(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記支持体は、ガラス材、金属材、プラスチック材、またはそれら組み合わせのうちから選択された材料をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のオゾン分解用触媒構造体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一側面は、エチレンを含む有害ガス及び有害細菌を減少させたり除去したりする工程中に発生するオゾンを分解し、空気を浄化するオゾン分解用触媒構造体を提供することである。
【0007】
他の側面は、エチレンを含む有害ガス及び有害細菌を減少させたり除去したりしながら、同時に発生するオゾンを分解し、空気を浄化する方法を提供することである。
【0008】
さらに他の側面は、フィルタの交換なしに、持続的に発生するエチレンを含む有害ガス及び有害細菌と、オゾンとを持続的に減少させたり除去したりすることができる空気浄化装置を提供することである。
【0009】
さらに他の側面は、前記オゾン分解用触媒構造体を含む空気浄化装置を含む空気浄化システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一側面によれば、
多孔性無機材を含む支持体と、
前記支持体内部の気孔及び表面のうち少なくとも一部に配置されたα−MnO
2触媒と、を含むオゾン分解用触媒構造体が提供される。
【0011】
前記多孔性無機材は、多孔性セラミック材を含んでもよい。
【0012】
前記多孔性無機材は、MgO、SiO
2及びAl
2O
3の成分を50%以上含む多孔性セラミック材を含んでもよい。
【0013】
前記多孔性セラミック材は、アルカリ酸化物成分をさらに含んでもよい。
【0014】
前記支持体は、モノリス(monolith)でもある。
【0015】
前記支持体は、ガラス材、金属材、プラスチック材、またはそれら組み合わせから選択された材料をさらに含んでもよい。
【0016】
前記α−MnO
2触媒は、バインダフリー(binder−free)に、前記支持体内部の気孔及び表面に固定されてもいる。
【0017】
前記α−MnO
2触媒の含量は、前記支持体100重量部を基準にして、1ないし10重量部でもある。
【0018】
前記α−MnO
2触媒は、50nmないし5μmの直径を有するα−MnO
2粒子を含んでもよい。
【0019】
前記オゾン分解用触媒構造体は、β−MnO
2、γ−MnO
2、無定形MnO
2、活性炭、またはそれら組み合わせから選択された触媒をさらに含んでもよい。
【0020】
他の側面によれば、
光触媒反応器を介して、空気中のエチレンを含む有害ガス及び有害細菌を減少させる第1段階と、
前記第1段階中に発生したオゾンを、前述のオゾン分解用触媒構造体を利用して分解する第2段階と、を含む空気浄化方法が提供される。
【0021】
前記光触媒反応器は、真空紫外線ランプ、及び前記真空紫外線ランプ周囲に1個以上の光触媒構造物が配置されてもよい。
【0022】
前記真空紫外線ランプは、254nm波長対185nm波長の比が9:1で構成されたUV−Cランプを含んでもよい。
【0023】
前記光触媒構造物は、基材、及び前記基材上に配置されたTiO
2光触媒を含んでもよい。
【0024】
前記有害ガスは、エチレン、アンモニア、アセトアルデヒド、またはそれらの組み合わせを含む有機/無機有害ガスを含みもする。
【0025】
前記有害細菌は、かび、大腸菌、緑膿菌、ブドウ状球菌、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0026】
前記オゾン分解用触媒構造体は、1個以上の触媒構造体を含んでもよい。
【0027】
さらに他の側面によれば、ハウジング内部に、
制御領域と、
空気流入領域と、
真空紫外線ランプ、及び前記真空紫外線ランプ周囲に配置された1個以上の光触媒構造物が位置する第1反応チャンバと、
前述のオゾン分解用触媒構造体が位置する第2反応チャンバと、
空気流出領域と、を含む空気浄化装置が提供される。
【0028】
前記空気浄化装置は、一方向に空気の流入及び流出が可能である。
【0029】
前述の空気流入領域及び空気流出領域のうち少なくとも一つにファンが設けられてもいる。
【0030】
前記オゾン分解用触媒構造体は、1個以上の触媒構造体を含んでもよい。
【0031】
前記空気流入部は、プレフィルタをさらに含んでもよい。
【0032】
さらに他の側面によれば、
前述のオゾン分解用触媒構造体を含む空気浄化装置を含む空気浄化システムが提供される。
【発明の効果】
【0033】
一側面によるオゾン分解触媒構造体は、多孔性無機材を含む支持体、及び前記支持体内部の気孔及び表面のうち少なくとも一部に配置されたα−MnO
2触媒を含み、エチレンを含む有害ガス及び有害細菌を減少させたり除去したりする工程中に発生するオゾンを分解し、空気を浄化することができる。また、エチレンを含む有害ガス及び有害細菌を減少させたり除去したりしながら、同時に発生するオゾンを分解し、空気を浄化する方法を提供するものである。また、フィルタの交換なしに、持続的に発生するエチレンを含む有害ガス及び有害細菌と、オゾンとを持続的に減少させたり除去したりすることができる空気浄化装置、及び該空気浄化システムを提供するものである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付された図面を参照しながら、例示的な一具現例によるオゾン分解用触媒構造体、それを利用した空気浄化方法、並びに前記オゾン分解用触媒構造体を含む空気浄化装置、及び該空気浄化システムについて詳細に説明する。以下では、例示として提示されるものであり、それによって本発明が制限されるものではなく、本発明は、後述する特許請求の範囲の範疇によって定義されるのみである。また、本明細書及び図面において、実質的に同一機能構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0036】
本明細書において、「含む」という用語は、特別に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素を追加または/及び介在させることができるということを示すように使用される。
【0037】
図1は、一具現例によるオゾン分解用触媒構造体10を示した概略図である。
【0038】
図1を参照すれば、一具現例によるオゾン分解用触媒構造体10は、多孔性無機材を含む支持体1と、前記支持体1内部の気孔2及び表面のうち少なくとも一部に配置されたα−MnO
2触媒3と、を含んでもよい。
【0039】
一般的に使用される繊維凝集体のような有機材支持体に、α−MnO
2触媒をコーティングするためには、十分な量のバインダが必要であり、それにより、α−MnO
2触媒活性が低下してしまう。また、繊維凝集体のような有機材支持体は、柔軟な特性を有しており、強酸、高温、強風のような外部環境によって形態が変わるので、前記支持体を固定化させる別途の考案が必要である。
【0040】
一具現例によるオゾン分解用触媒構造体の多孔性無機材を含む支持体1は、ポリベンズイミダゾールまたはポリアミドのような有機材を含む支持体と比較しても、広い比表面積を有しており、優秀なα−MnO
2触媒活性を示すことができる。また、前記多孔性無機材を含む支持体1は、強酸、高温、強風のような外部環境に対しても、形態を維持することができる。
【0041】
二酸化マンガンは、結晶構造により、α型、β型、γ型、δ型、λ型などがある。それらのうちα−MnO
2触媒3は、オゾン分解と関連する豊かな酸素欠損(vacancies)構造を有するので、他の結晶構造を有する二酸化マンガンと比較し、オゾン分解触媒活性に非常にすぐれる。前記α−MnO
2触媒3は、室温において、塩化マンガン(MnCl
2・4H
2O)水溶液、酢酸マンガン(Mn(CH
3COO)
2・4H
2O)水溶液または硫酸マンガン(MnSO
4・5H
2O)水溶液などを出発物質にし、所定当量のKMnO
4と反応させてMnO
2を沈澱させた後、それを水熱反応器で製造することができる。
【0042】
前記多孔性無機材は、多孔性セラミック材を含んでもよい。
【0043】
例えば、前記多孔性無機材は、MgO、SiO
2及びAl
2O
3の成分を50%以上含む多孔性セラミック材を含んでもよい。前記多孔性セラミック材は、セラミックハニカム構造でもある。前記多孔性セラミック材は、インチ当たり、約100個ないし約500個、例えば、約200個ないし約500個、例えば、約300個ないし約400個の正方形セルを有することができる。前記多孔性セラミック材は、前記正方形セルを介して、空気などが流入される。
【0044】
前記多孔性セラミック材は、強度が強く、比表面積が大きく、触媒活性を高めることができる。また、前記多孔性セラミック材は、通気性にすぐれ、圧力損失を低くすることができ、強酸、高温、強風のような外部環境に対しても、形態が維持される。
【0045】
前記多孔性セラミック材は、断面が、円形、楕円形、長方形または正方形のような多様な形態を有することができる。前記多孔性セラミック材は、例えば、数mmサイズまたは数十mmサイズの高さ及び直径を有した円筒状、直方体型または正六面体型などがある。しかし、それらに制限されるものではなく、当該技術分野で当業者が使用することができる多様な形態の多孔性セラミック材を利用することができる。
【0046】
前記多孔性セラミック材は、アルカリ酸化物成分をさらに含んでもよい。前記アルカリ酸化物成分の例としては、Li
2O、Na
2O、K
2Oなどを含んでもよい。前記アルカリ酸化物成分がさらに含まれた多孔性セラミック材は、高温にも熱的変形なしに、前記オゾン分解用触媒構造体の形態が維持される。
【0047】
前記支持体は、モノリス(monolith)でもある。
【0048】
前記支持体は、ガラス材、金属材、プラスチック材、またはそれら組み合わせから選択された材料をさらに含んでもよい。
【0049】
前記α−MnO
2触媒は、バインダフリー(binder−free)に、前記支持体内部の気孔及び表面に固定されてもいる。前記α−MnO
2触媒は、例えば、粒子形態である場合、バインダなしも、支持体内部の気孔及び表面に固定されており、触媒活性をさらに高めることができる。
【0050】
前記α−MnO
2触媒3の含量は、前記支持体100重量部を基準にして、1ないし10重量部でもある。例えば、前記α−MnO
2触媒の含量は、前記支持体100重量部を基準にして、2ないし9重量部、例えば、2ないし8重量部、例えば、2ないし7重量部でもある。
【0051】
前記α−MnO
2触媒3の含量範囲内で、前記多孔性無機材を含む支持体1に、α−MnO
2触媒3含有コーティング液が、容易に触媒活性のための十分な含量で塗布され、多孔性無機材を含む支持体1内部の気孔が塞がらない。
【0052】
前記α−MnO
2触媒は、50nmないし5μmの直径を有するα−MnO
2粒子を含んでもよい。前記α−MnO
2触媒は、例えば、60nmないし4μmの直径、例えば、70nmないし3μmの直径、例えば、80nmないし3μmの直径を有するα−MnO
2粒子を含んでもよい。
【0053】
前記α−MnO
2触媒は、前記直径を有する範囲内において、前記多孔性無機材を含む支持体1に、α−MnO
2触媒3含有コーティング液を使用し、容易に塗布することができ、塗布後、前記α−MnO
2触媒3が、前記多孔性無機材を含む支持体1から分離せずに、触媒活性も高く維持される。
【0054】
前記オゾン分解用触媒構造体は、β−MnO
2、γ−MnO
2、無定形MnO
2、活性炭、またはそれら組み合わせのうちから選択された触媒をさらに含んでもよい。
【0055】
他の一具現例による空気浄化方法は、光触媒反応器を介して、空気中のエチレンを含む有害ガス及び有害細菌を減少させる第1段階と、前記第1段階中に発生したオゾンを、前述のオゾン分解用触媒構造体を利用して分解する第2段階と、を含んでもよい。
【0056】
前記空気浄化方法は、エチレンを含む有害ガス及び有害細菌を減少させたり除去したりする工程(第1段階)、及び前記第1段階で発生するオゾンを分解する工程(第2段階)を含んでもよい。一具現例による空気浄化方法は、前記第1段階と前記第2段階とを介して、エチレンを含む有害ガス及び有害細菌が含有された空気が流入しても、オゾンを発生させず、エチレンを含む有害ガス及び有害細菌を減少させ、さらには除去することができる方法を提供することができる。
【0057】
前記光触媒反応器は、真空紫外線ランプ、及び前記真空紫外線ランプ周囲に1個以上の光触媒構造物が配置されてもよい。
【0058】
例えば、前記光触媒反応器は、UV−Cランプ、及び前記UV−Cランプ周囲に1個以上の光触媒構造物が配置されてもよい。前記UV−Cランプは、254nm波長対185nm波長の比が9:1にも構成される。前記UV−Cランプは、前記波長の比を有する範囲内において、16W出力以上で使用すれば、光触媒により、分解され難いエチレンを含む有害ガス及び有害細菌を減少させたり除去したりする性能がさらに向上する。エチレンを含む有害ガス及び有害細菌を減少させたり除去したりする性能をさらに向上させるために、UV−Cランプの個数、電圧、電流または出力などを高める方法でもって、適切に調節して使用することができる。
【0059】
前記光触媒構造物は、基材、及び前記基材上に配置されたTiO
2光触媒を含んでもよい。前記基材の例としては、制限されるものではないが、三次元網構造であるステンレス網に、TiO
2光触媒をコーティングさせたり、透明なガラス管に、TiO
2光触媒をコーティングさせたりすることができる。このとき、コーティングする方法としては、制限されるものではないが、例えば、ディップコーティングを利用することができる。
【0060】
前記有害ガスは、エチレン、アンモニア、アセトアルデヒド、またはそれらの組み合わせを含む有機/無機有害ガスを含みもする。前記有害細菌は、かび、大腸菌、緑膿菌、ブドウ状球菌、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。前述の有害ガスまたは有害細菌は、第1段階を介して、数十分ないし数時間または数十時間の経過後、極微量に減少されたり除去されたりする。
【0061】
前記第1段階を介して、空気中の酸素がオゾンに変わり、過剰のオゾンが発生することになるが、前記第2段階の前述のオゾン分解用触媒構造体を通過させ、オゾンを除去した空気を排出することができる。前記オゾン分解用触媒構造体については、前述の通りであるので、詳細な説明は、以下省略する。
【0062】
前記オゾン分解用触媒構造体は、1個以上の触媒構造体、例えば、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上または8個以上の触媒構造体を含んでもよい。前記オゾン分解用触媒構造体は、個数が増加するにつれ、オゾン分解の性能がさらに向上する。
【0063】
図3Aは、一具現例による空気浄化装置100の概略図である。
【0064】
図3Aを参照すれば、一具現例による空気浄化装置100は、ハウジング内部に、制御領域101と、空気流入領域102と、真空紫外線ランプ、及び前記真空紫外線ランプ周囲に配置された1個以上の光触媒構造物が位置する第1反応チャンバ103と、前述のオゾン分解用触媒構造体が位置する第2反応チャンバ104と、空気流出領域105と、を含んでいる。
【0065】
前記空気浄化装置100は、一方向に、空気の流入及び流出が可能である。
図3Aを参照すれば、前記空気浄化装置100は、下部から上部に、空間(void)またはホール(hole)のような開口部を介して、空気の流入及び流出が可能である。
【0066】
前記空気流入領域102及び空気流出領域105のうち少なくとも一つに、ファン106が設けられてもいる。
図3Aを参照すれば、前記空気流出領域105の上面に、ファン106が設けられている。前記空気流出領域105は、また浄化された空気を保存する保存空間として機能することができる。
【0067】
図3Bは、一具現例による空気浄化装置200の部分分解された概略的な斜視図である。
【0068】
図3Bを参照すれば、一具現例による空気浄化装置200は、ハウジング201,202,203,204内部に、回路基板211及び安全器212が位置した制御領域210;メッシュ型第2支持台242、及び第1支持台240上に配置されたプレフィルタ241が位置した空気流入領域102;UV−Cランプ221、及び前記UV−Cランプ221周囲に配置された複数の光触媒構造物222が位置する第1反応チャンバ230;前述のオゾン分解用触媒構造体が位置する第2反応チャンバ220;空気流出領域250;及び前記空気流出領域250上面のファン206が設けられている。
【0069】
前述の制御領域210、空気流入領域102、第1反応チャンバ230、第2反応チャンバ220及び空気流出領域250は、それぞれ開口部を有する隔壁によって分離されている。前記制御領域210内の回路基板211及び安全器212は、第1反応チャンバ230のUV−Cランプ221及び前記空気流出領域250上面のファン206と電気的に連結されている。前記プレフィルタ240は、例えば、不織布を利用することができるが、それに制限されるものではなく、当該技術分野で利用可能なプレフィルタ材料をいずれも使用することができる。
【0070】
図4は、一具現例による空気浄化装置300内部の部分概略図である。
【0071】
図4を参照すれば、一具現例による空気浄化装置300は、空気流入領域310と、UV−Cランプ、及び前記UV−Cランプ周囲に配置された1個以上の光触媒構造物が位置する第1反応チャンバ311と、前記第1反応チャンバに連結され、前述のオゾン分解用触媒構造体が位置する第2反応チャンバ312と、空気流出領域313と、を含んでいる。
【0072】
前記第1反応チャンバ311と前記第2反応チャンバ312は、連結管321によって連結されてもいる。
【0073】
前記空気流入領域310及び空気流出領域113のうち少なくとも一つにファンが設けられてもいる。
【0074】
前記空気流入領域310は、前記第1反応チャンバ311の一面に、空気流入口の形態で固定配置されているか、あるいは前記第1反応チャンバ311と分離された容器にも設けられる。前記空気流出領域313は、前記第2反応チャンバ312の一面に固定配置されているか、あるいは前記第2反応チャンバ312と分離された容器にも設けられる。前記第1反応チャンバ311または/及び前記第2反応チャンバ312は、それぞれ前記第1反応チャンバ311または/及び前記第2反応チャンバ312から出た空気などが保存された保存容器を設け、連結管で連結することができる。
【0075】
第1反応チャンバ111内のUV−Cランプ、及び前記空気流出領域313に設けられたファンを、それぞれ電源と連結することができる。
【0076】
図5Aは、一具現例による空気浄化装置の第1反応チャンバ11内部の概略図である。
図5Bは、一具現例による空気浄化装置の第2反応チャンバ15内部の概略図である。
【0077】
図5Aを参照すれば、第1反応チャンバ11は、内部にUV−Cランプ12、及び前記UV−Cランプ12周囲にランダムに配置された1個以上の光触媒構造物13が位置している。
図5Bを参照すれば、第2反応チャンバ15は、内部にオゾン分解用触媒構造体16複数個が積層されている。
【0078】
他の一具現例による空気浄化システムは、前述のオゾン分解用触媒構造体を含む空気浄化装置を含んでもよい。前記空気浄化システムは、必要によっては、制御装置、温度調節機などをさらに具備することができる。
【0079】
以下、本発明の実施例及び比較例を記載する。しかし、下記実施例は、本発明の一実施例にすぎず、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0080】
(オゾン分解用触媒構造体の製造)
実施例1:オゾン分解用触媒構造体の製造
水250mlに、MnCl
2・4H
2O39.4gとKMnO
4 31.6gとを添加して撹拌し、混合液を得た。前記混合液250mLを、水熱反応器において、2時間にわたって220℃まで昇温させ、220℃で3時間反応させた後で濾過した。その後に得られた沈殿物を100℃で2時間乾燥させ、バルク状態のα−MnO
2を得た。前記バルク状態のα−MnO
2を水中に分散させたα−MnO
2含有溶液(固形分約10%含量)をミリングし、約2.5μm平均径(D50)のα−MnO
2粒子を含むα−MnO
2分散液を得た。
【0081】
丸い形態のMgO、SiO
2及びAl
2O
3の成分を50%以上含む直径93mmx高さ50mmの多孔性コーディエライト(cordierite)モノリス(93X50mm/300cpsi、株式会社セラコム製)を準備した。前記α−MnO
2分散液に、前記多孔性コーディエライトモノリスをディッピング(dipping)した後で乾燥させ、α−MnO
2粒子が多孔性コーディエライトモノリス内部の気孔及び表面にコーティングされた、
図1から分かるようなオゾン分解用触媒構造体を製造した。
【0082】
このとき、前記α−MnO
2触媒の含量は、前記多孔性コーディエライトモノリス100重量部を基準にして、5重量部であった。
【0083】
比較例1:多孔性コーディエライトモノリス
丸い形態のMgO、SiO
2及びAl
2O
3の成分を50%以上含む直径93mmx高さ50mmの多孔性コーディエライトモノリス(93X50mm/300cpsi、株式会社セラコム製)を準備した。
【0084】
比較例2:オゾン分解用触媒構造体の製造
水250mlに、MnCl
2・4H
2O39.4gとKMnO
4 31.6gとを添加して撹拌し、混合液を得た。前記混合液250mLを、水熱反応器において、2時間にわたって220℃まで昇温させ、220℃で3時間反応させた後で濾過し、得られた沈殿物を100℃で2時間乾燥させ、バルク状態のα−MnO
2を得た。前記バルク状態のα−MnO
250gをナイロンメッシュで取り囲んだオゾン分解用触媒構造体を製造した。
【0085】
比較例3:オゾン分解用触媒構造体の製造
前記バルク状態のα−MnO
2 50gの代わりに、バルク状態のα−MnO
2100gを使用したことを除いては、比較例2と同一方法でオゾン分解用触媒構造体を製造した。
【0086】
比較例4:オゾン分解用触媒構造体の製造
前記バルク状態のα−MnO
2 50gの代わりに、バルク状態のα−MnO
2 200gを使用したことを除いては、比較例2と同一方法でオゾン分解用触媒構造体を製造した。
【0087】
比較例5:オゾン分解用触媒構造体の製造
前記バルク状態のα−MnO
2 50gの代わりに、バルク状態のα−MnO
2 270gを使用したことを除いては、比較例2と同一方法でオゾン分解用触媒構造体を製造した。
【0088】
比較例6:オゾン分解用触媒構造体の製造
前記バルク状態のα−MnO
2 50gの代わりに、バルク状態のα−MnO
2 312gを使用したことを除いては、比較例2と同一方法でオゾン分解用触媒構造体を製造した。
【0089】
(空気浄化装置の作製)
実施例2:空気浄化装置の作製
空気浄化実験は、1mx1mx1mサイズのチャンバ空間内でなされ、実験に使用する空気浄化装置300を、
図4に示されているように作製した。
【0090】
一面に、空気流入口310(ファン含む)が設けられた第1反応チャンバ311内部の中央に、UV−Cランプ(254nm波長:185nm波長の比=9:1、出力:16W、GPH357T5VH/4P、Light Sources Inc.製)を設け、前記UV−Cランプ周囲に、ステンレス網の表面及び内部に、TiO
2光触媒がコーティングされた光触媒フィルタをランダムに配置した。前記光触媒フィルタに使用されたTiO
2は、Degussa P25 TiO
2(75%アナターゼ/25%ルチル、日本アエロジル(株)製)であり、前記使用されたステンレス網は、2mmx2mmメッシュであるステンレス網を、長手方向に沿って同一間隔で、前記UV−Cランプを嵌め込むことができるように、円形ホールを形成し、隣接する円形ホールの中間地点を曲折し、ジグザグ形態になるようにした前記UV−Cランプ周囲に、多層構造を有する連続構造体に作製したステンレス網であり、ディップコーティング法を利用してコーティングした。
【0091】
第2反応チャンバ312は、内部に、実施例1によって製造されたオゾン分解用触媒構造体8個を積層させた。前記第1反応チャンバ311と第2反応チャンバ312は、連結管321によって連結し、第1反応チャンバで発生したオゾンが含まれた空気を、第2反応チャンバに流入する通路として使用した。第2反応チャンバ312の一面、に空気流出口313を設け、それを介して浄化された空気が排出された。このとき、前記空気流出口313にファンを設けた。
【0092】
また、第1反応チャンバ311内のUV−Cランプ、及び前記空気流出領域313に設けられたファンをそれぞれ電源と連結した。
【0093】
実施例3:空気浄化装置の作製
第1反応チャンバ311内部の中央に、UV−Cランプ(254nm波長:185nm波長の比=9:1、出力:16W)の代わりに、UV−Cランプ(254nm波長:185nm波長の比=9:1、出力:25W)を使用したことを除いては、実施例2と同一方法で空気浄化装置を作製した。
【0094】
実施例4〜10:空気浄化装置の作製
第2反応チャンバ312内部に、実施例1によって製造されたオゾン分解用触媒構造体をそれぞれ1個〜7個を積層して使用したことを除いては、実施例2と同一方法で空気浄化装置をそれぞれ作製した。
【0095】
比較例7:空気浄化装置の作製
第1反応チャンバ311内部の中央に、UV−Cランプ(254nm波長:185nm波長の比=9:1、出力:16W)の代わりに、UV−Cランプ(365nm波長、出力:15W)を使用したことを除いては、実施例2と同一方法で空気浄化装置を作製した。
【0096】
比較例8:空気浄化装置の作製
第1反応チャンバ311内部の中央に、UV−Cランプ(254nm波長:185nm波長の比=9:1、出力:16W)の代わりに、UV−Cランプ(254nm波長、出力:8W)を使用したことを除いては、実施例2と同一方法で空気浄化装置を作製した。
【0097】
比較例9:空気浄化装置の作製
第2反応チャンバ312は、内部に、実施例1によって製造されたオゾン分解用触媒構造体の代わりに、比較例1によって準備された多孔性コーディエライトモノリスを使用したことを除いては、実施例2と同一方法で空気浄化装置を作製した。
【0098】
比較例10〜14:空気浄化装置の作製
第2反応チャンバ312は、内部に、実施例1によって製造されたオゾン分解用触媒構造体の代わりに、比較例2〜6によって製造されたオゾン分解用触媒構造体を使用したことを除いては、実施例2と同一方法で空気浄化装置をそれぞれ作製した。
【0099】
分析例1:XRD(X‐ray diffraction)データ:α−MnO
2含有層成分分析
実施例1によるオゾン分解用触媒構造体のα−MnO
2触媒に対してXRD実験を行った。水熱合成法で合成したα−MnO
2触媒分散液を濾過して乾燥させて得られた粉末をXRD測定した。その結果を
図2に示した。
【0100】
XRD分析器としては、CuKαradiation(1.540598Å)を利用したRigaku RINT2200HF+回折計(diffractometer)を利用した。
【0101】
図2を参照すれば、実施例1によるオゾン分解用触媒構造体のα−MnO
2触媒は、回折角2θが、約13゜、約18゜、約29゜、約37゜及び約60゜において、それぞれ明らかなピークが示された。それにより、オゾン分解用触媒構造体のα−MnO
2触媒は、純粋な(pure)α−MnO
2であることを確認することができる。
【0102】
評価例1:有害ガス低減性能評価
(1)エチレンガス低減性能評価
1mx1mx1mのチャンバ空間内に所定濃度のエチレンを入れ、実施例2、実施例3、比較例7及び比較例8による空気浄化装置について、第2反応チャンバ内において、実施例1によって製造されたオゾン分解用触媒構造体を設けないまま、空気浄化装置を稼動し、エチレンガス低減性能に係わる評価を行った。空気浄化装置の稼動時間の経過によるチャンバ空間内に残存しているエチレンの濃度を測定し、その結果を
図5、表1及び表2にそれぞれ示した。
【0103】
【表1】
【0104】
【表2】
【0105】
図5を参照すれば、実施例2による空気浄化装置は、エチレンガスの初期濃度が60ppmである場合、6時間後、エチレンガスが完全に除去されたことを確認することができる。
【0106】
前記表1を参照すれば、実施例3による空気浄化装置は、エチレンガスの初期濃度が54ppmである場合、40分後、エチレンガスが完全に除去されたことを確認することができる。それと比較し、表2を参照すれば、比較例7及び比較例8による空気浄化装置は、エチレンガスの初期濃度が50ppmである場合、180分後にも、相変らず同一濃度のエチレンガスが存在するということを確認することができる。
【0107】
それにより、実施例2及び実施例3による空気浄化装置は、いずれも比較例7及び比較例8による空気浄化装置に比べ、短時間内にエチレンガスが完全に除去されたことが分かる。また、実施例3による空気浄化装置が、実施例2による空気浄化装置と比較し、エチレンガス除去能がさらに改善されている。
【0108】
(2)アンモニアガス及びアセトアルデヒドガスの低減性能評価
実施例2による空気浄化装置について、第2反応チャンバ内に、実施例1によって製造されたオゾン分解用触媒構造体を設けないまま、アンモニアガス及びアセトアルデヒドガスの低減性能に対する評価を行った。その結果を、
図7及び
図8にそれぞれ示した。
【0109】
図7を参照すれば、実施例2による空気浄化装置は、アンモニアガスの初期濃度が50ppmである場合、30分後、アンモニアガスが完全に除去されたことを確認することができる。
図8を参照すれば、実施例2による空気浄化装置は、アセトアルデヒドガスの初期濃度が40ppmである場合、3時間後、アセトアルデヒドガスが完全に除去されたことを確認することができる。
【0110】
それにより、実施例2による空気浄化装置は、短時間内に、アンモニアガス及びアセトアルデヒドガスがいずれも完全に除去されたことが分かる。
【0111】
評価例2:オゾン分解性能評価
(1)オゾン分解性能評価1
実施例2による空気浄化装置の第1反応チャンバを介して、エチレンガスなどを除去する工程中に発生して蓄積されるオゾンについて、第2反応チャンバ内部に積層された実施例1によるオゾン分解用触媒構造体のオゾン分解性能を評価した。その結果を
図6に示した。
【0112】
図6を参照すれば、実施例2による空気浄化装置に含まれた第2反応チャンバ内部に設けられた実施例1によるオゾン分解用触媒構造体は、20時間経過後にも、オゾン濃度が約0.16ppmとオゾン分解性能にすぐれている。
【0113】
(2)オゾン分解性能評価2
実施例4〜10、比較例9及び比較例10〜14による空気浄化装置について、周囲にエチレンガスがない状態で、第1反応チャンバ内部の中央に設けられたUV−Cランプによって発生して蓄積されるオゾンの濃度を測定し、第2反応チャンバ内部に積層された実施例1及び比較例2〜6によるオゾン分解用触媒構造体のオゾン分解性能を評価した。その結果を表3及び表4にそれぞれ示した。
【0114】
【表3】
【0115】
【表4】
【0116】
前記表3を参照すれば、比較例9による空気浄化装置に含まれた第2反応チャンバ内部に設けられた比較例1によるオゾン分解用触媒構造体と比較し、実施例4〜10による空気浄化装置に含まれた第2反応チャンバ内部に設けられた実施例1によるオゾン分解用触媒構造体は、いずれも3時間経過後、オゾン濃度が0.20ppm以下と、オゾン分解性能にすぐれている。また、実施例1によるオゾン分解用触媒構造体個数の増加により、オゾン分解性能がさらに向上することを確認することができる。
【0117】
それと比較し、表4を参照すれば、比較例10〜14による空気浄化装置に含まれた第2反応チャンバ内部に設けられた比較例2〜6によるオゾン分解用触媒構造体は、いずれも4時間経過後にも、1.55ppm以上のオゾン分解性能を示した。
【0118】
それにより、実施例4〜10による空気浄化装置に含まれた第2反応チャンバ内部に設けられた実施例1によるオゾン分解用触媒構造体が、比較例9〜14による空気浄化装置に含まれた第2反応チャンバ内部に設けられた比較例1〜6によるオゾン分解用触媒構造体と比較し、オゾン分解性能が改善されることを確認することができる。
【0119】
評価例3:有害菌低減性能評価
実施例2による空気浄化装置について、かび、大腸菌、緑膿菌、ブドウ状球菌の有害菌低減性能に対する評価を、韓国建設生活環境研究院によるKSI 2008:2013に準じる方法を利用して行った。すなわち、8m
3のチャンバ内部に、一定濃度の試験菌株を分散させ、空気浄化器を3時間作動させた後、チャンバ内部の細菌減少率を測定し、その結果を下記表5に示した。
【0120】
【表5】
【0121】
[表5]を参照すれば、実施例2による空気浄化装置は、かび、大腸菌、緑膿菌、ブドウ状球菌の細菌減少率が93.4%以上と、有害菌低減性能にすぐれている。
【0122】
以上、添付図面を参照しながら、実施例について詳細に説明したが、本発明は、関連例に限定されるものではない。本発明が属する技術分野において通常の知識を有した者であるならば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種変更例または修正例に想到するということは、明らかであり、それらについても、当然のこととして、本発明の技術的範囲に属するものであると理解される。