦波を発生する。差分信号a
iと信号発生回路76からの正弦波とが乗算回路78に供給され、乗算回路78の出力信号が減算器80に供給される。差分信号b
iと信号発生回路77からの余弦波が乗算回路79に供給され、乗算回路79の出力信号が減算器80に供給される。減算器80の出力には、式(15)で示す差分信号a'
iが取り出される。
【0093】
抽出位相71の出力及びオフセット設定回路73の出力が減算器75に供給され、減算器75から(φ−θ)の位相が得られる。信号発生回路81及び82は、それぞれ(φ−θ)の位相と同期した正弦波及び余弦波を発生する。差分信号aと信号発生回路81からの正弦波とが乗算回路83に供給され、乗算回路83の出力信号が減算器85に供給される。差分信号bと信号発生回路82からの余弦波が乗算回路84に供給され、乗算回路84の出力信号が減算器85に供給される。減算器85の出力には、式(16)で示す差分信号b'
i が取り出される。
【0094】
差分信号a'
i及びb'
iが
図18に示す後処理回路に対して供給される。後処理回路104は、後処理回路104
1、後処理回路104
2及び後処理回路104
3を含むものである。後処理回路104
1、後処理回路104
2及び後処理回路104
3の出力信号が加算器95に対して供給される。これらの後処理回路は、互いに同一の構成を有しているので、
図18においては後処理回路104
1のみの具体的構成が示されている。
【0095】
差分信号a'
1及びb'
1が補間回路91a及び91bに対して供給される。補間回路91a及び91bには、位相誤差検出回路92の出力が供給される。補間回路91a及び91bは例えばPLL(Phase Locked Loop )回路の構成とされ、位相誤差を補正するために設けられている。補間回路91a及び91bの出力信号が適応イコライザ93a及び93bに対して供給される。適応イコライザ91a及び91bは、例えばFIR(Finite Impulse Response)フィルタの構成とされ、FIRフィルタのタップ係数が振幅誤差検出回路94の出力によって制御される。適応イコライザ93aは、差分信号a'
1をもとにPR(Partial Response)適応等化処理を行う。適応イコライザ93bは、差分信号b'
1をもとにPR適応等化処理を行う。
【0096】
適応イコライザ93aの出力信号yaと適応イコライザ93bの出力信号ybとが加算器95に供給される。加算器95の出力信号yc(=ya+yb)がビタビ検出器105に入力される。ビタビ検出器105は、PR等化された等化信号ycに対して最尤復号処理を行って2値化データ(RF信号)を得る。所定の長さの連続ビットを単位として構成される複数のステートと、それらの間の遷移によって表されるブランチで構成されるビタビ検出器が用いられ、全ての可能なビット系列の中から、効率よく所望のビット系列を検出するように構成されている。
【0097】
実際の回路では、各ステートに対してパスメトリックレジスタとよばれるそのステートに至るまでのパーシャルレスポンス系列と信号のパスメトリックを記憶するレジスタ、パスメモリレジスタと呼ばれるそのステートにいたるまでのビット系列の流れを記憶するレジスタの2つのレジスタが用意される。さらに、各ブランチに対してはブランチメトリックユニットとよばれるそのビットにおけるパーシャルレスポンス系列と信号のパスメトリックを計算する演算ユニットが用意されている。
【0098】
このビタビ検出器105では、さまざまなビット系列を、ステートを通過するパスのひとつによって一対一の関係で対応付けることができる。また、これらのパスを通過するようなパーシャルレスポンス系列と、実際の信号(RF信号)との間のパスメトリックは、上記のパスを構成するステート間遷移、すなわち、ブランチにおける前述のブランチメトリックを順次加算していくことで得られる。
【0099】
さらに、パスメトリックを最小にするようなパスを選択するには、この各ステートにおいて到達する2つ以下のブランチが有するパスメトリックの大小を比較しながら、パスメトリックの小さいパスを順次選択することで実現できる。この選択情報をパスメモリレジスタに転送することで、各ステートに到達するパスをビット系列で表現する情報が記憶される。パスメモリレジスタの値は、順次更新されながら最終的にパスメトリックを最小にするようなビット系列に収束していくので、その結果を出力する。
【0100】
さらに、ビタビ検出器105に設けられているPR(Partial Response)畳込器では、ビタビ検出の結果の畳み込み処理を行って目標信号Zkを生成する。この目標信号Zkは、2値検出結果を畳み込んだものであるためノイズのない理想信号である。例えばPR(1,2,2,2,1)の場合、チャンネルクロック毎のインパルス応答が(1,2,2,2,1)となる。拘束長が5である。さらに、PR(1,2,3,3,3,2,1)の場合、チャンネルクロック毎のインパルス応答が(1,2,3,3,3,2,1)となる。
【0101】
そして、加算器95からの等化信号ycと、目標信号Zkから、位相誤差検出回路92及び振幅誤差検出回路94においてそれぞれ位相誤差及び等化誤差が求められる。等化誤差の二乗が最小となるように、適応イコライザ93a、93bを構成するFIRフィルタのそれぞれのタップ係数が適応的に決定される。
【0102】
適応イコライザ93a、93bを構成するFIRフィルタの一例を
図19に示す。適応イコライザ93aは、遅延素子110−1〜110−n、係数乗算器111−0〜111−n、加算器64を有するn+1段のタップを有するフィルタとされる。係数乗算器111−0〜111−nは、それぞれ各時点の入力xに対してタップ係数C0〜Cnの乗算を行う。係数乗算器111−0〜111−nの出力が加算器64で加算されて出力yaとして取り出される。タップ係数は、予め初期値が設定されている。
【0103】
適応型の等化処理を行うため、タップ係数C0〜Cnの制御が行われる。このために、等化誤差etと、各タップ入力が入力されて演算を行う演算器112−0〜112−nが設けられる。また各演算器112−0〜112−nの出力を積分する積分器113−0〜113−nが設けられる。演算器112−0〜112−nのそれぞれでは、例えば−1*et*xの演算が行われる。*は、乗算を意味する。この演算器112−0〜112−nの出力は積分器113−0〜113−nで積分され、その積分結果により係数乗算器111−0〜111−nのタップ係数C0〜Cnが変更制御される。なお、積分器113−0〜113−nの積分を行うのは、適応係数制御の応答性を調整するためである。
【0104】
「第1の実施の形態の効果」
かかる第1の実施の形態によれば、ディスク表面の微小な凹凸等に起因して発生する変動要因による位相ずれを補正した上で、信号ybがランドからのクロストーク成分に近づくことが期待され、信号ycがクロストーク成分を除去したグルーブの信号に近づくことが期待できる。このようにして、適応等化により信号品質をより良好することが期待できる。
【0105】
本技術の一実施の形態に関してのシミュレーションの一例の結果(
図20)について説明する。シミュレーション条件は以下の通りである。
ディスク容量:33.4GB
Tp=0.32μm(グルーブ及びグルーブ間のトラックピッチ)
溝深さ:λ/8
マーク反射率:0.3(位相なし)
グルーブ孤立記録(ランドに記録せず)、グルーブ再生の例
評価指標:MLSE
【0106】
MLSE(Maximum Liklihood Sequence Error)は、ビタビ検出されたデータを用いて設定されるターゲットレベルに対して実際の信号のレベルの差を用いて、エラー確率に対応した指標を計算したものである。MLSEの値が小さい方がより良好な再生であることを示している。
【0107】
図20は、シミュレーション結果を示すグラフである。横軸がディスク凹凸の標準偏差を示し、縦軸がMLSEを示す。
図20において、特性161が従来のホモダイン検出法の場合におけるMLSEの値を示し、特性162が本技術の第1の実施の形態におけるMLSEの値を示す。また、特性163が従来のBD(Blu-ray Disc:登録商標)の場合を示し、特性164が従来のBD(Blu-ray Disc:登録商標)において本技術と同様に、再生光の光路中にホログラフィック光学素子を挿入して適応イコライザにより処理した場合を示す。
【0108】
従来のBD(Blu-ray Disc:登録商標)の場合では、ディスク表面の凹凸による位相変動を影響を受けないのに対して、ホモダイン検出法では、位相変動の影響を受けて再生信号の品質が低下する。しかしながら、本技術の第1の実施の形態によれば、かかる位相変動の影響をより少なくすることができる。
【0109】
本技術の一実施の形態に関してのシミュレーションの他の例の結果(
図21)について説明する。シミュレーション条件は以下の通りである。
ディスク容量:35GB
Tp=0.16μm(ランド及びグルーブ間のトラックピッチ)
溝深さ:λ/8
マーク反射率:0.3(マ−ク位相なし)
グルーブ再生の例
評価指標:MLSE
【0110】
図21は従来のホモダイン検出法(位相変動有りで、ランド及びグルーブに記録した場合)のMLSEの値と、本技術の第1の実施の形態(位相変動有りで、ランド及びグルーブに記録した場合)のMLSEの値と、従来のホモダイン検出法(位相変動無しで、グルーブのみの記録(孤立記録)で、グルーブを再生した場合)のMLSEの値を比較して示している。
図21から分かるように、位相変動による信号品質劣化を従来のホモダイン検出法(位相変動無しで、グルーブのみの記録(孤立記録)と同程度まで改善することができる。
【0111】
「第1の実施の形態の変形例1」
上述した説明では、ディスク1の記録層3で反射された戻り光の瞳をタンジェンシャル方向に分割しているが、
図22に示すように、ラジアル方向に瞳を分割してもよい。例えば、瞳をラジアル方向に3個の領域A,B,Cに分割する。3分割の比率は、例えば(4:3:4)となされる。ラジアル方向に瞳を2分割するホログラフィック光学素子を使用して第1の実施の形態の同様の処理を行った場合のシミュレーション結果を
図23に示す。
【0112】
シミュレーション条件は以下の通りである。
ディスク容量:35GB
Tp=0.16μm(ランド及びグルーブ間のトラックピッチ)
溝深さ:λ/8
マーク反射率:0.3(マ−ク位相なし)
グルーブ再生の例
評価指標:e−MLSE
【0113】
図23は従来のホモダイン検出法のe−MLSEの値と、本技術の第1の実施の形態と同様に、タンジェンシャル方向に瞳分割(tan分割)した場合のe−MLSEの値と、ラジアル方向に瞳分割(rad分割)した場合のe−MLSEの値を比較して示している。
図23から分かるように、ラジアル方向に瞳分割した場合も、従来のホモダイン検出法より良好に信号再生を行うことができる。
【0114】
「第1の実施の形態の変形例2」
第1の実施の形態光学系(
図15参照)における偏光ビームスプリッタ21、23及びミラー28、29に代えて、
図24に示すようにウォラストンプリズム115及び116を使用するようにしてもよい。ウォラストンプリズム115及び116によって位相差の与えられた光がそれぞれ得られる。ウォラストンプリズム115及び116の出力光がフォトディテクタPD1
1 〜PD4
3 によってそれぞれ電気信号に変換される。そして、上述したのと同様の信号処理によって再生信号が得られる。
【0115】
「第1の実施の形態の変形例3」
図25に示すように、ホログラフィック光学素子100をハーフビームスプリッタ19の出射側と1/2波長板20の間に配置してもよい。
図15の構成では、偏光ビームスプリッタ13とハーフビームスプリッタ15の間にホログラフィック光学素子100を配置していた。したがって、
図25の構成では、ハーフビームスプリッタ19を透過した重ね合わせ光の瞳が3分割されることになる。
【0116】
偏光ビームスプリッタ21を透過した光が3個のフォトディテクタPD1
1,PD1
2,P1D
3によって受光され、偏光ビームスプリッタ21で反射した光が3個のフォトディテクタPD2
1,PD2
2,PD2
3によって受光される。一方、偏光ビームスプリッタ23を透過した光は、分割されていないので、フォトディテクタPD3によって受光され、偏光ビームスプリッタ23で反射した光は、分割されていないので、フォトディテクタPD4によって受光される。
【0117】
フォトディテクタPD1
1〜PD2
3のそれぞれの受光信号を演算することによって3個の差動信号が得られる。また、フォトディテクタPD3,PD4の受光信号を演算することによって1個の差動信号が得られる。これらの差動信号に対して上述した適応イコライザ処理を施すことによって再生信号が得られる。この場合、信号Kiとして信号Kが使用され、信号Liとして信号Lが使用される。
【0118】
なお、参照光を反射させるミラー18をアクチュエータによって参照光の光軸と平行な方向に変位させる参照光サーボを使用してもよい。例えばフォトディテクタPD3及びPD4の受光信号から形成された差動信号を目標値(例えば0)とするようなサーボがなされる。
【0119】
「第1の実施の形態の変形例4」
光分割素子が重ね合わせ光を2分割するようにしてもよい。
図26に示すように、偏光ビームスプリッタ13とハーフビームスプリッタ19の間にホログラフィック光学素子200が配置される。ホログラフィック光学素子200は、上述したホログラフィック光学素子100と同様に、タンジェンシャル方向に3分割された領域を有する。分割比もホログラフィック光学素子100と同様に、(4:3:4)とされている。
【0120】
そして、中央の領域Bに含まれる光成分の受光信号(チャンネル2)を第1のチャンネルとして扱い、左右の領域A及びCのそれぞれに含まれる光成分の受光信号(チャンネル1及びチャンネル3)を加算した信号を第2のチャンネルとして扱う。なお、加算した信号は、別々のフォトディテクタで受光した信号を加算して得るようにしてもよいし、共通のフォトディテクタによって領域B及びCに含まれる光成分を受光するようにしてもよい。
【0121】
例えばフォトディテクタPD1
1及びPD1
2から2個の受光信号J
1,J
2が出力され、フォトディテクタPD2
1及びPD2
2から2個の受光信号I
1,I
2が出力され、フォトディテクタPD3
1及びPD3
2から2個の受光信号K
1,K
2が出力され、フォトディテクタPD4
1及びPD4
2から2個の受光信号L
1,L
2が出力される。
【0122】
フォトディテクタPD1
1〜PD4
2のそれぞれの受光信号を演算することによって4個の差動信号が得られる。これらの差動信号に対して上述した適応イコライザ処理を施すことによって再生信号が得られる。
【0123】
「第1の実施の形態の変形例5」
図27に示すように、ホログラフィック光学素子200をハーフビームスプリッタ19の出射側と1/2波長板20の間に配置してもよい。したがって、
図27の構成では、ハーフビームスプリッタ19を透過した重ね合わせ光の瞳が2分割されることになる。
【0124】
偏光ビームスプリッタ21を透過した光が2個のフォトディテクタPD1
1,PD1
2によって受光され、偏光ビームスプリッタ21で反射した光が2個のフォトディテクタPD2
1,PD2
2によって受光される。一方、偏光ビームスプリッタ23を透過した光は、分割されていないので、フォトディテクタPD3によって受光され、偏光ビームスプリッタ23で反射した光は、分割されていないので、フォトディテクタPD4によって受光される。
【0125】
フォトディテクタPD1
1,PD2
3のそれぞれの受光信号を演算することによって2個の差動信号が得られる。また、フォトディテクタPD3,PD4の受光信号を演算することによって1個の差動信号が得られる。これらの差動信号に対して上述した適応イコライザ処理を施すことによって再生信号が得られる。
【0126】
なお、参照光を反射させるミラー18をアクチュエータによって参照光の光軸と平行な方向に変位させる参照光サーボを使用してもよい。例えばフォトディテクタPD3及びPD4の受光信号から形成された差動信号を目標値(例えば0)とするようなサーボがなされる。
【0127】
図28は、
図27に示す再生光学系を使用し、適応イコライザ処理で再生信号を形成した場合のFIRフィルタのタップ係数の一例を示す。横軸がタップ位置を示し、縦軸がタップ係数の値を示す。171が第1のチャンネル(=チャンネル2)のタップ係数の値を結んだ線であり、172が第2のチャンネル(=チャンネル1+チャンネル3)(左右の領域)のタップ係数の値を結んだ線である。さらに、173がこれらの二つのタップ係数の値を加算した値を示している。
【0128】
(チャンネル1+チャンネル3)のタップ係数は、ローパスフィルタの傾向を示している。
中央の領域に対応するチャンネル2は、δ関数及び(チャンネル1+チャンネル3)をキャンセルするような傾向を示している。このことは、位相変動(ノイズ)キャンセルすることを意味するものと思われる。
タップ係数の和は、平均してみれば、δ関数のように見える。したがって、より低域側の位相ノイズをカットできるので、位相分離検出が良好になされる。
【0129】
<4.第2の実施の形態>
第2の実施の形態は、第1の実施の形態と同様に、瞳分割を行い、参照光サーボによって位相変動成分を除くようにしたものである。
図29は、第2の実施の形態の再生光学系を示している。すなわち、再生光学系は、第1の実施の形態と同様の構成とされており、ホログラフィック光学素子100により分割された3個の重ね合わせ光がフォトディテクタPD1
1〜PD4
3によって受光される。
【0130】
図30は、フォトディテクタPD1
1〜PD4
3からの電気信号を処理する電気的構成を示している。信号I
1,I
2,I
3が加算器181に供給され、(I=I
1+I
2+I
3)の加算処理がなされ、信号J
1,J
2,J
3が加算器182に供給され、(J=J
1+J
2+J
3)の加算処理がなされる。同様に、加算器183によってK(=K
1+K
2+K
3)の加算処理がなされ、加算器184によってL(=L
1+L
2+L
3)の加算処理がなされる。
【0131】
加算器181の出力I及び加算器182の出力Jが減算器185に供給され、差分信号a(=I−J)が得られる。加算器183の出力K及び加算器184の出力Lが減算器186に供給され、差分信号b(=K−L)が得られる。差分信号a及びbが参照光サーボ用の位相(θ)抽出回路187に供給される。位相(θ)抽出回路187の出力がアクチュエータに供給されることによってミラー18が変位される。位相(θ)抽出回路187としては、上述したようなローパスフィルタを使用し、ローパスフィルタの出力を演算する構成を使用することができる。かかる第2の実施の形態は、面ブレ等の低域の位相変動を抑圧する参照光サーボのための位相抽出機能を光学系を替えずに追加することができる特徴を有する。
【0132】
「第2の実施の形態の変形例」
図31に示すように、偏光ビームスプリッタ19を透過した光のみをホログラフィック光学素子100によって分割してもよい。偏光ビームスプリッタ19で反射した光に対して瞳分割を行わないようになされる。したがって、8個のフォトディテクタ(PD1
1,PD1
2,・・・・フォトディテクタPD3、フォトディテクタPD4)によって光が電気信号に変換される。
【0133】
図32は、フォトディテクタPD1
1 〜PD4からの電気信号を処理する電気的構成を示している。信号I
1,I
2,I
3が加算器181に供給され、(I=I
1+I
2+I
3)の加算処理がなされ、信号J
1,J
2,J
3が加算器182に供給され、(J=J
1+J
2+J
3)の加算処理がなされる。
【0134】
加算器181の出力I及び加算器182の出力Jが減算器185に供給され、差分信号a(=I−J)が得られる。信号K及び信号Lが減算器186に供給され、差分信号b(=K−L)が得られる。差分信号a及びbが参照光サーボ用の位相(θ)抽出回路187に供給される。位相(θ)抽出回路187の出力がアクチュエータに供給されることによってミラー18が変位される。位相(θ)抽出回路187としては、上述したようなローパスフィルタを使用し、ローパスフィルタの出力を演算する構成を使用することができる。
【0135】
なお、第2の実施の形態においても、瞳を2分割するホログラフィック光学素子を使用してもよいし、ラジアル方向に瞳を分割するホログラフィック光学素子を使用してもよい。
【0136】
<5.変形例>
以上、本技術の実施の形態について具体的に説明したが、上述の各実施の形態に限定されるものではなく、本技術の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、レーザ光源の波長は、405nm以外のものでも良い。
【0137】
また、上述の実施の形態の構成、方法、工程、形状、材料及び数値などは、本技術の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【0138】
なお、本技術は、以下のような構成も取ることができる。
(1)
ランドとグルーブの双方に信号が記録される記録媒体に対して、光源より発せられた光を照射して前記ランドと前記グルーブの記録信号の双方を反映した信号光を得、且つ前記光源より発せられた光から参照光を生成し、前記信号光と前記参照光とを重ね合わせた重ね合わせ光を形成し、光分割素子によって前記重ね合わせ光の断面をタンジェンシャル方向及び/又はラジアル方向に複数の領域に分割し、
分割した領域と対応する複数の重ね合わせ光を使用して、ほぼ0°の位相差を与えた第1の信号光と参照光の組と、ほぼ180°の位相差を与えた第2の信号光と参照光の組と、ほぼ90°の位相差を与えた第3の信号光と参照光の組と、ほぼ270°の位相差を与えた第4の信号光と参照光の組をそれぞれ生成する光学系と、
前記第1の信号光と参照光の組に対応する受光信号(I)と、前記第2の信号光と参照光の組に対応する受光信号(J)と、前記第3の信号光と参照光の組に対応する受光信号(K)と、前記第4の信号光と参照光の組に対応する受光信号(L)を出力する受光部と、
前記受光信号(I)と前記受光信号(J)の差分である差分信号aと、前記受光信号(K)と前記受光信号(L)の差分である差分信号bを演算し、前記差分信号a及びbから演算によって再生信号を得る再生信号生成回路と
を備える再生装置。
(2)
前記光分割素子の分割数をNとすると、前記受光部がそれぞれN以下の個数の前記受光信号(I)及び前記受光信号(J)と、それぞれN以下の個数の前記受光信号(K)及び前記受光信号(L)を出力するようにした(1)に記載の再生装置。
(3)
前記光分割素子の分割数をNとすると、前記受光信号(I)及び前記受光信号(J)の組と、前記受光信号(K)及び前記受光信号(L)の組の一方に関してN以下の個数の信号を出力するようにした(1)に記載の再生装置。
(4)
前記差分信号a及び前記差分信号bがそれぞれ適応イコライザ回路に供給され、前記適応イコライザ回路の出力が合成されることによって再生信号が形成される(1)に記載の再生装置。
(5)
前記適応イコライザ回路は、等化目標信号と等化信号から等化誤差を求め、該等化誤差を、適応等化のための制御信号として供給するようにした請求項4に記載の再生装置。
(6)
前記差分信号a及び差分信号bに対して、予め位相オフセットを与えるようにした(1)に記載の再生装置。
(7)
前記位相オフセットは、(Ψ=4πnd/λ)(nは、屈折率、dは、前記ランド及びグルーブ間の段差、λは光の波長)にほぼ等しいものとされる請求項6に記載の再生装置。
(8)
前記参照光は、前記光源より発せられた光をミラーにて反射させることによって生成される(1)に記載の再生装置。
(9)
ランドとグルーブの双方に信号が記録される記録媒体に対して、光源より発せられた光を照射して前記ランドと前記グルーブの記録信号の双方を反映した信号光を得、且つ前記光源より発せられた光から参照光を生成し、前記信号光と前記参照光とを重ね合わせた重ね合わせ光を形成し、光分割素子によって前記重ね合わせ光の断面をタンジェンシャル方向及び/又はラジアル方向に複数の領域に分割し、
分割した領域と対応する複数の重ね合わせ光を使用して、ほぼ0°の位相差を与えた第1の信号光と参照光の組と、ほぼ180°の位相差を与えた第2の信号光と参照光の組と、ほぼ90°の位相差を与えた第3の信号光と参照光の組と、ほぼ270°の位相差を与えた第4の信号光と参照光の組をそれぞれ生成し、
受光部によって、前記第1の信号光と参照光の組に対応する受光信号(I)と、前記第2の信号光と参照光の組に対応する受光信号(J)と、前記第3の信号光と参照光の組に対応する受光信号(K)と、前記第4の信号光と参照光の組に対応する受光信号(L)を出力し、
再生信号生成回路によって前記受光信号(I)と前記受光信号(J)の差分である差分信号aと、前記受光信号(K)と前記受光信号(L)の差分である差分信号bを演算し、前記差分信号a及びbから演算によって再生信号を得る
再生方法。