特許第6931404号(P6931404)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6931404可聴フィードバックを有するパーソナルケアデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6931404
(24)【登録日】2021年8月17日
(45)【発行日】2021年9月1日
(54)【発明の名称】可聴フィードバックを有するパーソナルケアデバイス
(51)【国際特許分類】
   A45D 44/00 20060101AFI20210823BHJP
【FI】
   A45D44/00 Z
   A45D44/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-568732(P2019-568732)
(86)(22)【出願日】2018年6月13日
(65)【公表番号】特表2020-523135(P2020-523135A)
(43)【公表日】2020年8月6日
(86)【国際出願番号】US2018037227
(87)【国際公開番号】WO2018231914
(87)【国際公開日】20181220
【審査請求日】2019年12月12日
(31)【優先権主張番号】62/520,966
(32)【優先日】2017年6月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100212657
【弁理士】
【氏名又は名称】塚原 一久
(72)【発明者】
【氏名】メシュカト、ステファン・ジェイムズ・アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】レイブ、トーマス・エリオット
(72)【発明者】
【氏名】コラコスキー、レベッカ・アシュリー
(72)【発明者】
【氏名】フロイド、ブライアン・リー
(72)【発明者】
【氏名】シャーマン、フェイズ・フェイサル
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーノン、ポール
【審査官】 柿沼 善一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0196109(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0025747(US,A1)
【文献】 特開2013−019909(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/203461(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 44/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
角質表面を改質するためのパーソナルケアデバイスであって、
a.センサと、
b.パーソナルケア組成物を堆積させるように適合された処置要素と、
c.フィードバック要素と、
d.プロセッサと、
を備え、
前記センサは、前記プロセッサと動作可能に関連付けられ、
前記プロセッサは、前記処置要素及び前記フィードバック要素と動作可能に関連付けられ、
前記フィードバック要素は、前記パーソナルケア組成物の堆積中に断続的に活性化され、活性化されたときに、前記パーソナルケア組成物の堆積速度に対応するフィードバック信号を発し、
前記フィードバック信号は聴覚信号であり、前記聴覚信号はビープ音又はクリック音であり、
断続的に活性化されることは、前記フィードバック要素が、前記パーソナルケア組成物が50〜500滴堆積されるごとに前記フィードバック信号を発すること又は前記パーソナルケア組成物が0.005μl〜0.05μl堆積されたごとに前記フィードバック信号を発すること、を意味する、
パーソナルケアデバイス。
【請求項2】
前記処置要素は、1つ以上のノズルを含み、前記プロセッサは、前記1つ以上のノズルが前記パーソナルケア組成物を堆積させるときに、前記フィードバック要素を断続的に活性化させる、請求項1に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項3】
前記センサが、前記角質表面の画像を撮影することができるカメラである、請求項1又は2に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項4】
前記パーソナルケア組成物が、インクジェット堆積、直接接触、噴霧スプレー堆積、及びこれらの組み合わせによって堆積される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項5】
前記パーソナルケアデバイスが、サーマルインクジェットプリンタである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のパーソナルケアデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、概して、角質表面を改質するためのパーソナルケアデバイスに関し、より具体的には、パーソナルケア組成物を角質表面上に堆積させ、堆積プロセスと相関する可聴フィードバックを提供するパーソナルケアデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
手持ち式美容デバイスは、幅広い効果があるためにますます普及している。縮毛矯正及びカーリングデバイス、エアブラシメークアップデバイス、発光ダイオード(light emitting diode、LED)スキンケアデバイス、機械式洗浄ブラシ、そして最近では、インクジェット堆積デバイスが、以前は手動塗布であった技術の代わりに消費者が採用している製品の一部である。これらの新しいデバイスを採用する際に消費者がしばしば抱える課題のうちの1つは、デバイスが意図したとおりに作動しているかどうかを知るための視覚的又は触覚的な手がかりの欠如である。これらのデバイスで消費者が頻繁に抱える別の課題は、デバイスを最良の可能な様式で使用する方法である。デバイスの移動速度、デバイスの使用時間、及び/又はデバイスを使用するときに加える圧力は、新しい製品又はデバイスを使用するときに消費者が直面する可能性のある課題の数例である。
【0003】
一例では、スキンケア製品及び/又は化粧品を自身の指、ブラシ、又はスポンジで塗布するのに慣れている消費者は、製品を見て感じることができ、所望の効果を得るためにどの程度塗布するかを知ることができる。しかしながら、動作中は静かで、かつ製品の堆積量が少ないため、見たり感じたりするのが困難である、インクジェット堆積デバイスなどのマイクロ堆積デバイスを用いてこれらの製品を塗布する場合、消費者は、いつどのくらいの時間製品を塗布するのか、又はいつ自身の体の別の部位に移動する必要があるのかを知るのが難しい場合がある。別の例では、LED光線療法デバイスは、一般にクリーム及びローションの形態であった一部の製品に取って代わり、マイクロ堆積デバイスのように静かで、かつ皮膚上に目に見える痕跡を残さない場合がある。そのため、それらはまた消費者の最適な使用においても同様の課題に直面している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、デバイスの活動を可変フィードバック信号と相関させるパーソナルケアデバイスが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
角質表面を改質するためのパーソナルケアデバイスであって、(a)センサと、(b)パーソナルケア組成物を堆積させるように適合された処置要素と、(c)フィードバック要素と、(d)プロセッサと、を備え、センサは、プロセッサと動作可能に関連付けられ、プロセッサは、処置要素及びフィードバック要素と動作可能に関連付けられ、フィードバック要素は、パーソナルケア組成物の堆積中に活性化される、パーソナルケアデバイスが提供される、パーソナルケアデバイスが提供される。
【0006】
角質表面を改質するためのパーソナルケアデバイスであって、(a)センサはカメラである、センサと、(b)1つ以上のノズル、及びパーソナルケア組成物を収容するカートリッジを含む、処置要素と、(c)フィードバック要素と、(d)プロセッサと、を備え、フィードバック要素は、パーソナルケア組成物の堆積中に活性化され、フィードバック要素は、活性化されたときに、パーソナルケア組成物の堆積速度に対応するフィードバック信号を発する、パーソナルケアデバイスが提供される。
【0007】
角質表面を改質する方法であって、(a)角質の欠陥を含む角質表面の領域を識別する工程と、(b)センサと、フィードバック要素と、パーソナルケア組成物と、を備えるパーソナルケアデバイスを提供する工程と、(c)パーソナルケアデバイスの一部分を角質表面の領域と接触させ、パーソナルケアデバイスを角質表面の領域の上で移動させる工程と、(d)1つ以上のノズルに隣接する角質表面の画像を撮影する工程と、(e)角質の欠陥を識別する工程と、(f)パーソナルケア組成物を角質の欠陥の上に堆積させる工程と、(g)パーソナルケア組成物が堆積されていることをユーザに通知するためにフィードバック信号を断続的に提供する工程と、を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本明細書は、本発明を具体的に指摘し、明確に請求する特許請求の範囲をもって結論とするが、本発明は、添付図面と併せてなされる以下の説明から、より良好に理解されることが考えられる。
図1】角質表面が本発明のパーソナルケアデバイスによって解析される、解析ウィンドウの概略図である。
図2】本発明によるパーソナルケアデバイスの分解組立図である。
図3】本発明によるカートリッジの分解組立図である。
図4】女性ユーザの自然のままの覆われていない皮膚である。
図5】メークアップを施した状態の図4と同じ女性ユーザである。
図6】本発明のパーソナルケアデバイスを使用した後の、メークアップを全く施していない状態の図4で示した同じ女性ユーザである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で使用するとき、用語「角質の欠陥」は、色調及び/又は質感の不均一性を有する皮膚又は毛髪の領域を指す。このような欠陥の原因のいくつかの非限定的な例としては、色素沈着過度、皮膚の炎症、瘢痕化、毛細血管が見えること、毛穴が拡がること又は塞がること、小じわ、及びしわを挙げることができる。
【0010】
本明細書で使用するとき、用語「堆積速度」は、単位時間当たりに堆積される処置組成物の体積を指す。
【0011】
本明細書で使用するとき、「a」及び「an」などの冠詞は、特許請求される又は記載されるものの1つ以上を意味するものと理解される。
【0012】
本明細書の全ての重量、測定値及び濃度は、特に指定のない限り、23℃及び相対湿度(relative humidity、RH)50%で測定される。
【0013】
全ての百分率、部、及び比率は、本明細書で使用されるとき、特に指定がない限り、総組成物の重量を基準とする。列挙されている成分に関するとき、こうした重量は全て、活性レベルに基づき、このため、特に指定されない限り、市販の材料に含まれている可能性のある溶媒又は副生成物を含まない。
【0014】
本発明は、組成物(複数又は単数)を角質表面に塗布することができ、デバイスの活動、具体的にはデバイスの堆積活動と相関される聴覚信号などのフィードバック信号を発する、ヒトの角質表面を改質するためのパーソナルケアデバイスに関する。一態様では、角質表面は皮膚とすることができ、あるいは角質表面は毛髪とすることができる。
【0015】
一態様では、角質表面を改質することは、角質の欠陥が肉眼で実質的に巨視的に見えないように、パーソナルケア組成物をその表面上に堆積させることによって、角質の欠陥をカモフラージュすることを意味することができる。一態様では、角質表面を改質することは、レーザー脱毛を除外する。
【0016】
パーソナルケアデバイスは、角質の欠陥を検出し、マイクロドーズ量のパーソナルケア組成物を角質の欠陥の上のみに実質的に堆積させることができ、パーソナルケア組成物堆積速度と相関され得るフィードバック信号を発することができる。これにより、パーソナルケアデバイスがどのように作動しているかについて、例えば、パーソナルケア組成物が堆積されているとき、堆積されているパーソナルケア組成物の量、堆積の頻度、及び/又はいつ角質の欠陥が覆われて改質プロセスが完了したかを、ユーザに通知することができる。
【0017】
一態様では、ユーザは、自身の皮膚と接触させてパーソナルケアデバイスの一部分を配置し、皮膚の表面にわたってパーソナルケアデバイスを移動させることによって、角質表面を改質することができる。パーソナルケアデバイスは、角質の欠陥を解析及び識別し、次いで、実質的には識別された角質の欠陥の上のみにパーソナルケア組成物を堆積させることができる。パーソナルケアデバイス内のフィードバック要素は、堆積中にビープ音、クリック音、振動、音楽波形ファイル、及び/又は光などのフィードバック信号を発して、パーソナルケア組成物が堆積されていることをユーザに通知することができる。
【0018】
一態様では、パーソナルケアデバイスを、毎秒約0.5〜約1.5インチのストローク速度で角質表面の上を移動させることができる。
【0019】
一態様では、改質プロセスの開始時には、パーソナルケアデバイスによって多くの角質の欠陥が識別され得、フィードバック要素は、パーソナルケア組成物のより多くの滴が堆積されているため、より多くのビープ音を発する。改質プロセスが継続し、角質の欠陥が(既にそれらは改質されているため)少なくなったと識別されると、より少ないパーソナルケア組成物の滴が堆積されるため、フィードバック要素はより少ないビープ音を発する。改質される角質の欠陥が少なくなるにつれて、ビープ音が発生する頻度又は速度は低下し得、改質プロセスが完了に近づいていることをユーザに通知することができる。これに対する1つの利点は、ユーザはパーソナルケア組成物の堆積を肉眼で見ることができない場合があるが、フィードバック要素が発するフィードバック信号が少なくなること、あるいはフィードバック信号をもはや発しなくなるか、あるいは異なるフィードバック信号を発することになるため、ユーザは、改質プロセスが完了に近づいている、及び/又は完了したことを知ることができる。これは、パーソナルケアデバイスの適切な使用に役立つことができる。
【0020】
一態様では、パーソナルケアデバイスは、フィードバック信号が1インチ当たり約5個未満の信号、あるいは1インチ当たり約3個未満の信号、あるいは1インチ当たり約2個未満の信号の速度で発せられるまで、角質表面にわたって移動させることができる。一態様では、パーソナルケアデバイスは、フィードバック要素がフィードバック信号をもはや発しなくなるまで、角質表面にわたって移動させることができ、角質の欠陥がもはや検出されず、改質プロセスが完了したことをユーザに通知することができる。
【0021】
一態様では、改質プロセスは、所望の領域内の角質の欠陥の実質的に全てが改質されたとき、あるいは角質の欠陥の約90%が改質されたとき、あるいは約80%、あるいは約70%、あるいは約60%、あるいは約50%が改質されたときに完了され得る。
【0022】
一態様では、パーソナルケアデバイスは処置要素を備えることができる。処置要素は、パーソナルケア組成物を角質表面上に堆積させる手段を備えるパーソナルケアデバイスの一部分であってもよい。好ましくは、処置要素は、1つ又はノズル、及びスキンケア組成物であり得るパーソナルケア組成物を収容するためのカートリッジを備えることができる。パーソナルケアデバイスは、センサ及びプロセッサを備え得る。センサは、角質表面の一部分の読み取り値をとることができる。センサの読み取り値は、色、輝度、反射率、屈折率、温度、質感、及びそれらの組み合わせからなる群から選択された値を含み得る。
【0023】
一態様では、センサは、少なくとも10μmの角質表面の画像を少なくとも1つ撮影することができ、プロセッサは、その画像を解析して、画像の平均バックグラウンドの明度(L)値をグレースケールで算出することができる。更に、同じ画像から、個々のピクセル又はピクセル群に対して局所的なL値を算出することができる。その後、局所的なL値をバックグラウンドのL値と比較し、角質の欠陥を識別することができる。角質の欠陥は、局所的なL値とバックグラウンドのL値との間の差の絶対値(この差は、「ΔL」又は測定されたΔLとして定義され、「Δ」は、通常、2つの値間の差の記号として定義される)が、所定のΔLを超える角質の領域である(「S」は設定されたΔLを指す)。バックグラウンドのLは、以下に記載される様々な方法によって予め設定され得るか、又は算出され得る。その後、所定又は可変のコントラスト比を有するパーソナルケア組成物で角質の欠陥を改質することができる。パーソナルケアデバイスは、処置要素によるパーソナルケア組成物の堆積中に活性化され得るフィードバック要素を更に備えることができる。一態様では、パーソナルケア組成物は、フィードバック要素によって生成された付随するフィードバック信号で堆積され得る。
【0024】
ここで、図1を参照すると、解析ウィンドウ10は、角質表面のサンプル12及びノズルアレイ20を含む領域である。解析ウィンドウは、円形、正方形、矩形、三角形、平行四辺形、又は多角形を含む任意の形状であり得る。ノズルアレイ20は、オフであるか、又は噴射しない個々のノズル24、及び噴射する個々のノズル22を収容することができる。角質の欠陥30はノズルアレイセクション32の下に示され、角質領域31はノズルアレイセクション33の下に示されている。角質表面12上及びその周辺でバックグラウンドのLを算出するが、角質領域14は、局所的なLが測定される部位であり、角質領域16は、局所的なLが測定される部位である。角質領域14はノズルアレイ20の下にあるが、角質の欠陥内ではない。したがって、局所的なLの絶対値−バックグラウンドのL(ΔL1M)は、ノズル噴射を開始するための予め設定した閾値未満である。ノズル噴射を開始させるために必要なΔLの閾値は、変数であり、使用するスケールによって変化する。例えば、0〜255のグレースケールを利用する場合、ノズル噴射を開始させるために必要なΔLの閾値は、通常2以上の値であると考えられる。したがって、図1に示す例では、ΔL1Mの値は、2未満である。角質領域16は、角質の欠陥30内にあり、局所的なLの絶対値−バックグラウンドのL(ΔL2M)は、約2超である。したがって、角質領域14周辺のノズルは、通常オフであり、角質領域16周辺のノズルは、通常噴射する。
【0025】
粒子又は乾燥したパーソナルケア組成物でノズルが詰まらないように確保するために、任意のノズルは、単純に随時噴射して、ノズルを清潔に、つまり、塞がることなく「健全」に保つことができる。ΔLの大きさ、角質の欠陥の大きさ(例えば、表面積)、又は当業者によって考案された他のパラメータに基づいて、角質の欠陥に応答して噴射される、角質の欠陥の直上にあるノズルの数を調整してもよい。
【0026】
改質時間は、改質が必要な角質表面積の大きさ並びに改質の精度及び量に基づいて変化するであろう。例えば、女性は、食料品店に行く前に、自身の顔のほんのわずかな領域を簡単に修正することを望む場合がある。この改質は、数分間を要し得る。あるいは、花嫁が、サロンのプロが結婚式の前及び結婚式の写真を撮る前に皮膚の全ての露出した領域を細心の注意を払って処置するサロンでウェディングドレスを着用する場合がある。この全身の改質には数時間を要し得る。したがって、ユーザは、本デバイスを使用するためにユーザが選択する時間の量を大幅に制御する。
【0027】
図2は、デバイスカバー58、本体43、及び物理的スペーサ42を備える、パーソナルケアデバイス40を示す。パーソナルケアデバイス40の物理的スペーサ42は、角質表面18の直上にある。物理的スペーサ42は、角質表面18に接触したときに、本体43が角質表面18から既知の距離にあるように、所定の高さαを設定している。一態様では、高さαは、約1mm〜約20mm、あるいは約3mm〜約15mm、あるいは約4mm〜約10mmである。
【0028】
本体43は、光源44、センサ46、画像捕捉線48、処置要素80、プロセッサ50、フィードバック要素82、信号線87、カートリッジ線51、電力要素54、及び1つ以上の電力線55を備えることができる、パーソナルケアデバイス40に関連付けられた、電気的要素及び機械的要素を備えることができる。
【0029】
一実施形態では、処置要素80は、ノズルアレイ20、カートリッジダイ57、及びカートリッジ52を備え得る。ノズルアレイ20は、1つ以上のノズル21を備えることができ、カートリッジ52に取り付けられたカートリッジダイ57に埋め込むことができる。本体43は、デバイス筐体41内に封入することができる。ノズルアレイ20は、線形構成の配置、複数列の配置、オフセット配置、正弦波状の配置、湾曲した配置、円形状の配置、鋸歯上の配置、及びそれらの組み合わせであってもよい。カートリッジダイ57は、シリコン、ガラス、機械加工可能なガラスセラミック、サファイア、アルミナ、プリント配線板基板(例えば、FR4のようなガラス強化エポキシ積層材料、液晶ポリマー、ポリイミドなど)で作製することができ、その内部にノズルアレイ20を形成することができる。
【0030】
光源44は、センサ46が比較的一定の照明を有するように、スペーサ42内の角質表面18の領域を照明することができる。バックグラウンドの照明は、物理的スペーサ42の一部分が角質表面18を持ち上げ、バックグラウンドの光が入り、光源44からの照明が逃げることを可能にするので、センサ46に影響を与える可能性がある。光源44が比較的一定の背景照明を提供する場合、照明のわずかな偏りを補正することができる。光源44は、LED、白熱光、ネオン管ベース、又は任意の他の市販されている照明源であり得る。光源44は、一定の照明又は調整可能な照明を有することができる。例えば、調整可能な光源は、背景照明が過剰に明るいか、又は暗い場合に有用であり得る。
【0031】
センサ46は、角質表面の領域の視覚特性を取得することができる任意の構成要素であってもよく、その非限定的な例としては、光学センサ、画像捕捉デバイス、分光光度計、可視スペクトル内の波長並びに表面下の特徴を測定することができる可視スペクトルよりも上及びそれよりも下の波長の光量子測定デバイス、及びそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0032】
一態様では、センサ46は、角質表面18の画像を撮影することができる画像捕捉デバイスであり得る。画像捕捉デバイスは、単純なカメラ又はデジタルCMOSカメラチップなどの様々な市販のデバイスのうちのいずれかであり得る。一態様では、センサ46は、角質表面18のL値の測定値を取得すること、及び/又は角質表面18の画像を撮像することができ、解析のために画像捕捉線48を介して測定値及び/又は画像をプロセッサ50に送信することができる。一態様では、画像は、局所的なL値、バックグラウンドのL値、又はこれらの両方について解析され得る。グレースケール変換は、プロセッサ50の解析処理能力の範囲内で実施する。ΔLを決定するためのバックグラウンドのLの局所的なLに対する比較は、市販のプログラマブルチップ、又は他の市販の処理装置であり得るプロセッサ50内で実施する。
【0033】
プロセッサ50は、一般に中央処理装置(central processing unit、「CPU」)と称される。CPUは、ラップトップコンピュータ、携帯電話、電気かみそりなどの消費者向け電子デバイスで見られるもののような単一プログラマブルチップであり得る。CPUは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、コントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA)、集積回路、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、プロセッサなどを備え得る。CPUはまた、キャッシュメモリ、例えば、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(Static Random Access Memory、SRAM)などとしてCPUに内蔵されるか、又は例えば、ダイナミックランダムアクセスメモリ(Dynamic Random-Access Memory、DRAM)、読み出し専用メモリ(Read Only Memory、ROM)、スタティックRAM、フラッシュメモリ(例えば、コンパクトフラッシュ(登録商標)若しくはスマートメディアカード)、ディスクドライブ、ソリッドステートディスクドライブ(SSD)としてCPUに外付けされるかのいずれかのメモリ機能を備えてもよく、又はインターネットクラウドストレージを備えていてもよい。パーソナルケアデバイスに有線でつながれているか又は無線で通信するかどちらか一方のリモートCPUを使用可能であることが予想されるが、本明細書では、パーソナルケアデバイス内のローカルCPUを例示する。
【0034】
画像を続けて撮影してもよく、又は継続して撮影することが好ましい。最小で毎秒4フレームを撮影する画像捕捉デバイスが好ましい。同様に、より高速の、例えば、毎秒100フレーム超、あるいは毎秒200フレーム超、あるいは毎秒600フレーム超の画像捕捉デバイス(毎秒4フレーム超)も所望される。全ての画像をグレースケールで撮影すること、又はグレースケールに変換することができ、グレースケールは、任意の範囲、例えば、0〜255(単位なし)であってもよい。これは、0.2秒以上速いリフレッシュレートにほぼ対応する。画像捕捉デバイスに合わせて、CPUは、毎秒100フレーム、あるいは毎秒200フレーム超、あるいは毎秒600フレーム超の速度で処理することができる。
【0035】
画像解析の結果は、プロセッサ50内に予めプログラムされた基準と比較されるとき、角質表面18の所望の改質をもたらし得る。例えば、算出したΔLが所定のΔLを超えるような場合、信号が、カートリッジ線51を介してプロセッサ50からカートリッジ52に送信されて、ノズルアレイ20内の1つ以上のノズル21を噴射し、パーソナルケア組成物を堆積させる。一態様では、プロセッサ50がノズルアレイ20内の1つ以上のノズル21を噴射する信号を送信するとき、プロセッサ50はまた、フィードバック要素82に信号を送信してフィードバック要素82を活性化させて、フィードバック信号を発することができる。一態様では、フィードバック信号は、パーソナルケア組成物の堆積速度と相関される。
【0036】
フィードバック要素82は、スピーカ、ベル、チャイム、圧電ブザー、機械的振動要素、パーカッション要素、高調波要素、機械的変形要素、LED、白熱灯、ネオン管などの光、又は任意の他の市販の光源、あるいはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0037】
一態様では、プロセッサ50が、1つ以上のノズル21を噴射させる信号を送信するたびに、プロセッサ50は、フィードバック要素82を活性化する信号を送信することができる。あるいは、プロセッサ50は、1つ以上のノズル21が噴射されるたびにフィードバック要素が活性化されないように、フィードバック要素82を活性化する信号を断続的に送信することができる。一態様では、フィードバック要素は、パーソナルケア組成物の滴が堆積されるたびに活性化され、フィードバック信号を発する必要はない。多数の滴が堆積されると、ユーザは、滴が堆積されるごとにフィードバック信号が存在する場合、フィードバック信号の変動を伝えることができない場合がある。
【0038】
一態様では、断続的に活性化されることは、フィードバック要素が、約50〜約500滴のパーソナルケア組成物が堆積されるたびに、あるいは約150〜約400滴堆積されるたびに、あるいは約200〜約300滴堆積されるたびに、フィードバック信号を発することを意味することができる。一態様では、フィードバック要素は、約160滴のパーソナルケア組成物が堆積されるたびに活性化され、フィードバック信号を発することができる。
【0039】
あるいは、断続的に活性化されることは、フィードバック要素が、約0.005μl〜約0.05μlのパーソナルケア組成物が堆積されるたびに、あるいは約0.01μl〜約0.03μl堆積されるたびにフィードバック信号を発することを意味することができる。
【0040】
一態様では、フィードバック要素は、パーソナルケア組成物の少なくとも一部が堆積されているときに活性化される。パーソナルケア組成物の少なくとも一部は、パーソナルケア組成物の特定の体積又は数の滴が堆積されたときに、フィードバック信号が発せられることを意味することができる。フィードバック信号が発せられるたびに堆積されたパーソナルケア組成物の滴の体積又は数は、フィードバック信号が、ユーザに堆積速度を通知する様式で発せられる限り、任意の量であり得る。
【0041】
一態様では、フィードバック信号は、聴覚信号、視覚信号、振動信号、及びこれらの組み合わせを含むことができる。一態様では、聴覚信号は音であり得る。音は、ビープ音又はクリック音などの非連続的な音とすることができ、音の周波数又はリズムは、堆積速度が増大するにつれて増大し、周波数は堆積速度が低下するにつれて低下することができる。あるいは、フィードバック信号を連続的にすることができ、フィードバック信号の音量(デシベル)は、堆積速度が増大するにつれて増大することができる。フィードバック信号が聴覚信号であるとき、聴覚信号もピッチを変更することができ、ピッチが高くなる、又は低くなると、堆積速度が高くなる、又は低くなる。あるいは、フィードバック信号は、光などの視覚信号とすることができ、光の強度(輝度)は、堆積速度が増大するにつれて増大することができる。あるいは、堆積速度が増大するにつれて、光がパルスを発し、パルスの周波数を増大することができる。光は、皮膚上で目に見える任意の色であり得る。一態様では、フィードバック信号は振動であり得、振動の強度は、堆積速度が増大するにつれて増大し、及び/又は堆積速度が低下するにつれて低下することができる。
【0042】
一態様では、堆積流量がゼロであるとき、フィードバック要素82は活性化されない、又は活性化されるがフィードバック信号を発しない。プロセッサ50が、パーソナルケア組成物を堆積させるために信号を処置要素82に送信したとき、フィードバック要素82は活性化されてフィードバック信号を発することができる。一態様では、パーソナルケア組成物の流量は、フィードバック信号と相関され得る。例えば、フィードバック要素82が非常に低い流量のパーソナルケア組成物を堆積しているとき、低強度の振動、低リズムのクリック音又はビープ音、低音量の音、低強度の照明など、低強度のフィードバック信号が発せられる。あるいは、デバイスが高い堆積流量を堆積しているとき、フィードバック要素82は、高強度の振動、高リズムのクリック音又はビープ音、高音量の音、高強度の照明などを発する。
【0043】
カートリッジ52、光源44、センサ46、プロセッサ50、フィードバック要素82、処置要素80、及び存在し得る他の機械的要素並びに電気的要素への電力は、1つ以上の電線55を介して電力要素54によって供給され得る。電力要素54は、オン及びオフにすることができ、これが次に、パーソナルケアデバイス40上の任意の場所に位置することができるが、ここではデバイスカバー58上に示される電源スイッチ56を介して、パーソナルケアデバイス40をオフ及びオンにする。電力要素54は、電池、再充電可能電池、電気化学コンデンサ、二重層コンデンサ、スーパーコンデンサ、ハイブリッド電池−コンデンサシステム、及びそれらの組み合わせを介した、エネルギー貯蔵機能性を含んでもよい。
【0044】
次に図3を参照すると、図3は、カートリッジキャップ62及びカートリッジ本体64を含むカートリッジ52の分解組立図である。カートリッジ本体64は、通常、カートリッジ本体64内に封入され、ノズル噴き出し口68を定義するスタンドパイプ66を含む。任意のフィルタ70は、過度に大きい粒子及び他の破片をノズルアレイ20の外に保持することに役立つ。フィルタ70及びノズルアレイ20は、ノズル噴き出し口68の両側にある。パーソナルケア組成物74は、カートリッジ本体64内に収容されている。発泡体コア72は、少なくとも部分的にカートリッジ64に詰められ、パーソナルケア組成物74の背圧を調節するのに役立つ。背圧は、空気袋(図示せず)及び当該技術分野に既知の他の方法を介して調節することができる。本明細書に示す発泡体コア72は、パーソナルケア組成物74の、フィルタ70を通ってノズルアレイ20に入るスタンドパイプ66への流れを調節するのに役立つ方法の単なる一例である。コネクタ78は、電力及び信号をノズルアレイ20に提供する。パーソナルケア組成物74は、圧電手段、サーマル手段、機械的ポンプ手段、又はこれらの組み合わせによってカートリッジ52から排出され得る。
【0045】
ここで図4図5、及び図6を参照すると、これらの図は、同じ女性被験者の写真である。図4は、被験者の洗浄後の自然のままのコーティングされていない皮膚を表している。図5は、被験者が通常行う様式で被験者が顔にメークアップを施した後に撮影されたものである。図6は、被験者の化粧が落とされ、被験者の顔が本明細書に記載されるパーソナルケアデバイスで処置された後に撮影されたものである。図4図5、及び図6は、写真撮影間に特記すべき太陽への曝露がない状態で(すなわち、被験者は全改質期間にわたって屋内にいた)、同日に撮影されたものである。
【0046】
角質の欠陥101、102、103及び104は、図4では明確である。メークアップを施した後に、角質の欠陥101、102、103及び104は全て、図5に示すように依然として目に見える。図4及び図5は、メークアップがヒトの皮膚の全体的な色合いを変化させるが、角質の欠陥を隠すことができないこと示している。
【0047】
図5の写真を撮った後、被験者は顔を洗って、施されていたメークアップを落とした。次に、被験者の皮膚をパーソナルケアデバイスで改質し、図6の写真を撮影した。図4及び図5からの角質の欠陥101、102及び104は、図6では大部分は目に見えない。角質の欠陥103は、パーソナルケアデバイスを用いた改質後には、ほとんど見えない。パーソナルケアデバイスは、自然な状態の皮膚及びメークアップを施した皮膚と比べて、ヒトの皮膚の外観に実質的な目に見える変化を提供する。
【0048】
上述のパーソナルケアデバイスは一実施形態であるが、パーソナルケアデバイスが、レーザーなどによって角質表面にエネルギーを送達するように適合された処置要素を備えることができる、他の実施形態が想定される。この場合、フィードバック信号は、パーソナルケアデバイスが角質表面に送達している堆積速度ではなく、エネルギーの強度と相関され得る。
【0049】
バックグラウンドのLは、画像内の任意の場所で算出され得る。画像は、ノズルがパーソナルケア組成物を噴射するであろう場所で撮影される。バックグラウンドのLは、複数の局所的なLの算術平均、中央値、又は平均値であり得、これは、算出が、画像における局所的なLの全て又はそのサブセットを含み得ることを意味する。
【0050】
所定のΔLは、局所的なLとバックグラウンドのLとの間の差の絶対値である。この値ΔLは、絶対数又は百分率として定義することができる。センサは、例えば、白黒画像若しくはカラー画像を撮るカメラ、分光光度計、又は電磁エネルギー波長に感度が高い同様なデバイスである。画像は撮影されるか、又は当該技術分野において既知の標準グレースケールに変換される。明暗を測定する任意の数字目盛は、「グレースケール」とみなされ得ることが理解される。更に、本明細書で使用される場合、「グレースケール」は、線形スケール、又は1つのバンド、又は1つの視覚属性であるよう意図されている。例えば、1つの「グレースケール」視覚属性は、特定の視覚的色を定義するための単一波長又は狭い波長であり得る。1つの「グレースケール」視覚属性の別の例は、RGBの混合物からの純黒色、灰色、又は白色画像などの、画像を構成する各ピクセルについて平均化された波長数値の混合物であり得る。
【0051】
バックグラウンドのL値が、このスケールの端部に近すぎるべきではないことも、当業者によって理解されるであろう。例えば、グレースケールが、純粋な黒が0、純粋な白が100で、0〜100である場合、0〜10の範囲又は90〜100の範囲のバックグラウンドでは、明る過ぎるか又は暗すぎるので、有意な差異を示すことができない。したがって、バックグラウンドのLをスケールの中央のより近くに移動させるために、バックグラウンドの照明、又は画像を撮影するセンサのゲインを調整してもよい。この例では、バックグラウンドのLは50が理想的であり、10〜90の範囲のバックグラウンドのLが好ましく、20〜80の範囲が更により好ましい。
【0052】
最も一般的なグレースケールは、0〜255(単位なし)であり、他の例としては、0〜1024及び0〜4096が挙げられる。0〜255のグレースケールでは、グレースケールの階調間の差は、少なくとも1/255である。この例では、60〜210のバックグラウンドのL値を提供するセンサ及び照明一式を使用することが望ましいであろう。0〜255のグレースケールを使用して、角質表面の改質を開始するためのΔLは、好ましくは、少なくとも0.5であり、より好ましくは、少なくとも1であり、更により好ましくは、少なくとも1.5である。同様に、ΔLを百分率として測定することができ、例えば、2.6のΔLの数値は、255グレースケールの1.0%とほぼ等しい。したがって、ΔLは、グレースケールの±0.25%であってもよく、好ましくは、±0.5%であってもよく、更により好ましくは、±0.75%であってもよい。
【0053】
バックグラウンドのL値に使用する画像と、局所的なL値に使用する画像との間には、技術的な差異はなく、その差異は、画像の解析におけるものである。したがって、L値、及びΔL値を算出するために、画像がプロセッサに継続的に送信される。「送信される」とは、好ましくは、1ピクセル当たり少なくとも4ビットのデータが各画像に転送されることとして理解され、好ましくは、この4ビット(又はそれ以上の)パケットのデータが、各局所的なL値の算出に使用される。バックグラウンドのLが改質期間中に一度算出され、その値が改質期間を通じて再利用され得ることが理解される。あるいは、改質プロセスが継続する限り、継続的に再算出することが可能である。その上、予めプログラムされたトリガを用いて、バックグラウンドのLの再算出を開始することも可能である。また、バックグラウンドのLは、プロセッサのメモリから読み出されて、現在のバックグラウンドのLに使用され得る。例えば、長時間経過しても角質の欠陥が見つからない場合、又は角質の欠陥があまりにも頻繁に検出される場合、新たなバックグラウンドのLが自動的に算出され得る。同様に、ΔLは、改質プロセス全体を通して一定のままである設定値であり得るか、又はΔLも変化し得る。ΔLは、様々な理由のうちのいずれかのために、改質プロセス中に再設定することができる。あまりにも多くのノズルが頻繁に噴射し過ぎる場合、ΔLは、ノズル噴射の強さを低下させるように調節され得る。同様に、ノズルがあまりにも頻繁に噴射する場合、ΔLは、角質の欠陥の検出の感度を増加させるように、反対方向に調節され得る。当業者であれば、改質プロセス中にΔLを変更することが、所望のアルゴリズムに合わせて、又はそれを用いてプロセッサをプログラムする問題であることが理解されよう。
【0054】
ΔLが所定の値を超えたときに、角質の欠陥がパーソナルケア組成物で改質される。改質には、パーソナルケア組成物を角質の欠陥がある領域内の角質表面上へ堆積させるノズルのうちの1つ以上を噴射させることが必要である。
【0055】
より具体的には、ノズルのアレイを介してパーソナルケア組成物が堆積され、ノズルのアレイの長さに沿って、かつノズルのアレイの噴射範囲において、局所的なLを算出する。ノズルの「噴射範囲」は、その大きさ、種類、デバイスが移動する速度、標的からの距離、及び他のパラメータに基づいて変化するであろう。本デバイスで使用するのに好適な様々な種類のノズルが、以下に示される。一般には、本明細書で使用される「ノズルの近辺」とは、局所的なL値を算出するために撮影された画像が、パーソナルケア組成物がノズルによって堆積される角質表面の領域(ノズルの噴射範囲、又はランディングゾーン)に近接していることを意味することを意図している。本発明を限定することを意図するものではないが、ノズルの近辺とは、ノズルの中心から約2cm、好ましくは約1cm、更により好ましくは約0.7cmの半径の範囲内で撮影されるべきであることを意味する。
【0056】
個々のノズルを噴射させて、パーソナルケア組成物を堆積させてもよく、又は複数のノズルを同時に噴射させてもよい。ΔLの大きさ及び角質の欠陥の大きさに基づいて、ノズルのアレイに沿って噴射させるノズルの数を調節することができる。更に、ΔLに基づいてノズル噴射の頻度を調節することができ、ΔL値が大きくなるのに応答して、より多くの滴を連続で噴射することができる。
【0057】
噴射強さ曲線は、ノズルの噴射速度を調節するためにプロセッサ内にプログラムされ得る。例えば、ΔLがΔLに等しいか、又はΔLをわずかに超える場合、隣接するノズルが1回噴射される。例えば、ΔLが2×ΔLまで増加する場合、隣接するノズルが25回噴射される。例えば、ΔLが3×ΔLである場合、隣接するノズルが100回噴射される。この非限定的な例は、ΔLに対するΔLの大きさが、角質の欠陥に隣接するノズルの噴射の量、ひいてはその強さをどのように決定し得るのかを示すよう意図されている。当業者であれば、2つ、3つ、又はそれ以上のデータ点を用いて噴射強さ曲線をプロットし、その後、噴射強さ曲線をプロセッサ内にプログラムすることが既知の技術であることが理解されよう。
【0058】
本明細書では、インクジェットカートリッジを示し、例示しているが、他の「流量制御」デバイスを用いて、パーソナルケア組成物を塗布してもよい。流量制御デバイスは、典型的には、物質の個々の滴を制御する「滴制御技術」を特徴とする。インクジェットプリンタは、当該技術分野において既知であるが、ドロップオンデマンドアプリケータの例であり、この技術は本発明で使用するのに適切である。圧電滴制御デバイス及び他の微小電気機械システムは、現行のパーソナルケアデバイスでの使用に適している。スプレーデバイス及び静電スプレーデバイスは、滴を凝集体の状態でのみ生成及び制御する非滴制御技術である。多くの場合、スプレーデバイスにおいては、比較的広い領域上にむらのない塗布をもたらすために、個々の滴が制御されないこと、すなわち、「ランダム性」が所望される。対照的に、パーソナルケア組成物の量及び配置には極めて精密な制御を提供することが望ましい場合がある。
【0059】
滴制御の例には、物質の流量が厳密に制御されて所望時に滴が供給される「少流量制御」、及び「インクジェット技術」が挙げられ得る。比較的以前のインクジェット技術は、滴を通過させるか、又は溝にそらせるかいずれか一方を行うように交互に帯電される静電偏向板を通って帯電滴の連続流を供給することを含む。他のインクジェット技術には、Hewlett Packardが提供するサーマルデバイス、並びにEpson(登録商標)及び他のプリンタメーカが提供する圧電デバイスなどの「ドロップオンデマンド」が挙げられる。本発明の一実施形態では、ドロップオンデマンド技術は滴の帯電と組み合わされる。
【0060】
一態様では、パーソナルケアデバイスは、インクジェット堆積を介してパーソナルケア組成物を堆積させることができるが、他の堆積方法は、直接接触、噴霧スプレー堆積、及びこれらの組み合わせを含み得る。
【0061】
本発明のパーソナルケアデバイスは、好ましくは手持ち式であるが、改質される角質表面全体にわたってパーソナルケアデバイスを移動させる構造体につながっていてもよい。手持ち式である場合、ユーザは、改質される角質表面全体にわたって、単にパーソナルケアデバイスを移動させることができる。所望により、複数のパーソナルケアデバイスを固定構造体内に設定することができ、ユーザが、改質される角質表面を配置して、複数の読み取り及び塗布が同時に又は連続で実施される。
【0062】
表面全体にわたって複数回通過すると同時にスキャン及び塗布を行うことにより、パーソナルケア組成物を角質表面上へ塗布することができる。複数回の通過による塗布を用いることにより、いくつかの利点がもたらされる。複数回の通過による塗布の処理は、パーソナルケア組成物の部分的な塗布を行い、その後、その部分的な塗布を受けた角質表面の領域を再度スキャンする。パーソナルケア組成物の更なる塗布が行われ、また審美的目標に近づけるために、なお更に複数回の通過によるスキャン及び塗布が行われてもよい。したがって、ユーザは、改質の目標点、つまり、「審美的目標」を選択することができ、結果的に個々のニーズ及び嗜好に応じて改質時間を調整することができる。1回の通過において全ての矯正を行うための試みとして、ある領域において過剰矯正することが示されてきた。
【0063】
パーソナルケアデバイスが、パーソナルケア組成物で角質表面の約1%〜約40%、あるいは、約20%未満、あるいは約10%未満、あるいは約5%未満、あるいは約1%未満、あるいは約0.5%未満を改質することが望ましい場合がある。これは、ユーザの基礎皮膚のより多くが露出され、着色化粧用組成物によって覆われていないときに、触覚の影響を軽減できるため、望ましい場合がある。
【0064】
パーソナルケアデバイスは、約0.1μm〜約50μmの平均直径を有する滴の形状で、パーソナルケア組成物を塗布することができる。好ましくは、パーソナルケア組成物は、別々の滴の不連続なパターンで角質の欠陥に塗布され得る。
【0065】
一態様では、パーソナルケアデバイスによって堆積されるパーソナルケア組成物の滴の体積は、約100ピコリットルである。
【0066】
一態様では、フィードバック信号は、適切な使用技術による習慣形成及び適合に役立つことができる。
【0067】
一態様では、フィードバック要素は、パーソナルケアデバイスが適切な量の圧力で角質表面に対して配置されたときに活性化され得る。この場合、フィードバック要素は、正しい量の圧力が加えられていることをユーザに通知するために、第2のフィードバック信号を発することができる。一態様では、第2のフィードバック信号は、角質表面に加えられる圧力の量と相関され得る。
【0068】
別の態様では、パーソナルケアデバイスは、物理的スペーサの近位端上に複数のローラを備えることができ、パーソナルケアデバイスが角質表面を横切って移動するのを助けることができる。一態様では、複数のローラのうちのいずれか1つが角質表面から持ち上がるときに、フィードバック要素が活性化され得、第3のフィードバック信号を発することができる。
【0069】
別の態様では、フィードバック要素は、パーソナルケアデバイスが不適切に使用されているときに、パーソナルケアデバイスが適切に作動していないことをユーザに知らせるために、第4のフィードバック信号を発することができる。例えば、表面からの距離及び/又はセンサの表面に対する角度に起因してセンサが角質表面を適切に感知できないとき、又はパーソナルケア組成物が枯渇あるいはほぼ枯渇しているときである。
【0070】
別の態様では、フィードバック要素は、パーソナルケアデバイスが角質表面にわたって非常に速く移動しているとき、フィードバック信号を発することを停止する場合がある。一態様では、カメラは、捕捉されている画像の移動要素を解析することによって、パーソナルケアデバイスが角質表面にわたって移動するおよその速度(「改質速度」)を決定するために使用することができる。一態様では、カメラの視野内にある角質表面と接触するローラが存在し得る。ローラの回転速度は、直線的な表面の移動速度へと較正することができ、回転速度が所望の改質速度を超えたとき、聴覚信号をオフにすることができる。あるいは、カメラの解像度は、表面の画像要素の空間的な大きさと相関され得る。この場合、表面の特徴は、カメラの視野をどれだけ速く通過するのかについて監視することができ、この画像の移動速度を使用して改質速度を概算することができる。一態様では、改質速度が毎秒約1.5インチ超であるとき、ノズルは噴射されず、フィードバック信号を発しない場合がある。フィードバック信号がもはや発せられなくなると、改質速度を低下させるようにユーザに信号を送ることができ、その結果、より良好な堆積品質及び角質の欠陥の改質をもたらすと考えられている。あるいは、フィードバック要素は、改質速度が毎秒約1.5インチ超であるとき、第5のフィードバック信号を発してもよい。
【0071】
パーソナルケア組成物
パーソナルケア組成物は、角質の欠陥の上のみに厳密かつ実質的に堆積されたときに、色素沈着過度などの角質の欠陥を隠蔽又はカモフラージュすることができる。
【0072】
本発明のパーソナルケア組成物の1つの重要な特徴は、コントラスト比である。皮膚のような角質表面上に堆積するときのパーソナルケア組成物のコントラスト比は、少なくとも0.1である。コントラスト比は、好ましくは約0.1〜約1.0、より好ましくは約0.2〜約1.0、最も好ましくは約0.3〜約1.0である。本明細書で使用されるとき、「コントラスト比」は、組成物を不透明度チャート(Form N2A,Leneta Company Mahwah,NJ又はその同等物)上に伸ばした後、正反射を除外するように選択した設定で、分光光度計を使用することにより決定される、パーソナルケア組成物の不透明度、又はパーソナルケア組成物が光透過を低減させるか、若しくは妨げる能力を指す。コントラスト比を測定するために、パーソナルケア組成物を、10:1の比で脱イオン水プレミックス中の1%のStabylen 30で希釈する。組成物を不透明度チャートの上部に塗布し、次いでフィルムアプリケータ(例えば、BYK Gardner Columbia,Marylandから市販されているもの、又はその同等物)を用いて、約0.01インチの厚さを有するフィルムになるように伸ばす。フィルムは、22℃±1℃、1気圧の条件下で2時間乾燥させる。分光光度計を使用して、フィルムのY三刺激値(すなわち、XYZ色空間)を測定し記録する。Y三刺激値は、不透明度チャートの黒色セクション上のフィルムの3つの異なる領域で測定され、また、不透明度チャートの白色セクション上のフィルムの3つの異なる領域で測定される。
【0073】
角質表面の明度及びパーソナルケア組成物の明度を、既知の方法を使用して、較正済みの分光光度計により測定することができる。一例では、較正済みの分光光度計を使用するとき、ヒトの皮膚の平均L値は、通常、約25〜75の範囲に及ぶ。この場合、対応するパーソナルケア組成物の明度は、ユーザの平均の皮膚の明度よりも、少なくとも2単位大きい値、好ましくは少なくとも3単位大きい値、更により好ましくは少なくとも5単位大きい値である。
【0074】
パーソナルケア組成物は、粒子を含むことができる。一態様では、パーソナルケア組成物の粒子沈降速度は、好ましくは、25℃及び1気圧の圧力で1日当たり0.06mm未満である。粒子沈降は、ASTM法D869−85(2015年6月1日)に従って測定することができる。パーソナルケア組成物は、25℃及び1000Hzにおいて、約0.1Pa〜約1000Paの弾性(又はヤング)率を更に有していてもよい。弾性率は、ASTM法E111−17(2017年7月15日)に従って測定することができる。固形ワックスベースのパーソナルケア組成物は、最大約100MPaの弾性率を有していてもよい。好ましくは、パーソナルケア組成物内の粒子は、約1.1〜約5.0の屈折率を有する。
【0075】
パーソナルケア組成物は、インク、染料、顔料、粘着剤、硬化性組成物、光学活性化合物、鉄、亜鉛、酸化チタン、及びこれらの混合物などの金属酸化物、漂白剤、質感還元ポリマー、化粧品、染毛剤、及びこれらの組み合わせを含むことができる。一態様では、パーソナルケア組成物は、約100nm超の平均粒子径の金属酸化物を含み得る。
【0076】
一態様では、パーソナルケア組成物は、スキンケア組成物、ヘアケア組成物、脱毛組成物(脱毛剤と呼ばれることが多い)、育毛刺激剤、及びこれらの混合物であり得る。
【0077】
パーソナルケア組成物を、単独で、又は皮膚科学的に許容可能な担体の存在下で送達してもよい。本明細書で使用される場合、「皮膚科学的に許容可能な担体」という語句は、担体が角質組織への局所塗布に好適であり、良好な審美的特性を有し、パーソナルケア組成物の任意の追加構成成分と適合性があり、不都合な安全性又は毒性の懸念を一切引き起こさないことを意味する。担体は、多種多様な形態であってよい。非限定的な例としては、単純な溶液(水又は油系)及びエマルションが挙げられる。特定の実施形態では、皮膚科学的に許容可能な担体は、エマルションの形態である。エマルションを、連続水相(例えば、水中油型及び水中油中水型)、又は連続油相(例えば、油中水型及び油中水中油型)を有するものとして概ね分類してもよい。油相は、シリコーン油、非シリコーンオイル(炭化水素油、エステル、エーテルなど)、及びこれらの混合物を含み得る。エマルション担体としては、連続水相エマルション(水中シリコーン型、水中油型、及び水中油中水型エマルションなど)、連続油相エマルション(油中水型及びシリコーン中水型エマルションなど)、シリコーン中水中油型エマルション、及びこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0078】
一態様では、パーソナルケア組成物は、油分を含まなくてもよい。
【0079】
パーソナルケア組成物を、クリーム、ローション、ゲル、泡、ペースト、又はセラムなどであるがこれらに限定されない、様々な製品形態で送達することが可能である。
【0080】
パーソナルケア組成物は、所望により、適切な処方及び安定性のために抗真菌及び抗細菌成分を含むことができる。
【0081】
パーソナルケア組成物は、パーソナルケア組成物内の他の構成成分の担体又はシャーシと(chassis)しての湿潤剤を含んでいてもよい。湿潤剤の例示的な部類は、多価アルコールが挙げられ得る。好適な多価アルコールとしては、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びこれらの誘導体を含む、ポリアルキレングリコール類及びアルキレンポリオール類並びにこれらの誘導体、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、エリスリトール、トレイトール、ペンタエリスリトール、キシリトール、グルシトール、マンニトール、ブチレングリコール(例えば、1,3−ブチレングリコール)、ペンチレングリコール、ヘキサントリオール(例えば、1,2,6−ヘキサントリオール)、グリセリン、エトキシル化グリセリン、及びプロポキシル化グリセリンが挙げられる。他の好適な湿潤剤としては、2−ピロリドン−5−カルボン酸ナトリウム、グアニジン、グリコール酸及びグリコール酸塩(例えば、アンモニウム及び四級アルキルアンモニウム)、乳酸及び乳酸塩(例えば、アンモニウム及び四級アルキルアンモニウム)、様々な形態のうちのいずれかのアロエベラ(例えば、アロエベラゲル)、ヒアルロン酸及びその誘導体(例えば、ヒアルロン酸ナトリウムなどの塩誘導体)、ラクトアミドモノエタノールアミン、アセトアミドモノエタノールアミン、尿素;ピログルタミン酸ナトリウム、水溶性グリセリルポリ(メタ)アクリレート潤滑剤(Hispagel(登録商標)など)、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0082】
インク、染料、金属酸化物、及び顔料(以下で「着色剤」と総称される)を角質表面の色又は反射率を改質するために使用することができる。着色剤を含む組成物は、化粧用の「メークアップ」組成物において色及び反射率を改質するために一般に使用される。ファンデーション、口紅、アイライナーは、これらのメークアップ組成物のほんの数例であるが、これらは全て角質表面の大部分にわたって均一に塗布される、すなわち、マクロ塗布(macro-applications)である。極めて対照的に、本出願のパーソナルケア組成物は、選択した領域へ極めて微小な規模で選択的に塗布される、すなわち、それらはミクロ塗布を意図している。
【0083】
好適な着色剤としては、無機又は有機顔料及び粉末を挙げることができる。有機顔料としては、天然着色剤、並びに合成モノマー着色剤及び合成ポリマー着色剤を挙げることができる。有機顔料としては、連邦医薬品化粧品法及び連邦食品医薬品化粧品法のブルー、ブラウン、グリーン、オレンジ、レッド、イエローなどとして指定される、アゾ、インジゴイド、トリフェニルメタン、アントラキノン、及びキサンチン染料などの種々の芳香族型を挙げることができる。無機顔料としては、酸化鉄、フェロシアン化第二鉄アンモニウム、マンガンバイオレット、ウルトラマリン、クロム、水酸化クロム着色剤、及びこれらの混合物を挙げることができる。顔料は、顔料を疎水性にする1つ以上の成分でコーティングされてもよい。顔料を性質上より親油性にすることとなる好適なコーティング材料としては、シリコーン、レシチン、アミノ酸、リン脂質、無機及び有機油、ポリエチレン、並びに他の高分子物質を挙げることができる。好適なシリコーン処理顔料は、米国特許第5,143,722号に開示されている。無機の白色又は無着色の顔料には、TiO、ZnO、又はZrOが挙げられ、これらは多くの供給業者から市販されている。他の好適な着色剤は、米国特許第7,166,279号で特定されている。着色剤は、通常、パーソナルケア組成物に知覚可能な色を生じさせるような重量パーセントで含まれている。一態様では、パーソナルケア組成物は、アプリケータの色とは知覚可能に異なる色を呈する。知覚可能に異なるとは、標準的な採光条件下(例えば、昼間の時間帯に屋外で感じるような自然の照度、標準的な100ワット白熱白光電球の2メートルの距離における照度、又は1964 CIE標準観測者に対する800ルクスでのCIE D65標準光照明により定義されるもの)で、標準的な感覚能力を有するヒトに知覚可能な色の差を指す。
【0084】
一態様では、パーソナルケア組成物は、約15重量%超、あるいは約20重量%超、あるいは約30重量%超の着色剤を含み得る。一態様では、パーソナルケア組成物は、約1〜約30重量%、あるいは約3〜約25重量%、あるいは約5〜約20重量%、あるいは約8〜約18重量%の着色剤を含み得る。
【0085】
パーソナルケア組成物は、角質表面に適合する粘着剤を含み得る。角質表面と適合性のある市販の粘着剤は、3M Corporation(Minneapolis MN)から入手可能である。例えば、Blatchfordらに発行された米国特許第6,461,467号、Delgadoらに発行された米国特許第5,614,310号、及びHeineckeらに発行された米国特許第5,160,315号を参照のこと。一態様では、粘着剤を含むパーソナルケア組成物を角質表面に選択的に塗布することができ、第2のパーソナルケア組成物を粘着剤に付着するであろう角質表面に散布することができる。次いで、角質表面に付着していない第2のパーソナルケア組成物を、第2のパーソナルケア組成物の選択的ミクロ塗布(micro application)を残した状態で除去することができる。
【0086】
同様に、パーソナルケア組成物は、特定の波長のエネルギー、例えば赤外光に曝露されると硬化する硬化性組成物を含み得る。一態様では、硬化性組成物を含むパーソナルケア組成物は、角質表面に選択的に塗布することができ、角質表面を硬化エネルギー源に曝露することにより硬化することができる。角質表面全体を曝露してもよく、又は塗布と同時に曝露を行ってもよい。
【0087】
パーソナルケア組成物は、張力ポリマー及び/又はフィルム形成ポリマーを含む抗しわ組成物であり得る。好適な張力ポリマーは、Luizziらにより出願された米国特許出願公開第2006/0210513(A1)号に記載されており、好適なフィルム形成ポリマーは、Omuraらにより出願された米国特許出願公開第2007/0148120(A1)号に記載されている。
【0088】
パーソナルケア組成物は、光学活性粒子を含むことができる。「干渉顔料」と称される場合があるこれらの光学活性粒子は、ナイロン、アクリル、ポリエステル、他のプラスチックポリマー、天然材料、再生セルロース、金属、鉱物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される複数の基材粒子を含み、複数の基材粒子のうちのそれぞれに化学的に結合した蛍光増白剤は、光学活性粒子の形態で、光を拡散するための一体型のユニットを形成する。これらの粒子は、セルライト、くま、皮膚の変色、及びしわを含む、皮膚の欠陥に対する視覚的印象を緩和するのに役立ち得る。光学活性粒子の各々は、光の拡散性を高めて角質の欠陥を視覚的に更に認識されにくくするように、紫外線(ultraviolet、UV)透過コーティングに封入され得る。封入した光学活性粒子は、紫外放射線を吸収し、可視光を放出することが可能である。封入した光学活性粒子は、光学活性粒子が角質表面に塗布される際に、角質の欠陥の視覚的印象を緩和するために、光の散乱及び吸収の両方を拡散様式に行うことが可能である。
【0089】
パーソナルケア組成物を、保湿剤、コンディショナー、アンチエージング組成物、美白組成物、日焼け止め剤、サンレスタナー、及びこれらの組み合わせなどのスキンケア組成物としてもよい。
【0090】
パーソナルケア組成物は、皮膚の状態を調整及び/又は改善するのに有用な、安全かつ有効な量の1種以上の活性物質を含むことができる。「安全かつ有効な量」とは、有益な効果を誘導するには十分であるが、深刻な副作用を避けるには十分に低い(すなわち、当事者の判断における妥当なリスクと効果のバランスを提供する)化合物又は組成物の量のことを意味する。活性物質の安全かつ有効な量は、組成物全体の約1×10−6〜約25重量%であってもよく、あるいは組成物全体の約0.0001〜約25重量%であってもよく、あるいは組成物全体の約0.01〜約10重量%であってもよく、あるいは組成物全体の約0.1〜約5重量%であってもよく、あるいは組成物全体の約0.2〜約2重量%であってもよい。
【0091】
好適な活性物質としては、ビタミン(例えば、ナイアシンアミド、ナイアシンニコチン酸、及びニコチン酸トコフェロールなどのB3化合物、パンテノールなどのB5化合物、レチノイド、レチノール、酢酸レチニル、レチニルパルミテート、レチノイン酸、レチナールデヒド、レチニルプロピオネート、カロチノイド(プロビタミンA)を含むビタミンA化合物並びにビタミンAの天然及び/又は合成類似体、ビタミンE化合物、又はソルビン酸トコフェロール及び酢酸トコフェロールを含むトコフェロール、アスコルビン酸、脂肪酸のアスコルビン酸エステル、及びアスコルビン酸誘導体(例えば、アスコルビン酸リン酸マグネシウム及びアスコルビン酸リン酸ナトリウム、アスコルビン酸グルコシド、並びにソルビン酸アスコルビル)などのビタミンC化合物、ペプチド(例えば、10以下のアミノ酸を含むペプチド、それらの誘導体、異性体、及び金属イオンなどの他種との錯体)、糖アミン(例えば、N−アセチルグルコサミン)、日焼け止め剤、オイルコントロール剤、日焼け活性物質、抗にきび活性物質、剥離活性物質、抗セルライト活性物質、キレート化剤、皮膚美白剤、フラボノイド、蛋白質分解酵素阻害剤(例えば、ヘキサミジン及び誘導体)、非ビタミン酸化防止剤及びラジカルスカベンジャ、サリチル酸、育毛調整剤、抗しわ剤、抗皮膚萎縮剤、鉱物、フィトステロール及び/又は植物ホルモン、チロシナーゼ阻害剤、N−アシルアミノ酸化合物、保湿剤、植物抽出物、並びに上記活性物質のうちのいずれかの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用される「誘導体」という用語は、示されていないが当業者であれば理解すると考えられる基本化合物の変異体である構造を意味する。例えば、ベンゼンから水素原子を取り除いて、メチル基に置き換えたものである。好適な活性物質は、米国特許出願第2006/0275237(A1)号及び同第2004/0175347(A1)号に更に記載されている。
【0092】
本明細書にて開示された寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、このような寸法はそれぞれ、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0093】
相互参照される又は関連する全ての特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本願に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全容が本明細書に援用される。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのような発明全てを教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照することによって組み込まれた文書内の同じ用語の意味又は定義と矛盾する場合、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0094】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内に含まれるそのような全ての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲にて網羅することを意図したものである。
図1
図2
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図6