(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
スラリー式深層混合処理工法の地盤改良材として用いるセメント系固化材は、土質性状により、必要添加量が多くなる場合、材料費が施工費の大半を占めるほか、注入量が多くなり施工時間が増大することがある。このような問題を解決するために、設計改良強度に対する必要な固化材添加量を低減することが求められている。また、従来とほぼ同量の注入量で従来よりも高い強度の地盤改良体を造成できるような、新たな地盤改良材が求められている。
【0004】
一方、近年多発している、大規模地震を対象とした場合、地盤中に高強度改良体を築造したとしても、大地震時に改良体が脆性的に破壊することによって、改良体周辺の原地盤のせん断破壊が増大あるいは、突然行われる可能性が高く、粘り強い構造を有する地盤改良体が求められている。
【0005】
上述した従来技術の問題点に鑑み、本発明の目的は、改良対象土に対して、高い改良強度を確保できるとともに、地震時の慣性力に対して、改良体の靱性が高く、ある程度の変形を伴って破壊に移行することが可能な地盤改良体の造成技術、及び地盤改良材の製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、地盤改良材の製造方法で利用可能なウルトラファインバブル水製造プラントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者は、地盤改良工法で使う地盤改良材(例えば、スラリー式深層混合処理工法で使うセメントスラリー材料)の製造において、極微小な気泡、ウルトラファインバブル(気泡径数十nm〜1μm)を高濃度で混入した水を用いることにより、高強度で高靱性の改良体を造成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、前述した目的は、地盤改良の施工現場において、地盤改良材の製造に用いる工事用水に、気泡径1μm以下(数十nm〜1μm)の気泡であるウルトラファインバブルを混入させることによって、該ウルトラファインバブルを水中に含んで構成されるウルトラファインバブル混入水を製造し、該ウルトラファインバブル混入水に対し固化材を混合して地盤改良材とする、ことによって達成される。
【0008】
また、前述した目的は、上記方法により地盤改良の施工現場で製造した地盤改良材を改良対象地盤に注入して地盤改良体を造成することによって達成される。なお、後述する実施形態では、現地盤の土と地盤改良材を混合攪拌して化学的に固化させたものを地盤改良体と称しているが、本発明によって製造可能な地盤改良体は必ずしもこれに限定されず、例えば、地盤改良材が固結してなる地盤改良体を造成してもよい。
【0009】
また、前述した目的は、
ウルトラファインバブル混入水を製造するためのプラントであって、
ウルトラファインバブルを混入する前の水を貯留する第1の水槽と、
ウルトラファインバブルを所定濃度(バブル量)に達するまで混入させている途中の水(またはウルトラファインバブルの混入を完了した直後の水)を貯留する第2の水槽と、
ウルトラファインバブルを混入し終えた水(ウルトラファインバブル混入水)を貯留する第3の水槽と、
前記第2の水槽に向けて供給されるウルトラファインバブルを発生させるウルトラファインバブル発生装置と、有しており、
前記第2の水槽内の水は、前記第1の水槽から供給され、
前記第3の水槽内の水は、前記第2の水槽から供給される、
ことを特徴とするウルトラファインバブル水製造プラントによって達成される。
【発明の効果】
【0010】
ウルトラファインバブル混入水を用いた地盤改良体は、水道水(ウルトラファインバブルが混入されてない単なる水道水)を用いた場合に比べて、2割程度高い圧縮強度を有する。すなわち本発明によれば、従来よりも高い強度の地盤改良体を造成できる。別言すれば、本発明によれば、設計改良強度に対する必要な固化材添加量を低減することが可能となる。
【0011】
セメント材料に化学材料を付加することでも同様の効果が得られるが、水と気体(例えば空気)のみで作製可能なウルトラファインバブルを用いることにより、化学材料を付加する場合よりも製造コストの削減および環境負荷を低減できる。
【0012】
本発明を利用して造成した地盤改良体は、圧縮強度に対して破壊ひずみが大きいため、靱性の高い改良体を造成できる。つまり、例えば想定を上回る地震や大規模地震などの発生時においては、突然発生する脆性破壊を防ぎ、変形を伴った延性破壊形態となることで、粘り強い構造体として抵抗する。
【0013】
本発明において、地盤改良材(スラリー材料)に混入させてあるウルトラファインバブルは、極微小で滑らかな気泡表面であることから、地盤改良材と共に微小な土粒子間に分散することや、粘性土などの地盤改良機への付着が少なく、攪拌翼との共回り現象を防ぐことができる。その結果、品質において偏りのない均質な地盤改良体を造成することが可能になる。また、この効果により地盤改良機の洗浄作業の効率化および洗浄水の低減が可能となる。
【0014】
本発明のウルトラファインバブル水製造プラントを利用することで、地盤改良の施工時に、ウルトラファインバブル混入水を用いた地盤改良材の随時供給が可能となる。すなわち、ウルトラファインバブル混入水を施工時に絶えず供給できるので、施工に必要な地盤改良材を、施工途中で途切れることなく連続供給することが可能になる。また、ウルトラファインバブル混入水を連続供給することが可能になるとともに、連続供給されるウルトラファインバブル混入水のバブル濃度(水中のバブル量)をほぼ一定に保つことが可能になる。
【0015】
本発明では、地盤改良の施工現場に上記プラントを設置し、該施工現場でウルトラファインバブル混入水を製造するようになっている。したがって、ウルトラファインバブル混入水の品質(水中のウルトラファインバブルの量など)が劣化する前に、該ウルトラファインバブル混入水を用いて地盤改良材を製造することができる。すなわち、ウルトラファインバブル混入水を用いた地盤改良材の品質を一定に保つことができるので、施工品質にバラつきが生じることがない。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(ウルトラファインバブル)
本発明はウルトラファインバブルを利用することを特徴の一つとする。ウルトラファインバブルとは、気泡径1μm以下の気泡(具体的には気泡径十nm〜1μmの気泡)を意味する。なお、この出願では、ウルトラファインバブルを構成する気体の代表例として空気を例示するが、ウルトラファインバブルの構成気体は必ずしも空気に限定されず、酸素、二酸化炭素、窒素、水素、不活性ガス、その他の気体を採用することも可能である。つまり、ウルトラファインバブルを構成する気泡は、空気その他のあらゆる気体で構成することが可能である。
【0018】
直径1μmより小さな気泡であるウルトラファインバブルは、水中で浮上・消滅するマイクロバブルやミリバブルなどの気泡とは異なり、浮上しないこと、互いに反発しあい結合しないことから、水中で数ヶ月間にわたり滞在することが可能である。
なお、ウルトラファインバブルよりも気泡径が大きいマイクロバブル(気泡径1μm〜100μm)は、水中で非常にゆっくりと上昇し、また、水中で消滅するため、ウルトラファインバブルのように水中に長期残存することができず、また、ブラウン運動(微細振動)することもない。
また、マイクロバブルよりも更に気泡径が大きいミリバブル(気泡径100μm〜)は、水中での上昇速度が速く、また、水面で破裂するため、ウルトラファインバブルのように水中に長期残存することができず、また、ブラウン運動(微細振動)することもない。
【0019】
本実施形態に係る地盤改良材の製造方法では、セメントスラリー材料などの地盤改良材に用いる工事用水に空気のウルトラファインバブルを混入させてウルトラファインバブル混入水(ウルトラファインバブルが混入した水)を作製する。そして、このウルトラファインバブル混入水にセメント系固化材などの固化材を投入し混合して地盤改良材とする。以下、ウルトラファインバブルを混入させた水(工事用水)を、必要に応じて「ウルトラファインバブル混入水」または「ウルトラファインバブル水」と略称する。また、ウルトラファインバブルを、必要に応じて「UFB」と略称する。
【0020】
本発明で利用可能なウルトラファインバブル混入水のバブル濃度(水中における単位容積あたりのバブル数)は、特に限定されないが、例えば工事用水に1〜4億個/mLの濃度で(好ましくは2〜3億個/mLの濃度で)ウルトラファインバブルを混入させたものをウルトラファインバブル混入水として利用することが可能である。
【0021】
(ウルトラファインバブル混入水の製造プラント)
ウルトラファインバブル混入水の製造にあたっては、一定量(例えば0.1m
3)のウルトラファインバブル混入水を製造するために一定時間(例えば1分間)連続してウルトラファインバブル発生装置を循環させる必要がある。そこで、施工時において、ウルトラファインバブル混入水を途切れることなく供給して地盤改良材(セメントスラリー)の随時供給が可能となるように、ウルトラファインバブル水製造プラントを用いる。以下、本実施形態に係るウルトラファインバブル水製造プラントの詳細について説明する。
【0022】
本実施形態のウルトラファインバブル水製造プラントは、地盤改良の施工現場に設置され、
図1に示すように主として、
・ウルトラファインバブル混入水の製造に用いるタンクTと、
・ウルトラファインバブルを発生させるウルトラファインバブル発生装置Fと、
を有している。
【0023】
タンクTは、
図1に示すように3槽に分割された水槽を含んで構成されている。
具体的には、タンクTは、第1の水槽である水槽Aと、第2の水槽である水槽Bと、第3の水槽である水槽Cを有している。このように3槽に分割されたタンクT内の水は、該タンク内で、水槽A→水槽B→水槽Cの順序で移動する。
【0024】
水槽Aには、ウルトラファインバブルを混入する前の水が貯留される。この水槽Aには、途切れることなく随時、外部から工事用水(ウルトラファインバブルが混入していない水)が供給されるようになっている。工事用水としては例えば水道水を用いることができる。
水槽Cには、ウルトラファインバブルの混入が完了した水、すなわち、所定量のウルトラファインバブルが混入した水が貯留される。水槽Cに貯留された混入完了後の水(ウルトラファインバブル混入水)は、随時ミキシングプラントに排出される。すなわち、製造されたウルトラファインバブル混入水が途切れることなく、連続してミキシングプラントに向けて供給される。なお、ミキシングプラントでは、後述するとおり、ウルトラファインバブル混入水と固化材を混合してなる地盤改良材が製造される。
水槽Bには、ウルトラファインバブルを混入している途中の水(またはウルトラファインバブルの混入が完了した直後の水)が貯留される。ウルトラファインバブル混入水製造時において、水槽Aから水槽Bへの水の供給は所定のタイミングで一時的に停止されるようになっており、また、水槽Bから水槽Cへの水の排出は所定のタイミングで一時的に停止されるようになっており、これにより、一定バブル濃度のウルトラファインバブル混入水の製造が可能となっている。
【0025】
水槽Aと水槽Bの間には両者を連通させる第1の流路が設けられており、また該流路には、水槽A→水槽Bの流れで水を移動できるようにポンプaが設けられている。すなわち、水槽B内の水は、ポンプaによって第1の流路を介して、水槽Aから定量供給される。
なお
図1の一連のステップに示すように、本実施形態では、水槽Bに設けられた水位センサの水位検出結果に基づいて、第1の流路に設けられたポンプaの稼働を制御するようになっている。つまり、水槽Aから水槽Bへ水を供給するためのポンプ稼働は、水槽B内の水位に基づいて制御される。
【0026】
水槽Bと水槽Cの間には両者を連通させる第2の流路が設けられ、また該流路には、水槽B→水槽Cの流れで水を移動できるようにポンプbが設けられている。すなわち、水槽C内の水(ウルトラファインバブル混入水)は、ポンプbによって第2の流路を介して、水槽Bから定量供給される。
なお
図1の一連のステップに示すように、本実施形態では、水槽Bに設けられた水位センサの水位検出結果とタイマーの制御に基づいて、第2の流路に設けられたポンプbの稼働を制御するようになっている。つまり、水槽Bから水槽Cへ水を供給するためのポンプ稼働は、水槽B内の水位とタイマー(水槽Bの水位が所定水位に至ってからの経過時間)に基づいて制御される。
【0027】
ウルトラファインバブル発生装置Fは、水槽Bとの間で水が循環するように設けられている。ウルトラファインバブル発生装置Fでは、気泡径数十nm〜1μmのウルトラファインバブルが生成され、該装置内に取り込まれた水に該ウルトラファインバブルを分散させる。また、ウルトラファインバブル発生装置Fと水槽Bとの間では水が循環するようになっているので、ウルトラファインバブル発生装置でのバブル生成と、水槽Bとの間での水の循環を所定時間継続させることで、所定バブル濃度のウルトラファインバブル混入水が作製される。
【0028】
なお、
図1に例示する実施形態では、ウルトラファインバブル水製造プラントを、いわゆる横型のプラント(水が横方向に移動するタイプのプラント)で構成しているが、ウルトラファインバブル水製造プラントの構成は必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、
図2に例示するような縦型のプラント(水が縦方向に移動するタイプのプラント)を採用することも可能である。
【0029】
また、
図1および
図2には、ポンプを起動させる時間や、ポンプ稼働を制御する基準となる水位差(容量)、流路を開放するタイミングなどとして、具体的数値が記載してあるが、これらは一例であって、プラントの規模や施工現場の要求等に応じて適宜最適化することが可能である。
【0030】
図1に例示する横型プラントの場合は、水位センサとタイマーによりポンプ稼働を制御しているが、
図2に例示する縦型プラントの場合は、水センサとタイマーにより自動開閉し、水槽間を移動する。すなわち、縦型プラントの場合は、水を移動させるための動力として重力(水槽ABCの高低差)を利用しているので、横型プラントで採用しているようなポンプの一部または全部を省くことができる。
【0031】
(ウルトラファインバブル混入水を利用した地盤改良工法)
上述したウルトラファインバブル水製造プラントを用いることにより、一定バブル濃度のウルトラファインバブル混入水を地盤改良の施工現場において随時製造することが可能となる。すなわち、ウルトラファインバブル混入水を、ミキシングプラント(地盤改良材の製造プラント)へ向けて、途絶えることなく連続供給することが可能となる。
【0032】
そして、地盤改良工事の施工時において、ウルトラファインバブル混入水をミキシングプラント(地盤改良材の製造プラント)へ途絶えることなく随時供給することで、地盤改良工法(例えばスラリー撹拌工法などの深層混合処理工法)への適用が可能となる。
【0033】
本発明は、深層混合処理工法、中層混合処理工法、高圧噴射攪拌工法などのセメントスラリー(地盤改良材)を用いる地盤改良工法全般に導入することを想定している。深層混合処理工法の一例としては、スラリー撹拌工法の施工概要は以下のとおりである。
【0034】
図3に示すように、スラリー撹拌式地盤改良機にボーリングロッド、スイベル及び撹拌翼を装着後、杭芯に撹拌翼をセットして地盤改良機本体の据付を行う。
【0035】
地盤改良材の製造に用いる固化材を、セメントサイロへ圧送して貯蔵する。固化材の具体例としてはセメント系固化材があげられる。また、地盤改良材の製造に用いる工事用水を、水中ポンプでウルトラファインバブル水製造プラントのタンクへ貯蔵するとともに、ウルトラファインバブル発生装置とタンクとの間でウルトラファインバブル混合水を循環させることで、一定バブル濃度のウルトラファインバブル混入水を製造する。
【0036】
地盤改良材であるスラリーの製造にあたっては、最初に、プラントで製造されたウルトラファインバブル混入水をミキシングプラントに付属している水量計で計量を行い、その中に固化材をセメントサイロに付属している計量器で計量して投入するとともに混合する。ウルトラファインバブル混入水と固化材を混合してなるスラリーは、ミキサーで充分に練り、地盤改良材としてアジテーターに蓄える。
【0037】
アジテーターから注入ポンプにより地盤改良機にセメントスラリー(固化材とウルトラファインバブル混入水を混ぜてなる地盤改良材)を圧送し、撹拌翼回転・掘進によりセメントスラリーを削孔注入する。所定の深度まで掘進後、撹拌混合しながら撹拌翼を引上げし、土と地盤改良材が化学的に固化してなる略円柱状の地盤改良体を造成する。
【0038】
なお、本発明を適用可能な地盤改良工法は、上述したものに限定されるものではなく、工事用水と固化材を混合してなる地盤改良材を用いるものである限り、あらゆる地盤改良工法に適用可能であることに留意されたい。
また、本発明を利用して製造する地盤改良材は、水と固化材の2種だけで構成されてもよく、あるいは、水と固化材のほか1種または2種以上の混和材を混合したもので構成されてもよい。つまり、地盤改良材を製造する工程で、各種化学材料などを付加することも可能である。
また、本発明を利用して造成される地盤改良体の形態は特に限定されない。すなわち、地盤改良体は、必ずしも略円柱状の塊(固結体)に限定されるものではなく、改良対象地盤内において地盤改良材が固化することで形成される塊(一定の容積を持ったブロック)であれば、この出願で言及する「地盤改良体」に該当する。
また、地盤改良の施工現場では、上述した地盤改良体(ブロック)を対象地盤内に1体のみ造成してもよく、あるいは、繰り返し施工して複数体造成してもよい。
【実施例】
【0039】
次に本発明の具体的実施例について説明する。
【0040】
本発明の効果を実証するに当たり、室内配合試験を実施した。
試験内容は以下に示す方法で行った。
【0041】
(ウルトラファインバブル混入水の作製)
ウルトラファインバブル発生装置として、キャビテーション旋回流方式発生装置(ファビー10,株式会社ワイビーエム)を用いた。ウルトラファインバブル混入水は、このキャビテーション旋回流方式発生装置を用いて、水道水中に空気のウルトラファインバブルを分散させて作製した。
【0042】
用いたキャビテーション旋回流方式発生装置(ファビー10)の最大処理量は10L/分であり、10Lの水道水を10分間循環させ(10パス)、安定したウルトラファインバブル混入水を作製した。
【0043】
なお、試験で用いたキャビテーション旋回流方式発生装置では、当該発生装置を10パスすることで、平均径約100nmのウルトラファインバブルを約2.7×10
8個/mL作製可能であった。つまり、本実施例では、約2.7×10
8個/mLの濃度に至るようにウルトラファインバブルを水道水に混入させて、ウルトラファインバブル混入水とした。
【0044】
(配合試験)
採取した試料土を所定のふるいにて通過したものを使用し、異物等の混入の無いことを確認して、含水比が一様となるように充分練り返し、物理試験により試料土の物性を把握した上で、室内配合試験を実施した。試料土の物性は、表1に示すとおりであった。
【0045】
【表1】
【0046】
配合試験は、スラリー添加とすることから、地盤工学会基準「安定処理土の締固めをしない供試体作製方法」(JGS 0821-2009)に準拠し、供試体を作製した。
【0047】
配合した固化材(セメント材料)には、特殊土用セメント系固化材(汎用型)、ソリッドエース#400(麻生セメント株式会社)を用いた。
比較例では、表2に示すように水道水と固化材(ソリッドエース#400)を混合して地盤改良材とした。
実施例では、表2に示すようにウルトラファインバブル混入水と固化材(ソリッドエース#400)を混合して地盤改良材とした。
【0048】
比較例と実施例のそれぞれについて、試料に対して所定量の地盤改良材を計量し、試料に添加してソイルミキサーで十分に混合し、混合処理された試料をφ5cm×10cmのモールドに3層にて詰め、タッピングにて、1層毎に空気の除去を行った。
【0049】
型詰めされた供試体の端面をナイフで平滑に仕上げた後、温度20±3℃、湿度≧95%で養生用湿気箱にて所定の試験材齢まで養生した。
【0050】
(一軸圧縮試験)
養生後、「土の一軸圧縮試験方法」(JIS A 1216)に準拠し、一軸圧縮試験を実施した。
【0051】
(試験結果)
本発明の効果を実証するに当たり実施した、室内配合試験の結果は次の表2に示すとおりであった。
【0052】
【表2】
【0053】
地盤改良材にウルトラファインバブルが混入することによる一軸圧縮強度への影響は、
図4に示すとおりであった。
【0054】
地盤改良材にウルトラファインバブルが混入することによる圧縮破壊ひずみへの影響は、
図5に示すとおりであった。
【0055】
(試験を通じて実証された効果)
図4に示すとおり、ウルトラファインバブル混入水を用いた地盤改良材は、水道水(ウルトラファインバブルが混入されてない単なる水道水)を用いた場合に比べて、2割程度高い圧縮強度を有する地盤改良体を造成できることが分かった。すなわち本発明によれば、従来よりも高い強度の地盤改良体を造成できる。別言すれば、本発明によれば、設計改良強度に対する必要な固化材添加量を低減することが可能となる。
【0056】
セメント材料に化学材料を付加することでも同様の効果が得られるが、水と気体(例えば空気)のみで作製可能なウルトラファインバブルを用いることにより、製造コストの削減および環境負荷を低減できる。
【0057】
本発明を利用して造成した地盤改良体は、
図5に示すとおり、圧縮強度に対して破壊ひずみが大きいため、靱性の高い改良体を造成できる。つまり、例えば想定を上回る地震や大規模地震などの発生時においては、突然発生する脆性破壊を防ぎ、変形を伴った延性破壊形態となることで、粘り強い構造体として抵抗する。