特許第6933626号(P6933626)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6933626搬送装置、処理ユニットおよび処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6933626
(24)【登録日】2021年8月23日
(45)【発行日】2021年9月8日
(54)【発明の名称】搬送装置、処理ユニットおよび処理システム
(51)【国際特許分類】
   B23Q 39/04 20060101AFI20210826BHJP
   B23Q 41/02 20060101ALI20210826BHJP
   B23Q 7/00 20060101ALI20210826BHJP
【FI】
   B23Q39/04 C
   B23Q41/02 A
   B23Q7/00 E
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-203481(P2018-203481)
(22)【出願日】2018年10月30日
(65)【公開番号】特開2020-69547(P2020-69547A)
(43)【公開日】2020年5月7日
【審査請求日】2020年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】390003665
【氏名又は名称】株式会社日進製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】藤原 真吾
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 正義
(72)【発明者】
【氏名】柴田 啓史
【審査官】 中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−049245(JP,U)
【文献】 特開2004−157985(JP,A)
【文献】 特開昭63−290988(JP,A)
【文献】 特開平05−043043(JP,A)
【文献】 特開2005−114143(JP,A)
【文献】 特開2010−149197(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0013591(US,A1)
【文献】 国際公開第2015/037147(WO,A1)
【文献】 特開昭52−136481(JP,A)
【文献】 実開平05−064136(JP,U)
【文献】 特開平10−095523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/00
B23Q 7/00−7/18
B23Q 37/00−41/08
B65G 47/52
B65G 47/82
B65G 47/88
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを複数の処理装置それぞれに対応する処理位置へ順に搬送する搬送装置であって、
長尺であり前記複数の処理装置の並び方向に沿って配列されるとともに、互いに連結されている複数のベースと、
前記ベースの上に配置され、前記ワークが載置されるパレットと、
前記複数のベースのうちいずれか1つを前記並び方向へ連結駆動するベース駆動部と、
前記複数のベースそれぞれに設けられ、前記複数のベースのうちいずれか1つを前記並び方向へ駆動する際に前記パレットを保持するパレット保持部と、
前記複数のベースそれぞれに設けられ、前記複数のベースそれぞれが他のベースに対して前記並び方向に直交する方向へ予め設定された許容距離内で移動自在な状態で、前記複数のベースそれぞれと前記他のベースとを連結する連結部と、を備える、
搬送装置。
【請求項2】
前記パレットが前記複数の処理装置のいずれか1つに対応する処理位置に配置された状態で、前記パレットを係止する係止部を更に備える、
請求項に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記ベースの長手方向における両端部には、それぞれ、前記ベースの厚さ方向に貫通する貫通孔が貫設され、前記貫通孔には、それぞれ、筒状部材が嵌合されており、
前記連結部は、互いに連結される2つの前記ベースのうちの一方に固定部材により鉛直方向において固定された本体部と、前記本体部に固定され且つ2つの前記ベースのうちの他方の前記貫通孔に嵌合された筒状部材の内側に嵌入可能な係合部を有する係合部材と、を有し、前記係合部が前記筒状部材の内側に嵌入されることにより2つの前記ベースの一方が他方に対して回転自在となるように2つの前記ベース同士を連結する、
請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記パレットを案内する長尺のガイド部と、
前記ガイド部に設けられ、前記パレットが前記ガイド部から浮上するのを防止する浮上防止部と、を更に備える、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
少なくとも1つの処理装置と、
長尺のベースと、
前記ベースの上に配置され、ワークが載置されるパレットと、
前記ベースに設けられ、前記パレットを保持するパレット保持部と、
前記ベースに設けられ、前記ベースと他のベースとを連結する連結部と、を備え、
前記ベースは、前記ベースまたは前記ベースに連結された他のベースを第3方向へ駆動するベース駆動部により駆動され、
前記連結部は、前記ベースが他のベースに対して前記第3方向に直交する第4方向へ予め設定された許容距離内で移動自在な状態で、前記ベースと前記他のベースとを連結する、
処理ユニット。
【請求項6】
複数の処理装置と、
ワークを前記複数の処理装置それぞれに対応する処理位置へ順に搬送する搬送装置と、を備え、
前記搬送装置は、
前記ワークが載置されるパレットと、
長尺であり前記複数の処理装置の並び方向に沿って配列されるとともに、互いに連結されている複数のベースと、
前記複数のベースそれぞれに設けられ、前記複数のベースそれぞれに対応する位置に配置されたパレットを前記並び方向へ搬送する際、前記パレットを保持するパレット保持部と、
前記複数のベースそれぞれに設けられ、前記複数のベースそれぞれが他のベースに対して前記並び方向に直交する方向へ予め設定された許容距離内で移動自在な状態で、前記複数のベースそれぞれと前記他のベースとを連結する連結部と、
前記複数のベースのうちのいずれか1つを前記並び方向へ駆動するベース駆動部と、を有する、
処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置、処理ユニットおよび処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
2つのベースユニットと、2つのベースユニットそれぞれに一方向に配列された状態で載置された2つの作業機モジュールと、2つの作業モジュールの一方から他方へワークを搬送する搬送装置ユニットと、を備える機械工作システムが提案されている(例えば特許文献1参照)。ここで、作業機モジュールは、少なくとも1つの工作機械モジュール化されたものである。また、搬送装置ユニットは、ベースユニット毎に各別に設けられている。搬送装置ユニットは、ワークが載置されるワーク台とワーク台を昇降させるワーク台昇降装置と、ワーク台およびワーク台昇降装置を支持する可動ベースと、を有する。また、搬送装置ユニットは、作業機モジュールの配列方向に延在する一対のレールと、可動ベースを一対のレールに沿って駆動するアクチュエータと、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2015/037147号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載した工作機械システムでは、搬送装置ユニットがベースユニット毎に各別に設ける、即ち、ベースユニット毎に各別に可動ベース駆動用のアクチュエータを設ける必要がある。このため、機械工作システム全体では、2つの可動ベース駆動用のアクチュエータを設ける必要があり、その分、機械工作システム全体が大型化してしまう。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、小型化が図れる搬送装置、処理ユニットおよび処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る搬送装置は、
ワークを複数の処理装置それぞれに対応する処理位置へ順に搬送する搬送装置であって、
長尺であり前記複数の処理装置の並び方向に沿って配列されるとともに、互いに連結されている複数のベースと、
前記ベースの上に配置され、前記ワークが載置されるパレットと、
前記複数のベースのうちいずれか1つを前記並び方向へ連結駆動するベース駆動部と、
前記複数のベースそれぞれに設けられ、前記複数のベースのうちいずれか1つを前記並び方向へ駆動する際に前記パレットを保持するパレット保持部と、
前記複数のベースそれぞれに設けられ、前記複数のベースそれぞれが他のベースに対して前記並び方向に直交する方向へ予め設定された許容距離内で移動自在な状態で、前記複数のベースそれぞれと前記他のベースとを連結する連結部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数のベースが、複数の処理装置の並び方向に沿って配列されるとともに互いに連結されており、ベース駆動部が、複数のベースのうちのいずれか1つを、複数の処理装置の並び方向へ駆動する。これにより、1つのベース駆動部により複数のベースを前述の並び方向へ駆動することができるので、必要なベース駆動部の数が低減される。従って、ベース駆動部の数が低減できる分だけ搬送装置の小型化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係る処理システムの概略図である。
図2】実施の形態に係る搬送装置の断面図である。
図3】実施の形態に係る搬送装置を+Y方向側から見た一部破断した側面図である。
図4】実施の形態に係る連結部を示し、(A)は平面図であり、(B)は断面図である。
図5】実施の形態に係る搬送装置を示す平面図である。
図6】実施の形態に係る係止部の断面図である。
図7】実施の形態に係る搬送装置を示し、(A)は断面図であり、(B)はワークを搬送する様子を示す断面図である。
図8】実施の形態に係る搬送装置を示し、(A)は断面図であり、(B)はワークを搬送する様子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係る処理システムについて、図面を参照しながら説明する。本実施の形態に係る処理システムは、いわゆるワークに対して複数の処理装置により加工処理または計測処理を自動で施す自動機械加工システムである。この処理システムは、複数の処理装置と、ワークを複数の処理装置それぞれに対応する処理位置へ順に搬送する搬送装置と、を備える。そして、搬送装置は、ワークが載置されるパレットと、複数のベースと、複数のベースそれぞれに設けられ、複数のベースそれぞれに対応する位置に配置されたパレットを搬送する際、パレットを保持するパレット保持部と、を有する。ここで、複数のベースは、長尺であり、複数の処理装置の並び方向に沿って配列されるとともに、互いに連結されている。また、搬送装置は、互いに連結された複数のベースのうちのいずれか1つを複数の処理装置の並び方向へ駆動するベース駆動部を有する。
【0010】
図1に示すように、本実施の形態に係る処理システム100は、円筒状のワークWをホーニング加工するホーニング加工装置101、103と、ホーニング加工装置101、103により加工されたワークWの加工孔Whの孔径を計測する計測装置102、104と、ワークWを搬送する搬送装置1と、制御装置109と、を備える。なお、本明細書では、鉛直上方を+Z方向、鉛直方向に直交し且つホーニング加工装置101、103および計測装置102、104の並び方向に沿った方向をY軸方向、Z軸方向およびY軸方向に直交する方向をX軸方向として説明する。
【0011】
ホーニング加工装置101、103は、それぞれ、先端部に砥石が設けられたホーニングツール(図示せず)と、先端部にホーニングツールが固定された回転主軸(図示せず)と、回転主軸を駆動する主軸駆動部(図示せず)と、砥石を拡張移動させる拡張駆動部(図示せず)と、を備える。そして、ホーニング加工装置101、103は、ワークWの加工孔Whの+Z方向側からホーニングツールの先端部を加工孔Whに挿入した状態で、回転主軸およびホーニングツールをそれらの中心軸周りに回転させながらZ軸方向へ往復移動させつつ、砥石を拡張移動させることによりワークWの加工孔Whをホーニング加工する。計測装置102、104は、例えば先端部にノズルが設けられた計測ツール(図示せず)を有するエアマイクロメータである。計測装置102、104は、計測ツールの先端部をワークWの加工孔Whに挿入した状態でノズルから空気を吐出させたときの背圧に基づいて、ワークWの加工孔Whの孔径を計測する。
【0012】
搬送装置1は、ワークWをその加工孔Whの中心軸がZ軸方向と一致する姿勢で維持した状態で、ホーニング加工装置101、計測装置102、ホーニング加工装置103、計測装置104へ順に搬送していく。搬送装置1は、2つの搬送ユニット1A、1Bを有する。搬送ユニット1Aは、ホーニング加工装置101へのワークWの搬入、ホーニング加工装置101から計測装置102へのワークWの搬送および計測装置102からのワークWの搬出を実行する。搬送ユニット1Bは、ホーニング加工装置103へのワークWの搬入、ホーニング加工装置103から計測装置104へのワークWの搬送および計測装置104からのワークWの搬出を実行する。ここで、ホーニング加工装置101と計測装置102と搬送ユニット1Aとから処理ユニット100Aが構成され、ホーニング加工装置103と計測装置104と搬送ユニット1Bとから処理ユニット100Bが構成される。
【0013】
搬送装置1は、図2に示すように、ワークWが載置されるパレット3と、2つの長尺の矩形板状のベース11A、11Bと、2つのベース11A、11Bそれぞれに設けられたピン状のパレット保持部111と、を備える。また、搬送装置1は、パレット3を案内する長尺のガイド部151と浮上防止部152とを備える。更に、搬送装置1は、図1に示すように、ベース11Bをホーニング加工装置101、103および計測装置102、104の並び方向へ連結駆動するベース駆動部40と、装置本体19と、を備える。ここで、「連結駆動」とは、ベース11A、11Bが互いに連結された状態でベース11Bを駆動することを意味する。パレット3は、矩形板状であり、−Z方向側の面にパレット保持部111の先端部が嵌入可能な凹部31が形成されている。
【0014】
2つのベース11A、11Bは、ホーニング加工装置101、103および計測装置102、104の並び方向に沿って配列されており、連結部12を介して互いに連結されている。ガイド部151は、図3に示すように、断面L字状の形状を有し、内側にパレット3のX軸方向における両端部のいずれか一方が載置されている。浮上防止部152は、ガイド部151の+Z方向側の端部に配設され、パレット3の+Z方向への移動を規制している。
【0015】
ベース駆動部40は、図2および図3に示すように、ベース11Bの長手方向に沿って配置されたラックギヤ42と、ラックギヤ42をベース11Bに固定するための固定部材43と、ラックギヤ42に噛合するピニオンギヤ41と、ピニオンギヤ41を駆動するギヤ駆動部44と、を有する。ギヤ駆動部44は、モータ(図示せず)と、減速機(図示せず)と、を有する。ピニオンギヤ41は、いわゆるピン歯車であり、X軸方向に離間して配置された一対の円環状のホイール413と、ホイール413の周方向に沿って等間隔に配置され一対のホイール413同士を連結するように設けられた円柱状のピン412と、を有する。そして、一対のホイール413は、ギヤ駆動部44により回転駆動される円柱状のシャフト411に固定されている。ギヤ駆動部44は、制御装置109から入力される制御信号に基づいて、ピニオンギヤ41を駆動する。ラックギヤ42は、長手方向に沿って形成された複数の歯421を有する。そして、ラックギヤ42は、複数の歯421のうちの2つの歯421の間の谷部分422にピニオンギヤ41のピン412が挟まった状態で、ピニオンギヤ41に噛合している。また、ラックギヤ42は、螺子431により固定部材43に固定されている。
【0016】
また、搬送装置1は、図3に示すように、ベース11A、11Bが固定されたスライド体143と、一対のレール141と、+Z方向側の先端部でレール141を支持し基端部が装置本体19に固定されたレール支持体142と、を備える。一対のレール141は、ホーニング加工装置101、103および計測装置102、104の並び方向に沿って延在している。そして、スライド体143は、一対のレール141に懸架されており、レール141に沿ってY軸方向へ移動自在となっている。
【0017】
更に、搬送装置1は、パレット保持部111を昇降駆動する保持部駆動部112と、保持部駆動部112をベース11A、11Bに固定する固定部113と、を備える。保持部駆動部112は、制御装置109から入力される制御信号に基づいて、パレット保持部111を昇降させる。保持部駆動部112は、パレット3を搬送する際、パレット保持部111を+Z方向へ突出させてパレット保持部111の先端部をパレット3の凹部31内に嵌入させることによりパレット3を保持する。
【0018】
ベース11A、11Bの長手方向における両端部には、それぞれ、ベース11A、11Bの厚さ方向に貫通する貫通孔11cが穿設されている。また、ベース11A、11Bの長手方向における両端部のうち連結部12が取り付けられる側の端部(図2における右側の端部)には、連結部12をベース11A、11Bに固定するための螺子孔11dが穿設されている。また、ベース11A、11Bそれぞれの−Y方向側の端部には、図1および図4(A)に示すように、+Y方向に向かって窪んだ凹部11aが形成されている。また、ベース11A、11Bの+Y方向側の端部には、+Y方向へ突出した舌片部11bが形成されている。
【0019】
連結部12は、ベース11A、11Bそれぞれの−Y方向側の端部に設けられている。連結部12は、図4(A)に示すように、ベース11Bの凹部11aにベース11Aの舌片部11bが嵌入された状態で、ベース11A、11B同士を連結する。連結部12は、図4(B)に示すように、本体部121と、固定部材122と、係合部材123、124と、を有する。本体部121には、固定部材122が挿通される貫通孔121aと、係合部材123、124が挿通される貫通孔121b、121cと、が穿設されている。固定部材122は、貫通孔121aの内径よりも小さい外径を有する筒状部122bと、筒状部122bに挿通されベース11Bの螺子孔11dに螺合する螺子122aと、を有する。係合部材123は、円柱状であり先端部が縮径した係合部123aと、筒状であり係合部123aと連続一体に形成されるとともに、内側に螺子部(図示せず)が形成された筒状部123cと、筒状部123cの螺子部に螺合する螺子123bと、を有する。筒状部123cは、本体部121の貫通孔121bに−Z方向側から挿通され螺子123bにより本体部121に固定されている。係合部123aは、ベース11Bの貫通孔11cに嵌合された筒状部材117の内側に嵌入され、筒状部材117内で回転自在である。また、係合部材124も、係合部材123と同様の構成を有し、係合部124aと筒状部124cと螺子124bとを有する。筒状部124cは、本体部121の貫通孔121cに−Z方向側から挿通され螺子124bにより本体部121に固定されている。係合部124aは、ベース11Aの貫通孔11cに嵌合された筒状部材117の内側に嵌入され、筒状部材117内で回転自在である。このように、連結部12は、ベース11Bがベース11Aに対してY軸方向に直交する方向(X軸方向)へ予め設定された許容距離内で相対的に移動自在な状態で、ベース11Bとベース11Aとを連結する。ここで、係合部123a、124aがそれぞれベース11B、11Aの貫通孔11cに嵌合された筒状部材117内で回転することにより、ベース11Bがベース11Bに対してX軸方向へ相対的に移動する。また、許容距離は、本体部121の貫通孔121aの内径と筒状部122bの外径との差分に相当する。
【0020】
係止部13は、図5に示すように、パレット3の+X方向側の端部におけるY軸方向の中央部に形成された凹部32に、ローラ131を嵌入させることにより、パレット3を係止する。係止部13は、図6に示すように、先端部にローラ131を軸支するシャフト132が設けられ基端部にフランジ部134が設けられたピストン133と、ピストン133が内側に配置されたシリンダ部136と、を有する。また、係止部13は、シリンダ部136の内側におけるピストン133の+X方向側に配置されピストン133を−X方向へ付勢するコイルばね135を有する。
【0021】
制御装置109は、ホーニング加工装置101、103、計測装置102、104、保持部駆動部112およびギヤ駆動部44へ制御信号を出力することによりこれらの動作を統括的に制御する。制御装置109は、例えばプログラマブルロジックコントローラ(以下、「PLC」と称する。)を有する。PLCは、ホーニング加工装置101、103、計測装置102、104、保持部駆動部112およびギヤ駆動部44それぞれに対するCPU(Central Processing Unit)ユニットと入出力制御ユニットとを有する。PLCでは、複数のCPUユニットと入出力ユニットとが、1つのベースユニットに固定された状態で集約されている。
【0022】
次に、本実施の形態に係る搬送装置1の動作について説明する。まず、図7(A)および図8(A)に示すように、パレット保持部111の先端部がパレット3から離間した状態において、保持部駆動部112が、パレット保持部111を矢印AR11に示すように、+Z方向へ突出させる。これにより、図7(B)および図8(B)に示すように、パレット保持部111の先端部がパレット3の凹部31の内側に嵌入された状態となる。なお、図7および図8では、搬送装置1の搬送ユニット1Bのみを示しており、パレット3が搬送ユニット1Bに1つだけ載置されている場合を示している。この状態で、次に、ベース駆動部40が、図7(B)の矢印AR12で示すように、ピニオンギヤ41を回動させると、ピニオンギヤ41に噛合するラックギヤ42が矢印AR13で示す方向へ移動する。これに伴い、図7(B)および図8(B)に示すように、ラックギヤ42が固定されたベース11Bとベース11Bに固定されたパレット保持部111に保持されたパレット3とが、矢印AR13で示す方向(+Y方向)へ移動する。ここで、例えば図2に示すように、搬送ユニット1Aのベース11Aがベース11Bに連結部12を介して連結されていると、ベース11Bとともにベース11Aも+Y方向へ移動する。
【0023】
続いて、保持部駆動部112が、図7(A)および図8(A)の矢印AR11に示す方向とは逆方向(−Z方向)へパレット保持部111を移動させることにより、パレット保持部111をパレット3から離脱させる。その後、ベース駆動部40が、図7(B)の矢印AR12で示す方向とは逆方向に、ピニオンギヤ41を回動させると、ピニオンギヤ41に噛合するラックギヤ42が矢印AR13で示す方向とは反対方向へ移動する。これに伴い、ラックギヤ42が固定されたベース11Bが、矢印AR13に示す方向とは反対方向(−Y方向)へ移動し、図7(A)および図8(A)に示す位置へ戻る。ここで、例えば図2に示すように、搬送ユニット1Aのベース11Aがベース11Bに連結部12を介して連結されていると、ベース11Bとともにベース11Aも−Y方向へ移動する。搬送装置1は、これらの一連の動作を繰り返すことにより、ワークWが載置されたパレット3をY軸方向に並ぶ複数の処理位置へ順に搬送していく。
【0024】
以上説明したように、本実施の形態に係る搬送装置1は、2つのベース11A、11Bが、ホーニング加工装置101、103および計測装置102、104の並び方向、即ち、Y軸方向に沿って配列され、連結部12を介して互いに連結されている。そして、ベース駆動部40が、ベース11BをY軸方向へ駆動する。これにより、1つのベース駆動部40により2つのベース11A、11Bを+Y軸方向へも−Y軸方向へも駆動することができるので、必要なベース駆動部40の数を1つに低減できる。従って、ベース駆動部40の数が1つに低減できる分だけ搬送装置1の小型化が図れる。
【0025】
また、本実施の形態に係る搬送装置1では、互いに連結されるベース11A、11Bの数を変更することができる。これにより、処理システム100で使用されるホーニング加工装置101、103および計測装置102、104の数に応じて互いに連結されるベース11A、11Bの数を必要最小限にすることができる。従って、搬送装置1に要求される機能を確保しつつ搬送装置1の小型が図れる。
【0026】
また、本実施の形態に係るベース11A、11Bそれぞれの−Y方向側の端部には、+Y方向に向かって窪んだ凹部11aが形成されるとともに、ベース11A、11Bそれぞれの+Y方向側の端部には、+Y方向へ突出した舌片部11bが形成されている。そして、連結部12が、ベース11Bの凹部11aにベース11Aの舌片部11bが嵌入された状態で、ベース11A、11B同士を連結する。このとき、ベース11Bと連結部12とを係合する係合部材123の係合部123aはベース11Bの貫通孔11cに嵌合された筒状部材117の内側に嵌入され、筒状部材117内で回転自在である。また同様に、ベース11Aと連結部12とを係合する係合部材124の係合部124aはベース11Aの貫通孔11cに篏合された筒状部材117内で回転自在である。これにより、ベース駆動部40が、ベース11A、11Bを駆動する際にミスアライメントが生じた場合でも、X軸方向のズレを許容したままベース11Aとベース11Bとを連結駆動させることができるため、スライド体143とレール141に過剰な負荷がかかることを防止することができる。また、固定部材122は螺子122aでベース11Bの螺子孔11dに螺合し、筒状部122bの外径は固定部材122が挿通される貫通孔121aの内径よりも小さい。これにより、本体部121が+Z軸方向に抜けることを防止しつつ、筒状部122bの外径と貫通孔121aの内径との差分に相当する許容距離だけX軸方向のずれを許容している。
【0027】
更に、本実施の形態に係る搬送装置1は、パレット3がホーニング加工装置101、103および計測装置102、104のいずれか1つに対応する処理位置に配置された状態で、パレット3を係止する係止部13を備える。これにより、パレット3が処理位置に搬送された状態においてパレット3のY軸方向への移動が規制される。従って、ホーニング加工装置101、103によるワークWの加工孔Whの加工時または計測装置102、104によるワークWの加工孔Whの計測時において、ワークWのY軸方向へのずれの発生が抑制される。それ故、ホーニング加工装置101、103によるワークWの加工孔Whの加工精度、および、計測装置102、104によるワークWの加工孔Whの計測精度を高めることができる。
【0028】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は前述の実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば搬送装置が、3つ以上の搬送ユニットを備えるものであってもよいし、或いは、搬送ユニットを1つだけ備えるものであってもよい。搬送装置が、例えば搬送ユニットを3つ以上備える場合、3つ以上のベースが互いに連結され、ベース駆動部が3つ以上のベースのうちのいずれか1つをY軸方向へ駆動するようにすればよい。
【0029】
実施の形態では、ワークWが+Y方向へ搬送される場合において、ベース駆動部40が、2つのベース11A、11Bのうち最も+Y方向側のベース11Bのみを駆動する例について説明した。但し、これに限らず、例えばベース駆動部40が、ベース11Aのみを駆動するものであってもよい。
【0030】
実施の形態では、制御装置109が、ホーニング加工装置101、103、計測装置102、104、保持部駆動部112およびギヤ駆動部44を統括的に制御する例について説明した。但し、これに限らず、例えばホーニング加工装置101、103を制御する制御装置、計測装置102、104を制御する制御装置および保持部駆動部112およびギヤ駆動部44を制御する制御装置が各別に設けられた構成であってもよい。
【0031】
実施の形態では、ベース11A、11Bのそれぞれに凹部11aと舌片部11bとが形成されている例について説明したが、これに限らず、ベースが、それぞれ例えば凹部または舌片部が形成されていない長尺の矩形板状のものであってもよい。また、ベースは、長尺板状のものに限定されるものではなく、例えば互いに連結可能な細長の棒状であってもよい。更に、実施の形態では、係止部13を備える搬送装置1の例について説明したが、これに限定されるものではなく、搬送装置が係止部13を備えないものであってもよい。
【0032】
実施の形態では、ベース11Bとベース11Aとの双方にパレット3が載置される例について説明したが、パレット3が載置されないベースがあってもよい。またパレット保持部111がピン状である例について説明したが、パレット保持部の形状は、これに限定されるものではなく、例えばパレット3の一部に係止可能なフック形状を有するものであってもよい。また、搬送装置は、パレット保持部111および保持部駆動部112に代えて、ベース11A、11Bに固定されパレット3をその幅方向における両端側から保持するチャック機構を備えるものであってもよい。
【0033】
実施の形態では、処理装置が、ホーニング加工装置101、103および計測装置102、104である例について説明したが、処理装置の種類はこれに限定されるものではなく、例えば、ドリル装置、エア洗浄装置、旋盤装置等の他の処理装置であってもよい。
【0034】
実施の形態では、処理装置を2つ備えた処理ユニットの組み合わせで構成される処理システムの例について説明したが、処理装置を2つ備えた処理ユニットと処理装置を3つ備えた処理ユニットとの組み合わせで構成される処理システムとすることが好ましい。このように構成することで、処理ユニットそのものを複数の処理装置による自動機械加工システムとして機能させつつ、また処理ユニットを組み合わせることで4以上の処理装置を備える処理システムを自在に構成することができる。
【0035】
以上、本発明の実施の形態および変形例(なお書きに記載したものを含む。以下、同様。)について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明は、実施の形態および変形例が適宜組み合わされたもの、それに適宜変更が加えられたものを含む。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、ワークを複数の処理装置に順次搬送することによりワークに対してドリル、リーマ、ボーリング、ホーニング等の複数種類の加工を順次施す処理システムに好適である。
【符号の説明】
【0037】
1:搬送装置、1A,1B:搬送ユニット、3:パレット、11A,11B:ベース、11a,31,32:凹部、11b:舌片部、11c,121a、121b,121c:貫通孔、11d:螺子孔、12:連結部、13:係止部、19:装置本体、40:ベース駆動部、41:ピニオンギヤ、42:ラックギヤ、43,122:固定部材、44:ギヤ駆動部、100:処理システム、100A,100B:処理ユニット、101,103:ホーニング加工装置、102,104:計測装置、109:制御装置、111:パレット保持部、112:保持部駆動部、113:固定部、117:筒状部材、121:本体部、122a,123b,124b,431:螺子、122b,123c,124c:筒状部、123,124:係合部材、123a,124a:係合部、131:ローラ、132,411:シャフト、133:ピストン、134:フランジ部、135:コイルばね、136:シリンダ部、141:レール、142:レール支持体、143:スライド体、151:ガイド部、152:浮上防止部、412:ピン、413:ホイール、421:歯、422:谷部分、W:ワーク、Wh:加工孔
図1
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図8