(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内径と外径との差によりナットが螺合するための螺旋状のネジ山が形成されるボルトと、前記ボルトに対して螺合される前記ナットと、前記ナットに嵌められるキャップと、を含む締結部材をであって、
前記ボルトを自転させるボルト頭部と、
螺旋状の前記ネジ山が形成され、ナットが螺合可能であるボルト本体と、を備え、前記内径の内径中心点と前記外径の外径中心点とが異なるボルトと、
前記ボルトの内径中心点を回転軸として前記ボルトに螺合し、前記キャップに固定される被固定部を有するナットと、
前記ボルト本体を挿入可能な外径中心点を円心とする貫通孔を有し、前記ナットの前記被固定部の少なくとも一部を覆い内径中心点を円心とする固定部を有するキャップと、を含み、
前記ナットと前記ボルトの前記内径との隙間の距離、及び、前記キャップの貫通孔と前記ボルトの前記外径との隙間の距離、並びに、前記固定部と前記被固定部との隙間の距離が、それぞれ前記内径中心点と前記外径中心点との距離より短い締結部材。
内径と外径との差によりナットが螺合するための螺旋状のネジ山が形成されるボルトと、前記ボルトに対して螺合される前記ナットと、前記ナットに嵌められるキャップと、を含む締結部材をであって、
前記ボルトを自転させるボルト頭部と、
螺旋状の前記ネジ山が形成され、ナットが螺合可能であるボルト本体と、を備え、前記内径の内径中心点と前記外径の外径中心点とが異なるボルトと、
前記ボルトの内径中心点を回転軸として前記ボルトに螺合するナットと、
前記ボルト本体に対して側方から挿入可能であり、前記ボルト本体を保持する外径中心点を円心とする挿入口を有し、前記ナットの側面を保持する側面部を有するキャップと、を含み、
前記ナットと前記ボルトの前記内径との隙間の距離、及び、前記キャップの挿入口と前記ボルトの前記外径との隙間の距離、並びに、前記側面部と前記ナットとの隙間の距離が、それぞれ前記内径中心点と前記外径中心点との距離より短い締結部材。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、ねじ山の山頂に沿ってスリットが形成され、かつ、ねじ山の谷底近傍がえぐり取られた形状であるのでねじ山が薄肉化しており、剪断応力に欠けるとともに、耐久性に欠けるという問題がある。
【0007】
また、特許文献1に記載の技術は、ナットが締結された際は、ねじ山が常に弾性変形された状態であり経時的に機械的強度が減少するので、圧縮応力に欠け、かつ、耐久性に欠けるため、安全性に欠けるという問題がある。
【0008】
一方、特許文献2に記載の技術は、右ねじ及び左ねじのピッチの大きさの相違によって生じる螺子部の耐久性や強度、螺子山の同期性等の関係が考慮されていない。
【0009】
このため、一方のねじの螺子山に対して他方のねじの谷が無作為に螺設されて、螺子山がつぶれる部分もあり圧縮応力や剪弾力に弱く耐久性に欠けると共に締結力が低下する。
【0010】
また、製造された右、左ねじの螺子山の同期性が崩れ、螺子山の分断部分が多く、機械的強度が低下し、更に目視で製品の不良を発見することが困難である。
【0011】
また、ボルトに先に装着される第1のナットに螺着する螺子部のリード角が後に装着される第2のナットに螺着する螺子部のリード角より小さい場合は、同角度の回転に対して、第1のナットの移動距離より、第2のナットの移動距離の方が大きいので、弛みやすく、締結力に欠けるとともに安全性に欠けるという問題がある。
【0012】
本発明の目的は、緩み難い締結部材を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、緩み難いボルトの締結方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の局面に係るボルトは、内径と外径との差によりナットが螺合するための螺旋状のネジ山が形成されるボルトであって、
前記ボルトは、
前記ボルトを自転させるボルト頭部と、
螺旋状の前記ネジ山が形成され、ナットが螺合可能であるボルト本体と、を備え、
前記内径の内径中心点と前記外径の外径中心点とが異なるボルトである。
【0015】
内径中心点と外径中心点とが異なるボルトの場合、内径中心点を回転軸として回転するナットと、外径中心点を回転軸として回転するナットが存在する。
【0016】
そのため、これらの両方のナットを用いてボルトに螺合することにより、ナットが緩み難い締結をすることができる。
【0017】
本発明の第2の局面に係るボルトは、第1の局面に係るボルトであって、前記内径の内径中心点と、前記外径の外径中心点との位置がずれることにより、螺旋状の前記ネジ山の高さが変化するボルトである。
【0018】
内径中心点と外径中心点とを異ならせることにより、螺旋状のネジ山の高さが変化し、ネジ山の高いところとネジ山が低いところが生じる。
【0019】
そして、内径中心点を回転軸として回転するナットと、外径中心点を回転軸として回転するナットがあり、これら両方のナットを用いてボルトに螺合することにより、ナットが緩み難い締結をすることができる。
【0020】
第3の局面に係る締結部材は、内径と外径との差によりナットが螺合するための螺旋状のネジ山が形成されるボルトと、前記ボルトに対して螺合される前記ナットと、を含む締結部材をであって、
前記ボルトを自転させるボルト頭部と、
螺旋状の前記ネジ山が形成され、ナットが螺合可能であるボルト本体と、を備え、前記内径の内径中心点と前記外径の外径中心点とが異なるボルトと、
前記ボルトの内径中心点を回転軸として前記ボルトに螺合する第1ナットと、
前記ボルトの外径中心点を回転軸として前記ボルトに螺合する第2ナットと、を含み、
前記第1ナットと前記ボルトの前記内径との隙間の距離、及び、前記第2ナットと前記外径との隙間の距離が、それぞれ前記内径中心点と前記外径中心点との距離より短い締結部材である。
【0021】
内径中心点を回転軸としてボルトに螺合する第1ナットと、外径中心点を回転軸としてボルトに螺合する第2ナットとの両方をボルトに螺合することにより、第1ナットと第2ナットとを密着させることで第1ナットと第2ナットとが、回転軸の違いにより同時に回転し難く、ナットが緩み難いという効果を有する。
【0022】
なお、前記第1ナットと前記ボルトの前記内径との隙間の距離、及び、前記第2ナットと前記外径との隙間の距離の合計は、前記内径中心点と前記外径中心点との距離より短いものが好ましい。
【0023】
本発明の第4の局面に係る締結部材は、内径と外径との差によりナットが螺合するための螺旋状のネジ山が形成されるボルトと、前記ボルトに対して螺合される前記ナットと、前記ナットに嵌められるキャップと、を含む締結部材をであって、
前記ボルトを自転させるボルト頭部と、
螺旋状の前記ネジ山が形成され、ナットが螺合可能であるボルト本体と、を備え、前記内径の内径中心点と前記外径の外径中心点とが異なるボルトと、
前記ボルトの内径中心点を回転軸として前記ボルトに螺合し、前記キャップに固定される被固定部を有するナットと、
前記ボルト本体を挿入可能な外径中心点を円心とする貫通孔を有し、前記ナットの前記被固定部の少なくとも一部を覆い内径中心点を円心とする固定部を有するキャップと、を含み、
前記ナットと前記ボルトの前記内径との隙間の距離、及び、前記キャップの貫通孔と前記ボルトの前記外径との隙間の距離、並びに、前記固定部と前記被固定部との隙間の距離が、それぞれ前記内径中心点と前記外径中心点との距離より短い締結部材である。
【0024】
キャップの貫通孔の中心軸(xy平面視の円心)は外径中心点であるため、キャップがナットの少なくとも一部を覆うことで、ナットの回転軸とキャップの中心軸とが異なることから、ナットとキャップは同時に回転することができず、ナットはボルトに対して固定される。
【0025】
したがって、キャップを取付ける構成であってもナットはボルトに対して緩み難い。
【0026】
なお、前記ナットと前記ボルトの前記内径との隙間の距離、及び、前記キャップの貫通孔と前記ボルトの前記外径との隙間の距離、並びに、前記固定部と前記被固定部との隙間の距離の合計は、前記内径中心点と前記外径中心点との距離より短いものが好ましい。
【0027】
本発明の第5の局面に係る締結部材は、内径と外径との差によりナットが螺合するための螺旋状のネジ山が形成されるボルトと、前記ボルトに対して螺合される前記ナットと、前記ナットに嵌められるキャップと、を含む締結部材をであって、
前記ボルトを自転させるボルト頭部と、
螺旋状の前記ネジ山が形成され、ナットが螺合可能であるボルト本体と、を備え、
前記内径の内径中心点と前記外径の外径中心点とが異なるボルトと、
前記ボルトの内径中心点を回転軸として前記ボルトに螺合するナットと、
前記ボルト本体に対して側方から挿入可能であり、前記ボルト本体を保持する外径中心点を円心とする挿入口を有し、前記ナットの側面を保持する側面部を有するキャップと、を含み、
前記ナットと前記ボルトの前記内径との隙間の距離、及び、前記キャップの挿入口と前記ボルトの前記外径との隙間の距離、並びに、前記側面部と前記ナットとの隙間の距離が、それぞれ前記内径中心点と前記外径中心点との距離より短い締結部材である。
【0028】
キャップの挿入口の中心軸(xy平面視の円心)は外径中心点であり、キャップがナットの少なくとも一部を覆うことで、ナットの回転軸とキャップの中心軸とが異なることから、ナットとキャップは同時に回転することができず、ナットはボルトに対して固定される。
【0029】
したがって、キャップを取付ける構成であってもナットはボルトに対して緩み難い。
【0030】
なお、前記ナットと前記ボルトの前記内径との隙間の距離、及び、前記キャップの挿入口と前記ボルトの前記外径との隙間の距離、並びに、前記側面部と前記ナットとの隙間の距離の合計は、前記内径中心点と前記外径中心点との距離より短いものが好ましい。
【0031】
本発明の第6の局面に係る締結部材は、内径と外径との差によりナットが螺合するための螺旋状のネジ山が形成されるボルトを含む締結部材であって、
前記ボルトを自転させるボルト頭部と、螺旋状の前記ネジ山が形成され、雌ネジに対して螺合可能であるボルト本体とを備え、前記内径の内径中心点と前記外径の外径中心点とが異なるボルトと、
前記ボルトが前記内径中心点を回転軸として回転するための前記雌ネジが設けられたネジ穴、及び、前記ネジ穴と平面視における中心点が同一であり平面視円状の被挿入部が設けられた雌ネジ部材の、前記被挿入部に挿入する挿入部材と、を含み、
前記挿入部材は、前記中心点から前記内径中心点と前記外径中心点との距離だけ離れた位置を中心点とする、前記ボルト頭部又は前記ボルト本体が挿入可能な貫通孔を備え、
前記雌ネジと前記ボルトの前記内径との隙間の距離、及び、前記挿入部材の貫通孔と前記ボルトの前記外径との隙間の距離、並びに、前記挿入部材と前記被挿入部との隙間の距離が、それぞれ前記内径中心点と前記外径中心点との距離より短い締結部材である。
【0032】
「雌ネジ部材」とは、例えば壁、ボード、板等が挙げられ、ボルトを挿入するための雌ネジが設けられているところである。
【0033】
ボルトは雌ネジに対して平面視における内径中心点を回転軸として回転するため、挿入部材でボルトの外径を保持することにより、内径中心点と外径中心点とが異なるボルトは回転できなくなり、ボルトが固定される。
【0034】
本発明の第7の局面に係る締結方法は、第3の局面に係る前記ボルト、前記第1ナット及び前記第2ナットを使用した締結方法であって、
前記ボルトに螺合された前記第1ナットと前記第2ナットとの各々の回転軸に対する垂直方向の相対位置が固定される固定工程を含む締結方法である。
【0035】
「回転軸に対して垂直方向」とは、本実施形態ではxy平面方向(x軸方向及びy軸方向)のことである。
【0036】
内径の内径中心点と、外径の外径中心点とが異なるボルトに対して、内径中心点を回転軸として回転する第1ナットをボルトに螺合し、
その後、外径中心点を回転軸として回転する第2ナットをボルトに螺合し、
回転軸に対する垂直方向(x軸方向、y軸方向)の第1ナットと第2ナットの相対位置を固定部材によって固定することにより、ボルトに対してナットが緩み難いという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明に係る締結部材のボルトである第1ボルト100及びナット200の実施形態に関して図面を参照しながら説明する。
【0039】
図1及び
図2に示すように、第1ボルト100は、第1ボルト100を自転させるためのボルト頭部110と、
螺旋状の溝が形成されているボルト本体120と、を備える。
【0040】
本実施形態におけるボルト頭部110は、xy平面視で六角形をしている。大きさは特に限定されない。
【0041】
ボルト頭部110のxy平面視における中心点は、ボルト本体120の外径中心点C2と同一である。
【0042】
なお、ボルト頭部110は第1ボルト100を自転させることができればどのような形状であっても良く、xy平面視六角形以外の形状であってもよい。また、例えば、六角棒スパナを挿入することができる六角穴が形成されているものであってもよい。
【0043】
また、ボルト頭部110には、六角穴以外にも四角穴、プラスマイナス、S型、H型(フィリピス型)、Z型(十字穴)、すりわり等の形状であってもよい。
【0044】
ボルト頭部110は、yz平面視及びxz平面視においてどのような形状であってもよい。
【0045】
例えば、ボルト頭部110のyz平面視及びxz平面視は、なべ、トラス、バインド、アプセット、皿、丸皿等の形状であってもよい。
【0046】
本実施形態では、ボルト頭部110は、xy平面視において、外径中心点C2を中心とするxy平面視六角形であるが、内径中心点C1を中心とする形状であってもよい。
【0047】
ボルト頭部110のxy平面視の中心点を外径中心点C2とすることにより、第1ボルト100のyz平面視又はxz平面視においてボルト本体120の中心に配置されているため外観上の見た目が綺麗である。
【0048】
ボルト本体120は、ネジ山130の内径を構成する内径131と、
ネジ山130の外径を構成する外径132と、を有する。
【0049】
内径131は、xy平面視において、内径中心点C1を中心とする円である。
【0050】
外径132は、xy平面視において、外径中心点C2を中心とする円である。
【0051】
外径132は、xy平面視において、内径131より直径が大きい円である。
【0052】
xy平面視において、内径131の内径中心点C1と外径132の外径中心点C2とは同一でない。
【0053】
したがって、ボルト本体120は、xy平面視において、内径131と外径132との最短距離m1と最長距離m2を有する。
【0054】
つまり、ボルト本体120のネジ山130が最も低い山の高さが最短距離m1となり、最も高い山の高さが最長距離m2となる。
【0055】
<第1実施形態>
ナット200は、第1ボルト100のボルト本体120と、内径中心点C1を中心として自転し螺合する第1ナット210と、
外径中心点C2を中心として自転して螺合する第2ナット220と、を含む。
【0056】
図3及び
図4に示すように、第1ナット210の第1ネジ溝211は、ネジ山130の最も高い山の高さである最長距離m2のネジ山130が螺合される深さである。
【0057】
図4に示すように、第1ナット210の第1内径L1は、第1ボルト100の内径131に合わせて螺合するサイズである。
【0058】
具体的には、第1ナット210の第1内径L1と、第1ボルト100の内径131とのxy平面視の隙間は、内径中心点C1と外径中心点C2との距離dより小さい。
【0059】
したがって、第1ナット210は、第1ボルト100のボルト本体120と、内径中心点C1を中心に自転して螺合する。
【0060】
第2ナット220の第2ネジ溝221は、ネジ山130の最も低い山の高さである最短距離m1のネジ山130が螺合される深さである。
【0061】
図5に示すように、第2ナット220の第2内径L2は、第1ボルト100の外径132に合わせて螺合するサイズである。
【0062】
具体的には、第2ナット220の第2内径L2と、第1ボルト100の外径132とのxy平面視の隙間は、内径中心点C1と外径中心点C2との距離dより短い。
【0063】
したがって、第2ナット220は、第1ボルト100のボルト本体120と、外径中心点C2を中心に自転して螺合する。
【0064】
第1ナット210と第2ナット220は回転軸が同一でないため、第1ナット210と第2ナット220とが密着した場合、同時に回転することができない。
【0065】
具体的には、第1ナット210の第1内径L1と、第1ボルト100の内径131とのxy平面視の隙間は、内径中心点C1と外径中心点C2との距離dより小さく、かつ、第2ナット220の第2内径L2と、第1ボルト100の外径132とのxy平面視の隙間は、内径中心点C1と外径中心点C2との距離dより短い。
【0066】
そのため、第1ナット210及び第2ナット220のそれぞれの回転軸が一致することがなく、第1ナット210と第2ナット220とが密着した場合、同時に回転することができない。
【0067】
したがって、第1ナット210と第2ナット220と両方と第1ボルト100に螺合することにより、ナット200は、第1ボルト100から緩み難くなる。
【0068】
また、
図6に示すように、第1ナット210と第2ナット220とを固定部材300で固定することにより、第1ナット210と第2ナット220とは同時にしか回転することができないが、第1ナット210と第2ナット220とは回転軸が同一でないため、同時に回転することができない。
【0069】
つまり、第1ナット210と第2ナット220のxy平面上での相対位置が、固定部材300によって固定される。
【0070】
したがって、第1ナット210及び第2ナット220の第1ボルト100に対する緩みを防止することができる。
【0071】
図6に示すように、固定部材300の例としては、例えばxy平面視U字状のものが挙げられる。
【0072】
固定部材300を第1ナット210及び第2ナット220に嵌め込むことにより、第1ナット210及び第2ナット220の第1ボルト100に対する緩みを防止することができる。
【0073】
なお、第1ナット210と第2ナット220とを逆にしてもよい。つまり、第2ナット220を第1ナット210より先に第1ボルト100に通すような構成であってもよい。このような場合であっても上記と同様の効果を奏する。
【0074】
また、本実施形態では、固定部材300の例としてxy平面視U字状のものを挙げたが、第2ナット220を第1ナット210に接触するように螺合した場合、第1ナット210と第2ナット220との側面が平行にならない場合がある。
【0075】
第1ナット210と第2ナット220とが接触するように螺合したときに、第1ナット210及び第2ナット220のxy平面視における六角形の頂点が内径中心点C1と外径中心点C2との直線状にある場合は、xy平面視U字形状の固定部材300が取り付け可能である。
【0076】
なお、第1ナット210及び第2ナット220が後述する第3ナット230のような形状であれば、xy平面上のどこかの角度でxy平面視U字形状の固定部材300を第1ナット210及び第2ナット220に側面から挿入することができる。
【0077】
<第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態の第1ナット210の代わりに、ナットである第3ナット230を使用し、第2ナット220の代わりにキャップである第1キャップ250を使用する構成である。第1ボルト100は第1実施形態と同様の構成であり、第1実施形態と同一又は同様の構成については説明を省略、又は簡略して説明する。
【0078】
図7及び
図8に示すように、第3ナット230は、xy平面視において円形状の被固定部232を備える。
【0079】
本実施形態では、被固定部232は第3ナット230のz軸正方向側端部に配置されているが、その位置は限定されない。
【0080】
第3ナット230は、第1ナット210と同様に、第3ナット230の第3ネジ溝231は、ネジ山130の最も高い山の高さである最長距離m2のネジ山130が螺合される深さである。
【0081】
つまり、第3ナット230は、内径中心点C1を回転軸としてボルト本体120に螺合する。
【0082】
具体的には、第3ナット230の内径と、第1ボルト100の内径131とのxy平面視の隙間は、内径中心点C1と外径中心点C2との距離dより短い。
【0083】
図8に示すように、本実施形態のキャップである第1キャップ250は、ボルト本体120がz軸方向に挿入可能な貫通孔である第1貫通孔251と、
第3ナット230の被固定部232を固定する固定部252と、を備える。
【0084】
第1ボルト100のボルト本体120を貫通させる第1キャップ250の第1貫通孔251の中心軸(xy平面上の円心)は、外径中心点C2である。
【0085】
一方で、第1キャップ250の固定部252の内側の内径は内径中心点C1が中心軸(xy平面上の円心)となる。
【0086】
つまり、第3ナット230及び第1キャップ250の固定部252の内側の回転軸(中心軸)は内径中心点C1であり、一方、第1キャップ250の第1貫通孔251の内側の中心軸(xy平面上の円心)は外径中心点C2である。
【0087】
そのため、第1キャップ250を第3ナット230に嵌めることにより、第1キャップ250の固定部252の内側の中心軸は内径中心点C1であり、一方、第1キャップ250の第1貫通孔251の内側の中心軸は外径中心点C2であるため、第1キャップ250自体も回転できなくなる。
【0088】
第1キャップ250の第1貫通孔251には、雌ネジが設けられていないため、そのまま第1ボルト100のボルト本体120に挿入することができる。
【0089】
第1キャップ250をボルト本体120で回転(自転)させ、固定部252と第3ナット230の被固定部232と一致する位置で、固定部252を被固定部232に挿入する。
【0090】
具体的には、ボルト本体120の内径中心点C1の回転軸とキャップ250の固定部252の中心軸が一致し、かつ、ボルト本体120の外径中心点C2の回転軸とキャップ250の第1貫通孔251の中心軸が一致する位置で、固定部252を被固定部232に挿入することができる。
【0091】
第1実施形態と同様に、第3ナット230の内径と、第1ボルト100の内径131とのxy平面視の隙間は、内径中心点C1と外径中心点C2との距離dより短い。
【0092】
また、第1キャップ250の第1貫通孔251の内側と、第1ボルト100の外径132とのxy平面視の隙間は、内径中心点C1と外径中心点C2との距離dより短い。
【0093】
また、第1キャップ250の固定部252の内側と、第3ナット230の被固定部232とのxy平面視の隙間は、内径中心点C1と外径中心点C2との距離dより短い。
【0094】
そして、第3ナット230の内径と第1ボルト100の内径131とのxy平面視の隙間、及び、第1キャップ250の第1貫通孔251の内側と、第1ボルト100の外径132とのxy平面視の隙間、並びに、第1キャップ250の固定部252の内側と、第3ナット230の被固定部232とのxy平面視の隙間の合計は、距離dより短い。
【0095】
したがって、この場合であっても、第3ナット230と第1キャップ250とは、被固定部232と固定部252とを接続することにより、xy平面上での相対位置が固定される。
【0096】
具体的には、第3ナット230の回転軸は内径中心点C1であり、第1キャップ250の第1貫通孔251の中心軸(回転軸)は外径中心点C2であるため、両者の回転軸が異なり、第1キャップ250の固定部252で被固定部232を固定することにより、第3ナット230は回転することができない。
【0097】
また、キャップ250が第三ナット230に装着された後、キャップ250が第三ナット230に対して回転させる力が加えられた場合、キャップ250は公差の分(隙間・誤差の分)だけ回転するが、内径中心点C1と外径中心点C2との回転軸の違いからxy平面方向に引っ張られる力が加わる。
【0098】
その結果、第1ボルト100のボルト本体120の内径131と第三ナット230のネジ溝及びネジ山に力がかかり、より強い張力でキャップ250及び第三ナット230が固定される。
【0099】
したがって、第3ナット230は第1ボルト100に対して緩み難い。また、第1キャップ250も第1ボルト100に対して緩みにくい。
【0100】
なお、被固定部232は、固定部252によって固定されるが、被固定部232が固定部252に固定され易いように、固定部252との接触面積は広いほうがよい。
【0101】
そのため、固定部252がxy平面視において円形状の場合、被固定部232もxy平面視において円形状のほうが好ましい。
【0102】
なお、第1キャップ250と第3ナット230との配置は逆であってもよい。
【0103】
また、第1キャップ250の開口部側(z軸正方向側)に、第3ナット230に引っ掛かけるための爪部(図示しない)が設けられる構成であってもよい。
【0104】
このような構成であれば、第1キャップ250は第3ナット230から外れ難くなり、第1キャップ250が不意に外れることによる第1ボルト100の緩みを防止することができる。
【0105】
<第3実施形態>
第3実施形態は、第1ボルト100に対して側方からキャップである第2キャップ260を嵌める構成である。第1ボルト100は第1実施形態と同様の構成であり、第1実施形態及び第2実施形態と同一又は同様の構成については説明を省略、又は簡略して説明する。
【0106】
図9及び
図10に示すように、第2キャップ260は、第1ナット210の側面の少なくとも一部を覆う側面部である第1側面部261と、
第1側面部261の上部に配置され、ボルト本体120の側面に嵌める上面部である第1上面部262と、を有する。
【0107】
本実施形態における第1側面部261は、xy平面視U字形状であり、内径中心点C1を回転軸とする第1ナット210の側面の一部を覆う構造である。
【0108】
具体的には、本実施形態では第1ナット210は六角ナットであり、第1側面部261は、xz平面に平行な第1ナット210の側面を保持する。
【0109】
なお、第2キャップ260は、第1ナット210の側面である角部分を保持する構成であってもよい。
【0110】
第1側面部261の一部であるx軸正方向側は開口されており、第2キャップ260は、第1ナット210の側面側から挿入可能である。
【0111】
第1上面部262は、第1側面部261の上部に配置されており、ボルト本体120に対して側面から挿入可能とするために、xy平面視U字状の第1挿入口263を有する。
【0112】
第1挿入口263は、x軸正方向側が開口しており、第2キャップ260をボルト本体120に対して側方から挿入することにより、ボルト本体120の側面を保持する。
【0113】
具体的には、第2キャップ260の第1挿入口263は、xy平面視において、x軸負方向側の半円部分を保持する。
【0114】
つまり、第1挿入口263は、yz平面視において、外径中心点C2を中心軸とする。
【0115】
言い換えると、第2キャップ260の第1挿入口263は、ボルト本体120に対して、外径中心点C2を回転軸とする。
【0116】
一方、第2キャップ260の第1側面部261(内側面)は、第1ナット210の少なくとも一部を覆い、内径中心点C1を中心軸(回転軸)とする。
【0117】
したがって、第2キャップ260を第1ボルト100に挿入した場合、第1ナット210及び第2キャップ260の第1側面部261の回転軸は内径中心点C1であり、第2キャップ260の第1挿入口263の回転軸は外径中心点C2である。
【0118】
なお、第1挿入口263とボルト本体120との隙間の距離は、内径中心点C1と外径中心点C2との距離dより短い。
【0119】
したがって、第2キャップ260を第1ボルト100に嵌めた場合、第2キャップ260の第1挿入口263の中心軸は外径中心点C2であり、一方、第1側面部261の中心軸は内径中心点C1であるため、第2キャップ260は回転することができない。
【0120】
言い換えると、第2キャップ260を第1ボルト100に嵌めた場合、第2キャップ260と第1ナット210とは回転軸が異なり、同時に回転することができず、第1ナット210はボルト120に対して回転し難くなる。
【0121】
なお、第2キャップ260の第1側面部261と第1ナット210との隙間の距離は、内径中心点C1と外径中心点C2との距離dより短い。
【0122】
また、本実施形態では、第2キャップ260の第1挿入口263は、第2キャップ260の上方(z軸正方向側)に配置されていたが、下方(z軸負方向側)に配置されてもよい。
【0123】
なお、本実施形態では、第1ナット210が用いられたが、第3ナット230が用いられても良い。
【0124】
第3ナット230の場合、第1ナット210と異なり、円形状の被固定部232を有するため、第2キャップ260によって固定し易いという利点がある。
【0125】
つまり、第3ナット230の場合、被固定部232がxy平面視円形状であるため、第1ナット210と比較して第2キャップ260と接触する面積が広く、第2キャップ260により安定して固定される。
【0126】
<第4実施形態>
第4実施形態は、壁や板等(雌ネジ部材700)に雌ネジが設けられたネジ穴500に対してボルト400を螺合する構成である。第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態と同一又は同様の構成については説明を省略、又は簡略して説明する。
【0127】
図11に示すように、ボルトである第2ボルト400は、第1ボルト100と同様に、第2ボルト頭部410と、第2ボルト本体420とを有する。
【0128】
第2ボルト頭部410は、第2ボルト本体420とxy平面視において同一又はほぼ同じ大きさである。
【0129】
本実施形態では、第2ボルト頭部410のz軸正方向側の上面には、六角レンチを挿入するための六角穴411が設けられている。
【0130】
なお、本実施形態では、第2ボルト頭部410に六角穴411が設けられているが、第2ボルト400を自転させるためのものであればどのような形状の穴であってもよい。
【0131】
六角穴411は、xy平面視において、内径中心点C1を中心に自転するように設けられている。
【0132】
図11に示すように、壁や板等には、雌ネジのネジ穴500が設けられている。
【0133】
本実施形態では、ネジ穴500には、第1ナット210と同様に、第2ボルト400のネジ山の最も高い山の高さである最長距離m2のネジ山が螺合される深さである。
【0134】
したがって、第2ボルト400は、ネジ穴500に対してxy平面視において、内径中心点C1を中心に自転し、螺合される。
【0135】
ネジ穴500の周辺には、xy平面視円状の被挿入部510が設けられている。
【0136】
被挿入部510のxy平面視状の中心点は、ネジ穴500のxy平面視状の中心点と同一である。
【0137】
図12に示すように、ネジ穴500に螺合された状態の第2ボルト400に対して、z軸正方向側から挿入部材600が挿入される。
【0138】
挿入部材600は、xy平面視円状であり、壁や板等に設けられている被挿入部510に挿入される部材である。
【0139】
挿入部材600には、第2ボルト400を貫通させるための貫通孔である第2貫通孔610を有する。
【0140】
第2貫通孔610は、第2ボルト頭部410又は第2ボルト本体420を貫通させるための貫通孔である。
【0141】
第2貫通孔610のxy平面視の中心点は、挿入部材600のxy平面視の中心点(内径中心点C1)から、内径中心点C1と外径中心点C2との距離dだけ離れている。
【0142】
一方、挿入部材600の外周円のxy平面視の中心点は、被挿入部510に挿入されるため、内径中心点C1である。
【0143】
そして、第2ボルト400は、xy平面視において内径中心点C1を中心に回転する。
【0144】
したがって、第2ボルト400と挿入部材600とは回転軸が異なり、同時に回転することができないため、第2ボルト400は、しっかりと固定される。
【0145】
なお、雌ネジのネジ穴500と第2ボルト400の内径との隙間の距離、及び、挿入部材600の第2貫通孔610と第2ボルト400の外径との隙間の距離、並びに、挿入部材600と被挿入部510との隙間の距離が、それぞれ内径中心点と外径中心点との距離dより短い。
【0146】
また、本実施形態では第2ボルト頭部410は、第2ボルト本体420とxy平面視において同一又はほぼ同じ大きさであるが、第2ボルト頭部410は、xy平面視において、第2ボルト本体420より小さくてもよい。
【0147】
このような場合であっても、挿入部材600の第2貫通孔610が第2ボルト頭部410がわずかな隙間で嵌まる形状となることにより、第2ボルト400の回転を防止することができる。
【0148】
また、本実施形態では、第2貫通孔610は、第2ボルト頭部410を保持する構成であったが、第2ボルト本体420を保持するものであってもよい。
【0149】
つまり、第2貫通孔610は、第2ボルト本体420に対してわずかな隙間で嵌まる形状であってもよい。
【0150】
このような場合であっても、第2ボルト400の回転を防止することができる。
【0151】
(第1ボルト100、第1ナット210及び第2ナット220による締結方法)
図12のフローチャートに示すように、第1ボルト100のボルト本体120には、外径中心点C2から位置をずらした内径中心点C1を中心としてネジ山の内径が形成され、外径中心点C2を中心としてネジ山の外径が形成される。
【0152】
内径中心点C1を回転軸とする第1ナット210が第1ボルト100に螺合される(ステップ11、第1ナット螺合工程)。
【0153】
次に、外径中心点C2を回転軸とする第2ナット220が第1ボルト100に螺合される(ステップS12、第2ナット螺合工程)。
【0154】
次に、回転軸に対して垂直方向の相対位置を固定部材300によって、第1ナット210と第2ナット220とが固定される(ステップS13、固定工程)。
【0155】
これにより第1ナット210及び第2ナット220は、第1ボルト100に対して緩み難くなる(ステップS14)。
【0156】
(第1ボルト100、第3ナット230及び第1キャップ250による締結方法)
図13のフローチャートに示すように、内径中心点C1を回転軸とする第3ナット230が第1ボルト100に螺合される(ステップS21、ナット螺合工程)。
【0157】
次に、外径中心点C2を中心軸とする第1貫通孔251を有する第1キャップ250が第1ボルト100に嵌め込まれる(ステップS22、キャップ嵌め込み工程)。
【0158】
次に、第3ナット230のxy平面視円形状の被固定部232に対して、内径中心点C1を中心軸とし、第1キャップ250のxy平面視円形状の固定部252が嵌め込まれ、第3ナット230と第1キャップ250との回転軸に対して垂直方向の相対位置が固定される(ステップS23、固定工程)。
【0159】
これにより第3ナット230及び第1キャップ250は、第1ボルト100に対して緩み難くなる(ステップS24)。
【0160】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。