特許第6931499号(P6931499)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ヒーローライフカンパニーの特許一覧

<>
  • 特許6931499-トレーラハウス 図000002
  • 特許6931499-トレーラハウス 図000003
  • 特許6931499-トレーラハウス 図000004
  • 特許6931499-トレーラハウス 図000005
  • 特許6931499-トレーラハウス 図000006
  • 特許6931499-トレーラハウス 図000007
  • 特許6931499-トレーラハウス 図000008
  • 特許6931499-トレーラハウス 図000009
  • 特許6931499-トレーラハウス 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6931499
(24)【登録日】2021年8月18日
(45)【発行日】2021年9月8日
(54)【発明の名称】トレーラハウス
(51)【国際特許分類】
   B60P 3/335 20060101AFI20210826BHJP
   B60P 7/13 20060101ALI20210826BHJP
【FI】
   B60P3/335
   B60P7/13
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2021-10447(P2021-10447)
(22)【出願日】2021年1月26日
【審査請求日】2021年1月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500310432
【氏名又は名称】株式会社ヒーローライフカンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】特許業務法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日崎 哲仁
(72)【発明者】
【氏名】江尻 直紀
(72)【発明者】
【氏名】清澤 仁志
(72)【発明者】
【氏名】江崎 賢司
(72)【発明者】
【氏名】横田 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】西川 信宏
(72)【発明者】
【氏名】押田 尚久
(72)【発明者】
【氏名】林 杰
(72)【発明者】
【氏名】児玉 健
(72)【発明者】
【氏名】八田 徹也
【審査官】 川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6664802(JP,B1)
【文献】 特開2007−276877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 3/32 − 3/39
B65D 88/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナを搭載可能なトレーラ(T)と、内部に居住スペース(C)を有して前記トレーラ(T)上に搭載された小屋状のミニハウス(H)とよりなり、前記トレーラ(T)には、コンテナ下部に固定の隅金具に係脱可能な上向きのロック部材(22)が所定のロック位置(22L)とアンロック位置(22UL)との間を回動操作可能に設けられるトレーラハウスであって、
前記ミニハウス(H)の下部の四隅には、水平な平板状に形成されて前記トレーラ(T)上に載置可能な4個の隅プレート(P)がそれぞれ配置され、
各々の前記隅プレート(P)は、前記ミニハウス(H)の下部に固着される少なくとも1つの固定板部(Pk1,Pk2)と、前記ロック部材(22)の先部(22a)が抜差可能なロック孔(Psh)を有して前記固定板部(Pk1,Pk2)に連設される受け板部(Ps)とを一体に備え、
前記ミニハウス(H)の下部四隅を構成する下枠(11)の、前記受け板部(Ps)に接する底面を切り欠くことで、該底面には、前記ロック孔(Psh)に差し込まれた前記ロック部材(22)の先部(22a)の少なくとも一部を受容可能であり且つ外側方が全面開放された空間(18)を前記受け板部(Ps)との間に画成する下向き凹部(11o)が形成されることを特徴とするトレーラハウス。
【請求項2】
前記4個の隅プレート(P)は互いに同一形状に形成され、且つ該形状は、これの表裏を変更するか、或いは前後又は左右を変更することで、該ミニハウス(H)の四隅の何れの底面にも適合、固着可能な形態に切換え可能であることを特徴とする、請求項1に記載のトレーラハウス。
【請求項3】
各々の前記隅プレート(P)は、前記ミニハウス(H)の底面の左右何れかの側縁部に重合、固着される第1固定板部(Pk1)と、同ミニハウス(H)の底面の前後何れかの側縁部に重合、固着される第2固定板部(Pk2)とを備えていて、それら第1,第2固定板部(Pk1,Pk2)の先端部相互が前記受け板部(Ps)を介して一体に接続されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のことを特徴とするトレーラハウス。
【請求項4】
前記ロック部材(22)の先部(22a)は、該ロック部材(22)が前記ロック位置(22L)にあるときに前記受け板部(Ps)の前記ロック孔(Psh)周縁部に係合可能な横向きの係止爪部(22at)を一体に有しており、
前記受け板部(Ps)の前記ロック孔(Psh)周縁部には、該受け板部(Ps)の表裏何れにも、前記係止爪部(22at)との間の係合クリアランスを詰めるための支持板(30)が固設されることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のトレーラハウス。
【請求項5】
前記ロック孔(Psh)は長孔に形成され、前記支持板(30)は、前記ロック孔(Psh)の長手方向に延びる帯板状に形成されていて、前記受け板部(Ps)の前記ロック孔(Psh)周縁部のうち前記長手方向に沿う部位に配置されることを特徴とする、請求項4に記載のトレーラハウス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナを搭載可能なトレーラと、そのトレーラ上に搭載された小屋状のミニハウスとよりなるトレーラハウスに関する。
【背景技術】
【0002】
上記トレーラハウスに用いられるミニハウスは、内部に居住スペースを有していて簡易ホテル、仮設住居等として広く利用でる。一方、上記トレーラとしては、コンテナの運搬に広く使用されるトレーラが利用される。この場合、トレーラには、コンテナの下部四隅に固定の隅金具に係脱可能な上向きのロック部材(一般的にツイストロックと呼ばれ、その構造は従来周知)が所定のロック位置とアンロック位置との間を鉛直軸線回りに回動操作可能に設けられる。ここで、ロック部材は、ロック位置で隅金具に離脱不能に係止され、またアンロック位置では隅金具に離脱できるよう引き抜き可能となっている。
(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6664802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来のトレーラハウスでは、上記ミニハウスをトレーラシャーシに固定するために、コンテナの下部四隅に固設されてトレーラ側の上記ロック部材に係脱可能な規格物の隅金具を、そのままミニハウスの下部四隅に固定、使用していた(図9参照)。
【0005】
ところがこの規格物の隅金具は、コンテナの下部四隅(即ち前後左右)の各固定部位に応じて構造が異なり、即ちその前後左右の各固定部位にそれぞれ専用の隅金具構造となっていた。そのため、次のような問題がある。即ち、
[1]隅金具をミニハウスの下部四隅に固定する際に、その各固定部位に対応した専用の隅金具を固定する必要があることから、組付作業が煩雑になり誤組も生じ易い。
[2]上記規格物の隅金具は、頑丈な直方体状の中空ブロック構造であって比較的嵩高であるため、これをミニハウスの下部四隅に設置するに当たり、隅金具を逃げる大きな切欠き状凹部をミニハウスの下部底面に凹設する必要があって、それだけミニハウスの下部の強度低下を来たす虞れがある。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたもので、簡単な構造で従来の上記問題を解決可能としたトレーラハウスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、コンテナを搭載可能なトレーラと、内部に居住スペースを有して前記トレーラ上に搭載された小屋状のミニハウスとよりなり、前記トレーラには、コンテナ下部に固定の隅金具に係脱可能な上向きのロック部材が所定のロック位置とアンロック位置との間を回動操作可能に設けられるトレーラハウスであって、前記ミニハウスの下部の四隅には、水平な平板状に形成されて前記トレーラ上に載置可能な4個の隅プレートがそれぞれ配置され、各々の前記隅プレートは、前記ミニハウスの下部に固着される少なくとも1つの固定板部と、前記ロック部材の先部が抜差可能なロック孔を有して前記固定板部に連設される受け板部とを一体に備え、前記ミニハウスの下部四隅を構成する下枠の、前記受け板部に接する底面を切り欠くことで、該底面には、前記ロック孔に差し込まれた前記ロック部材の先部の少なくとも一部を受容可能であり且つ外側方が全面開放された空間を前記受け板部との間に画成する下向き凹部が形成されることを第1の特徴としている。
【0008】
また本発明は、第1の特徴に加えて、前記4個の隅プレートは互いに同一形状に形成され、且つ該形状は、これの表裏を変更するか、或いは前後又は左右を変更することで、該ミニハウスの四隅の何れの底面にも適合、固着可能な形態に切換え可能であることをことを第2の特徴としている。
【0009】
また本発明は、第1又は第2の特徴に加えて、各々の前記隅プレートは、前記ミニハウスの底面の左右何れかの側縁部に重合、固着される第1固定板部と、同ミニハウスの底面の前後何れかの側縁部に重合、固着される第2固定板部とを備えていて、それら第1,第2固定板部の先端部相互が前記受け板部を介して一体に接続されることを第3の特徴としている。
【0010】
また本発明は、第1〜第3の何れかの特徴に加えて、前記ロック部材の先部は、該ロック部材が前記ロック位置にあるときに前記受け板部の前記ロック孔周縁部に係合可能な横向きの係止爪部を一体に有しており、前記受け板部の前記ロック孔周縁部には、該受け板部の表裏何れにも、前記係止爪部との間の係合クリアランスを詰めるための支持板が固着されることを第4の特徴としている。
【0011】
本発明は、第4の特徴に加えて、前記ロック孔が長孔に形成され、前記支持板は、前記ロック孔の長手方向に延びる帯板状に形成されていて、前記受け板部の前記ロック孔周縁部のうち前記長手方向に沿う部位に配置されることを第5の特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の特徴によれば、ミニハウスの下部の四隅には、水平な平板状に形成されてトレーラ上に載置可能な4個の隅プレートがそれぞれ配置され、各々の隅プレートは、ミニハウスの下部に固着される少なくとも1つの固定板部と、ロック部材の先部が抜差可能なロック孔を有して固定板部に連設される受け板部とを一体に備え、ミニハウスの下部四隅を構成する下枠の、前記受け板部に接する底面を切り欠くことで、該底面には、ロック孔に差し込まれたロック部材の先部の少なくとも一部を受容可能であり且つ外側方が全面開放された空間を受け板部との間に画成する下向き凹部が形成されるので、隅プレートは、コンテナの下部四隅に配備される規格物の隅金具に比べ上下に扁平であって、これを設置するためにミニハウスの下部底面を大きく切欠く必要はなくなり、それだけミニハウス下部の強度低下を抑制可能となる。
【0013】
また第2の特徴によれば、4個の隅プレートは互いに同一形状に形成され、且つ該形状は、これの表裏を変更するか、或いは前後又は左右を変更することで、ミニハウスの四隅の何れの底面にも適合、固着可能な形態に切換え可能であるので、同一形状の隅プレートを、これの取付姿勢を適宜選定することでミニハウス下部四隅に共通に組付け可能となる。これにより、隅プレートは、汎用性が高められてコスト節減に大いに寄与し得るばかりか、部品管理も頗る容易となり、また誤組防止にも有効となって、ミニハウスへの組付け作業性が良好となる。
【0014】
また第3の特徴によれば、各々の隅プレートは、ミニハウスの底面の左右何れかの側縁部に重合、固着される第1固定板部と、同ミニハウスの底面の前後何れかの側縁部に重合、固着される第2固定板部とを備えていて、それら第1,第2固定板部の先端部相互が受け板部を介して一体に接続される。これにより、各隅プレートは、単一板状であっても、ミニハウスの下部底面の互いに離れた位置に第1,第2固定板部がそれぞれ重合、固着されて、隅プレートに対する支持スパン、延いては支持剛性を十分に確保可能となり、しかもその第1,第2固定板部が受け板部を2方向より強固に支持可能となるため、その受け板部にロック部材先部を係止させた状態では、ロック部材(従ってトレーラ)と隅プレート(従ってミニハウス)との結合強度が効果的に高められる。
【0015】
また第4の特徴によれば、ロック部材の先部は、ロック部材がロック位置にあるときに受け板部のロック孔周縁部に係合可能な横向きの係止爪部を一体に有し、受け板部のロック孔周縁部には、受け板部の表裏何れにも、係止爪部との間の係合クリアランスを詰めるための支持板が固着されるので、その係止爪部(ロック部材先部)と受け板部(隅プレート)との係合クリアランスを支持板で縮小でき、その係合ガタを低減してミニハウスのトレーラへの結合強度をより高めることができる。しかも斯かる支持板による係合クリアランスの縮小効果は、ミニハウスに隅プレートの表裏を変更して取付けた場合でも有効に発揮可能となる。
【0016】
また第5の特徴によれば、前記ロック孔が長孔に形成されるので、ロック部材の先部が横長に形成されても、これがロック孔を無理なく通過させることができる。また、支持板は、ロック孔の長手方向に延びる帯板状に形成されていて、受け板部のロック孔周縁部のうち前記長手方向に沿う部位に配置されるので、ロック孔が長孔に形成されても、そのロック孔の長手方向に延びる帯板状に形成した支持板により、受け板部のロック孔周縁部のうち前記長手方向に沿う部位を効果的に補強できる。従って、支持板が上記係合ガタの低減手段と、受け板部のロック孔周縁部に対する補強手段に兼用できるから、それだけ構造簡素化に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るトレーラハウスの一実施形態を示す全体平面図
図2】前記トレーラハウスの側面図(図1の2矢視図)
図3】前記トレーラハウスにおけるトレーラの拡大平面図(図2の3−3線断面図)
図4】前記トレーラハウスにおけるミニハウスの拡大底面図(図2の4−4線断面図)と部分拡大図
図5】前記ミニハウスの拡大横断面図(図2の5−5線断面図)
図6】前記トレーラハウスの右後コーナ部の要部拡大縦断面図(図4の6−6線断面図)
図7図6の7−7線断面図とロック装置の要部平面図
図8】ミニハウス底部四隅における隅プレートの平面配列形態を示す平面図
図9】従来例を示す図6対応断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態を、添付図面に示す本発明の好適な実施例に基づいて以下に説明する。
【0019】
先ず、図1図5を参照して、トレーラハウスTHの概要を説明する。トレーラハウスTHは、規定サイズに製作された従来周知のコンテナ(不図示)を搭載可能なトレーラTと、トレーラT上に着脱可能に搭載される小屋状のミニハウスHとより構成され、任意の設置場所まで自動車9により牽引走行されて設置される。
【0020】
ミニハウスHは、コンテナに外形、サイズが同一又は近似したボックス状に形成され、その内部には居住スペースCが画成される。その居住スペースCには、ベッド、ユニット式のバストイレ、台所等の簡易な住居設備が設けられる。更にミニハウスHの外側壁には、出入口の開閉ドアD、エアコン室外機等を置いたベランダB、窓W等が配備される。
【0021】
また図6図7を併せて参照して、ミニハウスHの躯体は、縦横の棒材を矩形状に枠組みしてなる下枠11を有し、この下枠11上には、複数に積層された床板よりなる床板積層体12が固定、支持され、その床板積層体12上に居住スペースCの四方を取り囲む側壁板13が起立、固定される。更にその側壁板13の上端部には屋根14が被覆、固定され、また側壁板13の外側面には、その外側面を覆う耐候性の外板15がスペーサ16を介して接合される。
【0022】
最下端のスペーサ16には、外板15の足元部分の空間を全周に亘り体裁よく覆うカバー17が必要に応じて固着される。このカバー17は、ミニハウスH下部に対する雨除けカバーを兼ね、後述するロック装置Lも被覆可能である。
【0023】
尚、ミニハウスHの躯体各部の構成材料は、各々の機能用途に則して適宜選定可能であり、例えば、実施形態の下枠11、床板積層体12、側壁板13等は木材により構成され、屋根14、外板15、カバー17等は金属板より構成されるが、材料選定は、実施形態に限定されない。
【0024】
一方、トレーラTは、平面視で矩形状に枠組みされた金属製のトレーラシャーシTsと、トレーラシャーシTsの前後中央部に軸支された少なくとも前後一対の左右車輪10とを備える。トレーラシャーシTsの前端部には、トレーラTを牽引可能な自動車9の後端ヒッチ部9hに対し着脱可能に且つ旋回揺動可能に連結されるトレーラヒッチ部Thが設けられる。
【0025】
更にトレーラシャーシTsには、トレーラTの駐車状態で、周方向に間隔をおいて複数のジャッキJが連結固定され、これらジャッキJにより、トレーラTを任意の地面に安定よく固定、支持可能である。尚、各ジャッキJは、トレーラTが牽引走行される際には走行の支障がないようにトレーラシャーシTsより取り外される。
【0026】
トレーラシャーシTs上にミニハウスHを着脱可能に結合するために、実施形態ではツイストロックと呼ばれる従来周知のロック装置Lが用いられ、それは、トレーラシャーシTsの前後左右の四隅にそれぞれ設けたトレーラ側ロック要素Ltと、ミニハウスHの前後左右の四隅下面にそれぞれ設けたハウス側ロック要素Lhとで構成される。
【0027】
図6図7で明らかなように、トレーラ側ロック要素Ltは、トレーラシャーシTsの四隅に固着(例えばボルト止め、溶接等)されるロックケース21と、ロックケース21に鉛直軸線回りに回動可能に支持され且つ先部22aがロックケース21より上方に突出するロック部材22と、ロック部材22と一体に回動するようロック部材22の基部に固定される横向きの操作レバー23とを備える。
【0028】
ロックケース21の上部には、後述する隅プレートPのロック孔Pshに弛く嵌合可能な上向きの膨出部21cが一体に隆起形成され、その膨出部21cの内周に軸受ブッシュ24を介してロック部材22の中間軸部22mが回動可能に嵌合、支持される。膨出部21cの周囲を取り囲むロックケース21の平坦な上面は、ミニハウスHの下部(より具体的には隅プレートP)を載置、支持し得る支持面21fを構成する。
【0029】
またロック部材22の先部22aは、側面視で山形状、即ち上端(先端)から下方に向かうにつれて末広がり状(即ち上記中間軸部22mよりも幅広)に形成される。そして、この先部22aの、中間軸部22m外周より横向きに張出す部分は、ロック部材22の係止爪部22atを構成し、その係止爪部22atは、ロック部材22がロック位置22L(図6,7実線位置)にあるときに隅プレートPのロック孔Psh周縁部に係合可能となっていて、その係合により、隅プレートP(従ってミニハウスH)をトレーラシャーシTsに分離不能に固定する。
【0030】
また、ロック部材22を上記ロック位置22Lからアンロック位置22UL(図6,7鎖線位置)まで回動操作すれば、係止爪部22atと隅プレートPのロック孔Psh周縁部との前記係合が外れる。これにより、隅プレートPをロック部材22の先部22aより上方に引き抜き可能となる。
【0031】
而して、操作レバー23を回動操作することで、ロック部材22をロック位置22Lとアンロック位置22ULとの間で回動させることが可能である。しかもロック部材22は、これの基部とロックケース21との間に介設されて、その間に摩擦結合し得る摩擦連結機構、或いは節度機構(例えばクリックストップ機構等)により、ロック部材22をロック位置22L及びアンロック位置22ULに選択的に保持可能である。
【0032】
次にハウス側ロック要素Lhの一例を説明すると、それは、上記したトレーラ側ロック要素Ltに対応してミニハウスHの下部の四隅に配置される4個の隅プレートPを主要部とする。各々の隅プレートPは、水平な平板状に形成されてトレーラT上(より具体的にはロックケース21の支持面21f)に載置可能である。
【0033】
各々の隅プレートPは、ミニハウスHの下枠11に固着される少なくとも1つの固定板部Pk1,Pk2と、前記したロック部材22の先部22aが抜差可能なロック孔Pshを有して固定板部Pk1,Pk2に連設される受け板部Psとを一体に備えており、受け板部Psは、これを上下に貫通し且つ前後方向に長い長孔に形成されるロック孔Pshを有する。
【0034】
特に実施形態の隅プレートPは、ミニハウスHの底面の左右何れかの側縁部に重合、固着される比較的長い第1固定板部Pk1と、第1固定板部Pk1に対し直交するように延びてミニハウスHの底面の前後何れかの側縁部に重合、固着される比較的短い第2固定板部Pk2とを備えていて、それら第1,第2固定板部Pk1,Pk2の先端部相互が受け板部Psを介して一体に接続される。第1,第2固定板部Pk1,Pk2は、これを下枠11に固定するためのボルト41及び釘42の挿通孔31,32を各々有する。
【0035】
ミニハウスHの下部四隅を構成する下枠11の、受け板部Psに接する底面を切り欠くことで、該底面には、受け板部Psとの間に外側方が全面開放された空間18を画成する下向き凹部11oが形成される。その空間18は、ロック孔Pshに膨出部21cと共に差し込まれたロック部材22の先部22aの少なくとも一部(実施形態では主要部)を受容可能な最小限のサイズに画成される。
【0036】
また図8で明らかなように、4個の隅プレートPは互いに同一形状に形成され、且つ当該形状は、これの表裏を変更するか、或いは前後又は左右を変更することで、ミニハウスHの四隅の何れの底面にも適合、固着可能な使用形態に選択的に切換え可能である。
【0037】
しかも各々の隅プレートPにおいて受け板部Psのロック孔Psh周縁部には、受け板部Psの表裏何れにも、ロック部材22がロック位置22Lにあるときに係止爪部22atとの間の係合クリアランスを詰めるための支持板30が固着(例えば溶接)される。各支持板30は、ロック孔Pshの長手方向(即ちトレーラTの前後方向)に長い帯板状に形成されていて、ロック孔Pshの左右両側において、同孔Pshの長手方向に沿う周縁部に沿って配置される。
【0038】
而して、支持板30と係止爪部22at間の上記係合クリアランスの調整は、受け板部Psに板厚の異なる支持板30を選択的に接合することで、容易に行うことができる。この場合、係合クリアランスは、ゼロ又はそれに近い僅少に設定してもよいし、或いは支持板30と係止爪部22at間に多少のクリアランス(遊び)が形成されるように設定してもよい。
【0039】
次に前記実施形態の作用を説明する。
【0040】
ミニハウスHは、例えば製作工場で、予め組立てられた躯体に必要な設備を据え付けることで製造される。この場合、ミニハウスHの下部、即ち下枠11の四隅には、水平な平板状に形成される4個の隅プレートPがボルト41・ナット43及び釘42により各々固定される。また、ミニハウスHの下部四隅を構成する下枠11の底面には、該底面の前記受け板部Psに接する部分を切り欠くことで下向き凹部11oが形成され、前記隅プレートPの固定により、隅プレートPの受け板部Psと、下枠11の下面の凹部11oとの間には、ロック部材22の先部22aを受容可能であり且つ外側方が全面開放された空間18が画成される。
【0041】
組立後のミニハウスHをトレーラT上に搭載する際には、クレーン等でミニハウスHを吊り上げてトレーラT上に降ろす。その際には、ロック装置Lのトレーラ側ロック要素Ltとハウス側ロック要素Thとを位置合わせし(具体的にはアンロック位置22ULのロック部材22の先部22aを隅プレートPのロック孔Pshを通して隅プレートPの上方に突出させると共に、ロックケース21の上方膨出部21cをロック孔Pshに嵌合させ)つつ、ロックケース21cの上面(即ち支持面21f)上に、隅プレートPの下面(即ち下側の支持板30)を載置、支持する。
【0042】
しかる後、ロック装置Lの操作レバー23を回動操作してロック部材22をロック位置22Lまで回動させて、ロック部材先部22aの係止爪部22atを隅プレートP上面のロック孔Psh周縁部に支持板30を介して係合させる。その係合により隅プレートP、延いてはミニハウスHの下部がトレーラT上にロックされ、ミニハウスHがトレーラTより妄りに分離しないようになっている。
【0043】
かくして、トレーラT及びミニハウスHの結合体であるトレーラハウスTHの組立てが完了するので、これを自動車9で任意の設置場所まで牽引走行する。その牽引走行により設置場所に到着すると、トレーラハウスTHは、自動車9との連結が切り離されると共に、複数のジャッキJを介して設置場所に安定よく固定される。その状態で、トレーラT上のミニハウスHは、簡易の宿泊施設、仮設住宅等として有効活用可能となる。
【0044】
上記したトレーラハウスTHにおいて、隅プレートPは、一般的なコンテナの下部四隅に配備される規格物の隅金具(図9参照)に比べ上下に扁平であることから、これをミニハウスHに取付けるに当たってミニハウスHの下部(より具体的には下枠11)の底面を大きく切欠く必要はなくなり、それだけミニハウスHの下部の強度低下を抑制することができる。
【0045】
また実施形態の各々の隅プレートPは、ミニハウスHの下部底面の左右何れかの側縁部に重合、固着される第1固定板部Pk1と、同ミニハウスHの下部底面の前後何れかの側縁部に重合、固着される第2固定板部Pk20とを備えていて、それら第1,第2固定板部Pk1,Pk2の先端部相互が受け板部Psを介して一体に接続される。これにより、隅プレートPは、これが単一板状であっても、ミニハウスHの下部底面の左右側縁部と前後側縁部とに第1,第2固定板部Pk1,Pk2がそれぞれ重合、固着されることで、隅プレートPに対する支持スパン、延いては支持剛性を十分に確保可能となる。しかもその第1,第2固定板部Pk1,Pk2が受け板部Psを2方向より強固に支持可能となるため、その受け板部Psにロック部材22先部を係止させた状態では、ロック部材22(従ってトレーラT)と隅プレートP(従ってミニハウスH)との結合強度が効果的に高められる。
【0046】
また特に実施形態では、図8でも明らかなように、ミニハウスHの下部四隅に配備される4個の隅プレートPが、互いに同一形状に形成され、且つ該形状は、これの表裏を変更するか、或いは前後又は左右を変更することで、ミニハウスHの四隅の何れの底面にも適合、固着可能な使用形態に選択的に切換え可能である。それにより、同一形状の隅プレートPを、これの取付姿勢を適宜選定することでミニハウスHの下部四隅に共通に組付け可能となるため、隅プレートPの汎用性が高められ、コスト節減に大いに寄与し得るばかりか、部品管理も頗る容易となり、また誤組防止にも有効となって、ミニハウスHへの組付け作業性が良好となる。
【0047】
その上、実施形態のロック部材22の先部22aは、ロック部材22がロック位置22Lにあるときに受け板部Psのロック孔Psh周縁部に係合可能な横向きの係止爪部22atを一体に有し、受け板部Psのロック孔Psh周縁部には、受け板部Psの表裏何れにも、係止爪部22atとの間の係合クリアランスを詰めるための支持板30が固着される。これにより、その係止爪部22at(ロック部材22の先部22a)と受け板部Ps(隅プレートP)との係合クリアランスを支持板30で詰める(即ちゼロ乃至僅少にする)ことができるため、その係合ガタを低減してミニハウスHのトレーラTへの結合強度をより高めることができる。しかも斯かる支持板30による係合クリアランスの縮小効果は、ミニハウスHに隅プレートPの表裏を変更して取付けた場合でも変わらず、有効に発揮可能である。
【0048】
また実施形態では、隅プレートPのロック孔Pshが長孔に形成されるので、ロック部材22の先部22aが横長に形成されても、これがロック孔Pshを無理なく通過可能となる。一方、支持板30は、ロック孔Pshの長手方向に延びる帯板状に形成されていて、受け板部Psのロック孔Psh周縁部のうち前記長手方向に沿う部位に配置されるため、ロック孔Pshが長孔に形成されても、そのロック孔Pshの長手方向に延びる帯板状に形成した支持板30によって、受け板部Psのロック孔Psh周縁部のうち前記長手方向に沿う部位を効果的に補強可能となる。従って、支持板30が、上記係合ガタの低減手段と、受け板部Psのロック孔Psh周縁部に対する補強手段とに兼用でき、それだけ構造簡素化が図られる。
【0049】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【0050】
例えば、前記実施形態では、隅プレートPが、これをミニハウスHの下部(下枠11)に固定すべき固定板部Pk1,Pk2を2個有するものを示したが、固定板部は1個又は3個以上であってもよい。
【0051】
また前記実施形態では、隅プレートPの受け板部Psのロック孔Psh周縁部に、ロック部材22(より具体的には係止爪部22at)との間の係合クリアランスを詰めるための支持板30が固着されるものを示したが、支持板30の板厚に相当する高さの扁平凸部を、受け板部Psのロック孔Psh周縁部に一体に形成してもよい。或いはまた、支持板30又はそれに代わる前記扁平凸部を省略して、受け板部Psのロック孔Psh周縁部の表裏二面をそれぞれ一様平坦な平面に形成してもよい。
【符号の説明】
【0052】
C・・・・・・居住スペース
TH・・・・・トレーラハウス
T・・・・・・トレーラ
H・・・・・・ミニハウス
P・・・・・・隅プレート
Pk1,Pk2・・固定板部としての第1,第2固定板部
Ps・・・・・受け板部
Psh・・・・ロック孔
11・・・・・ミニハウスの下部を構成する下枠
11o・・・・下向き凹部
18・・・・・空間
22・・・・・ロック部材
22a・・・・先部
22at・・・係止爪部
22L,22UL・・ロック位置,アンロック位置
30・・・・・支持板
【要約】
【課題】トレーラと、トレーラ上に搭載された小屋状のミニハウスとよりなり、トレーラには、コンテナ下部に固定の隅金具に係脱可能なロック部材が所定のロック位置とアンロック位置との間を回動操作可能に設けられるトレーラハウスにおいて、ロック部材と係脱可能な隅金具を、コンテナの下部四隅に配備される規格物の隅金具に比べ上下に扁平化して、これの設置のためにミニハウスの下部底面を大きく切欠く必要性をなくし、ミニハウス下部の強度低下を抑制可能とする。
【解決手段】ミニハウスHの下部四隅に、水平な平板状の隅プレートPが配置され、各隅プレートPはミニハウス下部に固着される固定板部Pk1,Pk2とロック部材先部22aが抜差可能なロック孔Pshを有して固定板部に連設される受け板部Psとを備え、ミニハウスHの四隅底面に、ロック部材先部22aを受容可能な空間18を受け板部Psとの間に画成する下向き凹部11oが形成される。
【選択図】 図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9