特許第6932981号(P6932981)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6932981
(24)【登録日】2021年8月23日
(45)【発行日】2021年9月8日
(54)【発明の名称】表示装置および表示装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/74 20060101AFI20210826BHJP
   G06F 3/0482 20130101ALI20210826BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20210826BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20210826BHJP
【FI】
   H04N5/74 Z
   G06F3/0482
   G09G5/00 510H
   G09G5/00 550B
   G09G5/36 530Y
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-88371(P2017-88371)
(22)【出願日】2017年4月27日
(65)【公開番号】特開2018-186443(P2018-186443A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2020年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125689
【弁理士】
【氏名又は名称】大林 章
(74)【代理人】
【識別番号】100128598
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 聖一
(74)【代理人】
【識別番号】100121108
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 太朗
(72)【発明者】
【氏名】藤森 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】内山 喜照
(72)【発明者】
【氏名】阿野 尊洋
(72)【発明者】
【氏名】唐澤 徹
【審査官】 佐野 潤一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−088885(JP,A)
【文献】 特開2011−166781(JP,A)
【文献】 特開2013−012077(JP,A)
【文献】 特開2009−122752(JP,A)
【文献】 特開2011−238269(JP,A)
【文献】 特開2011−028405(JP,A)
【文献】 特開2007−163607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/74
H04N 5/66
G06F 3/048
G09G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置であって、
外部から画像情報が入力される入力部と、
前記画像情報に基づく画像を表示面に表示する表示部と、
前記表示装置の動作に関する設定情報に基づいて前記表示装置を制御して前記表示部に前記画像を表示させ、また、前記設定情報を変更する指示に応じて前記設定情報を第1設定情報から第2設定情報に変更する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記設定情報を前記第1設定情報から前記第2設定情報に変更した後に、第1時間の間、前記入力部に前記画像情報が入力されない場合、前記設定情報を前記第2設定情報から前記第1設定情報に変更し、
前記制御部は、
第1項目についての前記設定情報と第2項目についての前記設定情報とを前記第1設定情報から前記第2設定情報に変更した後に、前記第1時間の間、前記入力部に前記画像情報が入力されない場合、前記第1項目についての設定情報を前記第2設定情報から前記第1設定情報に変更することなく前記第2項目についての設定情報を前記第2設定情報から前記第1設定情報に変更し、
前記第1項目についての設定情報を前記第2設定情報から前記第1設定情報に変更することなく前記第2項目についての設定情報を前記第2設定情報から前記第1設定情報に変更した後に、第2時間の間、前記入力部に前記画像情報が入力されない場合、前記第1項目についての設定情報を前記第2設定情報から前記第1設定情報に変更す
示装置。
【請求項2】
表示装置であって、
外部から画像情報が入力される入力部と、
前記画像情報に基づく画像を表示面に表示する表示部と、
前記表示装置の動作に関する設定情報に基づいて前記表示装置を制御して前記表示部に前記画像を表示させ、また、前記設定情報を変更する指示に応じて前記設定情報を第1設定情報から第2設定情報に変更する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記設定情報を前記第1設定情報から前記第2設定情報に変更した後に、第1時間の間、前記入力部に前記画像情報が入力されない場合、前記設定情報を前記第2設定情報から前記第1設定情報に変更し、
前記制御部は、前記設定情報を前記第1設定情報から前記第2設定情報に変更した後に、前記第1時間の間、前記入力部に前記画像情報が入力されないときに、
前記表示装置の動作モードが第1モードである場合には、前記設定情報を前記第2設定情報から前記第1設定情報に変更し、
前記動作モードが第2モードである場合には、前記設定情報を前記第2設定情報に維持する表示装置。
【請求項3】
前記設定情報が前記第1設定情報から前記第1設定情報とは異なる情報に変更される頻度が閾値を超える場合に、前記第1設定情報を変更する変更部をさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記変更部は、前記異なる情報に基づいて前記第1設定情報を変更することを特徴とする請求項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1設定情報を設定するための第1設定画面と、前記第2設定情報を設定するための第2設定画面とを、前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1設定画面は、第1の設定項目について前記第1設定情報を設定するための部分画像と、第2の設定項目について前記第1設定情報を設定するための部分画像とを含む画面であり、
前記第2設定画面は、前記第1の設定項目について前記第2設定情報を設定するための部分画像を含み、前記第2の設定項目について前記第2設定情報を設定するための部分画像は含まない画面であることを特徴とする請求項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示部は、前記第1設定画面において行われるべき前記第1設定情報を変更する操作が、前記第2設定画面において行われた際に第1画像を前記表示面に表示し、
前記第1画像は、警告を表すダイアログボックス、または、管理者向けの認証手順を示す画像である、
請求項またはに記載の表示装置。
【請求項8】
外部から画像情報が入力される入力部を有する表示装置の制御方法であって、
前記画像情報に基づく画像を表示面に表示するステップと、
前記表示装置の動作に関する設定情報に基づいて前記表示装置を制御して前記表示面に前記画像を表示するステップと、
前記設定情報を変更する指示に応じて前記設定情報を第1設定情報から第2設定情報に変更するステップと、
前記設定情報を前記第1設定情報から前記第2設定情報に変更した後に、第1時間の間、前記入力部に前記画像情報が入力されない場合、前記設定情報を前記第2設定情報から前記第1設定情報に変更するステップと、
第1項目についての前記設定情報と第2項目についての前記設定情報とを前記第1設定情報から前記第2設定情報に変更した後に、前記第1時間の間、前記入力部に前記画像情報が入力されない場合、前記第1項目についての設定情報を前記第2設定情報から前記第1設定情報に変更することなく前記第2項目についての設定情報を前記第2設定情報から前記第1設定情報に変更するステップと、
前記第1項目についての設定情報を前記第2設定情報から前記第1設定情報に変更することなく前記第2項目についての設定情報を前記第2設定情報から前記第1設定情報に変更した後に、第2時間の間、前記入力部に前記画像情報が入力されない場合、前記第1項目についての設定情報を前記第2設定情報から前記第1設定情報に変更するステップと、
を有することを特徴とする表示装置の制御方法。
【請求項9】
外部から画像情報が入力される入力部を有する表示装置の制御方法であって、
前記画像情報に基づく画像を表示面に表示するステップと、
前記表示装置の動作に関する設定情報に基づいて前記表示装置を制御して前記表示面に前記画像を表示するステップと、
前記設定情報を変更する指示に応じて前記設定情報を第1設定情報から第2設定情報に変更するステップと、
前記設定情報を前記第1設定情報から前記第2設定情報に変更した後に、第1時間の間、前記入力部に前記画像情報が入力されない場合、前記設定情報を前記第2設定情報から前記第1設定情報に変更するステップと、
前記設定情報を前記第1設定情報から前記第2設定情報に変更した後に、前記第1時間の間、前記入力部に前記画像情報が入力されないときに、
前記表示装置の動作モードが第1モードである場合には、前記設定情報を前記第2設定情報から前記第1設定情報に変更し、
前記動作モードが第2モードである場合には、前記設定情報を前記第2設定情報に維持するステップと、
を有することを特徴とする表示装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置および表示装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクター等の表示装置では、画像の色合いまたはコントラストなどの設定値は、多くの利用者が好むと想定される基準値に予め設定されていることが多い。この設定値は、視聴環境および利用者の好みに応じて、利用者によって変更されることがある。特許文献1には、利用者種別ごとに、UI(ユーザーインターフェース)の設定値の変更に関する統計値を生成し、この統計値に応じてUIの設定値を自動的に変更する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−29550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術を用いて表示装置のすべての設定値を自動的に変更する場合、利用者種別ごとにすべての設定値について統計値を生成する必要が生じてしまう。そこで、一部の設定値についてのみ、統計値を用いて自動的に更新することが考えられる。
しかしながら、自動的に更新されない設定値は、当初は基準値に設定されていても、複数の利用者が代わる代わる表示装置を使用する間に変更されていく可能性がある。このため、表示装置の利用者は、他の利用者の好み等に応じて変更された設定値を用いて表示装置を使い始めなければならなかった。
【0005】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、利用者が、他の利用者が変更した設定値を用いて表示装置を使い始めることを抑制できる技術を提供することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る表示装置の一態様は、外部から画像情報が入力される入力部と、前記画像情報に基づく画像を表示面に表示する表示部と、前記表示装置の動作に関する設定情報に基づいて前記表示装置を制御して前記表示部に前記画像を表示させ、また、前記設定情報を変更する指示に応じて前記設定情報を第1設定情報から第2設定情報に変更する制御部と、を有し、前記制御部は、前記設定情報を前記第1設定情報から前記第2設定情報に変更した後に、第1時間の間、前記入力部に前記画像情報が入力されない場合、前記設定情報を前記第2設定情報から前記第1設定情報に変更することを特徴とする。
表示装置の利用者が切り替わる場合、表示装置の入力部に入力される画像情報が切り替えられる可能性がある。そして、画像情報の切り替えの際に、画像情報が入力部に入力されない時間が生じる。
この態様によれば、第1時間の間、入力部に画像情報が入力されない場合、設定情報が、変更後の第2設定情報から変更前の第1設定情報に変更される。このため、利用者の切り替えに伴って画像情報が入力部に入力されなくなった場合に、設定情報を、変更後の第2設定情報から変更前の第1設定情報に変更することが可能になる。よって、利用者が、他の利用者が変更した設定情報(第2設定情報)を用いて表示装置を使い始めることを抑制できる。
【0007】
上述した表示装置の一態様において、前記設定情報が前記第1設定情報から前記第1設定情報とは異なる情報に変更される頻度が閾値を超える場合に、前記第1設定情報を変更する変更部をさらに有することが望ましい。
設定情報を第1設定情報から第1設定情報とは異なる情報に変更する頻度が高い場合、第1設定情報が適切でない可能性がある。このため、この態様によれば、適切でない可能性のある第1設定情報を自動的に変更することが可能になる。
【0008】
上述した表示装置の一態様において、前記変更部は、前記異なる情報に基づいて前記第1設定情報を変更することが望ましい。
この態様によれば、第1設定情報が変更後の情報に基づいて変更されるため、第1設定情報が適切な情報に変更されやすくなる。
【0009】
上述した表示装置の一態様において、前記制御部は、前記第1設定情報を設定するための第1設定画面と、前記第2設定情報を設定するための第2設定画面とを、前記表示部に表示させることが望ましい。
この態様によれば、第1設定情報を設定する画面と、第2設定情報を設定する画面が異なっているため、第1設定情報と第2設定情報とを間違えて設定してしまうことを抑制可能になる。
【0010】
上述した表示装置の一態様において、前記第1設定画面は、第1の設定項目について前記第1設定情報を設定するための部分画像と、第2の設定項目について前記第1設定情報を設定するための部分画像とを含む画面であり、前記第2設定画面は、前記第1の設定項目について前記第2設定情報を設定するための部分画像を含み、前記第2の設定項目について前記第2設定情報を設定するための部分画像は含まない画面であることが望ましい。
この態様によれば、第1設定情報は設定されるが第2設定情報は設定されない設定項目を設けることが可能になる。このため、第1設定情報から第2設定情報に変更されない設定項目を設けることが可能になる。
【0011】
上述した表示装置の一態様において、前記表示部は、前記第2設定画面において前記第1設定情報を変更する操作が行われた際に第1画像を前記表示面に表示することが望ましい。
この態様によれば、第2設定画面で第1設定情報を変更するという特殊な操作が行われた際に第1画像を表示するので、例えば、第1画面の表示によって利用者に注意を与えることが可能になる。
【0012】
上述した表示装置の一態様において、前記制御部は、第1項目についての前記設定情報と第2項目についての前記設定情報とを前記第1設定情報から前記第2設定情報に変更した後に、前記第1時間の間、前記入力部に前記画像情報が入力されない場合、前記第1項目についての設定情報を前記第2設定情報から前記第1設定情報に変更することなく前記第2項目についての設定情報を前記第2設定情報から前記第1設定情報に変更し、前記第1項目についての設定情報を前記第2設定情報から前記第1設定情報に変更することなく前記第2項目についての設定情報を前記第2設定情報から前記第1設定情報に変更した後に、第2時間の間、前記入力部に前記画像情報が入力されない場合、前記第1項目についての設定情報を前記第2設定情報から前記第1設定情報に変更することが望ましい。
入力部に画像情報が入力されない時間が長い場合、例えば、表示装置が移動されて表示装置の設置状態が変更される可能性も生じる。このため、入力部に画像情報が入力されない時間が長いほど、変更前の情報に戻される設定情報の項目を多くすることが望まれる。
この態様によれば、入力部に画像情報が入力されない時間が長いほど、変更前の情報に戻される設定情報の項目を多くすることが可能になる。
【0013】
上述した表示装置の一態様において、前記制御部は、前記設定情報を前記第1設定情報から前記第2設定情報に変更した後に、前記第1時間の間、前記入力部に前記画像情報が入力されないときに、前記表示装置の動作モードが第1モードである場合には、前記設定情報を前記第2設定情報から前記第1設定情報に変更し、前記動作モードが第2モードである場合には、前記設定情報を前記第2設定情報に維持することが望ましい。
この態様によれば、設定情報を第2設定情報から第1設定情報に変更するか、設定情報を第2設定情報に維持するかを、動作モードに応じて切り替えることが可能になる。
【0014】
本発明に係る表示装置の制御方法の一態様は、外部から画像情報が入力される入力部を有する表示装置の制御方法であって、前記画像情報に基づく画像を表示面に表示するステップと、前記表示装置の動作に関する設定情報に基づいて前記表示装置を制御して前記表示面に前記画像を表示するステップと、前記設定情報を変更する指示に応じて前記設定情報を第1設定情報から第2設定情報に変更するステップと、前記設定情報を前記第1設定情報から前記第2設定情報に変更した後に、第1時間の間、前記入力部に前記画像情報が入力されない場合、前記設定情報を前記第2設定情報から前記第1設定情報に変更するステップと、を有することを特徴とする。
この態様によれば、利用者が、他の利用者が変更した設定情報を用いて表示装置を使い始めることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態に係る表示装置の一例のプロジェクター100を示した図である。
図2】プロジェクター100の一例を示した図である。
図3】設定情報記憶部42が記憶する設定情報の一例を示した図である。
図4】第1設定画面I1の一例を示した図である。
図5】第2設定画面I2の一例を示した図である。
図6】投射部6の一例を示した図である。
図7】プロジェクター100の動作を説明するためのフローチャートである。
図8】変形例2の動作を説明するためのフローチャートである。
図9】変形例3の動作を説明するためのフローチャートである。
図10】変更部56を含むプロジェクター100Aの一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明に係る実施の形態を説明する。なお、図面において各部の寸法および縮尺は実際のものと適宜異なる。また、以下に記載する実施の形態は、本発明の好適な具体例である。このため、本実施形態には、技術的に好ましい種々の限定が付されている。しかしながら、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0017】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る表示装置の一例であるプロジェクター100を示した図である。プロジェクター100は、入力端子1と通信部2とを含んでいる。入力端子1は、入力部の一例である。通信部2は、入力部の他の例である。
【0018】
入力端子1には、通信ケーブル200を介してPC(パーソナルコンピューター)300から、画像情報Aが入力される。通信ケーブル200は、入力端子1に対して着脱可能である。通信部2には、LAN(Local Area Network)等の通信回線400を介してPC500から画像情報Bが入力される。通信回線400は、通信部2に対して着脱可能である。画像情報の供給元は、PCに限らず適宜変更可能である。画像情報は、音情報を伴ってもよい。以下では、画像情報AおよびBは、それぞれ、音情報を伴っているものとする。
【0019】
プロジェクター100は、後述する受付部3がプロジェクター100の利用者(以下、単に「利用者」と称する)から受け付けた切替指示(画像情報の入力元を切り替えることでプロジェクター100が投射する画像を変更する指示)に応じて、表示に用いる画像情報(以下「表示対象画像情報」と称する)を画像情報A〜Bの中で切り替える。
【0020】
例えば、プロジェクター100は、入力端子1から入力されている画像情報Aが表示対象画像情報である状況で、表示対象画像情報の入力元を通信部2に切り替える旨の切替指示を受け取ると、表示対象画像情報を、画像情報Aから画像情報Bに切り替える。そして、プロジェクター100は、表示対象画像情報(画像情報B)に基づく画像を投射部6から投射面10に投射して表示する。投射面10は、表示面の一例である。
【0021】
プロジェクター100は、プロジェクター100の動作に関する設定情報(例えば、画像の明るさに関する設定情報)に基づいて動作する。プロジェクター100は、受付部3が利用者から受け付けた変更指示に応じて設定情報を変更する。変更指示は、設定情報を変更する指示の一例である。
【0022】
プロジェクター100は、変更指示に応じて設定情報を変更した後に、第1時間T1の間、表示対象画像情報が入力されない場合、設定情報を変更前の設定情報に戻す。
【0023】
第1時間T1は、例えば、利用者の変更に伴って入力端子1に接続される通信ケーブルが切り替えられたことを検出するために、および、利用者の変更に伴って通信部2から通信回線400が外されたことを検出するために設定される。
入力端子1と通信ケーブル200との接続状態(例えば、入力端子1と通信ケーブル200との接続部での緩み)や、画像情報Aの解像度の切り替えに応じて、画像情報Aは、瞬間的に無信号状態になる可能性がある。このため、第1時間T1としては、このような瞬間的な無信号状態よりも長く、利用者が通信ケーブルの切り替えに要すると想定される時間よりも短い時間(例えば、数秒)が設定される。例えば、第1時間T1として、3秒が用いられる。
【0024】
図2は、プロジェクター100の一例を示した図である。プロジェクター100は、上述した入力端子1と通信部2に加えて、受付部3と、記憶部4と、処理部5と、投射部6と、音出力部7と、を含む。
【0025】
受付部3は、利用者の入力(例えば、切替指示および変更指示)等を受け付ける各種の操作ボタン、操作キー、またはタッチパネル等である。受付部3は、利用者から受け付けた入力を無線または有線で送信するリモートコントローラー等であってもよい。その場合、プロジェクター100は、リモートコントローラーが送信した情報を受信する受信部を備える。なお、リモートコントローラーは、利用者の入力を受け付ける各種の操作ボタン、操作キー、またはタッチパネル等を備える。
【0026】
記憶部4は、コンピューター読み取り可能な記録媒体である。記憶部4は、プログラム記憶部41と、設定情報記憶部42と、画像情報記憶部43と、動作モード記憶部44と、を含む。
【0027】
プログラム記憶部41は、プロジェクター100の動作を規定するプログラムを記憶する。
【0028】
設定情報記憶部42は、プロジェクター100の動作に関する種々の設定情報を記憶する。図3は、設定情報記憶部42が記憶する設定情報の一例を示した図である。設定情報記憶部42は、設定情報の項目(設定項目)として、音量、カラーモード、台形歪補正値、およびIP(Internet Protocol)アドレスを記憶している。なお、設定情報の項目(設定項目)は、音量、カラーモード、台形歪補正値、およびIPアドレスに限らず適宜変更可能である。
【0029】
設定情報記憶部42は、音量、カラーモード、台形歪補正値、およびIPアドレスの項目について、それぞれ、基準値として機能する第1設定情報を記憶している。第1設定情報は、例えば、プロジェクター100の管理者(以下、単に「管理者」と称する)によって設定される。第1設定情報は、多くの利用者が好むと想定される情報(値)に設定されている。第1設定情報は、音量、カラーモード、台形歪補正値、およびIPアドレスのすべての項目について設定される。
【0030】
設定情報記憶部42は、音量、カラーモード、および台形歪補正値の項目については、それぞれ、第2設定情報を記憶している。第2設定情報は、例えば、利用者によって設定される。第2設定情報が設定される項目は、適宜変更可能であり、例えば、音量、カラーモード、および台形歪補正値の少なくとも1つであればよい。
【0031】
画像情報記憶部43は、種々の画像情報(例えば、第1設定情報を設定するための第1設定画面を示す第1設定画面情報と、第2設定情報を設定するための第2設定画面を示す第2設定画面情報)を記憶する。
【0032】
図4は、第1設定画面I1の一例を示した図である。第1設定画面I1は、管理者向けのGUI(Graphical User Interface)として機能する。管理者は、受付部3を用いて第1設定画面I1を操作することによって第1設定情報を設定する。
【0033】
例えば、管理者は、受付部3を用いて映像ボタンI11を操作することで、カラーモードI12の第1設定情報(図3では「CC」で示されている)を設定する。管理者は、受付部3を用いて信号ボタンI13を操作することで、台形歪補正値の第1設定情報(図3では「EE」で示されている)を設定する。管理者は、受付部3を用いて設定ボタンI14を操作することで、音量の第1設定情報(図3では「AA」で示されている)を設定する。管理者は、受付部3を用いてネットワークボタンI15を操作することで、IPアドレスの第1設定情報(図3では「GG」で示されている)を設定する。
ここで、カラーモード、台形歪補正値、および音量は、それぞれ、第1の設定項目の一例である。映像ボタンI11、信号ボタンI13、および設定ボタンI14は、それぞれ、第1の設定項目について第1設定情報を設定するための部分画像の一例である。また、IPアドレスは第2の設定項目の一例である。ネットワークボタンI15は、第2の設定項目について第1設定情報を設定するための部分画像の一例である。
【0034】
図5は、第2設定画面I2の一例を示した図である。第2設定画面I2は、利用者向けのGUIとして機能する。利用者は、受付部3を用いて第2設定画面I2を操作することによって第2設定情報を設定する。
【0035】
例えば、利用者は、受付部3を用いて台形歪補正ボタンK1を操作することで、台形歪補正値の第2設定情報(図3では「FF」で示されている)を設定する。利用者は、受付部3を用いてカラーモードボタンK2を操作することで、カラーモードの第2設定情報(図3では「DD」で示されている)を設定する。利用者は、受付部3を用いて音量ボタンK3を操作することで、音量の第2設定情報(図3では「BB」で示されている)を設定する。
ここで、台形歪補正ボタンK1、カラーモードボタンK2、および音量ボタンK3は、それぞれ、第1の設定項目について第2設定情報を設定するための部分画像の一例である。なお、第2設定画面I2では、IPアドレスを変更することはできない。さらに言えば、第2設定画面I2は、第2の設定項目について第2設定情報を設定するための部分画像を含まない。
【0036】
また、利用者は、受付部3を用いて、入力端子1に対応する選択ボタンJ1を操作することで、表示対象画像情報の入力元を入力端子1に切り替える切替指示を入力する。また、利用者は、受付部3を用いて、通信部2(LAN)に対応する選択ボタンJ2を操作することで、表示対象画像情報の入力元を通信部2に切り替える切替指示を入力する。
【0037】
図2に戻って、動作モード記憶部44は、プロジェクター100の動作モードを記憶する。プロジェクター100は、動作モードとして、複数の利用者がプロジェクター100を共有する「共有モード」と、1人の利用者がプロジェクター100を専有する「専有モード」と、を有する。処理部5(具体的には、後述する制御部55)は、受付部3が受け付けた動作モード設定指示に応じて、動作モードを設定する。「共有モード」は第1モードの一例であり、「専有モード」は第2モードの一例である。
【0038】
処理部5は、CPU(Central Processing Unit)等のコンピューターである。処理部5は、プログラム記憶部41に記憶されたプログラムを読み取り実行することによって、選択部51、検出部52、画像処理部53、音処理部54、および制御部55を実現する。なお、一つのCPU(又は半導体チップ)で、選択部51、検出部52、画像処理部53、音処理部54、および制御部55を実現してもよいし、複数のCPU(又は半導体チップ)を用いて選択部51、検出部52、画像処理部53、音処理部54、および制御部55を実現してもよい。
【0039】
選択部51は、入力端子1から入力される画像情報Aと、通信部2から入力される画像情報Bとの中から、表示対象画像情報を選択する。
上述したように画像情報A〜Bの各々は音情報を伴っているため、表示対象画像情報も音情報を伴っている。選択部51は、表示対象画像情報が伴っていた音情報を音処理部54に出力し、音情報を除いた表示対象画像情報を、検出部52を介して画像処理部53に出力する。
【0040】
検出部52は、表示対象画像情報の有無を検出する。
通信ケーブル200を介して入力端子1に入力される画像情報Aが、表示対象画像情報として選択されている状況において、通信ケーブル200が入力端子1から外されると、選択部51から表示対象画像情報(画像情報A)が出力されなくなる。また、通信回線400を介して通信部2に入力される画像情報Bが、表示対象画像情報として選択されている状況において、通信回線400が通信部2から外されると、選択部51から表示対象画像情報(画像情報B)が出力されなくなる。
検出部52は、選択部51から表示対象画像情報が出力されていない状態を検出することによって、入力端子1や通信部2に表示対象画像情報が入力されていない状態を検出する。検出部52は、検出結果を制御部55に通知する。
【0041】
画像処理部53は、表示対象画像情報に対して画像処理(例えば、台形歪補正、輝度調整、コントラスト調整、色合い調整、およびシャープネス調整)を実行して画像信号を生成する。本実施形態では、輝度調整、コントラスト調整、色合い調整、およびシャープネス調整の組合せを「カラーモード」として表している。
音処理部54は、音情報について音量を調整して音信号を生成する。
【0042】
制御部55は、プロジェクター100を制御する。
例えば、制御部55は、受付部3への利用者の操作に応じて、第1設定画面情報に応じた第1設定画面I1を投射部6に投射させて表示させる。また、制御部55は、受付部3への利用者の操作に応じて、第2設定画面情報に応じた第2設定画面I2を投射部6に投射させて表示させる。
また、制御部55は、第1設定画面I1を介して受付部3が受け付けた第1設定情報を設定情報記憶部42に記憶する。また、制御部55は、第2設定画面I2を介して受付部3が受け付けた第2設定情報を設定情報記憶部42に記憶する。
制御部55は、設定情報記憶部42に記憶された第1設定情報を用いて、画像処理部53と音処理部54と通信部2との各々に設定情報を設定する。
制御部55は、変更指示に応じて、画像処理部53と音処理部54の各々の設定情報を第1設定情報から第2設定情報に変更する。
また、制御部55は、検出部52の検出結果に基づいて、表示対象画像情報が入力端子1および通信部2のいずれにも入力されていないか否かを判断する。制御部55は、設定情報が第1設定情報から第2設定情報に変更された状況において、表示対象画像情報が第1時間T1の間、入力端子1および通信部2のいずれにも入力されない場合、設定情報を第2設定情報から第1設定情報に変更する。
また、制御部55は、切替指示に応じて、表示対象画像情報を切り替える。
【0043】
投射部6は、表示部の一例である。表示部には、投射面10は含まれない。投射部6は、画像処理部53が出力した画像信号に応じた画像を投射面10に投射して表示する。
図6は、投射部6の一例を示した図である。投射部6は、光源11と、光変調装置の一例である3つの液晶ライトバルブ12(12R,12G,12B)と、投射光学系の一例である投射レンズ13と、ライトバルブ駆動部14等を含む。投射部6は、光源11から射出された光を液晶ライトバルブ12で変調して投射画像(画像光)を形成し、この投射画像を投射レンズ13から拡大投射する。
【0044】
光源11は、キセノンランプ、超高圧水銀ランプ、LED(Light Emitting Diode)、またはレーザー光源等からなる光源部11aと、光源部11aが放射した光の方向のばらつきを低減するリフレクター11bとを含む。光源11から射出された光は、不図示のインテグレーター光学系によって輝度分布のばらつきが低減され、その後、不図示の色分離光学系によって光の3原色である赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の色光成分に分離される。R,G,Bの色光成分は、それぞれ液晶ライトバルブ12R,12G,12Bに入射する。
【0045】
液晶ライトバルブ12は、一対の透明基板間に液晶が封入された液晶パネル等によって構成される。液晶ライトバルブ12には、マトリクス状に配列された複数の画素12pからなる矩形の画素領域12aが形成されている。液晶ライトバルブ12では、液晶に対して画素12pごとに駆動電圧を印加することが可能である。ライトバルブ駆動部14が、画像処理部53から入力される画像信号に応じた駆動電圧を各画素12pに印加すると、各画素12pは、画像信号に応じた光透過率に設定される。このため、光源11から射出された光は、画素領域12aを透過することで変調され、画像信号に応じた画像が色光ごとに形成される。
【0046】
各色の画像は、図示しない色合成光学系によって画素12pごとに合成され、カラー画像光(カラー画像)である投射画像光(投射画像)が生成される。投射画像光は、投射レンズ13によって投射面10に拡大投射される。
【0047】
図2に戻って、音出力部7は、例えばスピーカーであり、音処理部54が出力した音信号に応じた音を出力する。
【0048】
次に、動作を説明する。
例えば、設定情報記憶部42に、第1設定情報は記憶されているが、第2設定情報は記憶されていない状況で、プロジェクター100が動作を開始すると、制御部55は、設定情報記憶部42に記憶されている第1設定情報(図3参照)を、設定情報として、画像処理部53、音処理部54、および通信部2に設定する。
【0049】
具体的には、制御部55は、音量の第1設定情報AAを、音量の設定情報として音処理部54に設定する。また、制御部55は、カラーモードの第1設定情報CCを、カラーモードの設定情報として画像処理部53に設定し、台形歪補正値の第1設定情報EEを、台形歪補正値の設定情報として画像処理部53に設定する。また、制御部55は、IPアドレスの第1設定情報GGを、IPアドレスの設定情報として通信部2に設定する。
【0050】
この状況で、例えば、第2設定画面I2において選択ボタンJ1が操作されると、制御部55は、選択部51に、表示対象画像情報として画像情報Aを選択させる。続いて、選択部51は、画像情報Aが伴っていた音情報を音処理部54に出力し、音情報を除いた画像情報Aを、検出部52を介して画像処理部53に出力する。
【0051】
音処理部54は、選択部51から受け取った音情報に対して、音量についての第1設定情報AAに応じた処理を施して音信号を生成し、音出力部7は、この音信号に応じた音を出力する。
【0052】
画像処理部53は、画像情報Aに対して、カラーモードについての第1設定情報CCと台形歪補正値についての第1設定情報EEとに応じた画像処理を施して画像信号を生成し、投射部6は、この画像信号に応じた画像を投射する。
【0053】
その後、利用者が、受付部3を操作して、第2設定画面I2を通じて、ある項目の第1設定情報を第2設定情報に変更するための変更指示を入力すると、制御部55は、その項目の第2設定情報を、設定情報記憶部42に記憶する。以下では、説明の簡略化のため、カラーモードの第2設定情報DDが、設定情報記憶部42に記憶されたとする。
【0054】
この場合、制御部55は、画像処理部53に設定されているカラーモードの設定情報を第1設定情報CCから第2設定情報DDに変更する。このため、画像処理部53は、台形歪補正値については第1設定情報EEを設定情報として用い、カラーモードについては第2設定情報DDを設定情報として用いて、画像情報Aに対して画像処理を施して画像信号を生成し、投射部6は、この画像信号に応じた画像を投射する。すなわち、制御部55は、画像処理部53に設定されているカラーモードの設定情報を第1設定情報CCから第2設定情報DDに変更することによって、投射部6に、画像情報Aに基づく画像を投射面10に表示させる。以下、このときの状態を「第1状態」と称する。
【0055】
次に、制御部55が、検出部52の検出結果に基づいて、設定情報を第2設定情報から第1設定情報に変更する動作を説明する。図7は、この動作を説明するためのフローチャートである。図7に示された動作は、繰り返し実行される。なお、図7に示された動作が開始されるとき、後述する変数tの値は「0」に設定されている。
【0056】
例えば、プロジェクター100(制御部55)が第1状態であるときに、利用者の交代に伴い、通信ケーブル200がPC300から外され、PC300とは異なるPCに接続される状況や、通信ケーブル200が入力端子1から外され、PC300とは異なるPCに接続された通信ケーブルが、入力端子1に接続される状況が考えられる。
【0057】
通信ケーブル200が入力端子1から外される状況では、通信ケーブル200が入力端子1から外された際に、検出部52は、表示対象画像情報が入力されていない状態(以下「無信号状態」とも称する)を検出する(ステップS1:YES)。検出部52は、無信号状態の検出結果を制御部55に出力する。
【0058】
制御部55は、無信号状態の検出結果を受け取ると、無信号状態の継続時間を示す変数tが第1時間T1以上であるか否かを判断する(ステップS2)。なお、第1時間T1は、例えば、記憶部4に記憶されている。
【0059】
変数tが第1時間T1未満である場合(ステップS2:NO)、制御部55は、変数tにΔt時間を加算し(ステップS3)、その後、処理はステップS1に戻る。Δt時間としては、ステップS1〜S3の処理に要する時間が用いられる。例えば、制御部55は、ステップS1〜S3の処理に要する時間を計測し、その計測結果をΔt時間として用いる。
【0060】
変数tが第1時間T1以上である場合(ステップS2:YES)、制御部55は、動作モード記憶部44を参照して、動作モードが共有モードであるか否かを判断する(ステップS4)。
【0061】
動作モードが共有モードである場合(ステップS4:YES)、他の利用者が第2設定情報を設定した可能性があるため、制御部55は、設定情報記憶部42の第2設定情報を削除する(ステップS5)。
【0062】
続いて、制御部55は、設定情報記憶部42に記憶されている第1設定情報を、設定情報として、通信部2と画像処理部53と音処理部54とに設定する(ステップS6)。
【0063】
具体的には、制御部55は、音量の第1設定情報AAを、音量の設定情報として音処理部54に設定する。また、制御部55は、カラーモードの第1設定情報CCをカラーモードの設定情報として画像処理部53に設定し、台形歪補正値の第1設定情報EEを台形歪補正値の設定情報として画像処理部53に設定する。また、制御部55は、IPアドレスの第1設定情報GGを、IPアドレスの設定情報として通信部2に設定する。
【0064】
続いて、制御部55は、検出部52が表示対象画像情報を検出するまで待つ(ステップS7:YES)。制御部55は、検出部52が表示対象画像情報を検出すると(ステップS7:NO)、変数tの値を「0」に設定(リセット)する(ステップS8)。画像処理部53は、表示対象画像情報に対して設定情報に基づく画像処理を施して画像信号を生成し、投射部6は、この画像信号に応じた画像を投射面10に投射して表示する(ステップS9)。
【0065】
一方、ステップS4で動作モードが専有モードである場合(ステップS4:NO)、処理がステップS7に移る。つまり、ステップS4で動作モードが専有モードである場合、制御部55は、設定情報を第2設定情報に維持する。また、ステップS1で、検出部52が表示対象画像情報を検出すると(ステップS1:NO)、制御部55はステップS8を実行する。
【0066】
本実施形態のプロジェクター100およびプロジェクター100の制御方法によれば、利用者の切り替えに伴って表示対象画像情報が入力されなくなった場合に、設定情報を、変更後の第2設定情報から変更前の第1設定情報に変更することが可能になる。よって、利用者が、他の利用者が変更した設定情報を用いて表示装置を使い始めることを抑制できる。
【0067】
本実施形態では、動作モードに応じて、変更後の設定情報(第2設定情報)を変更前の設定情報(第1設定情報)に戻すか否かが決定される。
このため、プロジェクター100が共有される場合には、動作モードが「共有モード」に設定されることで、利用者が、他の利用者が変更した設定情報を用いてプロジェクター100を使い始めることを抑制できる。
また、プロジェクター100が1人の利用者によって専有される場合、動作モードが「専有モード」に設定されることで、切替指示が発生しても変更後の設定情報を維持することができる。よって、1人の利用者が、同じ設定情報について同様の変更を繰り返し行うことを抑制することが可能になる。
【0068】
<変形例>
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、次に述べるような各種の変形が可能である。また、次に述べる変形の態様の中から任意に選択された一または複数の変形を適宜組み合わせることもできる。
【0069】
<変形例1>
第1時間T1は3秒に限らず適宜変更可能である。
例えば、プロジェクター100の利用停止状態を検出したときに、設定情報を、変更後の設定情報から変更前の設定情報に戻す場合には、第1時間T1として、プロジェクター100の利用停止を判断するための時間(例えば、10分)が用いられてもよい。一例を挙げると、プロジェクター100が光源11を常時点灯した状態で利用される場合、プロジェクター100の利用が終了されると無信号状態が継続される。このため、第1時間T1として10分が設定された場合、プロジェクター100の利用の終了に応じて、変更後の設定情報を変更前の設定情報に戻すことが可能になる。なお、プロジェクター100の利用停止状態を判断するための時間は、10分に限らず適宜変更可能である。
【0070】
<変形例2>
無信号状態の継続時間が長くなるほど、変更後の設定情報を変更前の設定情報に戻す項目を多くしてもよい。
図8は、変形例2の動作を説明するためのフローチャートである。具体的には、図8は、無信号状態の継続時間が第1時間T1になったときに、音量とカラーモードの第2設定情報を削除し、無信号状態の継続時間が第1時間T1よりも長い時間T2になったときに、台形歪補正値の第2設定情報を削除する動作を説明するためのフローチャートである。時間T2から第1時間T1を差し引いた時間(T2−T1)は、第2時間の一例である。台形歪補正値は、第1項目の一例である。音量とカラーモードは、第2項目の一例である。
【0071】
変形例2では、第1項目として、台形歪補正値という設置条件に関わる項目が用いられ、第2項目として、音量とカラーモードという利用者の好みに関わる項目が用いられる。
このため、まず、音量とカラーモードという利用者の好みに関わる項目の設定情報が、第1設定情報に戻され、その後、台形歪補正値という設置条件に関わる項目の設定情報が、第1設定情報に戻される。
第1項目および第2項目は適宜変更可能である。例えば、画像の明るさに関して第1設定情報と第2設定情報とが設定されている場合、画像の明るさの項目が、第1項目として用いられてもよい。
【0072】
第1時間T1は例えば3秒であり、時間T2は例えば10分である。なお、時間T2が第1時間T1よりも長ければ、第1時間T1と時間T2は適宜変更可能である。
【0073】
図8において、図7に示した処理と同一の処理には同一符号を付してある。以下、変形例2について、図7に示した処理と異なる点を中心に説明する。
【0074】
ステップS4でYESである場合、制御部55は、設定情報記憶部42に記憶された第2設定情報のうち、音量の第2設定情報とカラーモードの第2設定情報とを削除する(ステップS10)。すなわち、制御部55は、無信号状態の継続時間が第1時間T1になったときに、音量とカラーモードの第2設定情報を削除する。
【0075】
その後、ステップS6では、制御部55は、音量の第1設定情報を音処理部54に設定情報として設定し、カラーモードの第1設定情報を画像処理部53に設定情報として設定し、IPアドレスの第1設定情報を通信部2に設定情報として設定する。
また、制御部55は、設定情報記憶部42に台形歪補正値の第2設定情報が記憶されている場合、台形歪補正値の第2設定情報を画像処理部53に設定情報として設定する。一方、設定情報記憶部42に台形歪補正値の第2設定情報が記憶されていない場合、制御部55は、台形歪補正値の第1設定情報を画像処理部53に設定情報として設定する。
【0076】
ステップS6の後に実行されるステップS11〜S14は、ステップS1〜S4と同一処理である。このため、具体的な説明は割愛する。
【0077】
ステップS14でYESである場合、制御部55は、設定情報記憶部42から台形歪補正値の第2設定情報を削除する(ステップS15)。すなわち、制御部55は、無信号状態の継続時間が時間T2になったときに、台形歪補正値の第2設定情報を削除する。
【0078】
続いて、制御部55は、台形歪補正値の第1設定情報を画像処理部53に設定情報として設定する。以下、ステップS7〜S9が実行される。
【0079】
変形例2によれば、無信号状態の継続時間が長いほど、変更前の情報に戻される設定情報の項目を多くすることが可能になる。
【0080】
<変形例3>
設定情報を第2設定情報から第1設定情報に戻すタイミングは、無信号状態が解消したタイミングであってもよい。
図9は、設定情報を第2設定情報から第1設定情報に戻すタイミングを、無信号状態が解消したタイミングにした動作を示すフローチャートである。図9において、図7に示した処理と同一の処理には同一符号を付してある。図9に示した動作では、ステップS4が省略され、ステップS5およびS6がステップS8の直前に実行される。この場合、制御部55は、ステップS5およびS6が実行される間に、ブラックアウト(画像表示禁止状態)が実行されるように、画像処理部53を制御してもよい。
【0081】
<変形例4>
第1設定情報を設定するためのGUIは、図4に示した第1設定画面I1に限らず適宜変更可能である。また、第2設定情報を設定するためのGUIは、図5に示した第2設定画面I2に限らず適宜変更可能である。
【0082】
<変形例5>
第1設定情報および第2設定情報の両方または一方は、GUIとは異なる設定部によって設定されてもよい。例えば、GUIとは異なる設定部として、第1設定情報および第2設定情報の両方または一方を、外部から通信された指示に応じて設定する設定部が用いられてもよい。
【0083】
また、GUIとは異なる設定部として、設定情報の変更履歴に基づいて第1設定情報を自動的に更新する変更部が用いられてもよい。
例えば、管理者が基準値として設定した第1設定情報が、必ずしも利用者が望む設定情報でない可能性がある。この場合、利用者は、プロジェクター100を利用する度に第2設定画面I2を用いて設定情報を第1設定情報から第2設定情報に変更する必要がある。また、このような状況では、管理者は、利用者の要請を受けて第1設定画面I1を用いて第1設定情報(基準値)を変更することにもなる。このため、利用者、さらには管理者にも、変更作業が必要となる。
これに対して、設定情報の変更履歴に基づいて第1設定情報を自動的に更新する変更部が用いられると、利用者、さらには管理者の変更作業を軽減することが可能になる。
【0084】
図10は、第1設定情報を設定情報の変更履歴に基づいて変更する変更部56を含むプロジェクター100Aの一例を示した図である。図10において、図1に示したものと同一構成のものには同一符号を付してある。
【0085】
変更部56は、処理部5が、プログラム記憶部41に記憶されているプログラムを実行することによって実現される。変更部56は、設定情報が第1設定情報から第2設定情報(第1設定情報とは異なる情報)に変更される頻度が閾値を超える場合に、第1設定情報を変更する。例えば、変更部56は、第2設定情報に基づいて第1設定情報を変更する。
【0086】
一例を挙げると、変更部56は、設定情報の項目(図3参照)ごとに、第2設定情報の変更履歴を記憶部4に記憶する。また、変更部56は、プロジェクター100Aの起動の履歴も記憶部4に記憶する。
【0087】
変更部56は、第2設定情報の変更履歴およびプロジェクター100Aの起動の履歴を参照して、項目ごとに、設定情報を第1設定情報から第2設定情報に変更する頻度(以下「変更頻度」と称する)を算出する。例えば、変更部56は、n(nは1以上の整数)日間での変更頻度として、「n日間での第2設定情報の設定回数」/「n日間でのプロジェクター100Aの起動回数」を、項目ごとに算出する。
【0088】
続いて、変更部56は、項目ごとに、変更頻度が閾値(例えば、0.8)を超えているか否かを判断する。なお、閾値は、0.8に限らず適宜変更可能であり、また、項目ごとに個別に設定されてもよい。続いて、変更部56は、変更頻度が閾値を超えている項目について、その項目の第1設定情報を、例えば、n日間に設定された第2設定情報の平均値に変更する。なお、変更後の第1設定情報は、n日間に設定された第2設定情報の平均値に限らず適宜変更可能である。
【0089】
図10に示したプロジェクター100Aでは、第1設定情報が変更後の情報(第2設定情報)に基づいて変更されるため、第1設定情報が適切な情報に変更されやすくなる。
【0090】
<変形例6>
第1設定情報および第2設定情報の両方または一方を設定できる人物を限定するために、第1設定情報および第2設定情報の両方または一方を設定できる人物を認証する手法が付加されてもよい。この場合、例えば、第1設定画面I1を操作できる人物、すなわち、第1設定情報を設定および変更できる人物を、管理者権限を有する管理者に限定することが可能になる。
【0091】
また、利用者がパスワード等の認証によって管理者権限を一時的に取得した場合に、制御部55は、第2設定画面I2上で第1設定情報が変更されることを許可してもよい。
制御部55は、管理者権限を有していない利用者が、受付部3を用いて第2設定画面I2上で第1設定情報を変更する操作を行った場合、画像処理部53に、警告を表すダイアログボックスに応じたダイアログボックス画像情報を出力して、そのダイアログボックスを投射部6に投射させてもよい。なお、ダイアログボックスが表す内容は、警告に限らず適宜変更可能であり、例えば、管理者権限が必要である旨の説明でもよい。また、制御部55は、ダイアログボックスの代わりに、管理者向けの認証手順を示す画面を投射部6に投射させてもよい。この場合、ダイアログボックスおよび管理者向けの認証手順を示す画面は、それぞれ、第1画像の一例となる。
【0092】
<変形例7>
図7に示した動作において、ステップS4が省略され、ステップS2において変数tが第1時間T1以上になった際に(ステップS2:YES)、ステップS5が実行されてもよい。この場合、動作モード記憶部44も省略可能である。
また、図8に示した動作においても、ステップS4が省略され、ステップS2において変数tが第1時間T1以上になった際に(ステップS2:YES)、ステップS10が実行されてもよい。この場合も、動作モード記憶部44が省略可能である。
【0093】
<変形例8>
入力端子1および通信部2のうちいずれか一方が省略されてもよい。この場合、選択部51が省略され、入力された画像情報は、検出部52へ出力される。
【0094】
<変形例9>
選択部51は、2以上の画像情報を、表示対象画像情報として選択してもよい。この場合、画像処理部53は、2以上の表示対象画像情報の各々に基づく画像が重畳された重畳画像に応じた重畳画像信号を生成し、投射部6は、重畳画像信号に応じた重畳画像を投射面10に投射してもよい。
【0095】
<変形例10>
投射部6では、光変調装置として液晶ライトバルブが用いられたが、光変調装置は液晶ライトバルブに限らず適宜変更可能である。例えば、光変調装置として、3枚の反射型の液晶パネルを用いた構成であってもよい。また、光変調装置は、1枚の液晶パネルを用いた方式、3枚のデジタルミラーデバイス(DMD)を用いた方式、1枚のデジタルミラーデバイスを用いた方式等の構成であってもよい。光変調装置として1枚のみの液晶パネルまたはDMDが用いられる場合には、色分離光学系や色合成光学系に相当する部材は不要である。また、液晶パネルおよびDMD以外にも、光源が発した光を変調可能な構成は、光変調装置として採用できる。
【0096】
<変形例11>
表示装置としてプロジェクターが用いられたが、表示装置はプロジェクターに限らず適宜変更可能である。例えば、表示装置は、直視型のディスプレイ(液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、CRT(陰極線管)ディスプレイ等)であってもよい。
【0097】
<変形例12>
処理部5がプロクラムを読み取り実行することによって実現される要素の全部または一部は、例えばFPGA(field programmable gate array)またはASIC(Application Specific IC)等の電子回路によりハードウェアで実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働により実現されてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1…入力端子、2…通信部、3…受付部、4…記憶部、5…処理部、51…選択部、52…検出部、53…画像処理部、54…音処理部、55…制御部、6…投射部、7…音出力部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10