【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、加工されるべきモノリシック構造部中に外側から向けられるレーザ光線を、ブロックの内部で適切に方向転換し、前進/旋回させ、これにより、レーザ光線を、レーザにより材料を除去して加工されるべき多数の目標点に供給するとの認識に基づいている。本発明による方法は、請求項1に記載の加工工程a)〜d)を含む。一方では、レーザ光線をモノリシック構造部の内側で適切に方向転換させ、他方ではこの光線をZ方向で進め及び/又はZ方向で延在する旋回軸の周りで旋回させることを特徴とし、これにより、この移動の間に決まった多数の目標点に到達し、そこで材料を除去する。レーザ光線の規定の前進乃至旋回により、とりわけ、直線又は円曲線形状で配置されている加工点に、容易に到達しそれを加工しうる。当然、双方の移動の時間的な重複も可能である。モノリシック構造部の内側でのレーザ光線の方向転換と、その前進及び/又は旋回とを組み合わせることにより、より長い加工道程(例えば全ブロック幅)で、及び、ブロックの内側での非常に届きにくい箇所(目標点)でも高精度の材料除去加工が可能となる。この方法は、少なくとも以下の工程、すなわち、
a)加工
ヘッドを、Z方向で、構造部中で伸張する凹部中に挿入する工程と、
b)レーザ光線を、加工
ヘッドのある部分中に導入する工程と、
c)レーザ光線を、方向転換手段により、第1の方向から反れた方向に方向転換させる工程であって、この反れ方向で方向転換されたレーザ光線が目標点(P
1、P
2…)に到達する、工程と
を含み、
d)方向転換されたレーザ光線で、多数の目標点(P
1、P
2…)を加工するために、加工
ヘッドは、Z方向に前進及び/又はZ方向で延在する旋回軸の周りで旋回する。
【0010】
加工
ヘッドは、合目的には、Z方向に垂直の方向でも、すなわちX又はY方向でも前進することができ、かつ、この軸の周りでの旋回も、この加工方法の実施を容易にすることができると理解される。
【0011】
加工
ヘッド乃至これに保持される方向転換手段の移動は、この際、交互に、連続的に又は一時的に行われうる。したがって、所望の材料除去が完成するまで、Z軸の周りでの所定の旋回角度での加工
ヘッドの前進旋回と後退旋回を複数回直接連続して行うことにより、例えば切り落としを行うことができる。モノリシック構造部の縦方向加工は、加工
ヘッドをZ方向で進めることにより行われ、これは、可能な限り均等な、堆積物のない加工表面を得るとの目的のために、可能な限り所望の全加工幅(例えば、モノリシック構造部の全幅)にわたって、一回で行われる。
【0012】
2つの円形の材料凹部の間に残る薄い箇所の製造乃至加工は、例えば、加工
ヘッドが、それぞれ、Z軸周りを所定の旋回角度で、薄い箇所の全Z長さに沿って動き、円形の凹部の別の領域を生成又は加工するために、次のZ方向の行程前に旋回角度がわずかに変わることにより行われる。逆に、加工は、所定の潜り深さ(Z位置)で、丸みを生成するのに必要な全旋回角度を、加工
ヘッドが回転することにより動き始め、その後ヘッドが次のZ位置に進み、そこで再び必要な全旋回角度のために動き始めることによっても行われうる。当然、旋回及び前進移動の重複もいつでも可能である。加工
ヘッドの前進又は旋回移動と共に、走査(後で詳述)を重複させることも可能であり、その結果、加工
ヘッドがそのZ位置又はその回転角度を変える前又は変える間に、加工
ヘッドの各Z位置で及び選択された各回転角度で、走査を行うことができる。
【0013】
後方にあり、場合によってはモノブロックの外側に留まる加工
ヘッドの端部で、レーザ光線は、好ましくは加工
ヘッドのZ方向で延在する縦軸に沿って、加工
ヘッド中に向けられる。加工のためにモノリシック構造部中に押し入れられる加工
ヘッドの前端領域中で、レーザ光線は、方向転換手段に当たり、この方向転換手段が、レーザ光線をZ方向から好ましくは90°方向転換させ、方向転換されたレーザ光線が、Z方向にほぼ垂直の方向の側方で加工
ヘッドから出て、加工されるべき目標点に到達する。このために、レーザは、加工
ヘッドの側方の開口を貫通して、外側に導かれうる。あるいは、加工
ヘッドは、前端面の端部で開かれていることも可能で、方向転換手段が、端面端部を越えてZ方向で少し突出し、その結果、方向転換されたレーザ光線は、端面端部の向こう側で、側方に屈折することもできる。前方でヘッドから突出する方向転換手段とは異なり、加工
ヘッドの側方の開口を通るレーザ光線の屈折は、この開口が、貫通するレーザ光線よりもほんの少しだけ大きくなければならず、その結果、汚れ又は除去材料が加工
ヘッドの内側に不都合にも侵入することが回避される又は防がれるという利点がある。後でより詳細に説明する走査においてさえ、側方の開口の大きさは、例えば1mm
2で十分である。逆に、前方で開いた加工
ヘッドは、単純に製造可能であり、とりわけ除去材料の単純な吸い取りが可能であるが、この点はまだ後で分かるであろう。
【0014】
加工時に、ブロックから解き放たれる材料の特に良好な吸い出しのためには、いずれにせよ、方向転換手段又は加工
ヘッドの外壁を、可能な限り加工されるべき目標点に近づけることが目的に合っている。好ましくは、方向転換手段又は加工
ヘッドの外側との間の距離は、このために5mm未満であり、さらに好適には2mm未満である。非常に好適には、この距離は0.5mmより小さい。加工
ヘッド中に入れられる吸い出しは、この距離を小さくすることにより、特にそれぞれ加工されるべき目標点の近くで行われ、これに従って効果的に吸い出すことができる。Z方向の周囲で丸くされた凹部(例えば、薄い箇所の側方)の生成又は加工のためには、加工
ヘッドをレーザ出口の領域中で同様に丸くする、例えば円筒形状で形成することが適切である。このようにして、加工
ヘッドは、モノブロック中の丸みに近づけることができ、これによって良好な吸い出し作用のための薄い環状間隙部分を形成する。これにより、加工面上とりわけ継手の薄い箇所上への材料の堆積を良好に回避することができる。
【0015】
さらに加工点の近くで吸い出す場合には、除去材料の排出のために必要な空気容積は小さい。モノブロックの作動時にレーザ加工が行われると(これについての詳細は後述)、空気容積がより小さいことにより、計測値表示への悪影響もより小さくなり、これにより加工パラメータのより正確な修正が可能となる。
【0016】
本発明によれば、この方法を用いて多数の目標点が加工されるはずである。これは、空間中で個々の点(0次元の)のみを形成する点の群でありえ、直線又は曲線(一次元)、平面又は屈曲面(二次元)及び任意の特徴的な立体(三次元)でもありえる。前もって決められた多数の目標点のうちの少なくともいくつかの目標点は、この際、順々にレーザに当てられるが、これは、加工
ヘッドがZ方向で進み、又はZ軸の周りで旋回することにより行われる。このようにして、例えば薄い箇所をZ方向の所定の長さに切断するために、表面の点又は領域が、後加工されることができ、又は三次元の凹部が製造されうる。さらに、材料は、線に沿って又はノッチから除去されることができ、このノッチは、Z軸周りでのレーザの旋回移動とZ方向へ前進の重複時に、ほぼ自由に選択可能な空間形状を有しうる。
【0017】
好適には、本発明による方法は、継手構造の加工用に採用可能であり、これにより、とりわけ継手の薄い箇所を作り上げる又は加工することが可能になる。この種の継手は、この際に、レバー、軸受、連結棒又は平行ガイド部の部分でありえ、μm領域での高精度の加工もありえる。同様に、この方法は、例えば、レバー、切り落とし又はこれ以外の凹部を生成するために、又はさらに加工するために、モノリシック構造部のこれ以外の領域(これらの領域は、μmレベルでの正確な材料除去は必要ではないが、しかし、古典的な機械加工方法ではブロックの外側からは届かない領域、又は追加的に設けられた側方の凹部によってのみ届く領域である)の加工のためにも用いられることができる。
【0018】
この方法の有利なある実施形態では、レーザは、まず原ビームとして、位置固定であり又は加工
ヘッドと連結可能であるレーザ源により生成されるように設けられている。レーザ源から生成された原ビーム(L’)は、方向転換手段に到達する前に、本発明によれば、加工用に設けられるレーザ光線(L)を設定するために、位置固定である又は加工
ヘッドと共に可動である光学ユニットを貫通する。「設定」とは、この場合とりわけ合焦であると理解されるべきで、この合焦は、レーザ光線が、方向転換手段を考慮して、加工されるべき目標点の各場所で、好適なエネルギー密度を有するように集束するように行われる。
【0019】
光学ユニットは、当業者にはそれ自体公知であるレーザ技術の光学部材(レンズ、フィルター、絞りなど)の配置でありえる。これらの個々の又は全ての部材は、必要な場合、設定機構(例えば、圧電部材)を介して動かされ又は変位させられ、このために、この設定機構は、適切な制御信号を上位の制御ユニットから得る、又はエンコーダを介して、この制御ユニットに制御信号を出力することが可能である。本発明による加工の枠内では、Z方向へ前進する間及び/又はZ軸周りで旋回する間に、レーザ光線の設定を恒常的に又は飛躍的に変更することが必要でありえるが、これは、とりわけ、前進/旋回時に加工
ヘッドとそれぞれ対象とする目標点との間の距離が変わる際に必要となる。上述の光学部材を用いると、この設定が可能である。例えばレーザ光線の合焦は、方向転換手段とレーザ源との間の距離の変化により合わせられ、これは、基本的に作動中にも可能である(「焦点追跡」)。
【0020】
この方法のさらなる有利な実施形態によれば、モノブロックに対して方向転換手段が相対的に不動である場合に、多数の目標点から選択された目標点を加工するように設けられている。このために、光学ユニットの部材の駆動が、レーザ源から入って来る原ビームL’を、それぞれ方向転換手段の異なる領域に向け、その結果、方向転換された光線Lが、それぞれ選択された様々な目標点に到達し、加工をするように行われる(「走査」)。例えば、選択された目標点は、1mm
2の面積上に配置されていて、これは走査のみによって加工可能で、このために方向転換手段を動かすには及ばない。好ましくは、レーザ光線は常にZ方向にあるが、わずかにZ方向に対して垂直にX及び/又はY方向にシフトするように配列されるように、レーザ光線が走査時に光学ユニットを用いて配列される。これにより、方向転換手段の様々な領域が、方向転換の対象となり、反射されたレーザ光も、互いにほぼ平行に延在する。走査時には、例えば1mm
2の面積が走査されうる。
【0021】
この方法の利点は、選択された所定の目標点が加工可能でありうるために、方向転換手段が動かされなくてよい、乃至一度だけ位置付けられればよい点にある。これ以外の方法で加工
ヘッドをZ方向で前に押し出す場合よりも、走査を用いれば、選択された目標点が、明らかにより迅速に加工されうる。この際、各個々の目標点について、必然的に許容誤差を伴うような方向転換手段の新たな位置付けを行わなくて良いので、有利である。このようにして互いに隣接し合う面は、走査のみによって加工可能であるが、これは、加工
ヘッドが、第1の走査の終了後、次の走査の開始前に、新たな加工位置に動かされる/旋回させられ、再び方向転換手段が静止した状態で、次の走査が開始することにより行われる。
【0022】
しかしながら、この方法では、個々の走査される領域間で、汚れた移行部を備えた結合部が生じることが明らかになっている。したがって、この方法の有利な実施形態によれば、方向転換手段のこの前進及び/又は旋回は、走査方法と重複するように設けられていて、レーザ光線は、少なくとも一時的に、光学ユニットによって方向転換手段の異なる領域に向けられ、また方向転換手段の前進及び/又は旋回によって様々な目標点に向けられる。これにより、走査時にのみ生じる結合部が回避されるので有利であり、結果として、連続した加工面がより長い押し出し路にわたってZ方向又はZ軸周りに得られる。
【0023】
本発明のさらなる有利な実施形態によれば、レーザは、超短波パルス方法(UKP方法)で作動される。この際、パルス長は、1ナノ秒未満の領域で選択され、繰り返し率がキロヘルツ〜メガヘルツ領域で選択される。この種の短いレーザパルスの利点は、目標点中乃至その周辺に、熱が入らない又はわずかしか入らないという点にあり、したがって加工ゾーンはあまり熱せられない。特に短いレーザパルスにより、レーザアブレーション(レーザ蒸発とも称される)が引き起こされ、この際、高い出力密度でもたらされたレーザが、目標点領域中で、高速加熱及びプラズマ形成をもたらす。プラズマ閾値をこのように上回ることは、プラズマが生じないレーザ脱離に対して区別するために考慮される。レーザのタイプ及び強度に応じて、目標点上に生じるレーザパルスで、材料は、例えば2μmの深さまで除去可能である。この際、レーザ光線は、目標点における断面が例えば10μmでありうる。
【0024】
加工において生じる除去材料は、本発明の有利な実施形態によれば、加工
ヘッドにおいて又はこの中に配置されている吸い出し流路により排出される。この流路は、(例えば管状の)加工
ヘッドの外側に設けることができるが、設置場所の理由から、好ましくはヘッドの内側に導かれる。吸い込み開口は、加工されるべき各目標点の可能な限り近くにある場合、目的に合っている。加工
ヘッドの側方開口を通って側方で偏向して外に出るレーザ光線は、したがって、本発明による方法では、吸い出し流路が、加工
ヘッドの内側で、この側方開口の可能な限り近くで合流されるように設けられている。より詳細には説明しない吸い出し手段(吸い込みタービンなど)により、吸い出し流路は、側方開口の領域で、負圧を発生させ、これを用いて目標点において生じる除去材料を側方開口を通って加工
ヘッドの内側へと、かつさらにその吸い出し流路へと吸い込む。同時に、方向転換手段に、除去材料が誤って当たる又は堆積されるのを回避するために、方向転換手段と吸い出し流路の吸い込み開口との間の距離は、十分大きく選択されるように設けられているが、この理由は、さもなければ、方向転換手段の方向転換特性が悪影響を受けるからである。
【0025】
吸い出し流路は、環状流路としても形成可能であり、その外側は、好ましくは円筒形状の加工
ヘッドの内壁により形成される。環状流路の内側は、円筒形状の方向転換手段により形成可能である。可能な限り大きな吸い込み開口乃至可能な限り大きな流路断面により、有利な吸い出し作用と共に、処理量体積を大きくすることができる。
【0026】
本発明による方法は、モノリシック構造部内部で深く配置されている目標点を加工するために適しているので有利である。モノリシック構造部内部のZ方向での各深さに到達することができるように、本発明によれば、加工
ヘッドのZ方向の長さが、ブロックの全幅又は少なくとも半分幅に相当するように設けられている。したがって、加工
ヘッドは、ブロック内の各Z位置に到達する、場合によっては、ブロックのZ方向で対向する両側から到達する。特に好適には、加工は、複数の本発明による加工ヘッドで同時に行うこともでき、これらを用いて、同時に様々な又は同じ薄い箇所について、例えばZ方向に対して横断方向で対向する2つの側から加工を行うこともできる。これにより、全体として加工時間が短縮されうる。加工
ヘッドがブロック中の十分深い位置に到達すると、薄い箇所は、これ以外の場合には必要になると考えられるモノブロックの付け替えなしに、又は加工
ヘッドを移動させるような保持部なしに、完全にブロック中で切り離され乃至高精度で加工されうる。
【0027】
この方法のさらなる有利な実施形態では、秤量セルが作動準備状態にある、乃至作動される間に、この秤量セルのモノリシック構造部の加工が行われる。このために、このモノリシック構造部には外部力が掛けられ、この外部力はとりわけこの構造部のロードセルに作用しうる。構造部中に配置されている、又はこの中で切り離されるレバーシステムを介して、力は、上昇し又は下降し、かつ力センサに供給され、この力センサが、力に応じて計測値を出力する(好適な電磁力補償方法以外に、これとは異なる、当業者にはよく知られた秤量原理(例えば発振側又はひずみゲージ)も考慮の対象になる)。本発明による加工は、この場合、実際の計測結果を期待されるべき結果に合わせるために、計測値に応じて、所定の多数の加工されるべき目標点が導き出されるように行われうる。したがって、例えば、力が様々に(とりわけ偏心位置で)ロードセル中に入る隅角部荷重実験では、それぞれ生じた計測値から、モノブロックの所定のゾーン中、とりわけ継手の薄い箇所で、まだ必要となる材料除去を推論しうる。計測値を即座に評価する制御ユニットは、レーザ加工用に制御信号を生成することができ、この加工は、生成された計測値の検出及び評価直後に又はその途中でさえも行うことができる。この際、押し入れられた加工
ヘッドは、モノブロックの内側に留まり、生成された各計測値乃至制御信号に従って決められる目標点を加工する。とりわけ、まず個々の計測を実施して、これを評価し、これに続いて初めて加工
ヘッドを加工のためにモノブロック中に挿入し乃至加工
ヘッドを次の計測の前に再びモノブロックから抜き出すことは必要ではない。これとは異なり、力センサは、作動中であり続け、その値から、実時間で即座にまだ必要な直後に実施しうるレーザ加工を推論することができる。したがって、加工
ヘッドは、連続する複数の又は継続して行われる1つの計測時に、モノブロック中に留まることができる。これにより、加工時間が著しく節約される。
【0028】
さらにブロック中に留まる加工
ヘッドでは、加工精度も向上するが、この理由は、これ以外の場合では、一方では計測値検出と、他方では加工との間で必要となりうるモノブロックの取り替え過程を省くことができるからである。この種の位置付け過程及びクランプ締め付け過程では満足するようには達成可能ではない可能性がある位置付けの正確性は、本発明による方法では重要ではないが、この理由は、この場合、モノブロックは、全計測及び加工方法の間(少なくとも選択された加工領域について)不変で位置固定され続けうるからである。
【0029】
上述の計測に関連して、当然、同時に複数の加工ヘッドをブロック中に挿入して、同時に複数の場所の材料除去を行いうることが可能である。この場合、ほぼ同時に薄い箇所に沿って両側で材料除去をするために、例えば2つの加工ヘッドをモノブロックに対して共にZ方向で相対的に進ませることも考えられる。
【0030】
一般的には、1つ又は複数の加工ヘッドをモノリシック構造部に対して相対移動させるのは、1つ又は複数軸で可動である保持部を用いて行われ、この保持部は、加工
ヘッドを収容し、例えば、ロボットが、空間での様々な旋回方向又は前進方向での保持部の移動、したがって加工
ヘッドの移動を生成する。ロボットは、上位の制御ユニットにより駆動され、この制御ユニットが、加工
ヘッドの位置付け用及び/又はレーザの合焦及び配列用のパラメータを、演算ユニットから得る、又は、例えばモノリシック構造部を用いて生成された計測値に応じて自身で生成する。
【0031】
上述の方法を実施するための本発明による装置は、
・加工
ヘッドであって、その中に第1の方向のレーザ光線が導入可能である加工ヘッドと、
・加工
ヘッド中のレーザ光線を、上述の方向から反れた方向へと方向転換し、これにより方向転換されたレーザ光線を側方で目標点(P
1、P
2…)に向ける、方向転換手段とを具備し、
・加工
ヘッドは、方向転換手段と共に、方向Zに前進することができ、及び/又は、Z方向で延在する旋回軸の周りで旋回可能である。
【0032】
加工
ヘッドは、本発明の特に好適な実施形態によれば、管状に形成可能である。作動時にモノリシック構造部中に挿入される先端を介して、方向転換手段は、加工
ヘッド中に押し入れられることができ、適切な固定手段を介して、例えば接着、クランプ締め、解除可能なスナップ留め又はねじ込みにより、加工
ヘッドに固定的に配置されることができる。方向転換手段は、例えば先が傾斜した正面を備えた円筒体を具備することができ、これを、下側からストッパにまでぴったり合うように管状の加工
ヘッド中に押し入れることができる。例えば、円筒及び加工
ヘッドのZ軸と、45°の角度を採る傾斜を持った正面は、この場合、ほぼZ方向で入ってきたレーザ光線を90°側方に方向転換するために機能する。この方向転換手段は、とりわけレーザ光線を方向転換する領域は、光波を方向転換するために、ガラス又はこれ以外の当業者には公知の適切な材料からなりうる。方向転換手段は、必要に応じて交換するために、加工
ヘッドと解除可能に連結可能でありえる。採用されたレーザ又は所望の方向転換角度に応じて、相応の所望の特性を備えた方向転換手段が採用されうる。
【0033】
好ましくは、本発明による装置は、レーザ加工時に生じた除去材料を排出するための吸い出し手段を含む。これは、加工
ヘッドのZ軸を周回する1つの環状流路、複数の個々の流路、又は、確実に材料の排出を特に良好に行うこれ以外の手段でありえる。あるいは、又は補足的に、吸い出し手段は、加工されるべき目標点又はその周囲に、気体流(とりわけ空気)を当て、取り外された材料を、所定の方向に目標を定めて又は未定義の方向へと飛ばす手段であり、これにより、一方では加工箇所も、他方では方向転換手段も、除去材料から解放される、乃至これがないようにする。
【0034】
レーザ源から生成された生レーザ光線L’は、直接光学ユニットに向けられることができ、これにより、この光学ユニットを用いて、このレーザ光線L’を方向転換前に配列させる、又は合焦させる。あるいは、生レーザ光線L’を、レーザ源から光ファイバケーブルを用いて光学ユニットに導くことも考えられる。これにより、場合によっては、構造を容易にすることもでき、レーザ源を加工
ヘッドからさらに遠ざけることも可能になる。
【0035】
さらに、方向転換手段を、加工
ヘッドに対して相対的に旋回可能にすることも可能で、その結果、加工ヘッドをZ方向でのみ異なるように位置付けることもできると考えることができる。これにより、この旋回は、好ましくはZ軸の周りで行われる。代替として、又はこれに補足して、旋回はZ方向に対して垂直である軸(X又はY)の周りで行われることもでき、その結果、生レーザ光線L’と方向転換されたレーザ光線Lとの間の角度は変わる。これは、存在しうる吸い出し流路の接続を単純化する。同時に回転可能な方向転換手段と、これに関して回転不能な加工
ヘッドとの間で存在する環状間隙を、吸い出し流路として利用することも可能である。
【0036】
本発明のさらなる有利な実施形態では、方向転換手段が、互いに角度を成す複数の方向転換領域を有するように設けられていて、これらの方向転換領域が、生じたレーザ光線を相応に異なるように曲げる。例えばZ軸周りに形成された角錐形状のミラーであって、その個々の側面がZ軸に対して例えば45°傾斜しているものが考えられうる。角錐の頂点は、この場合、加工
ヘッドの仮想中央軸上にあり、レーザ源の方向を向く。(例えば、上述の光学ユニットを介した)レーザ光線が、それぞれ角錐の異なる側面に連続的に配列されることにより、側方に方向転換された各レーザ光線が、加工ヘッドの異なる周囲位置で、加工ヘッドから出て導かれ、これについては、方向転換手段(角錐)又は加工
ヘッドがZ軸周りで旋回するには及ばない。例えば上述の走査方法を介して、レーザは、角錐の様々な方向転換面乃至鏡面上に向けられることができ、これが、迅速に起こりうる。角錐を取り囲む加工
ヘッドの壁部中で、各鏡面に割り当てられた周囲側での凹部により、複数の側が加工されうる。
【0037】
補足的に又は代替的に、方向転換手段は、少なくとも互いに傾斜する2つの鏡面を有するように作られることもでき、これらの鏡面が、レーザ光線をZ方向に関して異なる角度で屈折させ、例えば一度95°及び一度85°で曲げる。ここでも、レーザ光線の適切な位置付けのみにより、各鏡面で、異なる角度で側方で加工
ヘッドから出るレーザが生成されうる。したがって、加工
ヘッド乃至方向転換手段がこのためにZ方向に前進するには及ばずとも、異なるZ位置で目標点に到達されうる。この点によっても、加工を単純化しうる、乃至短くしうる。当然、方向転換手段の上述の実施形態の変形例も組み合わせうる。
【0038】
除去材料の排出を改良するために、本発明の有利な実施形態では、加工
ヘッド中に目標を定めた空気流が設けられる。したがってレーザ出口開口の付近での吸い出しに加えて、吸気を入れることができ、この吸気は、加工
ヘッドの後方端から加工ヘッドの内側へ、方向転換手段にまで、そして、そこから出口開口の方向へと導かれる。この流動状況は、この際、方向転換手段(例えば、ミラー)に確実に流動が当てられるように選択可能であり、これにより、ある種のエアクッションを形成することにより、方向転換手段に堆積物が付かないようにし、場合によっては冷却もすることができる。しかしながら、吸気は、吸い出しに対向し外側からの加工
ヘッド中への除去材料の所望の流入を悪化させる又はこれを完全に防ぐほど強く設定されてはならない。
【0039】
カメラシステムを用いて、レーザ加工装置を較正することができる。このために、加工点は、初めのテストレーザパルスに従って、除去材料及びクレータ形状に関して視覚的に検査されうる。除去材料の形状及び/又は量乃至深さが、満足できる程度でなければ、光学ユニットの設定を介して、及び/又は加工点に対して相対的にX、Y又はZ方向で加工
ヘッドの位置を修正することを介して、カメラがテスト点について満足の行く加工結果を示すまで、新たに合焦可能である。
【0040】
加工
ヘッドは、少なくとも部分的に加圧焼結方法で製造され、これにより追加的に所望の生産幾何学形状に関する自由度が生じる。
【0041】
以下に、本発明の実施形態を、例示的な図に基づいてより詳細に説明する。