(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6932093
(24)【登録日】2021年8月19日
(45)【発行日】2021年9月8日
(54)【発明の名称】給湯機
(51)【国際特許分類】
F24H 1/18 20060101AFI20210826BHJP
F24H 9/00 20060101ALI20210826BHJP
【FI】
F24H1/18 A
F24H9/00 F
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-23941(P2018-23941)
(22)【出願日】2018年2月14日
(65)【公開番号】特開2019-138587(P2019-138587A)
(43)【公開日】2019年8月22日
【審査請求日】2020年7月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】志賀 広貴
(72)【発明者】
【氏名】米山 朋之
(72)【発明者】
【氏名】岡田 恵英
(72)【発明者】
【氏名】玉木 芳芙美
【審査官】
藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開2017−172944(JP,A)
【文献】
特開2011−117693(JP,A)
【文献】
特開2012−007802(JP,A)
【文献】
特開2003−049459(JP,A)
【文献】
特開平09−119710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/18
F24H 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、
この貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段と、
前記貯湯タンクへ水を供給する給水管と、
前記貯湯タンクから湯を出湯する出湯管と、
前記加熱手段と前記貯湯タンク下部とを接続する加熱往き管と、
前記加熱手段と前記貯湯タンク上部とを接続する加熱戻り管と、
前記給水管から分岐して前記出湯管へ合流させる給水バイパス管と、
前記給水管の前記給水バイパス管との分岐点より下流に設けられた第2三方継手と、
前記加熱戻り管途中から分岐され前記第2三方継手に接続された加熱バイパス管と、
前記給水管途中の前記第2三方継手の下流に設けられた第3三方継手と、
前記第3三方継手から分岐した排水管と、
前記排水管途中に設けられた排水弁とを備え、
前記給水管は、前記第2三方継手と前記第3三方継手との間に分岐要素のない縦引き配管である給水中流管を有し、
前記給水中流管の上流側は、前記第2三方継手と接続され、
前記給水中流管の下流側は、前記第3三方継手と接続され、
前記第2三方継手及び前記第3三方継手は配管用クイックファスナで前記給水中流管と接続されたことを特徴とする貯湯式給湯機。
【請求項2】
前記第3三方継手は樹脂で形成され、前記第3三方継手と前記排水弁とは直接接続されているようにしたことを特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯式給湯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の貯湯タンク内の高温の湯と給水した水を、給湯混合弁で混合して給湯管を通過させ、給湯を行う給湯機において、地震による災害時、断水等で水の確保が必要になった場合、所定の操作を行うことで貯湯タンク内の水を排水管から排水することができる貯湯式給湯機が知られていた(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−102285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、貯湯タンク下部から貯湯タンクへ給水する給水管は複数の箇所に分岐して給水を行っており、分岐する箇所に合わせて給水管を溶接して配管接続をすると、給水管が長くなり、複数に枝分かれした大きな配管群となってしまうため、メンテナンス時に給水管を取り外ししづらく、多数の部品や配管を外してからでないと給水管を外せないという課題があった。
【0005】
また、給水管から分岐する排水管の途中には排水バルブが設けられ、排水バルブの手前の排水管は非常時以外に水の流れが少ないため、水が長期に溜まり易く、この排水バルブの手前の排水管の長さが長いと腐食により銅管に穴が開いてしまう可能正が高くなるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するため、湯水を貯湯する貯湯タンクと、この貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンクへ水を供給する給水管と、前記貯湯タンクから湯を出湯する出湯管と、前記加熱手段と前記貯湯タンク下部とを接続する加熱往き管と、前記加熱手段と前記貯湯タンク上部とを接続する加熱戻り管と、前記給水管から分岐して前記出湯管へ合流させる給水バイパス管と、前記給水管の前記給水バイパス管との分岐点より下流に設けられた第2三方継手と、前記加熱戻り管途中から分岐され前記第2三方継手に接続された加熱バイパス管と、前記給水管途中の前記第2三方継手の下流に設けられた第3三方継手と、前記第3三方継手から分岐した排水管と、前記排水管途中に設けられた排水弁とを備え、
前記給水管は、前記第2三方継手と前記第3三方継手との間に分岐要素のない縦引き配管である給水中流管を有し、前記給水中流管の上流側は、前記第2三方継手と接続され、前記給水中流管の下流側は、前記第3三方継手と接続され、前記第2三方継手
及び前記第3三方継手は配管用クイックファスナで
前記給水中流管に接続さ
れた。
【0007】
また、前記第3三方継手は樹脂で形成され、前記第3三方継手と前記排水弁とは直接接続されているようにした。
【発明の効果】
【0008】
このように請求項1の発明によれば、給水経路である前記給水管から分岐および合流する配管の接続を前記三方継手で行うことで、メンテナンス時に分岐および合流する配管の分離が容易にでき、前記給水
中流管を取り外ししやすい構造としたことで、メンテナンス性が向上し、作業時間を短縮することができる。
【0009】
また、前記給水管から前記三方継手で前記排水管に分岐し、分岐後直ぐに前記排水バルブが設けられるように配置されており、水が長期に溜まってしまうのを防止することができると共に、前記排水バルブよりも上流に溜まっている水は貯湯タンクの給水時の水の流れによって攪拌され水が長期に溜まってしまうのを防止することができ、前記給水管から分岐する前記排水管内で長期に水の動きが無い状態をなくしたことで、配管が腐食して穴が開いてしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】この発明の給水管から分岐や合流する配管の要部説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の給湯装置の実施形態を
図1及び
図2に基づいて説明する。
図1において、1は貯湯式給湯装置の湯水を貯湯する貯湯タンク、2は貯湯タンク1底部に給水する給水管、3は貯湯タンク1頂部から出湯する出湯管、4は貯湯タンクの水を加熱するヒートポンプ式の加熱手段、5は貯湯タンク1の下部と加熱手段4に接続する加熱往き管、6は加熱往き管5の途中に設けられた加熱循環ポンプ、7は加熱手段4と貯湯タンク1の上部を接続する加熱戻り管、8は加熱戻り管7途中に設けられた加熱バイパス三方弁、9は加熱バイパス三方弁8の切り替えにより分岐した加熱バイパス管である。この加熱バイパス管9は給水管2に接続されている。
【0012】
10は給水管2の途中で分岐する給湯側給水バイパス管、11は出湯管3を流れる湯水と給湯側給水バイパス管10を流れる市水を適宜の比率で混合して給湯設定温度に調整する給湯混合弁、12は給湯混合弁11で混合された混合水が流通する給湯管、13は給湯管12からの混合水を給湯する給湯栓、14は給湯管12途中に設けられた給湯流量を検出するフローセンサ、15は給湯混合弁11によって混合された混合水の温度を検出する給湯温度センサ、16は給湯混合弁11によって混合された混合水の給湯流量を調節する流量調整弁である。
【0013】
また、17は給水管2からバイパスされた風呂側給水バイパス管、18は出湯管3からの湯と風呂側給水バイパス管17からの水とを混合し、その混合比を制御して所望の風呂設定温度を給湯するための風呂混合弁、19は風呂側混合弁18で混合された湯を浴槽20に給湯するための湯張り管、21は湯張り管17途中に設けられた風呂流量を検出するフローセンサ、22は風呂側混合弁16によって混合された混合水の温度を検出する風呂温度センサ、23は風呂混合弁18によって混合された混合水の風呂流量を調節する流量調整弁である。
【0014】
24は給水管2途中に設けられ市水を一定の給水圧に減圧する給水減圧弁、25は給水管2の途中に設けられ市水の温度を検出する給水サーミスタ、26は貯湯タンク1の上部に連通して設けられ手動で開閉可能な逃し弁、27は給水を開放または遮断を手動で操作可能な給水栓である。
【0015】
28は貯湯タンク1の底部に接続され給水管2途中に設置した排水管であり、排水管28途中には排水管28を手動で開閉を操作できる排水バルブ29が設けられている。
【0016】
また、地震等の災害が発生して断水状態になった場合は、給水栓27を遮断して逃し弁26を開放し、排水バルブ29を開状態にすることで貯湯タンク1内に残存する湯水が取り出せる。
【0017】
また、給水管2は、途中で複数の管に分岐または合流して貯湯タンク1の下部に接続されており、給水管2から分岐する配管には、給湯混合弁11および風呂混合弁18に給水管2からの市水を供給する給湯側給水バイパス管10および風呂側給水バイパス管17に連通する給水バイパス管、地震等の非常時など貯湯タンク1内の湯水をタンク外に排水する排水管27がある。
【0018】
また、給水管2に合流する配管には、後述する凍結防止運転時に加熱手段4で加熱した高温水が流れる加熱バイパス管9がある。
【0019】
次に、給湯動作や風呂動作の運転制御を担う制御装置30は、任意に決められた給湯設定流量とフローセンサ14で検出した検出値が等しくなるように流量調整弁16の弁開度と、任意に決められた給湯温度と給湯温度センサ15で検出した検出値が等しくなるように給湯混合弁11の弁開度との制御をしている。
【0020】
次に給湯動作について説明する。
給湯栓13が開かれると、貯湯タンク1の底部に給水管2から市水が流入すると共に貯湯タンク1の頂部から出湯管3を介して高温の湯が出湯し、給湯混合弁11で給湯側給水バイパス管10からの水と混合されて、給湯管12を通過する。そして、制御装置30は給湯温度センサ15が検出した検出値が給湯設定温度と一致するように給湯混合弁11の弁開度を制御して、給湯設定温度の給湯を行う。また、給湯流量を調整するとき、制御装置30はフローセンサ14で検出した検出値が任意の給湯設定流量と一致するように流量調整弁16の弁開度を制御して、給湯を行う。そして、給湯栓13が閉じられることによって、制御装置30は給湯混合弁11の弁開度の制御を停止して給湯停止する。
【0021】
制御装置30には、外気温度が所定温度以下になると、加熱バイパス三方弁8を加熱バイパス管9側に切り替えて、加熱循環ポンプ6を駆動させ、加熱手段4の加熱を開始し、加熱された高温水を加熱バイパス管9に供給することで、加熱バイパス管9内を通る高温水によって、貯湯ユニット内の器具や配管の凍結を防止する凍結防止運転制御手段31が設けられている。
【0022】
また、凍結防止運転で加熱バイパス管9に供給した高温水は、貯湯ユニット内の器具や配管に放熱した後、加熱バイパス管9は給水管2に合流し、貯湯タンク1の下部から貯湯タンク1内に再び貯湯される。
【0023】
また、
図2は第1の実施形態の正面図である。32は貯湯タンク1と多数の部品や配管を囲うタンクユニット、33はタンクユニット32内の配管(給水管2、給湯管12、加熱往き管5、加熱戻り管7)とこれらに対応した外部配管とを接続する接続口が集中して設けられ、かつタンクユニット32の最低面から少し高い位置に前面側に突出するように設けられる接続口取付金具である。
【0024】
次に第1の実施形態について
図3に基づいて具体的な配管レイアウトを説明する。
34は樹脂で構成され、三方の各配管に接続する三方継手であり、給水管2から給水バイパス管側に分岐させる第1三方継手34A、給水管2へ加熱バイパス管9からの凍結防止運転で余った温水を合流させる第2三方継手34B、給水管2から排水管28側に分岐する第3三方継手34Cである。
【0025】
また、給水管2の上流部分であり、給水管2の一端から第1三方継手34Aまでの給水管2を給水上流管2A、給水管2の中流部分である第2三方継手34Bと第3三方継手34Cを接続する給水管2を給水中流管2B、給水管2の下流部分であり、第3三方継手34Cから貯湯タンク1下部を接続する給水管2である給水下流管2Cである。
【0026】
そして、貯湯タンク1下部への給水経路は、給水上流管2A、第1三方継手34A、第2三方継手34B、給水中流管2B、第3三方継手34C、給水下流管2Cの順で構成されている。
【0027】
このように、第2三方継手34Bは、接続口取付金具33よりも上、第3三方継手34Cは、接続口取付金具33よりも下に配置し、給水管2Bは分岐要素のない縦引き配管としている。
【0028】
また、三方継手34の接続端内に各配管を差し込み、三方継手34の接続端のフランジと配管端部のフランジとを配管用クイックファスナ35で押さえて、三方継手から配管が離脱しないようにしている。
【0029】
また、本実施例では、給水管2と三方継手34を容易に着脱できるようにするため、溶接やネジ接続ではなく、配管用クイックファスナ35を用いている。
【0030】
このように、貯湯タンク1下部に給水する給水経路は分岐および合流が多く、給水管2を溶接して加熱バイパス管9や排水管28を一体形成にすると給水中流管2Bの長さが長くなり、メンテナンス時に給水管2を取り外す場合、タンクユニット32を横に伸びる接続口取付金具33が邪魔で給水管2を取り外しづらいが、本実施例のように給水管2から分岐または合流する箇所には三方継手34を設けているので、接続口取付金具33があっても、接続口取付金具33を跨ぐように配置される給水管2Bは、分岐要素から孤立していて、多数の部品を取り外すことなく容易に給水管2を取り外すことができ、メンテナンス性が向上し、作業時間を短縮することができる。
【0031】
次に地震等の災害が発生して断水状態になった場合の貯湯タンク1内の温水の取り出し方法は、給水栓27を遮断して逃し弁26を開放し、排水バルブ29を開状態にすることで貯湯タンク1内に残存する湯水が取り出す非常時に貯湯タンク1内の水を排水している。
【0032】
このように、第3三方継手34Cで給水管2を排水管側に分岐させることができ、排水管28の途中に設けられた排水バルブ29を開き、非常時に貯湯タンク1内の水を排水することで水を確保することができる。
【0033】
また、排水バルブ29よりも下流側は排水管28の先にある排水口から水が排水されるが、排水バルブ29よりも上流側は水の流れは非常用の排水時にしか流れないため水が長期間留まってしまい、排水管28が錆びてしまう原因であったが、給水管2から第3三方継手34Cで排水管28に分岐し、分岐後直ぐに排水バルブ29が設けられるように配置されており、水が長期に溜まってしまうのを防止することができると共に、排水バルブ29よりも上流に溜まっている水は貯湯タンク1の給水時の水の流れによって攪拌され水が長期に溜まってしまうのを防止することができる。
【0034】
また、第3三方継手34Cと排水バルブ29を備えた排水弁を直接接続するものでもよく、水が長期に溜まってしまうのを防止することができると共に、排水バルブ29よりも上流に溜まっている水は貯湯タンク1の給水時の水の流れによって攪拌され水が長期に溜まってしまうのを防止することができる。
【0035】
また、三方継手34は樹脂性のもので構成されているため、銅管のように錆びる心配がなく、配管を腐食させて穴が開いてしまうのを防止することができる。
【0036】
なお、本発明は実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で改変することを妨げるものではなく、例えば、加熱バイパス管9は配管を接続しなくても三方継手34Bと加熱バイパス三方弁8を直接接続するものでも良い。
【符号の説明】
【0037】
1 貯湯タンク
2 給水管
3 出湯管
10 給湯側給水バイパス管
11 給湯混合弁
12 給湯管
26 逃し弁
28 排水管
29 排水バルブ
30 制御装置
34 三方継手
34A 第1三方継手
34B 第2三方継手
34C 第3三方継手