【実施例】
【0024】
[金属入りペレットの作製]
ポリブチレンテレフタレートペレット(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ノバデュラン5008−C」)を凍結粉砕し、平均粒径約300μmのポリブチレンテレフタレートパウダーAを得た。
鉄粉(Wako Chemicals社製、「Iron Power Atomized」、平均粒径180μm)を100メッシュ(オープニング184μm)の篩で篩い、通過したものを160メッシュ(オープニング114μm)の篩で篩い、通過しなかった鉄粉Bを得た。鉄粉Bを乾式粒子画像分析装置(MALVERN社製「Morphologi G3」)で体積平均粒子径を測定すると120μmであった。
【0025】
[鉄粉入りペレットCの作製方法]
ポリブチレンテレフタレートパウダーAの10kgに、上記鉄粉を0.02gブレンドし、二軸押出機(東芝機械社製「TEM37BS」)にて吐出量20kg/hrで押し出した。ダイスは3.5mmφ円形ノズル5穴のものを使用した。ペレタイザーでストランド引取り速度を調整しカッテイングし、平均重量30mgの鉄粉入りペレットを得た。
得られたペレットの長径と短径の比率は長径/短径=1.1であった。
そのペレットをダイカテック社製のマグネットロールセパレータ「DDR200」を使用し、次の条件で鉄粉入りペレットを選別した。
マグネットは磁力11000ガウスのものを使用した。ベルトの張力を60Nに張り、ベルト速度は0.5m/secとし、分離板5の角度は90度(垂直方向)とした。その状態で2.5kg/hrでペレットCを流し、鉄粉入りペレットを得た。鉄粉入りペレットCを20個取り出し、赤マジックで着色し、鉄粉入りペレットCとした。
試験用鉄粉入りペレットCの長径/短径=1.1であった。X線CTスキャンでこの20個のペレットを観察し、すべてのペレットに鉄粉が入っていることを確認した。
【0026】
[鉄粉入りペレットDの作製方法]
ダイスは長径3.7mm、短径3.3mmの楕円形状ノズル5穴のものを使用した以外は鉄粉入りペレットCの作製方法と同様にして、ペレットを得、鉄粉入りペレットDとした。
ペレットDの長径/短径は1.25であった。
X線CTスキャンでこの20個のペレットを観察し、すべてのペレットに鉄粉が入っていることを確認した。
【0027】
[鉄粉入りペレットEの作製方法]
ダイスは長径4.0mm、短径3.0mmの楕円形状ノズル5穴のものを使用した以外は鉄粉入りペレットCの作製方法と同様にして、ペレットを得、鉄粉入りペレットEとした。
ペレットEの長径/短径は1.5であった。
X線CTスキャンでこの20個のペレットを観察し、すべてのペレットに鉄粉が入っていることを確認した。
【0028】
[鉄粉入りペレットFの作製方法]
ダイスは長径4.3mm、短径2.7mmの楕円形状ノズル5穴のものを使用した以外は鉄粉入りペレットCの作製方法と同様にして、ペレットを得、鉄粉入りペレットFとした。
ペレットFの長径/短径は1.8であった。
X線CTスキャンでこの20個のペレットを観察し、すべてのペレットに鉄粉が入っていることを確認した。
【0029】
[鉄粉入りペレットGの作製方法]
ダイスは長径4.7mm、短径2.3mmの楕円形状ノズル5穴のものを使用した以外は鉄粉入りペレットC作製方法と同様にして、ペレットを得、鉄粉入りペレットGとした。
ペレットGの長径/短径は2.3であった。
X線CTスキャンでこの20個のペレットを観察し、すべてのペレットに鉄粉が入っていることを確認した。
【0030】
[鉄粉を含まないPBTペレットCの作成方法]
ポリブチレンテレフタレートパウダーAの10kgに対して、鉄粉を入れることなしに、二軸押出機(東芝機械社製「TEM37BS」)にて吐出量20kg/hrで押し出した。この際、ダイスは3.5mmφの円形ノズル5穴のものを使用した。ストランド引取り速度を調整し、鉄粉を含まない平均重量30mgのPBTペレットCを得た。
ペレットの長径と短径の比率は長径/短径=1.1であった。
【0031】
[鉄粉を含まないPBTペレットDの作成方法]
ダイスは長径3.7mm、短径3.3mmの楕円形状ノズル5穴のものを使用した以外は、上記PBTペレットCの作製方法と同様にして、ペレットを得、PBTペレットDとした。
PBTペレットDの長径/短径は1.25であった。
【0032】
[鉄粉を含まないPBTペレットEの作成方法]
ダイスは長径4.0mm、短径3.0mmの楕円形状ノズル5穴のものを使用した以外は、前記PBTペレットCの作製方法と同様にして、ペレットを得、PBTペレットEとした。
PBTペレットEの長径/短径は1.5であった。
【0033】
[鉄粉を含まないPBTペレットFの作成方法]
ダイスは長径4.3mm、短径2.7mmの楕円形状ノズル5穴のものを使用した以外は、前記PBTペレットCの作製方法と同様にして、ペレットを得、PBTペレットFとした。
PBTペレットFの長径/短径は1.8であった。
【0034】
[鉄粉を含まないPBTペレットGの作成方法]
ダイスは長径4.7mm、短径2.3mmの楕円形状ノズル5穴のものを使用した以外は、前記PBTペレットCの作製方法と同様にして、ペレットを得、PBTペレットGとした。
PBTペレットGの長径/短径は2.3であった。
【0035】
<実施例1〜12>
移送ベルトのベルトテンションを60Nに統一して以下の試験を行った。また、実施例1〜4については、扁平率1.5のペレットEを使用し、実施例5〜8については扁平率1.25のペレットDを使用し、実施例9〜12については扁平率1.8のペレットFを使用している。そして、各樹脂ペレットについて、各々移送速度を変化させて捕捉率を試験した。
また、ベルト速度を変更すると、移送ベルトから投げ出される投下軌跡が変わるが、その時の速度に応じた非磁性樹脂ペレットの投下軌跡を予め試験して、100%若しくはそれに近いレベルで非磁性樹脂ペレットが通過できるようにし、それらの軌道の直ぐ下に分離板5の上端縁5aが配置されるように、分離板の設定角度を変更し、磁性樹脂ペレットが磁性ローラの磁力によって、分離板5に当てるようにしている。
【0036】
[実施例1]
得られたPBTペレットEの5kgに、鉄粉入りペレットEを20粒を混合し、マグネットロールセパレータで次の条件で選別した。
マグネット:磁力6000ガウス
ベルトテンション:60N
ベルト速度:0.35m/秒
ペレットフィード速度2.5kg/分
分離板角度:90°
捕捉された鉄粉入りペレットEの数は20個であった。
【0037】
[実施例2]
ベルト速度を0.5m/秒にした以外は実施例1と同様に試験を行った。
[実施例3]
ベルト速度を0.7m/秒にした以外は実施例1と同様に試験を行った。
[実施例4]
ベルト速度を0.85m/秒にした以外は実施例1と同様に試験を行った。
【0038】
[実施例5]
PBTペレットをD、鉄粉入りペレットをDにした以外は実施例1と同様に試験を行った。
[実施例6]
ベルト速度を0.5m/秒にした以外は実施例5と同様に試験を行った。
[実施例7]
ベルト速度を0.7m/秒にした以外は実施例5と同様に試験を行った。
[実施例8]
ベルト速度を0.85m/秒にした以外は実施例5と同様に試験を行った。
【0039】
[実施例9]
PBTペレットをF、鉄粉入りペレットをFにした以外は実施例1と同様に試験を行った。
[実施例10]
ベルト速度を0.5m/秒にした以外は実施例9と同様に試験を行った。
[実施例11]
ベルト速度を0.7m/秒にした以外は実施例9と同様に試験を行った。
[実施例12]
ベルト速度を0.85m/秒にした以外は実施例9と同様に試験を行った。
実施例1〜12の結果を以下の表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
<比較例1〜8>
[比較例1]
ベルト速度を0.25m/秒にした以外は実施例1と同様に試験を行った。なお、ベルト速度0.25m/秒は比較例3,5と共に、最も遅いベルト速度に設定している。
[比較例2]
ベルト速度を0.95m/秒にした以外は実施例1と同様に試験を行った。結果を表2に記す。なお、ベルト速度0.95m/秒は比較例4,6と共に、最も速いベルト速度に設定している。
[比較例3]
ベルト速度を0.25m/秒にした以外は実施例5と同様に試験を行った。
[比較例4]
ベルト速度を0.95m/秒にした以外は実施例5と同様に試験を行った。
[比較例5]
ベルト速度を0.25m/秒にした以外は実施例9と同様に試験を行った。
[比較例6]
ベルト速度を0.95m/秒にした以外は実施例9と同様に試験を行った。
【0042】
[比較例7]
PBTペレットをC、鉄粉入りペレットをCにした以外は実施例1と同様に試験を行った。
比較例7の樹脂ペレットは扁平率が1.1で最も円形に近いが、捕捉率が劣るのは、磁性成分が偶然に樹脂ペレットの上側に位置したものが、磁性ローラの磁界が弱い位置に配置された結果、分離板を飛び越えて非磁性ペレット側まで飛ばされたと考えられる。
[比較例8]
PBTペレットをG、鉄粉入りペレットをGにした以外は実施例1と同様に試験を行った。
比較例1〜8の結果を以下の表2に記す。
【0043】
【表2】
【0044】
<実施例13〜
16、参考例17〜18>
長径/短径比が同じ樹脂ペレットEを用い、ベルト速度を一定速度(0.5m/秒)とし、移送ベルトのベルトテンションを変更し、磁性ペレットの捕捉を試みた。
[実施例13]
ベルトテンションを25Nにした以外は実施例1と同様に試験を行った。
[実施例14]
ベルトテンションを40Nにした以外は実施例1と同様に試験を行った。
[実施例15]
ベルトテンションを80Nにした以外は実施例1と同様に試験を行った。
[実施例16]
ベルトテンションを110Nにした以外は実施例1と同様に試験を行った。
【0045】
[
参考例17]
ベルトテンションを15Nにした以外は実施例1と同様に試験を行った。
移送ベルト4のテンションが小さいと、選別性能が低くなるのが確認でき、移送ベルトのテンションも選別に影響することが分かった。この原因は定かではないが、ベルトのテンションが弱いと、マグネットとベルトの間に隙間ができる部分が発生し、磁界が弱くなることが原因と推測する。
[
参考例18]
ベルトテンションを130Nにした以外は実施例1と同様に試験を行った。
捕捉された鉄粉入りペレットEの数は20個であった。然しながら、試験中に移送ベルトの横ずれが発生した。移送ベルトのテンションが大きかったことが原因である。長時間の運転では横ずれが激しくなり、ベルトの横にペレットが落ちて、正しくペレットが選別されない事態が発生すると考えられる。
結果を以下の表3に示す。
【0046】
【表3】
【0047】
表1〜表3に示す結果から、実用向けに樹脂ペレットの選別可能と判断される範囲としては、ベルト速度が0.30〜0.90m/秒の範囲、ペレットの扁平率(長径/短径)が1.2〜2.0の範囲である。また、ベルトテンションが20〜120Nが好ましい。
また、好ましい範囲としては、表1、表3の結果から、20個の磁性ペレットのうち18個(90%)以上の樹脂ペレットを選別した、ベルト速度が0.35〜0.85m/秒の範囲、ペレットの扁平率が1.25〜1.8の範囲、ベルトテンションが25〜110Nである(実施例1〜16参照)。
より好ましい範囲としては、表1〜表3の結果から、20個の磁性ペレットのうち19個(95%)以上の樹脂ペレットを選別した、ベルト速度が0.35〜0.7m/秒の範囲、ペレットの扁平率が1.25〜1.8の範囲、ベルトテンションが25〜110Nである(実施例1〜3,5.6,9〜11,13〜16参照)。
さらに、最も好ましい範囲としては、表1〜表3の結果から20個の金属入りペレットを100%選別した、ベルト速度が0.35〜0.5m/秒の範囲、ペレットの扁平率が1.25〜1.8の範囲、ベルトテンションが40〜110Nであった(実施例1,2,5,6,9,10,13,15,16参照)。
【0048】
以上、本発明を実施形態に基づいて添付図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく、更に他の変形あるいは変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、樹脂ペレットの断面形状について、楕円形状で説明したが実質的に長径/短径比の範囲が同じで本実施形態の楕円柱形状と近似し、本発明と同様の効果を有する長円柱形状も含む。
また、上記実施形態では、非磁性ペレットと磁性ペレットの選別を行ったが、磁性の強さの異なる磁性ペレット同士の選別を行うことができる。