特許第6932565号(P6932565)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6932565
(24)【登録日】2021年8月20日
(45)【発行日】2021年9月8日
(54)【発明の名称】パターン欠陥検出方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20210826BHJP
   G01N 23/2251 20180101ALI20210826BHJP
【FI】
   H01L21/66 J
   G01N23/2251
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-123092(P2017-123092)
(22)【出願日】2017年6月23日
(65)【公開番号】特開2019-9256(P2019-9256A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2020年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】301014904
【氏名又は名称】TASMIT株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(72)【発明者】
【氏名】下田 諒
【審査官】 小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/175150(WO,A1)
【文献】 特開2012−049503(JP,A)
【文献】 特開2018−159577(JP,A)
【文献】 特開2018−056327(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01N 23/2251
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の画像を走査電子顕微鏡で生成し、
前記画像上の検査対象パターンのエッジを検出し、
前記検査対象パターンのエッジと、設計データから得られた前記検査対象パターンに対応する基準パターンのエッジとを比較することにより、前記検査対象パターンと前記基準パターンとのパターンマッチングを実行し、
前記検査対象パターンのエッジにより囲まれた領域の輝度を示す輝度指標値を算出し、
検査対象パターンのエッジの前記検出、パターンマッチングの前記実行、および輝度指標値の前記算出を繰り返して、複数の検査対象パターンの複数の輝度指標値、および対応する複数の基準パターンを含むマスデータを構築し、
前記マスデータに含まれる複数の輝度指標値に基づいて、輝度指標値の標準範囲を決定し、
前記算出された輝度指標値が前記標準範囲内にあるかに基づいて、前記検査対象パターンの欠陥を検出することを特徴とするパターン欠陥検出方法。
【請求項2】
前記輝度指標値は、前記検査対象パターンのエッジに囲まれた領域内の全ピクセルの輝度の最大値、最小値、中央値、平均値、3シグマから選択された1つであることを特徴とする請求項1に記載のパターン欠陥検出方法。
【請求項3】
前記マスデータに含まれる複数の基準パターンの形状に基づいて、前記マスデータに含まれる複数の検査対象パターンを複数のグループに分類する工程をさらに含み、
前記標準範囲を決定する工程は、前記マスデータに含まれる輝度指標値に基づいてグループごとに標準範囲を決定する工程であり、
前記検査対象パターンの欠陥を検出する工程は、検査対象パターンについて算出された輝度指標値が、その検査対象パターンが属するグループについて決定された標準範囲内にあるかに基づいて、前記検査対象パターンの欠陥を検出する工程であることを特徴とする請求項1または2に記載のパターン欠陥検出方法。
【請求項4】
前記複数の輝度指標値のヒストグラムを作成する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のパターン欠陥検出方法。
【請求項5】
前記複数の輝度指標値の平均は前記標準範囲内にあることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のパターン欠陥検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクトホールや配線などのパターンの欠陥を検出する方法に関し、より具体的には、設計データに基づき製造された、半導体集積回路(LSI)や液晶パネルを構成するパターンの欠陥検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の配線不良を検査する手法として、走査型電子顕微鏡を用いた電位コントラスト法を用いる検査手法がある。この手法は、パターンの下層配線にオープン欠陥またはショート欠陥があった場合に、SEM像上のパターンの輝度が低下することを利用し、良品から得られたSEM像と検査対象パターンのSEM像を比較することで、配線不良を検出する手法である。
【0003】
図9は、欠陥のないコンタクトホールと、欠陥のあるコンタクトホールを含むSEM画像を示す模式図である。図9に示すように、欠陥のないコンタクトホール600に比べて、欠陥のあるコンタクトホール601の輝度は低くなる。上記手法によれば、コンタクトホールの輝度の低下に基づいて、欠陥を検出することができる。
【0004】
しかしながら、電位コントラスト法を用いた配線不良検査では、使用する良品画像、および検査対象パターンの画像の生成方法によって検査の信頼性が左右される。そこで、画像の生成手法に関して、様々な手法が従来から提案されている。例えば、特許文献1では、良品画像生成に検査対象の設計データを用いることで、良品が存在しない場合でも電位コントラスト法を適用することができるという技術が開示されている。
【0005】
一方、設計データを用いた半導体集積回路のパターン検査として、ダイ・ツー・データベース(die to database)比較と呼ばれる手法がある。この手法は、検査対象のダイと呼ばれる半導体集積回路の画像を、その半導体集積回路の設計データから作成された基準画像と比較することで欠陥を検出する手法である(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−71268号公報
【特許文献2】特開2001−338304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、良品画像に設計データを用いる前記手法では、良品画像自体の輝度にばらつきがあると、パターン欠陥検出が正しく行われない。また、前記ダイ・ツー・データベース比較では、パターンエッジの位置が比較されるので、パターンの輝度に基づいた欠陥を検出することができない。
【0008】
そこで、本発明は、半導体集積回路のパターン欠陥をより高い精度で検出することができるパターン欠陥検出方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、試料の画像を走査電子顕微鏡で生成し、前記画像上の検査対象パターンのエッジを検出し、前記検査対象パターンのエッジと、設計データから得られた前記検査対象パターンに対応する基準パターンのエッジとを比較することにより、前記検査対象パターンと前記基準パターンとのパターンマッチングを実行し、前記検査対象パターンのエッジにより囲まれた領域の輝度を示す輝度指標値を算出し、検査対象パターンのエッジの前記検出、パターンマッチングの前記実行、および輝度指標値の前記算出を繰り返して、複数の検査対象パターンの複数の輝度指標値、および対応する複数の基準パターンを含むマスデータを構築し、前記マスデータに含まれる複数の輝度指標値に基づいて、輝度指標値の標準範囲を決定し、前記算出された輝度指標値が前記標準範囲内にあるかに基づいて、前記検査対象パターンの欠陥を検出することを特徴とするパターン欠陥検出方法である。
【0010】
本発明の好ましい態様は、前記輝度指標値は、前記検査対象パターンのエッジに囲まれた領域内の全ピクセルの輝度の最大値、最小値、中央値、平均値、3シグマから選択された1つであることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記マスデータに含まれる複数の基準パターンの形状に基づいて、前記マスデータに含まれる複数の検査対象パターンを複数のグループに分類する工程をさらに含み、前記標準範囲を決定する工程は、前記マスデータに含まれる輝度指標値に基づいてグループごとに標準範囲を決定する工程であり、前記検査対象パターンの欠陥を検出する工程は、検査対象パターンについて算出された輝度指標値が、その検査対象パターンが属するグループについて決定された標準範囲内にあるかに基づいて、前記検査対象パターンの欠陥を検出する工程であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記パターン欠陥検出方法は、前記複数の輝度指標値のヒストグラムを作成する工程をさらに含むことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記複数の輝度指標値の平均は前記標準範囲内にあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、輝度指標値のマスデータを用いて標準範囲が決定され、各輝度指標値は標準範囲と比較される。このようなマスデータを使用することで、電位コントラスト法による半導体集積回路の欠陥検査をより高い精度で行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】走査電子顕微鏡を備えたパターン欠陥検出装置の一実施形態を示す模式図である。
図2】試料であるウェーハを示す図である。
図3】複数のチップが含まれるショットを示す模式図である。
図4】検査対象パターンの模式図である。
図5】基準パターンの模式図である。
図6】パターン欠陥検出方法の一実施形態を示すフローチャートである。
図7】輝度指標値のヒストグラムである。
図8】コンピュータの構成を示す模式図である。
図9】欠陥のないコンタクトホールと、欠陥のあるコンタクトホールを含むSEM画像を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態に関して詳しく説明する。
図1は、走査電子顕微鏡を備えたパターン欠陥検出装置の一実施形態を示す模式図である。図1に示すように、パターン欠陥検出装置は、走査電子顕微鏡100と、走査電子顕微鏡の動作を制御するコンピュータ150とを備えている。走査電子顕微鏡100は、一次電子(荷電粒子)からなる電子ビームを発する電子銃111と、電子銃111から放出された電子ビームを収束する集束する集束レンズ112、電子ビームをX方向に偏向するX偏向器113、電子ビームをY方向に偏向するY偏向器114、電子ビームを試料であるウェーハ124にフォーカスさせる対物レンズ115を有する。
【0014】
集束レンズ112及び対物レンズ115はレンズ制御装置116に接続され、集束レンズ112及び対物レンズ115の動作はレンズ制御装置116によって制御される。このレンズ制御装置116はコンピュータ150に接続されている。X偏向器114、Y偏向器115は、偏向制御装置117に接続されており、X偏向器113、Y偏向器114の偏向動作は偏向制御装置117によって制御される。この偏向制御装置117も同様にコンピュータ150に接続されている。二次電子検出器130と反射電子検出器131は画像取得装置118に接続されている。画像取得装置118は二次電子検出器130と反射電子検出器131の出力信号を画像に変換するように構成される。この画像取得装置118も同様にコンピュータ150に接続されている。
【0015】
試料チャンバー120内に配置されるXYステージ121は、ステージ制御装置122に接続されており、XYステージ121の位置はステージ制御装置122によって制御される。このステージ制御装置122はコンピュータ150に接続されている。ウェーハ124を、試料チャンバー120内のXYステージ121に載置するためのウェーハ搬送装置140も同様にコンピュータ150に接続されている。コンピュータ150は設計データベース161が格納された記憶装置162、及びキーボード、マウス等の入力装置163、表示装置164を備えている。
【0016】
電子銃111から放出された電子ビームは集束レンズ112で集束された後に、X偏向器113、Y偏向器114で偏向されつつ対物レンズ115により集束されてウェーハ124の表面に照射される。ウェーハ124に電子ビームの一次電子が照射されると、ウェーハ124からは二次電子及び反射電子が放出される。二次電子は二次電子検出器130により検出され、反射電子は反射電子検出器131により検出される。検出された二次電子の信号、及び反射電子の信号は、画像取得装置118に入力され画像データに変化される。画像データはコンピュータ150に送信され、ウェーハ124の画像はコンピュータ150の表示装置164上に表示される。
【0017】
ウェーハ124の設計データ(パターンの寸法などの設計情報などを含む)は、記憶装置162に予め記憶されている。記憶装置162には、設計データベース161およびレシピデータベース165が構築されている。ウェーハ124の設計データは、設計データベース161内に予め格納される。コンピュータ150は、記憶装置162に格納されている設計データベース161からウェーハ124の設計データを読み出すことが可能である。パターン欠陥検出を行うために必要となる情報は、レシピとしてレシピデータベース165に予め格納される。パターン欠陥検出装置は、このレシピに従って動作する。
【0018】
ウェーハ124に関して図2図3を参照して説明する。ウェーハ124上には複数のショット202が形成される。各ショット202は、半導体デバイスの加工に用いられるフォトレジストパターンをウェーハ124上に描画するための単位である。図3に示すように、各ショット202には複数のチップ302を含めることができる。チップ302内にはパターン303が形成されており、チップ302の左下に形成されるパターン304の画像は、ウェーハ124のアライメントに用いることができる。
【0019】
設計データは、配線、コンタクトホール、ゲート、トランジスタなどの複数種のパターンの設計図である。設計データには、チップ302内のパターン303の形状情報及び位置情報が含まれている。半導体デバイスの製造工程においては、数十の積層膜に対してパターンの加工が行われるため、設計データには数十のレイヤーのデータが含まれる。
【0020】
本実施形態に係るパターン欠陥検出装置は、検査対象パターン(例えば、図4に示すような、欠陥401,402,403を含むパターン400)を含むウェーハの画像を生成し、ウェーハの画像から検査対象パターンの画像を抽出し、検査対象パターンの画像を設計データから得られた基準パターン(例えば、図5に示すようなパターン500)と比較する。
【0021】
より具体的には、コンピュータ150は、検査対象パターンの画像からエッジを検出する。次に、コンピュータ150は、検出したエッジと基準パターンのエッジとを比較することにより、検査対象パターン画像と基準パターンとのマッチングを行う。このマッチングは、検査対象パターンと同一形状および同一位置を持つ基準パターンを特定する処理である。基準パターンのレイヤー番号、形状情報(パターンの寸法や頂点の位置など)、下層配線の有無などの各種情報は、設計データに含まれる。したがって、基準パターンに対応する検査対象パターンのレイヤー番号、形状情報、下層配線の有無などの各種情報は、設計データから特定することができる。
【0022】
以下、上述したパターン欠陥検出装置を用いて実行されるパターン欠陥検出方法の一実施形態について図6に示すフローチャートを参照して説明する。ステップ1では、コンピュータ150は走査電子顕微鏡100に指令を発して、検査対象パターンが形成されたウェーハ124の画像を走査電子顕微鏡100に生成させる。コンピュータ150は生成された画像を走査電子顕微鏡100から取得する。ステップ2では、コンピュータ150は、生成された画像上の検査対象パターンのエッジを検出することで、検査対象パターンを画像から抽出する。ステップ3では、コンピュータ150は、検出したエッジと基準パターンのエッジとを比較することにより、検査対象パターン画像と基準パターンとのマッチングを行う。
【0023】
ステップ4では、コンピュータ150は、検査対象パターンの領域を、検出したエッジによって囲まれた領域として定義(特定)する。ステップ5では、コンピュータ150は、ステップ4で定義された検査対象パターンの領域内のピクセルの輝度(例えばグレイレベル)から、検査対象パターンの全体の輝度を示す輝度指標値を算出する。輝度指標値は、検査対象パターン内のピクセルの輝度の最大値、最小値、中央値、平均値、3シグマから選択された1つである。ステップ6では、コンピュータ150は、算出された検査対象パターンの輝度指標値、およびその検査対象パターンに対応する基準パターンの情報を記憶装置162に記憶する。検査対象パターンに対応する基準パターンは、検査対象パターンの同一の形状および同一の位置を有する基準パターンを意味する。
【0024】
パターン欠陥検出装置は、レシピデータベース165に予め格納されているレシピに従って動作する。レシピには、パターン欠陥検査を実行すべき指定領域が含まれる。したがって、パターン欠陥検出装置は、レシピに規定されている指定領域内にある全ての検査対象パターンの輝度指標値を算出する。ステップ7では、コンピュータ150は、指定領域内にある全ての検査対象パターンの輝度指標値を算出したかを判断する。指定領域内にある全ての検査対象パターンの輝度指標値が算出されていない場合は、コンピュータ150は、ステップ2からステップ6までの処理フローを繰り返す。
【0025】
ステップ2からステップ6までの処理フローを繰り返した結果、記憶装置162には、複数の検査対象パターンの複数の輝度指標値、およびそれらの検査対象パターンに対応する複数の基準パターンの情報を含むマスデータが構築される。複数の基準パターンの情報には、各基準パターンのレイヤー番号、各基準パターンの形状、下層配線接続の有無などのパターン識別要素が含まれる。レイヤー番号は、その基準パターンが位置するレイヤーの番号であり、基準パターンの形状は、その基準パターンの寸法および頂点の位置などの形状特定要素であり、下層配線接続の有無は、基準パターンが下層配線に接続されているか否かを示す接続状態である。
【0026】
上述したマスデータは、検査対象のウェーハと同一構造を有する他のウェーハにおいて過去に取得された複数の検査対象パターンの輝度指標値と、それらの検査対象パターンに対応する複数の基準パターンの情報をさらに含んでもよい。
【0027】
ステップ8では、コンピュータ150は、マスデータに含まれる基準パターンの情報に基づいて、検査対象パターンを複数のグループに分類する。より具体的には、コンピュータ150は、検査対象パターンに対応する基準パターンのレイヤー番号、形状、下層配線接続の有無などのパターン識別要素に従って、検査対象パターンを分類する。例えば、基準パターンのレイヤー番号、形状、および下層配線の接続状態が同じ検査対象パターンは同じグループに分類される。他の例として、基準パターンの形状は異なるが、レイヤー番号および下層配線の接続状態が同じ検査対象パターンは同じグループに分類される。
【0028】
ステップ9では、コンピュータ150は、グループごとに輝度指標値のヒストグラムを作成する。すなわち、コンピュータ150は、各グループに属する検査対象パターンの輝度指標値のヒストグラムを作成する。図7は、第1グループに属する検査対象パターンの輝度指標値のヒストグラムと、第2グループに属する検査対象パターンの輝度指標値のヒストグラムを示す。ヒストグラムの縦軸は検査対象パターンの個数を表しており、横軸は輝度(例えばグレイレベル)を表している。図7から分かるように、ヒストグラムの形状は、グループによって異なる。コンピュータ150は、作成されたヒストグラムを表示装置164に表示してもよい。
【0029】
ステップ10では、コンピュータ150は、各グループに属する複数の検査対象パターンの複数の輝度指標値に基づき、グループごとに輝度指標値の標準範囲を決定する。一実施形態では、コンピュータ150は、各グループに属する複数の検査対象パターンの複数の輝度指標値の平均に基づいて、各グループ内の輝度指標値の標準範囲を決定する。図7に示す例では、コンピュータ150は、第1グループに属する複数の検査対象パターンの複数の輝度指標値の平均を含む標準範囲R1を決定し、同様に、第2グループに属する複数の検査対象パターンの複数の輝度指標値の平均を含む標準範囲R2を決定する。
【0030】
ステップ11では、コンピュータ150は、各検査対象パターンの輝度指標値が、その検査対象パターンが属するグループにおいて決定された標準範囲内にあるか否かを決定する。図7に示す例では、コンピュータ150は、第1グループに属する検査対象パターンの輝度指標値が、対応する標準範囲R1内にあるかを決定し、同様に、第2グループに属する検査対象パターンの輝度指標値が、対応する標準範囲R2内にあるかを決定する。さらに、コンピュータ150は、第1グループに属するある検査対象パターンの輝度指標値が標準範囲R1内にない場合には、その検査対象パターンに欠陥があると判定する。同様に、コンピュータ150は、第2グループに属するある検査対象パターンの輝度指標値が標準範囲R2内にない場合には、その検査対象パターンに欠陥があると判定する。本実施形態によれば、標準範囲はグループごとに設定され、コンピュータ150は、検査対象パターンが属するグループについて決定された標準範囲を用いて、検査対象パターンの欠陥を検出する。コンピュータ150は、欠陥検出の結果を記憶装置162に記憶し、さらに欠陥検出の結果を表示装置164に表示する。
【0031】
図7に示すように、ヒストグラムの形状はグループごとに異なるので、標準範囲もグループごとに異なる。本実施形態によれば、検査対象パターンは、対応する基準パターンの情報に基づいて分類され、かつグループごとに標準範囲が決定されるので、コンピュータ150は、検査対象パターンの欠陥を正確に検出することができる。
【0032】
図8は、コンピュータ150の構成を示す模式図である。コンピュータ150は、プログラムやデータなどが格納される記憶装置162と、記憶装置162に格納されているプログラムに従って演算を行うCPU(中央処理装置)などの処理装置1120と、データ、プログラム、および各種情報を記憶装置162に入力するための入力装置163と、処理結果や処理されたデータを出力するための出力装置1140と、インターネットなどのネットワークに接続するための通信装置1150を備えている。
【0033】
記憶装置162は、処理装置1120がアクセス可能な主記憶装置1111と、データおよびプログラムを格納する補助記憶装置1112を備えている。主記憶装置1111は、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)であり、補助記憶装置1112は、ハードディスクドライブ(HDD)またはソリッドステートドライブ(SSD)などのストレージ装置である。
【0034】
入力装置163は、キーボード、マウスを備えており、さらに、記憶媒体からデータを読み込むための記憶媒体読み込み装置1132と、記憶媒体が接続される記憶媒体ポート1134を備えている。記憶媒体は、非一時的な有形物であるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であり、例えば、光ディスク(例えば、CD−ROM、DVD−ROM)や、半導体メモリ(例えば、USBフラッシュドライブ、メモリーカード)である。記憶媒体読み込み装置132の例としては、CDドライブ、DVDドライブなどの光学ドライブや、カードリーダーが挙げられる。記憶媒体ポート1134の例としては、USB端子が挙げられる。記憶媒体に電気的に格納されているプログラムおよび/またはデータは、入力装置163を介してコンピュータ150に導入され、記憶装置162の補助記憶装置1112に格納される。出力装置1140は、表示装置164、印刷装置1142を備えている。
【0035】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0036】
100 走査電子顕微鏡
111 電子銃
112 集束レンズ
113 X偏向器
114 Y偏向器
115 対物レンズ
116 レンズ制御装置
117 偏向制御装置
118 画像取得装置
120 試料チャンバー
121 XYステージ
122 ステージ制御装置
124 ウェーハ
130 二次電子検出器
131 反射電子検出器
140 ウェーハ搬送装置
150 コンピュータ
161 設計データベース
162 記憶装置
163 入力装置
164 表示装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9