特許第6931399号(P6931399)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6931399
(24)【登録日】2021年8月17日
(45)【発行日】2021年9月1日
(54)【発明の名称】血管内器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/287 20210101AFI20210823BHJP
   A61B 8/12 20060101ALI20210823BHJP
   A61B 5/06 20060101ALI20210823BHJP
【FI】
   A61B5/287 100
   A61B8/12
   A61B5/06
【請求項の数】20
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2019-546247(P2019-546247)
(86)(22)【出願日】2018年2月15日
(65)【公表番号】特表2020-508758(P2020-508758A)
(43)【公表日】2020年3月26日
(86)【国際出願番号】US2018018272
(87)【国際公開番号】WO2018156405
(87)【国際公開日】20180830
【審査請求日】2019年10月23日
(31)【優先権主張番号】15/442,024
(32)【優先日】2017年2月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515257519
【氏名又は名称】テレフレックス メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】アマン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ロウ ジェイミー シー
(72)【発明者】
【氏名】テントラー イゴール
(72)【発明者】
【氏名】ハインリー カート
(72)【発明者】
【氏名】ハーディング マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ホースト ニック
【審査官】 藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−532227(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0287090(US,A1)
【文献】 米国特許第6662055(US,B1)
【文献】 特表2015−536201(JP,A)
【文献】 特開平09−253063(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0278869(US,A1)
【文献】 特表平09−503929(JP,A)
【文献】 実開平01−172848(JP,U)
【文献】 米国特許第4971490(US,A)
【文献】 特開平07−079980(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/279−5/297
A61B 5/06
A61B 8/12
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内器具であって、
近位端部、遠位端部、および前記近位端部と前記遠位端部との間に延びる内側ルーメンとを備えた細長い部材と、
前記細長い部材の前記遠位端部のところに設けられたリング電極と、
前記リング電極の遠位端部のところに設けられた超音波センサと、
前記リング電極からの心電図信号をプロセッサに伝えるよう構成された第1の電気導体と、
前記第1の導体を前記リング電極に連結するアダプタ部材とを有し、
前記第1の電気導体は、テーパ付き遠位セグメントを有し、
前記テーパ付き遠位セグメントの遠位部分は、前記アダプタ部材に取り付けられ、前記アダプタ部材の遠位部分は、前記リング電極に取り付けられ、
前記アダプタ部材の近位部分は、前記細長い部材内に設けられ、前記アダプタ部材の前記遠位部分は、前記リング電極内に設けられている、血管内器具。
【請求項2】
前記血管内器具の遠位部分は、前記血管内器具の近位部分よりも柔軟性が高く、
前記第1の電気導体の前記テーパ付き遠位セグメントは、このテーパ付き遠位セグメントの遠位端部に向かう方向に大きな外径から小さな外径にテーパし、前記血管内器具の前記遠位部分の内部に設けられている、請求項1に記載の血管内器具。
【請求項3】
前記第1の電気導体は、前記細長い部材の前記近位端部を越えて前記アダプタ部材の前記遠位部分から延びている、請求項1に記載の血管内器具。
【請求項4】
前記アダプタ部材の前記近位部分は、前記細長い部材の前記遠位端部に取り付けられている、請求項1に記載の血管内器具。
【請求項5】
前記アダプタ部材の前記近位部分と前記細長い部材の前記遠位端部の取り付け部が流体密シールを形成している、請求項4に記載の血管内器具。
【請求項6】
前記アダプタ部材の前記近位部分を前記細長い部材の前記遠位端部に取り付けるために接着剤が用いられている、請求項5に記載の血管内器具。
【請求項7】
前記テーパ付き遠位セグメントの前記遠位部分は、前記アダプタ部材に溶接され、
前記アダプタ部材の前記遠位部分は、前記リング電極に溶接されている、請求項1に記載の血管内器具。
【請求項8】
前記超音波センサからの超音波信号を前記プロセッサに伝えるよう構成された第2の電気導体をさらに有し、
前記第1の電気導体および前記第2の電気導体は、前記細長い部材の内側ルーメン内に設けられている、請求項1に記載の血管内器具。
【請求項9】
第1の端部および第2の端部を備えた電気コネクタをさらに有し、
前記第1の端部は、前記プロセッサに結合するよう構成され、
前記第1の電気導体の近位端部および前記第2の電気導体の近位端部は、前記電気コネクタの前記第2の端部に取り付けられている、請求項8に記載の血管内器具。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記リング電極からの前記心電図信号および前記超音波センサからの前記超音波信号を用いて計算された情報に基づいて前記血管内器具の遠位端部の位置を求めるよう構成されている、請求項8に記載の血管内器具。
【請求項11】
前記超音波センサの周りに第1のエンクロージャを形成する第1の封入部材をさらに有する、請求項1に記載の血管内器具。
【請求項12】
前記超音波センサの周りに第2のエンクロージャを形成する第2の封入部材をさらに有し、
前記第2の封入部材は、前記リング電極に取り付けられ、
前記第2の封入部材は、前記リング電極の周りに流体密シールを形成している、請求項11に記載の血管内器具。
【請求項13】
前記第2の封入部材は、前記細長い部材の外径および前記リング電極の外径よりも大きい外径を有する、請求項12に記載の血管内器具。
【請求項14】
前記第2の封入部材の前記外径は、0.02インチ(0.508mm)以下である、請求項13に記載の血管内器具。
【請求項15】
前記細長い部材の前記外径と前記リング電極の前記外径は、実質的に等しい、請求項13に記載の血管内器具。
【請求項16】
前記第2の封入部材は、血管に対して無傷性先端部を形成している、請求項12に記載の血管内器具。
【請求項17】
前記細長い部材は、ポリイミド管である、請求項1に記載の血管内器具。
【請求項18】
血管内器具であって、
近位端部、遠位端部、および前記近位端部と前記遠位端部との間に延びる内側ルーメンとを備えた細長い部材と、
前記細長い部材の前記遠位端部のところに設けられたリング電極と、
前記リング電極の遠位端部のところに設けられた超音波センサと、
前記リング電極からの心電図信号をプロセッサに伝えるよう構成された第1の電気導体とを有し、
前記第1の電気導体は、テーパ付き遠位セグメントを有し、
前記血管内器具の遠位部分は、前記血管内器具の近位部分よりも柔軟性が高く、
前記第1の電気導体の前記テーパ付き遠位セグメントは、このテーパ付き遠位セグメントの遠位端部に向かう方向に大きな外径から小さな外径にテーパし、前記血管内器具の前記遠位部分の内部に設けられている、血管内器具。
【請求項19】
前記超音波センサからの超音波信号を前記プロセッサに伝えるよう構成された第2の電気導体をさらに有し、
前記第1の電気導体および前記第2の電気導体は、前記細長い部材の内側ルーメン内に設けられている、請求項18に記載の血管内器具。
【請求項20】
前記プロセッサは、前記リング電極からの前記心電図信号および前記超音波センサからの前記超音波信号を用いて計算された情報に基づいて前記血管内器具の遠位端部の位置を求めるよう構成されている、請求項19に記載の血管内器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示内容、すなわち本発明は、一般に、血管内器具、例えばスタイレットまたはカテーテル、特に1つまたは2つ以上のセンサを備えた柔軟性先端部を有するスタイレットに関する。
【背景技術】
【0002】
抹消から中心静脈まで挿入されるカテーテル(peripherally inserted central catheter:“PICC”)を含む血管内カテーテルは、栄養剤、化学療法薬、抗生物質、または他の薬物を患者に投与し、そして例えば血液透析や採血のような臨床的必要性を満たすよう用いられる場合がある。一般に、血管内カテーテルの先端部を患者の体内の特定の場所、例えば大静脈‐心房接合部(cavoatrial junction)までの上大静脈の下半分内に配置することが必要である。伝統的に、血管内カテーテルの先端部の場所は、X線画像化により確認される。しかしながら、患者の解剖学的構造の差および静脈経路をナビゲートする際の困難さに起因して、血管内カテーテルを患者の体内に配置するプロセスは、大きな労働力を要するとともに時間がかかり、しかも患者を多数回にわたるX線画像化プロセスに曝す場合がある。
【0003】
X線使用の代替手段として、心電図(“ECG”)センサ(例えば、ECG電極)またはドップラーセンサ(例えば、超音波トランスデューサ)を装備したスタイレットが、血管内カテーテルを患者の静脈経路中に挿入しているときに血管内カテーテルの先端部の場所を確認するために用いられる場合がある。カテーテルの配置具合を追跡するためのECG信号またはドップラー信号の使用により、X線画像化の必要性が軽減され、それにより患者の放射線への暴露が減少し、しかもカテーテルを患者の体内に配置するのに必要な費用および時間が軽減される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現行のセンサ装備型スタイレットは、ステンレス鋼コンポーネントを含む場合がある。多くの場合、これらスタイレットの遠位先端部は、設計上、剛性であり、したがってカテーテル挿入中に血管壁を損傷させる場合がある。したがって、血管への外傷を軽減するよう柔軟性先端部を備えたスタイレットが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記要望は、柔軟性先端部を備えた血管内器具、例えばスタイレットまたはカテーテルによって大幅に満たされる。1つまたは2つ以上の観点では、血管内器具は、近位端部、遠位端部、および近位端部と遠位端部との間に延びる内側ルーメンとを備えた細長い部材と、細長い部材の遠位端部のところに設けられたリング電極と、リング電極の遠位端部のところに設けられた超音波センサと、リング電極からの心電図信号をプロセッサに伝えるよう構成された第1の電気導体と、第1の導体をリング電極に連結するアダプタ部材とを有する。第1の電気導体は、テーパ付き遠位セグメントを有するのが良く、テーパ付き遠位セグメントの遠位部分は、アダプタ部材に取り付けられ、アダプタ部材の遠位部分は、リング電極に取り付けられる。アダプタ部材の近位部分は、細長い部材内に設けられるのが良く、アダプタ部材の遠位部分は、リング電極内に設けられるのが良い。
【0006】
幾つかの観点では、第1の電気導体は、大きな直径から小さな直径に移行する2〜3インチ(5.08〜7.62cm)にわたる漸変テーパを有するのが良い。他の観点では、第1の電気導体は、短い距離で大きな直径から小さな直径に移行するクイックまたは急峻なテーパを有するのが良く、それにより小さな直径のところで2〜3インチの領域が提供される。さらに他の観点では、第1の電気導体は、互いに異なる箇所で終端する多数本の電線を含むのが良く、それにより、より多くの本数の電線を備えた領域よりも高い融通性を電線の数の少ない領域に生じさせる。さらに別の観点では、第1の電気導体は、可変ピッチ編組電線補強材を有するのが良い。
【0007】
本発明の1つまたは2つ以上の具体化例の細部が添付の図面および以下の詳細な説明に記載されている。本発明の他の観点は、詳細な説明および図面ならびに特許請求の範囲の記載から明らかであろう。
【0008】
本発明を容易に理解することができるようにするため、本発明の諸観点は、添付の図面に例示として示されており、添付の図面全体にわたり、同一の参照符号は、同一の要素を示している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】柔軟性先端部型スタイレットを含む血管内器具の側面図である。
図2A】コネクタおよび柔軟性先端部型スタイレットの近位端部を支持する他の構造体を含む血管内器具の近位端部の部分断面図である。
図2B】管状部材の近位端部から延びる柔軟性先端部型スタイレットの電気導体またはケーブルの拡大図である。
図3】柔軟性先端部型スタイレットの遠位部分の拡大図である。
図4】柔軟性先端部型スタイレットの遠位端部のところに設けられたECG電極および超音波センサの拡大図である。
図5】柔軟性先端部型スタイレットの遠位端部のところに設けられたECG電極および超音波センサの断面図である。
図6】ECG信号を伝えるための電線または電気導体の第1の実施例を示す図(A,B)である。
図7】ECG信号を伝えるための電線または電気導体の第2の実施例を示す図(A,B)である。
図8】ECG信号を伝えるための電線または電気導体の第3の実施例を示す図(A,B)である。
図9】ECG信号を伝えるための電線または電気導体の第4の実施例を示す図(A,B)である。
図10】ECG信号を伝えるための電線または電気導体の第5の実施例を示す図(A,B)である。
図11】編組電気導体を有する柔軟性先端部型スタイレットの遠位部分の斜視図である。
図12】編組電気導体を有する別の柔軟性先端部型スタイレットの遠位部分の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
患者の血管系への接近は、治療を提供し、薬剤を投与し、そして他の臨床上の必要性を満たすための公知のやり方である。多くの手技は、静脈系と動脈系の両方に存在し、これら手技は、患者の要望に基づいて選択される。全ての血管を利用した治療に共通して見られる1つの課題は、患者を血管系の特定の場所または区分への接近である。血管を利用した接近療法の別の課題は、X線画像化、場合によっては超音波画像化が患者の静脈または動脈の血管系中に経皮的に挿入される血管内器具、例えば、カテーテル、スタイレット、ガイドワイヤ、および他の細長い本体の適正な位置決めおよび配置を確認するために必要とされるということにある。
【0011】
静脈接近手技の1つのありふれた形式は、中心静脈接近である。中心静脈接近は、直接心臓に通じる静脈中への静脈カテーテルの配置を必要とする。静脈接近器具は、最も多くの場合、とりわけ、薬物、例えば抗生物質、化学療法薬剤、および他の静脈内薬剤の投与、流体および栄養化合物(例えば、高栄養療法薬剤)の投与、血液製剤の輸注、血液透析、および診断検査のための多数回の採血のために用いられる。従来型中心静脈接近器具は、血流中への頻繁な接近を必要とする人々のための大径の静脈内に配置される小径の柔軟性管である。これら器具は、多くの場合、長期間にわたって、例えば、1週間、1ヶ月、またはそれどころかそれ以上に長い期間にわたって定位置に留まる。
【0012】
伝統的な外科的に配置される中心静脈カテーテルは、末梢から中心静脈まで挿入される静脈接近器具、例えばPICCでますます置き換えられている。PICCラインは、通常、中心静脈接近器具の場合よりも生じさせる重症合併症が少なく、かかるPICCラインは、種々の臨床的手技に用いられており、かかる臨床的手技としては、長期薬物到達、化学療法手技、静脈内薬物または静脈内栄養素の送達、および採血が挙げられる。PICCラインの挿入は、通常、病院スタッフにとって極めて時間がかかりかつ大きな労働力を要する手技であり、それによりかかる挿入にコストがかかる。この手技中、医師または看護師は、カテーテルの遠位端部が上大静脈に達するようにする目的で、カテーテルを表在性の腕静脈、例えば、撓側皮静脈、尺側皮静脈、肘前中静脈、肘正中皮静脈、または他の表在性の静脈中に配置する。例えば、患者の腕が曲がる領域(例えば、肘)周りの表在性静脈に入った後、カテーテルを鎖骨下静脈および腕頭静脈沿いに上方に前進させ、その後カテーテルが上大静脈に入る。
【0013】
PICCラインを誘導する方法は、外部電磁センサおよび血管内ECG誘導型カテーテルの使用を含む。電磁センサの場合、PICCラインは、器具の先端部のところに設けられている電磁素子(例えば、コイル)と外部のアウト・オブ・ボディ(out-of-body )型受信器との間の距離を評価することによって誘導される。血管内ECG誘導型カテーテルの場合、医師は、P波サイズの古典的な増加を当てにして洞房結節の付近のカテーテル先端部の存在場所を突き止める。既存の方法は、生理的食塩水で満たされたカテーテルの使用を含み、このカテーテルの近位端部にはECGシステムに連結されたECGアダプタが設けられている。
【0014】
血管系を通ってカテーテルを誘導することに加えて、カテーテル先端部の存在場所は、手技を成功に導く上で極めて重要である。カテーテルは、一般に、先端部を心臓の上または下で任意の主要な静脈内に位置させた場合に圧力測定および流体注入のために同じように良好に機能する。また、カテーテル先端部が治療の持続時間全体にわたって配置した後に定位置に位置したままであるようにすることは、大きな関心事である。カテーテル先端部が動いた場合、その有効性が低下するだけでなく、場合によっては、カテーテル先端部が心臓または周りの血管を損傷させる場合がある。典型的には、介入放射線医は、体内の静脈を描出するために蛍光透視剤を用い、次に、術後X線を慣例的に利用することによってカテーテル先端部の正確な位置決めを確認する。
【0015】
したがって、確認用X線を必要としないで、患者の体内におけるカテーテルの血管内誘導および配置を最適化する装置が要望されている。X線画像化の必要性をなくすことにより、患者の放射線への暴露ならびにX線画像化と関連したコストおよび時間が軽減される。さらに、放射線科内以外の臨床的環境内においてカテーテルを安全に誘導して配置するために使用できるカテーテル誘導および配置システムが要望され続けている。したがって、当該医療分野において、カテーテルおよび他の器械を血管系一般中に位置決めし、誘導し、そして配置する器械、システム、および関連方法が要望され続けている。
【0016】
本明細書において説明するシステムおよび方法は、カテーテル、例えばPICCの挿入およびその先端部存在場所の確認を助ける血管内器具を提供する。かかるシステムおよび方法は、患者の血管系を通るカテーテルの運動を追跡するために超音波トランスデューサによって集められたドップラー信号と一緒に血管内ECG信号を検出するために柔軟性先端部付きの低インピーダンス電極を用いる。ECGおよびドップラーデータを信頼することによって、本明細書において説明するシステムおよび方法は、X線画像化の必要をなくし、それにより時間および費用を節約するとともに放射線暴露を減少させる。かかるシステムおよび方法は、良質のECG測定を保証するよう低インピーダンスECG電極を採用する。かかるシステムおよび方法は、カテーテルが患者の血管系を通ってナビゲートされているときに患者の血管壁を損傷させる恐れを減少させる柔軟性先端部設計をさらに含む。
【0017】
本発明の諸観点によれば、カテーテル内に位置決めされるのが良いスタイレットがECG電極および超音波トランスデューサを有する。ECG電極は、ECG電極からのECG信号を外部プロセッサに伝える電気導体に電気的に接続されるのが良い。超音波トランスデューサは、このトランスデューサによって集められたドップラー信号を外部プロセッサに伝える同軸ケーブルに取り付けられるのが良い。熱硬化ポリマー管がECG信号の電気導体と同軸ケーブルの両方を収用するのが良い。ECG信号およびドップラー信号は、電気導体および同軸ケーブルを介してスタイレットの長さ全体にわたって伝えられ、かかる電気導体と同軸ケーブルの両方は、スタイレットの近位端部のところに設けられたコネクタにはんだ付けされるのが良い。コネクタは、信号を解釈し、そしてPICCを患者の血管系内に位置決めするために血管内器具を用いているユーザ(例えば、医師、看護師)にフィードバックを与えるコンソールに結合しまたはこの中にプラグ接続するよう構成されているのが良い。
【0018】
幾つかの観点では、ECGおよびドップラー装備型スタイレットの互いに異なるコンポーネントは、(i)ステンレス鋼、(ii)プラチナ・イリジウム化合物、および(iii)銀エポキシを含む材料から構成されるのが良い。ステンレス鋼は、その生体適合性、強度、および比較的低いコストのために医療器具で一般的に用いられている材料である。ステンレス鋼はまた、電気の良導体であるが、高い溶液インピーダンスを有し、それにより流体からの電気信号を検出する際のステンレス鋼の有効度が低くなる。プラチナ・イリジウム化合物もまた、電気を良く伝え、しかも低い溶液インピーダンスを有し、それによりかかるプラチナ・イリジウム化合物は、流体からの電気信号を検出する上でより理想的になる。プラチナは、軟質材料であるので、イリジウムが化合物の全体的強度を増すために加えられる。しかしながら、プラチナ・イリジウム化合物は、ステンレス鋼よりも一般的に軟質でありかつ高価である。銀エポキシは、銀エポキシを導電性にするために銀粒子が混入されたエポキシから成る。銀エポキシは、はんだの代替手段として用いられ、熱への暴露によって硬化する。
【0019】
本明細書の好ましい諸観点によれば、本明細書において説明するシステムおよび方法は、PICCとの良好な適合性を計算に入れて小さな全体的外径および特に小さな先端部外径を有するスタイレットを提供することができる。これらスタイレットは、スタイレットおよびスタイレットとPICCの組立体に高い剛性を与える構造体をこれらの主要本体に沿って有するのが良い。増大した剛性は、患者の血管系を通るカテーテルおよびスタイレットの挿入およびナビゲーションを容易にすることができる。加うるに、スタイレットは、スタイレットとカテーテルの組立体が血管内を通過しているときに血管に対する外傷を最小限に抑える柔軟なまたは軟性の先端部を有するのが良い。
【0020】
図1を参照すると、血管内器具100が示されている。血管内器具100は、コネクタ組立体110、ハブ部材120、ガード130、およびスタイレット200を有する。コネクタ組立体110は、コンピュータ(図示せず)に設けられているポートに取り付けられまたはプラグ接続されるよう構成されているのが良い。変形例として、コネクタ組立体110は、コンピュータに取り付けられまたはプラグ接続される1本または2本以上のコードまたは電線に取り付けられるよう構成されていても良い。コンピュータは、以下にさらに詳細に説明するように、スタイレット200に設けられた1つまたは2つ以上のセンサから信号を受け取ってこれを処理するよう構成されたプロセッサを含むのが良い。ハブ部材120およびガード130は、スタイレット200のためのひずみ取りとなることができる。ハブ部材120はまた、スタイレット200の運動を操作するよう医師または他のユーザによって使用可能である。例えば、ユーザは、ハブ部材120をつかんでこれを回転させまたは違ったやり方で動かしてスタイレット200の所望の運動を生じさせることができる。ハブ部材120とスタイレット200は、ハブ部材120の回転または運動によりトルクをスタイレット200に加えることができ、または回転もしくは運動をスタイレット200に与えることができるよう互いに取り付けられるのが良い。
【0021】
本発明の幾つかの観点によれば、ハブ部材120およびコネクタ組立体110は、ハブ部材120の運動によっては、コネクタ組立体110によってコンピュータに提供される接続性が妨害されないよう、少なくとも、コンピュータに接続されているコネクタ組立体110の部分または追加の線材(例えば、コネクタ組立体110の近位部分)の運動が生じないようにこれら相互間の相対運動を可能にするよう構成されているのが良い。本発明の他の観点によれば、ハブ部材120とコネクタ組立体110は、一緒に回転することができ、コネクタ組立体110の近位側の別のコンポーネントは、コンピュータとの接続性が維持されるようにすることができる。
【0022】
血管内器具100は、長さL1を有するのが良く、スタイレット200の露出部分は、長さL2を有するのが良い。長さL2は、血管内器具100の長さL1のほぼ半分であるのが良い。一観点では、長さL1は、72インチ(182.9cm)であるのが良く、長さL2は、35インチ(88.9cm)であるのが良い。
【0023】
次に図2Aを参照すると、血管内器具100の非分解図が示されている。コネクタ組立体110は、コンピュータまたはコンピュータに接続された1本または2本以上のコードもしくは電線に接続可能な近位端部を含む。コネクタ組立体110は、スタイレット200の1本または2本以上の電気導体またはケーブルを受け入れる追加のコンポーネント114,116をさらに含む。例えば、コネクタ組立体110のコンポーネント114,116のうちの1つまたは2つ以上は、スタイレット200の同軸ケーブル216および電線214を受け入れる複数のピンコネクタを含むのが良い(後述する)。本発明の幾つかの観点では、スタイレット200の同軸ケーブル216および電線214は、コネクタ組立体110のコンポーネント114,116のうちの1つまたは2つ以上にはんだ付けされるのが良い。同軸ケーブル216および電線214は、以下にさらに詳細に説明するように、スタイレット200に設けられている1つまたは2つ以上のセンサから信号を受け取るのが良い。コネクタ組立体110は、コネクタ組立体110をハブ部材120に取り付けるための1つまたは2つ以上の突出部112をさらに含むのが良い。一観点では、コネクタ組立体110の突出部112は、ハブ部材120の内側に設けられた凹み122中にラッチ留め可能である。血管内器具100は、スタイレット200を血管内器具100の他のコンポーネント(例えば、ハブ部材120、ガード130、コネクタ組立体110)に対して定位置に保持するクランプ118をさらに有する。ハブ部材120とコネクタ組立体110を互いに組み立てると、クランプ118は、ハブ部材120内の凹部124内に設けられるのが良い。
【0024】
図2Bは、図2Aに示されている領域Aの拡大図である。図2Bに示されているように、2つの電気導体214,216は、ガード130の近位端部から延びるのが良い。電気導体216は、スタイレット200に設けられている超音波トランスデューサ230(後述する)に連結された同軸ケーブルであるのが良く、電気導体214は、スタイレット200に設けられたECG電極220(後述する)に連結された導電線であるのが良い。導体214,216は、超音波トランスデューサ230およびECG電極220から信号を受け取って、コネクタ組立体110を介してこれらの信号をコンピュータまたはプロセッサに伝えることができる。図2Bに示されているように、導体のうちの一方(例えば、導体216)は、他方の導体(例えば、導体214)の長さL3よりも長い長さL4を有するのが良い。本発明の別の観点では、導体214,216は、実質的に同一である長さを有しても良く、あるいは導体214の長さL3は、導体216の長さL4よりも長くても良い。
【0025】
次に図3を参照すると、スタイレット200の遠位部分が示されている。スタイレット200は、細長い部材210、ECGリング電極220、および超音波トランスデューサまたはセンサ230を有している。細長い部材210は、ポリマー、例えばポリイミドで作られた細長い管から成るのが良い。細長い部材210は、近位端部(図示せず)および遠位端部を有するのが良い。リング電極220は、低溶液インピーダンスを備えた導電性材料、例えばプラチナ(白金)・イリジウムで作られた円筒形マーカーバンドから成るのが良い。リング電極220は、患者の生体内ECG信号を提供することができる。超音波トランスデューサ230は、患者の血管系の生体内における非画像ベースの超音波情報を提供する非画像化超音波トランスデューサであるのが良い。他の観点では、超音波トランスデューサ230に代えて、スタイレット200の遠位端部に取り付けられた別形式のセンサまたは複数の互いに異なる形式のセンサを用いても良い。例えば、超音波トランスデューサ230に代えて、患者の血管系内の生理学的パラメータを検出してこれを測定するための圧力センサ、光センサ、バイオセンサ、または他の何らかの形式のセンサを用いても良い。超音波トランスデューサ230は、超音波トランスデューサ230に近接する血流情報の識別に役立つドップラー超音波情報を提供することができる。超音波トランスデューサ230は、超音波送信器および超音波受信器から成るのが良い。超音波送信器は、超音波信号を患者の血管系中に送信することができ、超音波受信器は、患者の血管系からの反射超音波信号を受信することができる。反射超音波信号は、超音波トランスデューサ230の付近の血流量を指示することができる。ある特定の観点では、超音波トランスデューサ230は、六角形の断面形状を有するのが良い。幾つかの観点では、超音波トランスデューサ230は、超音波受信器よりも遠位側に延びる超音波送信器を有するのが良い。他の観点では、超音波トランスデューサ230は、超音波送信器よりも遠位側に延びる超音波受信器を有するのが良い。図3に示されているように、リング電極220は、細長い部材210の遠位端部のところに設けられるのが良く、超音波トランスデューサ230は、リング電極220の遠位端部のところに設けられるのが良い。
【0026】
本発明の諸観点によれば、本明細書において開示するシステムおよび方法は、リング電極220および超音波トランスデューサ230によって集められた特定の血流量およびECG情報に基づいて患者の血管系内のスタイレット200の遠位端部の位置を求めることができる。ECG情報および超音波情報(血流量を表わす)を用いてカテーテルまたはスタイレットの位置を求める例示の方法が2008年6月26日に出願された米国特許第8,597,193号明細書および2013年3月14日に出願された米国特許第8,965,490号明細書に記載されており、これら米国特許を参照により引用し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。幾つかの観点では、スタイレット200は、カテーテル本体(図示せず)の内側ルーメン内に配置されるのが良い。スタイレット200の遠位端部は、カテーテル本体の遠位端部または先端部と整列するのが良くまたはこれを越えて位置決めされるのが良い。そして、スタイレット200は、患者の血管系を通ってカテーテルを誘導するために用いられるのが良い。例えば、スタイレット200は、カテーテル、例えばPICC内に位置決めされるのが良く、カテーテルをスタイレットから受け取った読みおよび測定値(例えば、血流量パターン、ECG信号)に基づいて患者の血管系中に挿入し、この中で前進させ、そしてこの中に位置決めするのが良い。スタイレット200の細長い部材210は、カテーテル本体内へのスタイレット200の挿入および配置を容易にする潤滑性材料で作られるのが良い。
【0027】
次に図4および図5を参照すると、スタイレット200の遠位先端部の詳細図が示されている。図4は、図3に印付けられているスタイレット200の領域Bの拡大図である。そして、図5は、スタイレット200の遠位部分の断面図である。図5に示されているように、スタイレット200は、円筒形バンドの形態をしたアダプタ部材218をさらに有する。細長い部材210は、アダプタ部材218の近位部分を覆いまたはこれとオーバーラップするのが良い。細長い部材210は、このオーバーラップ領域に沿ってアダプタ部材218の近位部分に取り付けられるのが良い。細長い部材210をアダプタ部材218の近位部分に取り付けるために接着剤、例えばLoctite(登録商標)4014(商標)接着剤(透明で無色のエチルを主成分とする接着剤)が用いられるのが良い。取り付け部は、細長い部材210とアダプタ部材218との間に流体密シールを形成することができる。細長い部材210の遠位端部は、リング電極220の近位端部に隣接するのが良い(例えば、これに当接するのが良い)。細長い部材210の遠位端部の外径とリング電極220の近位端部の外径は、細長い部材210とリング電極220との間に滑らかな移行部が作られ、それにより先端部が血管組織に引っかかる恐れを最小限に抑えるよう実質的に同一または等しいのが良い。
【0028】
スタイレット200は、近位部分よりも柔軟性の高い遠位部分を有するのが良い。本発明の書簡転移よれば、スタイレットの遠位部分は、スタイレットが近位部分よりも遠位部分の方が柔軟性の高い電気導体(例えば、電線)を有するので、柔軟性が高いのが良い。例えば、スタイレット200は、第1の電気導体214を有する。電気導体214は、導電性金属電線、例えばステンレス鋼線から成るのが良い。電気導体214は、リング電極220からのECG信号をコンピュータまたはプロセッサに伝えるよう構成されているのが良い。図5に示されているように、電気導体214は、テーパ付き遠位セグメント、例えばテーパ付き表面を備えた遠位セグメントを有するのが良い。テーパ付き遠位セグメントは、電気導体214の遠位端部に向かう方向に大きな直径から小さな直径までテーパしているのが良い。テーパ付けに起因して、電気導体214は、その近位端部と比較して、その遠位端部に向かって柔軟性が高くなっているのが良い。電気導体214のテーパ付き遠位セグメントは、スタイレットの遠位部分内に設けられるのが良く、したがって、スタイレット200の遠位部分は、電気導体214のテーパ付き遠位セグメントの高い柔軟性に起因して柔軟性が高いと言える。
【0029】
電気導体214のテーパ付き遠位セグメントは、アダプタ部材218の内面に取り付けられた遠位部分を有する。本発明の幾つかの観点によれば、電気導体214は、はんだ付けまたは溶接によりアダプタ部材218の内面に取り付けられるのが良い。他の観点によれば、電気導体214は、はんだ付け/溶接に加えてまたははんだ付け/溶接に代えて、導電性接着剤、例えば銀エポキシを用いてアダプタ部材218の内面に取り付けられるのが良い。
【0030】
アダプタ部材218は、リング電極220の内面に取り付けられた遠位部分を有する。本発明の幾つかの観点によれば、アダプタ部材218は、はんだ付けまたは溶接によりリング電極220の内面に取り付けられるのが良い。他の観点では、アダプタ部材218は、はんだ付け/溶接に加えてまたははんだ付け/溶接に代えて、導電性接着剤、例えば銀エポキシを用いてリング電極220の内面に取り付けられるのが良い。アダプタ部材218とリング電極220との取り付け部は、これら2つのコンポーネント相互間に流体密シールを形成することができる。アダプタ部材218は、電気導体214およびリング電極220へのその取り付けにより、電気導体214をリング電極220に連結する。アダプタ部材218は、細長い部材210、電気導体214、およびリング電極220に取り付けられているので、アダプタ部材218は、電気導体214とリング電極220との間の安定しかつ確実な連結部となる。
【0031】
アダプタ部材218は、ステンレス鋼または別の導電性材料で作られるのが良い。アダプタ部材218は、細長い部材210の外径よりも小さな外径およびリング電極220の外径を有するのが良い。図5に示されているように、アダプタ部材218の近位部分は、細長い部材210内に設けられ、アダプタ部材218の遠位部分は、リング電極220内に設けられている。本発明のある特定の観点によれば、アダプタ部材218の同径部分は、細長い部材210およびリング電極220内に設けられるのが良い。他の観点では、リング電極220よりも大きいまたは小さいアダプタ部材218の部分は、細長い部材210内に設けられるのが良い。アダプタ部材218の小さな直径に起因して、スタイレット200の最大内径は、アダプタ部材218のあたりでは減少している。しかしながら、スタイレット200の全体的直径は、電気導体214のテーパ付けに起因してこの小さい直径領域を計算に入れるよう増大する必要はない。電気導体214はまた、アダプタ部材218の付近で小さな直径までテーパしているので、このテーパ付けにより、第2の導体(後述する)または他の内部スタイレットコンポーネントの通過を可能にする空間がスタイレット200内に作られている。
【0032】
本発明の幾つかの観点によれば、アダプタ部材218は、スタイレット200内の他のコンポーネント(例えば、第2の導体216)のための追加の隙間を提供するよう波形に切られても良い(例えば、アダプタ部材218の一部分が切欠かれても良い。
【0033】
スタイレット200は、超音波トランスデューサ230に取り付けられた第2の導体216をさらに有する。導体216は、同軸ケーブルから成るのが良い。導体216は、超音波トランスデューサ230から信号を受け取ってこれら信号をコンピュータまたはプロセッサに伝えるよう構成されているのが良い。導体214,216は、細長い部材210の内側ルーメン内に設けられるのが良い。一観点によれば、導体214,216は、細長い部材210の全長に沿って延びるのが良い。そして、特に、導体214は、細長い部材210の近位端部を越えてアダプタ218の遠位部分から延びるのが良い。
【0034】
図5に示されているように、超音波トランスデューサ230は、第1の封入部材234内に封入されている。第1の封入部材234は、透明な材料、例えばエポキシまたは他形式のポリマーで作られるのが良い。第1の封入部材234は、超音波トランスデューサ230を包囲するのが良く、それにより超音波トランスデューサを外部の諸要素から遮蔽しまたは封止する。図4に示されているように、超音波トランスデューサ230および第1の封入部材234はまた、第2の封入部材232内に封入されている。第2の封入部材232は、超音波トランスデューサ230の周りに第2のエンクロージャを形成するのが良い。第2の封入部材232は、第1の封入部材234と同種の材料で作られても良く、あるいは別の材料で作られても良い。封入部材232,234の両方は、これらを超音波トランスデューサ230のための1つまたは2つ以上のレンズとして用いることができるよう透明な材料で作られるのが良い。第1の封入部材234は、超音波トランスデューサ230の周りにエンクロージャを形成することができ、そして同軸ケーブルまたは第2の導体216の遠位部分に取り付けられまたはくっつけられるのが良い。第1の封入部材234は、第2の導体216がスタイレット200の中心軸線に向かって曲がる領域に沿って第2の導体216に取り付けられるのが良い。図5に示されているように、第2の導体216は、第2の導体216がスタイレット200の内部空間を第1の導体214と共有している場合、当初、スタイレット200の下半分を占有するのが良い。しかしながら、超音波トランスデューサ230のより遠位側の位置決めに起因して、第2の導体216は、超音波トランスデューサ230に結合するために第1の導体214の遠位端部を越えて延びるのが良い。超音波トランスデューサ230の中心は、リング電極220と超音波トランスデューサ230との間の滑らかな移行部を作るとともにリング電極220と超音波トランスデューサ230との側方オフセットを回避するためにスタイレット200の先端部のところに位置するのが良い。かくして、第2の導体216は、これが第1の導体214を越えて延びる領域においてスタイレット200の中心に向かって曲がるのが良い。第2の導体216は、第1の導体214を越えて距離L7だけ延びるのが良い。本発明の幾つかの観点によれば、この距離L7は、ほぼ0.02インチ(0.508mm)であるのが良い。
【0035】
第2の封入部材232は、超音波トランスデューサ230と第1の封入部材234の両方の周りにエンクロージャを形成することができ、そしてリング電極220の外面に取り付けられまたはくっつけられるのが良い。かくして、第2の封入部材232は、超音波トランスデューサ230とリング電極220との間に流体密シールを形成することができる。第2の封入部材232は、リング電極220の長手方向長さに沿って距離L5にわたって延びるのが良い。第2の封入部材232は、距離L5に沿ってリング電極220の外面にくっつけられるのが良い。距離L5は、0.015インチ(0.381mm)以下であるのが良い。第2の封入部材232により形成される流体密シールは、細長い部材210とアダプタ部材218との間の流体密シールおよびアダプタ部材218とリング電極220との間の流体密シールと一緒になって、スタイレット200の先端部の内側を外の流体および他の物質から効果的に封止する。第2の封入部材232は、無傷性の湾曲したまたは全体として滑らかな表面をさらに有するのが良い。
【0036】
第1の封入部材234は、外径L8を有するのが良く、第2の封入部材232は、外径L6を有するのが良い。外径L6は、約0.02インチ(0.508mm)であるのが良く、外径L8は、約0.0185インチ(0.4699mm)であるのが良い。本発明の一観点では、第2の封入部材232の外径L6は、細長い部材210の外径およびリング電極220の外径よりも大きい。かくして、第2の封入部材232の外径L6は、スタイレット200の最も大きな側方寸法を表わしている。
【0037】
次に図6Aおよび図6Bを参照すると、電気導体314の遠位部分が示されている。電気導体314は、ECG電極からのECG信号をプロセッサに伝えるよう構成された導体の別の実施例である。電気導体314は、ステンレス鋼または別の種類の導電性材料で形成されるのが良い。電気導体214と同様、電気導体314は、大きな直径L9から小さな直径L10まで次第にテーパした遠位部分を有するのが良い。大きな直径L9から小さな直径L10までのこの漸変テーパ付けは、2〜3インチ(5.08〜7.62cm)の長手方向距離にわたって起こるのが良い。本発明の一観点によれば、大きな直径L9は、約0.007インチ(0.1778mm)であるのが良く、小さな直径L10は、大きな直径L9の約60〜70%(例えば、0.0045インチ(0.1143mm))であるのが良い。漸変テーパは、電気導体314の遠位端部を研削することによって形成されるのが良い。図6Bは、電気導体314のC‐C線矢視断面図である。図6Bに示されているように、電気導体314は、円形の断面領域を有する。
【0038】
図7Aおよび図7Bを参照すると、電気導体414の遠位部分が示されている。電気導体414は、ECG電極からのECG信号をプロセッサに伝えるよう構成された導体の別の実施例である。電気導体414もまた、ステンレス鋼または別の種類の導電性材料で作られるのが良い。電気導体414は、スタイレット200において電気導体214に代えて使用できる。電気導体414は、急激なテーパ(例えば、クイック(quick )またはファースト(fast)テーパ)を有するのが良い。図7Aに示されているように、電気導体414は、小さな外径L12(例えば、0.0045インチ(0.1143mm))まで急激にテーパした大きな外径L11(例えば、0.007インチ(0.1778mm))を有する。この急激なテーパは、1インチ(2.54cm)未満の長手方向距離にわたって起こるのが良い。かくして、電気導体414は、約2〜3インチ(5.08〜7.62cm)にわたって延びる小径部分を有するのが良い。この急激なテーパは、電気導体414の遠位端部を研削することによって形成されるのが良い。図7Bは、電気導体414のD‐D線矢視断面図である。図7Bに示されているように、電気導体414は、円形の断面領域を有する。
【0039】
図8Aおよび図8Bを参照すると、電気導体514の遠位部分が示されている。電気導体514は、ECG電極からのECG信号をプロセッサに伝えるよう構成された導体の別の実施例である。電気導体514もまた、ステンレス鋼または別の種類の導電性材料で作られるのが良い。電気導体514は、スタイレット200において電気導体214に代えて使用できる。電気導体514は、湾曲した表面および平らな表面を有するのが良く、これら表面は、電気導体514が取り付けられているマーカーバンドまたは管に合致したアールを備えたダイ中に電気導体514の遠位部分を押し込むことによって形成できる。例えば、電気導体514は、電気導体514がスタイレット(例えば、スタイレット200)内に組み立てられたときに電気導体514に取り付けることができるアダプタ(例えば、アダプタ218)のアールに合致したアールを備えたダイ中に電気導体514の遠位端部を押し込むことによって形成できる。
【0040】
電気導体514は、直径L13(例えば、0.007インチ(0.1778mm))を備えた円形部分および平らにされた状態の寸法L14(図8Aに示されている)および幅L15(図8Bに示されている)を備えた平らにされた部分を有するのが良い。平らにされた状態の寸法L14は、直径L13よりも大きいのが良い。一観点では、平らにされた状態の寸法L14は、直径L13よりも40〜50%大きい(例えば、0.01インチ(0.254mm))のが良い。幅L15は、直径L13よりも小さいのが良い。一観点では、幅L15は、直径L13の約60〜70%(例えば、0.0045インチ(0.1143mm))であるのが良い。図8Bは、電気導体314のE‐E線矢視断面図である。図8Bに示されているように、電気導体514は、半長円形または半円形の断面領域を有するのが良い。この形状は、電気導体514を電気導体514の幅L15に沿って第1の方向に撓ませたときの高い柔軟性を考慮に入れるとともに電気導体514を電気導体514の平らにされた状態の寸法L14に沿う第2の方向に撓ませたときの低い柔軟性の実現を可能にすることができる。
【0041】
図9Aおよび図9Bを参照すると、電気導体614の遠位部分が示されている。電気導体614は、ECG電極からのECG信号をプロセッサに伝えるよう構成された導体の別の実施例である。電気導体614もまた、ステンレス鋼または別の種類の導電性材料で作られるのが良い。電気導体614は、スタイレット200において電気導体214に代えて使用できる。電気導体614は、第1の電線614aおよび第2の電線614bから成るのが良い。第1の電線614aは、小さな直径L16を有するのが良く、第2の電線614bは、大きな直径L17を有するのが良い。本発明の一観点によれば、第2の電線614bの直径L17は、約0.007インチ(0.1778mm)であるのが良く、第1の電線614aの直径L16は、直径L17の約50〜70%(例えば、0.004インチ(0.1016mm))であるのが良い。
【0042】
第1の電線614aは、スタイレットの全長にわたって延びるのが良く、これに対し、第2の電線614bは、スタイレットの全長の一部分にわたって延びるのが良い。図9Aに示されているように、第1の電線614aは、第2の電線614bよりも遠位側の箇所まで延びるのが良い。一観点では、第1の電線614aは、第2の電線614bの遠位端部を越えてさらに2〜3インチ(5.08〜7.62cm)にわたって延びるのが良い。電気導体614は、第1の電線614aの付近では、しかしながら第2の電線614bがないところでは柔軟性が高いのが良い。スタイレット(例えばスタイレット200)内での組み立て時、第1の電線614aの遠位端部は、直接的にかあるいはアダプタ(例えば、アダプタ218)を介してかのいずれかの仕方でリング電極(例えば、リング電極220)または他形式のECG電極に接続されるのが良い。図9Bは、電気導体614のF‐F線矢視断面図である。図9Bに示されているように、第1の電線614aおよび第2の電線614bは、円形の断面領域を有する。
【0043】
図10Aおよび図10Bを参照すると、電気導体714の遠位部分が示されている。電気導体714は、ECG電極からのECG信号をプロセッサに伝えるよう構成された導体の別の実施例である。電気導体714もまた、ステンレス鋼または別の種類の導電性材料で作られるのが良い。電気導体714は、スタイレット200において電気導体214に代えて使用できる。電気導体714は、硬い電線714aの遠位端部に溶接された小径のコイル状電線714bから成るのが良い。コイル状電線714bは、硬い電線714aの遠位端部を越えて2〜3インチ(5.08〜7.62cm)にわたって延びるのが良い。電気導体714は、コイル状電線714bの付近では柔軟性が高いのが良い。
【0044】
硬い電線714aは、直径L18を有するのが良く、コイル状電線714bは、最大外径L19を有するのが良い。コイル状電線714bにより作られる直径L19は、硬い電線714aの直径L18よりも大きいのが良い。本発明の一観点によれば、コイル状電線714bの直径L19は、約0.01インチ(0.254mm)であるのが良く、硬い電線714aの直径L18は、直径L19の約60〜70%(例えば、0.07インチ(0.1778mm))であるのが良い。スタイレット(例えば、スタイレット200)内での組み立て時、コイル状電線714bの遠位端部は、直接的にかまたはアダプタ(例えば、アダプタ218)を介してかのいずれかの状態でリング電極(例えば、リング電極220)または他形式のECG電極に接続されるのが良い。図10Bは、電気導体714のG‐G線矢視断面図である。図10Bに示されているように、硬い電線714aは、円形の断面領域を有するのが良く、コイル状電線714bは、円形のコイルを形成するのが良い。
【0045】
次に図11を参照すると、スタイレット800の遠位部分が示されている。スタイレット200と同様、スタイレット800は、血管内器具、例えば血管内器具100の一コンポーネントであるのが良い。かくして、スタイレット800の近位部分は、ハブ部材(例えば、ハブ部材120)を貫通するのが良く、そしてコネクタ組立体(例えば、コネクタコンポーネント114,116を含むコネクタ組立体110)に連結されるのが良い。スタイレット800の遠位部分は、図11に示されているように、センサ830およびマーカーバンド820を有する。センサ830は、超音波トランスデューサ230とほぼ同じ超音波トランスデューサ、または別の形式のセンサ(例えば、圧力センサ、温度センサ、光センサ、バイオセンサ)であるのが良い。センサ830はまた、複数の互いに異なるセンサから成っていても良く、かかるセンサとしては、超音波トランスデューサ、圧力センサ、光センサなどが挙げられる。センサ830は、透明な材料832、例えばエポキシまたは他のポリマー材料内に封入されるのが良い。透明な材料832は、これが無傷性先端部を形成するよう丸みが付けられるとともに滑らかであるのが良い。透明な材料832はまた、センサ830によって生じたビームまたは信号を案内するレンズとして機能することができる。例えば、センサ830が超音波トランスデューサである場合、センサ830は、超音波信号を患者の血管系中に送ることができる。かかる場合、透明な材料832は、超音波信号のプロフィールまたは輪郭形状を最適化するレンズ(または複数のレンズ)として機能するのが良い。変形例として、センサ830が光センサである場合、センサ830は、光ビームを患者の血管系中に送ることができ、透明な材料832は、光信号プロフィールを最適化するレンズ(または複数のレンズ)として機能することができる。
【0046】
センサ830は、マーカーバンド820の遠位端部に取り付けられるのが良い。本発明のある特定の観点によれば、透明な材料832は、センサ830を包囲した状態でマーカーバンド820の遠位端部の外面に取り付けられるのが良い。したがって、透明な材料832は、マーカーバンド820とセンサ830との間に流体密シールを形成することができる。マーカーバンド820は、中空の内側ルーメンを備えた円筒形のバンドから成るのが良い。マーカーバンド820の内側ルーメンは、同軸ケーブル812の通過を許容できる。同軸ケーブル812は、電気導体の一実施例であるのが良い。同軸ケーブル812は、マーカーバンド820の内側ルーメンを貫通してセンサ830に取り付けられるのが良い。同軸ケーブル812は、センサ830から信号を受け取ってかかる信号を1つまたは2つ以上の追加のコネクタおよび電線経由でコンピュータに伝えることができる。同軸ケーブル812は、スタイレット800の全長に沿って延びるのが良い。
【0047】
マーカーバンド820は、患者の血管系からのECG信号を測定するよう構成されたECG電極として機能することができる。マーカーバンド820は、低い溶液インピーダンスを有する金属材料、例えばプラチナ・イリジウムで形成されるのが良い。マーカーバンド820は、スタイレット800の長さに沿って延びる編組導体814に取り付けられるのが良い。編組導体814は、2つの管状部材810,811相互間に設けられた複数の導電線(例えば、ステンレス鋼線)から成るのが良い。図11に示されているように、編組導体814は、外側管状部材810と内側管状部材811との間にサンドイッチされている。外側および内側管状部材810,811は、ポリマー、例えばポリイミドで形成されるのが良い。編組導体814は、マーカーバンド820からのECG信号を受け取ってこれらECG信号を1つまたは2つ以上の追加のコネクタおよび電線経由でコンピュータに伝えることができる。編組導体814は、スタイレット800の全長に沿って延びるのが良い。
【0048】
幾つかの観点では、編組導体814は、可変剛性を有する領域を作るためにスタイレット800の長さに沿ってピッチが変化した巻きまたは編組電線を有するのが良い。例えば、編組導体814の電線は、スタイレット800の遠位端部の近くに高い柔軟性を提供するようスタイレット800の遠位端部の近くに大きなピッチ(例えば、より広い間隔を置いて配置された別々のコイル)を有するのが良い。他の観点では、編組導体814は、スタイレットの剛性を変化させるために幾つかの領域において低い電線カウント(例えば、少数本の電線)を有するのが良い。例えば、編組導体814は、スタイレット800の遠位端部の近くに高い融通性を提供するようスタイレット800の遠位端部の近くに低い電線カウントを有するのが良い。
【0049】
マーカーバンド820は、外側管状部材810と内側管状部材811のうちの一方またはこれら両方によって覆われた近位部分820aを有するのが良い。換言すると、外側管状部材810または内側管状部材811は、マーカーバンド820の一部分820aとオーバーラップするのが良い。このオーバーラップ配置により、マーカーバンド820の取り付け部と編組導体814との間に追加の安定性が生じる。さらに、オーバーラップ配置は、管状部材810,811とマーカーバンド820との間に流体密シールを形成する。管状部材810,811は、接着剤、例えばLoctite(登録商標)4014(商標)接着剤を用いてマーカーバンド820に取り付けられるのが良い。
【0050】
本発明の諸観点によれば、本明細書において開示するシステムおよび方法は、マーカーバンド820およびセンサ830によって集められる特定血流量およびECG情報に基づいて患者の血管系内におけるスタイレット800の遠位端部の位置を求めることができる。例えば、特定血流量パターンおよびECG信号は、患者の血管系内の特定の場所と関連している場合がある。幾つかの観点では、スタイレット800は、カテーテル本体(図示せず)の内側ルーメン内に配置されるのが良い。スタイレット800の遠位端部は、カテーテル本体の遠位端部または先端部と整列しまたはこれを越えて位置決めされるのが良い。そして、スタイレット800は、患者の血管系を通ってカテーテルを誘導するために使用されるのが良い。例えば、スタイレット800は、カテーテル、例えばPICC内に位置決めされるのが良く、カテーテルをスタイレットから受け取った読みおよび測定値(例えば、血流量パターン、ECG信号)に基づいて患者の血管系内に挿入し、この中で前進させ、そしてこの中に位置決めされるのが良い。スタイレット800の管状部材810は、カテーテル本体内におけるスタイレット800の挿入および配置を容易にする潤滑性材料で形成されるのが良い。
【0051】
次に、図12を参照すると、スタイレット900の遠位部分が示されている。スタイレット200,800と同様、スタイレット900は、血管内器具、例えば血管内器具100の一コンポーネントであるのが良い。かくして、スタイレット900の近位部分は、ハブ部材(例えば、ハブ部材120)を貫通してコネクタ組立体(例えば、コネクタコンポーネント114,116を含むコネクタ組立体110)に連結されるのが良い。スタイレット900の遠位部分は、センサ930およびマーカーバンド920を有する。マーカーバンド920は、センサ930をマーカーバンド920内に引っ込めることができるようその遠位端部に向かってラッパ状に広げられるのが良い。特に、図12に示されているように、マーカーバンド920は、大きな直径を有する第1の領域920aを有し、この第1の領域内にセンサ930を引っ込める。マーカーバンド920は、小さな直径を有する第2の領域920cをさらに有し、この第2の領域は、1つまたは2つ以上の管状部材910,911によって覆われる。そして、マーカーバンド920は、第1の領域920aと第2の領域920cとの間の移行部となる第3の領域920bをさらに有する。
【0052】
マーカーバンド820と同様、マーカーバンド920は、患者の血管系からのECG信号を測定するよう構成されたECG電極として機能することができる。マーカーバンド920は、低溶液インピーダンスを有する金属材料、例えばプラチナ・イリジウムで形成されるのが良い。マーカーバンド920は、スタイレット900の長さに沿って延びる編組導体914に取り付けられるのが良い。編組導体914は、2つの管状部材910,911相互間に設けられた複数の導電線(例えば、ステンレス鋼線)から成るのが良い。図12に示されているように、編組導体914は、外側管状部材910と内側管状部材911との間にサンドイッチされている。外側および内側管状部材910,911は、ポリマー、例えばポリイミドで形成されるのが良い。編組導体914は、マーカーバンド920からのECG信号を受け取ってこれらECG信号を1つまたは2つ以上の追加のコネクタおよび電線経由でコンピュータに伝えることができる。編組導体914は、スタイレット900の全長に沿って延びるのが良い。
【0053】
幾つかの観点では、編組導体914は、可変剛性を有する領域を作るためにスタイレット900の長さに沿ってピッチが変化した巻きまたは編組電線を有するのが良い。例えば、編組導体914の電線は、スタイレット900の遠位端部の近くに高い柔軟性を提供するようスタイレット900の遠位端部の近くに大きなピッチを有するのが良い。他の観点では、編組導体914は、スタイレットの剛性を変化させるために幾つかの領域において低い電線カウント(例えば、少数本の電線)を有するのが良い。例えば、編組導体914は、スタイレット900の遠位端部の近くに高い柔軟性を提供するようスタイレット900の遠位端部の近くに低い電線カウントを有するのが良い。
【0054】
図12に示されているように、マーカーバンド920は、外側管状部材910と内側管状部材911のうちの一方またはこれら両方によって覆われた近位領域920cを有する。換言すると、外側管状部材910または内側管状部材911は、マーカーバンド920の領域920cとオーバーラップするのが良い。このオーバーラップ配置により、マーカーバンド920の取り付け部と編組導体914との間に追加の安定性が生じる。さらに、オーバーラップ配置は、管状部材910,911とマーカーバンド920との間に流体密シールを形成する。管状部材910,911は、接着剤、例えばLoctite(登録商標)4014(商標)接着剤を用いてマーカーバンド920に取り付けられるのが良い。
【0055】
センサ930は、マーカーバンド920の遠位領域920a内に引っ込められている。この引っ込めにより、センサ930が患者の血管系を通ってナビゲートしているときにセンサ930の追加の支持作用が得られる。センサ930は、超音波トランスデューサ230とほぼ同じ超音波トランスデューサ、または別の形式のセンサ(例えば、圧力センサ、温度センサ、光センサ、バイオセンサ)であるのが良い。センサ930は、超音波トランスデューサ、圧力センサ、光センサなどを含む複数の互いに異なるセンサから成っていても良い。マーカーバンド920の遠位領域920aには透明な材料932が詰め込まれているのが良く、この透明な材料は、センサ930を封入する。透明な材料932は、エポキシまたは他のポリマー材料であるのが良い。透明な材料932は、マーカーバンド920とセンサ930との間に流体密シールを形成することができる。透明な材料932はまた、センサ930によって生じたビームまたは信号を案内するレンズとして機能することができる。
【0056】
マーカーバンド920は、同軸ケーブル912の追加を可能にする中空内側ルーメンを有するのが良い。同軸ケーブル912は、電気導体の一実施例であると言える。同軸ケーブル912は、マーカーバンド920の内側ルーメンを貫通してセンサ930に取り付けられるのが良い。同軸ケーブル912は、センサ930からの信号を受け取ってこれら信号を1つまたは2つ以上の追加のコネクタおよび電線経由でコンピュータに伝えることができる。同軸ケーブル912は、スタイレット900の全長に沿って延びるのが良い。
【0057】
本発明の諸観点によれば、本明細書において開示するシステムおよび方法は、マーカーバンド920およびセンサ930によって集められた特定血流量およびECG情報に基づいて患者の血管系内のスタイレット900の遠位端部の位置を求めることができる。例えば、特定血流量パターンおよびECG信号を患者の血管系内の特定の場所に関連させることができる。幾つかの観点では、スタイレット900は、カテーテル本体(図示せず)の内側ルーメン内に配置されるのが良い。スタイレット900の遠位端部は、カテーテル本体の遠位端部または先端部と整列するのが良くまたはこれを越えて位置決めされるのが良い。そして、スタイレット900は、患者の血管系を通ってカテーテルを誘導するために用いられるのが良い。例えば、スタイレット900は、カテーテル、例えばPICC内に位置決めされるのが良く、カテーテルをスタイレットから受け取った読みおよび測定値(例えば、血流量パターン、ECG信号)に基づいて患者の血管系中に挿入し、この中で前進させ、そしてこの中に位置決めするのが良い。スタイレット900の管状部材910は、カテーテル本体内へのスタイレット900の挿入および配置を容易にする潤滑性材料で作られるのが良い。
【0058】
本明細書における説明は、例示目的に過ぎず、本発明の広さを多少なりとも狭めるものと解されるべきではない。かくして、当業者であれば理解されるように、本発明の完全かつ公正な範囲および精神から逸脱することなく、本明細書において開示した実施形態に対して種々の改造を施しても良い。他の観点、他の特徴、および他の利点は、添付の図面および特許請求の範囲の記載を吟味すると、明らかになろう。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12