特許第6932980号(P6932980)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6932980通信装置、管理サーバー、管理システムおよびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6932980
(24)【登録日】2021年8月23日
(45)【発行日】2021年9月8日
(54)【発明の名称】通信装置、管理サーバー、管理システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/00 20060101AFI20210826BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20210826BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20210826BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20210826BHJP
【FI】
   G06F13/00 357A
   G06F3/12 303
   G06F3/12 329
   G06F3/12 385
   H04N1/00 127Z
   B41J29/38
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-86968(P2017-86968)
(22)【出願日】2017年4月26日
(65)【公開番号】特開2018-185651(P2018-185651A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2020年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】石田 豪
【審査官】 岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−207023(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/00
B41J 29/38
G06F 3/12
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスを管理する通信装置であって、
前記デバイスに関する管理情報を記憶する記憶部と、
ネットワークを介して外部との通信を実行する通信部と、
前記通信部が、前記デバイスを管理すべきサーバーを指定する指定情報を管理サーバーから受信した場合に、前記指定情報が指定するサーバーを送信先として前記通信部に前記管理情報を送信させる制御部と、を備え
前記通信部が前記指定情報が指定するサーバーから前記管理情報の送信先の変更指示を受信した場合、
前記制御部は、前記通信部に前記デバイスの識別情報を前記管理サーバーへ送信させ、
前記通信部は、前記識別情報の送信への応答として前記管理サーバーから前記識別情報に対応する新たな指定情報を受信し、
前記制御部は、前記新たな指定情報が指定するサーバーを送信先として前記通信部に前記管理情報を送信させる、ことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記通信部に前記デバイスの識別情報を前記管理サーバーへ送信させ、
前記通信部は、前記識別情報の送信への応答として前記管理サーバーから前記識別情報に対応する前記指定情報を受信することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記通信部が受信した前記指定情報を第2記憶部に記憶させ、当該第2記憶部が記憶する前記指定情報に基づいて前記管理情報の送信先を特定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記通信装置は、外部の前記デバイスから前記管理情報を取得し、取得した前記管理情報を前記記憶部に記憶することを特徴とする請求項1〜請求項のいずれかに記載の通信装置。
【請求項5】
前記通信装置は、前記デバイスを含むことを特徴とする請求項1〜請求項のいずれかに記載の通信装置。
【請求項6】
デバイスの識別情報と、デバイスに関する管理情報の送信先のサーバーを指定する指定情報と、の対応関係を記憶する記憶部と、
ネットワークを介して、デバイスを管理する外部の通信装置との通信を実行する通信部と、
前記通信部により通信する通信装置を送信先として、前記通信装置が管理する前記デバイスの識別情報に対応する前記指定情報を前記通信部に送信させる制御部と、を備え
前記記憶部は、前記デバイス毎の前記管理情報の送信の許可または不許可を規定したアップロード許諾情報を更に記憶しており、
前記通信部が、前記通信装置から前記識別情報を受信した場合に、前記制御部は、当該受信した識別情報に対応する前記アップロード許諾情報を前記記憶部から読み出し、当該読み出した前記アップロード許諾情報が前記管理情報の送信を許可している場合に、前記通信部に、前記受信した識別情報に対応する前記指定情報を前記通信装置へ送信させる、ことを特徴とする管理サーバー。
【請求項7】
デバイスを管理する管理システムであって、
前記デバイスに関する管理情報を取得する通信装置と、
前記デバイスを管理すべきサーバーを指定する指定情報を前記通信装置に送信する管理サーバーと、を含み、
前記通信装置は、
前記指定情報を前記管理サーバーから受信した場合に、前記指定情報が指定するサーバーを送信先として、前記管理情報を送信し、
前記指定情報が指定するサーバーから前記管理情報の送信先の変更指示を受信した場合には、前記デバイスの識別情報を前記管理サーバーへ送信し、前記識別情報の送信への応答として前記管理サーバーから前記識別情報に対応する新たな指定情報を受信し、前記新たな指定情報が指定するサーバーを送信先として前記管理情報を送信する、ことを特徴とする管理システム。
【請求項8】
デバイスを管理する管理システムであって、
前記デバイスに関する管理情報を取得する通信装置と、
前記デバイスを管理すべきサーバーを指定する指定情報を前記通信装置に送信する管理サーバーと、を含み、
前記管理サーバーは、前記デバイス毎の前記管理情報の送信の許可または不許可を規定したアップロード許諾情報を記憶部に記憶しており、前記通信装置から前記デバイスの識別情報を受信した場合に、当該受信した識別情報に対応する前記アップロード許諾情報を前記記憶部から読み出し、当該読み出した前記アップロード許諾情報が前記管理情報の送信を許可している場合に、前記受信した識別情報に対応する前記指定情報を前記通信装置へ送信し、
前記通信装置は、前記指定情報を前記管理サーバーから受信した場合に、前記指定情報が指定するサーバーを送信先として、前記管理情報を送信する、ことを特徴とする管理システム。
【請求項9】
前記サーバーは、デバイスと当該デバイスの購入先を示す購入先情報とを対応付けて管理しており、前記通信装置から送信された前記デバイスに関する管理情報に基づき、消耗品を交換すべきと判断した場合に、前記購入先情報に基づいて、ネットワークを介して前記購入先に前記消耗品の配送要求を送信することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の管理システム。
【請求項10】
デバイスを管理するためのプログラムであって、
コンピューターに、
前記デバイスに関する管理情報を取得する工程と、
前記デバイスを管理すべきサーバーを指定する指定情報を管理サーバーから受信する工程と、
前記指定情報を受信した場合に、前記指定情報が指定するサーバーを送信先として前記管理情報を送信する工程と、
前記指定情報が指定するサーバーから前記管理情報の送信先の変更指示を受信した場合に、前記デバイスの識別情報を前記管理サーバーへ送信する工程と、
前記識別情報の送信への応答として前記管理サーバーから前記識別情報に対応する新たな指定情報を受信する工程と、
前記新たな指定情報が指定するサーバーを送信先として前記管理情報を送信する工程と、を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、管理サーバー、管理システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンターのインク残量等の情報は、所定のサーバーにアップロードされ、各プリンターの管理に用いられていた。
【0003】
また、プリンターのインク残量に関する残量情報を取得し、インク残量が閾値以下であり、かつ残量情報が発注指令によるカートリッジの残量情報である場合に、カートリッジの発注を行う情報管理サーバーが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016‐194771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、プリンター等のデバイスに関する情報は、予め決められた一のサーバーで管理するのではなく、当該情報を適切なサーバーへ送信して管理するための仕組みが求められていた。
【0006】
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、デバイスに関する情報の適切な送信や管理の実現に寄与する通信装置、管理サーバー、管理システムおよびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様の一つは、デバイスを管理する通信装置であって、前記デバイスに関する管理情報を記憶する記憶部と、ネットワークを介して外部との通信を実行する通信部と、前記通信部が、前記デバイスを管理すべきサーバーを指定する指定情報を管理サーバーから受信した場合に、前記指定情報が指定するサーバーを送信先として前記通信部に前記管理情報を送信させる制御部と、を備える。
【0008】
当該構成によれば、通信装置は、管理サーバーから受信した指定情報に従って、適切なサーバーへ管理情報を送信することができる。
本発明は、デバイス自身がサーバーと通信を行う通信装置として機能する構成であってもよい。つまり、前記通信装置は、前記デバイスを含むとしてもよい。あるいは、本発明は、デバイスから管理情報を取得し記憶する別の機器(通信装置)がサーバーと通信を行う構成であってもよい。つまり、前記通信装置は、外部の前記デバイスから前記管理情報を取得し、取得した前記管理情報を前記記憶部に記憶するとしてもよい。あるいは、デバイスと当該別の機器とを含んだ構成を本発明の通信装置と捉えてもよい。
【0009】
本発明の態様の一つは、前記制御部は、前記通信部に前記デバイスの識別情報を前記管理サーバーへ送信させ、前記通信部は、前記識別情報の送信への応答として前記管理サーバーから前記識別情報に対応する前記指定情報を受信するとしてもよい。
当該構成によれば、通信装置は、デバイスの識別情報を管理サーバーへ送信することにより、当該デバイスの管理情報の送信先を示す指定情報を管理サーバーから取得することができる。
【0010】
本発明の態様の一つは、前記制御部は、前記通信部が受信した前記指定情報を第2記憶部に記憶させ、当該第2記憶部が記憶する前記指定情報に基づいて前記管理情報の送信先を特定するとしてもよい。
当該構成によれば、通信装置は、管理サーバーから指定情報を受信し第2記憶部に記憶させた後は、第2記憶部が記憶する指定情報を参照することにより管理情報の送信先を特定することができる。
【0011】
本発明の態様の一つは、前記通信部が前記指定情報が指定するサーバーから前記管理情報の送信先の変更指示を受信した場合、前記制御部は、前記通信部に前記デバイスの識別情報を前記管理サーバーへ送信させ、前記通信部は、前記識別情報の送信への応答として前記管理サーバーから前記識別情報に対応する新たな指定情報を受信し、前記制御部は、前記新たな指定情報が指定するサーバーを送信先として前記通信部に前記管理情報を送信させる、としてもよい。
当該構成によれば、通信装置は、それまで管理情報の送信先であったサーバーから前記変更指示を受信した場合に、デバイスの識別情報を管理サーバーへ送信することにより、管理情報の新たな送信先を示す指定情報を管理サーバーから取得することができる。これにより、管理情報の送信先の変更に適切に対応することができる。
【0012】
本発明の技術的思想は、通信装置というカテゴリー以外にも様々な態様にて実現される。例えば、デバイスの識別情報と、デバイスに関する管理情報の送信先のサーバーを指定する指定情報と、の対応関係を記憶する記憶部と、ネットワークを介して、デバイスを管理する外部の通信装置との通信を実行する通信部と、前記通信部により通信する通信装置を送信先として、前記通信装置が管理する前記デバイスの識別情報に対応する前記指定情報を前記通信部に送信させる制御部と、を備えることを特徴とする管理サーバーを、一つの発明として捉えることができる。
管理サーバーの特徴の一つとして、前記記憶部は、前記デバイス毎の前記管理情報の送信の許可または不許可を規定したアップロード許諾情報を更に記憶しており、前記通信部が、前記通信装置から前記識別情報を受信した場合に、前記制御部は、当該受信した識別情報に対応する前記アップロード許諾情報を前記記憶部から読み出し、当該読み出した前記アップロード許諾情報が前記管理情報の送信を許可している場合に、前記通信部に、前記受信した識別情報に対応する前記指定情報を前記通信装置へ送信させる構成を把握することができる。
【0013】
また、通信装置(あるいはデバイス)や管理サーバーがそれぞれ実行する工程に対応する方法や、方法をハードウェア(コンピューター)に実行させるプログラムや、プログラムを記憶したコンピューター読取可能な記憶媒体も、それぞれ発明として成立する。
さらに、通信装置(あるいはデバイス)や管理サーバーを含んだシステムも発明として成立する。
【0014】
例えば、デバイスを管理する管理システムであって、前記デバイスに関する管理情報を取得する通信装置と、前記デバイスを管理すべきサーバーを指定する指定情報を前記通信装置に送信する管理サーバーと、を含み、前記通信装置は、前記指定情報を前記管理サーバーから受信した場合に、前記指定情報が指定するサーバーを送信先として、前記デバイスに関する管理情報を送信する管理システムを把握することができる。
また、前記システムにおいて、前記サーバーは、デバイスと当該デバイスの購入先を示す購入先情報とを対応付けて管理しており、前記通信装置から送信された前記デバイスに関する管理情報に基づき、消耗品を交換すべきと判断した場合に、前記購入先情報に基づいて、ネットワークを介して前記購入先に前記消耗品の配送要求を送信するとしてもよい。
さらに、デバイスを管理するためのプログラム(デバイス管理プログラム)であって、コンピューターに、前記デバイスに関する管理情報を取得する工程と、前記デバイスを管理すべきサーバーを指定する指定情報を管理サーバーから受信する工程と、前記指定情報を受信した場合に、前記指定情報が指定するサーバーを送信先として前記管理情報を送信する工程と、を実行させるプログラムが把握される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】システムの構成を簡易的に示す図。
図2】アップロード先規定テーブルを簡易的に示す図。
図3】第1実施形態を説明するためのフローチャート。
図4】第2実施形態を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、各図を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお各図は、本実施形態を説明するための例示に過ぎない。
【0017】
1.システムの概略的説明:
図1は、本実施形態にかかるシステム(デバイスの管理システム)1の構成を簡易的に示している。システム1は、管理サーバー10や、デバイス20(例えば、デバイス20a,20b,20c…)を含む。本実施形態においてデバイス20には、それらの状態が外部のサーバーによる管理対象となる電子機器全般(例えば、プリンター、スキャナー、プロジェクター等)が該当し得る。以下では一例として、デバイス20はプリンターであるとする。プリンターとは、少なくとも印刷機能を有する装置である。そのため、プリンターは、例えば、スキャナーやファクシミリ等としても機能する複合機であってもよい。
【0018】
デバイス20は、ネットワークNWに接続可能である。ネットワークNWは、例えばインターネットやローカルエリアネットワーク(LAN)を含む。ネットワークNWは、有線ネットワークであっても無線ネットワークであってもよい。
【0019】
デバイス20は、制御部21、通信インターフェイス(IF)22、記憶部23等を備える。図1では、複数のデバイス20a,20b,20c…を代表して、デバイス20aについて内部構成を例示している。制御部21は、例えば、CPU、ROM、RAM等を有する1つ又は複数のICや、その他のメモリー等を含んで構成される。制御部21は、インストールされたプログラム(例えば、デバイス管理プログラムPR)とハードウェアとが協働することにより、デバイス20の挙動を制御する。
【0020】
通信IF22は、公知の通信規格を含む所定の通信プロトコルに準拠してネットワークNWを介して外部と通信を実行するIFである。記憶部23は、例えば、ハードディスクドライブやフラッシュメモリー等の記憶装置や、制御部21の一部分によって構成される。
【0021】
図示は省略しているが、デバイス20は、視覚的情報を表示するための表示部や、ユーザーからの操作を受け付けるためのタッチパネルや物理ボタン等の操作部といった公知の構成を適宜備える。デバイス20がプリンターであれば、デバイス20は印刷機能を実現するための印刷部(インクを吐出するための印刷ヘッド、インクを保有するインクカートリッジ、印刷媒体を搬送するための搬送機構、等)24を当然備える。
【0022】
このようなデバイス20(デバイス20a,20c)は、ネットワークNWを介して自身に関する管理情報(デバイス管理情報)を外部のサーバーへ送信(アップロード)可能であり、それぞれが本発明の「デバイス(自身)を管理する通信装置」の一例に該当する。デバイス管理情報とは、デバイス20の管理に用いられる情報であり、具体的には、デバイス20(プリンター)のインクカートリッジにおけるインク残量やそれまでの印刷枚数等といった消耗品に関する情報、デバイス20の印刷動作等において発生したエラー情報、その他デバイス20のステータス情報等を含む。デバイス20の記憶部23には、デバイス管理情報が記憶されている。制御部21は、記憶部23が既に記憶しているデバイス管理情報をより新しいデバイス管理情報で適宜更新する。そして、制御部21は、記憶部23に記憶されているデバイス管理情報を、ネットワークNWを介して外部のサーバーへアップロードする。
【0023】
また、図1に例示するように、デバイス20(デバイス20b)は、LANやUSB等のローカル接続によって他の通信機器30と接続し、他の通信機器30を介してネットワークNWに接続してもよい。通信機器30は、例えば、パーソナルコンピューター(PC)、スマートフォン、タブレット型端末、携帯電話機等により実現される。通信機器30は、制御部31(および制御部31にインストールされたデバイス管理プログラムPR)、通信IF32、記憶部33等を備える。制御部31、通信IF32、記憶部33についての基本的説明は、制御部21、通信IF22、記憶部23についての前記説明を準用可能である。
【0024】
通信機器30では、制御部31が、監視対象としている所定のデバイス20(デバイス20b)と有線あるいは無線で通信することにより、デバイス20bからデバイス20bのデバイス管理情報を取得し、記憶部33に記憶させる。制御部31は、デバイス20bから取得したデバイス管理情報により、記憶部33が既に記憶しているデバイス管理情報を更新する。そして、制御部31は、記憶部33に記憶されているデバイス20bのデバイス管理情報を、ネットワークNWを介して外部のサーバーへアップロード可能である。従って、通信機器30も、本発明の「デバイスを管理する通信装置」の一例に該当する。あるいは、デバイス20bと、デバイス20bを監視してデバイス管理情報を取得する通信機器30との組み合わせを、本発明の「通信装置」の一例と捉えてもよい。
【0025】
以下では、デバイス20(20a,20c)、通信機器30、あるいは通信機器30とデバイス20(20b)との組み合わせを、単に「通信装置P」と呼ぶことがある。通信装置Pは、デバイス20に関するデバイス管理情報を記憶する記憶部23(または記憶部33)と、ネットワークNWを介して外部との通信を実行する通信部(通信IF22および制御部21、または通信IF32および制御部31)と、通信部がデバイス20を管理すべきサーバー(デバイス管理情報の送信先のサーバー)を指定する指定情報(送信先指定情報)を所定の管理サーバー10から受信した場合に、送信先指定情報が指定するサーバーを送信先として通信部にデバイス管理情報を送信させる制御部21(または制御部31)と、を備える。
【0026】
管理サーバー10は、ネットワークNWに接続している。図1の例では、さらに他のサーバー50,60…がネットワークNWに接続している。サーバー10,50,60…はそれぞれ、ネットワークNW上のサーバーとして機能する1台あるいは複数台の情報処理装置によって実現される。あるいは、サーバー10,50,60…はそれぞれ、物理サーバー内に構築された仮想的なサーバーであってもよい。
【0027】
管理サーバー10は、制御部11、通信IF12、記憶部13等を含んで構成される。制御部11は、例えば、CPU、ROM、RAM等を有する1つ又は複数のICや、その他のメモリー等を含んで構成され、インストールされたプログラムとハードウェアとが協働することにより、管理サーバー10の挙動を制御する。通信IF12は、公知の通信規格を含む所定の通信プロトコルに準拠してネットワークNWを介して外部と通信を実行するIFである。従って、通信IF12および制御部11は、管理サーバー10の通信部に該当する。記憶部13には、ネットワークNWを介して通信装置Pから管理サーバー10へアップロードされたデバイス管理情報が保存される。また、記憶部13には、テーブル(アップロード先規定テーブル)40が予め保存されている。
【0028】
2.アップロード先規定テーブルの説明:
図2は、アップロード先規定テーブル40を簡易的に示している。
アップロード先規定テーブル40は、デバイス20の個体を識別できる識別情報とデバイス20のデバイス管理情報の送信先のサーバーを指定する送信先指定情報と、の対応関係を規定したテーブルである。デバイス20毎の識別情報として、ここではデバイス20毎のシリアルナンバーを想定する。なお、デバイス20毎の識別情報は、デバイス20の個体を識別できる情報であれば、例えば、デバイス20毎のMACアドレスを用いてもよい。また、デバイス20の識別情報としては、デバイス20が設置された国や地域を識別可能な識別情報として、例えば、通信装置Pが通信に用いるIPアドレスを用いてもよい。
【0029】
送信先指定情報は、システム1に含まれるサーバー(図1の例では、サーバー10,50,60…)のいずれか1つを少なくとも指定する情報であり、ここではネットワークNW上のサーバーのURL(Uniform Resource Locator)を想定する。むろん、URLは、サーバーを指定するだけでなく当該サーバーにおける情報の保存先(ディレクトリ)を更に指定するものであってもよい。なお、上述したように、識別情報としてIPアドレスを採用する場合、管理サーバー10と通信装置Pとの通信で使われる通信装置P側のIPアドレスから通信装置P(デバイス20や通信機器30)が設置されている国や地域を特定することが可能であり、送信先指定情報では、特定した国や地域に対応するサーバーを指定することになる。
【0030】
図2の例では、アップロード先規定テーブル40は、さらに、デバイス20毎のデバイス管理情報の送信の許可または不許可を規定したアップロード許諾情報を保持している。つまり、アップロード先規定テーブル40は、デバイス20毎の、識別情報とアップロード許諾情報と送信先指定情報との対応関係を規定している。アップロード許諾情報としては、予めデバイス20毎のユーザーの意思に応じて「許可」または「不許可」のいずれかが選択されている。
【0031】
ここで、本実施形態が適用される具体的事例を1つ説明する。
デバイス20は、複数の地域や国に出荷され、各地域や各国において多くのユーザーに使用されている。デバイス20毎のデバイス管理情報は、通信装置PによりネットワークNWを通じてサーバー10,50,60…のいずれかへアップロードされる。デバイス管理情報のアップロード先のサーバーは、アップロードされたデバイス20毎のデバイス管理情報に基づいて各デバイス20を管理することができる。ここで言うデバイス管理情報に基づく管理とは、例えば、インク残量や印刷枚数の情報に応じたデバイス20(デバイス20のユーザー)に対するインクの自動発注処理や課金計算処理、エラー情報に基づくデバイス20のサポート処理、その他、ネットワークNWの環境を利用した各種クラウドサービス等が挙げられる。
【0032】
例えば、管理サーバー10は日本国内に設置され、サーバー50はアメリカ国内に設置され、サーバー60はヨーロッパに属する所定国内に設置されているものとする。多数のデバイス20の管理を一元的、効率的に行うという視点に立てば、全てのデバイス20のデバイス管理情報が1つのサーバー(管理サーバー10)へアップロードされる態様が、理想的な実施態様の1つと言える。つまり、世界中で販売されたデバイス20それぞれのデバイス管理情報がネットワークNW(インターネット)を介して管理サーバー10へ集約される、といった態様である。
【0033】
一方で、ビジネス上の観点や様々な制約(例えば、国や地域毎の法規制)により、ある特定の地域のデバイス20のデバイス管理情報を、当該特定の地域外のサーバーへアップロードすることは適切ではない(当該特定の地域に設置されているサーバーへアップロードすることが適切である)、といった事態も想定される。例えば、デバイス管理情報が一種の個人情報として扱われる場合、デバイス20が設置されている国以外の国に設置されているサーバーへデバイス管理情報をアップロードすることが法的に制限される、といった事態を想定できる。
このような状況に鑑みて、本実施形態では、いずれのデバイス20のデバイス管理情報をいずれのサーバーへアップロードすべきかを、管理サーバー10のアップロード先規定テーブル40により規定している。
【0034】
デバイス20を購入したユーザーは、購入したデバイス20に関する識別情報およびアップロード許諾情報を管理サーバー10へ登録する事前登録処理を実行することができる。事前登録処理の具体的方法は種々考えられる。ユーザーは、例えば、デバイス20を購入した店舗において事前登録処理を行う。この場合、事前登録処理に同意したユーザーの意向を受けて、当該店舗は、ユーザーが購入したデバイス20の識別情報、アップロード許諾情報(ユーザーが任意に選択した「許可」または「不許可」の情報)、およびユーザーがデバイス20を購入した国や地域の名称(購入地情報)を、何らかの通信手段により管理サーバー10へ送信する。あるいは、ユーザーは、購入したデバイス20の識別情報、アップロード許諾情報、および購入地情報を、インターネット通信端末を操作することにより、事前登録処理のために開設されている特定のウェブページを通じて、管理サーバー10へ送信する。
【0035】
管理サーバー10側では、制御部11は、事前登録処理によって上述のように送信されたデバイス20の識別情報とアップロード許諾情報との組み合わせを、アップロード先規定テーブル40に記憶させる。さらに制御部11は、上述のように識別情報およびアップロード許諾情報とともに送信された購入地情報を参照し、購入地情報に対応する送信先指定情報を、識別情報とアップロード許諾情報との組み合わせに対応付けてアップロード先規定テーブル40に記憶させる。
【0036】
例えば、日本国内やアメリカ国内で購入したデバイス20については、デバイス管理情報のアップロード先は特に制限されないが、ヨーロッパ国内で購入したデバイス20については、デバイス管理情報のアップロード先はヨーロッパ国内に制限される、というルールが適用される場合を想定する。当該ルールの下では、制御部11は、購入地情報が日本やアメリカであるデバイス20の識別情報およびアップロード許諾情報に対しては、管理サーバー10(日本国内に設置されたサーバー)のURLを送信先指定情報として対応付けて、アップロード先規定テーブル40に記憶させる。一方、制御部11は、購入地情報がヨーロッパであるデバイス20の識別情報およびアップロード許諾情報に対しては、ヨーロッパに設置されたサーバー60のURLを送信先指定情報として対応付けて、アップロード先規定テーブル40に記憶させる。
【0037】
このようなアップロード先規定テーブル40が管理サーバー10の記憶部13に保存されている前提で、本実施形態におけるデバイス管理情報のアップロード処理を説明する。
【0038】
3.第1実施形態:
図3は、通信装置P(制御部21または制御部31)、管理サーバー10(制御部11)および管理サーバー10以外のサーバー(例えば、サーバー60)それぞれが実行する処理(フローチャート)を並列的に示している。図3(および図4)で説明する通信は全てネットワークNWを介して行われる。図3を用いて説明する実施形態を、便宜上、第1実施形態とも呼ぶ。
【0039】
アップロード処理の実行主体となる通信装置Pは、アップロード先のサーバーを認識していない状況で、アップロード許諾の問い合わせを行う(ステップS100)。この場合、通信装置Pは、デバイス20(自身)の或いは自身が監視対象としているデバイス20の識別情報を、管理サーバー10へ送信する。なお、通信装置Pは、アップロード許諾の問い合わせである旨を明示する特定の信号とともにデバイス20の識別情報を管理サーバー10へ送信するとしてもよい。
【0040】
管理サーバー10は、前記アップロード許諾の問い合わせ、つまりデバイス20の識別情報を通信装置Pから受信したら(ステップS200)、記憶部13に保存されているアップロード先規定テーブル40を参照し、ステップS200で受信した識別情報に対応付けられているアップロード許諾情報および送信先指定情報を読み出す(ステップS210)。そして、管理サーバー10は、ステップS210で読み出したアップロード許諾情報および送信先指定情報を、前記アップロード許諾の問い合わせ(識別情報)の送信元の通信装置Pへ送信する(ステップS220)。ただし、管理サーバー10は、ステップS210で読み出したアップロード許諾情報が「許可」である場合に、当該「許可」の旨のアップロード許諾情報および送信先指定情報を通信装置Pへ送信し、ステップS210で読み出したアップロード許諾情報が「不許可」である場合には、当該「不許可」の旨のアップロード許諾情報のみを通信装置Pへ送信すればよい。
【0041】
通信装置Pは、ステップS100による識別情報の送信への応答として、管理サーバー10から、アップロード許諾情報および送信先指定情報を受信する(ステップS110)。このとき、受信したアップロード許諾情報が「不許可」である場合には、結果的にアップロード許諾情報のみを受信したことになる。通信装置Pは、管理サーバー10から受信したアップロード許諾情報が「不許可」であれば(ステップS120において“No”)、ステップS100を再度実行する。ステップS120の分岐で“No”と判定してから再びステップS100を実行するまでの時間間隔は特に問わない。
【0042】
なお、デバイス20のユーザーは、デバイス20の購入時に上述の事前登録処理を行わないこともある。つまり、事前登録処理を行うか否か、行う場合にいつ行うかは、ユーザーの任意である。通信装置PがステップS100を実行して、事前登録処理が行われていないデバイス20に関する識別情報を管理サーバー10へ送信した場合、この識別情報をステップS200で受信した管理サーバー10は、ステップS210において、この識別情報に対応する情報をアップロード先規定テーブル40から読み出すことができない。そこで、管理サーバー10は、ステップS200で受信した識別情報に対応する情報をアップロード先規定テーブル40から読み出すことができない場合にも、ステップS220で「不許可」の旨のアップロード許諾情報を通信装置Pへ送信する。
【0043】
通信装置Pは、ステップS110で管理サーバー10から受信したアップロード許諾情報が「許可」であれば(ステップS120において“Yes”)、ステップS130,S140を実行した上で、図3に示すフローチャートを終了する。ステップS130では、通信装置Pは、ステップS110で受信した送信先指定情報を記憶部23または記憶部33に記憶させる。そして、ステップS140では、通信装置Pは、当該送信先指定情報が指定するサーバーをアップロード先として、記憶部23または記憶部33に現在記憶されている、デバイス20(自身)の或いは自身が監視対象としているデバイス20のデバイス管理情報をアップロードする。
【0044】
通信装置PがステップS110で受信した送信先指定情報が指定するサーバーが、例えば、サーバー60である場合、ステップS140では、通信装置Pは、デバイス20のデバイス管理情報をサーバー60へアップロードする。この結果、サーバー60は、ステップS140で通信装置Pから自身に向けてアップロードされたデバイス管理情報を受信する(ステップS300)。
【0045】
なお、管理サーバー10は、ステップS210で読み出したアップロード許諾情報が「許可」であれば、当該「許可」の旨のアップロード許諾情報の通信装置Pへの送信は省略し、送信先指定情報のみを通信装置Pへ送信してもよい(ステップS220)。この場合、通信装置Pは、ステップS100による識別情報の送信への応答として、管理サーバー10から、送信先指定情報または「不許可」の旨のアップロード許諾情報のいずれか一方を受信する(ステップS110)。そして、通信装置Pは、送信先指定情報を受信した場合に、アップロード許諾情報が「許可」であると見なし(ステップS120において“Yes”)、ステップS130,S140を実行すればよい。
【0046】
通信装置Pは、ステップS130で送信先指定情報を記憶部23または記憶部33に記憶させた後は、定期的あるいは不定期に、当該記憶された送信先指定情報に基づいてデバイス管理情報の送信先を特定してデバイス管理情報をアップロードする。つまり、通信装置Pは、一度記憶した送信先指定情報に基づいて、同じアップロード先(図3の例では、サーバー60)にデバイス管理情報を繰り返しアップロードすることができる。
【0047】
このような、通信装置Pの記憶部(記憶部23,33)は、管理サーバー10から受信した送信先指定情報を記憶する第2記憶部に該当すると言える。また、通信装置Pの記憶部(記憶部23,33)は、上述したようにデバイス20のデバイス管理情報を記憶する記憶部(第1記憶部と呼ぶ。)でもある。通信装置Pの記憶部(記憶部23,33)は、物理的に分かれた複数の記憶装置の各々によって第1記憶部と第2記憶部とを実現してもよいし、共通の記憶装置内の異なる記憶領域の各々によって第1記憶部と第2記憶部とを実現してもよい。
【0048】
このように本実施形態によれば、通信装置Pは、デバイス管理情報の送信先のサーバーを指定する送信先指定情報を管理サーバー10から受信した場合に、送信先指定情報が指定するサーバーを送信先として、デバイス管理情報をアップロードする。つまり、通信装置Pは、デバイス管理情報の適切なアップロード先が自身に設定されていなくても、管理サーバー10から受信した送信先指定情報に従って、アップロード先として適切なサーバーへデバイス管理情報をアップロードすることができる。よって、通信装置Pの側でデバイス管理情報のアップロード先を個別に設定する等の煩雑な操作が不要となり、デバイス管理情報のアップロードに関する仕様(管理サーバー10から得た送信先指定情報に従う、という仕様)が共通のデバイス20(通信装置P)を全世界に販売することができる。
【0049】
また本実施形態によれば、管理サーバー10は、デバイス20の識別情報とデバイス管理情報の送信先のサーバーを指定する送信先指定情報との対応関係(アップロード先規定テーブル40)を記憶する記憶部13と、ネットワークNWを介して、デバイス20を管理する外部の通信装置Pとの通信を実行する通信部(通信IF12および制御部11)と、当該通信部により通信する通信装置Pを送信先として、通信装置Pが管理するデバイス20の識別情報に対応する送信先指定情報を当該通信部に送信させる制御部11と、を備える。そして、通信装置Pは、デバイス20の識別情報を管理サーバー10へ送信し、当該識別情報の送信への応答として管理サーバー10から当該識別情報に対応する送信先指定情報を受信する。当該構成によれば、各通信装置Pは、デバイス20の識別情報を管理サーバー10へ送信するという処理により、デバイス管理情報の正しいアップロード先を取得することができる。
【0050】
また本実施形態によれば、通信装置Pは、管理サーバー10から受信した送信先指定情報を第2記憶部(記憶部23,33)に記憶させ、当該第2記憶部が記憶する送信先指定情報に基づいてデバイス管理情報の送信先を特定する。これにより、通信装置Pは、管理サーバー10から送信先指定情報を受信し第2記憶部に記憶した後は、当該記憶した送信先指定情報を参照することにより、デバイス管理情報を正しいアップロード先へ繰り返しアップロードすることができる。
【0051】
また本実施形態によれば、管理サーバー10の記憶部13は、デバイス20毎のデバイス管理情報の送信の許可または不許可を規定したアップロード許諾情報を記憶している。そして、通信装置Pからデバイス20の識別情報を受信した場合に、制御部11は、当該受信した識別情報に対応するアップロード許諾情報を記憶部13(アップロード先規定テーブル40)から読み出し、当該読み出したアップロード許諾情報がデバイス管理情報の送信を許可している場合に、前記受信した識別情報に対応する送信先指定情報を通信装置Pへ送信する。従って、デバイス20のユーザーがデバイス管理情報のアップロードを許可している場合にのみ、通信装置Pはデバイス管理情報のアップロード先を取得することになり、ユーザーの意に反したアップロードが禁止される。
【0052】
4.第2実施形態:
次に、第1実施形態を前提とした更なる実施形態を、図4を参照して第2実施形態として説明する。
図4は、通信装置P(制御部21または制御部31)、管理サーバー10(制御部11)および管理サーバー10以外のサーバー(例えば、サーバー60)それぞれが実行する処理(フローチャート)を並列的に示している。
【0053】
図4に示した通信装置Pの処理は、図3に示した通信装置Pの処理よりも後に通信装置Pが実行する処理である。上述したように、通信装置Pは、ステップS130(図3)で送信先指定情報を記憶部23または記憶部33に記憶させた後(さらに、図3のステップS140の後)に、この記憶された送信先指定情報に基づいてデバイス管理情報のアップロード先を特定してデバイス管理情報をアップロードする(ステップS400)。
【0054】
なお図3の例では、通信装置PがステップS110で受信した送信先指定情報が指定するサーバーはサーバー60であるとしたが、図4の説明においては、便宜上、通信装置PがステップS110(図3)で受信した送信先指定情報が指定するサーバーは、管理サーバー10であると仮定する。従って、図4の例では、ステップS400において、通信装置Pは、記憶した送信先指定情報に基づいてデバイス20のデバイス管理情報を管理サーバー10へアップロードする。この結果、管理サーバー10は、通信装置Pから自身に向けてアップロードされたデバイス管理情報を受信する(ステップS500)。
【0055】
通信装置Pからデバイス管理情報のアップロードを受けた管理サーバー10は、アップロード先変更指示を、デバイス管理情報のアップロード元の通信装置Pへ送信する(ステップS510)。当該第2実施形態では、通信装置Pが、記憶した送信先指定情報に基づいて繰り返し実行していたデバイス管理情報のアップロードの相手(サーバー)が、何らかの理由によりアップロード先として不適切となった場合を想定する。アップロード先として不適切となる理由は種々考えられる。本実施形態において当該理由を限定する必要は無いが、例えば、上述したような法規制の影響で、それまで通信装置Pにとって適切であったアップロード先が、ある時を境に、アップロード先として適切でなくなることが有り得る。
【0056】
ステップS500の後、必ずステップS510が実行される訳ではない。しかし図4では、ある通信装置Pからのデバイス管理情報のアップロード先であったサーバー(例えば、管理サーバー10)が、当該通信装置Pからのデバイス管理情報のアップロード先を自身から他のサーバーへ変更すべきと判断し、当該通信装置Pからのデバイス管理情報のアップロードに対して、アップロード先変更指示を返信したケースを示している。例えば、A国に所在するサーバーが、B国に所在するデバイス20のデバイス管理情報のアップロードを受けていた状況において、法規制の変更の影響により、今後当該B国に所在するデバイス20のデバイス管理情報のアップロードを受けることが不適法となったとする。この場合、当該サーバーは、法規制を反映した設定変更を行い、当該B国に所在するデバイス20(通信装置P)からのデバイス管理情報のアップロード(ステップS400)に対して、アップロード先変更指示を返信する(ステップS500,S510)。なお、デバイス管理情報のアップロードを受けたサーバーは、例えば、アップロード元のIPアドレスからアップロード元の国や地域を判断してもよい。また、通信装置Pは、デバイス20の購入地情報をデバイス管理情報とともにアップロードすることで、アップロード先のサーバーがアップロード元の国や地域を判断できるようにしてもよい。
【0057】
通信装置Pは、アップロード先のサーバーからアップロード先変更指示を受信したら(ステップS410)、図4に示すように、ステップS100以降の処理を行う。つまり、通信装置Pがアップロード先変更指示を受信したことを契機として、図3で説明した処理(通信装置PによるステップS100〜S140、管理サーバー10によるステップS200〜S220)が再度行われる。なお、何らかの理由(例えば、法規制の変更)によりあるデバイス20のデバイス管理情報のアップロード先の変更の必要性が生じたときには、管理サーバー10は、アップロード先規定テーブル40における当該デバイス20の識別番号に対応付けられている送信先指定情報を、適切な変更後のアップロード先のサーバーを指定する送信先指定情報(変更後送信先指定情報)に書き換えるものとする。
【0058】
従って、図4のステップS210,S220により、管理サーバー10は、アップロード先規定テーブル40から変更後送信先指定情報を読み出して、通信装置Pへ送信することになる。また、図4のステップS130では、通信装置Pは、それまで記憶部22または記憶部33に記憶させていた送信先指定情報(図4の例では、管理サーバー10を指定する送信先指定情報)を、ステップS110で受信した変更後送信先指定情報(例えば、サーバー60を指定する送信先指定情報)により上書きする。そして、図4のステップS140では、通信装置Pは、当該上書き後の送信先指定情報(変更後送信先指定情報)が指定するサーバー(サーバー60)へデバイス管理情報をアップロードする。この結果、サーバー60は、ステップS140で通信装置Pから自身に向けてアップロードされたデバイス管理情報を受信する(ステップS600)。
【0059】
このような第2実施形態によれば、通信装置Pからのデバイス管理情報のアップロード先となっているサーバーは、通信装置Pからのデバイス管理情報のアップロードに対してアップロード先変更指示を返すことができる。そして、通信装置Pは、送信先指定情報が指定するサーバーからアップロード先変更指示を受信した場合、デバイス20の識別情報を管理サーバー10へ送信し、当該識別情報の送信への応答として管理サーバー10から当該識別情報に対応する新たな送信先指定情報(変更後送信先指定情報)を受信し、当該新たな送信先指定情報が指定するサーバーを送信先としてデバイス管理情報をアップロードする。そのため、通信装置Pは、何らかの理由(例えば、法規制の変更)によりデバイス管理情報のアップロード先が変更された場合に、当該変更に確実に対応することができる。図4の例では、ある通信装置Pにとってのデバイス管理情報の変更前のアップロード先が管理サーバー10であり、変更後のアップロード先がサーバー60であったが、例えば変更前のアップロード先がサーバー60、変更後のアップロード先が管理サーバー10というケース等、変更前後のアップロード先のサーバーの組み合わせはあらゆる組み合わせが考えられる。
【0060】
5.第3実施形態:
図3において、通信装置Pは、ステップS110で受信した送信先指定情報を敢えて記憶に残さず(ステップS130を実行せず)、ステップS140の実行後にステップS100へ戻るとしてもよい(第3実施形態)。つまり、通信装置Pは、デバイス管理情報のアップロードを実行するために、毎回、管理サーバー10へ前記問い合わせ(ステップS100)を行って送信先指定情報を取得し、取得した送信先指定情報が指定するサーバーへデバイス管理情報をアップロードするとしてもよい。このような第3実施形態によれば、通信装置Pは、デバイス管理情報のアップロードのために、常に管理サーバー10にアップロード先を確認するため、アップロード先のサーバーから前記アップロード先変更指示を受信せずとも、その時その時で最適なアップロード先へ確実にデバイス管理情報をアップロードすることができる。
【0061】
6.第4実施形態:
通信装置Pからデバイス20のデバイス管理情報のアップロードを受けたサーバー(管理サーバー10,50,60)が実行する消耗品の自動発注処理について、具体例を説明する。サーバーは、デバイス20と、デバイス20の購入先(販売チャネル)を示す購入先情報とを対応付けて管理している。販売チャネルとは、デバイス20やデバイス20の消耗品を販売する1つの組織、あるいは一定以上の関係性を有する当該組織の集まり(グループ)等を指す。具体的には、第1の家電量販店と、第1の家電量販店とは異なる資本によって運営されている第2の家電量販店は、それぞれ異なる販売チャネルである。また、第1のインターネットショッピングサイトと、第1のインターネットショッピングサイトとは異なる資本によって運営されている第2のインターネットショッピングサイトは、それぞれ異なる販売チャネルである。ユーザーは、世の中に多数存在する販売チャネルの中から任意に選んだ販売チャネルからデバイス20を購入することが可能である。
【0062】
例えば、上述の事前登録処理の際、ユーザーがデバイス20を購入した販売チャネルを示す購入先情報もデバイス20の識別情報等の他の情報と併せて管理サーバー10へ送信される。そして、管理サーバー10は、他のサーバー50,60とともに、デバイス20の識別情報と購入先情報との対応関係(一種のテーブル)を共有する。
また、通信装置Pは、デバイス20のデバイス管理情報を送信先指定情報に従っていずれかのサーバーへアップロードする際、当該デバイス20の識別情報も併せてアップロードする。
【0063】
このような環境において、通信装置Pからデバイス管理情報のアップロードを受けたサーバーは、当該デバイス管理情報に含まれている消耗品の情報に基づき、デバイス20におけるインク等の消耗品を交換すべきか否か(インク残量がしきい値以下か、等)を判断する。そして、消耗品を交換すべきと判断した場合、サーバーは、管理している(参照可能な、あるいは、記憶している)デバイス20の識別情報と購入先情報との前記対応関係を参照し、当該デバイス管理情報とともにアップロードされた識別情報に対応付けられている購入先情報を特定する。そして、サーバーは、当該特定した購入先情報に基づいて、ネットワークNWを介して、当該購入先情報が示す販売チャネルに対し、前記消耗品のユーザーへの配送要求を送信する。これにより、通信装置Pからデバイス20のデバイス管理情報のアップロードを受けたサーバー(管理サーバー10,50,60)による、消耗品の自動発注処理が実現される。また、このような自動発注処理により、ユーザーがデバイス20を購入した販売チャネルが、当該ユーザーへ消耗品を売る(配送する)機会を確保できるため、当該販売チャネルの利益が守られる。
【符号の説明】
【0064】
1…システム、10…管理サーバー、11…制御部、12…通信IF、13…記憶部、20,20a,20b,20c…デバイス、21…制御部、22…通信IF、23…記憶部、24…印刷部、30…通信機器、31…制御部、32…通信IF、33…記憶部、40…アップロード先規定テーブル、50,60…サーバー、NW…ネットワーク、P…通信装置
図1
図2
図3
図4