特許第6931358号(P6931358)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6931358
(24)【登録日】2021年8月17日
(45)【発行日】2021年9月1日
(54)【発明の名称】人間工学的なIVシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20210823BHJP
【FI】
   A61M25/06 500
【請求項の数】14
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-551275(P2018-551275)
(86)(22)【出願日】2017年3月17日
(65)【公表番号】特表2019-509849(P2019-509849A)
(43)【公表日】2019年4月11日
(86)【国際出願番号】US2017022922
(87)【国際公開番号】WO2017172383
(87)【国際公開日】20171005
【審査請求日】2018年12月6日
(31)【優先権主張番号】62/314,260
(32)【優先日】2016年3月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/461,358
(32)【優先日】2017年3月16日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー シー.オブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー シェアラー
(72)【発明者】
【氏名】ウェストン エフ.ハーディング
【審査官】 鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−521797(JP,A)
【文献】 特開2003−180829(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102716541(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0220945(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0220619(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入構成および流体送達構成を含むIVカテーテルシステムであって、
カテーテルコンポーネントであって、
カテーテルハブ遠位端とカテーテルハブ近位端と前記カテーテルハブ近位端におけるニードルポートとを備えるカテーテルハブ、
前記カテーテルハブ遠位端から遠位に延びたカニューレ、および、
前記カテーテルハブから延びたウイングを含む固定台、
を備えるカテーテルコンポーネントと、
ニードルコンポーネントであって、
ニードルハブ遠位端とニードルハブ近位端とアクチュエータボタンとを含むニードルハブであって、前記アクチュエータボタンは前記ニードルハブの上部に配置された、ニードルハブ、
前記ニードルハブ遠位端から軸に沿って遠位に延びたニードルであって、前記アクチュエータボタンは、前記流体送達構成において、前記ニードルが前記ニードルハブに完全に包まれるように、前記ニードルを前記ニードルハブ内に回収するように構成されたニードル、および、
前記ニードルハブから延びたグリップであって、前記グリップは前記軸に対して概して平行であり、前記ニードルハブの側面に配置され、前記挿入構成において、前記ニードルは前記カニューレ内に配置され、前記ニードルハブ遠位端は前記ニードルポート中に位置付けられ、前記流体送達構成において、前記ニードルは前記カテーテルハブの外部に配置され、前記固定台の前記ウイングは、前記カテーテルハブを遠位に押し進めるための、ユーザの手の第1の指からの第1の接触を受けるように配置され、前記グリップは、前記第1の接触の受領と同時に前記手の第2の指からの第2の接触を受けるように配置され、それにより、前記第1の接触と前記第2の接触とが協働して、前記IVカテーテルシステムを前記挿入構成から前記流体送達構成へと移行させ、前記グリップが支持面をさらに含み、前記挿入構成において、前記ウイングの底面の少なくとも一部が前記グリップの前記支持面に接し、さらに前記グリップが停止面を含み、前記停止面が前記グリップの上面と前記支持面とを分離し、前記挿入構成において、前記ウイングの近位端が前記停止面に接する、グリップ、を備えるニードルコンポーネントと、
を備えるIVカテーテルシステム、であって、前記固定台の前記ウイングは前記軸に対して概して平行である、IVカテーテルシステム。
【請求項2】
前記挿入構成において、前記グリップの遠位端が第1のウイングの近位端に接する、請求項1に記載のIVカテーテルシステム。
【請求項3】
前記グリップが第1のグリップであり、前記ニードルコンポーネントが前記第1のグリップの反対側に第2のグリップをさらに含み、前記アクチュエータボタンが前記第1のグリップと前記第2のグリップとの間に配置される、請求項1 に記載のIVカテーテルシステム。
【請求項4】
前記挿入構成において、前記グリップの上面が前記ウイングの上面と同一平面上にある、請求項1に記載のIVカテーテルシステム。
【請求項5】
前記挿入構成において、前記ウイングの底面全体が前記グリップの前記支持面に接する、請求項1に記載のIVカテーテルシステム。
【請求項6】
前記IVカテーテルシステムが前記挿入構成から前記流体送達構成へと移行する間、前記ウイングの前記底面の少なくとも一部が、前記グリップの前記支持面に沿ってスライドする、請求項1に記載のIVカテーテルシステム。
【請求項7】
前記ニードルハブが少なくとも1つの把持突起をさらに含み、前記把持突起が前記グリップの近位に配置された、請求項1に記載のIVカテーテルシステム。
【請求項8】
挿入構成および流体送達構成を含むIVカテーテルシステムであって、
カテーテルコンポーネントであって、
カテーテルハブ遠位端とカテーテルハブ近位端と前記カテーテルハブ近位端におけるニードルポートとを含むカテーテルハブ、
前記カテーテルハブから延びたウイングを含む固定台、および、
前記カテーテルハブ遠位端から遠位に延びたカニューレ、
を含むカテーテルコンポーネントと、
ニードルコンポーネントであって、
ニードルハブ遠位端とニードルハブ近位端とを含むニードルハブ、
前記ニードルハブ遠位端から軸に沿って遠位に延びたニードル、および、
前記ニードルハブから前記カテーテルハブ近位端を越えて延びたグリップであって、前記グリップは前記軸に対して概して平行に配置され、前記グリップは上面および支持面を含み、前記挿入構成において、前記ニードルは前記カニューレ内に配置され、前記ニードルハブ遠位端は前記ニードルポート中に取り付けられ、前記流体送達構成において前記ニードルは前記カテーテルハブの外部に配置される、グリップ、
を含むニードルコンポーネントと、
を含み、
前記ウイングが第1のウイングであり、前記固定台は、前記カテーテルハブから延び、前記第1のウイングと概して同一平面上にある、第2のウイングをさらに含み、それにより、前記流体送達構成において、前記第1のウイングおよび前記第2のウイングは皮膚上に置かれ、
前記固定台は、前記カテーテルハブを遠位に押し進めるための、ユーザの手の第1の指からの第1の接触を受けるように配置され、前記グリップは、前記第1の接触の受領と同時に前記手の第2の指からの第2の接触を受けるように配置され、それにより、前記第1の接触と前記第2の接触とが協働して、前記IVカテーテルシステムを前記挿入構成から前記流体送達構成へと移行させるものであり、
前記ニードルハブが、前記ニードルが前記ニードルハブ内に完全に包まれるように、前記ニードルを前記ニードルハブ中に移動させるように構成されたアクチュエータボタンをさらに含み、前記アクチュエータボタンが前記第1のウイングと前記第2のウイングとの間に配置された、IVカテーテルシステム。
【請求項9】
前記挿入構成において、前記グリップの遠位端は前記ウイングの近位端に接し、
前記固定台は、前記カテーテルハブを遠位に押し進めるための、ユーザの手の第1の指からの第1の接触を受けるように配置され、前記グリップは、前記第1 の接触の受領と同時に前記手の第2の指からの第2の接触を受けるように配置され、それにより、前記第1の接触と前記第2の接触とが協働して、前記IVカテーテルシステムを前記挿入構成から前記流体送達構成へと移行させる、請求項8に記載のIVカテーテルシステム。
【請求項10】
挿入構成および流体送達構成を含むIVカテーテルシステムであって、
カテーテルコンポーネントであって、
カテーテルハブ遠位端とカテーテルハブ近位端と前記カテーテルハブ近位端におけるニードルポートとを含むカテーテルハブ、
前記カテーテルハブから延びたウイングを含む固定台、および、
前記カテーテルハブ遠位端から遠位に延びたカニューレ、
を含むカテーテルコンポーネントと、
ニードルコンポーネントであって、
ニードルハブ遠位端とニードルハブ近位端とを含むニードルハブ、
前記ニードルハブ遠位端から軸に沿って遠位に延びたニードル、および、
前記ニードルハブから前記カテーテルハブ近位端を越えて延びたグリップであって、前記グリップは前記軸に対して概して平行に配置され、前記グリップは上面および支持面を含み、前記挿入構成において、前記ニードルは前記カニューレ内に配置され、前記ニードルハブ遠位端は前記ニードルポート中に取り付けられ、前記流体送達構成において前記ニードルは前記カテーテルハブの外部に配置される、グリップ、
を含むニードルコンポーネントと
を含むIVカテーテルシステムであって、
前記グリップは停止面をさらに含み、前記停止面は前記上面と前記支持面とを分離し、前記挿入構成において前記ウイングの近位端は前記停止面に接し、
前記固定台は、前記カテーテルハブを遠位に押し進めるための、ユーザの手の第1の指からの第1の接触を受けるように配置され、前記グリップは、前記第1の接触の受領と同時に前記手の第2の指からの第2の接触を受けるように配置され、それにより、前記第1の接触と前記第2の接触とが協働して、前記IVカテーテルシステムを前記挿入構成から前記流体送達構成へと移行させる、IVカテーテルシステム。
【請求項11】
前記挿入構成において、前記ウイングの底面全体が前記グリップの前記支持面に接する、請求項10に記載のIVカテーテルシステム。
【請求項12】
前記IVカテーテルシステムが前記挿入構成から前記流体送達構成へと移行する間、前記ウイングの前記底面の少なくとも一部が前記グリップの前記支持面に沿ってスライドする、請求項11に記載のIVカテーテルシステム。
【請求項13】
前記ニードルハブが少なくとも1つの把持突起をさらに含み、前記把持突起は前記グリップの近位に配置された、請求項12に記載のIVカテーテルシステム。
【請求項14】
前記把持突起が、前記ニードルハブの、前記グリップとは反対の側に配置され、前記把持突起は手の第3の指からの第3の接触を受けるように配置された、請求項13に記載のIVカテーテルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、流体を患者の脈管系に直接投与できる、静脈内送達(「IV」)のためのシステムおよび方法を対象とする。より詳細には、本発明は、患者への挿入を容易にする、および/または、挿入構成から流体送達構成(IVカテーテルシステムを通して流体を患者に送達できる構成)への移行を容易にする、IVカテーテルシステムおよび方法を対象とする。本発明によるIVカテーテルシステムは、本明細書において、患者に流体を送達するために使用される、流体の動脈投与、静脈内投与、血管内投与、腹膜投与、および/または非血管投与用の構成を記述するために、広範に用いられる。当然ながら、当業者は、IVカテーテルシステムを使用して患者の体内の他の部位に流体を投与することもできる。
【背景技術】
【0002】
既知のIVカテーテルシステムおよび方法は、いくつかの欠点を有する。多くのこのようなシステムは、IVカテーテルシステムの位置決めのため、および/またはニードルを患者の流体送達部位(例えば、流体が送達されるべき静脈)に挿入するために、臨床医が両手を使うことを必要とする。さらに、多くのこのようなシステムは、IVカテーテルシステムを挿入構成から流体送達構成(ニードルがカニューレから抜き取られて、カニューレを通して静脈に流体の送達が可能になる構成)に移行させるために、臨床医が両手を使うことを必要とする。したがって、臨床医は、IVカテーテルシステムの挿入前に、流体送達部位を有する患者の腕または他の身体部分を固定する必要がある。結果として、臨床医が輸液を開始するために、余分な時間が必要である。さらに、臨床医は、挿入中および/または流体送達構成への移行中は、患者を安定させるまたは安心させるなど、他のどんな作業も実施できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許仮出願第62/296,385号明細書
【特許文献2】米国特許出願第15/286,168号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、流体送達のためのIVカテーテルシステムの位置決め、挿入、および/または準備を容易にする、IVカテーテルシステムおよび方法が必要とされている。さらに、安価で、製造しやすく、用途の広いIVカテーテルシステムも必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、一般に、向上した人間工学によるIVカテーテルシステムを対象とする。いくつかの実施形態において、このIVカテーテルシステムは、片手のみで、挿入し、流体送達構成へと移行させてもよい。IVカテーテルシステムを流体送達構成に移行させることにより、ニードルを「覆うこと(hooding)」を容易にすることができる。場合により、対象となる静脈の直径は、ニードルの太さと比較して相対的に小さいことがある。そのため、カニューレおよびニードルが静脈中を進む間に、ニードルの傾斜付き部分が静脈を破損または他の形で損傷することは、珍しいことではない。したがって、ニードルおよびカニューレ先端を介して静脈に接続した後は、ニードルを「覆う(hood)」ことが慣行である。
【0006】
ニードルを覆うプロセスは、部分的に挿入されたカニューレの静止位置を維持し、一方で同時に、ニードルの傾斜付き部分をカニューレの内腔中に後退させることを含む。ニードルが覆われた後は、カニューレを静脈中に進めて所望の位置に到達させることができる。ニードルが覆われているので、カニューレを進める間に静脈を損傷する危険はないであろう。場合により、ニードルが覆われるとき、傾斜付き部分は、カニューレの先端に少なくとも近接するように、カニューレの内腔中に後退させてもよい。こうして、カニューレの中に延び、カニューレの先端に少なくとも近接するニードルは、カニューレが静脈中を進む際に、増大した剛性をもたらすことができる。
【0007】
いくつかの実施形態において、固定台は、カテーテルハブを遠位に押し進めるための、ユーザの手の第1の指からの第1の接触を受けるように配置されていてもよい。手の第1の指は、例えば、ユーザの親指を含むことができる。いくつかの実施形態において、ニードルコンポーネントのグリップは、第1の接触の受領と同時に、手の第2の指からの第2の接触を受けるように配置されてもよく、それにより、第1の接触と第2の接触とが協働してIVカテーテルシステムを挿入構成から流体送達構成へと移行させる。第2の指は、例えば、ユーザの人差し指を含むことができる。
【0008】
いくつかの実施形態において、グリップは、上面を含んでもよい。いくつかの実施形態において、グリップの上面は、第2の接触を受けてもよい。いくつかの実施形態において、IVカテーテルシステムが挿入構成にあるときは、グリップの上面は、固定台の特定のウイングの上面と同一平面上にあってもよい。いくつかの実施形態において、IVカテーテルシステムが挿入構成にあるときは、グリップの遠位端は、特定のウイングの近位端に接してもよい。特定のウイングの上面は、第1の接触を受けてもよい。
【0009】
いくつかの実施形態において、グリップは、支持面を含んでもよい。いくつかの実施形態において、IVカテーテルシステムが挿入構成にあるときは、特定のウイングの底面の少なくとも一部が、支持面に接してもよい。いくつかの実施形態において、グリップは停止面を含んでもよく、この停止面は、グリップの上面と支持面とを分離してもよい。いくつかの実施形態において、IVカテーテルシステムが挿入構成にあるときは、特定のウイングの遠位端は停止面に接してもよい。いくつかの実施形態において、IVカテーテルシステムを挿入構成から流体送達構成へと移行させる間、特定のウイングの底面の少なくとも一部が、支持面に沿ってスライドしてもよい。
【0010】
いくつかの実施形態において、グリップは、ニードルハブの側面に配置されてもよい。いくつかの実施形態において、ニードルハブは、少なくとも1つの把持突起を含んでもよく、この把持突起は、グリップの近位に配置されてもよい。いくつかの実施形態において、特定の把持突起は、グリップの、ニードルハブの反対側に配置されてもよい。いくつかの実施形態において、特定の把持突起は、ユーザの手の第3の指からの第3の接触を受けるように配置されてもよい。第3の指は、例えば、ユーザの中指または薬指を含むことができる。
【0011】
いくつかの実施形態において、IVカテーテルシステムを流体送達構成に移行してニードルを覆い、カニューレを所望の位置に進めた後は、流体送達構成においてニードルがニードルハブに完全に包まれるように、アクチュエータボタンを押してニードルをニードルハブ内に移動させてもよい。いくつかの実施形態では、アクチュエータボタンは、ニードルハブの上部に配置されてもよく、これにより、アクチュエータボタンへの容易なアクセスを促進し、また、第1の指および/または第2の指により、アクチュエータボタンが遮られることを防止してもよい。いくつかの実施形態において、IVカテーテルシステムが第1のウイングおよび第2のウイングを含む場合、アクチュエータボタンは、第1のウイングと第2のウイングとの間に配置されてもよい。
【0012】
IVカテーテルシステムは、ニードルハブ中に回収可能なニードルを含む、任意のカテーテルシステムを含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態において、IVカテーテルシステムは、Becton,Dickinson,and Companyから市販されているAUTOGUARD(商標)遮蔽カテーテルを含んでもよい。いくつかの実施形態において、IVカテーテルシステムは、IVカテーテルシステムが挿入構成にあるときに第1の位置から移動可能であり、ニードルが覆われてIVカテーテルシステムが挿入構成から流体送達構成に移行中のときに第2の位置に移動可能であり、IVカテーテルシステムが流体送達構成にあるときに第3の回収位置または包まれる位置に移動可能であるニードルを含む、任意のカテーテルシステムを含んでもよい。
【0013】
本発明のこれらおよび他の特徴および利点は、本発明のいくつかの実施形態に組み込まれてもよく、後続の記述および添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになるであろうし、または、後述する本発明の実践によって知ることができる。本発明は、本明細書に記載のすべての有利な特徴およびすべての利点が、本発明のあらゆる実施形態に組み込まれることを必要とするものではない。
【0014】
本発明の上記および他の特徴および利点を得る方法がすぐに理解されるように、上で簡単に述べた本発明に関するより詳細な記述が、添付図面に示される具体的な実施形態を参照することにより、提供される。これらの図面は、本発明の典型的な実施形態のみを描いたものであり、したがってこれらの図面は、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態によるIVカテーテルシステムの斜視図である。
図2】代替的一実施形態によるIVカテーテルシステムの一部の斜視図である。
図3A】挿入構成にあるIVカテーテルシステムを示す、さらに別の実施形態によるIVカテーテルシステムの斜視図である。
図3B】流体送達構成に移行するIVカテーテルシステムを示す、図3AのIVカテーテルシステムの斜視図である。
図3C】流体送達構成にあるIVカテーテルシステムを示す、図3AのIVカテーテルシステムの斜視図である。
図4A】挿入構成にあるIVカテーテルシステムを示す、さらに別の実施形態によるIVカテーテルシステムの斜視図である。
図4B図4AのIVカテーテルシステムの側面図である。
図4C】流体送達構成に移行するIVカテーテルシステムを示す、図4AのIVカテーテルシステムの斜視図である。
図4D】流体送達構成に向けて移行するIVカテーテルシステムを示す、図4AのIVカテーテルシステムの斜視図である。
図5】2つのグリップを備えるIVカテーテルシステムを示す、さらに別の実施形態によるIVカテーテルシステムの斜視図である。
図6】挿入構成にあるIVカテーテルシステムを示す、さらに別の実施形態によるIVカテーテルシステムの斜視図である。
図7】挿入構成にあるIVカテーテルシステムを示す、さらに別の実施形態によるIVカテーテルシステムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の現時点における好ましい実施形態は、図面を参照することによって理解することができる。図面において、同じ参照番号は、同一または機能的に類似する要素を示す。本明細書で概述され図示される本発明の構成要素は、幅広い種々の異なる構成で配置および設計され得ることは、すぐに理解されるであろう。したがって、図に示されるような、以下のより詳細な記述は、特許請求される本発明の範囲を限定することを意図したものではなく、本発明の現時点における好ましい実施形態を表すに過ぎない。
【0017】
図1は、一実施形態によるIVカテーテルシステム100の斜視図である。IVカテーテルシステム100は、注入されるべき流体の供給源に接続されてもよい。流体供給源(図示せず)は、患者に送達されるべき血液または薬剤のバッグ、IVカテーテルシステム100への流体の流れを調節するドリップチャンバ、および/または、IVカテーテルシステム100への流体の供給に関連する他の部品を含んでもよい。IVカテーテルシステム100は、図1の例示的な実施形態に示すように、いくつかの部品を含んでもよい。これらの部品は、カテーテルコンポーネント102、ニードルコンポーネント104、延長チューブ106、クランプ108、および/またはルアーロックアダプタ110を含むことができる。
【0018】
カテーテルコンポーネント102は、患者に流体を運ぶために、患者内の流体送達部位に挿入されてもよい。ニードルコンポーネント104は、流体送達部位へのカテーテルコンポーネント102の挿入を円滑化させることができる。延長チューブ106は、カテーテルコンポーネント102に流体を運ぶことができる。クランプ108は、流体の送達を止める、または一時中断するのが望ましいときに、カテーテルコンポーネント102への流体の流れを手動で遮断するために使用してもよい。ルアーロックアダプタ110は、例えば、相補的な、流体供給源のルアーロック(図示せず)との接続を介して、流体供給源に容易に接続させることができる。
【0019】
図1において具体化するとおり、IVカテーテルシステム100は、延長チューブ106がカテーテルコンポーネント102に事前に取り付けられているような、一体型IVカテーテルシステムとしてもよい。他の実施形態において、様々なオープン構成、一体型構成、および/または安全装置一体型構成のIVカテーテルシステムが使用されてもよい。
【0020】
カテーテルコンポーネント102は様々な部品を有してもよく、これらは、カテーテルハブ120、固定台122、延長チューブ取付け接合部124、およびカニューレ126を含んでもよい。カテーテルハブ120は、概して管状および/または中空円錐形の構成を有してもよく、近位端130および遠位端132を有してもよい。カテーテルハブ120は、流体が流体送達部位に到達するために中を流れる、チャンバ134を画定するような形状としてもよい。カテーテルハブ120は、近位端130にニードルポート136を有してもよい。チャンバ134は、ニードルポート136を通ってチャンバ134から送達されるべき血液および/または流体の流れを阻止するように設計された、隔壁138を含んでもよい。カニューレ126は、カテーテルハブ120の遠位端132に固定されてもよい。
【0021】
固定台122は、流体送達が行われる際にカテーテルコンポーネント102を適所にしっかりと保持するために、流体送達部位の近くの患者の皮膚に固定台122を固定できるように設計された、概して平面の構造を有してもよい。図1において具体化するとおり、固定台122は、概して平面の形状を有する第1のウイング140と、第1のウイング140と概して同一平面上にある、概して平面の形状を同様に有する第2のウイング142と、を有してもよい。第2のウイング142は、カテーテルハブ120を間にして第1のウイング140と向かい合って配置されてもよい。したがって、カテーテルハブ120に対して、第1のウイング140と第2のウイング142とが、カテーテルハブ120から外向きに、反対方向に延びていてもよい。第1のウイング140および第2のウイング142の両方は、カテーテルハブ120にしっかりと固定されていてもよく、固定台122に対して垂直な方向に従って見た時に、概して三角形の形状をそれぞれ有してもよい。選択的に、第1のウイング140および/または第2のウイング142は、次のものに限定されないが、三角形および長方形などの多角形形状、ならびに、円形、半円形、卵形、長円形、および不規則形状などの非多角形形状を含む、任意の形状を有してもよい。これらの代替形状のいくつかの例を、後続の実施形態で示す。第1のウイング140および第2のウイング142はそれぞれ、カテーテルハブ120の近位端130に向いている後縁144を有してもよい。
【0022】
ニードルコンポーネント104は、ニードルハブ150、グリップ152、およびニードル154を有してもよい。ニードルハブ150は、カテーテルコンポーネント102のカテーテルハブ120に、取外し可能に連結されてもよい。グリップ152は、ニードルハブ150から外向きに延びていてもよい。ニードル154はカニューレ126内に抜取り可能に配置することができ、それにより、ニードル154が、流体送達部位(例えば静脈)への接続およびカニューレ126の適正な位置決めをし、流体を流体送達部位に送達するプロセスを容易にする。
【0023】
ニードルハブ150は、近位端160および遠位端162を有する概して管状の形状を有してもよい。ニードルハブ150は、遠位端162に配置されたボス164を有してもよい。ボス164は、カテーテルコンポーネント102のカテーテルハブ120のニードルポート136内に挿入できてもよい。
【0024】
グリップ152は、ニードルハブ150から外向きに延びた概して平面の形状を有してもよい。グリップ152に対して垂直の方向から見た時に、グリップ152は、長円形(oblong)および/または部分的に楕円形(elliptical)の形状を有してもよい。グリップ152、第1のウイング140、および/または第2のウイング142は、グリップ252上に示されるように、1つまたは複数のグリップ機構170を有してもよく、これらは、グリップ152を手で把持することおよび/または動かすことを容易にする、しっかりした接触面を提供することを助けてもよい。グリップ152は、前縁172を有してもよい。
【0025】
IVカテーテルシステム100は、挿入構成を有してもよく、挿入構成において、IVカテーテルシステム100は、カニューレ126を流体送達部位に配置するために、容易に挿入可能である。IVカテーテルシステム100はまた、流体送達構成を有してもよく、流体送達構成において、カニューレ126を通る流体の流れは相対的に妨げられない。図1において、IVカテーテルシステム100は挿入構成にある。ニードル154は、カニューレ126内に配置されており、組織を貫通するための鋭利化された先端と、挿入中にカニューレ126を支持する比較的硬い本体とを提供する。ニードルハブ150のボス164は、カテーテルハブ120のニードルポート136内に配置される。ニードル154は、カテーテルコンポーネント102の隔壁138の中を通る。
【0026】
IVカテーテルシステム100は、カニューレ126の先端を流体送達部位(例えば、患者の静脈)の近くに配置することにより、所定位置に挿入されてもよい。固定台122は、患者の皮膚上の流体送達場所の近くに配置され、および/または臨床医の手に保持されてもよい。カニューレ126の先端が周囲の組織を貫通して流体送達部位に到達するまでカニューレ126を押すために、カテーテルコンポーネント102およびニードルコンポーネント104を前進させてもよい。必要に応じて、カテーテルコンポーネント102は、カテーテルコンポーネント102のプッシュ面を押すことにより、前進させてもよい。「プッシュ面」は、概して近位に配向された表面であり、したがって、カテーテルコンポーネント102およびニードルコンポーネント104を共に遠位に押し進めるために、臨床医の手からの接触を受けることができる。
【0027】
カニューレ126の先端が流体送達部位に到達したら、IVカテーテルシステム100を流体送達構成に移行させてもよい。これは、ニードルコンポーネント104を、カテーテルコンポーネント102から、近位に後退させることにより行うことができる。これは、最初に、ボス164をニードルポート136内から近位に後退させてもよい。ニードル154もまた、カニューレ126、次いで、隔壁138を含めたチャンバ134を通って、近位に後退させてもよい。ニードル154は、ニードルポート136を通ってチャンバ134の外に出てもよく、こうしてIVカテーテルシステム100の流体送達構成への移行が完了する。それから、流体送達部位への流体の流れは、流体が延長チューブ106を通ってチャンバ134中に流れ、カニューレ126を通って流体送達場所に流れるように促すことにより、達成されてもよい。
【0028】
IVカテーテルシステム100は、有利には、流体送達部位への挿入が片手ですぐに実施されるのを容易にするように設計されてもよい。例えば、挿入中、臨床医は、例えば固定台122およびグリップ152を掴むことにより、カテーテルコンポーネント102およびニードルコンポーネント104を一方の手で保持してもよい。次いで臨床医は、同じ手で、カテーテルコンポーネント102の1つまたは複数のプッシュ面(例えば、第1のウイング140および/または第2のウイング142の後縁144)に穏やかな圧力を加えて、カニューレ126の先端が患者の皮膚を貫通して最終的に流体送達部位に到達するよう促してもよい。必要に応じて、臨床医がIVカテーテルシステム100を挿入構成から流体送達構成に移行させるためのしきい値力を加えるまで、カテーテルコンポーネント102とニードルコンポーネント104とを共に保持するために、1つまたは複数のロック機構(図示せず)を使用してもよい。このようなロック機構は、ボス164とニードルポート136との間のインタロック機構(図示せず)および/またはその他の形をとってもよい。
【0029】
IVカテーテルシステム100は、血管中に適正に配置されていることを視覚的に確認できるように設計されてもよい。例えば、カテーテルハブ120の少なくとも一部は、チャンバ134が見えるように、半透明でもよい。したがって、カニューレ126の先端が静脈に入ったとき、血液がチャンバ134に入った際に、結果的な血流または「フラッシュ」を、カテーテルハブ120の外壁を通して見ることができる。延長チューブ取付け接合部124および延長チューブ106もまた、任意選択的に半透明にすることができる。いくつかの実施形態において、フラッシュは、延長チューブ106を通ってルアーロックアダプタ110に及んでもよい。ルアーロックアダプタ110は、血液漏出を実質的に防ぐような方法で、流体供給源に連結されてもよい。
【0030】
さらに、IVカテーテルシステム100は、有利には、片手での挿入構成から流体送達構成への移行を容易にするように設計されてもよい。例えば、臨床医は、片手(IVカテーテルシステム100を流体送達部位に挿入するために使用した手と同じ手でもよい)で、カテーテルコンポーネント102およびニードルコンポーネント104を掴み、カテーテルコンポーネント102からニードルコンポーネント104を近位に後退させてもよい。ニードルコンポーネント104のみが大きく移動して、IVカテーテルシステム100を挿入構成から流体送達構成に移行できるように、カテーテルコンポーネント102は実質的に適所に残されてもよい。
【0031】
これは、ニードルコンポーネント104のプル面およびカテーテルコンポーネント102のプッシュ面に接するように、手の指を配置し、次いで、ニードルコンポーネント104と共にカテーテルコンポーネント102が近位に動くことを防ぐために、カテーテルコンポーネント102を遠位に押しながら、これらの指で、ニードルコンポーネント104を近位に引くことで行うことができる。例えば、固定台122の後縁144が、プッシュ面として機能してもよく、一方、グリップ152の縁172が、プル面として機能してもよい。臨床医は、グリップ152の前縁172上に1本または複数の指を置いて近位に引き、一方、固定台122の後縁144を親指および/または1本もしくは複数の他の指で押してもよい。こうして、ニードルコンポーネント104をカテーテルコンポーネント102から近位に後退させて流体送達部位への流体送達経路の遮断を解除しながら、カニューレ126の先端が流体送達部位にある状態で、カテーテルコンポーネント102を適所に保つことができる。
【0032】
プル面およびプッシュ面の相対的位置は、前述の方法で片手操作を容易にしてもよい。必要に応じて、ニードルハブ150とカテーテルハブ120との連結は、IVカテーテルシステム100が挿入構成にある間は、ニードルハブ150がカテーテルハブ120に対して回転できるようにしてもよい。したがって、臨床医は、前縁172上を引き、後縁144を押す前に、前縁172を引くための最も快適な向きに、グリップ152を手で回転させてもよい。
【0033】
隔壁138を通るニードル154の近位への後退に対して、隔壁138は、比較的低い抵抗をもたらすように構成された、「低摩擦」または「低抗力(low drag)」設計を有してもよく、この抵抗は、IVカテーテルシステム100が挿入構成から流体送達構成に遷移する際に発生する。隔壁138を通るニードル154の後退に対する抵抗は、臨床医が片手のみで比較的容易にIVカテーテルシステム100を挿入構成から流体送達構成に移行させられるほど十分に低くてもよい。いくつかの実施形態において、後退に対する抵抗は、平均して約50gf未満でもよい。
【0034】
図2は、代替的一実施形態によるIVカテーテルシステム200の一部の斜視図である。IVカテーテルシステム200は、図1のIVカテーテルシステム100の要素と概して対応する要素を有してもよい。図2は、カテーテルコンポーネント202、ニードルコンポーネント204、およびカテーテルコンポーネント202に接続された延長チューブ206の遠位端のみを示す。IVカテーテルシステム200は、図1のIVカテーテルシステム100の構成と同様の構成を有してもよい。しかし、いくつかの要素は、代替的な人間工学を提供するために、異なる形状としてもよい。
【0035】
カテーテルコンポーネント202は、カテーテルハブ220、固定台222、延長チューブ取付け接合部224、およびカニューレ226を有してもよい。カテーテルハブ220は、近位端230および遠位端232を備えた、概して管状および/または中空円錐形の形状を有してもよい。カテーテルハブ220は、チャンバ234を画定するような形状の、概して半透明の外壁を有してもよく、流体は、チャンバ234を通り、カニューレ226を介して流体送達部位に到達する。カテーテルハブ220は、カテーテルハブ220の近位端230の近くでニードルコンポーネント204に接続する、ニードルポート236を有してもよい。カテーテルハブ220はまた、チャンバ234内に配置された隔壁238を有してもよい。隔壁238は、前述のような「低抗力」隔壁でもよい。
【0036】
固定台222は、カニューレ226を流体送達部位で適所に保つために、流体送達中に患者の皮膚に取り付けられてもよい。固定台222は、第1のウイング240および第2のウイング242を有してもよく、これらは両方とも、概して平面の形状でもよく、カテーテルハブ220に対してそれぞれ反対方向に延びていてもよい。第1のウイング240および第2のウイング242のそれぞれは、固定台222に対して垂直の方から見た時に、概して長方形の形状を有してもよく、プッシュ面として機能できる後縁244を有する。
【0037】
ニードルコンポーネント204は、ニードルハブ250、グリップ252、およびニードル254を有してもよい。ニードルハブ250は、近位端260および遠位端262を備えた、概して円筒形の形状を有してもよい。ニードルハブ250はまた、遠位端262から突き出て、カテーテルハブ220のニードルポート236と連結する、ボス264を有してもよい。
【0038】
グリップ252は、概して平面の形状を有してもよく、グリップ252に対して垂直の方から見た時に、概して長方形の形状を有する。グリップ252は、前縁(見えていない)を有してもよく、この前縁は、プル面として機能してもよい。グリップ252、第1のウイング240、および/または第2のウイング242は、1つまたは複数のグリップ機構270を有してもよく、グリップ機構270は、グリップ152を手で把持することおよび/または動かすことを容易にする確実なインタフェースを提供するのを助けてもよい。
【0039】
IVカテーテルシステム200を挿入構成から流体送達構成に移行するために、臨床医は、指(例えば、親指でない指)を、グリップ252の前縁に置き、指(例えば、親指でない指、または親指)を、第1のウイング240および/または第2のウイング242の後縁244に置いてもよい。次いで臨床医は、矢印290で示すように前縁を近位に引いてもよく、矢印292で示すように第1のウイング240および/または第2のウイング242の後縁244を遠位に押してもよい。これにより、ニードルコンポーネント204をカテーテルコンポーネント202から近位に後退させながら、カテーテルコンポーネント202を適所に留まらせることができる。
【0040】
グリップ252および第1のウイング240は、お互いに対して平行に配置されてもよく、挿入構成において、また挿入構成から流体送達構成への移行の初期段階の間は、お互いに対して隣接関係になるように、相互に近接して配置されてもよい。グリップ252と第1のウイング240との間の所望の相対的な配置を維持するために、グリップ252および/または第1のウイング240は、第1のウイング240とグリップ252との間の相対的な配置および/または向きを維持する1つまたは複数の調整機構を有してもよい。
【0041】
具体的には、グリップ252は、調整リッジ280の形で調整機構を有してもよい。調整リッジ280は、第1のウイング240の方向に突き出ていてもよく、第1のウイング240の、グリップ252に面した表面にある溝または他の機構などの、相補的な調整機構(図示せず)で受け取られてもよい。調整リッジ280および相補的な調整機構は、IVカテーテルシステム200を流体送達構成に移行させる間に、ニードル254をカニューレ226に対して平行に保つことを助けてもよい。これは、ニードルコンポーネント204をカテーテルコンポーネント202から滑らかに後退させられるようにすることを助けてもよい。より具体的には、カテーテルコンポーネント202および/またはニードルコンポーネント204への不均衡な力の適用は、ニードルコンポーネント204に、カテーテルコンポーネント202に対して回転するよう促してもよい。例えば、臨床医が、第1のウイング240の後縁244を押しながらグリップ252の前縁を引いている場合、これは、カテーテルコンポーネント202に関して、ニードルコンポーネント204が、図2の視野に対して時計回りに回転するよう促してもよい。
【0042】
調整リッジ280および第1のウイング240の相補的な調整機構は、ニードルコンポーネント204がカテーテルコンポーネント202から十分に後退させられて、調整リッジ280が第1のウイング240の相補的な調整機構から取り外されるまで、このような相対的な回転が確実に起こらないように手助けしてもよい。したがって、挿入構成から流体送達構成への移行中に、カテーテルコンポーネント202とニードルコンポーネント204との間の結合および/または他の望ましくない相互作用を回避してもよい。様々な実施形態によるIVカテーテルシステムの他の例が、2016年2月17日に出願された特許文献1(2016年10月5日に出願された現在の特許文献2)に記載されており、これらは本明細書に組み込まれる。
【0043】
図3Aは、いくつかの実施形態によるIVカテーテルシステム1600の斜視図である。いくつかの実施形態において、IVカテーテルシステム1600は、図3Aに示す挿入構成を含んでもよい。いくつかの実施形態において、IVカテーテルシステム1600はカテーテルコンポーネント1602を含んでもよく、カテーテルコンポーネント1602は、カテーテルハブ1604、カニューレ1606、および固定台1608のうちの1つまたは複数を含んでもよい。いくつかの実施形態において、カテーテルハブ1604は、遠位端1610および近位端1612を含んでもよい。いくつかの実施形態において、カテーテルハブ1604は、カテーテルハブ1604の近位端1612に配置されたニードルポートを含んでもよく、このニードルポートを通ってニードル1616が延びていてもよい。いくつかの実施形態において、カニューレ1606は、カテーテルハブ1604の遠位端1610から遠位に延びていてもよい。いくつかの実施形態において、固定台1608は、第1のウイング1614aおよび/または第2のウイング1614bを含んでもよく、これらは、カテーテルハブ1604から外向きに延びていてもよい。
【0044】
いくつかの実施形態において、IVカテーテルシステム1600はニードルコンポーネント1618を含んでもよく、ニードルコンポーネント1618は、ニードルハブ1620、ニードル1616、第1のグリップ1622a、および第2のグリップ1622b(図3Aには示さず)のうちの1つまたは複数を含んでもよい。いくつかの実施形態において、第1のグリップ1622aは、ニードルハブ1620の、第2のグリップ1622bとは反対の側に配置されてもよい。いくつかの実施形態において、ニードルハブ1620は、遠位端1624、近位端1626、およびアクチュエータボタン1628を含んでもよい。いくつかの実施形態において、アクチュエータボタン1628は、ニードルハブ1620の上部に配置されてもよい。
【0045】
いくつかの実施形態において、ニードル1616は、軸1630に沿ってニードルハブ1620から遠位に延びていてもよい。いくつかの実施形態において、ウイング1614a、1614bは、軸1630に対して平行でもよい。いくつかの実施形態において、第1のグリップ1622aおよび/または第2のグリップ1622bは、軸1630に対して概して平行であり、および/またはニードルハブ1620の側面に配置されてもよい。いくつかの実施形態において、第1のグリップ1622aおよび/または第2のグリップ1622bは、ニードルハブ1620の側面および/または底部から延びていてもよい。第1のグリップ1622aおよび/または第2のグリップ1622bは、ニードルハブ1620と一体形成されてもよく、または、任意の適切なメカニズムを介してニードルハブ1620と連結されてもよい。
【0046】
図3Aに示すように、いくつかの実施形態において、ニードルコンポーネント1618は、第1のグリップ1622aは含むが、第2のグリップ1622bは含まなくてもよい。いくつかの実施形態において、第2のグリップ1622aにより、ユーザは、IVカテーテルシステム1600に被せるようにユーザの手を伸ばし、第1のグリップ1622aおよび第2のグリップ1622bの両方をユーザの手の中に抱き込むことができる。いくつかの実施形態において、ニードルハブ1620は、ニードル1616の近位端および遠位端の両方を取り込んでニードル1616を包むのに十分なほど、長くてもよい。したがって、ユーザは、第1のグリップ1622aおよび第2のグリップ1622bの両方を抱き込んで、ニードルハブ1620の全長をよりよく支えることを選んでもよい。
【0047】
いくつかの実施形態において、第1のウイング1614aは、カテーテルハブ1604を遠位に押し進めるための、ユーザの手の第1の指からの第1の接触を受けるように、配置されてもよい。手の第1の指は、例えば、ユーザの親指を含んでもよい。いくつかの実施形態において、ニードルコンポーネントの第1のグリップ1622aは、第1の接触の受領と同時に手の第2の指からの第2の接触を受けるように配置されてもよく、それにより、第1の接触と第2の接触とが協働してIVカテーテルシステム1600を挿入構成から流体送達構成に移行させる。第2の指は、例えば、ユーザの人差し指を含んでもよい。
【0048】
いくつかの実施形態において、第1のグリップ1622aは、上面1632を含んでもよい。いくつかの実施形態において、上面1632は、第2の接触を受けてもよい。いくつかの実施形態において、IVカテーテルシステム1600が挿入構成にあるときは、上面1632が、固定台1608の第1のウイング1614aの上面1634と同一平面上にあってもよい。いくつかの実施形態において、IVカテーテルシステム1600が挿入構成にあるときは、第1のグリップ1622aの遠位端が、第1のウイング1614aの近位端に接してもよい。いくつかの実施形態において、第1のウイング1614aの上面1634は、第1の接触を受けてもよい。第2のグリップ1622bが存在する実施形態において、第2のグリップ1622bは、第1のグリップ1622aと同様に構成されてもよい。第2のウイング1614bに対する第2のグリップ1622bの動きは、第1のウイング1614aに対する第1のグリップ1622aの動きと同様でもよい。いくつかの実施形態において、第2のグリップ1622bは、第1のグリップ1622aと左右対称でもよい。
【0049】
いくつかの実施形態において、ニードルハブ1620は、第1の把持突起1638aおよび/または第2の把持突起1638bを含んでもよく、これらはそれぞれ、第1のグリップ1622aおよび/または第2のグリップ1622bの近位に配置されてもよい。いくつかの実施形態において、第2の把持突起1638bは、ニードルハブ1620の、第1のグリップ1622aとは反対の側に配置されてもよい。いくつかの実施形態において、第2の把持突起1638bは、第1の接触および第2の接触と同時に、ユーザの手の第3の指からの第3の接触を受けるように配置されてもよく、これは、IVカテーテルデバイス1600に対する追加の支持および制御を提供してもよい。第3の指は、例えば、ユーザの中指または薬指を含んでもよい。
【0050】
いくつかの実施形態において、アクチュエータボタン1628は、ニードルハブ1620の上部に配置されてもよい。これにより、アクチュエータボタン1628への容易なアクセスが促進でき、また、流体送達構成への移行中にアクチュエータボタン1628が第1の指および/または第2の指によって遮られることを防止できる。
【0051】
図3Bは、IVカテーテルシステム1600の斜視図であり、流体送達構成へと移行させられるIVカテーテルシステム1600を示す。いくつかの実施形態において、IVカテーテルシステム1600を流体送達構成へと移行させるとき、第1のウイング1614aの近位端と第1のグリップ1622aの遠位端とを、間隔を空けて離してもよい。いくつかの実施形態において、IVカテーテルシステム1600を、一方の手のみで、挿入し、流体送達構成へと移行させてもよい。IVカテーテルシステム1600を流体送達構成へと移行させることで、ニードル1616を「覆う」ことを容易にできる。場合により、対象となる静脈の直径は、ニードル1616の太さと比較して相対的に小さいことがある。そのため、カニューレ1606およびニードル1616が静脈中を進む間に、ニードル1616の傾斜付き部分1640が静脈を破損または他の形で損傷することは珍しくない。したがって、ニードル1616およびカニューレ1606の先端1642を介して静脈に達した後は、ニードル1616を「覆う」のが慣行である。
【0052】
ニードル1616を覆うプロセスは、部分的に挿入されたカニューレ1606の静止位置を維持し、一方同時に、ニードル1616の傾斜付き部分1640をカニューレ1606の内腔中に後退させることを含んでもよい。ニードル1616が覆われた後は、カニューレ1606を静脈中に進めて所望の位置に到達させてもよい。ニードル1616を覆うことにより、カニューレ1606を進める間に静脈を損傷する危険を大きく低減させることができる。場合により、ニードル1616が覆われるとき、傾斜付き部分1640は、傾斜付き部分1640がカニューレ1606の先端1642に少なくとも近接するように、カニューレ1606の内腔中に後退させてもよい。こうして、カニューレ1606の中に延びカニューレ1606の先端1642に少なくとも近接するニードル1616は、カニューレ1606が静脈中を進む際に、増大した剛性をもたらしてもよい。いくつかの実施形態において、ニードル1616は、例えばイントロデューサニードルなどの、皮下ニードルを含んでもよい。
【0053】
いくつかの実施形態において、流体送達構成では、ニードル1616がニードルハブ1620内に完全に包まれ、および/または閉じ込められるように、アクチュエータボタン1628は、ニードル1616をニードルハブ1620内に回収するように構成されてもよい。
【0054】
いくつかの実施形態において、第1のウイング1614aは、カテーテルハブ1604を図3Bに示される位置まで遠位に押し進めるための、ユーザの手の第1の指からの第1の接触を受けるように、配置されてもよい。手の第1の指は、例えば、ユーザの親指を含んでもよい。いくつかの実施形態において、ニードルコンポーネントの第1のグリップ1622aは、第1の接触の受領と同時に手の第2の指からの第2の接触を受けるように配置されてもよく、それにより、ニードル1616を覆いながら、図3Bに示すように、第1の接触と第2の接触とが協働してIVカテーテルシステム1600を挿入構成から流体送達構成へと移行させる。第2の指は、例えば、ユーザの人差し指を含んでもよい。
【0055】
いくつかの実施形態において、IVカテーテルシステム1600の流体送達構成への移行、およびカテーテルハブ1604の遠位への移動に応じて、カテーテルハブ1604とニードルハブ1620との間の、ニードル1616の一部が露出してもよい。
【0056】
ニードル1616は、あらゆる方法でニードルハブ1620内に格納されてもよい。いくつかの実施形態において、アクチュエータボタン1628を押した際に、ばね1644が、ニードル1616をニードルハブ1620内に格納するための付勢力を提供してもよい。図3Bは、著しい蓄積されたエネルギーを有する、圧縮構成にあるばね1644を示す。
【0057】
図3Cは、流体送達構成にあるIVカテーテルシステム1600の斜視図である。いくつかの実施形態において、IVカテーテルシステム1600を流体送達構成へと移行させてニードル1616を覆い、カニューレ1606を所望の位置まで進めた後、図3Cに示すように、流体送達構成でニードル1616がニードルハブ1620に完全に包まれるように、アクチュエータボタン1628を押してニードル1616をニードルハブ1620内に移動させてもよい。いくつかの実施形態において、流体送達構成では、ばね1644は、蓄積されたエネルギーを解放してニードル1616をニードルハブ1620内に移動させた、伸長構成で配置されてもよい。
【0058】
次に図4A〜4Dを参照するが、いくつかの実施形態において、第1のグリップ1614aは、支持面1646を含んでもよい。いくつかの実施形態において、IVカテーテルシステム1600が挿入構成にあるときは、図4A〜4Bに示すように、第1のウイング1614aの底面の少なくとも一部が、支持面1646に接してもよい。例えば、第1のウイング1614aの底面全体が、支持面1646に接してもよい。
【0059】
いくつかの実施形態において、第1のグリップ1622aは、停止面1648を含んでもよく、停止面1648は、第1のグリップ1622aの上面1632を支持面1646から分離してもよい。いくつかの実施形態において、IVカテーテルシステム1600が挿入構成にあるときは、第1のウイング1614aの近位端が、停止面1648に接してもよい。いくつかの実施形態において、支持面1646は、停止面1646から第1のウイング1614aの遠位縁まで延びていてもよい。いくつかの実施形態において、支持面1646は、停止面1646から第1のウイング1614aの遠位縁までの途中までしか延びていなくてもよい。
【0060】
いくつかの実施形態において、IVカテーテルシステム1600を挿入構成から流体送達構成へと移行させる間、第1のウイング1614aの底面の少なくとも一部が、支持面1646に沿ってスライドしてもよい。いくつかの実施形態において、第1のウイング1614aおよび第1のグリップ1622aを流体送達構成へと移行させるとき、第1のウイング1614aおよび第1のグリップ1622aは、例えば、ニードル1616が覆われる程度に応じて、またはニードル1616をどれくらい深くカニューレ1606内に後退させるかに応じて、間隔を空けて離してもよく、そうでなくてもよい。
【0061】
重ねて、第2のグリップ1622bが存在する実施形態において、第2のグリップ1622bは、第1のグリップ1622aと同様に構成されてもよい。第2のウイング1614bに対する第2のグリップ1622bの動きは、第1のウイング1614aに対する第1のグリップ1622aの動きと同様でもよい。いくつかの実施形態において、第2のグリップ1622bは、第1のグリップ1622aと左右対称でもよい。
【0062】
図5に、第1のグリップ1622aおよび第2のグリップ1622bを含む、IVカテーテルシステム1600を示す。いくつかの実施形態において、第1のグリップ1622aおよび第2のグリップ1622bを有するIVカテーテルシステム1600は、支持面1646を含んでもよい。他の実施形態において、第1のグリップ1622aおよび第2のグリップ1622bを有するIVカテーテルシステム1600は、支持面1646を含まなくてもよい。いくつかの実施形態において、アクチュエータボタン1628は、第1のグリップ1622aと第2のグリップ1622bとの間に配置されてもよい。
【0063】
図6〜7に、いくつかの実施形態によるIVカテーテルシステム1600を示す。図6〜7には、挿入構成にあるIVカテーテルシステム1600が示されている。図6〜7に示すように、いくつかの実施形態において、カテーテルハブ1604は、第1のウイング1614aおよび/または第2のウイング1614bを含まなくてもよい。いくつかの実施形態において、グリップ1622aは、カテーテルハブ1604の遠位端1612を越えて延びていてもよく、および/または、カテーテルハブ1604から間隔を空けて離されていてもよい。いくつかの実施形態において、グリップ1622aのすべてまたは一部は、概して平面でもよい。
【0064】
いくつかの実施形態において、図3〜7のいずれかまたはすべてに示すIVカテーテルシステム1600は、前の実施形態のIVカテーテルシステムの部品と同様の部品を有してもよい。図3〜7のいずれにも示すIVカテーテルシステム1600は、ニードルハブ内に回収可能なニードルを含む、任意のカテーテルシステムを含んでもよい。いくつかの実施形態において、IVカテーテルシステム1600は、Becton,Dickinson,and Companyから市販されているAUTOGUARD(商標)遮蔽カテーテルを含んでもよい。具体的には、いくつかの実施形態において、IVカテーテルシステム1600は、INSYTE(商標)AUTOGUARD(商標)、またはANGIOCATH(商標)AUTOGUARD(商標)を含んでもよい。いくつかの実施形態において、IVカテーテルシステム1600は、IVカテーテルシステムが挿入構成にあるときに第1の位置から移動可能であり、ニードルが覆われてIVカテーテルシステムが挿入構成から流体送達構成に遷移中のときに第2の位置に移動可能であり、IVカテーテルシステムが流体送達構成にあるときに第3の回収位置または包まれる位置に移動可能であるニードルを備えた、任意のカテーテルシステムを含んでもよい。
【0065】
カテーテルハブ1604は、隔壁、例えば血液制御隔壁などを含んでも、含まなくてもよい。いくつかの実施形態において、ニードル1616が回収された後は、隔壁は閉じてもよく、これにより、血液が隔壁を越えて近位に流れることを防止してもよい。いくつかの実施形態において、IVカテーテルシステム1600へのルアー接続が行われたとき、隔壁が開いて、カテーテル1606への流れを可能にしてもよい。
【0066】
いくつかの実施形態において、流体を患者に送達するためにIVカテーテルシステム、例えばIVカテーテル1600など、を準備する方法は、IVカテーテルシステムを患者の流体送達部位の近くに配置することを含んでもよい。いくつかの実施形態において、この方法はまた、IVカテーテルシステムが挿入構成にある状態で、片手を使用してニードルおよびカニューレを流体送達部位に挿入することを含んでもよい。いくつかの実施形態において、この方法はさらに、ニードルおよびカニューレが挿入構成にある状態で、片手を使用してグリップを引きながらウイングを押して、挿入構成から流体送達構成へと移行するようIVカテーテルシステムを促すことを含んでもよく、流体送達構成では、ニードルはカテーテルハブの外部に配置される。いくつかの実施形態において、この方法は、流体送達構成でニードルがニードルハブ内に完全に包まれるように、アクチュエータボタンを押してニードルをIVカテーテルシステムのニードルハブ内に移動させることを含んでもよい。
【0067】
本発明は、本明細書で広範に記述され以下で特許請求されるその構造、方法、または他の本質的な特性を逸脱することなく、他の特定の形で具現化されてもよい。記載された実施形態は、あらゆる点において、制限的ではなく例示的なものに過ぎないと見なされるべきである。したがって、本発明の範囲は、以上の記述によってではなく添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の均等性の意味および領域の内に入るすべての変更は、その範囲に包含されるものとする。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7