特許第6931991号(P6931991)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6931991蒸気タービン、蒸気タービンノズル、並びに蒸気タービンで水分を管理する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6931991
(24)【登録日】2021年8月19日
(45)【発行日】2021年9月8日
(54)【発明の名称】蒸気タービン、蒸気タービンノズル、並びに蒸気タービンで水分を管理する方法
(51)【国際特許分類】
   F01D 9/02 20060101AFI20210826BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20210826BHJP
   B23K 26/362 20140101ALI20210826BHJP
【FI】
   F01D9/02 103
   F01D25/00 Q
   F01D25/00 X
   B23K26/362
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-231917(P2016-231917)
(22)【出願日】2016年11月30日
(65)【公開番号】特開2017-106451(P2017-106451A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2019年11月17日
(31)【優先権主張番号】14/966,466
(32)【優先日】2015年12月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】セオドア・ウィリアム・ファンドレイ,セカンド
【審査官】 所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−120478(JP,A)
【文献】 特開2007−309235(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0328905(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0091123(US,A1)
【文献】 特開2010−203438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 9/02
B23K 26/362
F01D 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気タービン(100)であって、当該蒸気タービン(100)が、
タービンケーシング(110,120,130)と、
タービンケーシング(110,120,130)に配置されたタービンロータ(101)と、
タービンロータ(101)から延在する1以上のバケット(131)と、
タービンケーシング(110,120,130)によって支持された1以上のノズル(133)と
を備えており、
1以上のバケット(131)の除去面(134)上のレーザーエッチングされたナノスケールの模様からなる1以上の親水性表面模様(135)が、蒸気タービン(100)の水分管理を向上させるために、除去面(134)の水分をタービンケーシング(110,120,130)から離れてタービンロータ(101)に向かう方向に導き、
1以上の親水性表面模様(135)の模様の配向が、蒸気タービン(100)の運転中に、水分の流れを、タービンケーシング(110,120,130)から離れてタービンロータ(101)に向かう方向に導き、
1以上の親水性表面模様(135)が、1以上のバケット(131)の長さの上部30%の領域から水分をタービンロータ(101)の方へ導くように配置されている、蒸気タービン(100)。
【請求項2】
親水性表面模様(135)が、超親水性の模様である、請求項1に記載の蒸気タービン(100)。
【請求項3】
1以上のノズル(133)ノズル壁(141)を含み、ノズル壁(141)が、内面(143)、外面(145)内面(143)から外面(145)へとノズル壁(141)を通る1以上の抽出口(137)、1以上の抽出口(137)を通しての水分除去を向上させるためにノズル壁(141)の外面(145)に1以上の抽出口(137)に隣接して配置される第2の除去面(134)、及び第2の除去面(134)上のレーザーエッチングされた第2のナノスケールの模様からなる第2の親水性表面模様(135)を含む、請求項1又は請求項2に記載の蒸気タービン(100)。
【請求項4】
第2の除去面(134)が、1以上の抽出口(137)に隣接して、ノズル壁(141)の上流側に配置される、請求項3に記載の蒸気タービン(100)。
【請求項5】
第2の親水性表面模様(135)が、第2の除去面(134)の水分を1以上の抽出口(137)の方へ導く、請求項3又は請求項4に記載の蒸気タービン(100)。
【請求項6】
1以上の抽出口(137)がスリットである、請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の蒸気タービン(100)。
【請求項7】
ービンケーシング(110,120,130)の表面に配置された第3の除去面(134)上の第3の親水性表面模様であって、水分をタービンケーシング(110,120,130)の排水口(139)の方へ導く第3の親水性表面模様をさらに含む、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の蒸気タービン(100)。
【請求項8】
蒸気タービン(100)において水分を管理する方法であって、当該方法が、
蒸気タービン(100)の水分管理を向上させるために、蒸気タービン(100)の1以上のバケット(131)の1以上の除去面(134)に、除去面(134)の水分をタービンケーシング(110,120,130)から離れてタービンロータ(101)に向かう方向に導くように構成されたレーザーエッチングされたナノスケールの模様からなる1以上の親水性表面模様(135)をレーザーエッチングするステップ
を含んでおり、蒸気タービン(100)が、
タービンケーシング(110,120,130)と、
タービンケーシング(110,120,130)に配置されたタービンロータ(101)と、
タービンロータ(101)から延在する1以上のバケット(131)と、
タービンケーシング(110,120,130)によって支持された1以上のノズル(133)と
を備えており、
1以上の親水性表面模様(135)の模様の配向が、蒸気タービン(100)の運転中に、水分の流れを、タービンケーシング(110,120,130)から離れてタービンロータ(101)に向かう方向に導き、
1以上の親水性表面模様(135)が、1以上のバケット(131)の長さの上部30%の領域から水分をタービンロータ(101)の方へ導くように配置されている、方法。
【請求項9】
当該方法が、
内面(143)及び外面(145)を有する1以上のノズル(133)のノズル壁(141)を形成するステップと、
外面(145)から内面(143)へとノズル壁(141)を通る1以上の抽出口(137)を形成するステップと
をさらに含んでいてノズル壁(141)の外面(145)に抽出口(137)に隣接して第2の除去面(134)が配置される、請求項に記載の方法。
【請求項10】
レーザーエッチングするステップが、1〜500nmの大きさ範囲のパターニングで、高エネルギーフェムト秒レーザーパルスを用いて除去面(134)をレーザーエッチングすることを含む、請求項8又は請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気タービンに関する。より詳細には、本発明は、水分管理向上のための親水性表面模様を有する、蒸気タービンに関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービンは、ボイラによって生成された高温高圧の蒸気のエネルギーを回転エネルギーに変換することによって発電するために、静翼(ノズル)及び動翼(バケット)の翼列に蒸気を供給することによって、蒸気の流れから仕事を取り出す。典型的な蒸気タービンは、複数のホイールに関連付けられたロータを備えることができる。ホイールは、一連のタービン段を画成するように、ロータの長さに沿って互いに離間されていてもよい。タービン段は、タービンの入口から出口へと流路を流れてくる蒸気から、効率的な方法で、有用な仕事を取り出すように設計される。蒸気が流路に沿って流れると、ホイールが蒸気によってロータを駆動させる。蒸気は徐々に膨張し、蒸気の温度及び圧力は、徐々に低下する場合がある。蒸気は、その後、再使用その他のために、タービンの出口から排出される。蒸気の温度が上昇すると、抽出できるエネルギー全体が増加するため、高温蒸気タービンは、増大した出力を生成することができる。
【0003】
一般的に言うと、典型的な蒸気タービンは、高圧部、中間圧部、及び低圧部を含むことができる。この部分は、各部が任意の数の段を含み、直列して配置することができる。この部分で、ロータを駆動させるために、蒸気から仕事が取り出される。この部分同士の間で、次の部分で仕事を行うための蒸気が再加熱されてもよい。高圧部及び中間圧部は、蒸気タービン全体の出力を増加させるように、比較的高温で動作することができる。
【0004】
圧力及び温度が変化するにつれて、蒸気は湿るようになる。蒸気がバケット及びノズルのタービン段を通るにつれて、蒸気に含まれる水分が、ノズルを含むタービン表面で凝縮して細かい水滴になる。このような細かい水滴は、集まって粗い水滴になり、蒸気流によって散乱し、ノズルの下流のバケットに衝突する。高速による衝撃のため、この衝突によってバケットのトルクが減衰し、タービンの総合性能が低下する。粗い水滴は、また、バケットの表面の侵食を引き起こし、これは、空気力学的性能、及びバケットの部分厚さを低下させて、耐用寿命を短縮する。
【0005】
蒸気に含まれる水分は、水の膜の形態で、主にノズルの凹面に蒸着する。水膜は、ノズルの表面にわたって形成され、厚さを増しながら後縁へと流れる。水膜は、水滴としてノズルの後縁から放出される。水膜が厚いと、大きく粗い水滴が放出される。
【0006】
蒸気タービンでは、水滴の形態の後段の水分は、最終段のタービンブレードに著しい侵食を生成する場合がある。水滴の大きさが増すにつれて、水滴によって引き起こされる侵食の規模が増大するので、水分の除去又は別の方法で、粗い水滴の形成を防止することが、侵食を減少させるのに有効な場合がある。従来は、後段のブレードにコバルトクロム合金(米国ペンシルベニア州ラトローブのKennametal社によってStelliteの登録商標で販売されているもの等)の浸食保護を取り付けること、バケットにスリンガ溝を用いること、バケットの前縁を火炎焼き入れすること、水滴浸食特性を改善した合金を選択すること、又はケーシングを介した抽出を改善すること等の保護方法を制御に取り入れてきた。上流のダイヤフラムノズルにおける、スリット又は穴を介した抽出もまた、水分除去に用いられてきた。水分除去の他の方法は、局所的に蒸気流を加熱すること、又はノズルを加熱することを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第8998571号明細書
【発明の概要】
【0008】
例示的な実施形態では、蒸気タービンは、タービンケーシング、タービンケーシングに配置されたタービンロータ、タービンロータから延在する1以上のバケット、及びタービンケーシングによって支持された1以上のノズルを備える。タービンケーシング、バケット、及びノズルのうちの1以上の除去面にある、1以上の親水性表面模様は、蒸気タービンの水分除去を向上させるために、除去面の水分を所定の方向に導く。
【0009】
別の例示的な実施形態では、蒸気タービンノズルはノズル壁を備え、ノズル壁は、内面、外面、外面から内面へとノズル壁を通る1以上の抽出口、並びに抽出口に隣接した、ノズル壁の外面の親水性表面模様を有する。
【0010】
さらに別の実施形態では、水分除去向上のための、蒸気タービンを形成する方法は、蒸気タービンの水分除去を向上させるために、除去面の水分を所定の方向に導くように、蒸気タービンのタービンケーシング、1以上のバケット、及び1以上のノズルのうちの1つの除去面に、1以上の親水性表面模様をレーザーエッチングするステップを含む。蒸気タービンは、タービンケーシング、タービンケーシングに配置されたタービンロータ、タービンロータから延在するバケット、及びタービンケーシングによって支持されたノズルを備える。
【0011】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明の原理を例として図示する添付の図面と併せて、以下の好ましい実施形態のより詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示による、蒸気タービンシステムを概略的に示す。
図2】本開示による、親水性表面模様を有する図1の蒸気タービンの、低圧部の一部を概略的に示す。
図3】本開示による、抽出口、及び親水性表面模様を有する、ノズルの断面を概略的に示す。
図4】本開示による、複数の抽出口、及び親水性表面模様を有する、ノズルの断面を概略的に示す。
図5】本開示による、複数の抽出口、及び複数の親水性表面模様を有する、ノズルの断面を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
可能な限り、全図面を通して、同一の参照符号は同一の部品を示すように用いられる。
【0014】
蒸気タービンにおいて、1以上の所定の方向に表面水分を導く、1以上の親水性表面模様が提供される。いくつかの実施形態では、親水性表面模様は、親水性表面を生成する、レーザーエッチングされたナノスケールの模様である。いくつかの実施形態では、親水性表面模様は、超親水性表面を生成する。本開示の実施形態は、例えば、本明細書に開示された特徴のうちの1つ以上を含まない概念と比較して、水分除去の向上、蒸気タービンの特に低圧部の水分によって引き起こされる侵食の低減、又はこれらの組合せによって、水分管理の向上を可能にする。
【0015】
マージン段タービンバケットの侵食を制御することは、望ましくかつしばしば必要とされている。タービン設計が発達するにつれて、設計者は、大量の水分の存在、及び新たな材料の存在に直面することが多くなり、新たな材料のいくつかは、従来の遮蔽物で保護することが難しいものである。水分を効率的に除去し、水滴の寸法及び位置を制御することは、マージンバケットの寿命、及びタービンの空気力学的効率を向上させる。水分を削減し侵食を減らすことによって、最初に設計された翼形部の形状がより長期間維持されるため、タービン効率に良い影響を及ぼす。既存技術では単にスリットや穴や被膜を利用しているのに対して、この親水性表面模様を用いることによって、水分除去の高効率化が達成される。
【0016】
親水性表面模様の使用により、水分を抽出口の方へより効率的に導くのに必要な抽出口の数、大きさ、及び/又は位置を最適化することも可能になる。この最適化により、好ましくは、抽出口の数及び大きさが最小化される。抽出口の大きさ及び数を最小化することで、ノズル内部の高い真空度を回避することによって、タービン性能の効率性がさらに向上する。真空度を低下させることにより、ノズルの中に入る水蒸気の量を少なくし、より大きい動力を供給するために、下流で使用できる蒸気を多く残す。いくつかの実施形態では、親水性表面模様は、親水性又は超親水性の、レーザーエッチングされたナノスケールの模様である。
【0017】
抽出口から逃げる水滴の頻度が減少するため、流れからより多くの水分が除去される。スリットや穴の数を減らすことで、製造コストを削減する。スリット/穴を少なくすることで、抽出口が介在することによって起こる、ノズルの応力集中部の数を減らすことができ、ノズルの製造に安価な材料を用いることができる。
【0018】
ダイヤフラムノズルに基づく抽出システムでは、親水性表面模様は戦略的に、抽出点として働く抽出口の前面に配置されて、より大きい表面領域からの、凝縮した水分の抽出点の方への誘引を向上させることができる。いくつかの実施形態では、抽出口は、穴又はスリットである。これは、抽出される水の量を改善し、効率的な侵食の低減を達成するのに必要な穴やスリットの数及び大きさを減少させるために用いることができる。回転するロータ及びバケットからの遠心力が、バケットに蒸着した水分をロータから引き離し、ノズルの上部又はケーシングに蒸着させる。親水性表面模様及び抽出口は、好ましくは、ノズルの長さの上部40%から離れた水分を集めるために配置される。親水性表面模様及び抽出口は、より好ましくは、ノズルの長さの上部30%から離れた水分を集めるために配置される。ケーシング内からノズルの内部キャビティに印加された減圧又は吸引力は、抽出口を介して集められた水分をノズル内部キャビティから除去する。
【0019】
いくつかの実施形態では、親水性表面模様は、水分をロータの方に向かって下方に導いてケーシングから離すために、バケットに配置される。回転するロータ及びバケットからの遠心力は、バケットに蒸着した水分をロータから引き離してケーシングの方へ向かわせるが、バケットの親水性表面模様は、その水分の移動の一部に対抗する働きをする。親水性表面模様は、好ましくは、バケットの長さの上部40%の領域から、水分をロータの方へ導くために配置される。親水性表面模様は、より好ましくは、バケットの長さの上部30%の領域から、水分をロータの方へ導くために配置される。大きい水滴は、下流表面に当たることによって大規模な浸食を引き起こすが、親水性表面模様は、小さい水滴が凝集して大きい水滴になるのを防止することによってバケットから落ちてくる水滴の大きさを小さくする、一連の幅の狭い模様を有することができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、親水性表面模様は、排水口に向かうより大きい表面領域からの、凝縮した水分の誘引を向上するように、ノズル、又はケーシングの排水口近くのケーシング表面に配置される。
【0021】
親水性表面模様用の上述した位置のそれぞれは、単独で用いられるか、又はその他の位置と任意に組合せて用いられてもよい。
【0022】
本発明の様々な実施形態の要素が紹介されるときの「1つの(a)」、「1つの(an)」、「この(the)」という冠詞、及び「前記(said)」は、1つ以上の要素の存在を意味することを意図している。「備える(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、包括的であることを意図し、かつ記載されている要素以外に追加の要素が含まれ得ることを意味する。
【0023】
発電に用いるシステムは、これに限定されないが、蒸気タービン、ガスタービン、並びに発電用の蒸気タービン又は地上設置航空転用型等の、他のタービン組立体を含む。いくつかの用途では、その中にターボ機械(例えばタービン、圧縮機、及びポンプ)その他の機械を含む発電システムは、過酷な摩耗条件にさらされる物品を含んでいてもよい。例えば、回転する物品は、蒸気タービンロータもしくはホイール、又はガスタービンロータもしくはホイール等の、いくつかの発電システムの構成部品を含み、高熱高回転の環境で動作することができる。
【0024】
図1は、本開示による、蒸気タービンシステム100の例を概略的に示す。蒸気タービンシステム100は、回転軸103の周りで回転可能に取り付けられた、タービンロータ101を備える。蒸気タービンシステム100は、高圧(HP)部105、中間圧(IP)部107、及び低圧(LP)部109を備え、それぞれがロータ101に取り付けられている。図1は、HP部105、IP部107、及びLP部109の1つの配置を示しているが、本開示はそのように限定されるものではなく、HP部105、IP部107、及び/又はLP部109の任意適当な配置が用いられてもよい。HP部105、IP部107、及びLP部109は、それぞれ、ブレード又はバケット131を備え(図2を参照)、これは、HP部105、IP部107、及びLP部109のそれぞれの、HPケーシング110、IPケーシング120、及びLPケーシング130内で、それぞれロータ101に径方向に取り付けられる。バケット131は、各部に供給された蒸気によって駆動され、バケット131の回転は、機械的仕事を生成するこの蒸気から生じる。タービンシステム100で生成された機械的仕事は、ロータ101を介して、発電機等の外部負荷104を駆動させる。
【0025】
図1に示すように、高圧蒸気は、高圧蒸気入口111を介して供給される。蒸気は、高圧蒸気出口113でHP部105から排出されて再熱器115に供給され、ここで蒸気に熱が加えられる。再熱器115から、蒸気は中間圧蒸気入口117を介してIP部107に供給される。蒸気は、中間圧蒸気出口119でIP部107から排出されて、低圧蒸気入口121を介してLP部109に供給される。蒸気は、次に、低圧出口123を介して、LP部109から排出される。
【0026】
HP部105、IP部107、及びLP部109のそれぞれは、ロータ101に沿って、複数の連結器125を介して連結される。連結器125は、ボルト継手等の機械的な連結、又は溶接継手であってもよい。1つの実施形態では、連結器125は、再構成、修理、又は保守のために、HP部105、IP部107、及び/又はLP部109のいずれかを分離させることができる。
【0027】
図2を参照すると、LP部109は、バケット131を周方向に埋め込まれたタービンロータ101、及びノズル133を支持するケーシング130を有する。バケット131及びノズル133は、タービンロータ101の軸線方向に、段として配置される。通常、バケット131、ケーシング130、及びノズル133は、これに限定されないが、鋼、ステンレス鋼、析出硬化ステンレス鋼、アルミニウム、チタニウム、これらの合金、又はこれらの組合せを含む、知られている適当なタービンバケット材料、ケーシング材料、及びノズル材料を含む材料で構成される。LP部109は、1以上の所定の方向に表面水分を導く、親水性表面模様135を伴う領域を有する、1以上の除去面134を含む。バケット131の親水性表面模様135は、表面水分をロータ101の方へ導き、ケーシング130から離す。ノズル133の親水性表面模様135は、抽出口137の上流に配置されて、表面水分をノズル133の抽出口137の方へ導く。遠心力によって、バケット131に蒸着した水分が、バケット131から滴下する前にロータ101から流れ去り、ノズル133の上部、及びケーシング130の壁の表面に集まる。ノズル133、及びケーシング130の表面の親水性表面模様135が、水分をケーシング130の排水口139の方へ導く。
【0028】
いくつかの実施形態では、蒸気タービンシステム100は発電システムの一部であり、約10%の水分量を有する湿り蒸気が低圧タービンの最終段近くを流れており、これは、蒸気の温度が低下しているためである。
【0029】
他の実施形態では、蒸気タービンシステム100は、原子力発電施設の一部であり、湿り蒸気で動作する高圧タービン部105を有し、これは、最初に飽和蒸気が供給されるためである。このような実施形態では、親水性表面模様135は、水分管理の向上のために、蒸気タービンシステム100の任意の段に配置されてもよい。
【0030】
本明細書で用いられる親水性表面は、90度未満の水接触角を有する表面である。水接触角とは、水を介して測定され、水滴の水/空気の境界面が、固体面に接触する角度である。いくつかの実施形態では、親水性表面の水接触角は、45度未満、もしくは30度未満、もしくは20度未満、もしくは10度未満、又はこれらの任意適当な組合せ、部分的組合せ、又は部分的範囲である。本明細書で用いられる超親水性表面は、10度未満の水接触角を有する表面である。いくつかの実施形態では、超親水性表面の水接触角は、5度未満である。
【0031】
本明細書で用いられる親水性表面模様135は、材料の表面に形成された任意の表面模様であり、これは、表面の親水性を高め、その結果、親水性表面模様135を有する表面を親水性にするために、表面を被覆するのではなく、表面のトポグラフィを変化させる。トポグラフィの変更は、これに限定されないが、刻み目、突出、キャビティ、溝、隆起、球体、又はロッドを含んでもよい。いくつかの実施形態では、トポグラフィの変更は、マイクロスケールの変更である。いくつかの実施形態では、トポグラフィの変更は、ナノスケールの変更である。親水性表面模様135を製造できる任意の方法は、本発明の精神の範囲内で、表面のトポグラフィを変更するために適用することができる。いくつかの実施形態では、親水性表面模様135を有する表面は、超親水性である。
【0032】
いくつかの実施形態では、除去面134は、レーザーエッチングの前に、仕上げ技術によって生成される。仕上げ技術によって、好ましくは、鏡面状に至るまでの任意の表面組織を有する除去面134をもたらし、この表面組織は、レーザーエッチングによる親水性表面模様を受けるために、除去面134の受容力を向上させる。この調整は、これに限定されないが、研削、研磨、艶出し、ホーニング、電解研磨、化学研削、ドラッグ仕上げ、その他これらの任意の組合せであってもよい。この処理は、使用される親水性表面模様135の大きさ及び深さによって、選択的にのみ必要になる。
【0033】
いくつかの実施形態では、親水性表面模様135は、除去面134を親水性にするため、又は親水性表面模様135がない場合よりも親水性を高めるために、ノズル133、バケット131、又はケーシング130に模様をレーザーエッチングすることが可能な、任意の方法で形成される。いくつかの実施形態では、親水性表面模様135は、表面を超親水性にする。いくつかの実施形態では、模様をレーザーエッチングするために用いられるレーザーは、フェムトレーザーとしても知られる、フェムト秒レーザーである。いくつかの実施形態では、フェムト秒レーザーは、除去面に高エネルギーフェムト秒レーザーパルスでレーザーエッチングすることによって、三次元模様を形成する。レーザーエッチングされた模様は、マイクロメートル乃至ナノメートルの寸法範囲の模様を有することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、レーザーエッチングは、材料の除去面134に1つ以上の刻み目を作成し、これは、突出、キャビティ、球体、ロッド、その他規則的な、又は不規則な形状特徴のマイクロ粗面を有し、これによって表面の親水性を高める。いくつかの実施形態では、この特徴は、0.5〜100μmの範囲、もしくは25〜75μmの範囲、もしくは40〜60μmの範囲、又はこれらの任意適当な組合せ、部分的組合せ、範囲、又は部分的範囲の寸法を有する。いくつかの実施形態では、レーザーエッチングは、材料の除去面134に1つ以上の刻み目を作成し、これは、突出、キャビティ、球体、ロッド、その他不規則な形状特徴のナノ粗面を有し、これによって除去面134の親水性を高める。いくつかの実施形態では、この特徴は、1〜500nmの範囲、もしくは100〜400nmの範囲、もしくは200〜300nmの範囲、又はこれらの任意適当な組合せ、部分的組合せ、範囲、又は部分的範囲の寸法を有する。
【0035】
いくつかの実施形態では、レーザーエッチングは、直接的なレーザーアブレーション、干渉レーザーアブレーション、近視野レーザーアブレーション、マスク投影アブレーション、レーザー誘起化学エッチング、レーザーアブレーションプルームからの蒸着、又はプラズモニックナノアブレーションによって達成される。いくつかの実施形態では、レーザーエッチングは、フェムト秒の持続時間のレーザーパルスを用いて達成される。本明細書で用いられるフェムト秒の持続時間のレーザーパルスは、持続時間が1〜999フェムト秒の範囲の任意のレーザーパルスである。いくつかの実施形態では、レーザーパルスは、100〜750フェムト秒の範囲の持続時間を有する。いくつかの実施形態では、レーザーパルスは、400〜600フェムト秒の範囲の持続時間を有する。
【0036】
レーザーエッチングによって作成された親水性表面模様135は、除去面134を親水性にする、又はより親水性を高める、任意の規則的な、又は不規則な模様であってもよい。いくつかの実施形態では、レーザーエッチングによって作成された親水性表面模様135は、除去面134を超親水性にする。いくつかの実施形態では、親水性表面模様135は、除去面134に沿って、水分の流れを所定の方向に導く。いくつかの実施形態では、親水性表面模様135は、親水性表面模様135の特定の模様の配向によって、水分の流れを所定の方向に導く。いくつかの実施形態では、親水性表面模様135は、模様を付けられた領域の形状及び配向によって水分の流れを所定の方向に導き、これは、水分が、親水性表面模様135を有する構成部品の動き、又は蒸気タービンの運転中に表面上を流れる流体に基づいて流れる一方で、親水性に基づいて、模様を付けられた表面領域内に留まる傾向があるからである。
【0037】
いくつかの実施形態では、1つ以上の親水性表面の区画は、ダイヤフラムノズル133に作成され、その結果、凝縮した水分は、ノズル133のより広い表面領域から引き寄せられて、増量した液体を抽出するために設けられた、1つ以上の抽出口137の方へ導かれる。いくつかの実施形態では、これらの区画は、所定の量の水分を除去するのに必要な、機械加工された穴又はスリットの形状の、費用のかかる抽出口137の数を削減し、侵食を低減し、かつより薄い壁部、又は代替的な材料を使用可能にすることによって、機械加工された穴又はスリット、並びにバケットによって生じる、ノズルの局所的な応力集中を低減する。
【0038】
図3を参照すると、ノズル133はノズル壁141を備え、ノズル壁141は、内面143、外面145、外面145から内面143へとノズル壁141を通る抽出口137、並びに抽出口137に隣接した、ノズル壁141の外面145にある除去面134の親水性表面模様135を有する。親水性表面模様135は、抽出口137の上流に配置されて、表面水分を抽出口137の方へ、そして抽出口137の中に引き込む。引き寄せられた水分は、その後、ノズル壁141の内面143によって画成された、内部キャビティ147に流入する。ノズル壁141は、一般に非対称な形状であって、図3に示す前面に面する外面を有し、この外面は、わずかに凹んだ形状になっており、図3では見えない背面に面する外面は、わずかに凸形の形状になっている。親水性表面模様135、及び抽出口137は、図3では凹面側に示されているが、親水性表面模様及び抽出口は、これに代えて、又はこれに加えて、凸面側に配置されてもよい。
【0039】
図4を参照すると、ノズル133は、外面145から内面143へとノズル壁141を通る一対の抽出口137、及び抽出口137に隣接した、ノズル壁141の外面145にある除去面134の親水性表面模様135を有する。親水性表面模様135は、抽出口137の上流に配置されて、表面水分を抽出口137の方へ、そして複数の抽出口137の中に引き込む。引き寄せられた水分は、その後、ノズル壁141の内面143によって画成された、内部キャビティ147に流入する。親水性表面模様135、及び複数の抽出口137は、図4では凹面側に示されているが、親水性表面模様及び抽出口は、これに代えて、又はこれに加えて、凸面側に配置されてもよい。
【0040】
図5を参照すると、ノズル133は、外面145から内面143へとノズル壁141を通る3つの抽出口137、及び抽出口137に隣接した、ノズル壁141の外面145にある除去面134の複数の親水性表面模様135を有する。複数の親水性表面模様135は、抽出口137の上流に配置されて、表面水分を抽出口137の方へ、そして複数の抽出口137の中に引き込む。引き寄せられた水分は、その後、ノズル壁141の内面143によって画成された、内部キャビティ147に流入する。複数の親水性表面模様135、及び複数の抽出口137は、図5では凹面側に示されているが、親水性表面模様及び抽出口は、これに代えて、又はこれに加えて、凸面側に配置されてもよい。
【0041】
排水口139の特定の大きさ、形状、及び位置が図2に、抽出口の特定の大きさ、形状、数、及び位置、並びに親水性表面模様135の特定の大きさ、形状、数、及び位置が図2図5に示されているが、所定の水分管理を達成するために、任意適当な大きさ、形状、数、又は位置の排水口139、抽出口137、及び親水性表面模様135が用いられてもよい。いくつかの実施形態では、親水性表面模様135は、抽出口137の近くの表面水分を抽出口137の中に導くために、抽出口137のすぐ前の狭い領域のみを覆う。このような実施形態では、親水性表面模様135は、抽出口137の領域とほぼ同じ大きさの領域、もしくは約2倍の領域、もしくは約3倍の領域、もしくは約4倍の領域、もしくは約5倍の領域、もしくは抽出口137の領域の約2倍〜約5倍、又はこれらの任意適当な組合せ、部分的な組合せ、範囲、又は部分的範囲の領域のみを覆っている。
【0042】
いくつかの実施形態では、水分管理向上のための、蒸気タービン100を形成する方法は、蒸気タービン100の水分管理を向上させるために、除去面134の水分を所定の方向に導くように、蒸気タービン100のタービンケーシング130、1以上のバケット131、及び1以上のノズル133のうちの1つの除去面134に、1以上の親水性表面模様135をレーザーエッチングするステップを含む。蒸気タービン100は、タービンケーシング110、タービンケーシング110に配置されたタービンロータ101、タービンロータ101から延在するバケット131、及びタービンケーシング110によって支持されたノズル133を備える。いくつかの実施形態では、この方法は、内面143及び外面145を有する、ノズル133のノズル壁141を形成するステップと、外面145から内面143へとノズル壁141を通る、1以上の抽出口137を形成するステップとを含み、除去面134は、抽出口137に隣接して、ノズル壁141の外面145に配置される。親水性表面模様135は、抽出口137に隣接して、ノズル壁141の上流側にあることが好ましい。レーザーエッチングするステップは、好ましくは、外面を、1〜500nmの大きさ範囲のパターニングで、高エネルギーフェムト秒レーザーパルスを用いてエッチングすることを含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、使用中の構成部品の使用を止めることができ、親水性表面模様135が、その構成部品の表面に適用されてもよい。このような構成部品は、以前に親水性表面模様135のある除去面134を有していた構成部品、又は以前に親水性表面模様135のある除去面134を有していなかった構成部品を含んでもよい。いくつかの状況において、除去面134が、蒸気タービン100の運転中の時間経過と共に親水性を失う場合があり、その理由には、これに限定されないが、親水性表面模様135の損傷、又は蒸気タービンシステム100の運転中の親水性表面模様135への異物の堆積が含まれる場合がある。いくつかの実施形態では、除去面134は、構成部品の使用中に、親水性表面模様135を有する除去面134を洗浄することによって、又は除去面134に新たな親水性表面模様135をレーザーエッチングすることによって、再度、親水性に作られる、又はより親水性を高めることができる。
【0044】
主として蒸気タービンの低圧部に対して、本発明が説明されているが、本発明は、これに限定されないが、蒸気タービンの高圧部、蒸気タービンの中間圧部、又はガスタービンの圧縮機部を含む、水分除去が有益となる任意の他のシステムに適用することができる。
【0045】
1つ以上の実施形態に関して、本発明が説明されているが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えることができ、その要素を均等物で置き換えてもよいことが、当業者には理解されるであろう。また、特定の状況又は材料に適合するように、本開示の本質的な範囲から逸脱することなく、本発明の教示に多くの修正を加えることができる。したがって、本発明は、本発明を実施するために考えられる最良の態様として開示される、特定の実施形態に限定されず、本発明は、添付の特許請求の範囲内にある、全ての実施形態を含むことが意図される。
[実施態様1]
タービンケーシング(110、130)と、
タービンケーシング(110、130)に配置されたタービンロータ(101)と、
タービンロータ(101)から延在する、1以上のバケット(131)と、
タービンケーシング(110、130)によって支持された、1以上のノズル(133)とを備える蒸気タービン(100)であって、
タービンケーシング(110、130)、バケット(131)、及びノズル(133)のうちの1以上の除去面(134)にある、1以上の親水性表面模様(135)が、蒸気タービン(100)の水分管理を向上させるために、除去面(134)の水分を所定の方向に導く、蒸気タービン(100)。
[実施態様2]
親水性表面模様(135)が、超親水性のレーザーエッチングされたナノスケールの模様である、実施態様1に記載の蒸気タービン(100)。
[実施態様3]
ノズル(133)が、ノズル壁(141)を含み、ノズル壁(141)が、内面(143)、外面(145)、及び内面(143)から外面(145)へとノズル壁(141)を通る、1以上の抽出口(137)を有し、除去面(134)が、抽出口(137)を介した水分除去を向上させるために、抽出口(137)に隣接して、ノズル壁(141)の外面(145)に配置される、実施態様1に記載の蒸気タービン(100)。
[実施態様4]
除去面(134)が、抽出口(137)に隣接して、ノズル壁(141)の上流側に配置される、実施態様3に記載の蒸気タービン(100)。
[実施態様5]
親水性表面模様(135)が、除去面(134)の水分を抽出口(137)の方へ導く、実施態様3に記載の蒸気タービン(100)。
[実施態様6]
抽出口(137)がスリットである、実施態様3に記載の蒸気タービン(100)。
[実施態様7]
除去面(134)が、タービンケーシング(110、130)の表面に配置され、水分をタービンケーシング(110、130)の排水口(139)の方へ導く、実施態様1に記載の蒸気タービン(100)。
[実施態様8]
ノズル壁(141)であって、内面(143)、外面(145)、外面(145)から内面(143)へとノズル壁(141)を通る1以上の抽出口(137)、並びに抽出口(137)に隣接した、ノズル壁(141)の外面(145)の親水性表面模様(135)を有する、ノズル壁(141)を備える、
蒸気タービンノズル(133)。
[実施態様9]
親水性表面模様(135)が、超親水性のレーザーエッチングされたナノスケールの模様である、実施態様8に記載の蒸気タービンノズル(133)。
[実施態様10]
親水性表面模様(135)が、抽出口(137)に隣接して、ノズル壁(141)の上流側に配置される、実施態様8に記載の蒸気タービンノズル(133)。
[実施態様11]
親水性表面模様(135)が、凝縮する水分を抽出口(137)の方へ導く、実施態様8に記載の蒸気タービンノズル(133)。
[実施態様12]
抽出口(137)がスリットである、実施態様8に記載の蒸気タービンノズル(133)。
[実施態様13]
蒸気タービン(100)において水分を管理する方法であって、
蒸気タービン(100)の水分管理を向上させるために、除去面(134)の水分を所定の方向に導くように、蒸気タービン(100)のタービンケーシング(110、130)、1以上のバケット(131)、及び1以上のノズル(133)のうちの1以上の除去面(134)に、1以上の親水性表面模様(135)をレーザーエッチングするステップを含み、蒸気タービン(100)は、
タービンケーシング(110、130)と、
タービンケーシング(110、130)に配置されたタービンロータ(101)と、
タービンロータ(101)から延在するバケット(131)と、
タービンケーシング(110、130)によって支持されたノズル(133)とを備える、方法。
[実施態様14]
内面(143)及び外面(145)を有する、ノズル(133)のノズル壁(141)を形成するステップと、
外面(145)から内面(143)へとノズル壁(141)を通る、1以上の抽出口(137)を形成するステップとをさらに含み、
除去面(134)が、抽出口(137)に隣接して、ノズル壁(141)の外面(145)に配置される、
実施態様13に記載の方法。
[実施態様15]
除去面(134)が、抽出口(137)に隣接して、ノズル壁(141)の上流側に配置される、実施態様14に記載の方法。
[実施態様16]
親水性表面模様(135)が、超親水性のレーザーエッチングされたナノスケールの模様である、実施態様13に記載の方法。
[実施態様17]
除去面(134)が、バケット(131)の表面に配置され、水分を導いてタービンケーシング(110、130)から離す、実施態様13に記載の方法。
[実施態様18]
除去面(134)が、タービンケーシング(110、130)の表面に配置され、水分をタービンケーシング(110、130)の排水口(139)の方へ導く、実施態様13に記載の方法。
[実施態様19]
レーザーエッチングするステップが、外面(145)を、1〜500nmの長さ範囲のパターニングで、高エネルギーフェムト秒レーザーパルスを用いてレーザーエッチングすることを含む、実施態様13に記載の方法。
[実施態様20]
レーザーエッチングの前に、除去面(134)に仕上げを施すステップをさらに含む、実施態様13に記載の方法。
【符号の説明】
【0046】
100 蒸気タービンシステム
101 タービンロータ
103 回転軸
104 外部負荷
105 高圧(HP)部
107 中間圧(IP)部
109 低圧(LP)部
110 高圧タービンケーシング
111 高圧蒸気入口
113 高圧蒸気出口
115 再熱器
117 中間圧蒸気入口
119 中間圧蒸気出口
120 IPケーシング
121 低圧蒸気入口
123 低圧出口
125 連結器
130 LPタービンケーシング
131 バケット
133 ダイヤフラムノズル
134 除去面
135 親水性表面模様
137 抽出口
139 排水口
141 ノズル壁
143 内面
145 外面
147 内部キャビティ
図1
図2
図3
図4
図5