特許第6931997号(P6931997)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6931997
(24)【登録日】2021年8月19日
(45)【発行日】2021年9月8日
(54)【発明の名称】UV硬化性アクリルコポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08F 8/00 20060101AFI20210826BHJP
   C09J 133/04 20060101ALI20210826BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20210826BHJP
   C09J 7/20 20180101ALI20210826BHJP
   C08F 220/18 20060101ALI20210826BHJP
   C09J 5/06 20060101ALI20210826BHJP
   C09J 4/00 20060101ALI20210826BHJP
【FI】
   C08F8/00
   C09J133/04
   C09J11/06
   C09J7/20
   C08F220/18
   C09J5/06
   C09J4/00
【請求項の数】13
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-575107(P2016-575107)
(86)(22)【出願日】2015年6月2日
(65)【公表番号】特表2017-525792(P2017-525792A)
(43)【公表日】2017年9月7日
(86)【国際出願番号】EP2015062194
(87)【国際公開番号】WO2015197318
(87)【国際公開日】20151230
【審査請求日】2018年6月1日
(31)【優先権主張番号】14173603.3
(32)【優先日】2014年6月24日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】オリヴィエ・ドゥムーラン
(72)【発明者】
【氏名】ユルヘン・ファン・ホーレン
(72)【発明者】
【氏名】マルク・ファン・マイルデル
【審査官】 松元 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−114830(JP,A)
【文献】 特開昭53−126091(JP,A)
【文献】 特開昭61−064772(JP,A)
【文献】 特表2001−519444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 8/00 − 8/50
C08F 220/00 − 220/70
C09J 133/04
C09J 11/06
C09J 7/20
C09J 5/06
C09J 4/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感圧接着剤またはホットメルトとしてのUV硬化性アクリルコポリマーの製造方法であって、
(a)モノマーの混合物を重合させてアクリルコポリマーを形成すること、ここで、該モノマー混合物は、
(i)そのホモポリマーのガラス転移温度が-30℃以下であるものから選択される少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマー40−94重量%、
(ii)アルキル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、スチレン、およびそれらの混合物からなる群から選択され、そのホモポリマーのガラス転移温度が-30℃より高いものから選択される少なくとも1つの共重合性モノマー5−59.5重量%、および
(iii)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、それらのラクトン類との付加物、(メタ)アクリル酸、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、およびこれらの混合物からなる群から選択される、ヒドロキシル基およびカルボキシル基からなる群から選択される官能基を有する少なくとも1つの共重合可能な官能性モノマー0.5−20重量%
を含み、ここで、該アクリルコポリマー中の残留溶媒含有量は1重量%未満であり、該アクリルコポリマーのガラス転移温度は約-60℃−約20℃の範囲である、
および
(b)アクリルコポリマーを、触媒の存在下でUV硬化性官能基を含む少なくとも1種のモノマーと反応させて、UV硬化性アクリルコポリマーを形成すること
を含む、方法。
【請求項2】
前記モノマーの混合物は、
(i)少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマー少なくとも約45重量%;および/または
(ii)少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマー約94重量%以下
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1種の(メタ)アクリレートモノマーは、アルキル(メタ)アクリレートである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記モノマーの混合物は、
(i)少なくとも1つの共重合性モノマー少なくとも約10重量%;および/または
(ii)少なくとも1つの共重合性モノマー59重量%以下
を含む、請求項1−3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
共重合性モノマーは、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルアセテート、スチレン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1−4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記モノマー混合物は、
(i)少なくとも1つの共重合可能な官能性モノマー少なくとも約1重量%;および/または
(ii)少なくとも1つの共重合可能な官能性モノマー10重量%以下
を含む、請求項1−5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
請求項1−6のいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1つの共重合可能な官能性モノマーは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのエトキシル化および/またはプロポキシル化誘導体、それらのラクトン付加物、(メタ)アクリル酸、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸 、アクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、およびそれらの混合物からなる群から選択される、方法。
【請求項8】
前記モノマーの混合物は、
a)2-エチルヘキシルアクリレート、メタクリル酸、アクリル酸メチルおよびアクリル酸エチル;又は
b)ブチルアクリレート、メタクリル酸、アクリル酸メチルおよびアクリル酸エチル
を含むかまたはそれからなる、請求項1−7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
UV硬化性基を含むモノマーは、ビニルおよびエポキシ基を含むモノマーである、請求項1−8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
請求項1−9のいずれかに記載の方法であって、熱及び/又は真空を適用することによって、アクリルコポリマー中の残留溶剤含有量を1重量%未満とする、方法。
【請求項11】
請求項1−9のいずれかに記載の方法によって得られるUV硬化性アクリルコポリマーからなる感圧接着剤またはホットメルト。
【請求項12】
請求項11に記載の感圧接着剤またはホットメルトと光開始剤とを含む、感圧接着剤またはホットメルト組成物。
【請求項13】
接着シートの製造方法であって、
i)請求項12に記載の接着剤組成物を基材上にコーティングして、前記基材表面上に前記接着剤組成物の層を形成すること;および
ii)接着剤組成物の層にUV光を照射して接着シートを形成すること
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線硬化型アクリル系共重合体、並びにそれらの製造方法に関する。本発明はまた、紫外線硬化性アクリル系共重合体を含む接着剤組成物、紫外線硬化性アクリル系共重合体を含む接着シートの製造方法、および紫外線硬化性アクリル系共重合体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
感圧接着剤(「PSA」)は、一般に、本質的に乾燥した形態(溶媒および/または水を含まない)で、室温で積極的におよび/または永続的に粘着性であるタイプの接着剤を指す。これは、指または手の圧力、熱および化学的活性化以上のものを必要とせずに、単に接触するだけで様々な異種の表面にしっかりと接着する。使用時には、接着テープまたは接着シートを形成するために、PSAの1つまたは複数の層が基材または裏地に塗布される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
典型的な感圧接着剤配合物は、アクリル系であり、アルキルエステルモノマーのコポリマー、アクリル酸などの官能性モノマーを含み、触媒として例えばアルミニウムまたはチタンのキレートを使用して架橋することができる。これらの接着剤は、異なるタイプの基材上の接着性を改善するためにさらに粘着性付与されてもよい。しかしながら、これは、通常、アクリル溶液が従来使用されている大部分のグラフィックスおよび工業用テープ用途の劣化および老化に対する耐性において障害を伴う。
【0004】
感圧接着剤配合物を製造する最新の方法は、溶媒の使用を含む。法律からの圧力により、溶媒を含まない高性能感圧接着剤が必要とされている。さらに、一回のパスで厚いテープを被覆して廃棄物を減らし、生産性を高めることが望まれる。
【0005】
上記に鑑みて、改善されたUV硬化性アクリルコポリマーおよびその製造方法ならびに上記の問題の1つまたは複数に対処する改善されたUV硬化性アクリルコポリマーを含む接着剤組成物の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、本質的に溶剤を含まずに良好な接着性能を示すUV硬化性アクリルコポリマーおよびその調製方法を提供することによって、この必要性を満たす。
【0007】
従って、第1の態様において、本発明は、UV硬化性アクリルコポリマーの製造方法に関する。該方法は、以下を含んでなる
(a)モノマーの混合物を重合させてアクリルコポリマーを形成すること、ここで、該モノマー混合物は、
(i)少なくとも1つの(メタ)アクリル酸エステル単量体40-95重量%、
(ii)少なくとも1つの共重合性モノマー5-60重量%、ここで、該モノマーは、そのホモポリマーのガラス転移温度が-30℃より高いものから選択される、および
(iii)任意に、ヒドロキシル基およびカルボキシル基からなる群から選択される官能基を有する少なくとも1つの共重合可能な官能性モノマー0.5-20重量%
を含む;および
(b)アクリルコポリマーを、触媒の存在下でUV硬化性官能基を含む少なくとも1種のモノマーと反応させて、UV硬化性アクリルコポリマーを形成すること。
【0008】
上記百分率は、全モノマー混合物に関するものであり、すなわち、モノマー混合物の総重量に対する重量%である。
【0009】
第2の態様において、本発明は、第1の態様の方法に従って得ることのできるUV硬化性アクリルコポリマーに関する。
【0010】
第3の態様において、本発明は、第2の態様のUV硬化性アクリルコポリマーおよび光開始剤を含む接着剤組成物、好ましくは感圧接着剤(PSA)またはホットメルト組成物に関する。
【0011】
第4の態様では、本発明は接着シートの製造方法に関する。この方法は、以下を含む
i)第3の態様による接着剤組成物を基材上にコーティングして、基材表面上に前記接着剤組成物の層を形成すること;および
ii)接着剤組成物の層にUV光を照射して接着シートを形成すること。
【0012】
第5の態様では、本発明は、接着剤、好ましくは感圧接着剤またはホットメルトとしての第1の態様によるUV硬化性アクリルコポリマーの使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書中で使用される場合、「1つ以上」は、少なくとも1つに関し、1,2,3,4,5,6,7,8,9またはそれ以上の参照種を含む。同様に、「少なくとも1つ」は、1つ以上、すなわち、1,2,3,4,5,6,7,8,9またはそれ以上を意味する。
【0014】
本明細書で使用される「約」は、それが指す数値の±20%、好ましくは±10%に関する。したがって、「約200」は200±40、好ましくは200±20に関する。
【0015】
有利には、本明細書に開示されるUV硬化性アクリルコポリマーは、高性能接着シートの製造に使用され得る。本明細書では、接着シートの性能は、AcResin(登録商標)のような最先端の紫外線感圧接着剤と比較して著しく高いことが実証されている。UV硬化性アクリルコポリマーを硬化させて接着シートを製造するために紫外線が使用され、従来の製造方法で使用される乾燥ステーションは必要とされない。本明細書に開示された方法を用いることにより、厚い接着テープは、単一のコーティング/硬化パスを使用して製造することができ、これは、複数のパスが使用される最先端の製造方法と比較して改善である。単一のコーティング/硬化パスは生産性の向上、生産に必要なエネルギーの削減、廃棄物発生の削減につながり、これらの全てがコスト削減につながる。さらに、溶媒または二酸化炭素の排出が実質的に低減される。いくつかの例では、溶媒および/または二酸化炭素の生成がごく僅かまたは殆どゼロに達している。
【0016】
第1の態様において、本発明は、UV硬化性コポリマーの製造方法に関する。この方法は、第1工程として、モノマーの混合物を重合してアクリルコポリマーを生じさせる工程を含み、該混合物は、
(i)少なくとも1つの(メタ)アクリル酸エステル単量体40-95重量%、
(ii)少なくとも1つの共重合性モノマー5-60重量%、ここで、該モノマーは、そのホモポリマーのガラス転移温度が-30℃より高いものから選択される、および
(iii)任意に、ヒドロキシル基およびカルボキシル基からなる群から選択される官能基を有する少なくとも1つの共重合可能な官能性モノマー0.5-20重量%
を含む。
【0017】
アクリルモノマーの混合物中の少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーの量は、約40重量%ないし約95重量%の範囲である。好ましい実施形態では、アクリルモノマーの混合物中の少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーは、少なくとも約45重量%、例えば少なくとも約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量% 、約70重量%、約75重量%、約80重量%、約85重量%、約90重量%、または約94.5重量%である。さらに好ましい実施形態では、アクリルモノマーの混合物中の少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーは、約94重量%以下、例えば約90重量%、約85重量%、約80重量% 約75重量%、約70重量%、約65重量%、約60重量%、約55重量%、約50重量%、または約45重量%の量以下である。より好ましい実施形態では、前記アクリルモノマーの混合物中の少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーは、約45重量%−約94重量%、例えば約45重量%−約80重量%、約45重量%−約70重量%、約50重量%−約94重量%、約45重量%−約80重量%、または約50重量%−約70重量%の範囲である。より好ましい実施形態では、前記モノマーの混合物は、前記少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーを少なくとも約45重量%、好ましくは少なくとも約50重量%含み;および/または前記少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーを94重量%以下、好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重量%以下含む。すべての指定された量は、前記モノマー混合物の総重量に関する。
【0018】
好ましい実施形態では、前記少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーは、そのホモポリマーのガラス転移温度が約-30℃以下、例えば約-40℃以下、約-40℃以下、約-50℃以下、または約-60℃以下であるものから選択される。
【0019】
前記Tgは、公知の方法に従って決定することができる。これは、例えば、ASTM E 1356-08に従って測定することができ、測定は、10℃/分の加熱速度でMettlerのDSC823e機器で行われる。DSCを50ml/分の流速の窒素ガスでパージし、サンプル質量を10mgとする。Tgは、熱流動温度サーモグラムから転移の変曲点または中間点として評価される。
【0020】
前記少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーは、アルキル(メタ)アクリレートであってよい。好ましくは、アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基中の炭素数は、3−20個、例えば5−20個、10−20個、15−20個、3−15個、3−10個、3−5個、5−8個、6−10個または8−15個の範囲である。例えば、アルキル(メタ)アクリレートは、ブチルアクリレート、イソ -オクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、およびそれらの混合物からなる群から選択してよい。より好ましい態様において、アルキル(メタ)アクリレートは2-エチルヘキシルアクリレートである。
【0021】
アクリルモノマーの混合物中の前記少なくとも1つの共重合性モノマーは、約5重量%−約60重量%の範囲で存在する。好ましい実施形態では、アクリルモノマーの混合物は、少なくとも約10重量%、例えば少なくとも約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、または約55重量%の前記少なくとも1つの共重合可能なモノマーを含む。好ましい実施形態では、アクリルモノマーの混合物は、前記少なくとも1つの共重合性モノマーを少なくとも約10重量%、好ましくは少なくとも約20重量%含む。好ましい実施形態では、アクリルモノマーの混合物中の前記少なくとも1つの共重合可能なモノマーは、約59.5重量%以下、例えば約59重量%以下、約55重量%、約50重量%、約45重量%、約40重量%、約35重量%、約30重量%、約25重量%、約20重量%、約15重量%、または約10重量%である。より好ましい実施形態では、モノマーの混合物中の前記少なくとも1つの共重合可能なモノマーは、約10重量%−約59重量%、例えば約10重量%−約50重量%、約10重量%−約40重量%、約20重量%−約59重量%、約20重量%−約50重量%、または約20重量%−約40重量%の範囲である。最も好ましい態様において、少なくとも1種の共重合可能なモノマーは、モノマーの混合物中に少なくとも約10重量%、好ましくは少なくとも約20重量%の量で含まれていてもよい。 および/または59重量%以下、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。すべての指定された量は、前記モノマー混合物の総重量に関する。
【0022】
種々の実施形態において、前記少なくとも1つの共重合性モノマーは、アルキル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、スチレン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基中の炭素原子の数は、1−20個、例えば5−20個、10−20個、15−20個、1−15個、1−10個、1−5個、5−8個、6−10個、または8−15個の範囲である。いくつかの実施形態では、アルキル(メタ)アクリレートは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレートおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0023】
前記少なくとも1つの共重合可能な官能性モノマーは、存在しても存在しなくてもよい、すなわち、モノマーの混合物中の任意の成分である。存在する場合、モノマーの混合物中の前記少なくとも1つの共重合性官能性モノマーの量は、約0.5重量%−約20重量%の範囲内である。好ましい実施形態では、混合物中の前記少なくとも1つの共重合可能な官能性モノマーは、少なくとも約1重量%、例えば少なくとも約1.5重量%、約2重量%、約2.5重量%、約5重量%、約7重量% 約10重量%、約12重量%、約15重量%、または約18重量%である。例えば、アクリルモノマーの混合物は、前記少なくとも1つの共重合性官能性モノマーを少なくとも約1重量%、好ましくは少なくとも約1.5重量%含んでよい。さらに好ましい実施形態では、アクリルモノマーの混合物中の前記少なくとも1つの共重合可能な官能性モノマーは、約20重量%以下、例えば約18重量%未満、約15重量%、約12重量%、約10重量%、約7重量%、約6重量t%、約5重量%、約4重量%、約3重量%、または約2重量%である。例えば、アクリルモノマーの混合物は、前記少なくとも1つの共重合可能な官能性モノマーを10重量%以下、好ましくは7重量%以下含んでよい。さらに好ましい実施形態では、アクリルモノマーの混合物中の前記少なくとも1つの共重合可能な官能性モノマーは、約1重量%−約10重量%、例えば約1重量%−約7重量%、約1.5重量%−約10重量%、または約1.5重量%−約7重量%の範囲である。特定の実施形態において、モノマーの混合物は、任意に、前記少なくとも1つの共重合可能な官能性モノマーを少なくとも約1重量%、好ましくは少なくとも約1.5重量%含み;および/または10重量%以下、好ましくは7重量%以下の前記少なくとも1つの共重合性官能性モノマーを含む。すべての指定された量は、前記モノマー混合物の総重量に関する。
【0024】
好ましい実施形態では、前記少なくとも1つの共重合性官能性モノマーは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、それらのラクトン類との付加物、(メタ)アクリル酸、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0025】
好ましくは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのアルキル基中の炭素原子の数は、1−20個、例えば5−20個、10−20個、15−20個、1−15個、1−10個、1−5個、5−8個、6−10個、または8−15個の範囲である。より好ましい実施形態において、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘプチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシノニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、それらの異性体、エトキシル化および/またはプロポキシル化誘導体、それらのラクトンの付加物;ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0026】
最も好ましい実施形態では、モノマーの混合物はアクリルモノマーの混合物である。これは、例えば、2-エチルヘキシルアクリレート、メタクリル酸、アクリル酸メチルおよびアクリル酸エチルを含むかまたはそれらからなってよい。代替の最も好ましい実施形態では、アクリルモノマーの混合物は、ブチルアクリレート、メタクリル酸、アクリル酸メチルおよびアクリル酸エチルを含むかまたはそれらからなる。
【0027】
アクリルモノマーの混合物は、フリーラジカル重合によって重合してアクリルコポリマーを形成することができる。例示的な重合開始剤には、有機アゾまたはペルオキソ化合物が含まれる。適切な重合開始剤は、当該技術分野において広く知られており、容易に入手可能である。例示的な化合物は、ジイソブチルペルオキシド、クミルペルオキシネオデカノエート、1,1,3,3-テトラメチルブチルペルオキシネオデカノエート、tert-アミルペルオキシネオデカノエート、ジ-(4-tert-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ-(2-エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、 t-ブチルペルオキシイソブチラート、1,1-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、t-アミルペルオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート、tert-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート 、2,2-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ブタン、tert-ブチルペルオキシネオデカノエート、ジ-n-ブチルペルオキシジカーボネート、ジセチルペルオキシジカーボネート、ジミリスチルペルオキシジカーボネート、tert-アミルペルオキシピバレート、tert-ブチルパーオキシピバレート、ジ-(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート、tert-ブチルペルオキシアセテート、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、ジ-tert-アミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、tert-ブチルクミルペルオキシド 、ジラウロイルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾジ-(2-メチルブチロニトリル)、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン、1,1,3,3-テトラメチルブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-アミルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、ジ-イソプロピルベンゼンモノヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロペルオキシド、およびtert-ブチルヒドロペルオキシドである。 好ましい実施形態では、重合開始剤は、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(AZDN)を含むかまたはそれからなる。
【0028】
本発明による方法は、アクリル共重合体を触媒の存在下でUV硬化性官能基を含む少なくとも1種のモノマーと反応させてUV硬化性アクリル共重合体を形成する第2の工程をさらに含む。
【0029】
好ましい実施形態では、UV硬化性基を含むモノマーは、ビニル基とエポキシ基を含むモノマーであって、好ましくはエポキシ官能化(メタ)アクリレート、より好ましくは(メタ)アクリル酸のグリシジルエステルである。さらなる例としては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アクリロイルクロリド、メタクリリロイルクロリド、メタクリル酸、アクリル酸、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。より好ましい実施形態では、UV硬化性基を含むモノマーは、グリシジルメタクリレートである。
【0030】
本発明の組成物は、任意に、連鎖移動剤を含むことができる。この点において、当業者に知られているチオールおよびハロメタンを使用することができる。好ましくは、ドデシルメルカプタンが組成物中に含まれる。より好ましい実施形態において、前記組成物は、前記移動剤を、アクリルモノマーの全重量に基づいて0.1−1重量%、最も好ましくは0.3−0.7重量%含有する。
【0031】
本発明の組成物は、任意に、アクリル基を安定化するための阻害剤をさらに含むことができる。例示的な化合物は4-メトキシフェノール(MEHQ)およびフェノチアジンである。好ましい実施形態では、MEHQが含まれる。より好ましい実施形態では、阻害剤は、組成物の総重量に基づいて、1−1000ppm、最も好ましくは200−700ppmの量で含まれる。
【0032】
重付加/重合は、触媒の存在下で重縮合反応を介して行ってよい。本明細書で使用される「重縮合」という用語は、成分(モノマー)の間の化学反応による高分子化合物の形成を指す。これは、典型的には、小分子、すなわち約800g/mol未満の分子量を有する化合物、例えば水および二酸化炭素の除去を伴う。使用することができる触媒の例としては、金属アセチルアセトネートおよび/またはその水和物、例えば亜鉛アセチルアセトネート、銅アセチルアセトネート、クロムアセチルアセトネート、ナトリウムアセチルアセトネート、コバルトアセチルアセトネート、鉄アセチルアセトネート、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。より好ましい実施形態では、触媒は亜鉛アセチルアセトネート水和物を含むかまたはそれからなる。
【0033】
好ましい実施形態では、この方法は、アクリル系モノマーの混合物を適切な溶媒中に提供し、アクリル系コポリマーを、UV硬化性基を含む少なくとも1種のモノマーと反応させる前に溶媒を蒸発させる工程をさらに含み、溶媒を蒸発させた後のアクリルコポリマー中の残留溶媒含有量は、好ましくは1重量%未満である。
【0034】
存在するモノマーの種類に応じて、異なる溶媒を使用してよい。適切な溶媒の例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、イソプロパノール、グリコールエーテル、乳酸アルキル、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、溶媒は酢酸エチルを含むか、または酢酸エチルからなる。
【0035】
混合物に熱及び/又は真空を適用することによって、溶媒を除去してよい。異なる加熱温度および/または真空設定は、例えば、使用される溶媒および当業者に知られている溶媒に応じて適切であり得る。「真空」という用語は、容器の外の周囲の雰囲気よりも圧力が低く、したがって容器(例えば、フラスコ)内の粒子密度が低いか、またはガスの圧力が300mbarである、ガスの状態として定義される。加熱温度は、組成物が化学的変化、例えば分解またはさらなる反応を受ける温度よりも低くなるように選択される。好ましい実施形態では、溶媒は、アクリルコポリマーの混合物中の残留溶媒含有量が1重量%未満、例えば0.9重量%未満、0.8重量%未満、0.7重量%未満、0.6重量%未満、0.5重量%未満、0.4重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満、または0.1重量%未満となるように蒸発される。
【0036】
アクリルコポリマーのガラス転移温度は、好ましくは室温より低い。好ましい実施形態では、約-60℃−約20℃の範囲、例えば約-50℃−約20℃、約-30℃−約20℃、約-10℃−約20℃、約0℃−約20℃、約-60℃−約10℃、約-60℃−約0℃、約-60℃−約-10℃、約-60℃−約-30℃、約-60℃−約 -40℃、または約-30℃−約0℃である。より好ましい実施形態では、アクリルコポリマーのガラス転移温度は、約-30℃−約10℃の範囲である。最も好ましい実施形態では、その範囲は0℃−10℃である。
【0037】
UV硬化性基を含むモノマーは、ポリマー上のUV硬化性官能基の濃度がポリマー中の繰り返し単位の数に対して約1モル%−約2.5モル%の範囲、例えば約1モル%−約2モル%、約1モル%−約1.5モル%、約1.25モル%−約2.5モル%、約1.5モル%−約2.5モル%、約1.75モル%−約2.5モル%、または約2モル%−約2.5モル%、のUV硬化性アクリルコポリマーを生じる濃度で用いてよい。より好ましい実施形態では、UV硬化性アクリルコポリマー上のUV硬化性官能基の濃度は、ポリマー中の繰り返し単位の数に対して約1.25モル%−約1.75モル%である。
【0038】
第2の態様において、本発明は、第1の態様の方法に従って得ることができるUV硬化性アクリルコポリマーに関する。さらなる態様において、本発明は、第2の態様のUV硬化性アクリルコポリマーおよび光開始剤を含む接着剤組成物、好ましくは感圧接着剤(PSA)またはホットメルト組成物に関する。
【0039】
使用され得る光開始剤の例には、ベンゾフェノン、メチル-2-ベンゾイルベンゾエート、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、オキシ-フェニル-酢酸2-[2-オキソ-2-フェニル-アセトキシ-エトキシ]-エチルエステルとオキシ-フェニル-酢酸2-[2-ヒドロキシ-エトキシ]-エチルエステルの混合物と、エチル-2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネート、およびジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシドとの混合物、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。より好ましい実施形態において、光開始剤は、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシドを含むか、またはそれらからなる。
【0040】
さらに別の態様では、本発明は、接着シートを調製する方法に関する。この方法は、第2の態様の接着剤組成物を基材上にコーティングして、基材表面上に前記接着剤組成物の層を形成することと、接着剤組成物の層にUV光を照射して接着シートを形成することを含む。
【0041】
好ましい実施形態において、被覆工程は、約140℃未満、例えば約120℃、110℃、100℃または90℃未満の温度で行われる。より好ましい実施形態では、UV硬化性アクリルコポリマーの混合物は、約100℃−約120℃の範囲の温度で基材上にコーティングされる。
【0042】
UV硬化性アクリルコポリマーの層に紫外線を照射して接着シートを形成する。好ましい実施形態では、光開始剤を存在させる。紫外線を照射すると、紫外線硬化型アクリル系共重合体が硬化して接着シートが形成される。
【0043】
さらなる態様において、本発明は、第2の態様によるUV硬化性アクリルコポリマーの接着剤の製造における使用に関する。好ましくは、接着剤は感圧接着剤またはホットメルトである。
【0044】
このようにして製造された接着剤または接着シートは、例えば高性能接着剤または機能性コーティングにおいて潜在的な用途を有する。溶剤ベースの感圧接着剤と比較して、本明細書に開示された接着剤または接着シートは、熱乾燥が必要でないことにより、乾燥時間がないため生産性が向上するという利点がある。さらに、最先端技術による溶剤系アクリル製品は、40−50g/m2までしかコーティングすることができない。これは効果のない乾燥につながり得る。これはさらに、より厚い層を形成するためにマルチパスプロセスが必要であることを意味し、これは材料の浪費および生産性の低下をもたらし得る。この制限は、本明細書に開示される方法には存在しない。
【0045】
以下では、具体的な実施形態、すなわち、2-エチルヘキシルアクリレート、メタクリル酸、メチルアクリレートおよびエチルアクリレート;またはブチルアクリレート、メチルアクリレートおよびエチルアクリレート、から形成されるUV硬化性アクリルコポリマーを参照して、本発明をより詳細に説明する。しかし、本発明はそのような実施形態に限定されず、他のモノマー、触媒、溶媒および光開始剤を使用するために容易に適合され得ることが理解される。そのような代替実施形態も本発明の範囲に包含される。
【実施例】
【0046】
実施例1および2:UV硬化性アクリル共重合体の合成

アクリルコポリマーは、660部の2-エチルヘキシルアクリレート、120部のメタクリル酸、258部のメチルアクリレートおよび400部のエチルアクリレートを共重合することによって、720部のエチルアセテート中で4時間のフルモノマー遅延プロセスによって製造した。並行して、4.77部のAZDN開始剤(VAZO 64)および10.8部のドデシルメルカプタン(連鎖移動剤)を添加した。添加後、混合物を還流温度で2時間維持して完全な転化率を確保した。残留モノマー濃度は、ガスクロマトグラフィーで測定して1%未満であった。
【0047】
同様の方法で異なるモノマー混合物を使用することによって、第2のアクリルコポリマーを得た。前記混合物の組成を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
第2の工程では、加熱と真空の組み合わせを用いて酢酸エチルを混合物から除去した。ガスクロマトグラフィーで測定した残留溶媒含有量は1重量%未満であった。
【0050】
第3の工程では、グリシジルメタクリレート(1.5モル%)をアクリルコポリマーに、1000ppmのMEHQ阻害剤および1000ppmの亜鉛アセチルアセトネート水和物触媒と共に添加した。反応は、残存エポキシ官能基を滴定することによってモニターし、変換率が90%を超えると終了であるとみなした。
【0051】
第4の工程では、光開始剤として2%ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(TPO)を用いてUV硬化性コポリマーを調製した。
【0052】
次いで、完全に調製されたホットメルトを、以下に記載するようにコーティングし、硬化させた。最終生成物は、凝集および接着測定によってキャラクタライズした。
【0053】
調製されたUV硬化性アクリルコポリマーの凝集および接着測定
実施例1で調製した。
【0054】
以下に記載する方法により、接着性、粘着性及び凝集性について接着特性を試験した。
【0055】
試験サンプルの調製:
本明細書のPSA結果のための全てのテープは、接着剤転写によって作製する。未硬化の液体PSA組成物を剥離紙(Loparex Poly Slik 111/120、Apeldoorn、オランダ、ロール番号W03180672)上に引き出す。ブレイブ・インストゥルメンツ社の調節可能なバードアプリケータを使用して、典型的には25−130μmの設定で、最も遅い速度(約1.5m/分)で30cmストロークのGardco自動ドローダウンマシンを用いて100℃でドローダウンを行う。組成物は、200ワット/cmのパワーを有するUV-FusionランプBF9(H-バルブ)を用いて可変速度を有するコンベアベルト上でUV硬化され、その速度は接着剤の厚さに依存する。ランプの出力は、パックを使用してUV-A、BおよびCの線量および放射照度を正しいベルト速度で測定することによって試験する
【0056】
【表2】
【0057】
冷却したフィルムを、2kgの硬質ゴムローラの2回の二重通過を使用して、組成物1の厚さ50μmの白色PVCフィルムおよび組成物2の厚さ50μMのPETフィルムでラミネートする。ラミネートを2.5cm×約17.5cmのストリップに切断する。
すべての室温性能試験は、23±2℃、相対湿度50±5%の一定温度/一定湿度管理室で行う。
【0058】
剥離試験
上記のように調製されたテープは、ステンレス鋼(SST)、ガラスおよび他の材料で作られた試験パネル上に付与することができる。剥離試験は、インストロン(Instron)機でEN 1939に従って付与の20分後に実施する。結果は、25mmあたりのNで報告する。
【0059】
剪断抵抗
剪断抵抗は、接着剤の凝集力または内部強度の尺度である。これは、一定の圧力で貼り付けられた表面に平行な方向で、標準平坦面から接着ストリップを引っ張るのに必要な力の量に基づく。これは、一定荷重下でステンレス鋼試験パネルから接着剤被覆シート材料の標準領域を引っ張るのに要する時間として測定する。
【0060】
試験は、各テープの6.25mm×6.25mm部分がパネルとしっかりと接触し、テープの一方の端部が解放されるように、ステンレス鋼パネルに適用されたテープに対して行われる。取り付けられたテープを有するパネルは、パネルがラックに対して178度の角度をなすようにラックに保持される。延長されたテープの自由端に1kgの重りが取り付けられる。試験は異なる温度で行うことができる。結果を以下に報告する。
【0061】
SAFTテスト
SAFTはまた、接着剤の凝集力または内部強度の尺度でもある。この試験は、ASTM D-4498-95にも記載されている同じ構造を使用して剪断試験を修正したものであるが、ここでは一定速度で加熱されたオーブン内に置かれる。試験は、1℃/分の加熱速度で室温から開始して行った。重りが落ちる温度を記録する。重りがまだ210℃で止まる場合、試験は停止され、この値が記録される。
【0062】
ループタックテスト
この試験方法は、感圧接着剤の粘着特性を決定することを意図している。この試験方法は、他の表面との接触時に測定可能な強度の結合を迅速に形成する接着剤に適用可能である。これらの方法は、裏張りを有する感圧接着剤のループをステンレス鋼の表面と接触させることを可能にし、適用する唯一の力は感圧知物品自体の重量である。次いで、感圧品を基材から取り出し、感圧品を被着体から除去する力を記録器具によって測定する。ループタック試験は、Finat試験方法No.9に従って、適用の20分後にInstronマシン上で実施する。結果は、25mmあたりのNで報告する。
【0063】
【表3】
【0064】
組成物1を有する接着剤を70℃のオーブン内で剥離ライナー上に1週間および2週間貯蔵した後に、剥離およびループタック測定を繰り返す。
【0065】
【表1】
本発明の好ましい態様は以下を包含する。
〔1〕UV硬化性アクリルコポリマーの製造方法であって、
(a)モノマーの混合物を重合させてアクリルコポリマーを形成すること、ここで、該モノマー混合物は、
(i)少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマー40−95重量%、
(ii)そのホモポリマーのガラス転移温度が-30℃より高いものから選択される少なくとも1つの共重合性モノマー5−60重量%、および
(iii)任意に、ヒドロキシル基およびカルボキシル基からなる群から選択される官能基を有する少なくとも1つの共重合可能な官能性モノマー0.5−20重量%
を含み、および
(b)アクリルコポリマーを、触媒の存在下でUV硬化性官能基を含む少なくとも1種のモノマーと反応させて、UV硬化性アクリルコポリマーを形成すること
を含む方法。
〔2〕前記モノマーの混合物は、
(i)少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマー少なくとも約45重量%、好ましくは少なくとも約50重量%;および/または
(ii)少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマー約94重量%以下、好ましくは約80重量%以下、より好ましくは約70重量%以下
を含む、〔1〕に記載の方法。
〔3〕前記少なくとも1種の(メタ)アクリレートモノマーは、
(i)そのホモポリマーのガラス転移温度が約-30℃以下であるものから選択され、および/または
(ii)アルキル(メタ)アクリレートであって、好ましくは、該アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基の炭素原子数が3−20の範囲であり、より好ましくは、該アルキル(メタ)アクリレートは、ブチルアクリレート、イソ-オクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、およびそれらの混合物からなる群から選択される、
〔1〕または〔2〕に記載の方法。
〔4〕前記モノマーの混合物は、
(i)少なくとも1つの共重合性モノマー少なくとも約10重量%、好ましくは少なくとも約20重量%;および/または
(ii)少なくとも1つの共重合性モノマー59重量%以下、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下
を含む、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の方法。
〔5〕共重合性モノマーは、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルアセテート、スチレン、およびそれらの混合物からなる群から選択され、アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基の炭素原子数は好ましくは1−20であり、アルキル(メタ)アクリレートはより好ましくはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、およびそれらの混合物からなる群から選択される、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の方法。
〔6〕前記モノマー混合物は、
(i)少なくとも1つの共重合可能な官能性モノマー少なくとも約1重量%、好ましくは少なくとも約1.5重量%;および/または
(ii)少なくとも1つの共重合可能な官能性モノマー10重量%以下、好ましくは7重量%以下
を含む、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の方法。
〔7〕〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1つの共重合可能な官能性モノマーは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのエトキシル化および/またはプロポキシル化誘導体、それらのラクトン付加物、(メタ)アクリル酸、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸 、アクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、およびそれらの混合物からなる群から選択され、ここで、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのアルキル基の炭素原子数は好ましくは1−20の範囲内であり、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘプチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシノニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、それらの異性体、それらのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、それらのラクトンとの付加物;ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、およびそれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい、方法。
〔8〕前記モノマーの混合物は、
a)2-エチルヘキシルアクリレート、メタクリル酸、アクリル酸メチルおよびアクリル酸エチル;又は
b)ブチルアクリレート、メタクリル酸、アクリル酸メチルおよびアクリル酸エチル
を含むかまたはそれからなる、請求項1−7のいずれかに記載の方法。
〔9〕〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の方法であって、該方法は、アクリル系モノマー混合物を適切な溶剤中に供給し、アクリル系コポリマーを、UV硬化性基を含む少なくとも1種のモノマーと反応させる前に溶媒を蒸発させる工程をさらに含み、ここで、アクリル系コポリマー中の残留溶剤含有量は好ましくは1重量%未満である、方法。
〔10〕UV硬化性基を含むモノマーは、ビニルおよびエポキシ基を含むモノマー、好ましくはエポキシ官能化アクリレート、より好ましくは(メタ)アクリル酸のグリシジルエステルである、〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の方法。
〔11〕アクリルコポリマーのガラス転移温度は約-60℃−約20℃、好ましくは約-30℃−約10℃の範囲である、〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の方法。
〔12〕〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の方法によって得られるUV硬化性アクリルコポリマー。
〔13〕〔12〕に記載のUV硬化性アクリルコポリマーおよび光開始剤を含む、接着剤組成物、好ましくは感圧接着剤(PSA)またはホットメルト組成物。
〔14〕接着シートの製造方法であって、
i)〔13〕に記載の接着剤組成物を基材上にコーティングして、前記基材表面上に前記接着剤組成物の層を形成すること;および
ii)接着剤組成物の層にUV光を照射して接着シートを形成すること
を含む方法。
〔15〕接着剤、好ましくは感圧接着剤またはホットメルトとしての、〔12〕に記載のUV硬化性アクリルコポリマーの使用。