(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6931056
(24)【登録日】2021年8月16日
(45)【発行日】2021年9月1日
(54)【発明の名称】回転式切断工具及び回転式切断操作組立体
(51)【国際特許分類】
A61B 10/02 20060101AFI20210823BHJP
【FI】
A61B10/02 110J
A61B10/02 110K
【請求項の数】17
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-528799(P2019-528799)
(86)(22)【出願日】2017年10月13日
(65)【公表番号】特表2020-512035(P2020-512035A)
(43)【公表日】2020年4月23日
(86)【国際出願番号】CN2017106068
(87)【国際公開番号】WO2018099195
(87)【国際公開日】20180607
【審査請求日】2019年7月18日
(31)【優先権主張番号】201611094251.6
(32)【優先日】2016年11月30日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201611085595.0
(32)【優先日】2016年11月30日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515140750
【氏名又は名称】チョンチン シーシャン サイエンス アンド テクノロジー カンパニー, リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Chongqing Xishan Science & Technology Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】グオ,イージン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ジンピン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,シンイン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ホンユエン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ヨンボー
【審査官】
大熊 靖夫
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2011/0208087(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0126902(US,A1)
【文献】
特開2011−005248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転式切断工具であって、
前端に試料採取スロットを有する外刃と、
前記外刃内にスリーブ付きにされた内刃と、
周方向で前記内刃と伝達係合して軸方向で前記内刃と摺動可能に係合する回転式駆動部材と、
前記内刃とねじ手段を介して係合する並進式駆動部材と、
前記内刃上で固定的にスリーブ付きにされた回転式スリーブとを備え、
前記回転式駆動部材は、前記内刃を回転駆動して前記並進式駆動部材との回転速度差を形成し、前記内刃は、前記回転速度差により軸方向に移動させられ、前記試料採取スロットによる試料採取を実行し、
前記並進式駆動部材は、前記回転式スリーブと前記ねじ手段により螺合するやり方において前記回転式スリーブ上でスリーブ付きにされた並進式駆動ギアであり、
前記回転式駆動部材は、径方向限定のやり方において前記回転式スリーブ上でスリーブ付きにされる回転式駆動スリーブであり、前記回転式駆動スリーブの外周に回転式伝達ギアが設けられ、
前記回転式駆動スリーブの後端面が、前記並進式駆動ギアの前端面に当接し、前記並進式駆動ギアまでの軸方向限定部を形成し、
前記回転式駆動スリーブの後端の内周が、径方向で内方に突出し、前記回転式スリーブの後端における前記ねじ手段の雄ねじ上でスリーブ付きにされた支持リングを形成することを特徴とする回転式切断工具。
【請求項2】
請求項1に記載の回転式切断工具であって、
前記回転式スリーブの外周が、径方向で外方に延び、前記回転式駆動スリーブの内周と周方向で伝達係合するとともにこの内周とスプライン‐スロット構造を介して軸方向で摺動可能に係合する環状ボスを形成することを特徴とする回転式切断工具。
【請求項3】
請求項2に記載の回転式切断工具であって、
前記回転式駆動スリーブの前記内周に、軸方向において案内スプラインが設けられ、前記環状ボスの外周に、前記案内スプラインに合致する摺動スロットが設けられ、複数の案内スプライン及び複数の摺動スロットが周方向において分布することを特徴とする回転式切断工具。
【請求項4】
請求項3に記載の回転式切断工具であって、
前記案内スプライン及び前記摺動スロットは矩形の断面を有することを特徴とする回転式切断工具。
【請求項5】
請求項1に記載の回転式切断工具であって、
前記内刃の前端の側壁に通気孔が設けられ、前記内刃の後端で負圧が発生する結果、前記内刃と前記外刃との間の径方向間隙、前記通気孔、前記内刃の内部空洞を空気が連続して通過し、空気流チャネルが形成されることを特徴とする回転式切断工具。
【請求項6】
請求項1に記載の回転式切断工具であって、
その後端が軸方向で後方へと挿入されて前記外刃の前端に固定される穿刺ヘッドを更に含み、前記穿刺ヘッドの前記後端の外周に段部が設けられ、前記内刃の前端に、径方向で後部から前部へ外方に傾斜している回転式カッタヘッドが設けられ、前記段部の後端は、前記回転式カッタヘッドを軸方向で限定するための、前記回転式カッタヘッドの傾斜に合致する斜面を形成することを特徴とする回転式切断工具。
【請求項7】
請求項6に記載の回転式切断工具であって、
前記穿刺ヘッドの前記後端は、軸方向で後方に突出し、封鎖ポストを形成し、前記封鎖ポストと前記内刃の内周との間に径方向間隙が形成されることを特徴とする回転式切断工具。
【請求項8】
請求項5に記載の回転式切断工具であって、
前記通気孔は、周方向に設けられるストリップ孔であり、前記ストリップ孔は、前記周方向における通気リングであるか、又は前記周方向において複数の前記ストリップ孔が均一に分布し通気リングが形成され、少なくとも1つの通気リングが軸方向に配置されることを特徴とする回転式切断工具。
【請求項9】
切断工具と、前記切断工具にしっかりと装着される把手とを備える回転式切断操作組立体であって、
前記切断工具は、
その前端に試料採取スロットを有する外刃と、
前記外刃内でスリーブ付きにされた内刃と、
周方向で前記内刃と伝達係合して軸方向で前記内刃と摺動可能に係合する回転式被駆動部材と、
前記内刃とねじ手段を介して係合する並進式被駆動部材とを備え、
前記把手は、把手本体と、前記把手本体に装着される駆動部品とを含み、前記駆動部品は、回転式被駆動部材を駆動するように構成される回転式能動部材と、並進式被駆動部材を駆動するように構成される並進式能動部材とを含み、
前記回転式被駆動部材は、前記内刃を回転駆動して前記並進式被駆動部材との回転速度差を形成し、前記内刃は、前記回転速度差により軸方向に移動させられ、前記試料採取スロットによる試料採取を実行し、
前記切断工具は、前記内刃上で固定的にスリーブ付きにされた回転式スリーブを包含し、
前記並進式被駆動部材は、前記回転式スリーブと前記ねじ手段により螺合するやり方において前記回転式スリーブ上でスリーブ付きにされた並進式駆動ギアであり、
前記回転式被駆動部材は、径方向限定のやり方において前記回転式スリーブ上でスリーブ付きにされる回転式駆動スリーブであり、前記回転式駆動スリーブの外周に回転式伝達ギアが設けられ、
前記回転式駆動スリーブの後端面が、前記並進式駆動ギアの前端面に当接し、前記並進式駆動ギアまでの軸方向限定部を形成し、
前記回転式駆動スリーブの後端の内周が、径方向で内方に突出し、前記回転式スリーブの後端における前記ねじ手段の雄ねじ上でスリーブ付きにされた支持リングを形成することを特徴とする回転式切断操作組立体。
【請求項10】
請求項9に記載の回転式切断操作組立体であって、
前記回転式能動部材及び前記並進式能動部材は、それぞれ回転式能動ギア及び並進式能動ギアであり、前記並進式能動ギアの内周の両端が軸方向に延びてシャフトスリーブを形成し、前記回転式能動ギアは、前記シャフトスリーブの一端で、周方向伝達のやり方においてスリーブ付きにされることを特徴とする回転式切断操作組立体。
【請求項11】
請求項9に記載の回転式切断操作組立体であって、
前記回転式スリーブの外周が、径方向で外方に延び、前記回転式駆動スリーブの内周と周方向で伝達係合するとともにこの内周とスプライン‐スロット構造を介して軸方向で摺動可能に係合する環状ボスを形成することを特徴とする回転式切断操作組立体。
【請求項12】
請求項11に記載の回転式切断操作組立体であって、
前記回転式駆動スリーブの前記内周に、軸方向において案内スプラインが設けられ、前記環状ボスの外周に、前記案内スプラインに合致する摺動スロットが設けられ、複数の案内スプライン及び複数の摺動スロットが周方向において分布することを特徴とする回転式切断操作組立体。
【請求項13】
請求項9に記載の回転式切断操作組立体であって、
前記回転式能動部材及び前記回転式被駆動部材は、減速伝達によって動力伝達を実行し、前記並進式能動部材及び前記並進式被駆動部材は、加速伝達によって動力伝達を実行することを特徴とする回転式切断操作組立体。
【請求項14】
請求項9から請求項13のいずれか一つに記載の回転式切断操作組立体であって、
前記回転式被駆動部材は前記回転式能動部材により、直接的ギア係合を介して駆動され、前記並進式被駆動部材は前記並進式能動部材により、直接的ギア係合を介して駆動されることを特徴とする回転式切断操作組立体。
【請求項15】
請求項9に記載の回転式切断操作組立体であって、
前記試料採取スロットの開口長さをリアルタイムで表示するように構成されたディスプレイユニットが前記把手に設けられることを特徴とする回転式切断操作組立体。
【請求項16】
請求項9に記載の回転式切断操作組立体であって、
前記切断工具は前記把手と共に固定的に掛止され、前記把手の把手ハウジングに、軸方向において装着スロットが設けられ、前記装着スロットの後端面に、前記軸方向において前方へ突出するピンが設けられ、前記装着スロットの前端には、シャンクを固定するための掛止部材が設けられ、前記シャンクの後端に、前記シャンクを径方向で固定するための、前記ピンと合致する開口スロットが設けられ、前記シャンクの前端の外周は、径方向で内方に窪んでおり、前記掛止部材を中に嵌め込む掛止溝を形成することを特徴とする回転式切断操作組立体。
【請求項17】
請求項16に記載の回転式切断操作組立体であって、
前記掛止部材は、前記掛止溝内に嵌め込まれように構成される径方向鉤爪を有する止め輪であることを特徴とする回転式切断操作組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、「回転式切断工具」と題する、2016年11月30日に提出された中国出願第201611094251.6号、及び、「回転式切断操作組立体」と題する、2016年11月30日に提出された中国出願第201611085595.0号の利益を主張する。あらゆる目的のために、これらの出願の内容全体が、本明細書において参照により援用される。
【0002】
本開示は、医療外科生検試料採取機器、特に回転式切断工具に関する。本開示は、医療外科用生検試料採取装置、特に回転式切断操作組立体にも関する。
【背景技術】
【0003】
手術中、医師は通常、回転式切断工具を採用し、病変組織の、生での試料採取又は除去を実施する。今日、回転式切断操作用の操作部品は、切断工具及び把手を包含する。切断工具は、普通、内刃と、内刃上でスリーブ付きにされた外刃とを包含する。試料採取スロットが外刃の前端に径方向において設けられる。身体の穿刺後、負圧条件下で組織が試料採取スロット内に吸引され、内刃が回転して切り進み、組織は切断されて内刃の前端へと収容される。当然ながら、穿刺中に試料採取スロットを閉鎖するために内刃は外刃の最前端に移動することになり、試料採取スロットがターゲット位置にくると、試料採取スロットを開放するために内刃は後退することになる。試料採取スロットを開放する位置及び内刃の移動距離は、試料採取の寸法に応じて決定される。移動中に負圧が加えられ、その後、回転式切断試料採取が実施される。内刃の回転運動及び並進運動は、先行技術では別々の独立した駆動機構により駆動される。内刃は、プッシュロッドにより軸方向に摺動駆動される一方で、モータにより回転駆動され、これによって、回転運動と並進運動とを組み合わせることにより回転式切断が実現される。プッシュロッドは、電気的に又は手動で駆動することができる。手動操作は扱いにくく非能率的であり、電気的操作は、内刃の緩やかな押込みを実現するのに減速器を必要としたため、そのことにより、回転式切断操作部品は複雑な構造を有し全重量が重い。更に、内刃の回転運動及び並進運動のための駆動機構は互いに干渉しがちであり、このことが内刃のロックを引き起こし、これによって回転式切断操作部品の操作が不安定になり、このことが操作に容易に危険をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、先行技術の欠点に対処するとともに、構造を簡素化し、内刃操作の安定性を改良し、及び操作の安全性を確実にすることのできる回転式切断工具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の回転式切断工具は、前端に試料採取スロットを有する外刃と、前記外刃内にスリーブ付きにされた内刃と、周方向で内刃と伝達係合して軸方向で内刃と摺動可能に係合する回転式駆動部材と、内刃とねじ手段を介して係合する並進式駆動部材とを包含し、回転式駆動部材は、内刃を回転駆動して並進式駆動部材との回転速度差を形成し、内刃は、回転速度差により軸方向に移動させられ、試料採取スロットによる試料採取を実行する。
【0006】
切断工具は、内刃上で固定的にスリーブ付きにされた回転式スリーブを包含する。並進式駆動部材は、回転式スリーブと螺合するやり方において回転式スリーブ上でスリーブ付きにされた並進式駆動ギアである。
【0007】
回転式駆動部材は、径方向限定のやり方において回転式スリーブ上でスリーブ付きにされる回転式駆動スリーブである。回転式駆動スリーブの外周に回転式伝達ギアが設けられる。回転式スリーブの外周が、径方向で外方に延び、回転式駆動スリーブの内周と周方向で伝達係合するとともにこの内周とスプライン‐スロット構造を介して軸方向で摺動可能に係合する環状ボスを形成する。
【0008】
回転式駆動スリーブの後端面が、並進式駆動ギアの前端面に当接し、並進式駆動ギアまでの軸方向限定部を形成する。回転式駆動スリーブの後端の内周が、径方向で内方に突出し、回転式スリーブの後端の雄ねじ上でスリーブ付きにされた支持リングを形成する。
【0009】
回転式駆動スリーブの内周に、軸方向において案内スプラインが設けられる。環状ボスの外周に、案内スプラインに合致する摺動スロットが設けられる。複数の案内スプライン及び複数の摺動スロットが周方向において分布する。
【0010】
案内スプライン及び摺動スロットは矩形の断面を有する。
【0011】
内刃の前端の側壁に通気孔が設けられる。内刃の後端で負圧が発生する結果、内刃と外刃との間の径方向間隙、通気孔、内刃の内部空洞を空気が連続して通過し、空気流チャネルが形成される。
【0012】
その後端が軸方向で後方へと挿入されて外刃の前端に固定される穿刺ヘッドを更に包含する。穿刺ヘッドの後端の外周に段部が設けられる。内刃の前端に、径方向で後部から前部へ外方に傾斜している回転式カッタヘッドが設けられる。段部の後端は、回転式カッタヘッドを軸方向で限定するための、回転式カッタヘッドの傾斜に合致する斜面を形成する。
【0013】
穿刺ヘッドの後端は、軸方向で後方に突出し、封鎖ポストを形成する。封鎖ポストと内刃の内周との間に径方向間隙が形成される。
【0014】
通気孔は、周方向に設けられるストリップ孔である。ストリップ孔は、周方向における通気リングであるか、又は周方向において複数のストリップ孔が均一に分布し通気リングが形成され、少なくとも1つの通気リングが軸方向に配置される。
【0015】
本開示では、回転式切断工具が開示される。内刃は、回転式駆動部材及び並進式駆動部材により駆動されて差動回転方式で回転移動及び並進移動を行う。従って、総合的な回転式切断操作組立構造を複雑かつ重めにする減速出力用減速器の必要性は回避される。回転式切断操作組立体は単純な構造を有するとともに組立てが簡単で、使用中は操作が簡単であり、高い試料採取効率を有する。このことにより、思いどおりに操作するのを確実にすることができる。その一方で、回転移動と並進移動とは互いに簡単には干渉し合わない。操作組立体は、円滑に安定して動作し、操作における回転式切断効率が高く、このことが、操作の安全性を確実にするのに貢献する。
【0016】
本開示の他の目的は、先行技術の欠点に対処するとともに、その構造を簡素化し、重量を低減し、内刃操作の安定性を改良し、及び操作の安全性を確実にすることのできる回転式切断操作組立体を提供することである。
【0017】
回転式切断操作組立体は、切断工具と、切断工具にしっかりと装着される把手とを包含する。切断工具は、その前端に試料採取スロットを有する外刃と、外刃内でスリーブ付きにされた内刃と、周方向で内刃と伝達係合して軸方向で内刃と摺動可能に係合する回転式被駆動部材と、内刃とねじ手段を介して係合する並進式被駆動部材とを包含する。把手は、把手本体と、把手本体に装着される駆動部品とを包含する。駆動部品は、回転式被駆動部材を駆動するように構成される回転式能動部材と、並進式被駆動部材を駆動するように構成される並進式能動部材とを包含する。回転式被駆動部材は、内刃を回転駆動して並進式被駆動部材との回転速度差を形成し、内刃は、回転速度差により軸方向に移動させられ、試料採取スロットによる試料採取を実行する。
【0018】
回転式能動部材及び並進式能動部材は、それぞれ回転式能動ギア及び並進式能動ギアである。並進式能動ギアの内周の両端が軸方向に延びてシャフトスリーブを形成する。回転式能動ギアは、シャフトスリーブの一端で、周方向伝達のやり方においてスリーブ付きにされる。
【0019】
切断工具は、内刃上で固定的にスリーブ付きにされた回転式スリーブを包含する。並進式被駆動部材は、回転式スリーブと螺合するやり方において回転式スリーブ上でスリーブ付きにされた並進式駆動ギアである。
【0020】
回転式被駆動部材は、径方向限定のやり方において回転式スリーブ上でスリーブ付きにされる回転式駆動スリーブである。回転式駆動スリーブの外周に回転式伝達ギアが設けられる。回転式スリーブの外周が、径方向で外方に延び、回転式駆動スリーブの内周と周方向で伝達係合するとともにこの内周とスプライン‐スロット構造を介して軸方向で摺動可能に係合する環状ボスを形成する。
【0021】
回転式駆動スリーブの後端面が、並進式駆動ギアの前端面に当接し、並進式駆動ギアまでの軸方向限定部を形成する。回転式駆動スリーブの後端の内周が、径方向で内方に突出し、回転式スリーブの後端の雄ねじ上でスリーブ付きにされた支持リングを形成する。
【0022】
回転式スリーブの外周が、径方向で外方に延び、回転式駆動スリーブの内周と周方向で伝達係合するとともにこの内周とスプライン‐スロット構造を介して軸方向で摺動可能に係合する環状ボスを形成する。
【0023】
回転式駆動スリーブの内周に、軸方向において案内スプラインが設けられる。環状ボスの外周に、案内スプラインに合致する摺動スロットが設けられる。複数の案内スプライン及び複数の摺動スロットが周方向において分布する。
【0024】
回転式能動部材及び回転式被駆動部材は、減速伝達によって動力伝達を実行する。並進式能動部材及び並進式被駆動部材は、加速伝達によって動力伝達を実行する。
【0025】
回転式被駆動部材は回転式能動部材により、直接的ギア係合を介して駆動される。並進式被駆動部材は並進式能動部材により、直接的ギア係合を介して駆動される。
【0026】
試料採取スロットの開口長さをリアルタイムで表示するように構成されたディスプレイユニットが把手に設けられる。
【0027】
本開示では、回転式切断操作組立体が開示される。回転式能動部材と回転式被駆動部材との間の駆動協力、ならびに、並進式能動部材と並進式被駆動部材との間の駆動協働により、内刃は、回転式被駆動部材及び並進式被駆動部材により駆動されて差動回転方式で回転移動及び並進移動を行う。従って、総合的な回転式切断操作組立構造を複雑かつ重めにする減速出力用減速器の必要性は回避される。回転式切断操作組立体は単純な構造を有するとともに組立てが簡単で、使用中は操作が簡単であり、高い試料採取効率を有する。このことにより、思いどおりに操作するのを確実にすることができる。その一方で、回転移動と並進移動とは互いに簡単には干渉し合わない。操作組立体は、円滑に安定して動作し、操作における回転式切断効率が高く、このことが、操作の安全性を確実にするのに貢献する。
【0028】
本開示を、以下で、添付の図面及び実施形態と合わせて更に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、本開示による回転式切断工具の概略図である。
【0030】
【0031】
【
図3】
図3は、本開示による回転式切断工具の把手の概略図である。
【0032】
【
図4】
図4は、本開示による、取付け後の回転式切断工具の概略図である。
【0033】
【0034】
【0035】
【
図7】
図7は、本開示による回転式切断工具の回転式駆動部材及び並進式駆動部材の概略図である。
【0036】
【0037】
【
図9】
図9は、本開示による回転式切断操作組立体の概略図である。
【0038】
【
図10】
図10は、本開示による回転式切断操作組立体の別の概略図である。
【0039】
【
図11】
図11は、本開示による回転式切断操作組立体の駆動機構の概略図である。
【0040】
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1〜
図8を参照すると、
図1は、本開示による回転式切断工具の概略図である。
図2は、
図1のAの拡大図である。
図3は、本開示による回転式切断工具の把手の概略図である。
図4は、本開示による回転式切断工具の、取付け後の概略図である。
図5は、
図4のBの拡大図である。
図6は、
図5のCの拡大図である。
図7は、本開示による回転式切断工具内の回転式駆動部材及び並進式駆動部材の概略図である。
図8は、
図7の左側面図である。
【0042】
図示されているように、一実施形態の回転式切断工具1は、前端に試料採取スロット5を有する外刃3と、前記外刃3内にスリーブ付きにされた内刃4と、前記外刃3に固定されたシャンク15とを包含する。回転式切断工具1は、周方向で内刃4と伝達係合して軸方向で内刃4と摺動可能に係合する回転式駆動部材6と、内刃4とねじ手段を介して係合する並進式駆動部材7とを更に包含する。回転式駆動部材6は、内刃4を回転駆動して並進式駆動部材7との回転速度差を形成し、内刃4は、回転速度差により軸方向に移動させられ、試料採取スロット5による試料採取を実行する。前端が切断工具の穿刺端であり、反対端が後端である。内刃4の並進移動とは、内刃4が軸方向に往復することを意味する。この並進移動が、内刃4の自己回転と組み合わさって回転式切断移動を実行する。当然ながら、回転式駆動部材6及び並進式駆動部材7の回転速度が異なることは、異なるモータの駆動を通じて異なる伝達比又は回転速度を構成することにより達成することができる。回転式駆動部材6及び並進式駆動部材7は、同じ又は異なる回転方向を有することができる。回転式駆動部材及び並進式駆動部材が同じ方向に回転する際には内刃4の軸方向駆動速度は緩やかであり、方向が異なる際には内刃4の軸方向駆動速度は速めである。内刃4が回転式駆動部材6及び並進式駆動部材7により差動回転のやり方で駆動されることは、回転式切断工具の構造を簡素化し、操作中の内刃4の安定性を改良し、従って外科の安全性を確実にすることができる。ねじ手段は従来の駆動機構であるため、より詳細には記載しないことにする。
【0043】
この実施形態において、回転式切断工具1は、内刃4上で固定的にスリーブ付きにされた回転式スリーブ11を更に包含する。並進式駆動部材7は、回転式スリーブ11と螺合するやり方において回転式スリーブ11上でスリーブ付きにされた並進式駆動ギア7である。回転式スリーブ11の外周には雄ねじが設けられ、並進式駆動ギア7は、回転式スリーブ11の中央部分で又は後端でスリーブ付きにすることができ、好ましくは、回転式スリーブ11の後端でスリーブ付きにすることができる。回転式スリーブ11の外周に配置される雄ねじは、コンパクトな構造を確実にするために、回転式スリーブ11の中央及び後方部分に置かれる。図示するように、並進式駆動ギア7は、シャンク15の軸方向に沿って固定的に配置される。並進式駆動部材7は、当然ながら、ベルト又はチェーンによっても駆動することができる。ベルト及びチェーンは両方とも、本開示の目的を達成することができる。本実施形態では、単純な構造で取付けが便利であるダイレクトギア式伝達が好ましい。回転式スリーブ11はねじ手段を介して回転駆動され、その後、内刃4が回転及び切断駆動される。これによって、強力で安定した駆動力が確実になる。
【0044】
本実施形態において、回転式駆動部材6は、径方向限定のやり方において回転式スリーブ11上でスリーブ付きにされる回転式駆動スリーブ6である。回転式駆動スリーブ6の後端の外周に回転式伝達ギア12が設けられる。回転式スリーブ11の外周が、径方向で外方に延び、回転式駆動スリーブ6の内周と周方向で伝達係合するとともにこの内周とスプライン‐スロット構造を介して軸方向で摺動可能に係合する環状ボス13を形成する。好ましくは、環状ボス13は、回転式スリーブ11の外周の前端に置かれる。当然ながら、環状ボス13は、径方向で外方において回転式駆動スリーブ6を支持する。回転式駆動スリーブ6を構成することにより、回転式スリーブ11の雄ねじが回転式駆動スリーブ6と干渉することを確実にすることができる。同時に、回転式駆動スリーブ6の内周には、軸方向に案内スプライン又は摺動スロットが設けられる。この案内スプライン又は摺動スロットは、環状ボス13の摺動スロット又は案内スプラインと係合することができる。従って、回転式スリーブ11は、回転式駆動スリーブ6に対して軸方向に摺動するようになっている。
【0045】
本実施形態において、回転式駆動スリーブ6の後端面が、並進式駆動ギア7の前端面に当接し、並進式駆動ギア7までの軸方向限定部を形成する。回転式駆動スリーブ6の内周が、径方向で内方に突出し、回転式スリーブ11の雄ねじ上でスリーブ付きにされた支持リング12aを形成する。好ましくは、支持リング12aは、回転式駆動スリーブ6の内周の後端に置かれ、このことが、回転式駆動スリーブ6と並進式駆動ギア7との間、及び回転式駆動スリーブ6と回転式スリーブ11との間の摩擦の低減に貢献する。支持リング12aは、径方向で回転式伝達ギア12に整列させることができ、このことは、径方向における回転式駆動スリーブ6の安定性を確実にすることにとって有益であり、回転式駆動スリーブ6の回転の安定性を改良することにとって有利である。
【0046】
この実施形態において、回転式駆動スリーブ6の内周に、軸方向において案内スプライン6aが設けられる。環状ボス13の外周に、案内スプライン6aに合致する摺動スロット13aが設けられる。案内スプライン16a及び摺動スロット13aの数はそれぞれ複数であり周方向において分布する。この実施形態では、案内スプライン16a及び摺動スロット13aの数はそれぞれ4であり周方向において均一に分布するが、このことは、回転式スリーブ11の摺動の安定性を更に改良し、ロックを防止することができる。
【0047】
この実施形態において、スプライン‐スロット構造の断面は矩形である。従って、スプライン‐スロット構造の安定性が改良され、処理が便利になり、合致精度が高くなる。
【0048】
この実施形態では、内刃4の前端の側壁に通気孔20が設けられる。内刃4の後端で負圧が発生する結果、内刃4と外刃3との間の径方向間隙21、通気孔20、内刃の内部空洞22を空気が連続して通過し、空気流チャネルが形成される。内刃4の後端は吸引装置に接続される。通気孔20を構成することにより、内刃4の、前端での封鎖が防止される一方で、内刃4と外刃3との間の径方向間隙21への液体の侵入が防止される。径方向間隙21の構成は、内部空洞の前端での負圧が適度であることを確実にすることができ、このことは、試料の吸着にとって望ましい。
【0049】
この実施形態において、回転式切断工具1は、その後端が軸方向で後方へと挿入されて外刃3の前端に固定される穿刺ヘッド23を更に包含する。穿刺ヘッド23の後端の外周に段部24が設けられる。内刃4の前端に、径方向で後部から前部へ外方に傾斜している回転式カッタヘッド25が設けられる。段部24の後端は、回転式カッタヘッド25を軸方向で限定するための、回転式カッタヘッド25の傾斜に合致する斜面26を形成する。段部24の後端に斜面26を設けて回転式カッタヘッド25を軸方向で限定することにより、試料を完全に切断できることを確実にしつつ、回転式カッタヘッド25の損傷を回避することができる。
【0050】
この実施形態において、穿刺ヘッド23の後端は、軸方向で後方に突出し、封鎖ポスト27を形成する。内刃4が最前端に移動すると、封鎖ポスト27と内刃4の内周との間に径方向間隙28が形成される。封鎖ポスト27は、試料が試料採取スロット5の前端にて、後部から前部へと次第に低減するような構造を形成するように構成されるのであり、このことは、斜面26での試料の切断を促進し、円滑な試料採取を確実にする。
【0051】
この実施形態において、通気孔20は、周方向に設けられるストリップ孔である。ストリップ孔20は、周方向における通気リングである。別法では、周方向において複数のストリップ孔が均一に分布し、通気リングが形成される。少なくとも1つの通気リングが軸方向に配置される。この実施形態では、周方向において3つのストリップ孔が配置され、軸方向において2つの通気孔が配置される。回転式カッタヘッド25が強力であり容易には損傷しないことを確実にしつつ大きなガス流及び円滑な換気を確実にするためには、この構造は有利である。
【0052】
使用中、回転式切断工具1は把手2と共に固定的に掛止される。把手2の把手ハウジング14に、軸方向において装着スロット16が設けられる。装着スロット16の後端面に、軸方向において前方へ突出するピン18aが設けられる。装着スロット16の前端には、シャンク15を固定するための止め輪17が設けられる。シャンク15の後端に、シャンク15を径方向で固定するための、ピン18aと合致する開口スロット18が設けられる。シャンク15の前端の外周は、径方向で内方に窪んでおり、中に嵌め込まれるべき、止め輪17の径方向鉤爪用の掛止溝19を形成する。図示する実施形態において、ピン18a及び開口スロット18の数は両方とも2であり、径方向鉤爪及び止め輪17の掛止溝19の数も2である。組立て中、ピン18aが開口スロット18内へ嵌め込まれるように、シャンク15は、まず傾けられて後方へ装着される。その後、シャンク15の前端が、止め輪17内に嵌め込まれるように上方へ移動され、止め輪17の径方向鉤爪が掛止溝19内に嵌め込まれて掛止及び固定が実行される。分解中は、逆に、最初にシャンク15の前端が除去され、その後、その後端が除去される。迅速な組立及び分解が簡単であり、固定が安定する。
【0053】
図9〜
図12を参照すると、
図9は、本開示による回転式切断操作組立体の概略図である。
図10は、本開示による回転式切断操作組立体の別の概略図である。
図11は、本開示による回転式切断操作組立体内の駆動機構の概略図である。
図12は、
図11の左側面図である。
【0054】
図示するように、回転式切断操作組立体は、切断工具1と、切断工具1にしっかりと装着される把手2とを包含する。切断工具1は、その前端に試料採取スロット5を有する外刃3と、外刃3内でスリーブ付きにされた内刃4とを包含する。
【0055】
上述の切断工具1は、周方向で内刃4と伝達係合して軸方向で内刃4と摺動可能に係合する回転式被駆動部材6と、内刃4とねじ手段を介して係合する並進式被駆動部材7とを更に包含する。把手2は、把手本体と、把手本体に装着される駆動部品とを包含する。駆動部品は、回転式被駆動部材6を駆動するように構成される回転式能動部材8と、並進式被駆動部材7を駆動するように構成される並進式能動部材9とを包含する。回転式被駆動部材6は、内刃4を回転駆動して並進式被駆動部材7との回転速度差を形成し、内刃4は、回転速度差により軸方向に移動させられ、試料採取スロット5による試料採取を実行する。前端が切断工具の穿刺端であり、反対端が後端である。内刃4の並進移動とは、内刃4が軸方向に往復することを意味する。この並進移動が、内刃4の自己回転と組み合わさって回転式切断移動を実行する。当然ながら、回転式被駆動部材6及び並進式被駆動部材7の回転速度が異なることは、異なるモータの駆動を通じて異なる伝達比又は回転速度を構成することにより達成することができる。回転式被駆動部材6及び並進式被駆動部材7は、同じ又は異なる回転方向を有することができる。回転式被駆動部材及び並進式被駆動部材が同じ方向に回転する際には内刃4の軸方向駆動速度は緩やかであり、方向が異なる際には内刃4の軸方向駆動速度は速めである。内刃4が回転式被駆動部材6及び並進式被駆動部材7により差動回転のやり方で駆動されることは、回転式切断工具の構造を簡素化し、操作中の内刃4の安定性を改良し、従って外科の安全性を確実にすることができる。ねじ手段は従来の駆動機構であるため、より詳細には記載しないことにする。
【0056】
この実施形態において、回転式能動部材8及び回転式被駆動部材6は、減速伝達によって動力伝達を実行する。回転式能動部材8は回転式被駆動部材6に、減速伝達のやり方で動力を伝える。このことは、動力入力の回転トルクを増大させることにとって、回転式被駆動部材6が円滑に回転することを確実にすることにとって、及び、大きな回転抵抗トルクにより内刃が停止するのを回避することにとって有利である。
【0057】
この実施形態において、回転式能動部材8及び並進式能動部材9は、それぞれ回転式能動ギア8及び並進式能動ギア9である。並進式能動ギア9の内周の両端が軸方向に延びてシャフトスリーブ10を形成する。回転式能動ギア8は、シャフトスリーブ10の一端で、周方向伝達のやり方においてスリーブ付きにされる。図示するように、シャフトスリーブ10の前端は、固定ピンによりモータのシャフトに固定される。回転式駆動ギア8は、シャフトスリーブ10上で、シャフトスリーブ10の前方周方向端部に置かれるスプラインを介して、周方向伝達のやり方においてスリーブ付きにされる。このことは、コンパクトな構造及び安定した駆動を確実にする。
【0058】
この実施形態において、並進式能動部材9及び並進式被駆動部材7は、加速伝達によって動力伝達を実行する。並進式能動部材9は、加速伝達のやり方で回転式被駆動部材6に動力を伝える。回転式能動部材8及び回転式被駆動部材6の減速伝達機構と協力して差動駆動を実現するためには、このことは有利である。
【0059】
この実施形態において、回転式被駆動部材6は回転式能動部材8により、直接的ギア係合を介して駆動される。並進式被駆動部材6は並進式能動部材9により、直接的ギア係合を介して駆動される。このことは正確な伝達を確実にする。また、この構成は、伝達構造を強力にするとともに、円滑な動力伝達を確実にする。
【0060】
この実施形態において、回転式切断工具1は、内刃4上で固定的にスリーブ付きにされた回転式スリーブ11を更に包含する。並進式被駆動部材7は、回転式スリーブ11と螺合するやり方において回転式スリーブ11上でスリーブ付きにされた並進式駆動ギア7である。回転式スリーブ11の外周には雄ねじが設けられ、並進式駆動ギア7は、回転式スリーブ11の中央部分で又は後端でスリーブ付きにすることができ、好ましくは、回転式スリーブ11の後端でスリーブ付きにすることができる。回転式スリーブ11の外周に配置される雄ねじは、コンパクトな構造を確実にするために、回転式スリーブ11の中央及び後方部分に置かれる。図示するように、並進式駆動ギア7は、シャンク15の軸方向に沿って固定的に配置される。並進式被駆動部材7は、当然ながら、ベルト又はチェーンによっても駆動することができる。ベルト及びチェーンは両方とも、本開示の目的を達成することができる。本実施形態では、単純な構造で取付けが便利であるダイレクトギア式伝達が好ましい。回転式スリーブ11はねじ手段を介して回転駆動され、その後、内刃4が回転及び切断駆動される。これによって、強力で安定した駆動力が確実になる。
【0061】
本実施形態において、回転式被駆動部材6は、径方向限定のやり方において回転式スリーブ11上でスリーブ付きにされる回転式駆動スリーブ6である。回転式駆動スリーブ6の後端の外周に回転式伝達ギア12が設けられる。回転式スリーブ11の外周が、径方向で外方に延び、回転式駆動スリーブ6の内周と周方向で伝達係合するとともにこの内周とスプライン‐スロット構造を介して軸方向で摺動可能に係合する環状ボス13を形成する。好ましくは、環状ボス13は、回転式スリーブ11の外周の前端に置かれる。当然ながら、環状ボス13は、径方向で外方において回転式駆動スリーブ6を支持する。回転式駆動スリーブ6を構成することにより、回転式スリーブ11の雄ねじが回転式駆動スリーブ6と干渉することを確実にすることができる。同時に、回転式駆動スリーブ6の内周には、軸方向に案内スプライン又は摺動スロットが設けられる。この案内スプライン又は摺動スロットは、環状ボス13の摺動スロット又は案内スプラインと係合することができる。従って、回転式スリーブ11は、回転式駆動スリーブ6に対して軸方向に摺動するようになっている。図示するように、本実施形態によれば、回転式伝達ギア12の歯数C、回転式能動ギア8の歯数A、並進式能動ギア9の歯数B、及び並進式被駆動ギア7の歯Dの数Dの間の関係はA<C、D<Bであり、このことによりコンパクトな伝達構造を確実にすることができるのであり、効率的な回転式切断ドライブ力を内刃に提供するためには、このことは有利である。
【0062】
本実施形態において、回転式駆動スリーブ6の後端面が、並進式駆動ギア7の前端面に当接し、並進式駆動ギア7までの軸方向限定部を形成する。回転式駆動スリーブ6の内周が、径方向で内方に突出し、回転式スリーブ11の雄ねじ上でスリーブ付きにされた支持リング12aを形成する。好ましくは、支持リング12aは、回転式駆動スリーブ6の内周の後端に置かれ、このことが、回転式駆動スリーブ6と並進式駆動ギア7との間、及び回転式駆動スリーブ6と回転式スリーブ11との間の摩擦の低減に貢献する。支持リング12aは、径方向で回転式伝達ギア12に整列させることができ、このことは、径方向における回転式駆動スリーブ6の安定性を確実にすることにとって有益であり、回転式駆動スリーブ6の回転の安定性を改良することにとって有利である。
【0063】
この実施形態において、回転式駆動スリーブ6の内周に、軸方向において案内スプライン6aが設けられる。環状ボス13の外周に、案内スプライン6aに合致する摺動スロット13aが設けられる。案内スプライン16a及び摺動スロット13aの数はそれぞれ複数であり周方向において分布する。この実施形態では、案内スプライン16a及び摺動スロット13aの数はそれぞれ4であり周方向において均一に分布するが、このことは、回転式スリーブ11の摺動の安定性を更に改良し、ロックを防止することができる。この実施形態において、スプライン‐スロット構造の断面は矩形である。従って、スプライン‐スロット構造の安定性が改良され、処理が便利になり、合致精度が高くなる。
【0064】
この実施形態において、試料採取スロット5の開口長さをリアルタイムで表示するためのディスプレイユニット29が把手2に設けられる。ディスプレイユニット29は1列のLEDチップを使用するが、このことは、ホストの命令を直接受信して同期のディスプレイの状態に応じてLEDを点灯又は消灯することにより、試料採取スロット5の開口長さを視覚的に観察する目的を実現することができる。本開示の目標を実現するために、当然ながら、ディスプレイスクリーンモードを採用することができる。上の構成は、試料採取にとって明白で客観的な基礎を提供することができ、この基礎が、操作者の試料採取操作に対する客観的なガイドとなることになる。従って、試料採取工程が量の面で正確かつ制御可能なものになり、このことが、効率を改良し、患者の苦痛を低減することになる。試料採取スロット5の開放長さデータを監視しリアルタイムで表示する方法は、先行技術を使用することにより実行することができ、本明細書では詳細を記載しない。
【0065】
この実施形態では、内刃4の前端の側壁に通気孔20が設けられる。内刃4の後端で負圧が発生する結果、内刃4と外刃3との間の径方向間隙21、通気孔20、内刃の内部空洞22を空気が連続して通過し、空気流チャネルが形成される。内刃4の後端は吸引装置に接続される。通気孔20を構成することにより、内刃4の、前端での封鎖が防止される一方で、内刃4と外刃3との間の径方向間隙21への液体の侵入が防止される。径方向間隙21の構成は、内部空洞の前端での負圧が適度であることを確実にすることができ、このことは、試料の吸着にとって望ましい。
【0066】
通気孔20は、周方向に設けられるストリップ孔である。別法では、周方向において複数のストリップ孔が均一に分布し、通気リングが形成される。少なくとも1つの通気リングが軸方向に配置される。この実施形態では、周方向において3つのストリップ孔が配置され、軸方向において2つの通気リングが配置される。回転式カッタヘッド25が強力であり容易には損傷しないことを確実にしつつ大きなガス流及び円滑な換気を確実にするためには、この構造は有利である。
【0067】
回転式切断工具1は、その後端が軸方向で後方へと挿入されて外刃3の前端に固定される穿刺ヘッド23を更に包含する。穿刺ヘッド23の後端の外周に段部24が設けられる。内刃4の前端に、径方向で後部から前部へ外方に傾斜している回転式カッタヘッド25が設けられる。段部24の後端は、回転式カッタヘッド25を軸方向で限定するための、回転式カッタヘッド25の傾斜に合致する斜面26を形成する。段部24の後端に斜面26を設けて回転式カッタヘッド25を軸方向で限定することにより、試料を完全に切断できることを確実にしつつ、回転式カッタヘッド25の損傷を回避することができる。
【0068】
この実施形態において、穿刺ヘッド23の後端は、軸方向で後方に突出し、封鎖ポスト27を形成する。内刃4が最前端に移動すると、封鎖ポスト27と内刃4の内周との間に径方向間隙28が形成される。封鎖ポスト27は、試料が試料採取スロット5の前端にて、後部から前部へと次第に低減するような構造を形成するように構成されるのであり、このことは、斜面26での試料の切断を促進し、円滑な試料採取を確実にする。
【0069】
使用中、回転式切断工具1は把手2と共に固定的に掛止される。把手2の把手ハウジング14に、軸方向において装着スロット16が設けられる。装着スロット16の後端面に、軸方向において前方へ突出するピン18aが設けられる。装着スロット16の前端には、シャンク15を固定するための止め輪17が設けられる。シャンク15の後端に、シャンク15を径方向で固定するための、ピン18aと合致する開口スロット18が設けられる。シャンク15の前端の外周は、径方向で内方に窪んでおり、中に嵌め込まれるべき、止め輪17の径方向鉤爪用の掛止溝19を形成する。図示する実施形態において、ピン18a及び開口スロット18の数は両方とも2であり、径方向鉤爪及び止め輪17の掛止溝19の数も2である。組立て中、ピン18aが開口スロット18内へ嵌め込まれるように、シャンク15は、まず傾けられて後方へ装着される。その後、シャンク15の前端が、止め輪17内に嵌め込まれるように上方へ移動され、止め輪17の径方向鉤爪が掛止溝19内に嵌め込まれて掛止及び固定が実行される。分解中は、逆に、最初にシャンク15の前端が除去され、その後、その後端が除去される。迅速な組立及び分解が簡単であり、固定が安定する。
【0070】
上記の実施形態は、本開示の技術的解決法を示すことのみに使用され、本開示の範囲を限定することが意図されるものではない。本開示は、好ましい実施形態を参照して詳細に記載されたが、当業者の変更態様又は均等物が添付の請求項の範囲内に包含されることが意図される。