特許第6933620号(P6933620)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6933620
(24)【登録日】2021年8月23日
(45)【発行日】2021年9月8日
(54)【発明の名称】電源回路
(51)【国際特許分類】
   G05F 3/30 20060101AFI20210826BHJP
【FI】
   G05F3/30
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-172185(P2018-172185)
(22)【出願日】2018年9月14日
(65)【公開番号】特開2020-46703(P2020-46703A)
(43)【公開日】2020年3月26日
【審査請求日】2020年8月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山中 祐司
【審査官】 東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2016/0274617(US,A1)
【文献】 特開2000−65872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/00−7/00
H03F 1/00−3/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エミッタ、ベース及びコレクタを有する第1導電型の第1のバイポーラトランジスタと、
前記第1のバイポーラトランジスタのエミッタ面積とは異なるエミッタ面積を有し、前記第1のバイポーラトランジスタのエミッタに共通接続されるエミッタを有する第1導電型の第2のバイポーラトランジスタと、
前記第1のバイポーラトランジスタのエミッタ面積とは異なるエミッタ面積を有し、前記第1のバイポーラトランジスタのエミッタに共通接続されるエミッタを有する第1導電型の第3のバイポーラトランジスタと、
前記第1のバイポーラトランジスタのベースと前記第2のバイポーラトランジスタのベース間に接続される第1の抵抗と、前記第2のバイポーラトランジスタのベースと前記第3のバイポーラトランジスタのベース間に接続される第2の抵抗を有する出力電圧設定回路と、
前記第1のバイポーラトランジスタのベースと接地端子との間に順方向に接続されるPN接合ダイオードと、
前記出力電圧設定回路に接続され、前記PN接合ダイオードの順方向電圧と前記第1の抵抗に生じる電圧降下を所定倍した電圧の和の電圧によって設定される基準電圧を出力する基準電圧出力端子と、
前記第3のバイポーラトランジスタのコレクタの電位に応答して、前記基準電圧が所定のしきい値電圧に達したことを示す検出信号を出力する検出信号出力回路と、
を具備することを特徴とする電源回路。
【請求項2】
前記第2のバイポーラトランジスタと前記第3のバイポーラトランジスタは同じエミッタ面積を有し、前記第1のバイポーラトランジスタは、前記第2のバイポーラトランジスタと前記第3のバイポーラトランジスタに対して、N倍(Nは1より大きい任意の正数)のエミッタ面積を有することを特徴とする請求項1に記載の電源回路。
【請求項3】
前記第1、第2、及び第3のバイポーラトランジスタのコレクタに接続されるカレントミラー回路を具備することを特徴とする請求項1または2に記載の電源回路。
【請求項4】
前記検出信号出力回路は、前記第3のバイポーラトランジスタのコレクタに制御電極が接続されたスイッチングトランジスタを備え、前記スイッチングトランジスタの導通に応じて前記検出信号を出力することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電源回路。
【請求項5】
前記基準電圧は、前記PN接合ダイオードの順方向電圧の2倍の電圧に設定されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電源回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バンドギャップ基準電圧を出力する電源回路において、バンドギャップ基準電圧が出力されたことを示す信号を出力する回路を備えた構成が知られている。バンドギャップ基準電圧は、シリーズレギュレータやDC/DCコンバータ等の基準電圧として用いられる。バンドギャップ基準電圧が所望の状態でないにも拘らず出力されたことを示す信号が出力された場合には、電源回路からの電圧を受けて動作する回路を誤動作させる原因となる。この為、出力されたことを示す信号は、電源回路が出力するバンドギャップ基準電圧の状態を正確に反映した信号であることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4311687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一つの実施形態は、バンドギャップ基準電圧の状態を正確に反映して、バンドギャップ基準電圧が出力されたことを示す信号を出力することができる電源回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの実施形態によれば、電源回路は、エミッタ、ベース及びコレクタを有する第1導電型の第1のバイポーラトランジスタ有する。前記第1のバイポーラトランジスタのエミッタ面積とは異なるエミッタ面積を有し、前記第1のバイポーラトランジスタのエミッタに共通接続されるエミッタを有する第1導電型の第2のバイポーラトランジスタを有する。前記第1のバイポーラトランジスタのエミッタ面積とは異なるエミッタ面積を有し、前記第1のバイポーラトランジスタのエミッタに共通接続されるエミッタを有する第1導電型の第3のバイポーラトランジスタを有する。前記第1のバイポーラトランジスタのベースと前記第2のバイポーラトランジスタのベース間に接続される第1の抵抗と、前記第2のバイポーラトランジスタのベースと前記第3のバイポーラトランジスタのベース間に接続される第2の抵抗を有する出力電圧設定回路を有する。前記第1のバイポーラトランジスタのベースと電源端子との間に順方向に接続されるPN接合ダイオードを有する。前記出力電圧設定回路に接続され、前記PN接合ダイオードの順方向電圧と前記第1の抵抗に生じる電圧降下を所定倍した電圧の和の電圧によって設定される基準電圧を出力する基準電圧出力端子を有する。前記第3のバイポーラトランジスタのコレクタの電位に応答して、前記基準電圧が所定のしきい値電圧に達したことを示す検出信号を出力する検出信号出力回路を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1の実施形態の電源回路を示す説明図である。
図2図2は、第1の実施形態の電源回路のシミュレーション結果を示す図である。
図3図3は、第1の実施形態の温度特性を従来の電源回路と比較したシミュレーション結果を示す図である。
図4図4は、比較の為に用いた従来の電源回路を示す図である。
図5図5は、第2の実施形態の電源回路を示す図である。
図6図6は、第3の実施形態の電源回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる電源回路を詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の電源回路の構成を示す図である。本実施形態の電源回路は、エミッタが共通接続された3個のNPNバイポーラトランジスタQ1〜Q3を有する。トランジスタQ1〜Q3のエミッタは、電流源15を介して接地端子17に接続される。接地端子17には、接地電位GNDが印加される。
【0009】
例えば、トランジスタQ2、Q3とトランジスタQ1とのエミッタ面積の比は、1対N(Nは1以上の任意の正数)に設定される。すなわち、トランジスタQ2とQ3は同じ面積のエミッタを有し、トランジスタQ1のエミッタ面積は、トランジスタQ2とQ3に対して、N倍のエミッタ面積を有する。エミッタ面積は、例えば、夫々のトランジスタQ1〜Q3を構成する並列接続されたトランジスタ(図示せず)の個数によって設定することができる。例えば、トランジスタQ2とQ3を構成するトランジスタの数に対して、トランジスタQ1を構成するトランジスタの数をN倍とすることで、エミッタ面積の比を1対Nとすることができる。
【0010】
トランジスタQ1のベースと接地端子17との間には、抵抗R3とNPNバイポーラトランジスタQ4の直列回路が接続される。トランジスタQ4は、ベースとコレクタが共通接続され、PN接合ダイオードが構成される。トランジスタQ4は、トランジスタQ1のベースと接地端子17との間に順方向電圧を生じる方向に接続される。
【0011】
電源端子11には、電源10によって入力電圧VINが印加される。トランジスタQ1〜Q3のコレクタと電源端子11の間には、カレントミラー回路12が接続される。カレントミラー回路12は、PMOSトランジスタM1〜M3を有する。トランジスタM1は、ドレインがトランジスタQ1のコレクタに接続され、ソースが電源端子11に接続される。すなわち、トランジスタM1の主電流路であるソース・ドレイン路が、電源端子11とトランジスタQ1のコレクタ間に接続される。
【0012】
トランジスタM2、M3は、ゲートがトランジスタM1のゲートに共通接続される。また、トランジスタM2、M3のソースは電源端子11に接続され、ドレインは、夫々、トランジスタQ2、Q3のコレクタに接続される。
【0013】
トランジスタM1〜M3のゲートは共通接続され、夫々のソースが電源端子11に接続される為、トランジスタM1〜M3のゲート・ソース間電圧VGSは同じ値となる。この為、トランジスタM1〜M3の寸法比に応じたドレイン電流をトランジスタQ1〜Q3のコレクタに供給するカレントミラー回路12を構成する。本実施形態では、トランジスタM1〜M3の寸法は同じに設定されており、同じ値のドレイン電流をトランジスタQ1〜Q3のコレクタに供給する。
【0014】
ゲートがトランジスタQ2のコレクタに接続され、ドレインが電源端子11に接続され、ソースが基準電圧出力端子13に接続されたNMOSトランジスタM4を有する。すなわち、トランジスタM4の主電流路であるソース・ドレイン路が電源端子11と基準電圧出力端子13間に接続される。
【0015】
トランジスタM4のソースとトランジスタQ1のベース間には、出力電圧設定回路20が接続される。出力電圧設定回路20は、直列接続された抵抗R41と抵抗R42を有する。抵抗R41は、トランジスタQ1のベースとトランジスタQ2のベース間に接続される。抵抗R42は、トランジスタQ3のベースとトランジスタQ4のベース間に接続される。また、抵抗R42の一端は、抵抗R2とR1を介して基準電圧出力端子13に接続される。
【0016】
本実施形態は、検出信号出力回路40を有する。検出信号出力回路40は、ゲートがトランジスタQ4のコレクタに接続され、ソースが電源端子11に接続され、ドレインが電流源16に接続されたトランジスタM6を有する。トランジスタM6の導通は、トランジスタQ3のコレクタ電位によって制御される。また、検出信号出力回路40は、ソースが接地端子17に接続され、ゲートがトランジスタM6のドレインに接続され、ドレインが抵抗R5を介して電源端子11に接続されると共に検出信号出力端子14に接続されたNMOSトランジスタM5を有する。
【0017】
抵抗R41には、トランジスタQ1とQ2のベース・エミッタ間電圧の差電圧ΔVbeが印加される。トランジスタQ1とQ2が完全にオンして安定化した状態においては、差電圧ΔVbeは、次の式(1)で示される。
【数1】
【0018】
式(1)において、kはボルツマン定数(1.3807×10−23[JK−1])、Tは絶対温度[K]、qは電子の電荷(1.602177×10−19[C])、lnは自然対数、NはトランジスタQ1とQ2のエミッタ面積比である。
【0019】
例えば、エミッタ面積比Nが「8」とすると、式(1)のΔVbeは、常温で約54mVとなる。この場合、抵抗R41における電圧降下が、この差電圧ΔVbeより低い状態においては、トランジスタQ2は完全なオン状態ではない。この為、トランジスタM2のドレイン電位、すなわち、トランジスタM4のゲート電位は、入力電圧VINに従って上昇する。
【0020】
トランジスタM4は、ゲート電位がしきい値電圧を超えると、オンとなる。これにより、出力電圧設定回路20がトランジスタM4を介して電源端子11に接続される。トランジスタM4のドレイン電圧の上昇に従って、出力電圧設定回路20に接続された基準電圧出力端子13の電圧が上昇する。
【0021】
入力電圧VINの上昇に従って、抵抗R41における電圧降下が、式(1)で示す差電圧ΔVbeに達すると、トランジスタQ2は完全なオン状態となる。すなわち、トランジスタQ1とQ2のエミッタ面積比Nで設定される差電圧ΔVbeが抵抗R41に生じた状態で安定化する。
【0022】
抵抗R41における電圧降下が、差電圧ΔVbeで安定化した状態の時、基準電圧出力端子13のバンドギャップ出力電圧VBGは、次の式(2)で示される。
【数2】
【0023】
ここで、Vbe(Q4)は、トランジスタQ4の順方向電圧を示す。尚、式(2)においては、R1、R2、R3、R41、R42は、夫々対応する抵抗R1、R2、R3、R41、R42の抵抗値を便宜的に示す。以降、各数式において同様である。
【0024】
差電圧ΔVbeに相当する電圧降下を抵抗R41の抵抗値で除して得られる電流が出力電圧設定回路20を流れ、夫々の抵抗R1、R2、R3、R41、R42において電圧降下が生じる。
【0025】
従って、本実施形態においては、バンドギャップ出力電圧VBGは、式(2)で示すように、トランジスタQ4の順方向電圧Vbe(Q4)と、式(1)で示される差電圧ΔVbeが出力電圧設定回路20の各抵抗及び抵抗R3の抵抗値によって所定倍された電圧との和によって設定される。
【0026】
また、バンドギャップ出力電圧VBGの温度係数は、次の式(3)で示される。
【数3】
【0027】
Vbe(Q4)の温度係数∂Vbe(Q4)/∂Tは、負の温度特性を示し、例えば、−1.8m(V/℃)である。従って、式(3)の第2項の値を調整することで、バンドギャップ出力電圧VBGの温度係数を0(V/℃)とすることができる。
【0028】
式(2)の2項目の値を電圧Vbe(Q4)に等しい値で、且つ、正の温度係数を有する電圧とすることにより、バンドギャップ出力電圧VBGの温度係数を0(V/℃)とする。例えば、Vbe(Q4)は、一般的に、約0.6V程度で有る為、バンドギャップ出力電圧VBGとして、Vbe(Q4)の2倍の電圧、約1.25Vで、温度係数が0(V/℃)のバンドギャップ出力電圧VBGを出力する電源回路を構成することができる。
【0029】
抵抗R41とR42の直列接続が、トランジスタQ1とQ3のベース間に接続される。従って、抵抗R41とR42における電圧降下の和の電圧が、上記式(1)の電圧より小さい状態では、トランジスタQ3は、完全なオン状態ではない。従って、トランジスタQ3のコレクタ電位、すなわち、トランジスタM6のゲート電位は高い状態にある為、トランジスタM6はオフ状態である。
【0030】
抵抗R41とR42における電圧降下の和の電圧が、式(1)で示される差電圧ΔVbeに達すると、トランジスタQ3は、完全なオン状態となり、トランジスタM6のゲート電位が低下する。これにより、トランジスタM6はオンとなる。
【0031】
トランジスタM6がオンすることで、トランジスタM5はゲート電位が上昇し、オンとなる。これにより、インバータIN1への入力がLレベルとなり、Hレベルの検出信号BG_OKが検出信号出力端子14から出力される。
【0032】
抵抗R41とR42における電圧降下の和の電圧が、式(1)で示される差電圧ΔVbeに達したときの基準電圧出力端子13の検出しきい値電圧Vs(BG_OK)は、次の式(4)で示される。以降、Vs(BG_OK)を検出しきい値電圧と呼ぶ。
【数4】
【0033】
式(3)と式(4)は、第2項における抵抗の分数部分の分母が異なるのみである。従って、抵抗R41と抵抗R42の値により、検出しきい値電圧Vs(BG_OK)の設定比を任意に設定することができる。例えば、R42=R41×0.125とすることで、検出しきい値電圧Vs(BG_OK)を約1.18(V)と設定することができる。すなわち、基準電圧出力端子13の電圧が、設定したバンドギャップ電圧である約1.25Vの94.4%の電圧に達した時に、Hレベルの検出信号BG_OKを出力する。従って、出力されるバンドギャップ出力電圧VBGの状態を正確に反映して、検出信号BG_OKを出力する電源回路を提供することができる。
【0034】
また、抵抗R41とR42の抵抗値の調整により、検出しきい値電圧Vs(BG_OK)の温度係数をバンドギャップ出力電圧VBGの温度係数と略同じ値とすることができる。従って、バンドギャップ出力電圧VBGの温度係数を略0(V/℃)に設定することで、検出しきい値電圧Vs(BG_OK)の温度係数も略、0(V/℃)とすることができる。
【0035】
従って、本実施形態によれば、温度係数が略0(V/℃)のバンドギャップ出力電圧VBGを出力することができると共に、検出しきい値電圧Vs(BG_OK)の温度係数も略、0(V/℃)とすることができる。この為、バンドギャップ出力電圧VBGの状態を正確に反映し、且つ、温度変化に対して安定した検出信号BG_OKを出力する電源回路を提供することができる。
【0036】
図2は、第1の実施形態の電源回路のシミュレーション結果を示す図である。横軸に時間(S)、縦軸に電圧(V)を示す。温度を−50℃〜175℃の範囲で、入力電圧VINを0Vから5Vに昇圧し、再び0Vに降圧した場合の、バンドギャップ出力電圧VBGと検出信号BG_OKを示す。30−1で示す入力電圧VINの上昇に従い、バンドギャップ出力電圧VBG(32)が、33で示す検出しきい値電圧Vs(BG_OK)に達した時に、検出信号BG_OK(31−1)がHレベルに変化する。検出しきい値電圧Vs(BG_OK)の温度係数は、略0(V/℃)に設定される為、40_1に示す様に、検出信号BG_OKがHレベルとなる立上りの温度変化に対するバラツキは小さい。尚、インバータIN1は入力電圧VINでバイアスされる為、検出信号BG_OKのHレベルの電圧は入力電圧VINの上昇と共に上昇する。
【0037】
バンドギャップ出力電圧VBGは、抵抗R41における電圧降下が差電圧ΔVbe、すなわち、約54mVの状態で安定し、温度変化に対して安定した電圧の値を示す。
【0038】
破線30−2に示す様に、入力電圧VINを5Vから0Vに降圧した場合、実線31−2で示す検出信号BG_OKのHレベルの電圧は低下する。抵抗R41とR42における電圧降下の和が差電圧ΔVbeより小さくなると、トランジスタQ3はオフ状態となり、トランジスタM6がオフして検出信号BG_OKはLレベルになる。入力電圧VINが降下する場合においても、40−2で示す様に、検出信号BG_OKの立下りの温度変化に対するバラツキは抑制される。
【0039】
図3は、第1の実施形態の検出しきい値電圧Vs(BG_OK)の温度変化を、図4に示す従来の電源回路との比較で示す。従来の電源回路は、エミッタが共通接続されたトランジスタQ1、Q2、カレントミラー回路120を有する。出力電圧設定回路200の抵抗R4の一端がトランジスタQ1のベースに接続され、他端がトランジスタQ2のベースに接続される。出力電圧設定回路200は、抵抗R1とR2の接続点にゲートが接続されたトランジスタM5を備える。トランジスタM5は、ゲート電位がしきい値電圧、例えば、0.6Vに達した時に、オンとなり、Hレベルの検出信号BG_OKが検出信号出力端子14から出力される。
【0040】
図3において、実線50は、第1の実施形態の電源回路を示し、破線51は、図4に示す従来の電源回路を示す。第1の実施形態においては、検出しきい値電圧Vs(BG_OK)の温度係数は、バンドギャップ出力電圧VBGと同様に、略0(V/℃)に設定することができる。従って、従来の電源回路に比べて、第1の実施形態の電源回路は、温度変化に対して安定した検出しきい値電圧値を示す。
【0041】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態の電源回路を示す図である。第1の実施形態に対応する構成には同一の符号を付し、重複した記載は必要な場合にのみ行う。以降、同様である。本実施形態の電源回路は、PNPトランジスタQ121、Q122、Q123で構成されるカレントミラー回路12を有する。
【0042】
本実施形態は、NPNトランジスタQ14を有する。すなわち、トランジスタQ14の主電流路であるエミッタ・コレクタ路が電源端子11と基準電圧出力端子13間に接続される。トランジスタQ2のコレクタ電位がトランジスタQ14のしきい値電圧より高くなるとトランジスタQ14がオンとなる。これにより、出力電圧設定回路20がトランジスタQ14を介して電源端子11に接続され、トランジスタQ14のエミッタ電圧の上昇に従って、基準電圧出力端子13のバンドギャップ出力電圧VBGが上昇する。
【0043】
本実施形態の検出信号出力回路40は、PNPトランジスタQ16を有する。トランジスタQ16は、ゲートがトランジスタQ3のコレクタに接続され、エミッタが電源端子11に接続され、コレクタが電流源16に接続される。
【0044】
また、検出信号出力回路40は、NPNトランジスタQ15を有する。トランジスタQ15は、エミッタが接地端子17に接続され、コレクタが抵抗R5を介して電源端子11、及び検出信号出力端子14に接続される。
【0045】
抵抗R41とR42における電圧降下の和が、第1の実施形態と同様、式(1)で示される差電圧ΔVbeに達すると、トランジスタQ3は、完全なオン状態となり、トランジスタQ16はベース電位が低下し、オンとなる。
【0046】
トランジスタQ16がオンすることで、トランジスタQ15はベース電位が上昇し、オンとなる。これにより、インバータIN1は入力がLレベルになる為、出力はHレベルとなる。よって、Hレベルの検出信号BG_OKが検出信号出力端子14から出力される。
【0047】
抵抗R41における電圧降下が差電圧ΔVbeとなり、トランジスタQ1とQ2が完全にオンして安定化した状態において、バンドギャップ出力電圧VBGが式(2)で設定される動作、あるいは、抵抗R41、R42の値によって、検出しきい値電圧Vs(BG_OK)の電圧が式(4)で設定できる動作は、第1の実施形態と同じである。
【0048】
トランジスタQ121、Q122、Q123は、トランジスタM1、M2、M3に比べて相対誤差、オフセットが一般的に小さい。従って、本実施形態においては、カレントミラー回路12の精度、すなわち、トランジスタQ1、Q2、Q4に供給される電流の比の精度を高めることができる。
【0049】
(第3の実施形態)
図6は、第3の実施形態の電源回路を示す。本実施形態の電源回路は、第1の実施形態のトランジスタQ1〜Q3に代えて、エミッタが共通接続されたPNPトランジスタQ10、Q20及びQ30を有する。トランジスタQ10は、トランジスタQ20、Q30に対してN倍のエミッタ面積を有する。トランジスタQ10を構成する並列接続のトランジスタ(図示せず)の個数を、トランジスタQ20、Q30を夫々構成するトランジスタ(図示せず)の個数に対してN倍とすることで、トランジスタQ10のエミッタ面積をN倍にすることができる。
【0050】
トランジスタQ10、Q20及びQ30のコレクタには、カレントミラー回路12を構成するNMOSトランジスタM10、M20及びM30のドレインが接続される。
【0051】
本実施形態の出力電圧設定回路20は、トランジスタQ10のベースとトランジスタQ20のベース間に接続される抵抗R41と、トランジスタQ20のベースとトランジスタQ30のベース間に接続される抵抗R42を有する。
【0052】
本実施形態は、ゲートがトランジスタQ20のコレクタに接続され、ソースが電源端子11に接続され、ドレインが基準電圧出力端子13、及び出力電圧設定回路20に接続されたトランジスタM40を有する。
【0053】
入力電圧VINが低い状態の時、トランジスタM40はゲート電位がLレベルとなり、オンする。これにより、出力電圧設定回路20による電圧降下が生じ、バンドギャップ出力電圧VBGが上昇する。
【0054】
入力電圧VINの上昇に従って、抵抗R41と抵抗R42における電圧降下の和が、差電圧ΔVbeに達すると、トランジスタQ30は、完全なオン状態となり、トランジスタM6のゲート電位を上昇させる。これにより、トランジスタM6はオフとなる。
【0055】
トランジスタM6がオフすることで、トランジスタM5はゲート電位が低下し、オフとなる。これにより、バッファBUF1は入力がHレベルになる為、出力はHレベルとなる。よって、Hレベルの検出信号BG_OKが検出信号出力端子14から出力される。
【0056】
抵抗R41とR42における電圧降下の和が、差電圧ΔVbeに達したときの検出しきい値電圧Vs(BG_OK)は、既述した式(4)で示される。
【0057】
入力電圧VINの上昇に従って、抵抗R41における電圧降下が、差電圧ΔVbeになると、トランジスタQ20がオン状態となり、負帰還動作によりトランジスタM40のゲート電位が制御される。これにより、トランジスタQ10とQ20のコレクタ電流、すなわち、トランジスタM10とM20のドレイン電流が夫々等しくなった状態で安定化する。この安定化した状態の時、バンドギャップ出力電圧VBGは、既述した式(2)で示される。
【0058】
本実施形態においては、エミッタが共通接続されたトランジスタQ10、Q20、及びQ30を備え、トランジスタM40は入力電圧VINが低い状態においてオンする為、低電圧での起動が可能で有る。また、トランジスタQ10、Q20、Q30は、一般的に、ベース・エミッタ間電圧VbeのバラツキがトランジスタQ1〜Q3に比べて小さい為、バンドギャップ出力電圧VBGのバラツキを抑制することができる。
【0059】
尚、既述した実施形態においては、エミッタが共通に接続されたトランジスタQ1〜Q3、あるいは、トランジスタQ10、Q20、Q30のコレクタにカレントミラー回路12を備える構成としたが、カレントミラー回路12に代えて、夫々のトランジスタQ1〜Q3、あるいは、トランジスタQ10、Q20、Q30のコレクタと電源端子間を抵抗で接続する構成としてもよい。
【0060】
なお、以下の付記に記載されているような構成が考えられる。
【0061】
(付記1)前記第1導電型の第1、第2及び第3のバイポーラトランジスタは、NPNバイポーラトランジスタであることを特徴とする請求項1に記載の電源回路。
【0062】
(付記2)前記第1導電型の第1、第2及び第3のバイポーラトランジスタは、PNPバイポーラトランジスタであることを特徴とする請求項1に記載の電源回路。
【0063】
(付記3)前記PN接合ダイオードは、第1導電型のバイポーラトランジスタのベース・コレクタが共通接続された構成を有することを特徴とする請求項1に記載の電源回路。
【0064】
(付記4)前記第2のバイポーラトランジスタのコレクタに制御電極が接続され、主電流路が電源供給端子と前記基準電圧出力端子の間に接続されたスイッチングトランジスタを具備することを特徴とする請求項1に記載の電源回路。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
11 電源端子、12 カレントミラー回路、13 基準電圧出力端子、 14 検出信号出力端子、17 接地端子、20 出力電圧設定回路、40 検出信号出力回路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6