(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6932077
(24)【登録日】2021年8月19日
(45)【発行日】2021年9月8日
(54)【発明の名称】無線通信システム、情報伝送装置および通報制御方法
(51)【国際特許分類】
G08B 27/00 20060101AFI20210826BHJP
G08B 21/10 20060101ALI20210826BHJP
H04M 11/04 20060101ALI20210826BHJP
H04H 20/59 20080101ALI20210826BHJP
H04H 20/28 20080101ALI20210826BHJP
H04H 60/13 20080101ALI20210826BHJP
【FI】
G08B27/00 C
G08B21/10
H04M11/04
H04H20/59
H04H20/28
H04H60/13
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-249074(P2017-249074)
(22)【出願日】2017年12月26日
(65)【公開番号】特開2019-114182(P2019-114182A)
(43)【公開日】2019年7月11日
【審査請求日】2020年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100098383
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100155860
【弁理士】
【氏名又は名称】藤松 正雄
(72)【発明者】
【氏名】門馬 康太郎
【審査官】
西巻 正臣
(56)【参考文献】
【文献】
特開2017−028569(JP,A)
【文献】
特開2006−031449(JP,A)
【文献】
特開2009−104277(JP,A)
【文献】
特開2005−348020(JP,A)
【文献】
特開2011−055257(JP,A)
【文献】
特開2011−211560(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B19/00−31/00
H04H20/00−20/46
20/51−20/86
20/91−40/27
40/90−60/98
H04M3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
H04N5/50−5/63
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸別受信機により受信された無線信号に基づいて通報を行う無線通信システムにおいて、
テレビジョン受像機を制御する情報伝送装置を備え、
前記無線信号には、通報の内容を表す通報データと、該通報の緊急性を示す緊急情報とを含む通報信号があり、
前記情報伝送装置は、前記戸別受信機により通報信号が受信された場合に、当該通報信号の通報データに基づく出力信号を前記テレビジョン受像機に送信し、当該通報信号の緊急情報が緊急性ありの場合には更に、前記出力信号の表示画面の表示を指示する制御信号を前記テレビジョン受像機に送信し、前記制御信号の送信を一定期間停止させる停止指示があった場合には、その停止期間が経過するまでは、緊急情報が緊急性ありの通報信号が前記戸別受信機により新たに受信されても前記制御信号の送信を行わないことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の無線通信システムにおいて、
前記通報信号は、災害種別情報を更に含んでおり、
前記情報伝送装置は、前記停止指示があった際の通報信号とは災害種別情報が異なる通報信号が前記戸別受信機により新たに受信された場合には、前記停止期間であっても前記制御信号の送信を行うことを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の無線通信システムにおいて、
前記通報信号は、災害レベル情報を更に含んでおり、
前記情報伝送装置は、前記停止指示があった際の通報信号よりも災害レベル情報が高い通報信号が前記戸別受信機により新たに受信された場合には、前記停止期間であっても前記制御信号の送信を行うことを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の無線通信システムにおいて、
前記無線信号には、前記情報伝送装置の設定の更新データを含む設定更新信号があり、
前記情報伝送装置は、前記戸別受信機により設定更新信号が受信された場合に、当該設定更新信号の更新データに基づいて自身の設定を更新することを特徴とする無線通信システム。
【請求項5】
戸別受信機により受信された無線信号に基づいてテレビジョン受像機を制御する情報伝送装置であって、
前記無線信号には、通報の内容を表す通報データと、該通報の緊急性を示す緊急情報とを含む通報信号があり、
前記戸別受信機により通報信号が受信された場合に、当該通報信号の通報データに基づく出力信号を前記テレビジョン受像機に送信し、当該通報信号の緊急情報が緊急性ありの場合には更に、前記出力信号の表示画面の表示を指示する制御信号を前記テレビジョン受像機に送信し、前記制御信号の送信を一定期間停止させる停止指示があった場合には、その停止期間が経過するまでは、緊急情報が緊急性ありの通報信号が前記戸別受信機により新たに受信されても前記制御信号の送信を行わないことを特徴とする情報伝送装置。
【請求項6】
請求項5に記載の情報伝送装置において、
前記無線信号には、前記情報伝送装置の設定の更新データを含む設定更新信号があり、
前記戸別受信機により設定更新信号が受信された場合には、当該設定更新信号の更新データに基づいて自身の設定を更新することを特徴とする情報伝送装置。
【請求項7】
戸別受信機により受信された無線信号に基づいてテレビジョン受像機を制御する情報伝送装置により実行される通報制御方法であって、
前記無線信号には、通報の内容を表す通報データと、該通報の緊急性を示す緊急情報とを含む通報信号があり、
前記情報伝送装置は、前記戸別受信機により通報信号が受信された場合に、当該通報信号の通報データに基づく出力信号を前記テレビジョン受像機に送信し、当該通報信号の緊急情報が緊急性ありの場合には更に、前記出力信号の表示画面の表示を指示する制御信号を前記テレビジョン受像機に送信し、前記制御信号の送信を一定期間停止させる停止指示があった場合には、その停止期間が経過するまでは、緊急情報が緊急性ありの通報信号が前記戸別受信機により新たに受信されても前記制御信号の送信を行わないことを特徴とする通報制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載の通報制御方法において、
前記無線信号には、前記情報伝送装置の設定の更新データを含む設定更新信号があり、
前記情報伝送装置は、前記戸別受信機により設定更新信号が受信された場合には、当該設定更新信号の更新データに基づいて自身の設定を更新することを特徴とする通報制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビジョン受像機を活用して防災用の通報を行うことが可能な無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
台風、水害、地震等の災害から地域住民の生命や財産を守るための一手段として、防災行政無線システムの導入が進められており、災害に際して各種情報をいち早く住民に伝達したり、避難誘導を行うように運用されている。
防災行政無線システムにおいては、市町村役場などの拠点に設置された親局装置から、その管轄地域の屋外に設置された屋外拡声子局や家屋内に設置された戸別受信機などに対して、通報信号が無線により送信される。屋外拡声子局は、通報信号を受信すると、併設された拡声装置を用いて通報を拡声出力する。また、戸別受信機は、通報信号を受信すると、戸別受信機の音声出力部から通報を音声出力する。さらに、外国人に対しても迅速かつ正確に情報を伝達できるように、システムを多言語に対応させることも行われている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−337987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の防災行政無線システムは、防災用の通報を屋外拡声子局や戸別受信機から音声出力して地域住民に知らせるものであった。しかしながら、音声のみによる通報では聞き漏らす場合があるため、通報をより正確に地域住民に知らせることが可能な仕組みが求められていた。
【0005】
本発明は、上記のような従来の事情に鑑みて為されたものであり、音声のみで通報する場合に比べて通報内容をより正確に地域住民に知らせることが可能な技術を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明では無線通信システムを以下のように構成した。
本発明に係る無線通信システムは、戸別受信機により受信された無線信号に基づいて通報を行う無線通信システムにおいて、テレビジョン受像機を制御する情報伝送装置を備え、前記無線信号には、通報の内容を表す通報データと、該通報の緊急性を示す緊急情報とを含む通報信号があり、前記情報伝送装置は、前記戸別受信機により通報信号が受信された場合に、当該通報信号の通報データに基づく出力信号を前記テレビジョン受像機に送信し、当該通報信号の緊急情報が緊急性ありの場合には更に、前記出力信号の表示画面の表示を指示する制御信号を前記テレビジョン受像機に送信することを特徴とする。
【0007】
ここで、前記情報伝送装置は、前記制御信号の送信を一定期間停止させる停止指示があった場合、その停止期間が経過するまでは、緊急情報が緊急性ありの通報信号が前記戸別受信機により新たに受信されても前記制御信号の送信を行わないよう構成してもよい。
【0008】
この場合、前記情報伝送装置は、前記停止指示があった際の通報信号とは災害種別情報が異なる通報信号が前記戸別受信機により新たに受信された場合には、前記停止期間であっても前記制御信号の送信を行うよう構成してもよい。また、前記情報伝送装置は、前記操作停止指示があった際の通報信号よりも災害レベル情報が高い通報信号が前記戸別受信機により新たに受信された場合には、前記停止期間であっても前記制御信号の送信を行うよう構成してもよい。
【0009】
また、前記情報伝送装置は、前記情報伝送装置の設定の更新データを含む設定更新信号が前記戸別受信機により受信された場合に、当該設定更新信号の更新データに基づいて自身の設定を更新するよう構成してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、多くの家庭に設置されているテレビジョン受像機を用いて通報を行うことができるので、音声のみで通報する場合に比べて通報内容をより正確に地域住民に知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図1の無線通信システムに係る戸別受信機の構成例を示す図である。
【
図3】
図1の無線通信システムに係る情報伝送装置の構成例を図である。
【
図4】
図1の無線通信システムで使用する無線信号のフォーマットを例示する図である。
【
図5】
図1の無線通信システムに係る情報伝送装置の処理フローを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1には、本発明の一実施形態に係る無線通信システムの構成例を示してある。同図のシステムは、市町村などの自治体単位で設けられる防災行政無線システムであり、親局操作卓1と、基地局2と、戸別受信機3と、情報伝送装置4と、テレビジョン受像機5とを用いて構成されている。情報伝送装置4は、防災行政無線システムで使用される装置であり、戸別受信機3の配下に接続される。
【0013】
親局操作卓1および基地局2は、市町村役場などの拠点に設置される。親局操作卓1と基地局2は、ケーブル等で接続される。
親局操作卓1は、扱者の操作に応じて、地域内の戸別受信機3に対して送信する無線信号を発生させる。親局操作卓1から出力された無線信号は、基地局2から無線により送信される。
【0014】
この無線信号には、通報の内容を表す通報データを含む通報信号や、情報伝送装置の設定の更新データを含む設定更新信号がある。通報信号は、通報データとして音声データを含む音声通報信号と、通報データとして文字データを含む非音声通報信号とに分けることができる。更新データは、情報伝送装置の各種の設定を更新するためのデータであり、以下では、テレビジョン受像機5による表示画面の画像やその画面レイアウトなどの画面データの更新を例に説明するが、これに限定されないことは言うまでもない。
【0015】
親局操作卓1は、扱者の操作に応じて、多言語の通報を行えるように構成されている。音声通報の場合、例えば扱者により日本語の定型文が1又は複数選択され、多言語通報を行う操作がなされると、選択された定型文に基づいて各言語の音声を音声合成により生成する。そして、
図4(a)に示す音声通報信号に後述する言語種別を付加した信号を言語毎に作成して、順次送信する。また、非音声通報を行う場合、例えば扱者により日本語の定型文が1又は複数選択され、多言語通報を行う操作がなされると、選択された各定型文に対応して予め記憶された各言語の文字情報により、言語毎に非音声通報信号を作成して、順次送信する。
【0016】
戸別受信機3、情報伝送装置4およびテレビジョン受像機5は、各施設や各家庭の屋内に設置される。情報伝送装置4は、戸別受信機3およびテレビジョン受像機5のそれぞれとケーブル等で接続される。なお、情報伝送装置4は、本例のように戸別受信機3とは別体に設ける構成に限られず、戸別受信機3が内蔵する構成であってもよい。この場合は、戸別受信機3とテレビジョン受像機5とをケーブル等で接続すればよい。
【0017】
図2には、戸別受信機3の構成例を示してある。戸別受信機3は、受信部11と、音声データ処理部13および非音声データ処理部14を含むデータ処理部12と、スピーカ14とを有する。
受信部11により受信された無線信号はデータ処理部12に受け渡され、その信号の内容に応じて音声データ処理部13または非音声データ処理部14により処理される。
音声データ処理部13は、音声通報信号を受け渡され、フォーマット変換などの処理を施して情報伝送装置4に出力するとともに、音声データを再生してスピーカ11により音声出力させる。
非音声データ処理部14は、非音声通報信号または設定更新信号を受け渡され、フォーマット変換などの処理を施して情報伝送装置4に出力する。
【0018】
図3には、情報伝送装置4の構成例を示してある。情報伝送装置4は、音声データ処理部22および非音声データ処理部23を含むデータ処理部21と、画面データ記憶部24と、テレビ制御部25とを有する。
音声データ処理部22は、音声通報信号が入力されると、その音声通報信号から音声データを抽出してテレビ制御部25に出力するとともに、テレビジョン受像機5の制御(以下、「テレビ制御」という)が必要性な場合にはその旨をテレビ制御部25に通知する。
非音声データ処理部23は、非音声通報信号が入力されると、その非音声通報信号から文字データを抽出してテレビ制御部25に出力するとともに、テレビ制御が必要な場合にはその旨をテレビ制御部25に通知する。また、設定更新信号が入力されると、その設定更新信号から更新データ(ここでは、新たな画面データ)を抽出して画面データ記憶部24に出力する。
【0019】
画面データ記憶部24は、テレビジョン受像機5による表示画面の画像や画面レイアウトなどの画面データを記憶する。また、非音声データ処理部23から更新データが入力されると、その更新データで画面データを更新する。テレビジョン受像機5による表示画面としては、通報時に表示される通報画面や、平常時(通報時以外)に表示する平常時画面などがある。通報画面は、音声通報時に用いる音声通報画面と、非音声通報時に用いる非音声通報画面とに分けることができる。音声通報画面には、音声通報中である旨(例えば、「緊急メッセージ出力中」)が表示される。非音声通報時には、非音声通報中である旨の表示とともに、通報内容の文字データを可視化した文字メッセージが重畳して表示される。平常時画面には、例えば、市町村役場からのお知らせ(役場発信のニュースや防犯情報)が表示される。
【0020】
テレビ制御部25は、音声データ処理部22から出力される音声データ、非音声データ処理部23から出力される文字データ、画面データ記憶部24に記憶された画面データなどが入力され、これらのデータに基づいて映像信号や音声信号を生成し、テレビジョン受像機5の外部入力端子に出力する。また、音声データ処理部22または非音声データ処理部23からテレビ制御が必要な旨の通知を受けた場合には、テレビジョン受像機5を制御するための制御信号を生成し、テレビジョン受像機5の外部入力端子に出力する。外部入力端子は、例えば、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)端子が使用される。また、制御信号には、例えば、HDMI(登録商標)のCEC(Consumer Electronics Control)が使用される。
【0021】
図4には、本システムで使用される無線信号のフォーマットを例示してある。
図4において、(a)は音声通報信号のフォーマット例であり、(b)は非音声通報信号のフォーマット例であり、(c)は設定更新信号のフォーマット例である。本例では、音声通報信号は、識別コード、データ種別、緊急情報、災害種別、災害レベル、音声データで構成されており、非音声通報信号は、識別コード、データ種別、緊急情報、災害種別、災害レベル、言語種別、文字データで構成されており、設定更新信号は、識別コード、データ種別、更新種別、更新データで構成されている。なお、音声通報信号にも言語種別があってもよい。
【0022】
識別コードは、本システムを識別する情報であり、配下の戸別受信機には同じ識別コードが予め記憶されている。データ種別は、無線信号の種別(音声通報信号、非音声通報信号、設定更新信号)を示す情報である。緊急情報は、通報の緊急性を示す情報である。災害種別は、災害の種別を示す情報である。災害レベルは、災害の深刻度を示す情報である。言語種別は、文字データの言語の種別(日本語、英語、ポルトガル語など)を示す情報であり、各情報伝送装置にはいずれかの言語種別が予め記憶されている。更新種別は、更新対象となる設定の種別(音声通報画面、非音声通報画面、平常時画面など)を示す情報である。
【0023】
以下、本システムの動作について説明する。
戸別受信機3は、基地局2から送信された無線信号を受信すると、データ処理部12にて、無線信号の識別コードと予め記憶している識別コードとを比較する。そして、識別コードが一致しない場合には、無線信号を処理せずに破棄する。一方、識別コードが一致する場合には、無線信号の処理を進める。すなわち、無線信号のデータ種別に応じて、音声通報信号であれば音声データ処理部13にて処理し、非音声通報信号または設定更新信号であれば非音声データ処理部14にて処理し、情報伝送装置4へと出力する。また、無線信号が音声通報信号であった場合には、音声データを再生してスピーカ11により音声出力する。
【0024】
情報伝送装置4は、通常、平常時画面の映像信号を継続的にテレビジョン受像機5に出力している。すなわち、テレビ制御部25が、画面データ記憶部24に記憶された平常時画面の画面データに基づいて平常時画面の映像信号を生成し、テレビジョン受像機5の外部入力端子に出力している。したがって、テレビジョン受像機5において情報伝送装置4の出力が表示される画面(以下、「外部入力画面」という)には、通常、平常時画面が表示されることになる。テレビジョン受像機5のユーザはテレビジョン受像機5のチャンネルを外部入力画面に設定すると、情報伝送装置4からの平常時画面を見ることができる。
【0025】
情報伝送装置4は、戸別受信機3から音声通報信号が入力されると、音声データ処理部22にて、音声通報信号から音声データを抽出してテレビ制御部25に出力する。テレビ制御部25は、音声データ処理部22から入力された音声データに基づいて音声信号を生成するとともに、画面データ記憶部24に記憶された音声通報画面の画面データに基づいて音声通報画面の映像信号を生成し、テレビジョン受像機5の外部入力端子に出力する。したがって、音声通報信号が発報された場合、テレビジョン受像機5の外部入力画面には、音声通報画面が表示され、さらに通報音声がテレビジョン受像機5から再生出力されることになる。なお、音声通報信号に言語種別が設定されている場合、音声データ処理部22は、自身に予め設定(記憶)されている言語種別と比較する。そして、言語種別が一致しない場合には、音声通報信号を処理せずに破棄する。一方、言語種別が一致する場合には、その音声データをテレビ制御部25に出力する。
【0026】
また、情報伝送装置4は、戸別受信機3から非音声通報信号が入力されると、非音声データ処理部23にて、非音声通報信号の言語種別と自身に予め設定(記憶)されている言語種別とを比較する。そして、言語種別が一致しない場合には、非音声通報信号を処理せずに破棄する。一方、言語種別が一致する場合には、非音声通報信号から文字データを抽出してテレビ制御部25に出力する。テレビ制御部25は、非音声データ処理部23から入力された文字データと、画面データ記憶部24に記憶された非音声通報画面の画面データとに基づいて非音声通報画面の映像信号を生成し、テレビジョン受像機5の外部入力端子に出力する。したがって、非音声通報信号が発報された場合、テレビジョン受像機5の外部入力画面には、通報内容の文字データを可視化した文字メッセージを含む非音声通報画面が表示されることになる。
【0027】
さらに、音声データ処理部22および非音声データ処理部23は、音声通報信号または非音声通報信号の緊急情報(更には災害種別、災害レベル)に基づいてテレビ制御の必要性を判定し、テレビ制御が必要な場合にはその旨をテレビ制御部25に通知する。テレビ制御部25は、テレビ制御が必要な通知を受けた場合には、テレビジョン受像機5の音声通報画面または非音声通報画面の表示を指示する。つまり、画面を外部入力画面に切り替える指示の制御信号を生成し、テレビジョン受像機5の外部入力端子に出力する。このとき、テレビ制御部25は、テレビジョン受像機5の電源オンオフ状態に関わらず、電源オンおよび画面切り替えを指示する制御信号を生成してもよいし、テレビジョン受像機の電源がオンの場合は、画面切り替えを指示するだけの制御信号を生成してもよい。したがって、緊急性がある通報であった場合には、テレビジョン受像機5が電源オフの状態であっても自動的に電源オンになってテレビチャネルが外部入力画面に切り替えられ、音声通報画面または非音声通報画面が表示されることになる。なお、緊急性の有無に関わらず、通報画面の表示は、一定時間継続して行われる。また、音声通報画面の表示中は音声データが繰り返し再生される。通報画面の表示の継続時間は、予め固定値がシステムとして定められていてもよく、親局操作卓1から音声通報信号を発報する際に指定されてもよい。
【0028】
また、情報伝送装置4は、戸別受信機3から設定更新信号が入力されると、非音声データ処理部23にて、設定更新信号の更新種別に応じて更新対象となる画面データを特定し、画面データ記憶部24内の該当する画面データを設定更新信号から抽出した更新データで置き換える。
【0029】
図5には、情報伝送装置4の処理フローを例示してある。
情報伝送装置4はまず、入力された信号のデータ種別を参照して、設定更新信号か否かを判定する(ステップS1)。設定更新信号であると判定された場合(ステップS1;Yes)には、画面データ記憶部24内の該当する画面データを更新する(ステップS6)。一方、設定更新信号でないと判定された場合(ステップS1;No)、つまり、通報信号が入力された場合は、以下の処理を行う。
【0030】
まず、通報信号の緊急情報を参照して、緊急性ありか否かを判定する(ステップS2)。緊急性なしと判定された場合(ステップS2;No)は、通報信号に基づいて通報画面の映像信号などを生成し、テレビジョン受像機5に出力する(ステップS7)。一方、緊急性ありと判定された場合(ステップS2;Yes)は、画面切替無効設定の判定(ステップS3)、災害種別の判定(ステップS4)、災害レベルの判定(ステップS5)を行う。ここで、画面切替無効設定は、一定期間は新たに通報信号を受信してもテレビ制御しない旨の設定である。画面切替無効設定は、例えば、通報画面の表示中にユーザ(住民)がテレビジョン受像機5をリモコンで操作し、制御信号の送信を一定期間停止させる停止指示を行うことで設定される。
【0031】
画面切替無効設定がオフの場合(ステップS3;No)、画面切替無効設定はオンだが災害種別が前回とは異なる場合(ステップS4;No)、または画面切替無効設定はオンだが災害レベルが前回よりも高い場合(ステップS5;Yes)には、通報画面の映像信号などをテレビジョン受像機5に出力するとともに、テレビジョン受像機5の電源オンおよび画面切り替えを指示する制御信号もテレビジョン受像機5に出力する(ステップS8)。それ以外の場合は、通報画面の映像信号などはテレビジョン受像機5に出力するが、制御信号の出力は行わない(ステップS7)。
【0032】
以上のように、本例の無線通信システムは、戸別受信機3により受信された無線信号に基づいてテレビジョン受像機5を制御する情報伝送装置4を備えている。情報伝送装置4は、戸別受信機4により通報信号が受信された場合に、当該通報信号の通報データに基づく出力信号(映像信号や音声信号)をテレビジョン受像機5に送信し、当該通報信号の緊急情報が緊急性ありの場合には更に、電源オンおよび出力信号の表示画面(外部入力画面)への切り替えを指示する制御信号をテレビジョン受像機5に送信するように構成されている。
【0033】
このような構成によれば、通報信号が発報された場合に、戸別受信機により通報信号に基づく出力が行われるだけでなく、テレビジョン受像機からも通報信号に基づく出力が行われる。すなわち、多くの家庭に設置されているテレビジョン受像機を用いて通報を行うことができるので、音声のみで通報する場合に比べて通報内容をより正確に地域住民に知らせることが可能となる。しかも、緊急性が高い通報の場合には、テレビジョン受像機の表示が自動的に通報画面に切り替わるので、住民が通報内容を確認するためにテレビジョン受像機を操作する必要がない。
【0034】
また、本例の情報伝送装置4は、制御信号の送信を一定期間停止させる停止指示があった場合、その停止期間が経過するまでは、緊急情報が緊急性ありの通報信号が戸別受信機3により新たに受信されても制御信号の送信を行わないように構成されている。したがって、通報信号が発報される度にテレビジョン受像機の表示が切り替わることを防ぐことができるので、住民が地上波放送で情報収集を行っている場合などに、その行為が通報の度の画面切り替わりによって妨害されることを抑制できる。
【0035】
また、本例の情報伝送装置4は、停止指示があった際の通報信号とは災害種別情報が異なる通報信号が戸別受信機3により新たに受信された場合には、停止期間であっても制御信号の送信を行うように構成されている。したがって、二次災害や別の災害が新たに発生した場合には、テレビジョン受像機の自動的な切り替わりを住民が望んでいない場合でも強制的に通報画面の表示に切り替わるので、その通報を住民が確認し損ねる事態の発生を抑制することができる。
【0036】
また、本例の情報伝送装置4は、停止指示があった際の通報信号よりも災害レベル情報が高い通報信号が戸別受信機3により新たに受信された場合には、停止期間であっても制御信号の送信を行うように構成されている。したがって、災害レベルが上昇して通報の緊急度が増した場合には、テレビジョン受像機の自動的な切り替わりを住民が望んでいない場合でも強制的に通報画面の表示に切り替わるので、その通報を住民が確認し損ねる事態の発生を抑制することができる。
【0037】
また、本例の情報伝送装置4は、戸別受信機3により設定更新信号が受信された場合に、当該設定更新信号の更新データに基づいて自身の設定を更新するように構成されている。したがって、情報伝送装置の設定を変更するために作業員が住民宅へ赴く必要がなく、システムの運用コストの低減を実現することができる。特に、平常時画面の表示内容を適宜変更できるので、地域住民への定期的な情報発信を平常時画面を通じて行うことができ、本システムをより身近なツールとして住民に活用させることができる。
【0038】
ここで、上記の例では、音声による通報と非音声(文字メッセージ)による通報を別々に行う構成となっているが、これらを同時に通報するよう構成しても構わない。
また、テレビジョン受像機の制御は、電源オンおよび外部入力画面への切り替えだけでなく、音量の制御を行うように構成してもよい。音量は、予め固定値がシステムとして定められていてもよく、親局操作卓1から音声通報信号を発報する際に指定されてもよい。
【0039】
なお、本発明に係るシステムや装置などの構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。
また、本発明は、上述した処理を実行する方法や方式、そのような方法や方式を実現するためのプログラム、そのプログラムを記憶する記憶媒体などとして提供することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、戸別受信機により受信された無線信号に基づいて通報を行う無線通信システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1:親局操作卓、 2:基地局、 3:戸別受信機、 4:情報伝送装置、 5:テレビジョン受像機、
11:受信部、 12:データ処理部、 13:音声データ処理部、 14:非音声データ処理部、 15:スピーカ、
21:データ処理部、 22:音声データ処理部、 23:非音声データ処理部、 24:画面データ記憶部、 25:テレビ制御部