特許第6931077号(P6931077)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6931077熱硬化性樹脂組成物、それを用いて製造されたプリプレグ及び金属箔張積層板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6931077
(24)【登録日】2021年8月16日
(45)【発行日】2021年9月1日
(54)【発明の名称】熱硬化性樹脂組成物、それを用いて製造されたプリプレグ及び金属箔張積層板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/03 20060101AFI20210823BHJP
   C08L 25/00 20060101ALI20210823BHJP
   C08L 83/07 20060101ALI20210823BHJP
   C08K 5/14 20060101ALI20210823BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20210823BHJP
   C08K 3/016 20180101ALI20210823BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20210823BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20210823BHJP
   B32B 27/04 20060101ALI20210823BHJP
【FI】
   H05K1/03 630H
   C08L25/00
   C08L83/07
   C08K5/14
   C08K3/013
   C08K3/016
   B32B15/08 Q
   B32B15/08 105Z
   B32B27/00 101
   B32B27/04 Z
   H05K1/03 610G
【請求項の数】20
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2019-555789(P2019-555789)
(86)(22)【出願日】2017年10月19日
(65)【公表番号】特表2020-516737(P2020-516737A)
(43)【公表日】2020年6月11日
(86)【国際出願番号】CN2017106827
(87)【国際公開番号】WO2019024253
(87)【国際公開日】20190207
【審査請求日】2019年10月11日
(31)【優先権主張番号】201710661518.3
(32)【優先日】2017年8月4日
(33)【優先権主張国】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517221424
【氏名又は名称】▲広▼▲東▼生益科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENGYI TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲関▼ ▲遅▼▲記▼
(72)【発明者】
【氏名】▲曽▼ ▲憲▼平
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ ▲広▼兵
(72)【発明者】
【氏名】徐 浩晟
【審査官】 堀 洋樹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/067124(WO,A1)
【文献】 特開2006−070136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/03
B32B 1/00−43/00
C08K 3/00−13/08
C08L 1/00−101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚又は少なくとも2枚の積層したプリプレグと、積層したプリプレグの片面側又は両面側に位置する金属箔とを含む金属箔張積層板であって、
前記プリプレグは、基材と、含浸し乾燥させることで基材に付着した熱硬化性樹脂組成物とを含み、前記金属箔は、銅箔であり、
前記熱硬化性樹脂組成物は、(A)成分(B)成分、(C)成分、フィラー及び難燃剤のみから構成されており、
前記(A)成分は、溶媒可溶性の多官能ビニル芳香族共重合体であり、当該共重合体は、ジビニル芳香族化合物(a)及びエチルビニル芳香族化合物(b)を含むモノマーに由来する構造単位を有する多官能ビニル芳香族共重合体であり、ジビニル芳香族化合物(a)に由来する繰り返し単位を20モル%以上含み、且つ、下記式(a)及び(a)に示すジビニル芳香族化合物(a)に由来するビニル含有構造単位のモル分率が(a)/[(a)+(a)]≧0.5を満たし、また、ゲルパーミエーションクロマトグラフにより測定されたポリスチレン換算の数平均分子量Mが600〜30000であり、重量平均分子量Mと数平均分子量Mの比M/Mが20.0以下であり、
【化1】
式中、R13が炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素基であり、R14が炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素基であり、
前記(B)成分は、ビニル含有シリコーン樹脂であり、
前記熱硬化性樹脂組成物において、(A)成分と(B)成分の合計に対して、(A)成分の配合量は1〜9wt%であり、(B)成分の配合量は87wt%であり、
前記(C)成分は、開始剤であり、(A)成分+(B)成分を100重量部として、(C)成分の用量は0.1〜10重量部であり、
前記フィラーは、有機フィラー及び/又は無機フィラーを含み、
前記難燃剤は臭素含有難燃剤又はハロゲンフリー難燃剤であることを特徴とする、金属箔張積層板
【請求項2】
前記ビニル含有シリコーン樹脂は、線状ビニルシリコーン樹脂、環状ビニル樹脂、MQビニルシリコーン樹脂、MTビニルシリコーン樹脂、MTQビニルシリコーン樹脂、MDTビニルシリコーン樹脂、MDQビニルシリコーン樹脂、TTビニルシリコーン樹脂またはTQビニルシリコーン樹脂のいずれか1種、または少なくとも2種の組み合わせから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の金属箔張積層板
【請求項3】
前記線状ビニルシリコーン樹脂の構造は以下のとおりであり、
【化2】
式中、R、R及びRは、炭素原子数が8以下の同じまたは異なるアルキルまたはフェニル、若しくは炭素原子数が10以下のビニル含有有機官能基であり、mは5〜100の整数であることを特徴とする、請求項2に記載の金属箔張積層板
【請求項4】
前記環状ビニル樹脂の構造は以下のとおりであり、
【化3】
式中、Rは、炭素原子数が12以下のアルキルであり、nは2〜10の整数であることを特徴とする、請求項2に記載の金属箔張積層板
【請求項5】
前記MQシリコーン樹脂は、下記一般式で表される化合物であり、
(RSiO1/2(SiO4/2
式中、1≦x≦100、1≦y≦100、2≦x+y≦200、且つ0.1≦x/y≦4を満たし、R、R及びRの少なくとも1つは、ビニル含有有機官能基であり、その他の2つは、独立して、置換または非置換のC1−C8直鎖アルキル、置換または非置換のC1−C8分岐鎖アルキル、置換または非置換のフェニルから選択されることを特徴とする、請求項2に記載の金属箔張積層板
【請求項6】
前記MTビニルシリコーン樹脂は、以下の構造を有し、
(R10SiO1/2(R11SiO3/2
式中、3≦e≦100、1≦f≦100、4≦e+f≦200、且つ0.1≦e/f≦3を満たし、R、R、R10及びR11は、それぞれ独立して、置換または非置換のC1−C8直鎖アルキル、置換または非置換のC1−C8分岐鎖アルキル、置換または非置換のフェニル、若しくは置換または非置換のC2−C10ビニル含有有機官能基のいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせから選択され、且つR、R、R10及びR11の少なくとも1つは、置換または非置換のC2−C10ビニル含有有機官能基であることを特徴とする、請求項2に記載の金属箔張積層板
【請求項7】
前記MTQビニルシリコーン樹脂は、以下の構造を有し、
(R121314SiO1/2(R15SiO/2)(SiO/2)
式中、1≦g≦100、1≦h≦100、1≦i≦100、且つ3≦g+h+i≦300を満たし、R12、R13、R14及びR15は、独立して、置換または非置換のC1−C8直鎖アルキル、置換または非置換のC1−C8分岐鎖アルキル、置換または非置換のフェニル、若しくは置換または非置換のC2−C10ビニル含有有機官能基のいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせから選択され、且つR12、R13、R14及びR15の少なくとも1つは、置換または非置換のC2−C10ビニル含有有機官能基であることを特徴とする、請求項2に記載の金属箔張積層板
【請求項8】
前記MDTビニルシリコーン樹脂は、以下の構造を有し、
(R161718SiO1/2(R1920SiO3/2(R21SiO3/2
式中、1≦j≦100、1≦k≦100、1≦l≦100、且つ3≦j+k+1≦300を満たし、R16、R17、R18、R19、R20及びR21は、独立して、置換または非置換のC1−C8直鎖アルキル、置換または非置換のC1−C8分岐鎖アルキル、置換または非置換のフェニル、若しくは置換または非置換のC2−C10ビニル含有有機官能基のいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせから選択され、且つR16、R17、R18、R19、R20及びR21の少なくとも1つは、置換または非置換のC2−C10ビニル含有有機官能基であることを特徴とする、請求項2に記載の金属箔張積層板
【請求項9】
前記MDQビニルシリコーン樹脂は、以下の構造を有し、
(R222324SiO1/2(R2526SiO3/2(SiO4/2
式中、1≦p≦100、1≦q≦100、1≦s≦100、且つ3≦p+q+s≦300を満たし、R22、R23、R24、R25及びR26は、それぞれ独立して、置換または非置換のC1−C8直鎖アルキル、置換または非置換のC1−C8分岐鎖アルキル、置換または非置換のフェニル、若しくは置換または非置換のC2−C10ビニル含有有機官能基のいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせから選択され、且つR22、R23、R24、R25及びR26の少なくとも1つは、置換または非置換のC2−C10ビニル含有有機官能基であることを特徴とする、請求項2に記載の金属箔張積層板
【請求項10】
前記TTビニルシリコーン樹脂は、以下の構造を有し、
(R27SiO3/2
式中、6≦t≦12、且つtは偶数であり、R27は、置換または非置換のC2−C10ビニル含有有機官能基から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の金属箔張積層板
【請求項11】
前記TQビニルシリコーン樹脂は、以下の構造を有し、
(R28SiO3/2(SiO4/2
式中、4≦u≦100、1≦v≦100、且つ4≦u/v≦10を満たし、R28は、置換または非置換のC2−C10ビニル含有有機官能基から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の金属箔張積層板
【請求項12】
前記可溶性の多官能ビニル芳香族共重合体の主鎖骨格には、下記一般式(a)で表されるインダン構造を有し、
【化4】
式中、Wは飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、若しくはベンゼン環に縮合した芳香環または置換芳香環を示し、Zは0〜4の整数であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の金属箔張積層板
【請求項13】
(A)成分は、多官能ビニル芳香族共重合体に、エチルビニル芳香族化合物(b)以外のモノビニル芳香族化合物(c)に由来する構造単位を含む可溶性の多官能ビニル芳香族共重合体であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の金属箔張積層板
【請求項14】
前記可溶性の多官能ビニル芳香族共重合体の金属イオン含有量は、各金属イオン含有量の合計として、500ppm以下であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の金属箔張積層板
【請求項15】
前記(C)成分である開始剤は、半減期温度t1/2が130℃以上であり、前記開始剤は、ラジカル開始剤であることを特徴とする、請求項1〜1のいずれか一項に記載の金属箔張積層板
【請求項16】
前記開始剤は、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルベンゾイルペルオキシド、2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、ジ−(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、過酸化(2,4−ジクロロベンゾイル)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、3,3,5,7,7−ペンタメチル−1,2,4−トリオキセパン、ジ−tert−ブチルペルオキシドまたはtert−ブチルペルオキシクメンのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の金属箔張積層板
【請求項17】
前記無機フィラーは、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、中空シリカ、ガラス粉末、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ケイ素アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、アルミナ、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、タルク、粘土、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、またはマイカのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせから選択され、
前記有機フィラーは、ポリテトラフルオロエチレン粉末、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、またはポリエーテルスルホン粉末のいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせから選択されることを特徴とする、請求項に記載の金属箔張積層板
【請求項18】
前記臭素系難燃剤は、デカブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエタン、エチレンビステトラブロモフタルイミド、または臭素化ポリカーボネートのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせであり、
前記ハロゲンフリー難燃剤は、リン含有ハロゲンフリー難燃剤、窒素含有ハロゲンフリー難燃剤、及びケイ素含有ハロゲンフリー難燃剤のいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせであることを特徴とする、請求項に記載の金属箔張積層板
【請求項19】
前記ハロゲンフリー難燃剤は、トリス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフィン、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、2,6−ビス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフィノベンゼン又は10−フェニル−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、フェノキシホスファゼン化合物、リン酸エステル又はポリリン酸エステルのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせであることを特徴とする、請求項18に記載の金属箔張積層板
【請求項20】
(A)成分+(B)成分を100重量部として、前記難燃剤の用量は、5〜80重量部であることを特徴とする、請求項に記載の金属箔張積層板
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅張板の技術分野に属し、熱硬化性樹脂組成物及びそれを用いて製造されたプリプレグ及び金属箔張積層板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータ及び情報通信機器の高性能化と、高機能化と、ネットワーク化に伴い、大容量な情報を高速的に伝送・処理するために動作信号は高周波になる傾向があるため、回路基板の材料に対する要求が求められ、特に、携帯通信装置等のブロードバンドを使用する電子機器では、急速な発展がある。
【0003】
既存なプリント回路基板に使用される材料のうち、優れた接着特性を有するエポキシ樹脂が広く使用されている。しかし、エポキシ樹脂回路基板は一般に高い誘電率と誘電正接(誘電率Dkは4より大きく、誘電正接Dfは0.02程度)を有し、高周波特性が不十分であり、信号を高周波化する要求に適合させることができない。そのため、優れた誘電特性を有する樹脂、すなわち低い誘電率と誘電正接を有する樹脂を開発する必要がある。当業者は、熱硬化性を有するポリフェニレンエーテル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ビニルベンジルエーテル樹脂、炭化水素樹脂などの良好な誘電特性を持つものを長い間に研究してきた。硬化架橋可能な炭化水素樹脂(ポリオレフィン樹脂)は、誘電正接Dfが低く(ポリテトラフルオロエチレン樹脂に匹敵)、流動性が相対的に良いことは周知であるため、更に多くの技術者が鋭意研究を重ねたが、その耐熱性が不十分であり、多層プリント配線板の高い製造プロセス要求を満たすことができないため、他の耐熱性樹脂と併用する必要がある。
【0004】
TW200536862Aでは、有機溶媒系の中にルイス酸触媒と開始剤が存在する場合、20〜120℃の反応温度で、20〜100モル%のジビニル芳香族化合物と、必要に応じて他のモノマー(例えば、エチルビニル芳香族化合物などの他のモノマー)成分を重合させて、分子量制御可能な可溶性の多官能ビニル芳香族共重合体を調製することが開示されている。この樹脂は、電子基材などに関する高摩擦分野での使用することができ、相対的に良い耐熱性と加工性を有する。この共重合体を用いて製造された電子回路基材は、誘電性能が相対的に良く、且つ耐熱性が相対的に優れているが、脆性が大きいという顕著な欠陥もある。大きな脆性は、その後のPCB加工に相対的に大きな悪影響を及ぼし(ドリル用インサートはひどく摩耗し、板材の層分離が生じ、ドリル後のハローは大きいため、CAFはが悪くなる)、多層プリント配線板の高い製造プロセス要求を満たすことができない。
【0005】
CN1914239Aでは、ビニル末端の変性ポリフェニレンエーテル及び可溶性の多官能ビニル芳香族共重合体を用いて共重合させて、優れた耐薬品性、誘電特性や耐熱性を有する銅張板を製造する。銅張板の強靭性を改善するために、1種または2種以上の熱可塑性樹脂を添加できることが提出されているが、熱可塑性樹脂を添加すると、基材のガラス転移温度が大幅に低下し、また、熱可塑性樹脂と硬化物の非相溶性が現れ、その結果、基材の相分離が生じ、基材の耐湿熱性が大きく低下し、高多層プリント回路基板では、鉛フリーリフローはんだ付けの熱処理後、層間剥離(delamination)が発生して使用できない。
CN103172803Aでは、可溶性の多官能共重合体、アクリロイル含有シリコーン樹脂及び開始剤の組成物で硬化させた後、屈折率や高い光線透過率等の優れた光学特性、耐熱性及び加工性を有する光学製品を製造するが、この樹脂組成物は銅張板及びプリプレグに使用できることが示されておらず、この樹脂組成物を硬化させて銅張板を製造しても、その誘電特性(誘電正接Df)が著しく劣化し(この樹脂組成物が、アクリロイル含有シリコーン樹脂を使用しており、アクリロイル含有シリコーン樹脂は極性が相対的に高い)、高周波信号伝送の要求を満たすことができなくなる。
【0006】
したがって、本分野では、強靭性、誘電性能、耐湿熱性などの良好な総合特性を有する銅張板を提供する樹脂組成物を得ることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】TW200536862A号明細書
【特許文献1】CN1914239A号明細書
【特許文献1】CN103172803A号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術の欠点に対して、本発明の目的は、熱硬化性樹脂組成物、それを用いて製造されたプリプレグ及び金属箔張積層板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明は以下の技術案を採用する。
【0010】
一態様において、本発明に係る熱硬化性樹脂組成物は、(A)成分と(B)成分を含み、
前記(A)成分は、溶媒可溶性の多官能ビニル芳香族共重合体であり、当該共重合体は、ジビニル芳香族化合物(a)及びエチルビニル芳香族化合物(b)を含むモノマーに由来する構造単位を有する多官能ビニル芳香族共重合体であり、ジビニル芳香族化合物(a)に由来する繰り返し単位を20モル%以上含み、且つ、下記式(a)及び(a)に示すジビニル芳香族化合物(a)に由来するビニル含有構造単位のモル分率が(a)/[(a)+(a)]≧0.5を満し、また、ゲルパーミエーションクロマトグラフにより測定されたポリスチレン換算の数平均分子量Mが600〜30000であり、重量平均分子量Mと数平均分子量Mの比M/Mが20.0以下であり、
【化1】
式中、R13が炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素基であり、R14が炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素基であり、
前記(B)成分は、ビニル含有シリコーン樹脂である。
【0011】
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物の樹脂成分は、極性ヒドロキシル基を含まず、そして、硬化プロセス中に二次ヒドロキシルなどの極性基を生成しないため、回路基板の低い吸水率及び優れた誘電性能を確保でき、前記ビニル含有シリコーン樹脂が溶媒可溶性の多官能ビニル芳香族共重合体の架橋剤として使用されると、樹脂組成物の硬化後、高い架橋密度を有し、硬化後の可溶性の多官能ビニル芳香族共重合体の脆性は明らかに改善され、製造された回路基板は、相対的に良い強靭性を持ち、PCBのドリル加工性が改善され、多層プリント回路基板の信頼性の向上に有利する。
【0012】
好ましくは、前記ビニル含有シリコーン樹脂は、線状ビニルシリコーン樹脂、環状ビニル樹脂、MQビニルシリコーン樹脂、MTビニルシリコーン樹脂、MTQビニルシリコーン樹脂、MDTビニルシリコーン樹脂、MDQビニルシリコーン樹脂、TTビニルシリコーン樹脂またはTQビニルシリコーン樹脂のいずれか1種、または少なくとも2種の組み合わせから選択され、好ましくは線状ビニルシリコーン樹脂及び/または環状ビニル樹脂である。
【0013】
好ましくは、前記線状ビニルシリコーン樹脂構造の構造は以下のとおりであり、
【化2】
式中、R、R、Rは、炭素原子数が8以下(例えば、8、7、6、5、4、3、2または1)の同じまたは異なるアルキルまたはフェニル、若しくは炭素原子数が10以下(例えば、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1)のビニル含有有機官能基であり、mは5〜100の整数(例えば、mは5、7、9、15、22、32、38、48、50、61、72、81、90、92または100等である)である。
【0014】
本発明において、前記線状ビニルシリコーン樹脂の典型的であるが非限定的な一例は、Gelestの商品名DMS−V05の線状ビニルシリコーン樹脂であり、すなわち、上述した構造式において、R、R、Rはそれぞれ、メチル、ビニル、メチルである。DMS−V05樹脂の場合、それに含まれる分子量は分布であり、分子量が大きいものがあるが小さいものもあり、厳密に言えば、異なる分子量に対応するm値は異なり、単一の値ではなく、範囲である。実験室では、高分子の分子量は一般にゲルクロマトグラフィーGPCにより測定され、得られたデータ分子量M、または重量平均分子量M、または粘度平均分子量Mは相対的な値である。したがって、DMS−V05樹脂に対して、その樹脂の分子量に対応するm値を指定することができない。検出は、移動相としてトルエンを使用したGPC装置で行い、この樹脂の得られた分子量はM=800である。
【0015】
好ましくは、前記環状ビニル樹脂の構造は以下のとおりであり、
【化3】
式中、Rは、炭素原子数が12以下(例えば、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1)のアルキル、nは2〜10の整数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9または10)である。
【0016】
本発明において、前記環状ビニルシリコーン樹脂の典型的であるが非限定的な一例は、武大有機珪の商品名WD−V4の環状ビニルシリコーン樹脂であり、すなわち、上述した構造式において、Rはメチルであり、n=2である。
【0017】
好ましくは、前記MQシリコーン樹脂は、下記一般式で表される化合物であり、
(RSiO1/2(SiO4/2
式中、1≦x≦100(例えば、xは、1、3、5、8、10、15、20、35、40、45、50、60、70、80、90または100であってもよい)、1≦y≦100(例えば、yは、1、3、5、8、10、15、20、35、40、45、50、60、70、80、90または100であってもよい)、2≦x+y≦200(例えば、2≦x+y≦10、15≦x+y≦30、40≦x+y≦52、55≦x+y≦68、70≦x+y≦82、89≦x+y≦105、121≦x+y≦153、157≦x+y≦175、182≦x+y≦193、195≦x+y≦200等、より具体的に、例えば、x+yは2、3、5、8、10、15、20、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、150、180または200であってもよい)、且つ0.1≦x/y≦4(例えば、0.1≦x/y≦0.9、1≦x/y≦2、または3≦x/y≦4等、より具体的に、例えば、x/yは0.1、0.5、0.8、1、1.2、1.5、1.8、2、2.5、3、3.5または4であってもよい)、R、R及びRの少なくとも1つは、ビニル含有有機官能基であり、その他の2つは、独立して、置換または非置換のC1−C8直鎖アルキル、置換または非置換のC1−C8分岐鎖アルキル、置換または非置換のフェニルから選択される。
【0018】
本発明において、前記MQビニルシリコーン樹脂の典型的であるが非限定的な一例は、山東大易化工の商品名DY−VMQ102のものであり、すなわち、上述したMQビニルシリコーン樹脂の構造式において、R、R、Rはそれぞれ、メチル、メチル、ビニルである。検出は、移動相としてトルエンを使用したGPC装置で行い、この樹脂の得られた分子量はM=2632である。
【0019】
好ましくは、前記MTビニルシリコーン樹脂は、以下の構造を有し、
(R10SiO1/2(R11SiO3/2
式中、3≦e≦100(例えば、eは1、3、5、8、10、15、20、35、40、45、50、60、70、80、90または100であってもよい)、1≦f≦100(例えばfは1、3、5、8、10、15、20、35、40、45、50、60、70、80、90または100であってもよい)、4≦e+f≦200(例えば2≦e+f≦9、10≦e+f≦25、40≦e+f≦52、55≦e+f≦68、70≦e+f≦82、89≦e+f≦105、121≦e+f≦153、157≦e+f≦175、182≦e+f≦193、195≦e+f≦200等、より具体的に、例えばe+fは2、3、5、8、10、15、20、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、150、180または200であってもよい)、且つ、0.1≦e/f≦3(例えば0.1≦e/f≦0.9、1≦e/f≦1.8または2≦e/f≦3等、より具体的に、例えばe/fは0.1、0.5、0.8、1、1.2、1.5、1.8、2、2.5、2.8または3である)であり、R、R、R10及びR11は、それぞれ独立して、置換または非置換のC1−C8直鎖アルキル、置換または非置換のC1−C8分岐鎖アルキル、置換または非置換のフェニル、若しくは置換または非置換のC2−C10ビニル含有有機官能基のいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせから選択され、且つR、R、R10及びR11の少なくとも1つは、置換または非置換のC2−C10ビニル含有有機官能基である。
【0020】
本発明において、前記MTビニルシリコーン樹脂の典型的であるが非限定的な一例は、自製のV−10であり、すなわち、上記MTビニルシリコーン樹脂の構造において、R、R、R10及びR11はそれぞれ、ビニル、メチル、メチル、フェニルである。V−10樹脂の場合、それに含まれる分子量は分布であり、分子量が大きいものがあるが小さいものもあり、厳密に言えば、異なる分子量に対応するe、f値は異なり、単一の値ではなく、範囲である。実験室では、高分子の分子量は一般にゲルクロマトグラフィーGPCにより測定され、得られたデータ分子量M、または重量平均分子量M、または粘度平均分子量Mは相対的な値である。したがって、V−10樹脂に対して、その樹脂の分子量に対応するe、f値を指定することができない。検出は、移動相としてトルエンを使用したGPC装置で行い、この樹脂の得られた分子量はM=2130である。
【0021】
好ましくは、前記MTQビニルシリコーン樹脂は、以下の構造を有し、
(R121314SiO1/2(R15SiO3/2(SiO4/2
式中、1≦g≦100(例えば、gは1、3、5、8、10、15、20、35、40、45、50、60、70、80、90または100であってもよい)、1≦h≦100(例えば、hは1、3、5、8、10、15、20、35、40、45、50、60、70、80、90または100であってもよい)、1≦i≦100(例えば、iは1、3、5、8、10、15、20、35、40、45、50、60、70、80、90または100であってもよい)、且つ3≦g+h+i≦300(例えば、3≦g+h+i≦10、15≦g+h+i≦22、31≦g+h+i≦50、52≦g+h+i≦70、72≦g+h+i≦85または90≦g+h+i≦100等、より具体的に、例えば、g+h+iは3、5、8、10、15、20、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、150、180、200、250、280または300であってもよい)であり、R12、R13、R14及びR15は、独立して、置換または非置換のC1−C8直鎖アルキル、置換または非置換のC1−C8分岐鎖アルキル、置換または非置換のフェニル、若しくは置換または非置換のC2−C10ビニル含有有機官能基のいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせから選択され、且つR12、R13、R14及びR15の少なくとも1つは、置換または非置換のC2−C10ビニル含有有機官能基である。
【0022】
本発明において、前記MTQビニルシリコーン樹脂の典型的であるが非限定的な一例は、自製のV−20であり、すなわち、上述したMTQビニルシリコーン樹脂の構造式において、R12、R13、R14及びR15はそれぞれ、ビニル、メチル、メチル、フェニルである。検出は、移動相としてトルエンを使用したGPC装置で行い、この樹脂の得られた分子量はM=1980である。
【0023】
好ましくは、前記MDTビニルシリコーン樹脂は、以下の構造を有し、
(R161718SiO1/2(R1920SiO3/2(R21SiO3/2
式中、1≦j≦100(例えば、jは1、3、5、8、10、15、20、35、40、45、50、60、70、80、90または100であってもよい)、1≦k≦100(例えば、kは1、3、5、8、10、15、20、35、40、45、50、60、70、80、90または100であってもよい)、1≦l≦100(例えば、lは1、3、5、8、10、15、20、35、40、45、50、60、70、80、90または100であってもよい)、且つ3≦j+k+l≦300(例えば、3≦j+k+l≦10、15≦j+k+l≦22、31≦j+k+l≦50、52≦j+k+l≦70、72≦j+k+l≦85または90≦j+k+l≦100等、より具体的に、例えば、j+k+lは3、5、8、10、15、20、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、150、180、200、250、280または300であってもよい)であり、R16、R17、R18、R19、R20及びR21は、それぞれ独立して、置換または非置換のC1−C8直鎖アルキル、置換または非置換のC1−C8分岐鎖アルキル、置換または非置換のフェニル、若しくは置換または非置換のC2−C10ビニル含有有機官能基のいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせから選択され、且つR16、R17、R18、R19、R20及びR21の少なくとも1つは、置換または非置換のC2−C10ビニル含有有機官能基である。
【0024】
本発明において、前記MDTビニルシリコーン樹脂の典型的であるが非限定的な一例は、自製のV−30であり、そのR16、R17、R18、R19、R20及びR21はそれぞれ、ビニル、メチル、メチル、メチル、メチル、フェニルである。検出は、移動相としてトルエンを使用したGPC装置で行い、この樹脂の得られた分子量はM=1835である。
【0025】
好ましくは、前記MDQビニルシリコーン樹脂は、以下の構造を有し、
(R222324SiO1/2(R2526SiO3/2(SiO4/2
式中、1≦p≦100(例えば、pは1、3、5、8、10、15、20、35、40、45、50、60、70、80、90または100であってもよい)、1≦q≦100(例えば、qは1、3、5、8、10、15、20、35、40、45、50、60、70、80、90または100であってもよい)、1≦s≦100(例えば、sは1、3、5、8、10、15、20、35、40、45、50、60、70、80、90または100であってもよい)、且つ3≦p+q+s≦300(例えば、3≦p+q+s≦11、13≦p+q+s≦21、32≦p+q+s≦51、52≦p+q+s≦72、75≦p+q+s≦82または88≦p+q+s≦100等、より具体的に、例えば、p+q+sは3、5、8、10、15、20、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、150、180、200、250、280または300であってもよい)であり、R22、R23、R24、R25及びR26は、それぞれ独立して、置換または非置換のC1−C8直鎖アルキル、置換または非置換のC1−C8分岐鎖アルキル、置換または非置換のフェニル、若しくは置換または非置換のC2−C10ビニル含有有機官能基のいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせから選択され、且つR22、R23、R24、R25及びR26の少なくとも1つは、置換または非置換のC2−C10ビニル含有有機官能基である。
【0026】
本発明において、前記MDQビニルシリコーン樹脂の典型的であるが非限定的な一例は、自製のV−40であり、すなわち、その構造式において、R22、R23、R24、R25及びR26はそれぞれビニル、メチル、メチル、フェニルである。検出は、移動相としてトルエンを使用したGPC装置で行い、この樹脂の得られた分子量はM=2514である。
【0027】
好ましくは、前記TTビニルシリコーン樹脂は、以下の構造を有し、
(R27SiO3/2
式中、6≦t≦12であり、且つtは偶数(例えば、tは6、8、10または12)であり、R27は置換または非置換のC2−C10ビニル含有有機官能基から選択される。
【0028】
本発明において、前記TTビニルシリコーン樹脂の典型的であるが非限定的な一例は、鄭州阿爾法の商品名S12836のものであり、すなわち、上記TTビニルシリコーン樹脂の構造式において、R27はビニルである。
【0029】
好ましくは、前記TQビニルシリコーン樹脂は、以下の構造を有し、
(R28SiO3/2(SiO4/2
式中、4≦u≦100(例えば、uは4、5、8、10、15、20、35、40、45、50、60、70、80、90または100であってもよい)、1≦v≦100(例えば、vは1、3、5、8、10、15、20、35、40、45、50、60、70、80、90または100であってもよい)、且つ4≦u/v≦10(例えば、u/vは4、4.5、5、5.5、6、7、8、9または10であってもよい)であり、R28は、置換または非置換のC2−C10ビニル含有有機官能基から選択される。
【0030】
本発明において、前記TQビニルシリコーン樹脂の典型的であるが非限定的な一例は、V−50であり、そのR28はビニルである。検出は、移動相としてトルエンを使用したGPC装置で行い、この樹脂の得られた分子量はM=1900である。
【0031】
本発明において、前記置換または非置換のC1−C8直鎖アルキルとは、置換または非置換のC1、C2、C3、C4、C5、C6、C7またはC8直鎖アルキルであり、置換または非置換のC1−C8分岐鎖アルキルとは、置換または非置換のC1、C2、C3、C4、C5、C6、C7またはC8分岐鎖アルキルであり、前記置換または非置換のC2−C10ビニル含有有機官能基とは、置換または非置換のC2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9或C10ビニル含有有機官能基である。
【0032】
好ましくは、前記熱硬化性樹脂組成物において、(A)成分と(B)成分の合計に対して、(A)成分の配合量は10〜98wt%(例えば、10wt%、15wt%、20wt%、25wt%、28wt%、30wt%、35wt%、38wt%、40wt%、50wt%、60wt%、70wt%、80wt%、90wt%、95wt%または98wt%)であり、(B)成分の配合量は2〜90wt%(例えば、2wt%、5wt%、8wt%、10wt%、15wt%、20wt%、25wt%、30wt%、40wt%、50wt%、60wt%、70wt%、80wt%または90wt%)であり、好ましくは、(A)成分の配合量は30〜90wt%であり、(B)成分の配合量は10〜70wt%である。
【0033】
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物において、(A)成分は、可溶性の多官能ビニル芳香族共重合体であり、その共重合体において、多官能ビニル芳香族共重合体の主鎖骨格には、下記一般式(a)で表されるインダン構造を有し、
【化4】
式中、Wは飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、若しくはベンゼン環に縮合した芳香環または置換芳香環を示し、Zは0〜4(例えば、0、1、2、3または4)の整数である。
【0034】
好ましくは、(A)成分は、多官能ビニル芳香族共重合体に、エチルビニル芳香族化合物(b)以外のモノビニル芳香族化合物(c)に由来する構造単位を含む可溶性の多官能ビニル芳香族共重合体である。
【0035】
この共重合体は、ジビニル芳香族化合物(a)由来の繰り返し単位として、上記(a)、(a)及び(a)で表される構造単位を含む。上記(a)、(a)及び(a)で表される構造単位において、R13、R14、W及びZは、上記と同義であるが、共重合体における各構造単位の存在割合は、使用されるジビニル芳香族化合物(a)、エチルビニル芳香族化合物(b)の種類、反応触媒、反応温度などの反応条件により決定される。
【0036】
本発明において、使用されるジビニル芳香族化合物(a)として、例えば、m−ジビニルベンゼン、p−ジビニルベンゼン、1,2−ジイソプロペニルベンゼン、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、1,3−ジイソプロペニルナフタレン、1,4−ジイソプロペニルナフタレン、1,5−ジイソプロペニルナフタレン、1,8−ジイソプロペニルナフタレン、2,3−ジイソプロペニルナフタレン、2,6−ジイソプロペニルナフタレン、2,7−ジイソプロペニルナフタレン、4,4’−ジビニルビフェニル、4,3’−ジビニルビフェニル、4,2’−ジビニルビフェニル、3,2’−ジビニルビフェニル、3,3’−ジビニルビフェニル、2,2’−ジビニルビフェニル、2,4−ジビニルビフェニル、1,2−ジビニル−3,4−ジメチルベンゼン、1,3−ジビニル−4,5,8−トリブチルナフタレンまたは2,2’−ジビニル−4−エチル−4’−プロピルビフェニルのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを使用してもよいが、これらの物質に限定されず、これらの物質は単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0037】
使用されるジビニル芳香族化合物(a)の好ましい具体例として、コスト及び得られるポリマーの耐熱性の観点から、ジビニルベンゼン(メタ及びパラ異性体の両方)、ジビニルビフェニル(各異性体を含む)及びジビニルナフタレン(各異性体を含む)が好ましい。ジビニルベンゼン(メタ及びパラ異性体の両方)、ジビニルビフェニル(各異性体を含む)がより好ましい。特に、ジビニルベンゼン(メタ及びパラ異性体の両方)が最も好ましく使用される。より高い耐熱性が要求される分野では、ジビニルビフェニル(各異性体を含む)及びジビニルナフタレン(各異性体を含む)が特に好ましい。
【0038】
多官能ビニル芳香族共重合体において、(B)成分であるビニルシリコーン樹脂との相容性を調整し、溶媒可溶性及び加工性を改善するための構造単位の(b)成分を提供するために使用されるエチルビニル芳香族化合物として、o−エチルビニルベンゼン、m−エチルビニルベンゼン、p−エチルビニルベンゼン、2−ビニル−2’−エチルビフェニル、2−ビニル−3’−エチルビフェニル、2−ビニル−4’−エチルビフェニル、3−ビニル−2’−エチルビフェニル、3−ビニル−3’−エチルビフェニル、3−ビニル−4’−エチルビフェニル、4−ビニル−2’−エチルビフェニル、4−ビニル−3’−エチルビフェニル、4−ビニル−4’−エチルビフェニル、1−ビニル−2−エチルナフタレン、1−ビニル−3−エチルナフタレン、1−ビニル−4−エチルナフタレン、1−ビニル−5−エチルナフタレン、1−ビニル−6−エチルナフタレン、1−ビニル−7−エチルナフタレン、1−ビニル−8−エチルナフタレン、2−ビニル−1−エチルナフタレン、2−ビニル−3−エチルナフタレン、2−ビニル−4−エチルナフタレン、2−ビニル−5−エチルナフタレン、2−ビニル−6−エチルナフタレン、2−ビニル−7−エチルナフタレン、2−ビニル−8−エチルナフタレン等を使用してもよいが、これらの物質に限定されない。これらの物質は単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。(b)成分に由来する構造単位を多官能ビニル芳香族共重合体に導入することにより、共重合体のゲル化を防止するだけでなく、溶媒への溶解性を向上することもできる。好ましい具体例として、コスト、ゲル化の防止や得られる硬化物の耐熱性の観点から、エチルビニルベンゼン(メタ及びパラ異性体の両方)及びエチルビニルビフェニル(各異性体を含む)等が挙げられる。
【0039】
本発明の熱硬化性樹脂組成物の硬化物の耐熱性を向上させるか、または他の樹脂との相容性を改善するために、加えたエチルビニル芳香族化合物(b)以外のモノビニル芳香族化合物(c)を添加してもよく、好ましくは、スチレン、エチルビニル芳香族化合物以外の環にアルキル置換基を有するスチレン、エチルビニル芳香族化合物以外の環にアルキル置換基を有する芳香族ビニル化合物、α−アルキル置換スチレン、α−アルキル置換芳香族ビニル化合物、β−アルキル置換スチレン、アルキル置換芳香族ビニル化合物、インデン誘導体及びアセナフテン誘導体などである。
【0040】
環にアルキル置換基を有するスチレンとして、例えば、メチルスチレン、エチルスチレン、ブチルスチレンなどのアルキル置換スチレンを使用してもよい。
【0041】
また、環にアルキル置換基を有するスチレンは、メトキシスチレン、エトキシスチレン、ブトキシスチレンを使用してもよい。また、フェノキシスチレンなどを使用してもよい。
【0042】
芳香族ビニル化合物として、例えば、2−ビニルビフェニル、3−ビニルビフェニル、4−ビニルビフェニル、1−ビニルナフタレンまたは1−ビニルナフタレンを使用してもよい。
【0043】
環にアルキル置換基を有する芳香族ビニル化合物として、例えば、ビニル−プロピルビフェニル又はビニル−プロピルナフタレンなどを使用してもよい。
【0044】
また、α−アルキル置換スチレンとして、例えば、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン等を使用してもよい。
【0045】
インデン誘導体として、インデンに加えて、メチルインデン、エチルインデン、プロピルインデン、ブチルインデン等のアルキル置換インデン等を使用してもよい。また、メトキシインデン、エトキシインデン、ブトキシインデン等のアルコキシインデン等を使用してもよい。
【0046】
アセナフテン誘導体として、インデンに加えて、メチルアセナフテンやエチルアセナフテン等のアルキル置換アセナフテン系、クロロアセナフテンやブロモアセナフテン等のハロゲン化アセナフテン系、フェニルアセナフテン系等を使用してもよい。
【0047】
可溶性の多官能ビニル芳香族共重合体について、(c)成分であるモノビニル芳香族化合物はこれらの化合物に限定されない。これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0048】
これらの(c)成分としてのモノビニル芳香族化合物のうち、ポリマー骨格中のインダン構造を大量に生成する観点から、スチレン、α−アルキル置換スチレン、α−アルキル置換芳香族ビニル化合物が好ましい。最も好ましい具体例として、コスト及び得られるポリマーの耐熱性の観点から、スチレン、α−メチルスチレン、4-イソプロペニル及びビフェニルが挙げられる。
【0049】
可溶性の多官能ビニル芳香族共重合体について、(a)成分、(b)成分及び(c)成分からなるモノマーの合計に対して、(a)成分であるジビニル芳香族化合物の使用量は、20〜99.5モル%であり、例えば、20モル%、25モル%、28モル%、30モル%、35モル%、38モル%、40モル%、45モル%、50モル%、55モル%、60モル%、65モル%、70モル%、80モル%、90モル%、95モル%または99モル%、好ましくは、33〜99モル%であり、より好ましくは、45〜95モル%であり、特に好ましくは、50〜85モル%である。ジビニル芳香族化合物(a)の含有量が20モル%未満であると、得られる可溶性の多官能ビニル芳香族共重合体を硬化させる時に、耐熱性が低下する傾向があるため、好ましくない。
【0050】
また、可溶性の多官能ビニル芳香族共重合体について、(a)成分、(b)成分及び(c)成分からなるモノマーの合計に対して、(b)成分であるエチルビニル芳香族化合物の使用量は、0.5〜80モル%であり、例えば0.5モル%、0.8モル%、1モル%、5モル%、10モル%、15モル%、20モル%、25モル%、30モル%、35モル%、40モル%、45モル%、50モル%、55モル%、60モル%、65モル%、70モル%、75モル%または80モル%であり、好ましくは1〜70モル%であり、より好ましくは5〜60モル%であり、特に好ましくは15〜50モル%である。エチルビニル芳香族化合物(b)の含有量が80モル%を超えると、得られる可溶性の多官能ビニル芳香族共重合体を硬化させる時に、耐熱性が低下する傾向があるため、好ましくない。
【0051】
また、可溶性の多官能ビニル芳香族共重合体について、(a)成分、(b)成分及び(c)成分からなるモノマーの合計に対して、(c)成分であるモノビニル芳香族化合物の使用量は、40モル%未満であり、例えば、38モル%、35モル%、33モル%、30モル%、28モル%、25モル%、23モル%、20モル%、18モル%、15モル%、13モル%、10モル%、8モル%、5モル%、3モル%または1モル%であり、好ましくは30モル%未満であり、より好ましくは25モル%未満であり、特に好ましくは20モル%未満である。モノビニル芳香族化合物(c)の含有量が40モル%以上であると、得られる可溶性の多官能ビニル芳香族共重合体を硬化させる時に、耐熱性が低下する傾向があるため、好ましくない。
【0052】
可溶性の多官能ビニル芳香族共重合体では、上記の式(a)及び(a)で表されるジビニル芳香族化合物(a)由来のビニル含有構造単位のモル分率は、(a)/[(a)+(a)]≧0.5を満たしなければならず、例えば、このモル分率は0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、0.95、0.98等である。好ましくは、このモル分率が0.7以上であり、特に好ましくは0.9以上である。0.5未満であると、得られる共重合体の硬化物の耐熱性が低下し、硬化により長い時間がかかるため、好ましくない。
【0053】
また、可溶性の多官能ビニル芳香族共重合体の主骨格には、上記一般式(a)で表されるインダン構造を有さなければならない。一般式(a)において、Wはビニル等の不飽和脂肪族炭化水素基、フェニル等の芳香族炭化水素基、これらの炭化水素基の置換体等を有し、これらは0〜4個の置換基で置換されてもよい。また、Wは、インダン構造のベンゼン環と縮合環を形成することでナフタレン環等の2価の炭化水素基を形成してもよく、この2価の炭化水素基は置換基を有してもよい。
【0054】
一般式(a)で表されるインダン構造は、可溶性の多官能ビニル芳香族共重合体の耐熱性及び溶媒に対する可溶性をさらに向上される構造単位であり、以下の方法により生成される。多官能ビニル芳香族共重合体を製造する時に、特定の溶媒、触媒、温度等の調製条件下で製造することで、成長するポリマー鎖の末端の活性点がジビニル芳香族化合物及びモノビニル芳香族化合物の構造単位に由来する芳香環を攻撃する。好ましくは、全モノマーの構造単位に対して、インダン構造の存在量は、0.01モル%以上であり、例えば0.01モル%、0.03モル%、0.05モル%、0.08モル%、0.1モル%、0.2モル%、0.5モル%、0.8モル%、1モル%、1.3モル%、1.5モル%、1.8モル%、2モル%、5モル%、10モル%、15モル%、20モル%、25モル%または30モル%であり、より好ましくは0.1モル%以上であり、さらに好ましくは1モル%以上であり、特に好ましくは3モル%以上であり、最も好ましくは5モル%以上である。上限は、好ましくは20モル%以下、より好ましくは15モル%以下である。多官能ビニル芳香族共重合体の主鎖骨格に上記のインダン構造が存在しないと、耐熱性及び溶媒に対する可溶性が不十分であるため、好ましくない。
【0055】
可溶性の多官能ビニル芳香族共重合体の数平均分子量M(ゲルパーミエーションクロマトグラフで測定されたポリスチレン換算されるもの)は、好ましく600〜30000であり、例えば600、800、1000、1500、2000、4000、6000、8000、10000、15000、20000、25000または30000であり、より好ましくは600〜10000であり、最も好ましくは700〜5000である。Mが600未満であると、可溶性の多官能ビニル芳香族共重合体の粘度が低すぎるため、接着剤の塗布や厚膜の形成が困難になり、加工性が低下するため、好ましくない。また、Mが30000を超えると、ゲルが生成しやすくなり、他の樹脂成分との相容性が低下し、接着剤の塗布や成膜などの場合、外観及び物性が低下するため、好ましくない。
【0056】
また、可溶性の多官能ビニル芳香族共重合体の数平均分子量分布(M/M)の値は20以下であってもよく、例えば20、18、15、10、8、6、4、2、1等であり、好ましくは15以下であり、より好ましくは10以下であり、最も好ましくは5以下である。M/Mが20を超えると、本発明の熱硬化性樹脂組成物の粘度の上昇に伴い、加工特性の悪化を招き、他の樹脂成分との相容性が低下し、それに伴う外観や物性の低下等の問題が生じる。
【0057】
(A)成分として使用される可溶性の多官能ビニル芳香族共重合体における金属イオン含有量は、各金属イオンとして、好ましく500ppm以下、例えば500ppm、400ppm、300ppm、200ppm、100ppm、50ppm、30ppm、20ppm、10ppm、8ppm、5ppm、3ppmまたは1ppmであり、より好ましくは100ppm以下、さらに好ましくは20ppm以下、最も好ましくは1ppm以下である。
【0058】
可溶性の多官能ビニル芳香族共重合体は、上記の(a)、(b)及び(c)成分に加えて、本発明の效果を損なわない範囲で、トリビニル芳香族化合物、他のジビニル化合物及びモノビニル化合物を共重合したものであってもよい。
【0059】
トリビニル芳香族化合物の具体例として、例えば、1,2,4−トリビニルベンゼン、1,3,5−トリビニルベンゼン、1,2,4−トリイソプロピルベンゼン、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、1,3,5−トリビニルナフタレン、3,5,4’−トリビニルビフェニル等が挙げられる。また、他のジビニル化合物として、ブタジエン、イソプレン等のジエン化合物が挙げられる。他のモノビニル化合物として、アルキルビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル、イソブチレン、ジイソブチレン等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。ジビニル芳香族化合物(a)、(b)成分及び(c)成分を含むモノビニル芳香族化合物のモノマー合計量に対して、これらの他のモノマーの使用量は、30モル%未満の範囲内である。
【0060】
この可溶性の多官能ビニル芳香族共重合体は、以下の方法により取得可能である。例えば、ジビニル芳香族化合物(a)、エチルビニル本芳香族化合物(b)及びエチルビニル芳香族化合物(b)以外のモノビニル芳香族化合物(c)を含むモノマー成分を、誘電率が2〜15の1種以上の有機溶剤に、ルイス酸触媒及び下記一般式(a)で示される開始剤の存在で、20〜100℃の温度で重合させる。
【化5】
【0061】
式中、R15は水素数または炭素原子数1〜6の1価の炭化水素基を示し、R16はE価の芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基を示し、Dはハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルコキシ基またはアシルオキシ基を示し、Eは1〜6の整数である。1分子に複数のR15及びDが存在する場合、それらはそれぞれ同一でもよく、異なっていてもよい。
【0062】
重合反応停止後の共重合体の回收方法は特に限定されず、例えば、ストリッピング法、貧溶媒中での析出などの一般的に使用される方法を用いることができる。
【0063】
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物を形成するための上記(A)と(B)成分の配合比は、広い範囲内で変更することができるが、(A)成分と(B)成分の配合量(wt%)は、以下の条件を満たしなければならない。(A)成分の配合量が10〜98wt%、(B)成分の配合量が2〜90wt%。
【0064】
本発明において、(B)成分の配合量が2wt%未満であると、熱硬化性樹脂組成物の硬化後の強靭性が悪く、90wt%を超えると、熱硬化性樹脂組成物の硬化後の架橋密度が不十分であり、ガラス転移温度が低下する。本発明に用いられる多官能ビニル芳香族共重合体及びビニル含有シリコーン樹脂は、いずれも相対的に優れた誘電特性を有するため、誘電特性に優れた硬化物を形成することができる。
【0065】
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物には、(A)成分及び(B)成分に加えて、(C)成分である開始剤を更に含み、(A)成分+(B)成分を100重量部として、(C)成分の使用量は、0.1〜10重量部、例えば、0.1重量部、0.5重量部、0.8重量部、1重量部、2重量部、3重量部、4重量部、5重量部、6重量部、7重量部、8重量部、9重量部或10重量部であり、好ましくは0.5〜8重量部、さらに好ましくは1〜5重量部である。
【0066】
本発明において、熱硬化性樹脂組成物が(C)成分である開始剤を含む目的は、架橋硬化效果を高めることである。多官能ビニル芳香族共重合体及びビニルシリコーン樹脂は、加熱加温条件でも硬化させることができるが、開始剤の導入により、処理效率が大幅に向上し、加工コストを低減することができる。
【0067】
本発明において、前記(C)成分である開始剤は、半減期温度t1/2が130℃以上であり、前記開始剤はラジカル開始剤である。
【0068】
好ましくは、前記開始剤は、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルベンゾイルペルオキシド、2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、ジ−(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、過酸化(2,4−ジクロロベンゾイル)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、3,3,5,7,7−ペンタメチル−1,2,4−トリオキセパン、ジ−tert−ブチルペルオキシドまたはtert−ブチルペルオキシクメンのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせから選択される。
【0069】
本発明に係る樹脂組成物において、(C)成分である開始剤は、単独で使用してもよく、組み合わせて使用してもよく、組み合わせ使用することにより相乗效果を得ることができる。
【0070】
本発明において、前記熱硬化性樹脂組成物はフィラーをさらに含み、前記フィラーは、有機フィラー及び/または無機フィラーを含む。
【0071】
好ましくは、前記無機フィラーは、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、中空シリカ、ガラス粉、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ケイ素アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、アルミナ、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、タルク、粘土、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、またはマイカのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせから選択される。
【0072】
好ましくは、前記有機フィラーは、ポリテトラフルオロエチレン粉末、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、またはポリエーテルスルホン粉末のいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせから選択される。
【0073】
また、本発明において、無機フィラーの形状及び粒径は限定されず、一般的に使用される粒径は0.01〜50μm、例えば0.01μm、0.05μm、0.08μm、0.1μm、0.2μm、0.5μm、1μm、3μm、5μm、8μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、45μmまたは50μm等であり、好ましくは0.01〜20μm、より好ましくは0.01〜10μmであり、このような粒径範囲の無機フィラーは樹脂液中により容易に分散される。
【0074】
なお、本発明において、フィラーの熱硬化性樹脂組成物における使用量も特に限定されず、(A)成分+(B)成分を100重量部として、前記フィラーの使用量は、好ましくは5〜400重量部、例えば5部、10部、20部、30部、40部、50部、60部、70部、80部、90部、100部、110部、120部、130部、140部または150部、200部、250部、300部、350部または400部、より好ましくは5〜200重量部、さらに好ましくは5〜150重量部である。
【0075】
好ましくは、本発明に係る熱硬化性樹脂組成物は難燃剤をさらに含み、前記難燃剤は、臭素系難燃剤またはハロゲンフリー難燃剤である。
【0076】
本発明の熱硬化性樹脂組成物に難燃剤を含むことは、難燃性に対する要求に応じて、樹脂硬化物は難燃特性を有し、UL94V−0の要求を満たすように決定される。必要に応じて添加される難燃剤は特に限定されないが、誘電性能に影響を与えないことが好ましい。
【0077】
好ましくは、前記臭素系難燃剤は、デカブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエタン、エチレンビステトラブロモフタルイミド、または臭素化ポリカーボネートのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせである。選択可能な市販された臭系難燃剤としては、HT−93、HT−93W、HP−8010またはHP−3010があるが、これらに限定されるものではない。
【0078】
好ましくは、前記ハロゲンフリー難燃剤は、リン含有ハロゲンフリー難燃剤、窒素含有ハロゲンフリー難燃剤、及びケイ素含有ハロゲンフリー難燃剤のいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせである。
【0079】
好ましくは、前記ハロゲンフリー難燃剤は、トリス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフィン、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、2,6−ビス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフィノベンゼン又は10−フェニル−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、フェノキシホスファゼン化合物、リン酸エステル又はポリリン酸エステルのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせである。
【0080】
好ましい市販されたハロゲンフリー難燃剤としては、SP−100、PK−200、PK−202、LR−202、LR−700、OP−930、OP−935、LP−2200があるが、これらに限定されるものではない。
【0081】
本発明において、前記難燃剤の使用量は、硬化物がUL94V−0レベルの要求に達することにより決定され、特に限定されない。硬化物の耐熱性、誘電性能、吸湿性を犠牲しない観点から、成分(A)+(B)を100重量部として、前記難燃剤の使用量は5〜80重量部であり、例えば5重量部、8重量部、10重量部、20重量部、30重量部、40重量部、50重量部、60重量部、70重量部或80重量部、好ましくは10〜60重量部、より好ましくは15〜40重量部である。難燃剤の添加量が不十分すると、難燃效果が十分に得られない恐れがある。難燃剤の添加量が80部を超えると、系の耐熱性が低下し、吸水率が増加する恐れがあり、系の誘電性能も悪化する。
【0082】
好ましくは、前記熱硬化性樹脂組成物は、ある問題を解決するために導入された添加剤をさらに含み、前記添加剤は、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、可塑剤、潤滑剤、流動改質剤、ドリップ防止剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、流動促進剤、加工助剤、基板接着剤、離型剤、強化剤、低収縮添加剤、または応力除去添加剤のいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせである。
【0083】
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物において、前記添加剤の使用量は特に限定されず、(A)成分+(B)成分を100重量部として、前記添加剤の使用量は、好ましく0.1〜10重量部、例えば0.1重量部、0.5重量部、0.8重量部、1重量部、2重量部、3重量部、4重量部、5重量部、6重量部、7重量部、8重量部、9重量部或10重量部、より好ましくは0.5〜8重量部、さらに好ましくは1〜5重量部である。
【0084】
一方、本発明は、上述した熱硬化性樹脂組成物の調製方法を提供し、前記調製方法は、前記可溶性の多官能ビニル芳香族共重合体、ポリブタジエン樹脂、ラジカル開始剤、粉末フィラー、及び各種の難燃剤、各種の添加剤を公知の方法で配合、攪拌、混合して、調製することである。
【0085】
一方、本発明は、上述した熱硬化性樹脂組成物を溶媒で溶解または分散させて得られる樹脂接着剤を提供する。
【0086】
本発明における溶媒としては、特に限定されるものではなく、具体例として、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコールメチルエーテル、カルビトール、ブチルカルビトール等のエーテル類、アセトン、ブタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類、エトキシ酢酸エチル、酢酸エチル等のエステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の窒素含有系溶媒。上記の溶媒は、単独で使用してもよく、2つまたは2種以上を組み合わせて使用してもよく、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類溶媒と、アセトン、ブタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類溶媒と組み合わせて使用することが好ましい。前記溶媒の使用量は、得られる樹脂接着剤が使用に適した粘度に達するように、当業者が自身の経験に従って選択すればよい。
【0087】
上述した樹脂組成物を溶媒で溶解または分散するプロセス中に、乳化剤を添加してもよい。乳化剤により分散することで、粉末フィラー等を接着剤に均一に分散させることができる。
【0088】
一方、本発明は、基材と、含浸し乾燥させることで基材に付着した上述した熱硬化性樹脂組成物とを含むプリプレグを提供する。
【0089】
本発明に係るプリプレグは、半硬化シートとも呼ばれ、上述した樹脂接着剤を基材に含浸し、そして加熱乾燥して有機溶媒を除去し、基材内の樹脂組成物を一部硬化させて、プリプレグを得ることができる。本発明において、前記基材は、補強材と呼ばれる場合がある。
【0090】
好ましくは、前記基材は、有機繊維、炭素繊維または無機繊維から製造された織布または不織布である。
【0091】
好ましくは、前記有機繊維は、アラミド繊維、例えば、デュポン(DuPont)製のKevlar繊維を含む。
【0092】
無機繊維により製造された織布または不織布としては、特に限定されるものではなく、好ましくは、前記無機繊維により製造された織布または不織布の成分には重量比が50〜99.9%(例えば50%、55%、58%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、88%、90%、95%または99%)のSiO、重量比が0〜30%(例えば0%、5%、10%、15%、20%、25%または30%)のCaO、重量比が0〜20%(例えば0%、5%、10%、15%または20%)のAl、重量比が0〜25%(例えば0%、5%、10%、15%、20%または25%)のB、及び重量比が0〜5%(例えば0%、0.5%、1%、2%、3%、4%或5%)のMgOを含むが、以上の成分に限定されるものではない。好ましくは、前記基材(補強材)は、好ましくは編組繊維布であり、E−Glass、T−Glass、NE−Glass、L−Glass、Q−Glass、D−Glassから選択されてもよく、特に好ましくはNE−Glassである。使用される基材の厚さも特に限定されない。
【0093】
上記基材を含浸するための樹脂含有量は、プリプレグにおける樹脂含有量の30質量%以上であることが好ましく、例えば30質量%、35質量%、40質量%、50質量%、60質量%以上である。基材の誘電率は常に樹脂組成物よりも高いため、これらのプリプレグにより製造された積層板の誘電率を低減するために、プリプレグにおける樹脂組成物成分の含有量は、上記含有量であることが好ましい。
【0094】
好ましくは、上述したプリプレグの乾燥温度は80〜200℃、例えば80℃、90℃、110℃、120℃、130℃、140℃、150℃、170℃、190℃または200℃等であり、前記乾燥時間は1〜30min、例えば1min、5min、8min、13min、17min、21min、24min、28minまたは30min等である。
【0095】
一方、本発明は、少なくとも1枚の上述したプリプレグを含む積層板を提供する。
【0096】
一方、本発明は、1枚または少なくとも2枚の積層した上述したプリプレグと、積層したプリプレグの片面側または両面側に位置する金属箔とを含む金属箔張積層板を提供する。
【0097】
好ましくは、前記金属箔は銅箔である。好ましくは、前記銅箔は、電解銅箔または圧延銅箔であり、その表面粗さは5μm未満、例えば4μm未満、3μm未満、2μm未満、1μm未満、0.8μm未満、0.5μm未満等である。高周波高速プリント配線板に使用される積層板材料の信号損失を改善し向上させることができる。
【0098】
それと同時に、銅箔プリプレグの片面の接着力を高めるために、さらに好ましくは、前記銅箔をシランカップリング剤で化学処理し、使用されるシランカップリング剤は、エポキシシランカップリング剤、ビニルシランカップリング剤、またはアクリレートシランカップリング剤の1種または少なくとも2種の混合物である。
【0099】
一方、本発明は、1枚または少なくとも2枚の積層した上述したプリプレグを含む高周波高速回路基板を提供する。
【0100】
具体的には、本発明に係る高速回路基板は、以下の方法により製造される。
【0101】
上述した少なくとも1つのプリプレグを重ね、重ねられたプリプレグの上側及び下側に銅箔を置き、積層成形により製造する。前記重なることは、プロセス操作をより簡単にするために、自動化積み重ね操作を採用することが好ましい。
【0102】
前記積層成形は、真空積層成形であることが好ましく、真空積層成形は、真空ラミネータにより行われることができる。前記積層の時間は、70〜120min、例えば70min、75min、80min、85min、90min、95min、100min、105min、110min、115minまたは120minであり、前記積層の温度は、180〜220℃、例えば180℃、185℃、190℃、195℃、200℃、205℃、210℃、215℃または220℃であり、前記積層の圧力は、20〜60kg/cm、例えば20kg/cm、25kg/cm、30kg/cm、35kg/cm、40kg/cm、45kg/cm、50kg/cm、55kg/cm、58kg/cmまたは60kg/cm等である。
【0103】
本発明に係る方法により製造された電子回路基材は、良好な強靭性を有し、高いガラス転移温度、低い吸水率低、優れた誘電性能及び優れた耐湿熱性等の利点を維持し、高多層プリント回路基板の加工に最適である。
【0104】
また、高周波高速分野における材料の適用をさらに向上するために、本発明の銅箔張積層板の製造に使用される銅箔は、電解銅箔または圧延銅箔から選択されてもよく、その表面粗さは5μm未満であり、高周波高速プリント配線板で使用される積層板材料の信号損失を改善し向上させることができる。同時に、銅箔プリプレグの片面の接着力を高めるために、前記銅箔をシランカップリング剤で化学処理してもよく、使用されるシランカップリング剤は、エポキシシランカップリング剤、ビニルシランカップリング剤、及びアクリレートシラン系カップリング剤の1種または複数種の混合物であり、その目的は、銅箔と基材の間に結合力を与え、プリント配線板の使用中に配線脱落やパッド脱落などのリスクを防ぐことである。
【0105】
従来技術に対して、本発明は以下の有益な効果を有する。
【0106】
ビニル含有シリコーン樹脂は、可溶性の多官能ビニル芳香族共重合体の架橋剤として使用され、樹脂組成物は、硬化後に高い架橋密度を有し、回路基板の高いガラス転移温度を提供できる。そして、硬化後の可溶性の多官能ビニル芳香族共重合体の脆性を明らかに改善し、製造された回路基板は、より優れた強靭性を持ち、PCBのドリル加工性を改善し、多層プリント回路基板の信頼性を向上させるのに有利である。また、前記ビニル含有シリコーン樹脂は、分子構造に極性基を含まないため、回路基板の低吸水率及び優れた誘電性能が保証される。要するに、前記ビニル含有シリコーン樹脂と可溶性的多官能ビニル芳香族共重合体の樹脂組成物を用いて製造されたプリプレグ及び銅箔張積層板は、優れた強靭性を有し、且つ、高いガラス転移温度、低い吸水率、優れた誘電特性及び耐湿熱性等の利点を維持し、高周波高速プリント配線板分野に適用しており、多層プリント配線板の加工にも適用する。
【発明を実施するための形態】
【0107】
以下、具体的な実施形態によって、本発明の技術案をさらに説明する。当業者は、下記実施例が本発明を理解するためのものに過ぎず、本発明を具体に制限するものと見なすべきではないということを理解すべきである。
【0108】
調製例1
【0109】
三口フラスコの中に、ジビニルテトラメチルジシロキサン、濃塩酸、脱イオン水及びエタノールの混合液を加え、メカニカルスターラーの電源を入れ、そして、高速攪拌・加熱還流の条件下で、トリエチルフェニルシリケートを速やかに滴下して加水分解・縮合させ、ある時間の加水分解を行った後、トルエンを加えて抽出し、そして反応溶液を分液漏斗に注ぎ、分層するように静置した。水層を分離し、中性になるまで油層を水で洗浄し、溶媒トルエンを蒸留、乾燥により除去し、不飽和二重結合を含む三次元網目構造を有する、単官能ビニル含有シロキサン単位(M単位)及び3官能フェニル含有シロキサン単位(T単位)から加水分解・縮合された、分子量Mが2000であるMTビニルシリコーン樹脂V−10を得た。
【0110】
調製例2
【0111】
三口フラスコの中に、ジビニルテトラメチルジシロキサン、濃塩酸、脱イオン水及びエタノールの混合液を加え、メカニカルスターラーの電源を入れ、そして、高速攪拌・加熱還流の条件下で、トリエチルフェニルシリケート、オルトケイ酸エチルを速やかに滴下して加水分解・縮合させ、ある時間の加水分解を行った後、トルエンを加えて抽出し、そして反応溶液を分液漏斗に注ぎ、分層するように静置した。水層を分離し、中性になるまで油層を水で洗浄し、溶媒トルエンを蒸留、乾燥により除去し、不飽和二重結合を含む三次元網目構造を有する、単官能ビニル含有シロキサン単位(M単位)、3官能フェニル含有シロキサン単位(T単位)、及び4官能シロキサン単位(Q単位)から加水分解・縮合された、分子量Mが1900であるMTQビニルシリコーン樹脂V−20を得た。
【0112】
調製例3
【0113】
三口フラスコの中に、ジビニルテトラメチルジシロキサン、濃塩酸、脱イオン水及びエタノールの混合液を加え、メカニカルスターラーの電源を入れ、そして、高速攪拌・加熱還流の条件下で、トリエチルフェニルシリケート、ジメチルジエトキシシランを速やかに滴下して加水分解・縮合させ、ある時間の加水分解を行った後、トルエンを加えて抽出し、そして反応溶液を分液漏斗に注ぎ、分層するように静置した。水層を分離し、中性になるまで油層を水で洗浄し、溶媒トルエンを蒸留、乾燥により除去し、不飽和二重結合を含む三次元網目構造を有する、単官能ビニル含有シロキサン単位(M単位)、2官能メチル含有シロキサン単位(D単位)、及び3官能フェニル含有シロキサン単位(T単位)から加水分解・縮合された、分子量Mが1800であるMDTビニルシリコーン樹脂V−30を得た。
【0114】
調製例4
【0115】
三口フラスコの中に、ジビニルテトラメチルジシロキサン、濃塩酸、脱イオン水及びエタノールの混合液を加え、メカニカルスターラーの電源を入れ、そして、高速攪拌・加熱還流の条件下で、ジメチルジエトキシシラン、オルトケイ酸エチルを速やかに滴下して加水分解・縮合させ、ある時間の加水分解を行った後、トルエンを加えて抽出し、そして反応溶液を分液漏斗に注ぎ、分層するように静置した。水層を分離し、中性になるまで油層を水で洗浄し、溶媒トルエンを蒸留、乾燥により除去し、不飽和二重結合を含む三次元網目構造を有する、単官能ビニル含有シロキサン単位(M単位)、2官能フェニル含有シロキサン単位(D単位)、及び4官能シロキサン単位(Q単位)から加水分解・縮合された、分子量Mが1900であるMDQビニルシリコーン樹脂V−40を得た。
【0116】
調製例5
【0117】
三口フラスコの中に、濃塩酸、脱イオン水及びエタノールの混合液を加え、メカニカルスターラーの電源を入れ、そして、高速攪拌・加熱還流の条件下で、トリエチルビニルシリケート、オルトケイ酸エチルを速やかに滴下して加水分解・縮合させ、ある時間の加水分解を行った後、トルエンを加えて抽出し、そして反応溶液を分液漏斗に注ぎ、分層するように静置した。水層を分離し、中性になるまで油層を水で洗浄し、溶媒トルエンを蒸留、乾燥により除去し、不飽和二重結合を含む三次元網目構造を有する、単3官能ビニル含有シロキサン単位(T単位)及び4官能度シロキサン単位(Q単位)から加水分解・縮合された、分子量Mが1900であるTQビニルシリコーン樹脂V−60を得た。
【0118】
調製例6
【0119】
ビニルベンゼンを0.481モル(68.4mL)、エチルビニルベンゼンを0.0362モル(5.16mL)、1−クロロビニルベンゼン(40mmol)のジクロロエタン溶液(濃度:0.634mmol/mL)を63mL、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム(1.5mmol)のジクロロエタン溶液(濃度:0.135mmol/mL)を11mL、及びジクロロエタンを500mL、1000mLのフラスコ内に入れ、1.5mmolのSnClのジクロロエタン溶液(濃度:0.068mmol/mL)を1.5mL、70℃で加え、1時間反応させた。窒素ガスで発泡させた少量のメタノールで重合反応を終了した後、室温で反応混合液を大量のメタノールに投入することで、ポリマーを析出させ、メタノールで洗浄して得られたポリマーをろ過、乾燥、秤量し、合計54.6g(收率49.8wt%)の共重合体VOD−Aを得た。
【0120】
得られたポリマーVOD−AにおけるMは4180、Mは2560、M/Mは1.6である。日本電子(JEOL)製のJNM−LA600型核磁気共鳴分光装置で測定したポリマーVOD−Aには、ジビニルベンゼン由来の構造単位を52モル%、エチルビニルベンゼン由来の構造単位を48モル%含む。また、共重合体VOD−Aにはインダン構造が存在することも分かった。インダン構造は、全モノマーの構造単位に対して7.5モル%の量で存在する。さらに、上記一般式(a)及び(a)で示す構造単位の合計量に対して、一般式(a)で示す構造単位のモル分率は0.99である。
【0121】
共重合体VOD−Aは、トルエン、キシレン、THF、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルムに可溶であり、ゲルの生成は発見されなかった。
【0122】
調製例7
【0123】
ビニルベンゼンを0.481モル(68mL)、エチルビニルベンゼンを0.362モル(52mL)、1−クロロビニルベンゼン(30mmol)のジクロロエタン溶液(濃度:0.634mmol/mL)を47mL、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロリド(2.25mmol)のジクロロエタン溶液(濃度:0.035mmol/mL)を65mL、及びジクロロエタンを500mL、1000mLのフラスコ内に入れ、1.5mmolのSnClのジクロロエタン溶液(濃度:0.068mmol/mL)を22mL、70℃で加え、1時間反応させた。窒素ガスで発泡させた少量のメタノールで重合反応を終了した後、室温で反応混合液を大量のメタノールに投入することで、ポリマーを析出させ、メタノールで洗浄して得られたポリマーをろ過、乾燥、秤量し、合計67.4g(收率61.4wt%)の共重合体VOD−Bを得た。
【0124】
得られたポリマーVOD−BにおけるMは7670、Mは3680、M/Mは2.1である。日本電子(JEOL)製のJNM−LA600型核磁気共鳴分光装置で測定したポリマーVOD−Bには、ジビニルベンゼン由来の構造単位を51モル%、エチルビニルベンゼン由来の構造単位を49モル%含む。また、共重合体VOD−Bにはインダン構造が存在することも分かった。インダン構造は、全モノマーの構造単位に対して7.5モル%の量で存在する。さらに、前記一般式(a)及び(a)に示す構造単位の合計量に対して、一般式(a)に示す構造単位のモル分率は0.99である。
【0125】
共重合体VOD−Bは、トルエン、キシレン、THF、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルムに可溶であり、ゲルの生成は発見されなかった。
【0126】
調製例8
【0127】
ビニルベンゼンを0.0481モル(6.84mL)、エチルビニルベンゼンを0.0362モル(5.16mL)、下記一般式(a
【化6】
(式中、R30はイソプロピル、Pyはピリジルである)
に示すコバルト系連鎖移動剤を12.0mg、及びテトラヒドロフランを150ml、300mlのフラスコの中に入れ、さらに、2、2’−アゾビス(2、4−ジメチルバレロニトリル)を50℃で加え、72時間反応させた。室温で反応混合液を大量のメタノールに投入することで、ポリマーを析出させ、メタノールで洗浄して得られたポリマーをろ過、乾燥、秤量し、合計3.15g(收率28.7wt%)の共重合体VOD−Cを得た。
【0128】
得られたポリマーVOD−Cには、ゲルがあるため、THF溶媒のみに溶解され、Mが94600、Mが12800、M/Mが7.4である。日本電子(JEOL)製のJNM−LA600型核磁気共鳴分光装置で測定したポリマーVOD−Bには、ジビニルベンゼン由来の構造単位を58モル%、エチルビニルベンゼン由来の構造単位を42モル%含む。また、共重合体VOD−Cはインダン構造を含まないことが分かった。さらに、上記一般式(a)及び(a)で示す構造単位の合計量に対して、一般式(a)で示す構造単位のモル分率は0.25である。
【0129】
調製例9
【0130】
撹拌機、滴下漏斗、温度計を備える反応容器の中に、溶媒である2−プロパノール(IPA)を40mL、及び塩基性触媒である5%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(TMAH水溶液)を入れた。滴下漏斗の中に、15mLのIPAと12.69gの3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MTMS:東レダウコーニングシリコーン株式会社製のSZ−6300)を加え、反応容器を攪拌しながら、MTMSのIPA溶液を室温で30分間滴下した。MTMSの滴下完了後、加熱せずに2時間攪拌した。2時間攪拌した後、溶媒を減圧で除去し、50mLのトルエンで溶解した。中性になるまで反応溶液を飽和食塩水で水洗し、無水硫酸マグネシウムで脱水した。無水硫酸マグネシウムをろ過し、濃縮により8.6gの加水分解生成物(かご型シルセスキオキサンA)を得た。
【0131】
表1に、実施例及び比較例で使用した材料を示している。
【0132】
【表1】
【0133】
実施例1
【0134】
80.0重量部の多官能ビニル芳香族共重合体VOD−Aと、20.0重量部の線状ビニルシリコーン樹脂DMS−V05と、3.0重量部のラジカル開始剤DCPと、25重量部の臭素系難燃剤BT−93Wと、60重量部のケイ素微粉末S0−C2とをトルエン溶媒に溶解し、適切な粘度になるように調整した。NE−ガラス繊維布(Nittobo製、型番2116NE)を用いて樹脂接着液を含浸させ、クランプシャフトにより、適切な単体重量に制御するとともに、オーブンで乾燥してトルエン溶媒を除去し、2116プリプレグを得た。6枚の2116プリプレグ及び12枚の2116プリプレグをそれぞれ重ね合わせ、上下両面で1OZ厚みの銅箔を用いて、硬化圧力が50kg/cm、硬化温度が200℃である条件で、ラミネータで120分間真空積層して硬化させ、2種類の厚さ仕様(6*2116−0.76mm板を総合特性の測定に使用し、12*2116−1.52mm厚板を機械的特性の測定に使用する)の高速回路基板を得た。製造された銅箔基板の物性を測定し、その結果を表2で詳細に示している。
【0135】
実施例2
【0136】
シリコーン樹脂の組成が、環状ビニルシリコーン樹脂WD−V4で置き換えられた以外、実施例1の製造方法と同一である。製造された銅箔基板の物性を測定し、その結果を表2で詳細に示している。
【0137】
実施例3
【0138】
シリコーン樹脂の組成が、MQビニルシリコーン樹脂DY−VMQ102で置き換えられた以外、実施例1の製造方法と同一である。製造された銅箔基板の物性を測定し、その結果を表2で詳細に示している。
【0139】
実施例4
【0140】
シリコーン樹脂の組成が、オクタビニル−T8−シルセスキオキサンS12836で置き換えられた以外、実施例1の製造方法と同一である。製造された銅箔基板の物性を測定し、その結果を表2で詳細に示している。
【0141】
実施例5
【0142】
シリコーン樹脂の組成が、ビニルフェニルMTシリコーン樹脂V10で置き換えられた以外、実施例1の製造方法と同一である。製造された銅箔基板の物性を測定し、その結果を表2で詳細に示している。
【0143】
実施例6
【0144】
シリコーン樹脂の組成が、ビニルフェニルMTQシリコーン樹脂V20で置き換えられた以外、実施例1の製造方法と同一である。製造された銅箔基板の物性を測定し、その結果を表2で詳細に示している。
【0145】
実施例7
【0146】
シリコーン樹脂の組成が、ビニルフェニルMDTシリコーン樹脂V30で置き換えられた以外、実施例1の製造方法と同一である。製造された銅箔基板の物性を測定し、その結果を表2で詳細に示している。
【0147】
実施例8
【0148】
シリコーン樹脂の組成が、ビニルフェニルMDQシリコーン樹脂V30で置き換えられた以外、実施例1の製造方法と同一である。製造された銅箔基板の物性を測定し、その結果を表2で詳細に示している。
【0149】
実施例9
【0150】
シリコーン樹脂の組成が、ビニルTQシリコーン樹脂V50で置き換えられた以外、実施例1の製造方法と同一である。製造された銅箔基板の物性を測定し、その結果を表2で詳細に示している。
【0151】
実施例10
【0152】
多官能ビニル芳香族共重合体VOD−Aと線状ビニルシリコーン樹脂DMS−V05の配合比が、元の重量比80:20から40:60に変更される以外、実施例1の製造方法と同一である。製造された銅箔基板の物性を測定し、その結果を表3で詳細に示している。
【0153】
実施例11
【0154】
多官能ビニル芳香族共重合体VOD−Aと線状ビニルシリコーン樹脂DMS−V05の配合比が、元の重量比80:20から13:87に変更される以外、実施例1の製造方法と同一である。製造された銅箔基板の物性を測定し、その結果を表3で詳細に示している。
【0155】
実施例12
【0156】
多官能ビニル芳香族共重合体VOD−Aと線状ビニルシリコーン樹脂DMS−V05の配合比が、元の重量比80:20から93:7に変更される以外、実施例1の製造方法と同一である。製造された銅箔基板の物性を測定し、その結果を表3で詳細に示している。
【0157】
実施例13
【0158】
多官能ビニル芳香族共重合体VOD−Aが、多官能ビニル芳香族共重合体VOD−Bで置き換えられた以外、実施例1の製造方法と同一である。製造された銅箔基板の物性を測定し、その結果を表3で詳細に示している。
【0159】
比較例1
【0160】
100重量部の多官能ビニル芳香族共重合体VOD−Aと、3.0重量部のラジカル開始剤DCPと、25重量部の臭素系難燃剤BT−93Wと、60重量部のケイ素微粉末S0−C2とをトルエン溶媒に溶解し、適切な粘度になるように調整した。NE−ガラス繊維布(Nittobo製、型番2116NE)を用いて樹脂接着液を含浸させ、クランプシャフトにより、適切な単体重量に制御するとともに、オーブンで乾燥してトルエン溶媒を除去し、2116プリプレグを得た。6枚の2116プリプレグ及び12枚の2116プリプレグをそれぞれ重ね合わせ、上下両面で1OZ厚みの銅箔を用いて、硬化圧力が50kg/cm、硬化温度が200℃である条件で、ラミネータで120分間真空積層して硬化させ、2種類の厚さ仕様(6*2116−0.76mm板を総合特性の測定に使用し、12*2116−1.52mm厚板を機械的特性の測定に使用する)の高速回路基板を得た。製造された銅箔基板の物性を測定し、その結果を表3で詳細に示している。
【0161】
比較例2
【0162】
80.0重量部の多官能ビニル芳香族共重合体VOD−Cと、20.0重量部の線状ビニルシリコーン樹脂DMS−V05と、3.0重量部のラジカル開始剤DCPと、25重量部の臭素系難燃剤BT−93Wと、60重量部のケイ素微粉末S0−C2とをトルエン溶媒に溶解し、適切な粘度になるように調整した。NE−ガラス繊維布(Nittobo、型番2116NE)を用いて樹脂接着液を含浸させ、クランプシャフトにより、適切な単体重量に制御するとともに、オーブンで乾燥してトルエン溶媒を除去し、2116プリプレグを得た。6枚の2116プリプレグ及び12枚の2116プリプレグをそれぞれ重ね合わせ、上下両面で1OZ厚みの銅箔を用いて、硬化圧力が50kg/cm、硬化温度が200℃である条件で、ラミネータで120分間真空積層して硬化させ、2種類の厚さ仕様(6*2116−0.76mm板を総合特性の測定に使用し、12*2116−1.52mm厚板を機械的特性の測定に使用する)の高速回路基板を得た。製造された銅箔基板の物性を測定し、その結果を表3で詳細に示している。
【0163】
比較例3
【0164】
48重量部の多官能ビニル芳香族共重合体VOD−Aと、12重量部のビニル改性ポリフェニレンエーテル樹脂OPE−2ST−1と、40重量部の水添スチレンブタジエンブロック共重合体H1041と、3.0重量部のラジカル開始剤DCPと、25重量部の臭素系難燃剤BT−93Wと、60重量部のケイ素微粉末S0−C2とをトルエン溶媒に溶解し、適切な粘度になるように調整した。NE−ガラス繊維布(Nittobo、型番2116NE)を用いて樹脂接着液を含浸させ、クランプシャフトにより、適切な単体重量に制御するとともに、オーブンで乾燥してトルエン溶媒を除去し、2116プリプレグを得た。6枚の2116プリプレグ及び12枚の2116プリプレグをそれぞれ重ね合わせ、上下両面で1OZ厚みの銅箔を用いて、硬化圧力が50kg/cm、硬化温度が200℃である条件で、ラミネータで120分間真空積層して硬化させ、2種類の厚さ仕様(6*2116−0.76mm板を総合特性の測定に使用し、12*2116−1.52mm厚板を機械的特性の測定に使用する)の高速回路基板を得た。製造された銅箔基板の物性を測定し、その結果を表3で詳細に示している。
【0165】
比較例4
【0166】
80重量部の多官能ビニル芳香族共重合体VOD−A、20重量部の(メタ)アクリロイル末端のかご型シルセスキオキサンAと、3.0重量部のラジカル開始剤DCPと、25重量部の臭素系難燃剤BT−93Wと、60重量部のケイ素微粉末S0−C2とをトルエン溶媒に溶解し、適切な粘度になるように調整した。NE−ガラス繊維布(Nittobo製、型番2116NE)を用いて樹脂接着液を含浸させ、クランプシャフトにより、適切な単体重量に制御するとともに、オーブンで乾燥してトルエン溶媒を除去し、2116プリプレグを得た。6枚の2116プリプレグ及び12枚の2116プリプレグをそれぞれ重ね合わせ、上下両面で1OZ厚みの銅箔を用いて、硬化圧力が50kg/cm、硬化温度が200℃である条件で、ラミネータで120分間真空積層して硬化させ、2種類の厚さ仕様(6*2116−0.76mm板を総合特性の測定に使用し、12*2116−1.52mm厚板を機械的特性の測定に使用する)の高速回路基板を得た。製造された銅箔基板の物性を測定し、その結果を表3で詳細に示している。
【0167】
【表2】
【0168】
【表3】
【0169】
上記の特性の測定方法は以下のとおりである。
【0170】
1)ガラス転移温度(Tg):動的機械分析法(DMA)に準拠し、IPC−TM−650 2.4.24.4に規定されたDMA法に従って、積層板のTgを測定した。
【0171】
2)熱分解温度(Td−5%損失):熱重量分析法(TGA)に準拠し、IPC−TM−6502.4.24.6に規定されたTGA方法に従って、積層板の5%の熱重量損失での温度Tdを測定した。
【0172】
3)PCT吸水率:銅張板の表面における銅箔をエッチングした後、基材を乾燥させて元重量を秤量し、基板を圧力鍋の中に入れ、120℃及び150KPaで、2時間処理した後、取り出して乾布で乾かし、吸水後のサンプル重量を秤量し、PCT吸水率が、(蒸煮後の重量−蒸煮前の重量)/蒸煮前の重量である。
【0173】
4)誘電率Dk及び誘電正接Df:分離誘電体カラムキャビティ(SPDR:Split Post Dielectric Resonator)法に従って、10GHzの測定周波数で測定された。
【0174】
5)シャルピー衝撃強度:簡単支持ビーム非金属材料のシャルピー衝撃試験機を用いて、約1.6mmの積層板を複数本の120mm*10mmのノッチ付きサンプル(ノッチの深さは、2mm)を製造し、振り子を3.8m/sの速度でサンプルに衝突させ、サンプルが破断した後、シャルピー衝撃試験機の吸収エネルギーを読み取り、最後にシャルピー衝撃強度を算出した。
【0175】
6)落錘衝撃強度:落錘衝撃装置を使用すると、落錘衝撃装置の落錘高さを100cmとし、落下重錘重量を1Kgとし、強靭性の評価について、十字枠がはっきりすると、製品の強靭性が良好であり、文字◎で表示し、十字枠がぼんやりしていると、強靭性が悪く、脆性が高く、文字△で表示し、十字枠の鮮明度がはっきりとぼんやりの間にあると、製品の強靭性が一般であり、文字○で表示した。
【0176】
7)PCT:銅張板の表面における銅箔をエッチングした後、基板を圧力鍋の中に入れ、120℃及び150KPaで、2時間処理した後、288℃のスズ炉に含浸し、基材が分層した場合に対応する時間を記録し、基板がスズ炉で5minを超えても気泡や分層が発生しなかった時に評価を終了した。
【0177】
物性分析について
表2及び表3の物性データから、比較例1では、多官能ビニル芳香族共重合体VOD−Aで自己硬化した後、基材は、相対的に高いガラス転移温度、相対的に良い電気性能、及び相対的に低い吸水率を有するが、その強靭性が極めて悪いことが分かった。比較例3では、水添スチレンブタジエンブロック共重合体の添加後、基材の強靭性がある程度で改善されたが、ガラス転移温度が著しく低下し、且つ、層間剥離(delamination)が発生し、耐湿熱性が相対的に悪いことが分かった。一方、比較例4では、(メタ)アクリロイル末端のかご型シルセスキオキサンAが架橋剤として導入されており、その極性が相対的に大きいため、誘電性能相対的に悪い。実施例1〜13では、多官能ビニル芳香族共重合体VOD−AまたはVOD−Bとしてビニルシリコーン樹脂を使用し、基材は硬化後に良好な強靭性を有し、高いガラス転移温度、低い吸水率、優れた誘電特性、及び耐湿熱性を維持した。
【0178】
上記のように、本発明の回路基板は、一般的な積層板と比べて、良好な強靭性を有し、高いガラス転移温度、低い吸水率、優れた誘電特性、及び耐湿熱性を維持する。
【0179】
本発明は、上記実施例によって本発明の熱硬化性樹脂組成物及びそれを用いて製造したプリプレグ及び金属箔張積層板を説明したが、上記実施例に限定されず、即ち、本発明は上記の実施例に依存しなければならないことを意味しないことを本出願人より声明する。当業者にとって、本発明に対する任意の改善、本発明における製品の各原料の等価置換及び補助成分の添加、具体的な手段の選択などは、すべて本発明の保護範囲及び開示範囲内に入ることを理解すべきである。