特許第6930807号(P6930807)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6930807
(24)【登録日】2021年8月16日
(45)【発行日】2021年9月1日
(54)【発明の名称】タバコ抽出物を作製する方法
(51)【国際特許分類】
   A24B 15/24 20060101AFI20210823BHJP
   A24B 15/16 20200101ALI20210823BHJP
【FI】
   A24B15/24
   A24B15/16
【請求項の数】12
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-562270(P2019-562270)
(86)(22)【出願日】2018年5月9日
(65)【公表番号】特表2020-519275(P2020-519275A)
(43)【公表日】2020年7月2日
(86)【国際出願番号】EP2018062121
(87)【国際公開番号】WO2018210679
(87)【国際公開日】20181122
【審査請求日】2019年12月12日
(31)【優先権主張番号】1707764.5
(32)【優先日】2017年5月15日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】フォス−スミス, ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】ディガード, ヘレナ
(72)【発明者】
【氏名】シンチュレバー, マリーナ
【審査官】 木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05073267(US,A)
【文献】 国際公開第2015/107552(WO,A1)
【文献】 特表2009−502160(JP,A)
【文献】 特表2005−532821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 15/24
A24B 15/16
A24F 40/00−47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タバコ抽出物を作製する方法であって、
(a)タバコを抽出溶媒に接触させて、タバコ成分が前記タバコから前記溶媒中に抽出されるようにするステップであって、前記抽出溶媒が超臨界流体を含む、ステップ、
(b)残留しているタバコ固体を、タバコ成分を含有する前記抽出溶媒から分離するステップ、
(c)容器内に捕捉溶媒を供給し、タバコ成分を含有する前記抽出溶媒をその容器内の条件に曝露するステップであって、前記容器内の条件が、前記抽出溶媒が亜臨界であるような条件であり、それによって前記タバコ成分を前記抽出溶媒から放出させ、
前記捕捉溶媒が、前記抽出溶媒から放出された前記タバコ成分を溶解させる、ステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記抽出溶媒が二酸化炭素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(a)の間、
温度が約308〜473K、好ましくは328〜350Kの範囲内であり、
圧力が約8〜85MPa、好ましくは20〜30MPaの範囲内である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記捕捉溶媒がエアロゾル発生剤を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記捕捉溶媒が、ポリオール、例えば、グリセロール及び/又はプロピレングリコールを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記タバコ成分が、ニコチン並びにタバコの香り及び香味のうちの1つ又は複数を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
溶解したタバコ成分を含有する前記捕捉溶媒をカートリッジ内に提供するステップであって、前記カートリッジが喫煙品内で使用されるように構成されている、ステップをさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法によって得ることができるタバコ抽出物。
【請求項9】
喫煙品内で使用されるように構成されているカートリッジであって、請求項8に記載のタバコ抽出物を含有する、カートリッジ。
【請求項10】
請求項8に記載のタバコ抽出物を含有する喫煙品。
【請求項11】
吸入可能なエアロゾルを発生させるための、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法によって得ることができるタバコ抽出物の使用。
【請求項12】
前記タバコ抽出物が喫煙品内で使用される、請求項11に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タバコ抽出物を作製する方法、及び該方法から得られるタバコ抽出物に関する。本発明はまた、喫煙品に使用するための該タバコ抽出物を含有するカートリッジ、及び該タバコ抽出物を含む喫煙品を提供する。
【背景】
【0002】
タバコ材料中に含有される物質を放出し、これらをエアロゾルとして送達することを目的として、タバコ材料は喫煙品内で加熱される。
【0003】
喫煙品、例えば、紙巻タバコ、葉巻タバコなどは、使用中にタバコを燃焼させてタバコの煙を作り出す。化合物を燃焼させずに放出する製品を作り出すことによって、タバコを燃焼させるこれらの物品に代わるものを提供しようとする試みがなされてきた。そのような製品の例は、材料を加熱するが燃焼させないことによって化合物を放出する加熱デバイスである。材料は、例えば、タバコ製品であっても他の非タバコ製品であってもよく、これらの製品は、ニコチンを含有していてもしていなくてもよい。
【0004】
電子タバコ、又は「eシガレット」は、可燃性製品に代わるものとして配合された別の製品である。これらのデバイスは、加熱時に吸入可能なエアロゾルを発生する揮発性(volatilisble)溶液を含有する。これらの溶液は、タバコの成分を含有してもよい。したがって、タバコ成分を選択的に抽出することができると有用である。
【0005】
欧州特許第1915064号は、タバコを抽出するステップを含む、再生タバコを作製するための方法を記載している。該抽出方法は、超臨界二酸化炭素を使用してタバコ成分を抽出し、次いでタバコ成分を含有する超臨界二酸化炭素をプロピレングリコールに接触させる。タバコ成分は、プロピレングリコール中に移行する。二酸化炭素は、全体を通して超臨界である。
【概要】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、タバコ抽出物を作製する方法であって、
(a)タバコを抽出溶媒に接触させて、タバコ成分がタバコから溶媒中に抽出されるようにするステップであって、抽出溶媒が超臨界流体を含む、ステップ;
(b)残留しているタバコ固体を、タバコ成分を含有する抽出溶媒から分離するステップ;
(c)容器内に捕捉溶媒を供給し、タバコ成分を含有する抽出溶媒をその容器内の条件に曝露するステップであって、容器内の条件が、抽出溶媒が亜臨界であるような条件であり、それによってタバコ成分を抽出溶媒から放出させ、
捕捉溶媒が、抽出溶媒から放出されたタバコ成分を溶解させる、ステップ
を含む、方法が提供される。
【0007】
本発明者らは、超臨界抽出溶媒を使用する抽出方法を変化させると、タバコ抽出物の組成及び/又は抽出物の物理的特性が変化することを確証した。
【0008】
捕捉溶媒が存在すると、電子タバコなどに使用するのに直ちに適したタバコ抽出物が得られる。亜臨界条件に移行すると、タバコ成分と抽出溶媒の効率的且つ効果的な分離が可能となる。効率的且つ効果的な分離とは、欧州特許第1915064号の方法(この方法では抽出溶媒が全体を通して超臨界である)と比較して、捕捉溶媒中の(すなわち、タバコ抽出物中)タバコ成分の濃度が高く、化学的組成が異なっていることを意味している。これによって、抽出物の官能的特性が向上する。
【0009】
分離に亜臨界条件を使用することはまた、抽出溶媒が全体を通して超臨界であるような条件での方法より、条件を維持するのに必要とされるエネルギーが少ないために有利である。したがって、該方法の方が、エネルギー効率が良く、運転が安価であり、設置が早い。
【0010】
ある場合には、捕捉溶媒はエアロゾル発生剤を含む。ある場合には、捕捉溶媒は、1つ又は複数のエアロゾル発生剤からなる又は本質的になる。
【0011】
ある場合には、上の方法に使用される抽出溶媒は、二酸化炭素を含む。ある場合には、抽出溶媒は、二酸化炭素からなる又は本質的になる。
【0012】
ある場合には、上の方法に使用される捕捉溶媒は、ポリオールを含む。ある場合には、捕捉溶媒は、グリセロール及び/又はプロピレングリコールを含む。ある場合には、捕捉溶媒は、グリセロールからなる又は本質的になる。
【0013】
ある場合には、本明細書に記載される方法によって抽出されたタバコ成分は、ニコチン並びにタバコの香り及び香味のうちの1つ又は複数を含む。
【0014】
ある場合には、本明細書に記載される方法は、溶解したタバコ成分を含有する捕捉溶媒(すなわち、タバコ抽出物)をカートリッジ内に提供するステップであって、カートリッジが喫煙品内で使用されるように構成されている、ステップをさらに含んでもよい。
【0015】
ある場合には、ステップ(a)及びステップ(c)は、別の容器で完遂される。ステップ(a)は、抽出溶媒が全体を通して超臨界である温度及び圧力に維持された第1の容器(又は抽出容器)内で完遂されてもよい。ステップ(c)は、抽出溶媒が全体を通して亜臨界である温度及び圧力に維持された第2の容器(又は分離容器)内で完遂されてもよい。ある場合には、ステップ(b)は、タバコ成分を含有する抽出溶媒を抽出容器から分離容器へ移送することを含む。
【0016】
本発明の第2の態様によれば、本明細書に記載される方法によって得られる又は得ることができるタバコ抽出物が提供される。
【0017】
さらなる態様によれば、喫煙品内で使用されるように構成されているカートリッジであって、本明細書に記載される方法によって得られる又は得ることができるタバコ抽出物を含有するカートリッジが提供される。カートリッジは、電子タバコ内で使用されるように構成されていてもよい。
【0018】
さらなる態様によれば、吸入可能なエアロゾルを発生させるための、本明細書に記載される方法によって得られる又は得ることができるタバコ抽出物の使用が提供される。ある場合には、タバコ抽出物は、吸入可能なエアロゾルを発生させるために、喫煙品内で使用される。
【0019】
さらなる態様によれば、本明細書に記載される方法によって得られる又は得ることができるタバコ抽出物を含有する喫煙品が提供される。ある場合には、喫煙品は、差し込み可能なカートリッジ内にタバコ抽出物を含有してもよく、カートリッジは、喫煙品内で使用されるように構成されている。喫煙品は、マウスピースを追加的に含んでもよい。喫煙品は、タバコ抽出物を含有する捕捉溶媒を使用中に揮発させるヒーターを追加的に含んでもよい。
喫煙品は、電子タバコであってもよい。
【0020】
本発明のさらなる特徴及び利点は、以下の本発明の好ましい実施形態の説明から明らかとなろう。これらの説明は、単なる例として示される。
【詳細な説明】
【0021】
誤解を避けるために、「タバコ抽出物」という用語は、本明細書で使用される場合、タバコ成分を含有する捕捉溶媒を指す。
【0022】
超臨界流体は、その臨界点を上回る温度及び圧力での任意の物質であり、その状態では、液相と気相とは個別に存在しない。超臨界流体は気体のように固体を通り抜けて拡散し、液体のように材料を溶解させることができる。超臨界流体は、気体より高い流体密度を有しており、したがってより高い溶媒能を有する。
【0023】
ある場合には、1つ又は複数の香料がタバコ抽出物に添加されてもよい。本明細書で使用される場合、「香料」という用語は、現地の規制が許す場合に、成人消費者向け製品に所望の味又は香りを作り出すために使用することができる材料を指す。香料として、抽出物(例えば、甘草、アジサイ、ホオノキの葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、メンソール、ニホンハッカ、アニシード、シナモン、薬草、ウィンターグリーン、チェリー、ベリー、モモ、リンゴ、ドランビュイ、バーボン、スコッチ、ウイスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、はちみつエッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カッシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、ウイキョウ、ピーマン、ショウガ、アニス、コリアンダー、コーヒー、又はハッカ(Mentha)属の任意の種からのミント油)、香味強化剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性化剤又は刺激剤、糖及び/又は代替糖(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、チクロ、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、又はマンニトール)、並びに他の添加剤、例えば、チャコール、クロロフィル、ミネラル、植物性物質、又は息清涼剤を挙げることができる。香料は、模造品、合成若しくは天然原材料、又はそれらのブレンドであってもよい。香料は、任意の好適な形態、例えば、油、液体、又は粉末であってもよい。
【0024】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生剤」は、加熱時にエアロゾルの発生を促進する作用物質である。エアロゾル発生剤は、初期の気化を促進することにより、並びに/又は気体から吸入可能な固体及び/若しくは液体エアロゾルへの凝縮を促進することにより、エアロゾルの発生を促進することができる。
【0025】
一般に、好適なエアロゾル発生剤として、ポリオール、例えば、ソルビトール、グリセロール、及びグリコール、例えば、プロピレングリコール又はトリエチレングリコール;非ポリオール、例えば一価アルコール、高沸点炭化水素、酸、例えば乳酸、グリセロール誘導体、エステル、例えば、ジアセチン、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート、クエン酸トリエチル、又はミリスチン酸エステル、例えば、ミリスチン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピル、並びに脂肪族カルボン酸エステル、例えば、ステアリン酸メチル、ドデカン二酸ジメチル、及びテトラデカン二酸ジメチルが挙げられるが、これらに限定されない。ある場合には、エアロゾル発生剤は、グリセロール、プロピレングリコール、トリアセチン、及びミリスチン酸イソプロピルのうちの1つ又は複数を含み、好適にはグリセロール及び/又はプロピレングリコールを含む。
【0026】
エアロゾル発生剤のタバコに対する重量比(乾燥重量)は、約2:1〜約1:3、好適には3:2〜約1:2、好適には約1:1であってもよい。
【0027】
本発明による方法は、水をタバコに添加するという初期ステップを追加的に含んでもよい。添加される水の量は、タバコの乾燥重量に基づいて約2%〜約20%、好適には約2%、5%、又は8%〜約12%、15%、18%、又は20%であってもよい。この水との事前処理によって、極性のタバコ成分(香料など)のタバコから捕捉溶媒への移行が増大する。
【0028】
本発明による方法において、超臨界条件下で圧力を高くすると、溶媒能が増大し、抽出の効率が増大する。しかし、より高い圧力を実現し、維持するためには、より多くのエネルギーが必要とされる。よって、超臨界条件は、これらの相反する要件の釣り合いを取るように好適に選択される。超臨界流体が二酸化炭素を含む場合、抽出が行われる圧力は、ある場合には、約8MPa、10MPa、15MPa、20MPa、又は25MPa〜約85MPa、70MPa、55MPa、40MPa、又は30MPaであってもよく、好適には8〜85MPa、15〜40MPa、又は20〜30MPaであってもよい。ある場合には、圧力は、約10〜16MPa、好適には約12MPaであってもよく、又は約20〜26MPa、好適には約23MPaであってもよい。本発明者らは、これらの圧力で抽出を完遂するとタバコ抽出物中のTSNA類の濃度が低くなることを見出した。
超臨界流体が二酸化炭素を含む場合、抽出が行われる温度は、ある場合には、約308K、318K、又は328K〜約473K、430K、390K、又は350Kであってもよく、好適には308〜473K、308〜430K、又は328〜350Kであってもよい。
【0029】
亜臨界条件に移行すると、抽出溶媒の流体密度が低減し、結果的にタバコ成分の析出をもたらす。条件は、圧力が抽出溶媒の臨界圧を下回り、及び/又は温度が抽出溶媒の臨界温度を下回るようなものでなければならない。熱効率に関して、条件は、温度が臨界温度を上回ったままでありながら、圧力が抽出溶媒の臨界圧を下回るようなものであることが好適である。
【0030】
タバコ成分と抽出溶媒の分離の効率は、条件が抽出溶媒の臨界点のさらに下に移るにつれて向上する。しかし、抽出溶媒は、典型的には、分離後に回収され、保管される(圧縮が必要とされる)こととなる。ある場合には、抽出溶媒は、抽出チャンバ内に再循環されてもよい。よって、亜臨界条件は、エネルギー効率を向上させるために臨界点よりはるかに下回らないことが好適である。亜臨界条件は、これらの相反する要件の釣り合いを取るように好適に選択される。抽出溶媒が二酸化炭素を含む場合、抽出が行われる圧力は、ある場合には、約3MPa、4MPa、5MPa、又は5.5MPa〜約7.3MPa、7MPa、6.5MPa、6MPa、5.5MPa、又は5MPaであってもよく、好適には3〜7.3MPa、又は4〜6MPaであってもよい。抽出溶媒が二酸化炭素を含む場合、分離が行われる亜臨界条件の温度は、ある場合には、約280K、300K、320K、又は330K〜約473K、430K、390K、又は350Kであってもよく、好適には308〜473K、308〜430K、又は328〜350Kであってもよい。
【実施例】
【0031】
分析法
下に報告する水分活性値は、Aqualab Prewater Activity計量器を使用して、24.9〜25.2℃で測定した。この水分活性値は、露点法を使用して決定した。
下に報告する粘度値は、Bohlin Instruments製のGemini Rheometerを使用して、25℃で測定した。
【0032】
事前抽出(タバコの事前処理):
挽いた355μm〜3.5mmの範囲の粒子径のバージニア種のタバコ葉を、水の添加(総タバコ重量の10%)によって事前処理した。タバコと水との混合物を平衡化させるために水の添加後15分間放置した(この時間は水が十分に吸収されるのに十分な時間である)。
事前処理したタバコ(1.2kgに加えて10重量%の水)をステンレス鋼の抽出バスケットに入れ、バスケットを抽出容器(5Lオートクレーブ)に入れた。バスケットは、焼結金属のプレート(孔径100μm、プレート全体の圧力低下が1バール以下)によってバスケットの端部を閉じ、プレートによって、入口で超臨界流体を分散させ、出口で固体粒子の流出を防止した。バスケットを使用することによって、抽出容器の早い充填及び排出も可能になった。バスケットは、超臨界流体がバスケットの周囲に流れないように抽出容器壁に対して密封した。
【0033】
実施例1:本発明による方法の実施例
抽出容器を移送ラインによって分離容器に連結した。ライン中には圧力調整弁が存在していた。二酸化炭素は、5〜23kg/時の速度で系に好適に圧送されてもよい。実施例1の場合、二酸化炭素を10kg/時の速度で系に圧送した。1.2kgのグリセロールを分離容器内に供給した。
【0034】
抽出チャンバは26MPa及び338Kで維持し、分離チャンバは4.5MPa及び318Kで維持した。分離チャンバ内での抽出物の析出は、圧力及び温度を低減し(超臨界条件から亜臨界条件にする)、これによって二酸化炭素の流体密度を低減し、したがってCOの溶解力を低減することによって実現した。抽出したタバコ成分をグリセロールに分離器の底部で回収した。
【0035】
気体のCOは、気液分離器を通過した後に(これによって気体に同伴されたあらゆる残留液体抽出物が除去された)分離器を出た。COを回収し、抽出チャンバに再循環させた。
【0036】
該プロセスを3時間実行し、次いでCO流を止めた。系を除圧した(大気条件にした)。次いで、タバコ成分を含有するグリセロールを分離器の容器から抜き、計量した。
【0037】
比較試験
比較試験を実施例1と同じ装置を使用して実行した。しかし、条件は、装置全体を通して超臨界(26MPa及び338K)であった。比較試験の他のすべての態様は実施例1と同じであった。
この比較試験は、欧州特許第1915064号に一般的に記載されるプロセスの代表的な実施例である。
【0038】
データ
【0039】
【表1】
【0040】
実施例1で得られた抽出物のpHは、比較試験から生じた抽出物のpHより高いことがわかる。これによって、電子タバコに使用されるときに溶液中のニコチンの有用性が増大する。
オリエンタル種又はバーレー種の出発タバコを使用したときに同様の結果が観察された。
【0041】
本明細書に記載される様々な実施形態は、特許請求される特徴の理解及び教示を助けるために提示されるに過ぎない。これらの実施形態は、実施形態の代表的な実例として提供されるに過ぎず、網羅的及び/又は排他的なものではない。本明細書に記載する利点、実施形態、実施例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求される範囲によって規定される通りの本発明の範囲を限定するもの、又は特許請求される範囲の等価物を限定するものとして考えられるべきではなく、特許請求される発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、修正を行うことができることが理解されるべきである。本発明の様々な実施形態は、本明細書に具体的に記載されるもの以外の、開示される要素、成分、特徴、部品、ステップ、手段などの適正な組み合わせを好適に含む、それらからなる、又はそれらから本質的になることができる。加えて、本開示は、現在のところ特許請求されていないが将来特許請求される可能性のある他の発明を含み得る。