(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6932079
(24)【登録日】2021年8月19日
(45)【発行日】2021年9月8日
(54)【発明の名称】浴室リモコン装置
(51)【国際特許分類】
F24H 1/00 20060101AFI20210826BHJP
【FI】
F24H1/00 602Y
F24H1/00 602X
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-253110(P2017-253110)
(22)【出願日】2017年12月28日
(65)【公開番号】特開2019-120413(P2019-120413A)
(43)【公開日】2019年7月22日
【審査請求日】2020年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】林 純平
(72)【発明者】
【氏名】山崎 真吾
(72)【発明者】
【氏名】武村 恭範
【審査官】
礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−204276(JP,A)
【文献】
特開平08−016948(JP,A)
【文献】
特開2001−070183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00 − 9/20
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定温度を表示するメイン表示部と、前記設定温度を変更操作するための操作スイッチ部と、外殻を形成するケース部と、ケース部から露出して設けられ、入浴状況あるいは機器状態を点灯により表示する点灯表示部と、を備え、前記点灯表示部は、発光部とその前面に配置された透明または半透明の導光部材により構成され、少なくとも前面側と下方側に対して前記導光部材の透光面が露出し、前記ケース部の前記点灯表示部の下辺に隣接する辺部には、その上奥から下手前に傾斜した傾斜面部が設け、前記傾斜面部は光沢を有し、前記導光部材の下方側に露出した前記透光面からの光を該傾斜面部で前方側へ反射させるようにしたことを特徴とする浴室リモコン装置。
【請求項2】
前記ケース部には、前記操作スイッチ部を覆い隠すと共に、下側を軸として開閉可能なフタ部が設けられ、前記点灯表示部は、前記フタ部の上部に隣接して配置されていると共に、前記傾斜面部は、前記フタ部の上辺に、その上奥から下手前に傾斜するように設けられていることを特徴とする請求項1記載の浴室リモコン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室に設置され、給湯機等の住宅設備機器を操作するための浴室リモコン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種の浴室リモコン装置においては、設定温度等の給湯機本体の状態を表示するメイン表示部と、設定温度を変更したり、給湯機本体へふろ湯はり指示を行ったりする複数の操作スイッチ部と、外殻を形成するケース部とを有し、操作スイッチ部にはスイッチの操作状態を示すランプ表示部が設けられているものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−181100号公報(
図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このような従来の浴室リモコン装置では、多様な情報を表示できるメイン表示部があるものの、表示内容が変わっても、表示中の一部の領域の情報が変更されるのみで、情報が多数の情報に埋もれてしまうことがあり、もっとわかりやすく情報を伝えられる浴室リモコン装置が求められていた。
【0005】
また、浴室リモコン装置は、入浴者が浴室の洗い場床に立った状態の高い視点からの視認性と、入浴者が浴槽に深く入浴した状態の低い視点からの視認性について、更なる向上が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明は上記課題を解決するために、設定温度を表示するメイン表示部と、前記設定温度を変更操作するための操作スイッチ部と、外殻を形成するケース部と、ケース部から露出して設けられ、入浴状況あるいは機器状態を点灯により表示する点灯表示部と、を備え、前記点灯表示部は、発光部とその前面に配置された透明または半透明の導光部材により構成され、少なくとも前面側と下方側に対して前記導光部材の透光面が露出し、前記ケース部の前記点灯表示部の下辺に隣接する辺部には、その上奥から下手前に傾斜した傾斜面部が設け
、前記傾斜面部は光沢を有し、前記導光部材の下方側に露出した前記透光面からの光を該傾斜面部で前方側へ反射させるようにした。
【0007】
また、前記ケース部には、前記操作スイッチ部を覆い隠すと共に、下側を軸として開閉可能なフタ部が設けられ、前記点灯表示部は、前記フタ部の上部に隣接して配置されていると共に、前記傾斜面部は、前記フタ部の上辺に、その上奥から下手前に傾斜するように設けた。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、メイン表示部とは別に情報を伝達するための点灯表示部が設けられていると共に、点灯表示部の導光部材の下側に隣接して傾斜面部が位置しているので、点灯表示部の導光部材の正面側の光に加えて、導光部材の下側の光が傾斜面部に反射して光が広がるので、発光していると見なせる面積が広がり、入浴者が浴室の洗い場床に立った状態の高い視点からの視認性と、入浴者が浴槽に深く入浴した状態の低い視点からの視認性の両方を同時に向上させることができる。
【0009】
複数の操作スイッチ部がフタ部に隠れるため、より一層点灯表示部からの表示が際だち、視認性を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の浴室リモコン装置が用いられる給湯機の概略説明図
【
図4】本発明の作動を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
1は住宅設備機器としての給湯機、2は家屋の浴室、3は浴槽、4は浴槽3から入浴者が操作できる高さに配置された給湯機1の浴室リモコン装置、5は台所等の浴室外に設けられた給湯機1の台所リモコン装置、6は給湯機1と浴槽3とを浴槽水が循環可能に接続するふろ循環回路である。
【0012】
給湯機1は、ふろへの湯はり機能と、追い焚き機能を有しており、ふろ循環回路6途中に備えた水位センサ7により、浴槽3内の水位を検出可能としている。
【0013】
浴室リモコン装置4は、
図2の斜視図に示すように、外殻を構成するケース部8と、その中央上部に設定温度等の給湯機1本体の設定状態や動作状態を表示する7セグや文字等の固定キャラクタの液晶表示からなるメイン表示部9と、メイン表示部9の両脇に配置され、ふろ自動運転等の予め決まった動作を行わせる複数のメインスイッチ10と、リモコン本体の下半分位置に設けられ、設定温度を変更するための操作スイッチ部11と、この操作スイッチ部11を覆い、下端を軸に開閉するフタ部12と、フタ部12の開口から露出して設けられ、浴室2内に人が存在するか否かを検出する人感センサ13と、入浴状況あるいは機器状態を点灯状態を変化することによって表示する点灯表示部14とを備えている。ここで、フタ部12は、閉状態時には、リモコン本体の外殻の一部を構成し、頻繁に使用することのない操作スイッチを隠して入浴者に提供する情報を最小限としている。
【0014】
点灯表示部14は、フタ部12の上辺に隣接して設けられ、
図3の断面図に示すように、基板15に横一列に設けられたLED等からなる複数の発光部16と、発光部16の前面に配置され、ケース部8から露出して設けられた導光部材17とから構成されている。導光部材17は、透明または半透明の材料で、リモコン本体の端から端まで横長で一体に形成されている。この導光部材17の前面側と下方側は、ケース部8やフタ部12で覆われないことで、発光部16の光を透過させる透光面18が形成されている。
【0015】
フタ部12の上辺には、上奥から下手前に傾斜した傾斜面部19が設けられている。この傾斜面部19は光沢仕上げされており、傾斜面部19の上方に位置する導光部材17の下側の透光面18からの光を前方に反射可能としている。
【0016】
ここで、入浴状況を点灯状態を変化することによって表示する点灯表示部14の動作について
図4のフローチャートに基づいて説明する。ここでは、点灯表示部14の複数の発光部16はnコ設けられている。
【0017】
浴槽3への湯はりが完了して入浴可能な状態となった後、浴室リモコン装置4の人感センサ13が人の在室を検出すると(ステップS1でY)、給湯機1は、台所リモコン装置5の表示部に浴室2への入室があった旨の表示を行うと共に、水位センサ7による浴槽3への人の入浴の有無を監視する(ステップS2)。
【0018】
人が浴槽3へ入浴して、水位センサ7によって短時間に所定値以上の水位上昇が検出されると(ステップS2でY)、入浴タイマーTのカウントを開始する(ステップS3)。
【0019】
続くステップS4でカウント時間Tが所定の時間t1を超えたか否かを判定し、超えていなければ(ステップS4でN)、水位センサ7による浴槽3からの人の出浴の有無を監視する(ステップS5)。なお、出浴があった場合の動作は後述するステップS13で説明する。
【0020】
カウント時間Tが所定の時間t1を超えると(ステップS4でY)、点灯表示部14の左端に設けられている第1発光部16を点灯し(ステップS6)、入浴時間が所定の時間t1を超えたことを表示する。このとき、点灯表示部14は、第1発光部16の正面範囲の導光部材17の透光面18から前方側と下方側に光が透過し、下方側の透光面18からの光は、傾斜面部19で反射され実質的な発光面積を広げて、浴槽3に深く入浴した状態の低い視点から浴室リモコン装置4を視認する入浴者の視認性を向上させている。
【0021】
さらに時間が経過し、カウント時間Tが所定の時間t2(>t1)を超えると(ステップS7でY)、点灯表示部14の左端から2番目に設けられている第2発光部16を点灯し(ステップS8)、入浴時間が所定の時間t2を超えたことを表示する。このとき、点灯表示部14は、第1発光部16と第2発光部16の正面範囲の導光部材17の透光面18から前方側と下方側に光が透過し、下方側の透光面18からの光は、傾斜面部19で反射され実質的な発光面積を広げて、浴槽3に深く入浴した状態の低い視点から浴室リモコン装置4を視認する入浴者の視認性を向上させている。
【0022】
以後、同様のステップをnコ目の第n発光部16まで行い(説明は省略する)、点灯表示部14のnコの発光部16が全て点灯している状態で、カウント時間Tが所定の時間tn+1(>tn)を超えると(ステップS10でY)、点灯表示部14は全ての発光部16を点滅させ(ステップS12)、入浴時間がtn+1時間を超えた長時間の入浴になっていることを警告する。
【0023】
ここで、点灯表示部14の発光は、メイン表示部9とは独立しているため、入浴状況に関する情報は、多様な情報に埋没することなくわかりやすく伝えることができると共に、傾斜面部19による反射光で実質的な発光面積を大きくしているので、浴室2に同時に複数人入室していた場合等、入浴者が浴室2の洗い場床に立った状態の高い視点からの視認性と、入浴者が浴槽3に深く入浴した状態の低い視点からの視認性の両方を同時に向上させることができる。また、傾斜面部19は、上奥から下手前に傾斜した形状で点灯表示部14の下側に設けられているため、点灯表示部14の光を上向きに反射するため、高い視点からの視認性を好適に向上させることができる。
【0024】
その後、一定時間以内に出浴を検出できないと(ステップS13でN)、台所リモコン装置5で入浴時間が予め定めたtn+1時間を超過していることを同居家族等に音と光で警告報知するようにしている(ステップS14)。
【0025】
一方、ステップS5、S9、S11、S13にて、水位センサ7によって短時間に所定値以上の水位低下が検出されると、ステップS15へ進み、入浴タイマーTをリセットして点灯表示部14を全て消灯し、ステップS2へ戻るようにしている。
【0026】
このように、入浴者が入浴状況を容易に視認できるため、安全な入浴を喚起することができるものである。
【0027】
なお、点灯表示部14が発光により表示する入浴状況としては、ここまで説明した入浴時間に限られず、例えば浴槽水温度と入浴時間から算出される入浴者への入熱量の程度を表示するようにしてもよく、その他の入浴状況を表示するようにしてもよい。
【0028】
また、点灯表示部14は、入浴状況に代えて、メインスイッチ10の操作指示に応じて自動で行われる浴槽3への湯はりの進捗状況の程度を表示したり、給湯機1として貯湯式給湯機を用いていた場合に、貯湯タンクの貯湯状態の程度を表示したり、機器状態を表示するようにしてもよいものである。
【0029】
また、フタ部12は、頻繁に使用することのない操作スイッチを隠して入浴者に提供する情報を最小限としているため、より一層点灯表示部14からの表示が際だち、視認性を更に向上させるている。
【0030】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で改変可能なものであり、上記実施形態ではフタ部12の上辺に傾斜面部19を設けたが、フタ部12のない浴室リモコン装置4においては、外殻を構成するケース部8の点灯表示部14の下辺に対応する位置に傾斜面部19を設けるようにしてもよい。
【0031】
また、住宅設備機器として給湯機1を例に説明したが、入浴に関係する住宅設備機器であれば本発明の範囲内である。
【符号の説明】
【0032】
4 浴室リモコン装置
8 ケース部
9 メイン表示部
11 操作スイッチ部
12 フタ部
14 点灯表示部
16 発光部
17 導光部材
18 透光面
19 傾斜面部