特許第6932020号(P6932020)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6932020
(24)【登録日】2021年8月19日
(45)【発行日】2021年9月8日
(54)【発明の名称】レーザ加工方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/384 20140101AFI20210826BHJP
   B23K 26/08 20140101ALI20210826BHJP
   B23K 26/16 20060101ALI20210826BHJP
【FI】
   B23K26/384
   B23K26/08 Z
   B23K26/16
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-71464(P2017-71464)
(22)【出願日】2017年3月31日
(65)【公開番号】特開2017-185549(P2017-185549A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2017年5月10日
【審判番号】不服2020-2838(P2020-2838/J1)
【審判請求日】2020年3月2日
(31)【優先権主張番号】10 2016 105 985.4
(32)【優先日】2016年4月1日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506186673
【氏名又は名称】ヴィポテック ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100093997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀佳
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス リュベル
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ヘルマン
(72)【発明者】
【氏名】アレキサンダー シュルスキー
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ゴットフリードセン
【合議体】
【審判長】 刈間 宏信
【審判官】 河端 賢
【審判官】 田々井 正吾
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102008015403(DE,A1)
【文献】 特表2015−512786(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第10118291(DE,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102005019757(DE,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0033320(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00-26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
秤量技術的な応用のためのモノリシック構造部(B)のレーザ光線加工方法であって、前記モノリシック構造部(B)は、第1の方向(Z)に沿って伸張し、かつ、外側から前記構造部(B)に向けられるレーザ光線を、材料除去加工のために、前記モノリシック構造部(B)の凹部(A)の内側の継手として機能する薄い箇所の上に存在する多数の目標点(P1、P2…)に向ける方法であって、以下の工程を含み、すなわち、
a)秤量セルの前記モノリシック構造部(B)の前記凹部(A)を形成するための加工ヘッド(K)を、Z方向で、前記モノリシック構造部(B)中で伸張する前記凹部(A)中に挿入する工程と、
b)レーザ光線(L')を、前記加工ヘッド(K)のある部分中に導入する工程と、
c)前記レーザ光線(L')を、方向転換手段(U)により、前記第1の方向(Z)から反れた方向(X)に方向転換させる工程であって、前記反れた方向で前記方向転換されたレーザ光線(L)が前記目標点(P1、P2…)に到達する、工程とを含み、
d)前記方向転換されたレーザ光線(L)で、前記多数の目標点(P1、P2…)を加工するために、前記加工ヘッド(K)は、Z方向に前進及び/又はZ方向で延在する旋回軸の周りで旋回し、
e)前記レーザ光線(L')を生成するレーザ源が、パルス長が1ナノ秒未満の領域で又は周波数がキロヘルツ又はメガヘルツ領域中にある超短波パルス方法(UKP)で作動される
方法。
【請求項2】
前記方向転換手段(U)又は前記加工ヘッド(K)と、前記目標点(P1、P2…)との間の距離は、5mm未満、好適には2mm未満、最も好適には0.5mm未満であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レーザ光線(L)は、前記多数の目標点(P1、P2…)に沿って導かれ、前記目標点は、点、線、面又は立体の形状の加工ゾーンを形成し、これにより、前記加工ゾーンは、前記材料除去加工がなされることを特徴とする上記請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
好ましくは位置固定の前記レーザ源が、原ビームとしての前記レーザ光線(L')を生成し、前記レーザ光線は前記方向転換手段(U)に到達する前に、レーザ光線(L)を設定するためとりわけ合焦させるために、位置固定である又は前記加工ヘッド(K)と共に可動である光学ユニット(P)を貫通することを特徴とする上記請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記レーザ光線(L)は、前記多数の目標点(P1、P2…)から選択された目標点を加工するが、これは、前記方向転換手段(U)が前記モノリシック構造部(B)に対して相対的に不動である場合に、前記光学ユニット(P)が前記原ビーム(L')を、前記方向転換手段(U)の異なる領域に向け、その結果、方向転換されたレーザ光線(L)が、選択された様々な目標点をそれぞれ加工することにより行われることを特徴とする上記請求項4に記載の方法。
【請求項6】
円軌道上にある前記多数の目標点(P1、P2…)を加工するために、前記レーザ光線を方向転換する前記方向転換手段(U)の部品が、円のほぼ中央にあるように、前記加工ヘッド(K)が位置付けられることを特徴とする上記請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
加工時に前記目標点(P1、P2…)中への熱注入を小さく保つために、前記レーザ源が、超短波パルス方法(UKP)で作動されることを特徴とする上記請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記方向転換手段(U)上での材料堆積物を回避するために、前記加工時に発生する除去材料は、前記加工ヘッド(K)において又は前記加工ヘッド(K)中に設けられている、好ましくはZ方向で見れば前記方向転換手段(U)の高さに合流する吸い出し流路(C)へ排出されることを特徴とする上記請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記材料除去加工は、秤量セルの一部分として、荷重実験で計測値を出力するために、前記モノリシック構造部(B)に外部力が掛けられて秤量セルが作動される間に行われ、前記材料除去加工は、前記外部力によって秤量セルの力センサで計測された値に応じて当該計測された値が期待されるべき結果となるように行われることを特徴とする上記請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
それぞれ請求項1の工程b)〜d)を含む複数回の加工の経過は、前記加工ヘッド(K)が連続的に前記凹部(A)中に留まっている間に行われ、前記個々の経過中又はその合間に、前記計測された値を、続く加工の経過の加工パラメータを設定するために評価することを特徴とする上記請求項9に記載の方法。
【請求項11】
秤量セルのモノリシック構造部(B)の凹部(A)を形成するための加工ヘッド(K)であって、その中に第1の方向(Z)のレーザ光線(L')が導入可能である前記加工ヘッド(K)と、
前記加工ヘッド(K)中の前記レーザ光線(L')を前記第1の方向(Z)から反れた方向(X)へと方向転換し、これにより前記方向転換されたレーザ光線(L)を、材料除去加工のために、前記モノリシック構造部(B)の前記凹部(A)の内側に存在する前記目標点(P1、P2…)に向ける方向転換手段(U)と、
超短波パルス方法(UKP)で作動され、前記レーザ光線(L')を生成するレーザ源と、
を具備し、
前記加工ヘッド(K)は、前記方向転換手段(U)と共に、方向(Z)に前進することができ、及び/又は、Z方向で延在する旋回軸の周りで旋回可能であり、かつ、
前記材料除去加工は、秤量セルの一部分として、計測値を出力するために、前記モノリシック構造部(B)が作動される間に行われ、前記材料除去加工は、計測された値に応じて行われる
ことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項12】
前記加工ヘッド(K)は、流路形状の吸い出し手段(C)を具備し、前記吸い出し手段を介して、前記目標点(P1、P2…)の加工時に生じた除去材料が排出されうることを特徴とする上記請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記方向転換されたレーザ光線(L)は、前記加工ヘッド(K)の側方の開口(O)から出て、前記加工ヘッド(K)は、少なくとも前記開口(O)の旋回する領域中で円筒形状であることを特徴とする請求項11又は12に記載の装置。
【請求項14】
前記レーザ源が、パルス長が1ナノ秒未満の領域で又は周波数がキロヘルツ又はメガヘルツ領域中にある超短波パルス方法(UKP)で作動されることを特徴とする請求項11から13のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ秤量技術的な応用のために設けられたモノリシック構造部の材料を除去するレーザ加工のための方法及び装置に関する。この種のモノリシック構造部(「モノブロック」とも称される)は、完成後にしばしば1つ又は複数のレバー、連結棒又は平行ガイド部を含み、これらが、モノリシック構造部中で、切り離された(切削、又は磨滅など)もので、継手として機能する材料の薄い箇所を介してのみ、モノブロックのさらなる領域と連結する。この際、サブミリメートルの加工精度が要求され、とりわけ継手として機能する薄い箇所は、高精度で加工されねばならない。
【背景技術】
【0002】
加工されるべきモノブロックは、この際、3つの空間方向に伸張していて、このうち、幅を以下ではZ方向と称する。薄い箇所は、例えばZ方向で延在する互いに平行である2つの円筒形状の凹部乃至孔により形成され、これらは、これらの外被面間で、わずかな材料のブリッジつまり薄い箇所のみを有する。Z方向を横断する方向でのこの種の薄い箇所の厚さも、Z方向でのその長さも、この薄い箇所の剛性を決定し、これは、個々のレバーにより伝達され、かつ最終的に測定されるべき力に著しく影響を与える。
【0003】
特許文献1からは、力測定体の製造方法が公知であるが、この文献では、薄い箇所を介して結合されるレバーの偏向挙動に影響を与えるために、レーザを用いて、残っている薄い箇所の近辺で材料を除去する。
【0004】
特許文献2からは、モノリシック秤量システムが公知であるが、このシステムでは、レーザを用いてレバーアーム中にスリット開口を入れ、これは、例えばミラーを介して行われる。
【0005】
例えばアルミニウム製のモノリシック構造部のレーザ加工は、従来の機械加工方法(例えば、穿孔、切削)を用いた場合とは異なる加工表面を生成する。この種の機械加工方法は、通常平滑で光沢のある輝く加工表面を生成する。レーザ加工では、多数の隣接する点において材料が除去され、これにより、ある程度の粗度を有する、より輝かないサブ構造が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許公開公報10 2013 108 097A1号
【特許文献2】独国特許10 2013 103 791 B4号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
モノリシック構造部の高精度の材料除去加工のためにレーザを利用することは、レーザがモノリシック構造部の外側で、直接目標点に向けられる場合には、比較的単純であるが、これらの目標点が、材料除去のためにレーザにより到達可能でなければならない。しかし、目標点は、しばしばモノリシック構造部の内側にあり、外側から入射するレーザは、これが直接加工点に入射すべき場合には、これは、全く入射可能ではない又は非常に不都合な角度でのみ入射可能である。高反射は、この場合、除去作用を著しく劣化させる。例えば、平行ガイド部構造部の内側又は内部にある継手がこれに該当する。従来の意味合いでのレーザ加工は、この場合もはや可能ではないが、この理由は、レーザ光線は可能な限り垂直に加工されるべき面に当たるべきであり、モノリシック構造部の幾何学形状がこれを許さないからである。
【0008】
したがって、本発明の課題は、モノリシック構造部の内側のレーザが届きにくい箇所で、材料を除去するレーザ加工を可能にする方法及び装置を提供することである。この課題は、請求項1に記載の方法により、及び、請求項12に記載の装置により達成される。有利であるさらなる実施形態は、従属請求項から明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、加工されるべきモノリシック構造部中に外側から向けられるレーザ光線を、ブロックの内部で適切に方向転換し、前進/旋回させ、これにより、レーザ光線を、レーザにより材料を除去して加工されるべき多数の目標点に供給するとの認識に基づいている。本発明による方法は、請求項1に記載の加工工程a)〜d)を含む。一方では、レーザ光線をモノリシック構造部の内側で適切に方向転換させ、他方ではこの光線をZ方向で進め及び/又はZ方向で延在する旋回軸の周りで旋回させることを特徴とし、これにより、この移動の間に決まった多数の目標点に到達し、そこで材料を除去する。レーザ光線の規定の前進乃至旋回により、とりわけ、直線又は円曲線形状で配置されている加工点に、容易に到達しそれを加工しうる。当然、双方の移動の時間的な重複も可能である。モノリシック構造部の内側でのレーザ光線の方向転換と、その前進及び/又は旋回とを組み合わせることにより、より長い加工道程(例えば全ブロック幅)で、及び、ブロックの内側での非常に届きにくい箇所(目標点)でも高精度の材料除去加工が可能となる。この方法は、少なくとも以下の工程、すなわち、
a)加工ッドを、Z方向で、構造部中で伸張する凹部中に挿入する工程と、
b)レーザ光線を、加工ッドのある部分中に導入する工程と、
c)レーザ光線を、方向転換手段により、第1の方向から反れた方向に方向転換させる工程であって、この反れ方向で方向転換されたレーザ光線が目標点(P、P…)に到達する、工程と
を含み、
d)方向転換されたレーザ光線で、多数の目標点(P、P…)を加工するために、加工ッドは、Z方向に前進及び/又はZ方向で延在する旋回軸の周りで旋回する。
【0010】
加工ッドは、合目的には、Z方向に垂直の方向でも、すなわちX又はY方向でも前進することができ、かつ、この軸の周りでの旋回も、この加工方法の実施を容易にすることができると理解される。
【0011】
加工ッド乃至これに保持される方向転換手段の移動は、この際、交互に、連続的に又は一時的に行われうる。したがって、所望の材料除去が完成するまで、Z軸の周りでの所定の旋回角度での加工ッドの前進旋回と後退旋回を複数回直接連続して行うことにより、例えば切り落としを行うことができる。モノリシック構造部の縦方向加工は、加工ッドをZ方向で進めることにより行われ、これは、可能な限り均等な、堆積物のない加工表面を得るとの目的のために、可能な限り所望の全加工幅(例えば、モノリシック構造部の全幅)にわたって、一回で行われる。
【0012】
2つの円形の材料凹部の間に残る薄い箇所の製造乃至加工は、例えば、加工ッドが、それぞれ、Z軸周りを所定の旋回角度で、薄い箇所の全Z長さに沿って動き、円形の凹部の別の領域を生成又は加工するために、次のZ方向の行程前に旋回角度がわずかに変わることにより行われる。逆に、加工は、所定の潜り深さ(Z位置)で、丸みを生成するのに必要な全旋回角度を、加工ッドが回転することにより動き始め、その後ヘッドが次のZ位置に進み、そこで再び必要な全旋回角度のために動き始めることによっても行われうる。当然、旋回及び前進移動の重複もいつでも可能である。加工ッドの前進又は旋回移動と共に、走査(後で詳述)を重複させることも可能であり、その結果、加工ッドがそのZ位置又はその回転角度を変える前又は変える間に、加工ッドの各Z位置で及び選択された各回転角度で、走査を行うことができる。
【0013】
後方にあり、場合によってはモノブロックの外側に留まる加工ッドの端部で、レーザ光線は、好ましくは加工ッドのZ方向で延在する縦軸に沿って、加工ッド中に向けられる。加工のためにモノリシック構造部中に押し入れられる加工ッドの前端領域中で、レーザ光線は、方向転換手段に当たり、この方向転換手段が、レーザ光線をZ方向から好ましくは90°方向転換させ、方向転換されたレーザ光線が、Z方向にほぼ垂直の方向の側方で加工ッドから出て、加工されるべき目標点に到達する。このために、レーザは、加工ッドの側方の開口を貫通して、外側に導かれうる。あるいは、加工ッドは、前端面の端部で開かれていることも可能で、方向転換手段が、端面端部を越えてZ方向で少し突出し、その結果、方向転換されたレーザ光線は、端面端部の向こう側で、側方に屈折することもできる。前方でヘッドから突出する方向転換手段とは異なり、加工ッドの側方の開口を通るレーザ光線の屈折は、この開口が、貫通するレーザ光線よりもほんの少しだけ大きくなければならず、その結果、汚れ又は除去材料が加工ッドの内側に不都合にも侵入することが回避される又は防がれるという利点がある。後でより詳細に説明する走査においてさえ、側方の開口の大きさは、例えば1mm2で十分である。逆に、前方で開いた加工ッドは、単純に製造可能であり、とりわけ除去材料の単純な吸い取りが可能であるが、この点はまだ後で分かるであろう。
【0014】
加工時に、ブロックから解き放たれる材料の特に良好な吸い出しのためには、いずれにせよ、方向転換手段又は加工ッドの外壁を、可能な限り加工されるべき目標点に近づけることが目的に合っている。好ましくは、方向転換手段又は加工ッドの外側との間の距離は、このために5mm未満であり、さらに好適には2mm未満である。非常に好適には、この距離は0.5mmより小さい。加工ッド中に入れられる吸い出しは、この距離を小さくすることにより、特にそれぞれ加工されるべき目標点の近くで行われ、これに従って効果的に吸い出すことができる。Z方向の周囲で丸くされた凹部(例えば、薄い箇所の側方)の生成又は加工のためには、加工ッドをレーザ出口の領域中で同様に丸くする、例えば円筒形状で形成することが適切である。このようにして、加工ッドは、モノブロック中の丸みに近づけることができ、これによって良好な吸い出し作用のための薄い環状間隙部分を形成する。これにより、加工面上とりわけ継手の薄い箇所上への材料の堆積を良好に回避することができる。
【0015】
さらに加工点の近くで吸い出す場合には、除去材料の排出のために必要な空気容積は小さい。モノブロックの作動時にレーザ加工が行われると(これについての詳細は後述)、空気容積がより小さいことにより、計測値表示への悪影響もより小さくなり、これにより加工パラメータのより正確な修正が可能となる。
【0016】
本発明によれば、この方法を用いて多数の目標点が加工されるはずである。これは、空間中で個々の点(0次元の)のみを形成する点の群でありえ、直線又は曲線(一次元)、平面又は屈曲面(二次元)及び任意の特徴的な立体(三次元)でもありえる。前もって決められた多数の目標点のうちの少なくともいくつかの目標点は、この際、順々にレーザに当てられるが、これは、加工ッドがZ方向で進み、又はZ軸の周りで旋回することにより行われる。このようにして、例えば薄い箇所をZ方向の所定の長さに切断するために、表面の点又は領域が、後加工されることができ、又は三次元の凹部が製造されうる。さらに、材料は、線に沿って又はノッチから除去されることができ、このノッチは、Z軸周りでのレーザの旋回移動とZ方向へ前進の重複時に、ほぼ自由に選択可能な空間形状を有しうる。
【0017】
好適には、本発明による方法は、継手構造の加工用に採用可能であり、これにより、とりわけ継手の薄い箇所を作り上げる又は加工することが可能になる。この種の継手は、この際に、レバー、軸受、連結棒又は平行ガイド部の部分でありえ、μm領域での高精度の加工もありえる。同様に、この方法は、例えば、レバー、切り落とし又はこれ以外の凹部を生成するために、又はさらに加工するために、モノリシック構造部のこれ以外の領域(これらの領域は、μmレベルでの正確な材料除去は必要ではないが、しかし、古典的な機械加工方法ではブロックの外側からは届かない領域、又は追加的に設けられた側方の凹部によってのみ届く領域である)の加工のためにも用いられることができる。
【0018】
この方法の有利なある実施形態では、レーザは、まず原ビームとして、位置固定であり又は加工ッドと連結可能であるレーザ源により生成されるように設けられている。レーザ源から生成された原ビーム(L’)は、方向転換手段に到達する前に、本発明によれば、加工用に設けられるレーザ光線(L)を設定するために、位置固定である又は加工ッドと共に可動である光学ユニットを貫通する。「設定」とは、この場合とりわけ合焦であると理解されるべきで、この合焦は、レーザ光線が、方向転換手段を考慮して、加工されるべき目標点の各場所で、好適なエネルギー密度を有するように集束するように行われる。
【0019】
光学ユニットは、当業者にはそれ自体公知であるレーザ技術の光学部材(レンズ、フィルター、絞りなど)の配置でありえる。これらの個々の又は全ての部材は、必要な場合、設定機構(例えば、圧電部材)を介して動かされ又は変位させられ、このために、この設定機構は、適切な制御信号を上位の制御ユニットから得る、又はエンコーダを介して、この制御ユニットに制御信号を出力することが可能である。本発明による加工の枠内では、Z方向へ前進する間及び/又はZ軸周りで旋回する間に、レーザ光線の設定を恒常的に又は飛躍的に変更することが必要でありえるが、これは、とりわけ、前進/旋回時に加工ッドとそれぞれ対象とする目標点との間の距離が変わる際に必要となる。上述の光学部材を用いると、この設定が可能である。例えばレーザ光線の合焦は、方向転換手段とレーザ源との間の距離の変化により合わせられ、これは、基本的に作動中にも可能である(「焦点追跡」)。
【0020】
この方法のさらなる有利な実施形態によれば、モノブロックに対して方向転換手段が相対的に不動である場合に、多数の目標点から選択された目標点を加工するように設けられている。このために、光学ユニットの部材の駆動が、レーザ源から入って来る原ビームL’を、それぞれ方向転換手段の異なる領域に向け、その結果、方向転換された光線Lが、それぞれ選択された様々な目標点に到達し、加工をするように行われる(「走査」)。例えば、選択された目標点は、1mmの面積上に配置されていて、これは走査のみによって加工可能で、このために方向転換手段を動かすには及ばない。好ましくは、レーザ光線は常にZ方向にあるが、わずかにZ方向に対して垂直にX及び/又はY方向にシフトするように配列されるように、レーザ光線が走査時に光学ユニットを用いて配列される。これにより、方向転換手段の様々な領域が、方向転換の対象となり、反射されたレーザ光も、互いにほぼ平行に延在する。走査時には、例えば1mmの面積が走査されうる。
【0021】
この方法の利点は、選択された所定の目標点が加工可能でありうるために、方向転換手段が動かされなくてよい、乃至一度だけ位置付けられればよい点にある。これ以外の方法で加工ッドをZ方向で前に押し出す場合よりも、走査を用いれば、選択された目標点が、明らかにより迅速に加工されうる。この際、各個々の目標点について、必然的に許容誤差を伴うような方向転換手段の新たな位置付けを行わなくて良いので、有利である。このようにして互いに隣接し合う面は、走査のみによって加工可能であるが、これは、加工ッドが、第1の走査の終了後、次の走査の開始前に、新たな加工位置に動かされる/旋回させられ、再び方向転換手段が静止した状態で、次の走査が開始することにより行われる。
【0022】
しかしながら、この方法では、個々の走査される領域間で、汚れた移行部を備えた結合部が生じることが明らかになっている。したがって、この方法の有利な実施形態によれば、方向転換手段のこの前進及び/又は旋回は、走査方法と重複するように設けられていて、レーザ光線は、少なくとも一時的に、光学ユニットによって方向転換手段の異なる領域に向けられ、また方向転換手段の前進及び/又は旋回によって様々な目標点に向けられる。これにより、走査時にのみ生じる結合部が回避されるので有利であり、結果として、連続した加工面がより長い押し出し路にわたってZ方向又はZ軸周りに得られる。
【0023】
本発明のさらなる有利な実施形態によれば、レーザは、超短波パルス方法(UKP方法)で作動される。この際、パルス長は、1ナノ秒未満の領域で選択され、繰り返し率がキロヘルツ〜メガヘルツ領域で選択される。この種の短いレーザパルスの利点は、目標点中乃至その周辺に、熱が入らない又はわずかしか入らないという点にあり、したがって加工ゾーンはあまり熱せられない。特に短いレーザパルスにより、レーザアブレーション(レーザ蒸発とも称される)が引き起こされ、この際、高い出力密度でもたらされたレーザが、目標点領域中で、高速加熱及びプラズマ形成をもたらす。プラズマ閾値をこのように上回ることは、プラズマが生じないレーザ脱離に対して区別するために考慮される。レーザのタイプ及び強度に応じて、目標点上に生じるレーザパルスで、材料は、例えば2μmの深さまで除去可能である。この際、レーザ光線は、目標点における断面が例えば10μmでありうる。
【0024】
加工において生じる除去材料は、本発明の有利な実施形態によれば、加工ッドにおいて又はこの中に配置されている吸い出し流路により排出される。この流路は、(例えば管状の)加工ッドの外側に設けることができるが、設置場所の理由から、好ましくはヘッドの内側に導かれる。吸い込み開口は、加工されるべき各目標点の可能な限り近くにある場合、目的に合っている。加工ッドの側方開口を通って側方で偏向して外に出るレーザ光線は、したがって、本発明による方法では、吸い出し流路が、加工ッドの内側で、この側方開口の可能な限り近くで合流されるように設けられている。より詳細には説明しない吸い出し手段(吸い込みタービンなど)により、吸い出し流路は、側方開口の領域で、負圧を発生させ、これを用いて目標点において生じる除去材料を側方開口を通って加工ッドの内側へと、かつさらにその吸い出し流路へと吸い込む。同時に、方向転換手段に、除去材料が誤って当たる又は堆積されるのを回避するために、方向転換手段と吸い出し流路の吸い込み開口との間の距離は、十分大きく選択されるように設けられているが、この理由は、さもなければ、方向転換手段の方向転換特性が悪影響を受けるからである。
【0025】
吸い出し流路は、環状流路としても形成可能であり、その外側は、好ましくは円筒形状の加工ッドの内壁により形成される。環状流路の内側は、円筒形状の方向転換手段により形成可能である。可能な限り大きな吸い込み開口乃至可能な限り大きな流路断面により、有利な吸い出し作用と共に、処理量体積を大きくすることができる。
【0026】
本発明による方法は、モノリシック構造部内部で深く配置されている目標点を加工するために適しているので有利である。モノリシック構造部内部のZ方向での各深さに到達することができるように、本発明によれば、加工ッドのZ方向の長さが、ブロックの全幅又は少なくとも半分幅に相当するように設けられている。したがって、加工ッドは、ブロック内の各Z位置に到達する、場合によっては、ブロックのZ方向で対向する両側から到達する。特に好適には、加工は、複数の本発明による加工ヘッドで同時に行うこともでき、これらを用いて、同時に様々な又は同じ薄い箇所について、例えばZ方向に対して横断方向で対向する2つの側から加工を行うこともできる。これにより、全体として加工時間が短縮されうる。加工ッドがブロック中の十分深い位置に到達すると、薄い箇所は、これ以外の場合には必要になると考えられるモノブロックの付け替えなしに、又は加工ッドを移動させるような保持部なしに、完全にブロック中で切り離され乃至高精度で加工されうる。
【0027】
この方法のさらなる有利な実施形態では、秤量セルが作動準備状態にある、乃至作動される間に、この秤量セルのモノリシック構造部の加工が行われる。このために、このモノリシック構造部には外部力が掛けられ、この外部力はとりわけこの構造部のロードセルに作用しうる。構造部中に配置されている、又はこの中で切り離されるレバーシステムを介して、力は、上昇し又は下降し、かつ力センサに供給され、この力センサが、力に応じて計測値を出力する(好適な電磁力補償方法以外に、これとは異なる、当業者にはよく知られた秤量原理(例えば発振側又はひずみゲージ)も考慮の対象になる)。本発明による加工は、この場合、実際の計測結果を期待されるべき結果に合わせるために、計測値に応じて、所定の多数の加工されるべき目標点が導き出されるように行われうる。したがって、例えば、力が様々に(とりわけ偏心位置で)ロードセル中に入る隅角部荷重実験では、それぞれ生じた計測値から、モノブロックの所定のゾーン中、とりわけ継手の薄い箇所で、まだ必要となる材料除去を推論しうる。計測値を即座に評価する制御ユニットは、レーザ加工用に制御信号を生成することができ、この加工は、生成された計測値の検出及び評価直後に又はその途中でさえも行うことができる。この際、押し入れられた加工ッドは、モノブロックの内側に留まり、生成された各計測値乃至制御信号に従って決められる目標点を加工する。とりわけ、まず個々の計測を実施して、これを評価し、これに続いて初めて加工ッドを加工のためにモノブロック中に挿入し乃至加工ッドを次の計測の前に再びモノブロックから抜き出すことは必要ではない。これとは異なり、力センサは、作動中であり続け、その値から、実時間で即座にまだ必要な直後に実施しうるレーザ加工を推論することができる。したがって、加工ッドは、連続する複数の又は継続して行われる1つの計測時に、モノブロック中に留まることができる。これにより、加工時間が著しく節約される。
【0028】
さらにブロック中に留まる加工ッドでは、加工精度も向上するが、この理由は、これ以外の場合では、一方では計測値検出と、他方では加工との間で必要となりうるモノブロックの取り替え過程を省くことができるからである。この種の位置付け過程及びクランプ締め付け過程では満足するようには達成可能ではない可能性がある位置付けの正確性は、本発明による方法では重要ではないが、この理由は、この場合、モノブロックは、全計測及び加工方法の間(少なくとも選択された加工領域について)不変で位置固定され続けうるからである。
【0029】
上述の計測に関連して、当然、同時に複数の加工ヘッドをブロック中に挿入して、同時に複数の場所の材料除去を行いうることが可能である。この場合、ほぼ同時に薄い箇所に沿って両側で材料除去をするために、例えば2つの加工ヘッドをモノブロックに対して共にZ方向で相対的に進ませることも考えられる。
【0030】
一般的には、1つ又は複数の加工ヘッドをモノリシック構造部に対して相対移動させるのは、1つ又は複数軸で可動である保持部を用いて行われ、この保持部は、加工ッドを収容し、例えば、ロボットが、空間での様々な旋回方向又は前進方向での保持部の移動、したがって加工ッドの移動を生成する。ロボットは、上位の制御ユニットにより駆動され、この制御ユニットが、加工ッドの位置付け用及び/又はレーザの合焦及び配列用のパラメータを、演算ユニットから得る、又は、例えばモノリシック構造部を用いて生成された計測値に応じて自身で生成する。
【0031】
上述の方法を実施するための本発明による装置は、
・加工ッドであって、その中に第1の方向のレーザ光線が導入可能である加工ヘッドと、
・加工ッド中のレーザ光線を、上述の方向から反れた方向へと方向転換し、これにより方向転換されたレーザ光線を側方で目標点(P、P…)に向ける、方向転換手段とを具備し、
・加工ッドは、方向転換手段と共に、方向Zに前進することができ、及び/又は、Z方向で延在する旋回軸の周りで旋回可能である。
【0032】
加工ッドは、本発明の特に好適な実施形態によれば、管状に形成可能である。作動時にモノリシック構造部中に挿入される先端を介して、方向転換手段は、加工ッド中に押し入れられることができ、適切な固定手段を介して、例えば接着、クランプ締め、解除可能なスナップ留め又はねじ込みにより、加工ッドに固定的に配置されることができる。方向転換手段は、例えば先が傾斜した正面を備えた円筒体を具備することができ、これを、下側からストッパにまでぴったり合うように管状の加工ッド中に押し入れることができる。例えば、円筒及び加工ッドのZ軸と、45°の角度を採る傾斜を持った正面は、この場合、ほぼZ方向で入ってきたレーザ光線を90°側方に方向転換するために機能する。この方向転換手段は、とりわけレーザ光線を方向転換する領域は、光波を方向転換するために、ガラス又はこれ以外の当業者には公知の適切な材料からなりうる。方向転換手段は、必要に応じて交換するために、加工ッドと解除可能に連結可能でありえる。採用されたレーザ又は所望の方向転換角度に応じて、相応の所望の特性を備えた方向転換手段が採用されうる。
【0033】
好ましくは、本発明による装置は、レーザ加工時に生じた除去材料を排出するための吸い出し手段を含む。これは、加工ッドのZ軸を周回する1つの環状流路、複数の個々の流路、又は、確実に材料の排出を特に良好に行うこれ以外の手段でありえる。あるいは、又は補足的に、吸い出し手段は、加工されるべき目標点又はその周囲に、気体流(とりわけ空気)を当て、取り外された材料を、所定の方向に目標を定めて又は未定義の方向へと飛ばす手段であり、これにより、一方では加工箇所も、他方では方向転換手段も、除去材料から解放される、乃至これがないようにする。
【0034】
レーザ源から生成された生レーザ光線L’は、直接光学ユニットに向けられることができ、これにより、この光学ユニットを用いて、このレーザ光線L’を方向転換前に配列させる、又は合焦させる。あるいは、生レーザ光線L’を、レーザ源から光ファイバケーブルを用いて光学ユニットに導くことも考えられる。これにより、場合によっては、構造を容易にすることもでき、レーザ源を加工ッドからさらに遠ざけることも可能になる。
【0035】
さらに、方向転換手段を、加工ッドに対して相対的に旋回可能にすることも可能で、その結果、加工ヘッドをZ方向でのみ異なるように位置付けることもできると考えることができる。これにより、この旋回は、好ましくはZ軸の周りで行われる。代替として、又はこれに補足して、旋回はZ方向に対して垂直である軸(X又はY)の周りで行われることもでき、その結果、生レーザ光線L’と方向転換されたレーザ光線Lとの間の角度は変わる。これは、存在しうる吸い出し流路の接続を単純化する。同時に回転可能な方向転換手段と、これに関して回転不能な加工ッドとの間で存在する環状間隙を、吸い出し流路として利用することも可能である。
【0036】
本発明のさらなる有利な実施形態では、方向転換手段が、互いに角度を成す複数の方向転換領域を有するように設けられていて、これらの方向転換領域が、生じたレーザ光線を相応に異なるように曲げる。例えばZ軸周りに形成された角錐形状のミラーであって、その個々の側面がZ軸に対して例えば45°傾斜しているものが考えられうる。角錐の頂点は、この場合、加工ッドの仮想中央軸上にあり、レーザ源の方向を向く。(例えば、上述の光学ユニットを介した)レーザ光線が、それぞれ角錐の異なる側面に連続的に配列されることにより、側方に方向転換された各レーザ光線が、加工ヘッドの異なる周囲位置で、加工ヘッドから出て導かれ、これについては、方向転換手段(角錐)又は加工ッドがZ軸周りで旋回するには及ばない。例えば上述の走査方法を介して、レーザは、角錐の様々な方向転換面乃至鏡面上に向けられることができ、これが、迅速に起こりうる。角錐を取り囲む加工ッドの壁部中で、各鏡面に割り当てられた周囲側での凹部により、複数の側が加工されうる。
【0037】
補足的に又は代替的に、方向転換手段は、少なくとも互いに傾斜する2つの鏡面を有するように作られることもでき、これらの鏡面が、レーザ光線をZ方向に関して異なる角度で屈折させ、例えば一度95°及び一度85°で曲げる。ここでも、レーザ光線の適切な位置付けのみにより、各鏡面で、異なる角度で側方で加工ッドから出るレーザが生成されうる。したがって、加工ッド乃至方向転換手段がこのためにZ方向に前進するには及ばずとも、異なるZ位置で目標点に到達されうる。この点によっても、加工を単純化しうる、乃至短くしうる。当然、方向転換手段の上述の実施形態の変形例も組み合わせうる。
【0038】
除去材料の排出を改良するために、本発明の有利な実施形態では、加工ッド中に目標を定めた空気流が設けられる。したがってレーザ出口開口の付近での吸い出しに加えて、吸気を入れることができ、この吸気は、加工ッドの後方端から加工ヘッドの内側へ、方向転換手段にまで、そして、そこから出口開口の方向へと導かれる。この流動状況は、この際、方向転換手段(例えば、ミラー)に確実に流動が当てられるように選択可能であり、これにより、ある種のエアクッションを形成することにより、方向転換手段に堆積物が付かないようにし、場合によっては冷却もすることができる。しかしながら、吸気は、吸い出しに対向し外側からの加工ッド中への除去材料の所望の流入を悪化させる又はこれを完全に防ぐほど強く設定されてはならない。
【0039】
カメラシステムを用いて、レーザ加工装置を較正することができる。このために、加工点は、初めのテストレーザパルスに従って、除去材料及びクレータ形状に関して視覚的に検査されうる。除去材料の形状及び/又は量乃至深さが、満足できる程度でなければ、光学ユニットの設定を介して、及び/又は加工点に対して相対的にX、Y又はZ方向で加工ッドの位置を修正することを介して、カメラがテスト点について満足の行く加工結果を示すまで、新たに合焦可能である。
【0040】
加工ッドは、少なくとも部分的に加圧焼結方法で製造され、これにより追加的に所望の生産幾何学形状に関する自由度が生じる。
【0041】
以下に、本発明の実施形態を、例示的な図に基づいてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】加工ヘッドが挿入されたモノブロックの透視図である。
図2】モノブロックをはめ込んだレーザ加工機械の図である。
図3】加工ッドの単純化した拡大図である。
図4】加工ッドの単純化した拡大図である。
図5】モノブロック中の加工ッドの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、その前面に、モノリシック構造部Bを示し、これは、なかんずく幅方向Zで伸張していて、この方向でより詳細には特定していない複数の凹部が貫通している。モノブロックBの加工の目的で、例えば円筒形状の加工ッドKが、モノブロックBの裏面から凹部のうちの1つの中へ押し入れられ、これを完全に貫通する。加工ッドKは、Z方向で伸張して、旋回駆動部Vにより保持される。この旋回駆動部Vは、Z軸の周りで自由に予め設定可能な回転角度で、加工ッドKを旋回させることができる。さらに、旋回駆動部Vは、加工ッドKと共に図2中に提示されたレーザ加工機械を介して、Z方向にも可動で、その結果、この加工ッドはモノブロックBの内側で様々なZ位置を採りうる(このレーザ加工機械を用いて、加工ッドは、図示した実施形態で、さらなる並進乃至回転自由度でも可動である)。
【0044】
図2によれば、旋回駆動部Vは、より詳細には特定されていない保持装置を介して、担体Tに配置されていて、この保持装置を介してとりわけZ方向で前進することができる。保持装置は、この際、光学ユニットPを取り囲み、この光学ユニットから、原ビームとしてレーザ光線L’が、旋回駆動部Vにより保持される加工ッドKの後端に向けられ、加工ッドKの内側にさらに導かれ、図3で示すように方向転換される。
【0045】
光学ユニットPは、レーザ光線L’を所定のかつ迅速な可変パラメータに従って配列させ、合焦させ、その結果、レーザ光線は、異なるX/Y位置で、加工ッドK中に、乃至方向転換手段に入射することができる。これは、走査の目的で行われ、この際、加工ッドKがモノブロックBに対して相対移動することなく、レーザが異なる目標点に到達することができる。旋回駆動部Vの光学ユニットP側では(とりわけ図1参照)、近くで互いに隣り合う2つの流路C、Cが図示されている。流路Cが、不図示の吸引装置から、加工ッドK中に設けられている吸い出し流路Cへと導かれる一方で、接続部Cは、これも同様に不図示である圧縮空気源から圧密的に加工ッドKの中心を通る縦穴S中に合流し、光学ユニットPから送り出されたレーザ光線L’もその縦穴に向けられる。供給された圧縮空気は、例えばエアクッションを用いて、レーザ加工で生じた堆積物が方向転換手段に付かないように、方向転換手段を保護するのに役立つ。これに関するさらなる詳細は、図3及び図4から読み取ることができる。
【0046】
図2中では、加工されるべきモノブロックBが枠部Fにより取り囲まれていて、垂直で、作動準備状態の配列で図示されていて、その結果、Z方向は水平方向で伸張している。荷重十字部Eは、重量力をモノブロック中に導入するのに役立つ。光学ユニットPから送り出された原ビームL’は、水平方向で、これも同様に水平方向で配列された加工ッドK中に到達し、かつこの加工ヘッド側で、水平のZ方向でモノブロックB中に挿入される。この種の配置(垂直で作動準備状態で立てられたモノブロック)により、力に応じた計測値を生成するためにモノブロックに目標を定めた力を掛けつつ、レーザ加工が可能となるので有利であり、この計測値により、実時間でとりわけモノブロックの内側での継手箇所G(図5)での必要となる後加工を推論することができ、かつこれに従う(後)加工が実時間で即可能になる。
【0047】
図3は、本発明による加工ッドKの単純な概略断面図であるが、この加工ヘッドは、実質的に第1の方向Zで延在する軸の周りで円筒状で形成されている。この加工ヘッドは、構造部Bの内側にある多数の目標点P、P…をレーザを用いて加工するために、モノリシック構造部Bの単純にのみ図示した凹部A中に押し入れられている。
【0048】
このために、レーザ光線Lは、ほぼ方向Zに沿って、加工ッドKの中心領域(縦穴S)を通って導かれ、ヘッドKの前端領域中でX方向で側方に方向転換され、目標点に到達する。加工ッドKを通って導かれるレーザ光線L’を方向転換させるために、ヘッドKの前端領域中では、方向転換手段Uが設けられている。図3中に示された実施形態では、これは、実質的に縦方向Zに対して約45°傾斜した鏡面Rを備えたガラス体である。所定の入射角度で鏡面R上に現れるレーザ光線Lは、相応の出射角度で表面Rから反射される。したがって、Z方向に対してほぼ平行で現れる光線は、この鏡面RでZ軸に対してほぼ直角で屈折し、ここで、この光線は出口開口Oを通って加工ッドKから出る。
【0049】
図3中では、入射した乃至方向転換された複数のレーザ光線L’乃至Lを示す。これにより、加工ッドK中に入ったレーザ光線L’が、鏡面Rの様々な領域に向けられることができ、これに応じて反射されたレーザ光線Lも、出口開口Oの様々な高さ又は幅位置でこの出口から出ることが示唆されるはずである。この方法は「走査」と称され、レーザ光線L’は、迅速に連続して鏡面Rの異なる領域に導かれ、かつこれのみによって、異なる目標点P、P…に導かれる。したがって、これらの目標点に到達するために、方向転換手段Uと、これを担持する加工ッドKとは、モノリシック構造部Bに対して相対的に動く必要はない(Zの周りに旋回しない又はZ方向で前進しない)。
【0050】
加工ッドKの現在の位置中で走査によって到達することができないさらなる目標点を加工するために、本発明による加工ッドは、Z方向で前進及び/又はZ方向で延在する軸の周りを旋回することができる。これによって、加工ッドの側方にあり凹部Aの内側にある全ての目標点に到達することができ、乃至これらを加工することができる。
【0051】
図3中では、より良好に提示するために、加工ッドKの外壁と、凹部Aの内壁との間の、乃至目標点P、Pまでの距離xが、不釣り合いに大きく図示されている。実際には、目標点P、P、…でのレーザ加工で発生する除去材料を、出口開口Oを通って直接吸い出し流路Cに排出することができるように、距離xは可能な限り小さくあるべきである。これに応じて、図面中では方向転換されたレーザ光線Lは先端で終わるが、この先端は、レーザの最大エネルギー密度がある箇所であり、したがって、加工時の目標点が実際にあるべきX位置である。したがって、実際には、加工ッドKの外径は、凹部Aの内径よりもほんの少し下回るのみである。
【0052】
傾斜したガラス円筒として実施された方向転換手段Uは、加工ッドKの前端を介して、適切なストッパにまで押し入れられ、固定されている。この方向転換手段は、例えば接着により、永続的乃至解除不能に加工ッドKと連結可能である。あるいは、この方向転換手段Uを容易に交換可能にするために、解除可能に固定することも考えられる。
【0053】
加工ッドKを通って導かれる吸い出し流路Cは、レーザ出口の領域中で出口開口O中に合流する。レーザ加工で生じた除去材料は、この吸い出し流路Cを通って、加工ッドKを貫流して、上方に導かれうる。吸い込み時の除去材料が、鏡面Rにまで到達することはなく、レーザの出口箇所に可能な限り近くですでに吸い出し流路C中に吸い込まれるように、吸い出し流路Cの出口開口O中への合流位置は選択されている。追加的に、(図2に記載の流路Cを介して)レーザL’の流入路Sを介して、圧縮空気も供給され、これが、方向転換手段上に溢れ、これにより、開口Oを通って吸い込まれた異物又は除去材料が付かないようにする。圧縮空気は、さらに、方向Xで出口開口Oの方向へ方向転換され、そこで吸い出し流路C中に流れ込み、これにより、追加的に外側から吸い込まれた除去材料を流路C中に導くのに寄与する。
【0054】
吸い込み流路Cは、図1に図示したのとは異なり、出口開口Oの領域中で、加工ッドKの中央軸の周りで環状路形状でも実施可能であり、これにより吸い出し効率を改良することができる。
【0055】
加圧焼結方法で加工ッドを生産する際には、加工ッド(レーザ路、出口開口O、方向転換手段U用の凹部、吸い出し流路C)中の個々の凹部を、構造上の自由度を大きくして製造可能である。したがって、例えばレーザ路(レーザ光線L’は、鏡面Rに入る前にこれを通って導かれる)を、わずかに円錐形状にすることもできる。これにより、流路Cを用いて供給される吸気が、より正確に方向転換手段に向けられうる。
【0056】
図4は、加工ッドを、Z軸に垂直の方向で出口開口Oより少し上方で切断したところを示す図である。ここで見えるのは、中心を通り、角が丸められ正方形で実施されたレーザ流入路Sであり、これを通って様々な方向に配列されたレーザ光線L‘が、方向転換手段U上に現れ、これにより、側方で出口開口Oから出るように導かれる。レーザ流入路Sを通って、圧縮空気も方向転換手段の方向へ流れる。出口開口Oの上方では、断面がほぼ腎臓のような形状の吸い出し流路Cを見ることができる。
【0057】
図5は、継手構造Gの領域でモノブロックB中に押し入れられた加工ッドKの拡大図であり、この加工ヘッドは、旋回駆動部Vにより保持される。この際、この加工ッドKは、Z方向での長さが、モノブロックBの幅を上回る。これにより、モノブロックBは、加工ッドKを用いて1つのブロック側面から加工可能であり、ブロックの別の側からヘッドKを挿入するために付け替える必要はないので有利である。
【0058】
加工ッドKの出口開口Oは、Z方向で前進乃至Z軸の周りで旋回する(矢印の示唆を参照)ことにより、ブロックBの内側の様々な位置を前進することができ、これにより、出口開口Oから出て偏向するレーザ光線で、薄い箇所Dを製造乃至加工することができる。さらに、図5から分かるが、加工ッドKの外径が、可能な限り内側にある薄い箇所の凹部Aの円切片状の幾何学形状に合わせられていることにより、除去材料を特に良好に排出することができる。
図1
図2
図3
図4
図5