特許第6932794号(P6932794)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6932794
(24)【登録日】2021年8月20日
(45)【発行日】2021年9月8日
(54)【発明の名称】電気式体毛処理器
(51)【国際特許分類】
   A45D 26/00 20060101AFI20210826BHJP
   A45D 24/10 20060101ALI20210826BHJP
【FI】
   A45D26/00 Z
   A45D24/10
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-7296(P2020-7296)
(22)【出願日】2020年1月21日
(65)【公開番号】特開2021-112443(P2021-112443A)
(43)【公開日】2021年8月5日
【審査請求日】2020年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】519241439
【氏名又は名称】合同会社PELOUSA
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】特許業務法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】麓 雄介
【審査官】 石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−068484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 24/10
A45D 26/00
A61B 18/04
A61B 18/08
B26B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に電子回路を収容するケース部と、
前記ケース部の先端部に設けられ、体毛を切断するための線状の発熱体を収容する体毛焼き切り部と、
を具備した電気式体毛処理器であって、
前記体毛焼き切り部は、
前記ケース部の第1の側面から先端方向に向けて直線状に伸びる複数の第1の櫛歯と、
前記ケース部の、第1の側面と対向する第2の側面から、先端方向に向けて、かつ、前記第1の櫛歯に向けて外側に凸状となるように湾曲して伸びる複数の第2の櫛歯と、
を具備し、
前記第1の櫛歯の数より前記第2の櫛歯の数が少なく、前記第1の櫛歯の間の間隔より前記第2の櫛歯の間の間隔の方が広い
ことを特徴とする電気式体毛処理器。
【請求項2】
請求項1に記載の電気式体毛処理器であって、
前記第1の櫛歯と、前記第2の櫛歯は、前記体毛焼き切り部の外郭を構成する樹脂製部材と一体に構成されており、前記ケース部に対して回動自在に係止され、前記発熱体を覆った使用時の状態と、前記発熱体を露出させたクリーニング時の状態とに設定可能とされている
ことを特徴とする電気式体毛処理器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電気式体毛処理器であって、
前記発熱体は、前記第1の櫛歯と、前記第2の櫛歯との間であって、これらの中間より前記第1の櫛歯側に寄った部位に配設されている
ことを特徴とする電気式体毛処理器。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項記載の電気式体毛処理器であって、
前記第2の櫛歯同士の間隔は、前記第1の櫛歯同士の間隔の略1.8倍〜2.0倍とされている
ことを特徴とする電気式体毛処理器。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項記載の電気式体毛処理器であって、
前記ケース部は、外郭が手で持って操作する際の握り部分とされている
ことを特徴とする電気式体毛処理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気式体毛処理器に関し、特にアンダーヘアー等の処理に好適な電気式体毛処理器に関する。
【背景技術】
【0002】
体毛、特にアンダーヘアーの処理に挟みや剃刀などの刃物を使用すると、毛先が刃物により切り取られるために、尖鋭となり、毛先に触れたときにチクチクする等の刺激を受けるため好ましくない。このため、アンダーヘアー等のムダ毛の処理に使用する電気式体毛処理器として、ニクロム線等の通電発熱体を使用して熱で焼き切るタイプのものが従来から提案されている(例えば、特許文献1参照、特許文献2参照。)
【0003】
上記のようにニクロム線等の通電発熱体を使用し、アンダーヘアー等のムダ毛を熱で焼き切るタイプの電気式体毛処理器では、切断された体毛の先端は、刃物で切断した場合とは異なり、尖鋭にはならず、毛先に触れた際にチクチクする等の刺激を受けることがないという特徴を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3147813号公報
【特許文献2】特開平10−327928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の電気式体毛処理器では、2枚の櫛歯状の部材の間にニクロム線等の通電発熱体を配置した構成となっており、片手でムダ毛の毛先を掴み、この掴んだムダ毛の切断したい長さ方向の部位に櫛歯状の部材を当てがい、櫛歯状の部材の中間部に挟み込まれた通電発熱体で焼き切るようになっている。
【0006】
しかしながら、電気式体毛処理器においては、さらに使い勝手を改善してより使いやすく、効率的にアンダーヘアー等のムダ毛を処理することのできる電気式体毛処理器の開発が望まれていた。また、男性がアンダーヘアー等のムダ毛を処理する際においても好適に使用することのできる電気式体毛処理器の開発が望まれていた。
【0007】
本発明の目的は、従来に比べてより使いやすく、効率的にアンダーヘアー等のムダ毛を処理することのできる電気式体毛処理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態の電気式体毛処理器は、内部に電子回路を収容するケース部と、前記ケース部の先端部に設けられ、体毛を切断するための線状の発熱体を収容する体毛焼き切り部と、を具備した電気式体毛処理器であって、前記体毛焼き切り部は、前記ケース部の第1の側面から先端方向に向けて直線状に伸びる複数の第1の櫛歯と、前記ケース部の、第1の側面と対向する第2の側面から、先端方向に向けて、かつ、前記第1の櫛歯に向けて外側に凸状となるように湾曲して伸びる複数の第2の櫛歯と、を具備し、前記第1の櫛歯の数より前記第2の櫛歯の数が少なく、前記第1の櫛歯の間の間隔より前記第2の櫛歯の間の間隔の方が広いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電気式体毛処理器によれば、従来に比べてより使いやすく、効率的にアンダーヘアー等のムダ毛を処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る電気式体毛処理器の全体構成を示す斜視図。
図2図1の電気式体毛処理器の平面図。
図3図1の電気式体毛処理器の側面図。
図4図1の電気式体毛処理器の正面図。
図5図1の電気式体毛処理器の第1の櫛歯と第2の櫛歯と発熱体の位置関係を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、実施形態に係る電気式体毛処理器について詳細に説明する。
【0012】
図1は、実施形態に係る電気式体毛処理器100の全体構成を示す斜視図、図2は電気式体毛処理器100の平面図、図3は電気式体毛処理器100の側面図である。これらの図に示すように、電気式体毛処理器100は、内部に電子回路(図示せず。)を収容し、外郭が手で持って操作する際の握り部分として使用されるケース部101を具備している。ケース部101は、樹脂製であり、片手で握れる大きさとされており、本実施形態の例では、図2に示すように長手方向の長さAが約110mm、短手方向の長さBが約50mm、図3に示すように厚さDが約20mmとされている。
【0013】
なお、電子回路としては、後述する発熱体105に電力を供給する回路、使用状態を示すLEDランプ111等を点灯させるための回路、一定時間使用状態が継続した場合に自動的に電力供給を停止するための回路、電力を供給するための電池等がある。なお、図2等に示される110は、メインスイッチであり、112は、後述する体毛焼き切り部102の第1の櫛歯103及び第2の櫛歯104を図2に示す矢印のように回動させて開くための開閉ボタンである。
【0014】
ケース部101の長手方向の先端部(図2中上端部)には、体毛焼き切り部102が設けられている。体毛焼き切り部102には、ケース部101の第1の側面(下側面)101aから先端方向(図2中上方向)に向けて、直線状に伸びる複数の第1の櫛歯103が設けられている。
【0015】
また、体毛焼き切り部102には、ケース部101の第1の側面101aと対向する第2の側面(上側面)101bから、先端方向(図2中上方向)に向けて、かつ、第1の櫛歯103に向けて外側に凸状(熊手状)となるように湾曲して伸びる複数の第2の櫛歯104が設けられている。
【0016】
図4に示されるように、第1の櫛歯103の間の間隔と、第2の櫛歯104の間の間隔は、第2の櫛歯104の間の間隔の方が広く設定されており、櫛歯の本数も、第1の櫛歯103の本数よりも第2の櫛歯104の本数の方が少なく設定されている。本実施形態では、第1の櫛歯103が14本、第2の櫛歯104が10本とされている。第1の櫛歯103同士の間隔は、1mmであり、第2の櫛歯104同士の間隔は、2mmである。
【0017】
図4に示されるように、体毛焼き切り部102を先端側から見た時に、第1の櫛歯103と第2の櫛歯104との間には間隔106が設けられており、この間隔の奥側に、ニクロム線等からなる線状の発熱体105が設けられている。
【0018】
図5に、第1の櫛歯103、第2の櫛歯104、発熱体105、間隔106の位置関係を側方から見た場合について模式的に示す。図5に示すように、第1の櫛歯103は直線状になっており、第2の櫛歯104は第1の櫛歯103の方向に向けて外側に凸状(熊手状)となるように湾曲している形状となっている関係から、上記した間隔106は、第1の櫛歯103と第2の櫛歯104との中間から第1の櫛歯103側に寄った位置に形成されており、したがって、発熱体105も、第1の櫛歯103と第2の櫛歯104との中間から第1の櫛歯103側に寄った位置に設けられている。なお、図5に示す間隔106の幅d1は、約5mm程度になっている。
【0019】
なお、第1の櫛歯103及び第2の櫛歯104は、体毛焼き切り部102の外郭を構成する樹脂製部材と一体に構成されており、図2における左側の部分で、ケース部101に対して回動自在に係止されている。そして、ケース部101の開閉ボタン112を押すことによって図2に矢印で示すように第1の櫛歯103及び第2の櫛歯104を含む樹脂製部材が開き(図2中点線で示す。)、内部に配設された発熱体105を露出させ、その周辺をクリーニングすることができるようになっている。
【0020】
電気式体毛処理器100の基本的な使用態様としては、第1の櫛歯103を肌に沿わせて移動させることによって、アンダーヘアー等の体毛を起こし、起こした体毛を第2の櫛歯104の間で支えて第1の櫛歯103と第2の櫛歯104との間に設けられた線状の発熱体で焼き切るようになっている。したがって、両手を使うことなく、片手で電気式体毛処理器100を握って体毛処理を効率的に行うことができ、男性がアンダーヘアー等のムダ毛を処理する際においても好適に使用することができる。なお、アンダーヘアー等の場合、直毛ではなく縮毛が多く、この縮毛を効率良く焼き切れるようにする必要がある。また、発熱体105を使用している関係から、発熱体105と肌が近づき過ぎないようにして火傷等しないように熱に対する安全性を確保する必要がある。
【0021】
なお、電気式体毛処理器100は、体毛の先端側を片手で保持し、もう一方の手で電気式体毛処理器100を握って体毛に当てて処理する使い方も可能である。また、肌に対して垂直方向から電気式体毛処理器100を当て、第2の櫛歯104の先端側を肌に沿ってスライドさせるようにして体毛処理する使い方も可能である。
【0022】
第1の櫛歯103の本数及び間隔と、第2の櫛歯104の本数及び間隔を上記のようにした理由について以下に説明する。なお、前述したとおり、電気式体毛処理器100の基本的な使用態様としては、第1の櫛歯103を肌に沿わせて移動させて、アンダーヘアー等の体毛を起こすものであるため、第1の櫛歯103の間隔は、熱に対する安全性を十分確保できるようにする必要があり、この観点からは、1mm乃至1.1mm程度とすることが好ましい。この場合、本実施形態では、第1の櫛歯103の本数は、14本又は13本とすることが好ましい。本実施形態では、前述したとおり、第1の櫛歯103の間隔を1mm、本数を14本としている。
【0023】
第1の櫛歯103の本数及び間隔に対して、第2の櫛歯104の最適な本数及び間隔を調べるため、第2の櫛歯104の本数及び間隔を、14本で間隔1mm(第1の櫛歯103と同一)、12本で間隔1.4mm、10本で間隔2mm、8本で間隔2.9mmとした体毛焼き切り部102を製造し、体毛のすき易さ・立ち上げ易さ、熱に対する安全性の2点を調査した。
【0024】
上記の調査の結果を表1に示す。なお、表1における評価は、×、△、○の順で高い評価であることを示している。
【表1】
【0025】
表1に示すように、第2の櫛歯104の本数及び間隔を、第1の櫛歯103と同一の14本、間隔1mmとした場合、第2の櫛歯104の間隔が狭いため、第1の櫛歯103で立ち上げた体毛が第2の櫛歯104と干渉してしまい、第2の櫛歯104の間に入り難くなり、体毛のすき易さ・立ち上げ易さの評価が低くなった。この場合、熱に対する安全性は良好であった。
【0026】
表1に示すように、第2の櫛歯104の本数及び間隔を、12本、1.4mmとした場合、上記した14本、間隔1mmとした場合に比べて体毛のすき易さ・立ち上げ易さについて改善が見られたが、十分ではなかった。熱に対する安全性は良好であった。
【0027】
表1に示すように、第2の櫛歯104の本数及び間隔を、10本、2mmとした場合、上記した2例に比べて体毛のすき易さ・立ち上げ易さは良好であった。また、熱に対する安全性についても良好であった。
【0028】
表1に示すように、第2の櫛歯104の本数及び間隔を、8本、2.9mmとした場合、上記した最初の2例に比べて体毛のすき易さ・立ち上げ易さは良好であった。しかし、第2の櫛歯104の間隔が広いため、櫛歯の間に特に皮膚の軟らかい部分や弛んだ部分が喰い込み易く、熱さを感じる場合があり、熱に対する安全性につい評価が△となった。
【0029】
上記のように、第2の櫛歯104の本数及び間隔を、第1の櫛歯103と同一とすると、第2の櫛歯104の間隔が狭いため、第1の櫛歯103で立ち上げた体毛が第2の櫛歯104と干渉してしまい、第2の櫛歯104の間に入り難くなり、体毛のすき易さ・立ち上げ易さが良くない結果になった。一方、第2の櫛歯104の本数を減らしてその間隔を広げ過ぎると、櫛歯の間に特に皮膚の軟らかい部分が喰い込み易く、熱さを感じる場合があり、熱に対する安全性の点で好ましくなく、△いという結果となった。
【0030】
このため、本実施形態では、第2の櫛歯104の本数及び間隔を、10本、2mmとした。これによって、体毛のすき易さ・立ち上げ易さが良好で、かつ、熱に対する安全性も確保できるようにした。また、本実施形態では、図5に示したとおり、発熱体105も、第1の櫛歯103と第2の櫛歯104との中間から第1の櫛歯103側に寄った位置に設けられている。つまり、より櫛歯が密に配置され櫛歯同士の間隔が狭い側に寄って発熱体105が配設されているので、より確実に熱に対する安全性を確保できるようになっている。なお、第1の櫛歯103の本数を、13本とし、間隔を1.1mmとした場合も、上記した14本とした場合と同様な結果となった。すなわち、この場合も第2の櫛歯104の本数を10本、間隔を2mmとすることが好ましい。第1の櫛歯103の間隔に対する第2の櫛歯104の間隔の比は、約1.8倍〜2.0倍程度とすることが好ましい。
【0031】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0032】
100……電気式体毛処理器、101……ケース部、101a……第1の側面(下側面)、101b……第2の側面(上側面)、102……体毛焼き切り部、103……第1の櫛歯、104……第2の櫛歯104、105……発熱体、106……間隔、110……メインスイッチ、111……使用状態を示すLEDランプ、112……開閉ボタン。
図1
図2
図3
図4
図5