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特許6932007情報処理方法、情報処理装置及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6932007
(24)【登録日】2021年8月19日
(45)【発行日】2021年9月8日
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20210826BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20210826BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20210826BHJP
【FI】
   G08G1/16 F
   G08G1/09 F
   G08G1/00 A
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-31197(P2017-31197)
(22)【出願日】2017年2月22日
(65)【公開番号】特開2018-136776(P2018-136776A)
(43)【公開日】2018年8月30日
【審査請求日】2020年2月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】506159699
【氏名又は名称】株式会社ジンズホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】菰田 泰生
【審査官】 秋山 誠
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2016/0071393(US,A1)
【文献】 特開2013−065246(JP,A)
【文献】 特開2017−027393(JP,A)
【文献】 特表2017−530757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
G08G 1/09
G08G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
運転中のユーザが装着する処理装置からユーザの覚醒度に関する情報を取得することと、
取得した覚醒度に関する情報に基づいて、前記ユーザの覚醒度を判定する第1の判定を実行すること
前記第1の判定によって判定された前記覚醒度が閾値以下である場合には、前記ユーザに対して頭部運動を促す報知を行うこと
頭部運動を促す報知に対応する前記ユーザの頭部運動を検知しない場合に、前記ユーザに対して頭部運動を促す報知を行うことと、
頭部運動を促す報知に対応する前記ユーザの頭部運動を検知した場合に、前記検知した頭部運動に基づいて前記ユーザが覚醒したか否かを判定する第2の判定を実行し、前記第2の判定結果に基づいて前記ユーザに対して覚醒度に関する報知を行うこととを含む、
情報処理方法。
【請求項2】
前記情報処理方法は、さらに、
前記第1の判定によって判定された前記覚醒度が閾値以下でない場合に、前記ユーザに対して運転が正常であることを示す報知を行ったあとに、前記第1の判定を再度実行することを含む、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記情報処理方法は、さらに、
前記第2の判定を実行したあとに、前記第1の判定を再度実行することと、
前記第2の判定の結果に基づいて、前記第1の判定を実行する間隔を制御することを含む、
請求項1または2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記ユーザの覚醒度に関する情報は、
前記処理装置が検知した、前記ユーザの眼電位に関する情報または前記ユーザの頭部運動に関する情報を含む、
請求項1乃至3の何れかに記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記情報処理方法は、さらに、
前記ユーザの位置情報と、前記第1の判定の結果及び/又は前記第2の判定の結果とを外部のサーバ装置に送信することを含む、
請求項1乃至4の何れかに記載の情報処理方法。
【請求項6】
運転中のユーザが装着する処理装置からユーザの覚醒度に関する情報を取得する取得部と、
取得した前記覚醒度に関する情報に基づいて、前記ユーザの覚醒度を判定する第1判定部と、
前記第1判定部によって判定された前記覚醒度が閾値以下である場合には、前記ユーザに対して頭部運動を促す報知を行う報知部と、
前記ユーザの頭部運動の有無を検知する検知部と、
を有し、
前記報知部は、さらに、
前記検知部において、頭部運動を促す報知に対応する前記ユーザの頭部運動を検知しない場合に、前記ユーザに対して頭部運動を促す報知を行うことと、
前記検知部において、頭部運動を促す報知に対応する前記ユーザの頭部運動を検知した場合に、前記検知した頭部運動に基づいて前記ユーザが覚醒したか否かを判定する第2の判定を行い、前記第2の判定結果に基づいて前記ユーザに対して覚醒度に関する報知を行うことと、
を実行するように構成される、
情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータに、
運転中のユーザが装着する処理装置からユーザの覚醒度に関する情報を取得することと、
取得した覚醒度に関する情報に基づいて、前記ユーザの覚醒度を判定する第1の判定を実行すること
前記第1の判定によって判定された前記覚醒度が閾値以下である場合には、前記ユーザに対して頭部運動を促す報知を行うこと
頭部運動を促す報知に対応する前記ユーザの頭部運動を検知しない場合に、前記ユーザに対して頭部運動を促す報知を行うことと、
頭部運動を促す報知に対応する前記ユーザの頭部運動を検知した場合に、前記検知した頭部運動に基づいて前記ユーザが覚醒したか否かを判定する第2の判定を実行し、前記第2の判定結果に基づいて前記ユーザに対して覚醒度に関する報知を行うことと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転者から覚醒度の低下が検出された場合に、運転者の覚醒度を向上させる装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−134534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術の装置は、運転者の覚醒度が低下した場合に、運転者に報知を行うにすぎず、報知によって運転者が覚醒したことを保証するものではない。
【0005】
そこで、開示技術は、報知によって運転中のユーザの覚醒度が向上したか否かを検知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示技術の一態様における情報処理方法は、コンピュータが実行する情報処理方法であって、運転中のユーザが装着する処理装置からユーザの覚醒度に関する情報を取得することと、取得した覚醒度に関する情報に基づいて、ユーザの覚醒度を判定する第1の判定を実行すること、第1の判定によって判定された覚醒度が閾値以下である場合には、ユーザに対して頭部運動を促す報知を行うこと、報知のあとに、ユーザの頭部運動の有無を判定し、ユーザが覚醒したか否かを判定する第2の判定を実行すること、を実行する。
【発明の効果】
【0007】
開示技術によれば、報知によって運転中のユーザの覚醒度が向上したか否かを検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例における情報処理システムの一例を示す図である。
図2】実施例における処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3】実施例における情報処理装置のハードウェア構成を示す概略構成図である。
図4】実施例における情報処理装置の構成の一例を示す図である。
図5】実施例における報知部の構成の一例を示すブロック図である。
図6】実施例における報知処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0010】
[実施例]
実施例では、加速度センサ及び角速度センサ、生体電極を搭載する対象として、アイウエアを例に挙げるが、これに限られない。図1は、実施例における情報処理システム1の一例を示す図である。図1に示す情報処理システム1は、外部装置10とアイウエア30とサーバ40を含み、外部装置10とアイウエア30とサーバ40は、ネットワークを介して接続され、データ通信可能になっている。
【0011】
アイウエア30は、例えばテンプル部分に処理装置20を搭載する。処理装置20は、3軸加速度センサ及び3軸角速度センサ(6軸センサでもよい)を含む。また、アイウエア30は、一対のノーズパッド及びブリッジ部分にそれぞれ生体電極31、33、35を有する。アイウエア30に設けられる生体電極から取得される眼電位信号は、処理装置20に送信される。生体電極は、瞬目や視線移動等を検出するために設けられているが、画像処理により瞬目や視線移動等を検出する場合には、生体電極は設けられなくてもよい。
【0012】
処理装置20は、センサ信号や眼電位信号、及び/又はこれらの信号から算出される生体情報等を外部装置10やサーバ40に送信する。処理装置20の設置位置は、必ずしもテンプルである必要はないが、アイウエア30が装着された際のバランスを考慮して位置決めされればよい。
【0013】
外部装置10は、通信機能を有する情報処理装置である。例えば、外部装置10は、ユーザが所持する携帯電話及びスマートフォン等の携帯通信端末、パーソナルコンピュータ、タブレット端末等である。外部装置10は、処理装置20から受信したセンサ信号や眼電位信号等に基づいて、運転中のユーザの覚醒度を判定し、ユーザが乗用車、二輪車、バス、トラック等を運転することを支援する。以下、外部装置10は、情報処理装置10と称して説明する。
【0014】
サーバ40は、情報処理装置10から覚醒度に関する情報等を取得し、記憶する。サーバ40は、処理装置20から直接、生体情報や、センサ信号、眼電位信号等を取得する構成でもよい。この場合、サーバ40は、必要に応じて情報処理装置10からのリクエストに応じ、センサ信号や眼電位信号等を外部装置10に送信することができる。
【0015】
<処理装置20の構成>
図2は、実施例における処理装置20の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、処理装置20は、処理部202、送信部204、6軸センサ206、及び電源部208を有する。また、各生体電極31、33、35は、例えば増幅部を介して電線を用いて処理部202に接続される。なお、処理装置20の各部は、一方のテンプルに設けられるのではなく、一対のテンプルに分散して設けられてもよい。
【0016】
6軸センサ206は、3軸加速度センサ及び3軸角速度センサである。また、これらの各センサは別個に設けられてもよい。6軸センサ206は、検出したセンサ信号(又は検出データとも称す)を処理部202に出力する。
【0017】
処理部202は、例えばプロセッサであり、6軸センサ206から得られるセンサ信号や、生体電極から得られる眼電位信号を必要に応じて処理し、送信部204に出力する。例えば、処理部202は、眼電位信号を用いて、瞬目に関する生体情報や、視線移動に関する生体情報を算出することができる。
【0018】
また、処理部202は、6軸センサ206からのセンサ信号を用いて、体動に関する生体情報を算出する。体動に関する生体情報は、例えば所定時間内における頭部運動を示す情報である。例えば、処理部202は、6軸センサ206からのセンサ信号を用いて、ピッチ(Pitch)角を示すデータ、ロール(Roll)角を示すデータ、ヨー(Yaw)角を示すデータ、及び体軸の傾きの方向と大きさを含む姿勢を示すデータ(以下、これらを総称して「頭部運動情報」とも呼ぶ)を生成することができる。ピッチ角は、例えば頭の前後のブレを示し、ロール角は、例えば頭の左右のブレを示し、ヨー角は、例えば首の左右回転のブレを示し、体軸の傾きの方向及び大きさは、例えば頭の傾きの方向及び大きさを示す。ピッチ角、ロール角、ヨー角及び姿勢については、公知の技術を用いて算出すればよい。また、処理部202は、6軸センサ206から得られるセンサ信号を増幅等するだけでもよい。以下では、瞬目や視線移動に関する生体情報や、頭部運動情報について、処理部202により算出される例を用いて説明するが、情報処理装置10又はサーバ40により算出されてもよい。
【0019】
送信部204は、処理部202によって処理された瞬目や視線移動に関する生体情報、及び/又は頭部運動情報を含む各情報を情報処理装置10やサーバ40に送信する。例えば、送信部204は、Bluetooth(登録商標)及び無線LAN等の無線通信、又は有線通信によって瞬目や視線移動に関する生体情報や頭部運動情報を情報処理装置10やサーバ40に送信する。電源部208は、処理部202、送信部204、6軸センサ206等に電力を供給する。
【0020】
<情報処理装置10の構成>
(ハードウェア構成)
図3は、実施例における情報処理装置10のハードウェア構成を示す概略構成図である。情報処理装置10の典型的な一例は、スマートフォンなどの携帯電話であるが、この他、ネットワークに無線又は有線接続可能な携帯端末、あるいはタブレット型端末のようなタッチパネルを搭載した電子機器など、ネットワークを使って通信しながらデータ処理しつつ画面表示可能な汎用機器なども実施形態における情報処理装置10に該当しうる。
【0021】
実施形態における情報処理装置10は、例えば、図示しない矩形の薄形筐体を備え、その筐体の一方の面には、タッチパネル102が構成される。情報処理装置10では、各構成要素が主制御部150に接続されている。主制御部150は、例えばプロセッサである。
【0022】
主制御部150には、移動体通信用アンテナ112、移動体通信部114、無線LAN通信用アンテナ116、無線LAN通信部118、記憶部120、スピーカ104、マイクロフォン106、ハードボタン108、ハードキー110及び6軸センサ111が接続されている。また、主制御部150には、さらに、タッチパネル102、カメラ130、及び外部インターフェース140が接続されている。外部インターフェース140は、音声出力端子142を含む。
【0023】
タッチパネル102は、表示装置及び入力装置の両方の機能を備え、表示機能を担うディスプレイ(表示画面)102Aと、入力機能を担うタッチセンサ102Bとで構成される。ディスプレイ102Aは、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどの一般的な表示デバイスにより構成される。タッチセンサ102Bは、ディスプレイ102Aの上面に配置された接触操作を検知するための素子及びその上に積層された透明な操作面を備えて構成される。タッチセンサ102Bの接触検知方式としては、静電容量式、抵抗膜式(感圧式)、電磁誘導式など既知の方式のうちの任意の方式を採用することができる。
【0024】
表示装置としてのタッチパネル102は、主制御部150によるプログラム122の実行により生成されるアプリケーションの画像を表示する。入力装置としてのタッチパネル102は、操作面に対して接触する接触物(プレイヤの指やスタイラスなどを含む。以下、「指」である場合を代表例として説明する。)の動作を検知することで、操作入力を受け付け、その接触位置の情報を主制御部150に与える。指の動作は、接触点の位置または領域を示す座標情報として検知され、座標情報は、例えば、タッチパネル102の短辺方向及び長辺方向の二軸上の座標値として表される。
【0025】
情報処理装置10は、移動体通信用アンテナ112や無線LAN通信用アンテナ116を通じてネットワークNに接続され、処理装置20との間でデータ通信をすることが可能である。なお、記憶部120は、プログラム122を記録し、また、記憶部120は、外部装置10と別体であってもよく、例えば、SDカードやCD−ROM等の記録媒体であってもよい。
【0026】
(機能構成)
次に、情報処理装置10の機能構成について説明する。図4は、情報処理装置10の構成の一例を示す図である。情報処理装置10は、記憶部302、通信部304、及び制御部306を有する。
【0027】
記憶部302は、例えば、図3に示す記憶部120等により実現されうる。記憶部302は、実施例におけるユーザの覚醒度を管理するアプリケーション(以下、「ドライブアプリ」ともいう。)に関するデータ等を記憶する。ドライブアプリに関するデータは、例えば、処理装置20又はサーバ40から受信したデータや、ユーザに報知するアナウンスに関するテキストデータ等である。
【0028】
通信部304は、例えば移動体通信部114や無線LAN通信部118等により実現されうる。通信部304は、例えば処理装置20又はサーバ40からデータを受信する。また、通信部304は、情報処理装置10において処理されたデータをサーバ40に送信してもよい。すなわち、通信部304は、送信部と受信部としての機能を有する。
【0029】
制御部306は、例えば主制御部150等により実現され、ドライブアプリを実行する。実施例におけるドライブアプリは、ユーザの覚醒度が低下した場合に報知を行い、さらに報知によって覚醒度が向上したか否かを判定する機能を有する。この機能を実現するため、制御部306は、取得部312、検知部314、判定部316、報知部318を有する。
【0030】
取得部312は、人体に装着された6軸センサ206からのセンサ信号に基づく頭部運動情報や、眼電位信号に基づく生体情報を取得する。なお、人体に装着されたとは、直接的に装着されることだけではなく、アイウエア20等を含むウェアラブルデバイスを用いて間接的に装着されることを含む。
【0031】
検知部314は、取得部312が取得した頭部運動情報に基づいて、ユーザの頭部運動の有無を検知することができる。具体的には頭部運動情報が所定の値(例えば360度/秒)以上の角速度を示す場合に、検知部314はユーザの頭部運動を検知する。検知部314は、ヨー角方向の角速度に基づいて頭部運動を検知することが好ましいがこれに限定されない。例えば、検知部314は、ロール角方向や、ピッチ角方向の角速度に基づいて頭部運動を検知することも可能である。
【0032】
判定部316は、ユーザの覚醒度を判定する。例えば判定部316は、検知部314が検知した頭部運動の頻度に基づいて、以下のように覚醒度の高さを判定することができる。
・検知された頭部運動が1分間に4回未満 覚醒度:低い
・検知された頭部運動が1分間に4回以上16回未満 覚醒度:普通
・検知された頭部運動が1分間に16回以上 覚醒度:高い
【0033】
なお、判定部316は、覚醒度の高さを判定する閾値をユーザごとに変更することも可能である。例えば普段から頭部運動の頻度が多いユーザは、閾値を高めに設定し、頭部運動の頻度が小さいユーザは、閾値を低めに設定することが好ましい。
【0034】
また、判定部316は、頭部運動ではなく、眼電位信号等に基づいてユーザの覚醒度を判定する構成でもよい。
【0035】
報知部318は、ユーザの覚醒度に応じて、ユーザに対して報知を行うことができる。図5を参照して報知部318の詳細について説明する。図5は、実施例における報知部318の機能構成の一例を示すブロック図である。図5に示す報知部318は、アナウンス部3181と、結果判定部3182と、間隔制御部3183と、送信部3184とを含む。
【0036】
アナウンス部3181は、ユーザに対して所定の間隔(以下、アナウンス間隔ともいう)でアナウンスを実行する。具体的にはアナウンス部3181は、アナウンス間隔で判定部316にユーザの覚醒度を判定させ、ユーザの覚醒度が低いと判定された場合には、ユーザに運動を促すアナウンス(以下、「運動促進アナウンス」という。)を行うことができる。運動促進アナウンスは、例えば、「首を左右に3回動かしてください」等のアナウンスである。なお、運動促進アナウンスは、「リラックスしてください」等の運動を促さないアナウンスでもよい。
【0037】
他方で、アナウンス部3181は、ユーザの覚醒度が普通以上であると判定された場合に、ユーザにそのまま運転を続けるようにアナウンス(以下、「正常アナウンス」という。)を行うことができる。正常アナウンスは、例えば、「引き続き安全運転をお願いします」等のアナウンスである。
【0038】
なお、本実施例では、アナウンス部3181は、音声によってアナウンスを行う例について説明するがこれに限定されない。アナウンス部3181は、情報処理装置10のタッチパネル102にポップアップ等でアナウンスをテキスト情報として表示させる構成でもよい。
【0039】
結果判定部3182は、運動促進アナウンスの後において、所定の期間(例えば、1分間)の間に、検知部314が頭部運動を検知するか否かに応じて、ユーザの覚醒度が向上したか否かを判定する。検知部314は、ユーザが運動促進アナウンスでアナウンスされた頭部運動に対応する頭部運動をしたか否かを検知する。例えば、運動促進アナウンスが「首を左右に3回動かしてください」であり、検知部314がユーザの頭部運動を左右にそれぞれ1回しか検知しなかったとする。この場合、検知部314は、ユーザが運動促進アナウンスでアナウンスされた頭部運動に対応する頭部運動をしていないと判定する。運動促進アナウンスの後、所定の期間内に頭部運動が検知されなかった場合には、結果判定部3182は、アナウンス部3181に対して、再度、運動促進アナウンスを実行させることができる。結果判定部3182は、アナウンス部3181に対して、「起きて下さい」と、ユーザに覚醒を促すアナウンスを実行させてもよい。或いは、結果判定部3182は、バイブレーション部(不図示)に対して、バイブレーションの振動により、ユーザの覚醒度を向上させてもよい。
【0040】
間隔制御部3183は、運動促進アナウンスの後のユーザの挙動に応じて、アナウンス間隔の長さコントロールする。例えば間隔制御部3183は、運動促進アナウンスの後に頭部運動を検知したにも関わらず、ユーザの覚醒度が向上しなかった場合には、アナウンス間隔を短く設定する(例えば1分間)。他方で、間隔制御部3183は、運動促進アナウンスの後に頭部運動を検知した後、ユーザの覚醒度が向上した場合には、アナウンス間隔を変更しないことが好ましい。
【0041】
なお、間隔制御部3183は、ユーザの覚醒度が連続して高い場合には、アナウンス間隔を長く設定する(例えば15分間)ことも可能である。また、間隔制御部3183は、結果判定部3182が、運動促進アナウンスの後所定の期間内に頭部運動を検知しなかった場合に、運動促進アナウンスを繰り返し実行させる代わりに、アナウンス間隔を短く設定する構成でもよい。
【0042】
送信部3184は、判定部316、及び結果判定部3182の判定結果をユーザの位置情報と併せて随時サーバ40へと送信する。これによって、サーバ40ではユーザの多段階の覚醒度に応じた柔軟な処理を行うことができる。例えば、サーバ40においては、ユーザの覚醒度が著しく低い場合や、所定の期間連続して低い場合等には、オペレータが該当するユーザに電話する等の対応をすることができる。さらに送信部3184は、覚醒度と位置情報とを併せてサーバ40へ送信することで、サーバ40側では、ユーザの覚醒度が低下しやすい地点を特定することができる。この場合サーバ40は、ユーザの覚醒度が低下しやすい地点から所定距離以内に処理装置が入った際に、報知部318にユーザに注意喚起を行うアナウンスを実行させる構成でもよい。或いは、サーバ40は、バイブレーション部(不図示)により、ユーザに注意喚起してもよい。
【0043】
このように、報知部318は、ユーザに報知を行った後、ユーザの頭部運動に基づいて、ユーザの覚醒度が向上したか否かを判定することができる。これによって、より高精度にユーザの覚醒度を判定することができる。さらに報知によってユーザの覚醒度が向上しなかった場合には、報知部318はアナウンス間隔を短くすることができる。
【0044】
<サーバ40の構成>
次にサーバ40の構成について説明する。サーバ40の典型的な一例は、PC(Personal Computer)等の情報処理装置であるが、この他にネットワークに接続可能なノートPCや、スマートフォンなどの携帯電話、タブレット型端末のような電子機器等であってもよい。実施例のサーバ40は、例えば制御部や記憶部、通信部、表示部等を有している。
【0045】
サーバ40は、情報処理装置10から運転中のユーザの位置情報と、判定部316による判定結果(第1判定結果)、及び/又は報知部318による判定結果(第2判定結果)を受信し、記憶部に記憶することができる。さらにサーバ40では、第1判定結果、及び/又は第2判定結果において覚醒度が閾値以下であることが示される回数が他と比べて有意に多い地点(以下、「覚醒度低下地点」ともいう)に対に対応する位置情報を特定する。これによって、サーバ40は情報処理装置10と覚醒度低下地点との距離が、所定の距離以内に近づいた場合に、ユーザに対して覚醒を促すメッセージを送信することができる。
【0046】
さらにサーバ40は、経路案内を行う機能を有する構成でもよい。この場合、記憶部には、地図を描画するための地図画像や緯度経度の情報等の地図情報や、道路ネットワークデータ等が記憶されている。情報処理装置10はサーバ40に経路案内要求を送信する際に、例えば出発地点(または現在位置)と目的地との位置情報(緯度経度等)を送信する。サーバ40は、受信した位置情報に基づいて経路案内を行う際に、当該経路に特定した覚醒度低下地点が含まれる場合には、情報処理装置10に各精粗低下地点の位置情報を送信し、注意喚起を行うことができる。この場合にもサーバ40は、覚醒度低下地点と情報処理装置10の現在位置とが所定の距離以内になった場合に、当該情報処理装置10に対してユーザの覚醒を促すメッセージを送信することが好ましい。
【0047】
<動作>
次に、実施例における情報処理装置10の動作について説明する。図6は、実施例におけるアプリケーションの全体処理の一例を示すフローチャートである。
【0048】
まず、ユーザがドライブアプリを起動させると、判定部316がユーザの覚醒度を判定する(S100)。判定部316が覚醒度が閾値より低下していないと判定した場合(S100:NO)であって、前回のアナウンスからアナウンス間隔を経過している場合(S101:YES)には、報知部318が正常アナウンスを実施する(S102)。他方で、前回のアナウンスからアナウンス間隔を経過していない場合(S101:NO)には、判定部316は再度S100に戻って覚醒度の判定を行う。
【0049】
S100の処理において、判定部316がユーザの覚醒度が閾値より低下したと判定した場合(S100:YES)には、報知部318は運動促進アナウンスを実行する(S103)。
【0050】
運動促進アナウンスの後、所定の期間(図6の例では1分間)の間に、検知部314が頭部運動を検知しなかった場合(S104:NO)には、報知部318は、繰り返し運動促進アナウンスを実行する。他方で、検知部314が頭部運動を検知した場合(S104:YES)において、ユーザの覚醒度が向上しなかった場合(S105:NO)には、報知部318は、アナウンス間隔を1分間に変更する(S108)。そして、情報処理装置10は、前回の運動促進アナウンスからアナウンス間隔(設定された1分間)が経過するまで待機する(S109)。なお、このとき報知部318は、ユーザに対して、覚醒度が向上していない旨のアナウンスを行うことが好ましい。S109の実行後、情報処理装置10は、再度S100から処理を実行する。
【0051】
他方で、S105において、覚醒度が向上したと判定された場合には、報知部318はアナウンス間隔を例えば15分間に設定する(S106)。そして、情報処理装置10は、前回の運動促進アナウンスからアナウンス間隔(設定された15分間)が経過するまで待機する(S107)。S107の実行後、情報処理装置10は、再度S100から処理を実行する
【0052】
このように、情報処理装置10は、このS100からS109の処理をユーザが運転中に繰り返し実行する。なお、ユーザがドライブアプリを終了した場合や、運転を終了した場合には、情報処理装置10は、図6に示したいずれのステップを実行中でも、処理を終了する。
【0053】
以上、実施例によれば、ユーザの覚醒度が閾値より低下した場合にアナウンスを実行した後、頭部運動が行われるか否かを判定するため、より高精度でユーザの覚醒度を管理することができる。
【0054】
なお、実施例において、アイウエア30がメガネである場合について説明した。しかし、アイウエアはこれに限定されない。アイウエアは、眼に関連する装具であればよく、メガネ、サングラス、ゴーグル及びヘッドマウントディスプレイならびにこれらのフレームなどの顔面装着具又は頭部装着具であってよい。
【0055】
また、実施例において、アイウエア30が生体電極や6軸センサを設けることを説明したが、上述したように、視線移動や瞬目に関する情報や頭部運動に関する情報を画像処理を用いて取得可能であれば、生体電極や6軸センサは設けられなくてもよい。この場合、検知部314は、画像処理によって取得した頭部運動に関する情報に基づいて、ユーザの頭部運動を検知することができる。
【0056】
なお、実施例において、アイウエア30に搭載された6軸センサ206からのセンサ信号を用いて説明したが、情報処理装置10に搭載された6軸センサ111からのセンサ信号を用いても、実施例において説明したアプリケーションを実行することが可能である。すなわち、6軸センサは頭部だけではなく、人体のいずれかの位置に装着されていればよい。
【0057】
また、実施例において、生体情報として、瞬目や視線移動、体動を用いて説明したが、これら以外にも、心拍、脈拍等の生体情報を用いてもよい。また、心理パラメータとして、エナジー、フォーカス、カームを用いて説明したが、その他の心理状態をパラメータとして用いてもよい。
【0058】
以上、本発明について実施例を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施例に記載の範囲には限定されない。上記実施例に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0059】
10 情報処理装置
20 処理装置
30 アイウエア
40 サーバ
302 記憶部
304 通信部
306 制御部
312 取得部
314 検知部
316 判定部
318 報知部
【0060】
[付記1]
サーバが実行する情報処理方法であって、
運転中のユーザの位置情報と、前記ユーザの覚醒度を判定する第1の判定結果及び/又は前記ユーザが覚醒したか否かを判定する第2の判定結果と、を処理装置から受信し、
前記ユーザの位置情報と、前記第1の判定の結果及び/又は前記第2の判定の結果とに基づいて、統計的に有意差のある覚醒度が閾値以下になる地点を特定すること、
を実行する情報処理方法。
【0061】
[付記2]
経路検索要求を処理装置から受信し、
前記経路に前記地点が含まれている場合には、前記地点の位置情報を前記処理装置に送信する、付記1に記載の情報処理方法。
【0062】
[付記3]
処理装置の現在位置情報を定期的に受信し、
前記処理装置が前記地点から所定距離以内に入った場合、前記処理装置にユーザの覚醒を促すメッセージを送信する、付記1又は2に記載の情報処理方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6