【文献】
宮崎 英樹,ブロックチェーンがもたらす社会変化,技報 UNISYS TECHNOLOGY REVIEW,2017年 8月31日,Vol.37 No.2,pp. 69-82
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記送信部は、前記ハッシュ値を格納したブロックを特定するための情報を、前記トランザクションと共に前記当事者の端末に送信する請求項1又は請求項2に記載の登録装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、HTLCでは、取引における受信者が秘密の乱数を生成する必要があり、この乱数が第三者に漏洩した場合、又は第三者がこの乱数を自ら生成できた場合に、取引が確定され、取り消しができないという課題があった。
【0005】
本発明は、ブロックチェーンを利用しつつも、取り消しが可能なトランザクションの登録装置、管理システム、登録方法及び登録プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るトランザクションの登録装置は、トランザクションのハッシュ値を生成し、ブロックチェーンに登録する第1登録部と、前記トランザクションを、当該トランザクションの当事者の端末に送信し、承認の要求をする送信部と、前記当事者の端末から、前記トランザクションを承認したことを示す電子署名を受信する受信部と、前記トランザクション及び前記電子署名を、前記ブロックチェーンに登録する第2登録部と、を備える。
【0007】
前記第2登録部は、前記ハッシュ値へのポインタを、前記トランザクション及び前記電子署名と共に登録してもよい。
【0008】
前記送信部は、前記ハッシュ値を格納したブロックを特定するための情報を、前記トランザクションと共に前記当事者の端末に送信してもよい。
【0009】
本発明に係る管理システムは、トランザクションの送信端末及び受信端末と、ブロックチェーンの管理装置と、を備えるシステムであって、前記送信端末は、前記トランザクションを、前記管理装置及び前記受信端末へ送信する送信部と、前記受信端末から、前記トランザクションを承認したことを示す電子署名を受信する受信部と、前記電子署名を伴って、前記トランザクションの登録を前記管理装置に指示する指示部と、を備え、前記受信端末は、前記送信端末から受信した前記トランザクションに対する電子署名を生成し、前記送信端末に返信する承認部を備え、前記管理装置は、前記トランザクションのハッシュ値を生成し、ブロックチェーンに登録する第1登録部と、前記送信端末からの指示に応じて、前記トランザクション及び前記電子署名を、前記ブロックチェーンに登録する第2登録部と、を備える。
【0010】
本発明に係る登録方法は、ブロックチェーンへのトランザクションの登録装置が、前記トランザクションのハッシュ値を生成し、前記ブロックチェーンに登録する第1登録ステップと、前記トランザクションを、当該トランザクションの当事者の端末に送信し、承認の要求をする送信ステップと、前記当事者の端末から、前記トランザクションを承認したことを示す電子署名を受信する受信ステップと、前記トランザクション及び前記電子署名を、前記ブロックチェーンに登録する第2登録ステップと、を実行する。
【0011】
本発明に係る登録プログラムは、ブロックチェーンへのトランザクションの登録装置に、前記トランザクションのハッシュ値を生成し、前記ブロックチェーンに登録する第1登録ステップと、前記トランザクションを、当該トランザクションの当事者の端末に送信し、承認の要求をする送信ステップと、前記当事者の端末から、前記トランザクションを承認したことを示す電子署名を受信する受信ステップと、前記トランザクション及び前記電子署名を、前記ブロックチェーンに登録する第2登録ステップと、を実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ブロックチェーンを利用しつつも、トランザクションの取り消しが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る管理システム1の機能構成を示す図である。
管理システム1は、ブロックチェーン10に対してトランザクションを登録する端末群で構成され、トランザクションの当事者として、送信端末20(登録装置)と、受信端末30とを備える。
なお、受信端末30は、トランザクションの種類に応じて複数存在してもよいが、本実施形態では、送信端末20と受信端末30とが1台ずつである場合を例示する。
【0016】
送信端末20は、制御部及び記憶部の他、各種の入出力インタフェースを備えた情報処理装置(コンピュータ)である。制御部は、記憶部に格納されたソフトウェア(登録プログラム)を読み出し実行することにより、次の各部として機能する。
すなわち、送信端末20は、第1登録部21と、送信部22と、受信部23と、第2登録部24とを備える。
【0017】
第1登録部21は、トランザクションのハッシュ値を生成し、ブロックチェーン10に登録する。
【0018】
送信部22は、トランザクションを、このトランザクションの当事者である受信端末30に送信し、承認の要求をする。
このとき、送信部22は、ブロックチェーン10においてトランザクションのハッシュ値を格納したブロックを特定するための情報を、トランザクションと共に受信端末30に送信する。
なお、ブロックを特定するための情報は、例えば、ブロック番号又は登録日時等であってよい。
【0019】
受信部23は、受信端末30から、トランザクションの受信者がトランザクションの内容を承認したことを示す電子署名を受信する。
【0020】
第2登録部24は、トランザクション及び電子署名を、ブロックチェーン10に登録する。
このとき、第2登録部24は、第1登録部21により登録されたハッシュ値へのポインタを、トランザクション及び前記電子署名と共に登録することで、トランザクションとハッシュ値との対応付けを明確にする。
【0021】
受信端末30は、送信端末20と同様に、制御部及び記憶部の他、各種の入出力インタフェースを備えた情報処理装置(コンピュータ)である。制御部は、記憶部に格納されたソフトウェアを読み出し実行することにより、承認部31として機能する。
【0022】
承認部31は、送信端末20から受信したトランザクションのハッシュ値がブロックチェーン10に登録されていることを確認し、トランザクションの正当性を検証する。
さらに、承認部31は、受信したトランザクションの内容を受信者が確認すると、このトランザクションに対して、受信者の秘密鍵により電子署名を生成し、送信端末20へ送信する。
【0023】
図2は、本実施形態に係る管理システム1によるブロックチェーン10へのトランザクションの登録方法を示す概要図である。
送信端末20が生成したトランザクションをブロックチェーン10に登録する場合、まず、トランザクションのハッシュ値が算出され、ブロックチェーン10のブロック11に格納される。これにより、取引等の契約が発生した事実が記録される。
【0024】
次に、トランザクションが受信端末30において承認されると、承認の印として受信者の電子署名が送信端末20に送信される。
すると、トランザクション及び電子署名の組がブロックチェーン10のブロック12に格納される。このとき、ハッシュ値が格納されたブロック11へのポインタをブロック12に含めることで、契約の事実を示すハッシュ値と実体を示すトランザクションとが関連付けられる。
【0025】
ここで、受信者がトランザクションを承認しない、又は送信者が承認結果を無視することで、ブロックチェーン10には、ハッシュ値の格納後に実際のトランザクションが格納されず、取り消しされたことが確認できる。
【0026】
図3は、本実施形態に係る管理システム1における処理を示すシーケンス図である。
ステップS1において、送信端末20は、トランザクションを生成する。
ステップS2において、送信端末20は、生成したトランザクションのハッシュ値を算出する。
ステップS3において、送信端末20は、算出したハッシュ値をブロックチェーン10に登録する。
ステップS4において、送信端末20は、トランザクションを受信端末30に送信する。
【0027】
ステップS5において、受信端末30は、トランザクションの内容が正しいことを受信者からの入力により確認し、さらに、トランザクションのハッシュ値がブロックチェーン10に登録されていることを確認する。
ステップS6において、受信端末30は、受信者の秘密鍵を用いて、トランザクションに対する電子署名を生成する。
ステップS7において、受信端末30は、生成した電子署名を送信端末20に送信する。
【0028】
ステップS8において、送信端末20は、トランザクション及び電子署名をブロックチェーン10に登録する。
【0029】
本実施形態によれば、管理システム1は、トランザクションのハッシュ値をブロックチェーンに登録し、受信者の承認を得た後、トランザクションの実体をブロックチェーンに登録する。
したがって、管理システム1は、トランザクションを2回に分けてブロックチェーン10に登録することで、改竄が困難なブロックチェーン10を利用しつつも、契約の事実を示すトランザクションのハッシュ値が登録された後に、各種の手続きの間、トランザクションの取り消しが可能となる。
【0030】
この結果、管理システム1は、各種の手続きの開始時点で即座にトランザクションの発生の事実を登録することができるので、手続きが完了するまでの待ち時間がなくなる。
また、管理システム1は、トランザクションのハッシュ値を前もって登録することにより、トランザクションの実体が登録されるまでに改竄される可能性に対して、正当性の検証を可能にする。
【0031】
管理システム1は、ハッシュ値が格納されたブロックへのポインタを、トランザクションの実体と共に登録することで、2回に分けて登録されたブロック間の関連付けを明確にでき、利便性を向上できる。
【0032】
管理システム1は、ハッシュ値を格納したブロックを特定するための情報を、トランザクションと共に受信端末30に送信するので、受信端末30において、トランザクションの正当性確認のためにハッシュ値を検索する処理負荷が低減される。
【0033】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態では、ブロックチェーン10の管理装置100が設けられ、各端末は、管理装置100を介してブロックチェーン10にアクセスする。
なお、第1実施形態と同様の構成に対しては同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する。
【0034】
図4は、本実施形態に係る管理システム1Aの機能構成を示す図である。
管理システム1Aは、送信端末20A及び受信端末30に加えて、管理装置100を備える。
送信端末20Aは、送信部22と、受信部23と、指示部25とを備える。
送信部22は、トランザクションを、管理装置100及び受信端末30へ送信する。
受信部23は、受信端末30から、トランザクションを承認したことを示す電子署名を受信する。
指示部25は、電子署名を伴って、トランザクションの登録を管理装置100に指示する。
【0035】
受信端末30は、第1実施形態と同様に、送信端末20Aから受信したトランザクションに対する電子署名を生成し、送信端末20Aに返信する承認部31を備える。
【0036】
管理装置100は、第1登録部21と、第2登録部24とを備える。
第1登録部21は、送信端末20Aから受信したトランザクションのハッシュ値を生成し、ブロックチェーン10に登録する。
第2登録部24は、送信端末20Aからの指示に応じて、トランザクション及び電子署名を、ブロックチェーン10に登録する。
【0037】
図5は、本実施形態に係る管理システム1Aにおける処理を示すシーケンス図である。
ステップS11において、送信端末20Aは、トランザクションを生成する。
ステップS12において、送信端末20は、生成したトランザクションを管理装置100に送信する。
【0038】
ステップS13において、管理装置100は、送信端末20Aから受信したトランザクションのハッシュ値を算出する。
ステップS14において、管理装置100は、算出したハッシュ値をブロックチェーン10に登録する。
【0039】
ステップS15において、送信端末20Aは、トランザクションを受信端末30に送信する。
【0040】
ステップS16において、受信端末30は、トランザクションの内容が正しいことを受信者からの入力により確認し、さらに、トランザクションのハッシュ値がブロックチェーン10に登録されていることを、管理装置100を介して確認する。
ステップS17において、受信端末30は、受信者の秘密鍵を用いて、トランザクションに対する電子署名を生成する。
ステップS18において、受信端末30は、生成した電子署名を送信端末20Aに送信する。
【0041】
ステップS19において、送信端末20Aは、受信端末30から受信した電子署名を管理装置100に送信する。
ステップS20において、管理装置100は、トランザクション及び電子署名をブロックチェーン10に登録する。
【0042】
本実施形態によれば、ブロックチェーン10の管理装置100が設けられることにより、利用者の端末である送信端末20Aにおける処理負荷が低減される。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、前述した実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0044】
管理システム1によるトランザクションの登録方法は、ソフトウェアにより実現される。ソフトウェアによって実現される場合には、このソフトウェアを構成するプログラムが、情報処理装置(コンピュータ)にインストールされる。また、これらのプログラムは、CD−ROMのようなリムーバブルメディアに記録されてユーザに配布されてもよいし、ネットワークを介してユーザのコンピュータにダウンロードされることにより配布されてもよい。さらに、これらのプログラムは、ダウンロードされることなくネットワークを介したWebサービスとしてユーザのコンピュータに提供されてもよい。