特許第6930809号(P6930809)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6930809
(24)【登録日】2021年8月16日
(45)【発行日】2021年9月1日
(54)【発明の名称】蒸気供給装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/44 20200101AFI20210823BHJP
   A24F 40/10 20200101ALI20210823BHJP
【FI】
   A24F40/44
   A24F40/10
【請求項の数】25
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2020-537201(P2020-537201)
(86)(22)【出願日】2019年1月8日
(65)【公表番号】特表2021-511021(P2021-511021A)
(43)【公表日】2021年5月6日
(86)【国際出願番号】GB2019050037
(87)【国際公開番号】WO2019145672
(87)【国際公開日】20190801
【審査請求日】2020年8月25日
(31)【優先権主張番号】1801143.7
(32)【優先日】2018年1月24日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ポッター, マーク
(72)【発明者】
【氏名】ティプトン, ウェイド
(72)【発明者】
【氏名】ハリス, ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ロー, クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ディビス, ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ブンザイヤー, ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ディバイン, コナー
【審査官】 西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特表2017−514504(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0303596(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0273359(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第104720117(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00−47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体用のリザーバを画定するリザーバハウジングと、
前記リザーバから気化用の気化器に液体を移送するための液体移送要素と、
前記リザーバハウジングの一部分によって少なくとも部分的に画定された側壁を有する、前記液体移送要素用のチャネルとを備え、
前記液体移送要素が、前記気化器に液体を送るように配置された第1の部分と、前記チャネルに沿って延在する第2の部分とを備え、
前記チャネルが、前記チャネル内の前記液体移送要素の前記第2の部分の断面に対応する断面を有し、
前記チャネルの前記側壁を画定する前記リザーバハウジングの前記部分が、前記チャネル内の前記液体移送要素と前記リザーバ内の液体との間の流体連通を可能にするための1つ以上の開口を有する、蒸気供給装置。
【請求項2】
前記液体移送要素の前記第2の部分が、前記蒸気供給装置の長手方向軸線に実質的に平行な方向に延在する、請求項1に記載の蒸気供給装置。
【請求項3】
前記液体移送要素の前記第1の部分が、前記蒸気供給装置の長手方向軸線に対して実質的に横断する方向に延在する、請求項1又は2に記載の蒸気供給装置。
【請求項4】
前記液体移送要素の前記第2の部分が、前記液体移送要素の前記第2の部分と隣り合う前記リザーバハウジングの表面に実質的に平行な方向に延在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の蒸気供給装置。
【請求項5】
前記液体移送要素の前記第1の部分が、前記液体移送要素の前記第2の部分と隣り合う前記リザーバハウジングの表面に実質的に垂直な方向に延在する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の蒸気供給装置。
【請求項6】
前記リザーバが環状の構成を有し、前記蒸気供給装置を通る空気流路の周りに配置され、前記液体移送要素用の前記チャネルが前記リザーバと前記空気流路との間に配置されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の蒸気供給装置。
【請求項7】
前記リザーバが、前記蒸気供給装置を通る空気流路の周りに配置された環状の構成を有し、前記リザーバが前記液体移送要素と前記空気流路との間に配置されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の蒸気供給装置。
【請求項8】
前記チャネル用の前記側壁が、前記液体移送要素の前記第2の部分の周りで前記リザーバハウジングに取り付けられたインサートによってさらに画定されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の蒸気供給装置。
【請求項9】
前記液体移送要素が前記チャネルに入るところから最も近い開口までの前記チャネルに沿う距離が、前記チャネルの幅よりも、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、及び少なくとも5倍を含む群から選ばれた倍率だけ長い、請求項1〜8のいずれか一項に記載の蒸気供給装置。
【請求項10】
前記液体移送要素が前記チャネルに入るところから最も近い開口までの前記チャネルに沿う距離が、少なくとも3mm、少なくとも4mm、少なくとも5mm、少なくとも6mm、少なくとも7mm、及び少なくとも8mmを含む群から選ばれた長さより長い、請求項1〜9のいずれか一項に記載の蒸気供給装置。
【請求項11】
前記チャネル内のウィック材料の前記第2の部分の長さが、少なくとも6mm、少なくとも8mm、少なくとも10mm、少なくとも12mm、少なくとも14mm、及び少なくとも16mmを含む群から選ばれた長さより長い、請求項1〜10のいずれか一項に記載の蒸気供給装置。
【請求項12】
前記チャネル内の前記液体移送要素の前記第2の部分が、1mm〜3mm、1.2mm〜2.8mm、1.4mm〜2.6mm、1.5mm〜2.5mm、及び1.7mm〜2.3mmを含む群から選ばれた幅を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の蒸気供給装置。
【請求項13】
前記液体移送要素の前記第2の部分が前記チャネルによって圧縮されている、請求項1〜12のいずれか一項に記載の蒸気供給装置。
【請求項14】
前記液体移送要素の前記第2の部分が、その断面積が前記チャネルの外側にある前記液体移送要素の前記第1の部分の圧縮されていない断面積に比べて、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、及び少なくとも30%を含む群から選ばれた量だけ小さくなるように前記チャネルによって圧縮されている、請求項13に記載の蒸気供給装置。
【請求項15】
前記気化器及び/又は前記液体をさらに備える、請求項1〜14のいずれか一項に記載の蒸気供給装置。
【請求項16】
前記気化器が、前記液体移送要素の周りに巻き付けられた加熱コイルを備える、請求項15に記載の蒸気供給装置。
【請求項17】
前記液体移送要素が複数の繊維を含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の蒸気供給装置。
【請求項18】
前記複数の繊維が、ガラス繊維又は木綿繊維のうちの少なくとも1つを含む、請求項17に記載の蒸気供給装置。
【請求項19】
前記液体移送要素用のさらなるチャネルをさらに備え、
前記さらなるチャネルが、前記リザーバハウジングのさらなる部分によって少なくとも部分的に画定された側壁を有し、
前記液体移送要素が、前記さらなるチャネルに沿って延在する第3の部分を備え、
前記さらなるチャネルが、前記液体移送要素の前記第3の部分の断面に対応する断面を有し、
前記さらなるチャネルの前記側壁を画定する前記リザーバハウジングの前記さらなる部分が、前記さらなるチャネル内の前記液体移送要素の前記第3の部分と前記リザーバ内の液体との間の流体連通を可能にするための1つ以上のさらなる開口を有する、請求項1〜18のいずれか一項に記載の蒸気供給装置。
【請求項20】
前記液体移送要素の前記第2の部分及び前記第3の部分が、前記液体移送要素の前記第1の部分の両側にある前記液体移送要素のそれぞれの端部である、請求項19に記載の蒸気供給装置。
【請求項21】
前記蒸気供給装置が、使用時にコントロールユニットに結合されるように構成されたカートリッジである、請求項1〜20のいずれか一項に記載の蒸気供給装置。
【請求項22】
請求項1〜20のいずれか一項に記載の蒸気供給装置と、電源、及び前記電源から前記気化器に選択的に電力を供給するように構成された制御回路を備えたコントロールユニットとを備える蒸気供給システム。
【請求項23】
リザーバハウジングによって画定された液体リザーバを有する蒸気供給装置用の構成要素であって、
インサートであり、前記リザーバハウジングの一部分と協働して、前記リザーバハウジングの前記一部分と前記インサートとによって画定された側壁を有するチャネルを形成するように前記リザーバハウジングに取り付くように構成されたインサートと、
前記リザーバから気化用の気化器に液体を移送するための液体移送要素であり、前記液体移送要素が、前記気化器に液体を送るように配置された第1の部分、及び前記チャネルに沿って延在する第2の部分を備え、前記チャネルが、前記チャネル内の前記液体移送要素の前記第2の部分の断面に対応する断面を有し、前記チャネルの前記側壁を画定する前記リザーバハウジングの前記一部分が、前記チャネル内の前記液体移送要素と前記リザーバ内の液体との間の流体連通を可能にするための1つ以上の開口を有する、液体移送要素と
を備える構成要素。
【請求項24】
液体用のリザーバ手段を画定するリザーバハウジング手段と、
前記リザーバ手段から気化用の気化手段に液体を移送するための液体移送手段と、
前記リザーバハウジング手段の一部分によって少なくとも部分的に画定された側壁手段を有する、前記液体移送手段用のチャネル手段とを備え、
前記液体移送手段が、前記気化手段に液体を送るように配置された第1の部分と、前記チャネル手段に沿って延在する第2の部分とを備え、前記チャネル手段が、前記液体移送手段の前記第2の部分の断面に対応する断面を有し、前記チャネル手段の前記側壁手段を画定する前記リザーバハウジング手段の前記一部分が、1つ以上の開口手段を有して、前記チャネル手段内の前記液体移送手段と前記リザーバ手段内の液体との間の流体連通を可能にする、蒸気供給手段。
【請求項25】
液体用のリザーバを画定するリザーバハウジングを提供するステップと、
前記リザーバから気化用の気化器に液体を移送するための液体移送要素を提供するステップと、
前記リザーバハウジングの一部分によって少なくとも部分的に画定された側壁を有する、前記液体移送要素用のチャネルを提供するステップと、
前記気化器に液体を送るように前記液体移送要素の第1の部分を配置し、前記チャネルに沿って延在するように前記液体移送要素の第2の部分を配置するステップであって、前記チャネルが、前記液体移送要素の前記第2の部分の断面に対応する断面を有し、前記チャネルの前記側壁を画定する前記リザーバハウジングの前記一部分が、1つ以上の開口を有して、前記チャネル内の前記液体移送要素と前記リザーバ内の液体との間の流体連通を可能にする、ステップと
を含む蒸気供給装置を形成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ニコチン送達システム(例えば、電子タバコ等)などの蒸気供給システム及び蒸気供給システム用の装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子タバコ(eシガレット)などの電子蒸気供給システムは、一般的には、蒸気前駆材料、例えば、リザーバに貯えられた、配合剤(典型的にはニコチンを含むもの)を含有する原料液体を含んでおり、その蒸気前駆材料から蒸気が、ユーザによる吸引のために、例えば加熱気化によって生成される。したがって、蒸気供給システムは典型的には、加熱要素などの気化器を含む蒸気生成チャンバを備え、気化器は、蒸気生成チャンバで蒸気を生成するために前駆材料の一部を気化するように配置されている。ユーザがデバイスで吸引し、電力が気化器に供給されると、空気が、入口孔を通って、蒸気生成チャンバに接続している入口空気チャネルに沿ってデバイス内に引き込まれ、蒸気生成チャンバで空気は気化された前駆材料と混合して凝縮エアロゾルを形成する。蒸気生成チャンバから吸い口の出口に接続する出口空気チャネルがあり、ユーザが吸い口で吸引すると蒸気生成チャンバに引き込まれた空気は、出口流路に沿って吸い口出口に進み、蒸気を伴ってユーザによって吸引される。いくつかの電子タバコはまた、デバイスを通る空気流路に香味要素を含んで、追加の香味を与えることができる。このようなデバイスは、ハイブリッドデバイスと称されることもあり、香味要素は、例えば、デバイスの中に引き込まれた蒸気/凝縮エアロゾルがタバコを通過してから吸い口を出てユーザに吸引されるように、蒸気生成チャンバと吸い口との間の空気流路に配置されたタバコを含み得る。
【0003】
液体の蒸気前駆物質(eリキッド)を使用する電子タバコでは、液体が漏れる危険性がある。これは、非ハイブリッド電子タバコに対しても、ハイブリッドデバイスに対しても同様である。液体ベースのeシガレットは典型的には、空気入口からeシガレット用の蒸気出口に接続する空気チャネルに配置された気化器に液体リザーバ内から液体を移送するための毛管ウィックを有する。したがって、ウィックは典型的には、気化器の近辺で、液体リザーバを空気チャネルから隔てる壁にある開口を通過する。
【0004】
図1は、蒸気生成チャンバ2近くの、すなわち、使用時に蒸気が生成される領域の近くの電子タバコの一部分の断面を概略的に示している。電子タバコは、周りにある環状の液体リザーバ6を通り抜ける中央空気チャネル4を備える。環状の液体リザーバ6は内壁8及び外壁10によって画定され、これらは両方とも円筒状とすることができる(内壁8は、液体リザーバ6を空気チャネルから隔て、したがって、その意味では、内壁8もまた空気チャネルを画定する)。電子タバコは、抵抗加熱コイルの形態の気化器12を備える。コイル12は、毛管ウィック14の周りに巻かれている。毛管ウィック14の各端部は、内壁8の開口16を通って液体リザーバ6内に延在する。したがって、ウィック14は、毛管作用によって液体を液体リザーバ6内からコイル12の近辺に移送するように配置されている。使用時、電流がコイル12を流れ、その結果、コイルが加熱され、コイル12と隣り合う毛管ウィック14からの液体の一部分を気化させて蒸気生成チャンバ2内で蒸気を生成してユーザが吸引する。次いで、毛管作用によって液体リザーバ6からウィック14に沿って引き込まれたより多くの液体が気化した液体に取り替わる。
【0005】
リザーバ内壁8は、開口16を有して、液体をリザーバ6から気化器12に引き出すことができるので、これに伴って電子タバコのこの部分からの漏れの危険性がある。当然、手や他の物品にeリキッドをつけたくないエンドユーザの観点からも、また、例えば、液体と接触するようには意図されていない構成要素の腐食によって、漏れが電子タバコ自体を損傷する可能性があるので、信頼性の観点からも、漏れは望ましくない。
【0006】
本書では、上記の課題の少なくともいくつかに対処し、又はそれらを軽減することを助けようとする様々な手法を説明する。
【発明の概要】
【0007】
特定の実施形態の第1の態様によれば、液体用のリザーバを画定するリザーバハウジングと、リザーバから気化用の気化器に液体を移送するための液体移送要素と、リザーバハウジングの一部分によって少なくとも部分的に画定された側壁を有する、液体移送要素用のチャネルとを備え、液体移送要素が、気化器に液体を送るように配置された第1の部分と、チャネルに沿って延在するように配置された第2の部分とを備え、チャネルが、液体移送要素の第2の部分の断面に対応する(すなわち、整合する)断面を有し、チャネルの側壁を画定するリザーバハウジングの一部分が、チャネル内の液体移送要素とリザーバ内の液体との間の流体連通を可能にするために、1つ以上の開口を有する、蒸気供給装置が提供される。
【0008】
特定の実施形態の別の態様によれば、第1の態様の蒸気供給装置と、電源、及び電源から気化器に選択的に電力を供給するように構成された制御回路を備えたコントロールユニットとを備える蒸気供給システムが提供される。
【0009】
特定の実施形態の別の態様によれば、液体用のリザーバ手段を画定するリザーバハウジング手段と、リザーバ手段から気化用の気化手段に液体を移送するための液体移送手段と、リザーバハウジング手段の一部分によって少なくとも部分的に画定された側壁手段を有する、液体移送手段用のチャネル手段とを備え、液体移送手段が、気化手段に液体を送るように配置された第1の部分と、チャネル手段に沿って延在するように配置された第2の部分とを備え、チャネル手段が、液体移送手段の第2の部分の断面と整合する(対応する)断面を有し、チャネル手段の側壁手段を画定するリザーバハウジング手段の一部分が、1つ以上の貫通穴手段を有して、チャネル手段内の液体移送手段とリザーバ手段内の液体との間の流体連通を可能にする、蒸気供給手段が提供される。
【0010】
特定の実施形態の別の態様によれば、液体用のリザーバを画定するリザーバハウジングを提供するステップと、リザーバから気化用の気化器に液体を移送するための液体移送要素を提供するステップと、リザーバハウジングの一部分によって少なくとも部分的に画定された側壁を有する、液体移送要素用のチャネルを提供するステップと、気化器に液体を送るように液体移送要素の第1の部分を配置し、チャネルに沿って延在するように液体移送要素の第2の部分を配置するステップであって、チャネルが、液体移送要素の第2の部分の断面に対応する断面を有し、チャネルの側壁を画定するリザーバハウジングの一部分が、チャネル内の液体移送要素とリザーバ内の液体との間の流体連通を可能にするために、1つ以上の開口を有する、ステップとを含む蒸気供給装置を形成する方法が提供される。
【0011】
特定の実施形態の別の態様によれば、リザーバハウジングによって画定された液体リザーバを有する蒸気供給装置用の構成要素が提供され、ここで、本構成要素は、インサートであり、リザーバハウジングの一部分と協働して、リザーバハウジングのその一部分とインサートとによって画定された側壁を有するチャネルを形成するようにリザーバハウジングに取り付くように構成されたインサートと、リザーバから気化用の気化器に液体を移送するための液体移送要素であり、液体移送要素が、気化器に液体を送るように配置された第1の部分、及びチャネルに沿って延在する第2の部分を備え、チャネルが、チャネル内の液体移送要素の第2の部分の断面に対応する断面を有し、チャネルの側壁を画定するリザーバハウジングの一部分が、チャネル内の液体移送要素とリザーバ内の液体との間の流体連通を可能にするために、1つ以上の開口を有する、液体移送要素とを備える。
【0012】
本開示の第1及び他の態様に関して、本書で説明される本開示の特徴及び態様は、本開示の他の態様による本開示の実施形態に同様に適用可能であり、上記の特定の組合せだけでなく、適切にこれらと組み合わせることができることは理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
次に、添付図面を参照して、単なる例として本開示の実施形態を説明する。
図1】以前提案された蒸気供給システムの蒸気生成領域の概略断面切欠き図である。
図2】本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムの概略断面切欠き図である。
図3図2の蒸気供給システムの一部分の概略断面切欠き図である。
図4図2の蒸気供給システムの長手方向軸線に垂直な平面における概略断面切欠き図である。
図5】本開示の特定の他の実施形態による蒸気供給システムの概略断面切欠き図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
特定の例及び実施形態の態様及び特徴が、本書において論じられ説明される。特定の例及び実施形態のいくつかの態様及び特徴は、従来に具現化されている場合もあり、簡略化するためにそれらを詳細には論じることも説明することもしない。したがって、詳細には説明されない本書で論じられる装置及び方法の態様及び特徴は、そのような態様及び特徴を具現化するための任意の従来技術に従って具現化され得ることは理解されよう。
【0015】
本開示は、蒸気供給システム、及び蒸気供給システムの構成要素部分に関する。蒸気供給システムは、eシガレットなどのエアロゾル供給システムと称されることもあり、ハイブリッドシステム(蒸気生成領域とは別個にタバコ又は別の香味要素を含む電子タバコ)を含む。以下の説明を通じて、「eシガレット」又は「電子タバコ」という用語を使用することがあるが、この用語は蒸気供給システム/デバイス/装置と互換的に使用することができることを理解されよう。さらに、当該技術分野では一般的であるように、「蒸気」及び「エアロゾル」という用語、並びに「気化する」、「揮発する」、及び「エアロゾル化する」などの関連の用語は一般的に、互換的に使用することができる。
【0016】
蒸気供給システム(eシガレット)は、いつもというわけではないが、再使用可能部分(コントロールユニット部分)と、カトマイザと称されることもある、交換可能な(使い捨ての)カートリッジ部分の両方を含むモジュール式集合体を備えていることが多い。しばしば、交換可能なカートリッジ部分は、蒸気前駆材料及び気化器を備え、再使用可能部分は、電源(例えば、再充電可能なバッテリー)及び制御回路を備える。これらの様々な部分はまた、機能に応じたさらなる要素を備えることもあることは理解されよう。例えば、再使用可能デバイス部分は、ユーザ入力を受け取り、動作状態特性を表示するためのユーザインターフェースを備えることがあり、交換可能なカートリッジ部分は、温度を制御することを助けるための温度センサを備えることがある。カートリッジは、使用するために、例えば、ねじ、ラッチ、又はバヨネット固定を用いて、電気的及び機械的にコントロールユニットに結合され、電気接点が適切に係合される。カートリッジ内の蒸気前駆材料を使い切ったとき、又はユーザが異なる蒸気前駆材料を有する異なるカートリッジに替えたいとき、カートリッジをコントロールユニットから取り外して、代わりに交換のカートリッジを取り付けることができる。このタイプの2部品モジュール式構成に従うデバイスは一般に、2部品デバイスと称することがある。電子タバコは、概ね細長い形状を有することも一般的である。具体的な例を提供するために、本書で説明する本開示の特定の実施形態は、この種の、使い捨てカートリッジを使用する概ね細長い2部品デバイスを備えるものとしてもよい。しかし、本書で説明する基本的な原理は、異なる電子タバコの構成、例えば、単一部品デバイス又は3つ以上の部品を備えるモジュール式デバイス、再充填可能なデバイス、1回で使い捨てのデバイス、並びに他の全体形状に従うデバイス、例えば、典型的にはより箱状の、いわゆるボックスモッド(box−mod)高性能デバイスに基づくデバイスに同様に取り入れることができることは理解されよう。より一般的には、本開示の特定の実施形態は、本書で説明する原理に従って漏れの可能性を低減する助けとなるような手法に基づいており、本開示の特定の実施形態による電子タバコの他の構造的及び機能的態様の具現化手法はそれほど重要ではなく、例えば、任意の確立された手法に従って具現化することができることは理解されよう。
【0017】
図2図4は、本開示の特定の実施形態による例示的なeシガレット20の様々な概略図である。特に、図2は、eシガレット20の概略切欠き断面図であり、図3は、eシガレット20の蒸気生成領域73(図2の符号Aの付いた破線の箱によって示された領域)周りの概略拡大図である。以下でさらに説明するように、eシガレット20は、ウィック66及び線状ヒーターコイル68を含み、図2及び図3は、ウィックとeシガレットの長手方向軸線Lとを含む平面での断面図である。図4は、図3のXの印の位置における、eシガレットの長手方向軸線に垂直な平面でのeシガレットの概略切欠き断面図である。図4は、図3に示した向きに対して、下から上の方向を見た図である。図2及び図3は、図4のYの印の位置における、図4に垂直な平面での断面図である。
【0018】
eシガレット20は、2つの主要な構成要素、すなわち、再使用可能部分22及び交換可能な/使い捨てのカートリッジ部分24を備える。通常の使用時には、再使用可能部分22とカートリッジ部分24はインターフェース26で取外し可能に一緒に結合される。カートリッジ部分を使い切ったとき、又はユーザが単に異なるカートリッジ部分に替えたいとき、カートリッジ部分を再使用可能部分から取り外して、代わりに交換のカートリッジ部分を使用可能部分に取り付けることができる。インターフェース26は、2つの部分間の構造的な接続、電気的な接続、及び空気通路の接続を提供する。インターフェース26は、従来の技術に従って、例えば、ねじ、ラッチ機構、又はバヨネット固定に基づき、2つの部分間の電気接続及び空気通路を確立するために適切に配置された電気接点及び開口を適宜用いて、確立してもよい。カートリッジ24が再使用可能部分22に機械的に結合する特定の方法は、本書で説明する原理にとって重要ではないが、具体的な例を提供するために、ここでは、例えば、ラッチ係合要素(図2図4には示されていない)が協働して、カートリッジの一部分が、再使用可能部分の対応する受入部に受け入れられる、ラッチ機構を備えていると想定する。いくつかの実施態様のインターフェース26は、それぞれの部分間を電気的に接続しない、及び/又はそれらの間の空気通路を接続しないこともあることも理解されよう。例えば、いくつかの実施態様では、気化器は、カートリッジ部分ではなく、再使用可能部分に設ける場合がある、又は、再使用可能部分からカートリッジ部分への電力の伝達は(例えば、電磁誘導に基づく)無線の場合があり、その結果、再使用可能部分とカートリッジ部分との間の電気接続は必要なくなる。さらに、いくつかの実施態様では、電子タバコを通る空気流は再使用可能部分を通らないことがあり、その結果、再使用可能部分とカートリッジ部分との間で空気通路を接続する必要はなくなる。
【0019】
本開示の特定の実施形態によるカートリッジ部分24は、本書で説明される手法に従って修正されるところを除いては、従来から広く用いられてきたものであってもよい。カートリッジ部分24は、プラスチック材料から形成されたリザーバハウジング62を備え、この例では、これは、カートリッジの外観全体を画定する。リザーバハウジング62は、カートリッジ部分の他の構成要素を支持し、再使用可能部分22との機械的なインターフェース26を提供する。他の例では、カートリッジ部分24は別個の主ハウジングをさらに備えてもよく、この主ハウジングは、主ハウジング内に取り付けられたリザーバハウジングとともにこれらの機能を果たす。図2図4の例では、リザーバハウジング62(したがって、カートリッジ全体)は概ね円対称であり、長手方向軸線L(すなわち、使用時にカートリッジ内を空気が流れる最も長い範囲/主方向の軸線)の方向に沿って再使用可能部分22に接続している。この例では、カートリッジ部分は、長さが約4cmで直径が約1.8cmである。しかし、特定の形状、より一般的には、全体形状及び使用材料は異なる実施態様で異なってもよいことは理解されよう。
【0020】
リザーバハウジング62内には、液体の蒸気前駆材料が入ったリザーバ64がある。液体の蒸気前駆材料は従来のものでもよく、eリキッドと称することもある。この例の液体リザーバ64は、概ね円対称の環状形状を有する。このように、リザーバハウジング62は、外壁65と、カートリッジ部分24を通る空気通路72を画定する内壁63とを含む。リザーバ64は、eリキッドを収容するために端壁によって各端部で閉じられている。リザーバハウジング62は、従来の製造技術、例えば、単一部品又は多部品プラスチック成形技術の使用に従って形成することができる。
【0021】
カートリッジ部分22は、ウィック(液体移送要素)66及びヒーター(気化器)68をさらに備える。ウィック66の中央部分(第1の部分)は、カートリッジの空気通路72を横切って(すなわち、カートリッジの長手方向軸線Lを実質的に横切る方向/ウィックの中央部分と隣り合うリザーバハウジングの表面に実質的に垂直な方向に)延在する。ウィック66の各端部(第2及び第3の部分)は、それぞれに対応するチャネル67に含まれる/取り囲まれる。これらのチャネル67は、この例では、カートリッジの空気通路72を通る空気流の方向に平行(すなわち、カートリッジの長手方向軸線Lに実質的に平行な方向/ウィックのそれぞれの端部と隣り合うリザーバハウジングの表面に実質的に平行な方向)に延びている。
【0022】
本書でさらに論じるように、本開示の特定の実施形態によれば、チャネル67は、ウィックの端部と(大きさ及び形状が)概ね整合した断面を有し、その結果、ウィック66は、例えば、チャネル67の壁によってわずかに圧縮された状態でチャネル67に詰められている。図3に示す例では、ウィックの各端部は、対応するチャネル67の全長に沿って延在するが、他の実施態様では、それぞれのチャネルはその中にあるウィックの長さより長くてもよい(すなわち、ウィックの端とチャネルの端との間には隙間があってもよい)。空気通路72と隣り合うそれぞれのチャネルの端は、ウィック66がそれぞれのチャネルに入ることができるように開いており、一方、それぞれのチャネルの他端は、チャネルがウィックのそれぞれの端部を取り囲むように閉じている。しかし、他の例では、その代わりに、これらのチャネルの閉じた端は液体リザーバ64に通じていてもよく、実際、いくつかのそのような実施態様では、ウィックの端部は、それぞれのチャネルの全長に沿って延在し、液体リザーバ自体の中に突出してもよい。
【0023】
本開示の特定の実施形態によれば、各チャネルは、リザーバハウジング62の一部分によって画定された壁67Aを有する。図2図4の例では、リザーバハウジング62のこの部分は、リザーバハウジング62の内壁63の一部分であり、その結果、それぞれのチャネル67Aは、空気流路72とリザーバ64との間に位置する。各チャネル67に対して、壁67Aは、壁と隣り合うウィックの長さの軸線に平行なリザーバハウジング62の一部分によって設けられており、その意味で、(例えば、ウィックの長さの軸線に垂直なチャネルの端壁とは対照的に)壁67Aはチャネル67の側壁67Aと称することができる。リザーバハウジングによって与えられた側壁67Aは、リザーバ64の内部とチャネル67との間の流体連通を可能にする開口(貫通穴)69を含み、以って、リザーバ内からの液体をそれぞれのチャネル67内のウィック66の端部が吸収することができる。ウィックの端部に吸収された液体は、その後、ヒーター68へ送られて気化によりユーザ吸引用の蒸気を生成するように、空気流路72内に位置するウィックの中央部分に移送され得る。この例では、複数の貫通穴(開口)69は一連の概ね円形の開口を含むが、他の例では、複数の貫通開口は、その代わりに、又はそれに加えて、1つ以上の溝状の開口を含んでもよい。開口の全断面積は、液体を開口から引き出すことができる速度に影響を与える因子、例えば粘度を考慮して、使用時に液体をリザーバから引き出す所望の速度を考えて選択することができる。例えば、比較的気化速度が速い実施態様(例えば、比較的高出力のデバイス)及び/又は比較的高粘度の液体の実施態様では、使用時にウィックから気化した液体を補充するような適切な速度で、ウィックが、開口を通して液体を確実に吸収することができることを助けるために、開口の全断面積を比較的大きくすることが有利なことがある。逆に、比較的気化速度が遅い実施態様又は比較的低粘度の液体の実施態様では、開口の全断面積は比較的小さくしてもよい。任意の所与の実施態様では、本書で説明する原理に従ってウィックの側面に液体を供給するための適切な開口の構成は、例えば、設計段階で経験的に決めることができる。
【0024】
この例示的な実施態様では、各チャネル67は概ね円形の断面を有し(他の例では、チャネルは非円形の断面を有してもよい)、eシガレットの長手方向軸線に垂直な方向に延在する(すなわち、図3に示された向きでは、空気流路72から離れるように横方向に延在する)短い起始部分と、eシガレットの長手方向軸線に平行な方向に延在する(すなわち、図3に示された向きでは、空気流路72に平行に鉛直方向に延在する)より長い主部分とを備える。すなわち、この例では、各チャネル67はそれぞれ方向を変えるが、各チャネルの主部分は、カートリッジ20の長手方向軸線に平行に整列している。その意味で、チャネル(及び、チャネル内にあるウィックの部分)は、この構成では、空気通路に平行に延在しないチャネルの短い起始部分があるものの、カートリッジを通る空気通路に平行に延在していると考えることができる。図2図4に示した例では、チャネルの方向を比較的鋭く変えているように示されているが、より緩やかに変えることができる。
【0025】
ウィック66の中央部分及びヒーター68はカートリッジの空気通路72に配置され、その結果、ウィック66及びヒーター68の周りのカートリッジの空気通路72の領域は事実上、カートリッジ部分の気化領域73を画定する。リザーバ64内のeリキッドは、それぞれのチャネルの側壁67Aの開口69を通ってウィック66にしみ込み、表面張力/毛管作用(すなわち、ウィッキング)によってウィックに沿って(すなわち、チャネル67に沿って)引き入れられる。この例のヒーター68は、ウィック66の周りに巻き付けられた電気抵抗線を含む。この例では、ヒーター68はニッケルクロム合金(Cr20Ni80)線を含み、ウィック66はガラス繊維束を含むが、特定のヒーター構成及びウィック材料は本書で説明する原理にとってそれほど重要なことではないことは理解されよう。例えば、いくつかの実施態様では、ウィックは、異なる材料、例えば木綿の複数の繊維を含んでもよく、又は、非繊維材料を含んでもよく、例えば、ウィックは多孔質セラミックから形成されてもよい。使用時、電力が電気リード線(簡素化のため図示せず)を経由してヒーター68に供給されて、ヒーター68と隣り合うウィック66の部分によってヒーター68に送られた量のeリキッド(蒸気前駆材料)を気化することができる。次いで、気化されたeリキッドは、ユーザの吸引用として、カートリッジ空気通路72に沿って気化領域73から吸い口出口70に向かって引き込まれた空気に取り込まれてもよい。
【0026】
eリキッドが気化器(ヒーター)68によって気化される速度は一般に、ヒーター68に供給される電力量(レベル)に依存する。したがって、カートリッジ部分24のeリキッドから選択的に蒸気を生成するように電力をヒーター66に供給することができ、さらに、蒸気生成速度は、例えば、パルス幅及び/又は周波数変調技術によってヒーター68に供給される電力量を変えることによって変えることができる。
【0027】
再使用可能部分22は従来のものでもよく、eシガレット用の空気入口48を画定する開口を有する外側ハウジング32と、電子タバコ用の動作電力を供給するためのバッテリー46と、電子タバコの動作を制御及び監視するための制御回路38と、ユーザ入力ボタン34と、表示装置44とを備える。
【0028】
外側ハウジング32は、例えば、プラスチック材料又は金属材料から形成することができ、この例では、インターフェース26における2つの部分間の滑らかな移行を実現するため、カートリッジ部分24の形状及び大きさと概ね一致する円形断面を有する。この例では、再使用可能部分は約8cmの長さを有し、したがって、カートリッジ部分と再使用可能部分が結合して一緒になるとeシガレットの全長は約12cmである。しかし、既述したように、本開示の実施形態を具現化する電子タバコの全体形状及び大きさは、本書で説明する原理にとって重要ではないことは理解されよう。
【0029】
空気入口48は、再使用可能部分22を通る空気通路50に接続する。再使用可能部分22とカートリッジ部分24が接続されて一緒になったとき、再使用可能部分の空気通路50は、インターフェース26を横切ってカートリッジの空気通路72に接続する。したがって、ユーザが吸い口開口70で吸引すると、空気は空気入口48を通って引き込まれ、再使用可能部分の空気入口50に沿い、インターフェース26を横切り、アトマイザ68の近辺の蒸気生成領域73の蒸気生成領域を通り(ここで、気化されたeリキッドは空気流に巻き込まれる)、カートリッジの空気通路72に沿い、吸い口開口70を通って出てユーザに吸引される。
【0030】
この例のバッテリー46は、再充電可能であり、例えば、電子タバコや、比較的短い時間に比較的高い電流を供給することが必要な他の用途に通常使われる種類の従来のタイプのものでもよい。バッテリー46は、再使用可能部分のハウジング32の充電コネクタ、例えば、USBコネクタ(図示せず)を通じて再充電することができる。
【0031】
この例のユーザ入力ボタン34は従来の機械式ボタンであり、例えば、電気接触を確立するためにユーザによって押下可能なばね取付部品を備える。これに関して、入力ボタンは、ユーザの入力を検出するための入力デバイスと考えることができ、ボタンを具現化する特定の態様は重要ではない。例えば、他の実施態様では、機械式ボタン(複数可)の他の形態、又は(例えば、静電容量又は光感知技術に基づいた)接触感知ボタン(複数可)を使用してもよい。
【0032】
ディスプレイ44は、電子タバコに関連する様々な特性、例えば、現在の電力設定情報、残存バッテリー電力等をユーザに対して視覚的に表示するために設けられる。ディスプレイは様々な方法で具現化することができる。この例では、ディスプレイ44は、従来の技術によって所望の情報を表示するように駆動することができる従来のピクセル化されたLCDスクリーンを備える。他の実施態様では、ディスプレイは、例えば、特定の色及び/又は点滅シーケンスによって所望の情報を表示するように配列された1つ以上の個別的なインジケータ、例えば、LEDを備えてもよい。より一般的には、ディスプレイを設ける態様、及びディスプレイを使って情報をユーザに表示する態様は本書で説明する原理にとって重要ではない。例えば、いくつかの実施形態では、表示装置を含まなくてもよく、例えば、音声信号又は触覚フィードバックを使用して電子タバコの動作特性に関する情報をユーザに提供するための他の手段を含んでもよく、又は、電子タバコの動作特性に関する情報をユーザに提供するためのいかなる手段も含まなくともよい。
【0033】
制御回路38は、電子タバコを動作させるための確立された技術による動作機能を提供するために、電子タバコの動作を制御するように適切に構成/プログラムされる。例えば、制御回路38は、ユーザが入力ボタン34を起動することに応答して、又は、他の実施態様では、他の誘因に応答して、例えば、ユーザの吸引の検出に応答して、バッテリー46からヒーター/気化器68への電力供給を制御して、カートリッジ部分24のeリキッドの一部分から蒸気を生成させて、吸い口出口70を経てユーザが吸引するように構成することができる。従来のように、制御回路(プロセッサ回路)38は、電子タバコの動作の様々な態様、例えば、ユーザ入力の検出、電力供給の制御、ディスプレイ駆動等に関連する様々なサブユニット/回路要素を論理的に備えるように考慮することができる。制御回路38の機能は、例えば、所望の機能を与えるように構成された、1つ以上の適切にプログラムされたプログラム可能なコンピュータ(複数可)、及び/又は、1つ以上の適切に構成された特定用途向け集積回路(複数可)/回路構成/チップ(複数可)/チップセット(複数可)を使用して、様々な異なる方法で与えることができることは理解されよう。
【0034】
上記の考察から理解されるように、図2図4に示した蒸気供給システム/電子タバコと、以前に提案された電子タバコとの間の大きな違いは、気化用にリザーバ64から液体を受け取るために液体移送要素/ウィック66を構成する態様である。特に、本開示の特定の実施形態によれば、液体移送要素66のそれぞれの部分は、リザーバハウジング62の壁に沿って延びるそれぞれのチャネル67に沿ってその中を通り、チャネル67とリザーバ64との間のリザーバハウジングの壁の開口は、ウィックとリザーバ内の液体との間の流体連通を可能にする。さらに、これらのチャネルと、チャネル内に位置するウィックの部分とで、断面が合わされている。本発明者は、このようにしてチャネル内にウィックを閉じ込めることは、それぞれのチャネルの側壁の開口を介してこれらの側壁を通って液体をウィックに供給することを可能にしながら、同時に、液体がリザーバから逃げる(漏れる)危険性を低減する助けとなることができることを認識した。
【0035】
したがって、図2図4の例では、各チャネルを画定する側壁は、リザーバハウジングの一部分によって少なくとも部分的に画定される。この例では、各チャネルの側壁は、液体移送要素の第2の部分を取り囲んでチャネルを形成するようにリザーバハウジングに取り付けられたインサート71によってさらに画定される。したがって、図4で分かるように、それぞれのチャネルは、ウィックの一方の側を収めるようにリザーバ内にわずかに窪んだリザーバハウジング62の内壁63の部分と、それに対応して位置合わせされ、ウィックの他方の側を収めるように空気流路内にわずかに突出した形状を有するインサートとの間の空間によって形成される。インサート71は、リザーバハウジングへのインサートのシール及び取り付けを容易にするために、チャネルの周りにフランジ部分を含む。インサート71はまた、それぞれのチャネルの閉端を画定し、ここでもまた、盲穴構成でチャネルを形成するようにリザーバハウジングに対してシールする。図4の断面は、チャネルのそれぞれに対する開口69を通る平面で切り取られたものであり、以って、リザーバ64内の液体がどのようにしてそれぞれのチャネル67内のウィック66の端部に供給されるかを示している。
【0036】
組立時、それぞれのインサートは、例えば、接着剤又は超音波溶接を用いてリザーバハウジングに取り付けられてもよく、次いで、ウィックの端部をそれぞれのチャネル67に挿入してもよい。しかし、実際には、インサートがリザーバハウジングに取り付けられる前に、リザーバハウジング又はインサートのうちの一方又は他方に対してウィックの端部を適切に配置して、製造時に、インサートとリザーバハウジングとの間にウィックを事実上固定することがより簡単になり得る。しかし、チャネル67を形成する特定の態様、及びウィックをチャネル67に組み入れる態様は、本書で説明する原理にとってそれほど重要ではないことは理解されよう。
【0037】
図2図4に概略的に示しているように、本開示の特定の実施形態によれば、チャネル67の断面積は、チャネル内のウィックの断面積に合わされている。これによって、ウィックがチャネル内を延在する長さにわたってウィックがチャネルの容積を実質的に満たしていることを意味する。したがって、チャネル内のウィックの外面の大部分は、チャネルを画定する側壁と接触している/隣り合うことができる。これに関して、ウィックとチャネル壁との間の隙間は狭すぎて、この領域での表面張力効果のため、大量の液体が流れることができない(すなわち、毛管流がない)場合、ウィックは、チャネルを画定する壁と接触している/隣り合っていると考えられる。いくつかの例では、ウィックはチャネル側壁によって圧縮されるので、各チャネルの断面積は、その長さに沿ってほぼ一貫してもよく、チャネル内で圧縮されていないウィックの部分の断面積よりもわずかに小さくしてもよい。例えば、本開示の特定の実施形態によれば、ウィックは、その断面積がチャネル外における圧縮されていない断面積に比べて小さくなった量、少なくとも約5%、例えば、少なくとも約10%、例えば、少なくとも約15%、例えば、少なくとも約20%、例えば、少なくとも約25%、例えば、少なくとも約30%だけ、チャネル内で圧縮されてもよい。より一般的には、圧縮量は、異なる実施態様で異なってもよい。例えば、いくつかの場合には、チャネル67の断面が、ウィックの公称断面と同じ大きさで同じ形状となって圧縮がなくてもよいが、他の場合には、30%より多い断面積の圧縮があってもよい。圧縮量は、ウィックの長さに沿う流体の流れを過度に制限することなしに、ウィックの外面とチャネルの内壁との間が確実に所望のシール度合いになることを助けるように適切な折り合いをつけるように選択することができる。適切な圧縮度合いは、例えば、実証的な試験を通して決定することができる。
【0038】
本発明者は、空気流路72に面するチャネル67の端とリザーバ64に最も近い側壁の開口69との間の距離が、チャネルの特性直径(幅)と比べて比較的長い場合、各チャネルに対して漏れの可能性をさらに下げることができることを見出した。例えば、特定の実施形態によれば、この距離は、チャネルの特性直径(幅)よりも少なくとも約2倍よりも長くてもよく、例えば、少なくとも約2.5倍、例えば、少なくとも約3倍、例えば、少なくとも約3.5倍、例えば、少なくとも約4倍、例えば、少なくとも約4.5倍、例えば、少なくとも約5倍長くてもよい。絶対長さに関しては、本開示の特定の実施形態によれば、この距離は少なくとも約3mmであってもよく、例えば、少なくとも約4mm、例えば、少なくとも約5mm、例えば、少なくとも約6mm、例えば、少なくとも約7mm、例えば、少なくとも約8mmであってもよい。
【0039】
ウィック及び/又はチャネルは厳密に円形の断面を有していなくてもよく、これに関しては、本書でウィック又はチャネルの直径/幅と言っているものは、その長さの軸線に垂直な平面におけるウィック又はチャネルと同じ断面積を有する円の直径(すなわち、特性直径/幅=2*√(断面積/π))に相当すると解釈することができることは理解されよう。特性直径は、特にウィック材料に対しては、ウィック/チャネルの長さに沿ってある程度変わることがあり、その意味では、特性直径/幅は長さで平均化された特性直径(例えば、予想される直径の典型的な変化の大きさ、例えば、数ミリメートルから1センチメートルほど、よりも長い長さで平均化)であると考えることができることもまた理解されよう。したがって、直径及び幅という用語は、本書では、簡単にするために、ウィック及びチャネルに対して用いられることがあるが、これは、長さで平均化された特性直径、例えば、ウィック又はチャネルと同じ、長さで平均化された断面積を有する円の直径とに相当する直径のことを言うものとして解釈すべきであることは理解されよう。
【0040】
チャネル内のウィック材料の部分の全長に関しては、各チャネル内のウィックの端部の長さは、比較的長くてもよく、例えば、少なくとも約6mm、例えば、少なくとも約8mm、例えば、少なくとも約10mm、例えば、少なくとも約12mm、例えば、少なくとも約14mm、例えば、少なくとも約16mmを含む群から選ばれた量よりも長くてもよい。
【0041】
上記のチャネルに対する例示的な距離及び長さは、それぞれのチャネル内に、例えば、約1mm〜約3mm、例えば、約1.2mm〜約2.8mm、例えば、約1.4mm〜約2.6mm、例えば、約1.5mm〜約2.5mm、例えば、約1.7mm〜約2.3mmの直径を有するウィックとともに使用するのに適切であり得る。
【0042】
具体的な例を提供するために、図2図4に示した実施態様に対しては、ウィックは、圧縮されていない状態で公称直径2mmを有し、各チャネルは、約10mmの長さ、及び約1.8mmの内径を有する(すなわち、ウィックの断面はチャネル内で約20%圧縮される)と想定されている。チャネルが、例えば、図2図4のように真っ直ぐでない例では、チャネルの長さはその中心線に沿って測られてもよい。この例では、ウィックが横切る空気チャネル72の幅は約5mmであり、ウィックのそれぞれの端部は、チャネル内に約10mm延在する(すなわち、この例では、ウィックの端はチャネルの端に達する)。
【0043】
しかし、ウィックに対するこの特定の形状は、異なる実施態様に対して変わり得ることは理解されよう。例えば、比較的多量の蒸気を生成することができる比較的高出力の電子タバコでは、より大きなウィック、及びそれに対応するより大きなチャネルを使用して、気化器への十分な液体の供給を保つことを助けることができる。逆に、比較的少量の蒸気を生成する比較的低出力の電子タバコでは、より小さなウィック、及びそれに対応するより小さなチャネルがより適切であると考えられる。
【0044】
図5は、別の例示的な実施形態による、電子タバコ/蒸気供給システム120の、その蒸気生成チャンバ付近の部分の断面を概略的に示している。図5に示した電子タバコ120の様々な態様は、機能的に相当する特徴が同じ参照符号によって同定される、図2図4に示した電子タバコ20の対応する態様と類似しており、それらから理解されよう。しかし、図5の例は、全体的な構成に関しては、図2図4の例とは異なる。特に、図3の例のチャネル67は、空気流路72と液体リザーバ64との間に形成されているが、図5の例では、リザーバ64はこれも環状の構成を有するが、チャネル67は、この例では、リザーバの外壁に沿って走るように配置されている。その結果、それぞれのチャネル67内のウィック66に液体を供給するための開口69を含むリザーバハウジング62の部分は、概ね環状のリザーバの外壁にある。全体構成におけるこの違いにもかかわらず、ウィックの端部が、ウィックとリザーバとの間の流体連通を可能にするための穴を有するリザーバハウジングの部分によって少なくとも部分的に画定された側壁を有するチャネル内にどのように取り囲まれるかに関しては、それに対応する方法で上記の原理が適用されることは理解されよう。すなわち、チャネルが、図2図4の例と比べて、図5では異なる態様で設けられているにも関わらず、例えば、漏れを減らすことを助けることに関して、基本的な動作原理は、本書で説明した他の例と同じである。
【0045】
本開示の他の例示的な要素による他の実施態様においてチャネルを設けることができる他の方法があることは理解されよう。例えば、図2図6の例において、チャネルの主部分は真っ直ぐであるが、他の例では、例えば、eシガレットの長手方向軸線に沿う所与の長さを越えるより長い有効長さを可能にするために、螺旋状又は波状の経路を辿るように曲がっていてもよく、又は湾曲していてもよい。より一般的には、本書で説明したように、液体をウィックの端部の側面に供給するために、リザーバの壁に1つ以上の穴を有するリザーバの壁と隣り合って形成されたチャネルにウィックを通すという原理にとって、チャネルが形成される特定の態様は重要ではないことは理解されよう。
【0046】
上記の実施形態は、いくつかの点で、いくつかの特定の例示的な蒸気供給システムに注目したが、同じ原理を他の技術を使った蒸気供給システムに対して適用することができることは理解されよう。すなわち、蒸気供給システムの様々な態様が機能する特定の態様は、本書で説明した例の基本的な原理に直接関係しない。
【0047】
例えば、様々な例示的な構成が上で論じられたが、チャネルが形成される特定の態様は、本書で説明する原理にとってそれほど重要なことではなく、ウィックが蒸気生成領域から延在して通るチャネルは、異なる実施態様では異なって設けられてもよいことは理解されよう。さらに、本書で説明した例において、両端がそれぞれのチャネル内に延在するウィックを想定しているが、一端のみがチャネル内に延在するウィック(すなわち、単一端液体供給)、又は、実際、3つ以上の端が対応するチャネル内に延在する多数のアーム(例えば十字状形態)を有するウィックに対して同じ原理を適用することができることは理解されよう。
【0048】
さらに、上記の実施形態は、主に、抵抗ヒーターコイルを備える気化器を備えるエアロゾル供給システムに注目したが、他の例では、気化器は、液体移送要素と接触する他の形態のヒーター、例えば、平面状のヒーターを備えてもよい。さらに、他の実施態様では、ヒーターに基づく気化器は誘導加熱されてもよい。さらに他の例では、上記の原理は、蒸気を生成するために加熱を使用せずに、他の気化技術、例えば、圧電刺激を用いるデバイスに取り入れてもよい。
【0049】
さらになお、既述したように、上記の実施形態は、2部分デバイスを備えるエアロゾル供給システムでの手法に注目したが、同じ原理は、交換可能なカートリッジに頼らない、例えば、再充填可能、又は使い切りのデバイスのエアロゾル供給システムの他の形態に関しても適用することができる。
【0050】
より一般的には、液体移送要素に対する上記のチャネル構成の導入に関連する修正以外では、本開示の特定の実施形態による電子タバコは、構造的構成及び機能動作の両方に関しては従来のものでよいことは理解されよう。
【0051】
このように、液体用のリザーバを画定するリザーバハウジングと、リザーバから気化用の気化器に液体を移送するための液体移送要素と、リザーバハウジングの一部分によって少なくとも部分的に画定された側壁を有する、液体移送要素用のチャネルとを備え、液体移送要素が、気化器に液体を送るように配置された第1の部分と、チャネルに沿って延在するように配置された第2の部分とを備え、チャネルが、液体移送要素の第2の部分の断面に整合する/断面に対応する断面を有し、チャネルの側壁を画定するリザーバハウジングの部分が、チャネル内の液体移送要素とリザーバ内の液体との間の流体連通を可能にするために、1つ以上の開口を有する、蒸気供給装置を説明した。
【0052】
様々な課題に対処し、技術を進歩させるため、本開示は、特許請求される発明(複数可)を実施することができる様々な実施形態を例示することによって説明されている。本開示の利点及び特徴は、実施形態のうちの代表的な例にすぎず、すべての利点や特徴を網羅したものでもなければ、他の利点や特徴を排除するものでもない。これらは、特許請求される発明(複数可)を理解及び教示することを助けるためだけに提示されている。本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲によって規定された通りに本開示を限定するもの、或いは特許請求の範囲の均等物を制限するものと考えるべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく他の実施形態を利用し、変形を施すことができることを理解されたい。様々な実施形態が、本書で詳細に説明されたもの以外の、開示された要素、構成要素、特徴、部分、ステップ、手段などの様々な組合せを適切に備えてもよく、それらのみから構成されてもよく、或いは実質的にそれらから構成されてもよく、したがって、特許請求の範囲に明記されている以外の組合せで従属項の特徴を独立項の特徴と組み合わせてもよいことは理解されよう。本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性のある他の発明を含むことができる。
図1
図2
図3
図4
図5