(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記浮揚ゾーンが、前記加熱ゾーンの直後に下流方向に位置付けられ、前記加熱ゾーンが、前記金属物品を連続的に受け入れるための入口を含み、前記浮揚ゾーンが、前記金属物品を連続的に排出するための出口を含む、請求項1に記載の加熱装置。
前記磁気回転子のアレイ各々が、前記金属物品の移動方向と垂直であって前記金属物品の表面と平行な方向に離間配置された磁石を含む複数の回転子を含む、請求項1に記載の加熱装置。
冷却剤流体の源に連結され、かつ前記冷却剤流体を前記金属物品上に分配するように位置決めされた1つ以上の冷却ノズル、をさらに備える、請求項1に記載の加熱装置。
前記金属物品を前記加熱ゾーンから前記浮揚ゾーンに方向付けることをさらに含み、前記浮揚ゾーンが、前記加熱ゾーンの直後に下流方向に位置付けられ、前記金属物品を前記加熱ゾーンに位置決めすることが、前記金属物品を前記加熱ゾーンに連続的に受け入れることを含む、請求項9に記載の方法。
前記少なくとも1つの磁気回転子の各々が、共通の回転軸の周りで回転可能な複数の磁石を含み、前記磁石は、前記金属物品の移動方向と垂直であって前記金属物品の表面と平行な方向に離間配置された、請求項9に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の特定の態様および特徴は、一連の回転磁石を使用して、それを通る金属物品を加熱、浮上、および/または移動させる加熱装置に関する。加熱装置は、トンネルオーブン、ソーキング炉、または他の適切な加熱デバイスであり得る。第1の一連の回転磁石は、金属物品を所望の温度に加熱し得る。第2の一連の回転磁石は、金属物品を加熱装置内で浮上させ、かつ金属物品内で所望の張力を維持し得、また加熱装置を通る金属物品を付勢し得る。加熱装置は、金属物品を所望の温度で所望の継続時間、ソーキングするのに十分遠くまで延在し得る。いくつかの場合において、回転磁石は、不活性ガスまたは穏やかな反応性のガスで充填された非導電性の耐熱性チャンバの外側に位置決めされ、それを通って金属物品が加熱装置内を通過し得る。
【0016】
加熱装置は、金属スラブ、ストリップ、または他の物体などの金属物品のための超小型加熱オーブンであり得る。いくつかの場合において、加熱装置は、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム系材料、チタン、チタン系材料、銅、銅系材料、鋼、鋼系材料、青銅、青銅系材料、黄銅、黄銅系材料、複合物、複合物に使用されるシート、もしくは任意の他の適切な金属、非金属、または材料の組み合わせを含む非鉄材料と共に使用され得る。この物品は、モノリシック材料、およびロールボンド材料、クラッド材料、複合材料(炭素繊維含有材料などを含むがこれらに限定されない)、または様々な他の材料などの非モノリシック材料を含み得る。非限定的な一例では、加熱装置を使用して、アルミニウム金属ストリップ、スラブ、または鉄を含有するアルミニウム合金を含むアルミニウム合金から作製された他の物品などの、金属物品を加熱し得る。
【0017】
加熱装置は、任意選択で不活性雰囲気内で、金属物品を非接触の方法で急速に加熱し得る。加熱装置は、連続加熱装置または不連続加熱装置として構成され得る。連続加熱装置は、金属物品を上流端部で連続的に受け入れ、かつさらなる加工および/または取り扱いのために、処理された金属物品を下流端部で連続的に排出し得る。一例では、連続加熱装置は、連続鋳造デバイスとコイラとの間の加工ラインに配置され得る。不連続加熱装置は、異なる長さを有する金属物品を順次加熱し得る。例えば、不連続加熱装置は、所定の長さの金属スラブを受け入れ、金属スラブ全体を一度に加熱し、次いで、新しい金属スラブが不連続加熱装置に配置される前に、処理された金属スラブを除去し得る。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「上方」、「下方」、「垂直」、および「水平」は、金属物品がまるで、その上面および底面が地面とほぼ平行になるように水平方向に移動しているかのように、金属ストリップなどの金属物品に対する相対配向を説明するために使用される。本明細書で使用される用語「垂直」は、金属物品の配向にかかわらず、金属物品の表面(例えば、上面または底面)に垂直な方向を指し得る。本明細書で使用される用語「水平」は、金属物品の配向にかかわらず、移動する金属物品の進行方向に平行な方向などの、金属物品の表面(例えば、上面または底面)に平行な方向を指し得る。用語「上方」および「下方」は、金属物品の配向にかかわらず、金属物品の上面または底面を越えた位置を指し得る。金属物品は、水平方向、垂直方向、および対角線などの他の方向を含む、任意の適切な方向に配向されるかまたは移動し得る。
【0019】
本明細書で使用される場合、垂直、長手方向、および横方向という用語は、加熱されている金属物品に関して使用され得る。長手方向は、連続焼き鈍し溶体化熱処理(CASH)ラインまたは他の機器を通る通過線などに沿って、加工機器を通る金属物品の進行方向に沿って延在し得る。長手方向は、金属物品の上面および底面に平行であり得る。長手方向は、横方向および垂直方向に垂直であり得る。横方向は、金属物品の側縁間に延在し得る。横方向は、長手方向および垂直方向に垂直な方向に延在し得る。垂直方向は、金属物品の上面と底面との間に延在し得る。垂直方向は、長手方向および横方向に垂直であり得る。
【0020】
本開示の態様および特徴は、箔、シート、ストリップ、スラブ、プレート、シェート、または他の金属物品の形態などで、任意の適切な金属物品と共に使用され得る。本開示の態様および特徴は、平坦な表面(例えば、平坦な上面および底面)を有するあらゆる金属物品に特に適し得る。本開示の態様および特徴は、平行またはおよそ平行な対向する表面(例えば、上面および底面)を有するあらゆる金属物品に特に適し得る。およそ平行とは、平行または平行の1°、2°、3°、4°、5°、6°、7°、8°、9°、もしくは10°以内、または同様のものを含み得る。
【0021】
本開示の態様および特徴は、あらゆる適切な金属の金属物品と共に使用され得る。いくつかの場合において、金属物品は、アルミニウム合金などのアルミニウムである。いくつかの場合において、金属物品は、鉄を含有するアルミニウム合金であり得る。1xxx、2xxx、3xxx、4xxx、7xxx、または8xxxシリーズの合金などの他の合金が使用され得るが、本開示の特定の態様および特徴は、6xxxまたは5xxxシリーズのアルミニウム合金と共に使用するのに特に適し得る。6xxxおよび5xxxシリーズのアルミニウム合金は、1メートル当たりおよそ10,000,000ジーメンス(10MS/m)の伝導率を有し得る。いくつかの場合において、15MS/mまたは20MS/mなどの、より高い伝導率を有する合金は、少なくとも部分的にはより少ない二次磁束(例えば、金属物品によって生成される磁束)の生成に起因して、回転磁石を通る効率の低い加熱をもたらし、一次束(例えば、回転磁石によって生成される磁束)に対抗し得る。
【0022】
回転磁石のアレイは、加熱装置内で金属物品の加熱および浮上の両方を提供する。加熱ゾーンは、金属物品に急速な加熱を提供するように構成および位置決めされている第1の回転磁石のアレイを含み得る。浮揚ゾーン、および任意選択で加熱ゾーンは、金属物品を浮上させるように構成および位置決めされている第2の回転磁石のアレイを含み得る。回転磁石は、移動磁場および時変磁場の存在下で渦電流を生成することができるあらゆる適切な金属物品に使用され得るが、アルミニウム金属ストリップまたはスラブと共に使用するのに特に適し得る。
【0023】
各回転磁石は、永久磁石または電磁石などの、1つ以上の磁気源を含み得る。回転磁石は、概して、永久磁石のみを含み得るが、いくつかの場合において回転磁石は、代わりに、電磁石または電磁石と永久磁石との組み合わせを含み得る。いくつかの場合において、永久磁石の回転磁石が好ましいことがあり、回転磁石が電磁石に頼るよりも効率的な結果を達成でき得る。各回転磁石は、回転磁石に隣接して通過する金属物品の長手方向軸に垂直である回転軸の周りで回転し得るが、他の回転軸も使用され得る。言い換えれば、各磁気回転子は、金属物品の処理方向(例えば、圧延方向)に垂直である回転軸の周りで回転し得るが、他の回転軸も使用され得る。いくつかの場合において、回転軸は、処理方向に垂直であり、かつ金属ストリップの横方向の幅と同一平面上にあり得、その場合、回転軸は、意図的に角度付けられて(例えば、磁気回転子の一方の端部に対して他方の端部よりも近い金属ストリップに角度付けられる)、金属物品の温度プロファイルに対する所望の制御を達成し得る。いくつかの場合において、磁気回転子の回転軸は、金属ストリップの高さに垂直であり得、金属ストリップの横方向の幅および処理方向によって形成される平面に平行で、かつそこから離間配置された平面内にあり得、その場合、回転軸は、意図的に角度付けられ(例えば、磁気回転子の一方の端部に対して他方の端部よりもさらに下流に角度付けられる)て、金属物品内の温度プロファイルに対する所望の制御を達成し得る。いくつかの場合において、磁気回転子の回転軸は、別様に角度付けられ得る。回転磁石の回転運動は、その磁石源に移動または変化する磁場を誘発させる。回転磁石は、回転子モータ(例えば、電気モータ、空気圧モータ、もしくは別のもの)、または近隣の磁気源の共鳴運動(例えば、他の回転磁石もしくは変化する磁場)を含む、任意の適切な方法で回転され得る。
【0024】
本明細書で使用される場合、用語、回転磁石は、その上に1つ以上の磁石を含む磁気回転子を含み得る。例えば、単一の回転子は単一の磁気源を含み、引いては2つの磁極を含み得、または単一の回転子は、複数の磁気源を含み、引いては複数の磁極を含み得る。いくつかの場合において、単一の回転子の磁気源は、磁気回転子の外周から磁場を方向付けるためにハルバッハアレイに配列された永久磁石磁気源などの、方向的に非対称の磁場を生成するように配列され得る。
【0025】
いくつかの場合において、磁気回転子は、断面が円形であり、磁気源は、単一の回転軸の周りで回転可能である。しかしながら、いくつかの場合において、磁気回転子は、断面が楕円形であるか、または別様に非円形であり得、磁気源は、単一の回転軸よりも多くの周りで回転可能である。かかる場合、磁気回転子は、2つ以上の回転軸(例えば、単純な楕円形ベルトの場合には2つの回転軸)の周りで順次回転する磁石を有するベルトまたはトレッドの形態をとり得る。
【0026】
回転磁石を使用して、金属物品に物理的に接触することなく金属物品を加熱するときに、正確な加熱制御が達成され得る。かかる精密な制御は、磁気源の強度、磁気源の数、磁気源の配向、磁気源のサイズ、回転磁石自体のサイズ(例えば、任意のシェルを含む)、回転磁石の速度(例えば、回転速度)、垂直にオフセットされた回転磁石間の垂直な間隙(例えば、単一の回転子の組の垂直にオフセットされた回転子)、垂直にオフセットされた回転磁石の横方向にオフセットされた配置(例えば、単一の回転子の組の横方向にオフセットされた回転子の配置)、隣接する回転磁石間の長手方向の間隙、加熱される物品の厚さ、各回転磁石と加熱される物品との間の垂直距離、加熱される物品の組成、磁気遮蔽の存在(例えば、特定の束集束要素)、磁気遮蔽の厚さおよび/または透磁率、加熱される物品の前進速度、ならびに使用される回転磁石の数を含む、回転磁石に関連する様々な要因の操作を通じて達成され得る。他の要因もまた、同様に制御され得る。これらおよび他の要因の制御は、静的(例えば、加熱プロセスの前に設定される)または動的(例えば、加熱プロセス中にオンザフライで変更可能である)であり得る。いくつかの場合において、とりわけ、前述の要因のうちの1つ以上の制御は、コンピュータモデル、オペレータフィードバック、または自動フィードバック(例えば、リアルタイムセンサからの信号に基づく)に基づき得る。本明細書で使用される場合、用語「加熱プロセス」は、金属物品を加熱することおよび浮揚することまたはソーキングすることの両方を含み得る。
【0027】
いくつかの場合において、磁気回転子を使用して、金属ストリップにわたって(例えば、金属ストリップの横方向の幅にわたって)均一な温度プロファイルが達成され得る。いくつかの場合において、金属ストリップにわたる温度プロファイルの均一性を最適化するために、技術が使用され得る。かかる技術の例として、コールドスポット上の補助加熱器の使用と、コールドスポットに隣接する追加のより小型の磁気回転子の使用と、ウォームスポーツの領域から離れておよび/またはコールドスポットの領域へと磁束を逸らすためのフラックスダイバータの使用と、互いに対するおよび/または金属ストリップの中心線に対する磁気回転子の横方向の移動と、調整された磁束プロファイル(例えば、磁気回転子の長さに沿って特定の方法で変化する磁束プロファイル)を有する磁気回転子と、が挙げられ得る。
【0028】
本明細書で使用される場合、加熱ゾーンの態様および特徴は、回転磁石を参照して説明される。しかしながら、いくつかの場合において、回転磁石に加えて、またはその代わりに、回転しない電磁石が加熱ゾーンで使用され得る。しかしながら、変化する磁場を生成するために静止した電磁石とは反対に回転磁石を使用することは、改善された効率だけでなく、金属物品のより均一な加熱も提供し得る。物品の幅にわたって伝えられる誘導場を変化させるために静止した電磁石を使用することにより、物品内に局所的なホットスポットが生成され得る。様々な強度の誘導場は、異なる静止した電磁石の巻きの自然な変動によって引き起こされ得る。電磁石の巻きの変動は、隣接する横方向の位置よりも多くの熱を生成するいくつかの位置をもたらし得る。局所的なホットスポットは、物品を不均一に変形させ、他の製造上の欠陥を引き起こし得る。対照的に、永久磁石は、寸法をわたるかまたは一方の磁石から別の磁石へのいくつかのレベルの固有の磁気変動を含み得るが、この変動の一部または全部は、回転磁石または回転子の磁気源の回転に起因して自動的に平均化され得る。単一の永久磁石がどの横方向の静止位置にも保持されていないので、平均磁場が、回転する永久磁石によって印加されている。したがって、回転する磁気回転子は、より制御された方法で金属物品を均一に加熱することができる。電磁石が回転する磁石加熱器内で使用されるとき、異なる電磁石間の変動は、回転子の回転に起因して平均化され得る。この変動の平均化は、静止した電磁石では起こらない。
【0029】
回転磁石は、「下流」方向または「上流」方向に回転し得る。本明細書で使用される場合、下流方向に回転する回転磁石は、任意の時点で金属物品に最も近い回転磁石の表面が金属物品の進行方向に(例えば、概して下流方向に向かって)移動するように回転する。例えば、金属物品をその長手方向の進行方向において右側に移動させながら金属物品を側面から見た場合、下流方向に回転する金属物品の上方に位置決めされた回転磁石は、反時計回りに回転し得る一方で、金属物品の下方に位置決めされ、かつ下流方向へ回転する回転磁石は、時計回りに回転し得る。本明細書で使用される場合、上流方向に回転する回転磁石は、任意の時点で金属物品に最も近い回転磁石の表面が金属物品の進行方向とは反対側に(例えば、概して上流方向に向かって)移動するように回転する。例えば、金属物品をその長手方向の進行方向において右側に移動させながら金属物品を側面から見た場合、上流方向に回転する金属物品の上方に位置決めされた回転磁石は、時計回りに回転し得る一方で、金属物品の下方に位置決めされ、かつ上流方向へ回転する回転磁石は、反時計回りに回転し得る。
【0030】
加熱装置が不連続加熱装置である場合、用語「上流」は、「第1の端部に向かって」と置き換えることができ、用語「下流」は「第2の端部に向かって」と置き換えることができ、ここで、不連続加熱装置の第1の端部および第2の端部は、連続加熱装置の上流端部と下流端部と同等であり得る。
【0031】
回転磁石は、金属物品の上方または下方(例えば、通過線の上方もしくは下方、またはチャンバの上方または下方)に位置決めされ得る。本明細書で使用される場合、金属物品に対して位置決めされている要素への言及は、必要に応じて、通過線(例えば、金属物品がそれに沿って進行することが望まれる所望の通過線)に対して位置決めされている要素を指し得る。いくつかの場合において、金属物品を加熱するための回転磁石のアレイは、金属物品の下方と上方との両方に位置決めされ得る。いくつかの場合において、これらの回転磁石は、対をなして配置され、同様の回転磁石(例えば、同様もしくは同一のサイズ、強度、回転速度、および/または上流もしくは下流の回転方向)は、互いから通過線とは反対に直接配置される。対向する回転磁石が金属物品の反対側に配置され、同じ下流方向または上流方向に回転するとき、2つの回転磁石のうちの一方は、時計回りの方向に回転する一方で、2つの回転磁石のうちの他方は、反時計回りの方向に回転し得る。
【0032】
加熱用の回転磁石は、金属物品の幅におよそ等しいかまたはそれ以上の長さを有し得る。いくつかの場合において、加熱用の回転磁石は、金属ストリップの横方向の幅の100%未満を占有するように横方向に変位させることができる。浮上のための回転磁石(例えば、浮揚ゾーン内の回転磁石)は、金属ストリップの横方向の幅の100%未満、例えば、金属ストリップの横方向の幅のおよそ95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、もしくは30%、またはそれら未満を占有し得る。いくつかの場合において、浮揚ゾーン内の単一の回転子は、互いから横方向に離間配置された2つ以上の回転磁石を収容し得る。いくつかの場合において、浮揚ゾーン内の順次回転子(例えば、長手方向に離間配置された順次回転子)の回転磁石の横方向の位置は、互いからオフセットされ得、その結果、浮揚ゾーンに回転磁石の千鳥状アレイがもたらされる。回転磁石の千鳥状の性質は、浮揚ゾーンにおける望ましくない不均一な加熱を最小限に抑えるのに役立ち得る。
【0033】
いくつかの場合において、金属物品を浮上させるための回転磁石のアレイは、金属物品の下方にのみ位置決めされ得るが、必ずしもそうである必要はない。いくつかの場合において、回転磁石を金属物品の上方に位置決めして、金属物品の方向付けまたはステアリングを支援することができる。例えば、回転磁石を、金属物品の縁部を越えることを含め、金属物品の縁部に、またはその近傍に配置し、かつ金属物品の長手方向軸に平行な回転軸に沿って回転させて、加熱装置を通る所望の経路の長手方向の中心線に向けて力を誘導し得る。これらの回転磁石は、金属物品のセンタリングを容易にし得る。これらのセンタリング回転磁石は、加熱装置への入口もしくは出口で、またはそれに隣接してなど、任意の適切な位置に配置され得る。いくつかの場合において、金属物品が低い張力下で支持されるとき、または金属物品が圧縮下で支持されるとき、センタリング回転磁石を使用して、より長い加熱装置内で金属物品を安定化させることができる。
【0034】
いくつかの場合において、浮上が失われた場合に、金属ストリップを支持するために、1つ以上の接触ローラが、金属ストリップに隣接して位置決めされ得る。これらの接触ローラは、浮揚ゾーンの通常の運転中には接触しないことがある。
【0035】
いくつかの場合において、金属物品の下方のみの回転磁石のアレイ(例えば、加熱および/または浮上アレイ)は、より厚い(例えば、およそ10mmより厚い)金属物品に特に適し得る。いくつかの場合において、金属物品の上方および下方の回転磁石のアレイ(例えば、加熱および/または浮上アレイ)は、より薄い金属物品(例えば、およそ10mmまたはそれより薄い)に特に適し得る。
【0036】
いくつかの場合において、回転磁石が金属物品の上方および下方で使用されるとき、金属物品の上方に位置決めされた回転磁石は、閉位置と開位置との間で作動可能であり得る。閉位置では、回転磁石、および任意選択でチャンバの任意の上壁は、通常の動作のために適所にあり得る。開位置では、上部回転磁石、および任意選択でチャンバの任意の上壁を通常の動作位置から離れるように移動させて、金属物品を加熱装置に通板させるためのより多くの空間を提供し得る。金属物品が載置されると、上部回転磁石、および任意選択でチャンバの任意の上壁は、通常の動作のために閉位置に戻され得る。
【0037】
いくつかの場合において、磁束集束要素を回転磁石に隣接して使用して、磁束を特定の領域から離れるように、またはそこに向けて向け直すことができる。磁束集束要素は、磁束を集中させることを含む、磁束を向け直すことができる任意の適切な材料であり得る。磁束集束要素は、物品に近接していないかまたは直接面していない回転磁石の磁気源からの磁束を受け取り、その磁束を物品に向かって(例えば、物品の上面または底面に垂直な方向に)向け直し得る。磁束集束要素はまた、回転磁石と加熱される金属物品以外の隣接機器との間に磁気遮蔽を提供するという利点を提供することもできる。例えば、磁束集束要素は、隣接する長手方向にオフセットされた回転磁石を、互いの間の磁気相互作用をより小さくして、互いにより近くに配置することを可能にすることができる。磁束集束要素は、ケイ素合金鋼(例えば、電気鋼)を含む、任意の適切な材料から作製され得る。磁束集束要素は、複数の積層体を含み得る。磁束集束要素は、フラックスダイバータまたはフラックスコントローラであり得る。磁束集束要素が使用される場合、回転磁石は、より低い回転速度で効率的な結果を達成できることがあり、磁石を金属物品からさらに遠くに離して配置することができることがある。
【0038】
回転磁石を使用して、金属物品の張力を制御することもできる。下流方向に回転する回転磁石は、金属物品に下流方向の力を加え得る一方で、上流方向に回転する回転磁石は、金属物品に上流方向の力を加え得る。複数の長手方向に離間配置された回転磁石は、金属物品に互いによって誘発されるあらゆる張力の一部または全部を打ち消し得る。例えば、金属物品に長手方向の張力を誘発するように回転する第1の回転磁石は、長手方向の張力が減少または排除されるように、反対方向に回転する第2の回転磁石から離間配置され得る。したがって、本明細書に記載のように、金属物品の張力は、回転磁石の制御(例えば、位置、速度、方向、強度、対向するローラ間の間隙、および他のかかるパラメータ)を通じて制御され得る。
【0039】
いくつかの場合において、加熱装置は、加熱ゾーンでの加熱および/または浮揚ゾーンでのソーキングの間に、金属物品の周りで不活性雰囲気を維持し得る。不活性雰囲気は、窒素もしくはアルゴンなどの不活性ガスを含み得、または乾燥空気などの最小限の反応性ガスを含み得る。不活性雰囲気は、加熱装置自体の壁内に、または別のチャンバ内に閉じ込められ得る。加熱装置が不連続加熱装置である場合、チャンバは完全に包囲され得るが、必ずしもそうである必要はない。加熱装置が連続加熱装置である場合、チャンバは上流端部および下流端部で開いたままであり得、金属物品を連続的にチャンバに入れるかまたはチャンバから出することができる。チャンバの上壁および底壁(例えば、金属物品の上面および底面に隣接し、かつ平行な壁、または金属物品の厚さに垂直な壁)、および任意選択で側壁(例えば、金属物品の横方向の幅に垂直な壁)、および任意選択で端部壁(例えば、金属物品の長手方向軸に垂直な壁)は、存在する場合、Kevlar
(登録商標)または他のパラアラミドなどの非伝導性および耐熱性材料で作製され得る。回転磁石は、チャンバの外側に位置決めされ得、回転磁石によって誘発される変化する磁場は、チャンバ壁を通過して、内部の金属物品に加熱および/または浮上を提供し得る。不活性ガスまたは最小限の反応性ガスが、端部および/またはチャンバに沿った挿入点でチャンバ内に供給され得る。これらのガスは、ノズルを通してチャンバ内に分配され得る。いくつかの場合において、これらのノズルは、チャンバ内の金属物品の浮揚を容易にするように設計された方法で、ガスを供給するように位置決めされ得る。
【0040】
いくつかの場合において、回転磁石からの加熱を補助するために、高温ガスが供給され得る。かかる高温ガスは、不活性または最小限の反応性ガスであり得る。高温ガスは、磁気加熱が金属物品を完全には加熱しない領域に向けて方向付けられたポートを通して供給され得る。高温ガスは、加熱装置内またはチャンバ内に不活性または最低限の反応性雰囲気を提供するだけでなく、金属物品の温度を均一にすることを容易にし得る。
【0041】
いくつかの場合において、真空源をチャンバに結合して、チャンバ内に完全真空または部分真空を確立することができる。いくつかの場合において、密閉ローラを使用して、チャンバの上流端部および下流端部に密閉を確立することができる。いくつかの場合において、密閉ローラは、加熱ゾーンの上流および焼き入れゾーンの下流に位置付けられ得る。
【0042】
いくつかの場合において、他の技術を使用して、加熱ゾーンでの回転磁石からの加熱を補うかまたは置き換えることができる。いくつかの場合において、加熱ゾーンでの加熱は、回転磁石による加熱を補うかまたは置き換えるために、誘導加熱を使用することによって提供され得る。
【0043】
任意選択で、冷却剤ノズルを加熱装置内に位置決めして、冷却剤を金属物品上に分配することができる。分配された冷却剤は、金属物品の所望の温度を維持することに役立ち得る。例えば、金属物品を浮上させる役割を果たす第2の回転磁石のアレイは、金属物品にいくらかの量の熱を提供することができ、それは冷却剤を塗布することによって相殺され得る。別の例として、分配された冷却剤は、金属物品の縁部など、磁気加熱中に高温を経験し得る金属物品の部分に方向付けられ得る。いくつかの場合において、冷却剤ノズルは、加熱装置の浮揚ゾーン内にのみ位置決めされ得るが、他の場合には、冷却剤ノズルは、加熱装置全体にわたって、例えば、加熱ゾーン内に位置決めされ得る。いくつかの場合において、加熱プロセスが始まる前に、冷却剤の塗布が事前設定され得る。いくつかの場合において、冷却剤の塗布は、温度センサなどのセンサからのフィードバックに基づいて動的に制御され得る。冷却剤は、冷却剤ガス(例えば、不活性ガスの冷却部分)または冷却剤液体(例えば、水)を含む、金属物品を冷却するための任意の適切な流体であり得る。
【0044】
任意選択で、不活性雰囲気ガスに加えて、処理ガスが(例えば、チャンバに)供給され得る。例えば、メタンまたはシランガスなどの処理ガスを供給して、加熱装置内の金属物品の表面の不動態化を誘発することができる。
【0045】
いくつかの場合において、1つ以上の磁気回転子を有する加熱ゾーンは、金属物品を浮上させるために、熱風ノズルを使用する浮揚ゾーンのような従来の浮揚ゾーンと対にされ得る。かかる場合、磁気回転子は、金属ストリップを急速に加熱するのに適し得、かつ熱風ノズルまたは他の従来の技術を使用する浮揚に適した金属ストリップに望ましい張力を達成するために使用され得る。
【0046】
加熱プロセス中、磁石の回転方向および/または回転速度を変えて、加熱装置を通る金属物品の前進を補助する力を提供するか、または金属物品にかかる張力または圧縮力を変えることができる。例えば、薄い金属物品(例えば、0.5mm〜10mm)には、わずかな張力が望ましいが、より厚い金属物品(例えば、10mmを超える)には、極端な高温による金属物品の破損を避けるために、わずかな圧縮力が望ましいことがある。
【0047】
本開示の特定の態様および特徴は、対流式オーブンよりもおよそ5倍高速であるような、対流式オーブンよりも速い加熱を、高いエネルギー効率(例えば、およそ80%の効率)で提供することができる加熱装置を提供する。さらに、回転磁石は、ほぼ瞬時に熱のオン/オフ制御を提供し得る。さらに、本開示の特定の態様および特徴は、金属物品の加熱および/またはソーキングの間に、金属物品を浮遊させる能力を提供し、これにより表面品質を、任意選択で不活性雰囲気内で最適化する。本開示の特定の態様および特徴はまた、非常にコンパクトなサイズで様々な利点を提供することができる。急速な磁気加熱に起因して、加熱装置の長手方向の長さが最小限に抑えられ得るだけでなく、磁気加熱および浮上は、不活性雰囲気を含むチャンバを非常に小さくすることを可能にし得、これによりガス使用効率を向上させる。いくつかの場合において、本開示の特定の態様および特徴は、表面酸化の減少および金属間化合物相のより速い溶解または再分布など、金属物品に他の冶金学的利益をもたらすことができる。いくつかの場合において、本開示の特定の態様および特徴は、金属物品が過熱された場合に起こり得る、特定の加熱プロセス中の望ましくないマグネシウムの移動を最小限に抑えることができる。例えば、磁気回転子を用いて金属物品を加熱すると、金属物品自体の内部からの熱の生成(例えば、渦電流に起因する)が誘発されるので、外部加熱(例えば、金属物品の表面での空気加熱)への依存を最小限に抑えるかまたは回避することができる。均一な加熱のためには熱が金属物品の表面から金属物品の中心に伝達されなければならないので、外部加熱は、特に速度が優先される場合、金属物品を過熱するというかなりの危険をもたらし得る。外部加熱の使用を回避するかまたは最小限に抑えることによって、本開示の特定の態様および特徴は、過熱の危険性を最小限に抑えるかまたは全く伴わずに、引いては望ましくないマグネシウム移動を最小限に抑えるかまたは全く伴わずに、金属物品を加熱することを可能にする。
【0048】
本開示の特定の態様および特徴は、コンパクトな連続焼き鈍し溶体化熱処理(CASH)ラインなどの様々な金属加工ラインと共に使用され得る。本開示の特定の態様および特徴は、金属物品を均質化または焼き鈍しするためなど、様々な目的に使用され得る。本明細書に開示された加熱装置は、水平方向の配向で説明されているが、それらは垂直、角度付き、または湾曲などの任意の適切な配向で等しく使用されてもよい。本明細書に開示された加熱装置は、アルミニウム合金を処理する場合、およそ560℃、565℃、570℃、575℃、580℃、585℃、590℃、595℃、または600℃以下の温度で、さらにより望ましくはおよそ565℃で操作することが望ましいことがあるが、任意の適切な温度で操作され得る。
【0049】
いくつかの場合において、本開示の特定の態様および特徴は、金属物品を、連続鋳造デバイスを出た直後または出てから間もなく処理するのに特に有用であり得る。金属スラブ(例えば、厚さおよそ16mmのスラブ)または金属ストリップなどの金属物品は、連続鋳造デバイスを出て、任意選択で焼き入れされた後、およそ450℃で加熱装置に入り得、およそ560℃〜およそ570℃の温度に加熱され得る。鋳造後加熱プロセスの後、金属物品は、熱間圧延などによって厚さの減少を施され得る。いくつかの場合において、厚さの減少は、厚さのおよそ70%の減少であり得るが、厚さのより大きいかまたはより小さい減少が使用され得る。
【0050】
本明細書では、「シリーズ」または「7xxx」などのAA番号および他の関連する記号表示によって特定される合金が参照される。アルミニウムおよびその合金の命名および識別に最も一般的に使用される番号指定システムの理解に関しては、両方ともThe Aluminum Associationによって出版されている、「International Alloy Designations and Chemical Composition Limits for Wrought Aluminum and Wrought Aluminum Alloys」または「Registration Record of Aluminum Association Alloy Designations and Chemical Compositions Limits for Aluminum Alloys in the Form of Castings and Ingot」を参照されたい。
【0051】
本明細書で使用される場合、プレートは、概して、5mm〜50mmの範囲の厚さを有する。例えば、プレートは、約5mm、10mm、15mm、20mm、25mm、30mm、35mm、40mm、45mm、または50mmの厚さを有するアルミニウム製品を指し得る。
【0052】
本明細書で使用される場合、シェート(シートプレートとも称される)は、概して、約4mm〜約15mmの厚さを有する。例えば、シェートは、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、または15mmの厚さを有し得る。
【0053】
本明細書で使用される場合、シートは、概して、約4mm未満の厚さを有するアルミニウム製品を指す。例えば、シートは、4mm未満、3mm未満、2mm未満、1mm未満、0.5mm未満、0.3mm未満、または0.1mmの厚さを有し得る。
【0054】
本明細書で使用される場合、「室温」の意味は、約15℃〜約30℃、例えば、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、または約30℃の温度を含み得る。本明細書で使用される場合、「周囲条件」の意味は、約室温の温度、約20%〜約100%の相対湿度、および約975ミリバール(mbar)〜約1050mbarの気圧を含み得る。例えば、相対湿度は、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約100%、またはそれらの間のいずれかであり得る。例えば、気圧は、約975mbar、約980mbar、約985mbar、約990mbar、約995mbar、約1000mbar、約1005mbar、約1010mbar、約1015mbar、約1020mbar、約1025mbar約1030mbar、約1035mbar、約1040mbar、約1045mbar、約1050mbar、またはそれらの間のいずれかであり得る。
【0055】
本明細書で開示されるすべての範囲は、その中に含まれる任意およびすべての部分範囲を包含すると理解される。例えば、「1〜10」と記載された範囲は、最小値1と最大値10との間の(およびそれらを含む)任意およびすべての部分範囲、すなわち、1の最小値またはそれ以上、例えば、1〜6.1で始まり、10の最大値またはそれ以下、例えば、5.5〜10で終わるすべての部分範囲を含むと考慮されるべきである。特に明記しない限り、元素の組成量に言及する場合の「〜まで」という表現は、その元素が任意選択であり、その特定の元素のゼロパーセント組成を含むことを意味する。特に明記しない限り、すべての組成百分率は重量パーセント(重量%)である。
【0056】
本明細書で使用される場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」または「その(the)」の意味は、文脈上他に明確に指示されない限り、単数および複数の言及を含む。
【0057】
以下の例において、アルミニウム合金製品およびそれらの成分は、それらの元素組成に関して重量パーセント(重量%)で記載されている。各合金において、残部はアルミニウムであり、不純物の合計に関する最大重量%は0.15重量%である。
【0058】
結晶粒微細化剤および脱酸剤などの偶発的元素、または他の添加剤が本発明に存在してもよく、本明細書に記載の合金または本明細書に記載の合金の特性から逸脱することなくまたは大きく変化せずに単独で他の特性が追加されてもよい。
【0059】
アルミニウムの固有の性質または加工機器との接触からの浸出に起因して、材料または元素を含む不可避の不純物が少量で合金中に存在し得る。アルミニウム中に典型的に見られるいくつかの不純物は、鉄およびケイ素を含む。記載されたように、合金は、合金元素、偶発的元素、および不可避の不純物以外に、約0.25重量%以下の任意の元素を含有し得る。
【0060】
本明細書に記載の合金は、当業者に知られている任意の適切な鋳造方法を使用して鋳造され得る。いくつかの非限定的な例として、鋳造プロセスは、直接チル(DC)鋳造プロセスまたは連続鋳造(CC)プロセスを含み得る。連続鋳造システムは、移動対向鋳造表面の対(例えば、移動対向ベルト、ロールまたはブロック)、移動対向鋳造表面の対の間の鋳造キャビティ、および溶融金属注入器を含み得る。溶融金属注入器は、端部開口を有し得、そこから溶融金属が溶融金属注入器を出て鋳造キャビティ内に注入され得る。いくつかの場合において、本開示の態様は、連続鋳造金属物品と共に使用するのに特に適し得る。
【0061】
本明細書に記載のアルミニウム合金製品は、自動車用途、ならびに航空および鉄道用途を含む他の輸送用途に使用され得る。例えば、開示されたアルミニウム合金製品は、バンパー、サイドビーム、ルーフビーム、クロスビーム、ピラー補強材(例えば、Aピラー、Bピラー、およびCピラー)、インナーパネル、アウターパネル、サイドパネル、インナーフード、アウターフード、トランクリッドパネルなどの自動車構造部品を調製するために使用され得る。開示されたアルミニウム合金製品および方法はまた、航空機または鉄道車両の用途において、例えば、アウターパネルおよびインナーパネルを調製するために使用され得る。本開示の特定の態様および特徴は、向上された表面品質および冶金学を有する金属物品を提供することができ、これにより向上された接合能力および成形性がもたらされ得、これは、他と同様に、本明細書で言及される用途のうちのいずれにも特に望ましいことがある。
【0062】
本明細書に記載のアルミニウム合金製品および方法は、電子機器用途にも使用され得る。例えば、本明細書に記載のアルミニウム合金製品および方法は、携帯電話およびタブレットコンピュータを含む電子デバイス用のハウジングを調製するために使用され得る。いくつかの例では、アルミニウム合金製品は、携帯電話(例えば、スマートフォン)、タブレットボトムシャーシ、および他の携帯用電子機器の外部ケーシング用のハウジングを調製するために使用され得る。
【0063】
これらの例示的な例は、本明細書で論じられる一般的な主題を読者に紹介するために提供され、また、開示される概念の範囲を限定することを意図しない。以下の節は、図面を参照して、種々な追加的な特徴および実施例を説明し、図面中、同様の数字は、同様の要素を示し、方向的な説明は、例示的な実施形態を説明するために使用されるが、例示的な実施形態のように、本開示を限定するために使用されるべきではない。本明細書の例示に含まれる要素は、縮小率で描かれていないことがあり、特定の寸法は、例示の目的のために誇張されていることがある。
【0064】
図1は、本開示の特定の態様による、連続非接触加熱装置100の側面図を示す概略図である。加熱装置100は、加熱ゾーン102と浮揚ゾーン104とを含み得る。金属物品110(例えば、金属スラブまたは金属ストリップ)は、加熱装置100を下流方向112(例えば、処理方向)に通過し得る。金属物品110は、加熱装置100の上流端部の入口106から入り、加熱装置100の下流端部の出口108から出ることができる。
【0065】
金属物品110は、加熱ゾーン102または浮揚ゾーン104の中のどの支持構造体にも物理的に接触することなく、加熱ゾーン102および浮揚ゾーン104を通過し得る。加熱ゾーン102において、金属物品110は、所望の設定温度に加熱され得る。浮揚ゾーン104において、金属物品110は、所望の設定温度(例えば、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、もしくは15%の所望の設定温度に、またはそれらの範囲内)に維持され得る。浮揚ゾーン104の長さおよび金属物品110が下流方向112に進行する速度は、金属物品110の特定の断面が所望の設定温度で費やす時間の継続時間(例えば、ソーキング時間)を決定し得る。例えば、30メートルの浮揚ゾーン104は、毎分10メートルで進行する金属スラブに対して3分のソーキング時間を提供し得る。
【0066】
いくつかの場合において、加熱ゾーン102に入る前に、金属物品110を冷却して、金属物品110の横方向の幅にわたって均一な(例えば、均質な)温度プロファイルを提供することを容易にすることができる。ただし、冷却は、加熱ゾーン102に入る前に起こる必要はない。
【0067】
加熱ゾーン102は、任意の適切な加熱デバイスを含み得る。
図1に示されるように、加熱ゾーン102は、金属物品110を加熱するように構成された回転磁石114のアレイを含む。任意選択的に、誘導ループ118は、金属物品110を加熱ゾーン102内で囲み、金属物品110に補助熱を提供し得る。いくつかの場合において、加熱ゾーン102は、誘導ループ118を含み、かつ加熱用の回転磁石114のアレイを含まない。かかる場合、浮揚ゾーン104に関してさらに詳細に説明されるように、加熱ゾーン102は、浮上目的のための追加の回転磁石を含み得る。いくつかの場合において、1つ以上の誘導ループ118は、磁気加熱中に形成されるあらゆるコールドスポットを修正するためなど、金属ストリップの横方向の温度均質性を向上させるための補助加熱を提供し得る。
【0068】
浮揚ゾーン104は、金属物品110を浮上させるように構成された回転磁石のアレイ116を含み得る。浮上のための回転磁石のアレイ116は、浮揚ゾーン104内のみに位置付けられ得るか、または任意選択で加熱ゾーン102内にも位置付けられてもよい。いくつかの場合において、任意選択の冷却剤ノズル122を浮揚ゾーン104内に位置付けて、回転磁石のアレイ116から加えられるいかなる熱にもかかわらず、金属物品110を所望の設定温度に維持するために、追加の温度制御を提供することができる。冷却剤ノズル122の各々は、金属物品110への冷却剤の塗布を制御するために、個々の制御部(例えば、弁)を有し得る。
【0069】
いくつかの場合において、浮揚ゾーン104は、空気ノズルまたは非磁性技術を使用して金属ストリップを浮上させるための他の要素などの、従来の浮揚要素を含み得る。これらの要素は、磁気浮上の代わりにまたはそれに加えて使用され得る。
【0070】
金属物品110を加熱するように構成された回転磁石のアレイは、金属物品110のおよそ全幅以上にわたって延在する磁気回転子などの、金属物品110の温度を効率的に上昇させるようにサイズ合わせおよび位置決めされた磁石を含み得る。金属物品110を浮上させるように構成された回転磁石のアレイは、金属物品110に実質的な熱を与えずに、金属物品110を効率的に浮上させるようにサイズ合わせおよび位置決めされた磁石、例えば、金属物品110の全幅未満(例えば、金属物品110の横方向の幅のおよそ95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、もしくは10%、またはそれら未満)を占有する1つ以上の回転磁石を含む磁気回転子を含み得る。
【0071】
金属物品110の温度などの金属物品110の特性、または加熱装置100内の雰囲気の特性を測定するために、1つ以上のセンサ124が、加熱ゾーン102および/または浮揚ゾーン104の中などの加熱装置100内に配置され得る。センサ124からの測定値は、コントローラ126に提供され得る。いくつかの場合において、コントローラ126は、センサ124からの測定値を使用して、加熱装置100の態様、例えば、加熱ゾーン102内の回転磁石のアレイ114もしくは誘導ループ118、および/または浮揚ゾーン104内の冷却剤ノズル122に、動的制御を提供し得る。コントローラ126は、センサ124からのフィードバックを使用して、所望の設定温度が加熱ゾーン102で達成され、浮揚ゾーン104で維持されることを確実にし得る。
【0072】
いくつかの場合において、加熱装置100は、不活性雰囲気を含む任意選択のチャンバ120を含み得る。ガスポート128は、ガス供給部からチャンバ120に不活性ガスまたは最小限の反応性ガスを供給し得、したがって金属物品110を囲む不活性雰囲気を維持する。チャンバ120は、入口106から出口108まで延在し得る。チャンバ120は、非導電性および/または断熱性材料などの任意の適切な材料で作製され得る。いくつかの場合において、チャンバ120は、Kevlar
(登録商標)または同様の材料から作製され得る。
【0073】
図2は、本開示の特定の態様による、不連続非接触加熱装置200の側面図を示す概略図である。加熱装置200は、組み合わされた加熱および浮揚ゾーン203を含み得る。金属物品210(例えば、金属スラブまたは金属ストリップ)は、加熱装置200内に位置決めされ得る。加熱および浮揚ゾーン203は、金属物品210が挿入および回収され得る開口部を有し得るか、または金属物品210を開位置と閉位置との間で移動させて、加熱装置200内に配置し、加熱かつソーキングし、次いでそこから除去することができる。不連続非接触加熱装置200は、不連続方式で金属物品210をバッチ加工することを可能にし得る。
【0074】
加熱および浮揚ゾーン203内では、金属物品210は、加熱および浮揚ゾーン203内のどの支持構造体と物理的に接触することなく、浮上および加熱され得る。いくつかの場合において、金属物品210は、その端部のみで支持され得、かつ回転磁石を使用して浮上され得る。加熱および浮揚ゾーン203において、金属物品210は、所望の設定温度に加熱され、かつ所望の設定温度(例えば、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、2%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、20%、もしくは25%の、またはそれらの範囲内の所望の設定温度)に所望の継続時間(例えば、ソーキング時間)維持され得る。
【0075】
加熱および浮揚ゾーン202は、回転磁石および/または誘導コイルなどの任意の適切な加熱デバイスを含み得る。
図2に示されるように、加熱および浮揚ゾーン203は、金属物品210を加熱し、金属物品210を加熱および浮揚ゾーン203内で浮上させるように構成された回転磁石のアレイ214を含む。いくつかの場合において、金属物品210を浮上させるように構成された追加の回転磁石のアレイが、加熱および浮揚ゾーン203内に位置決めされ得る。金属物品210を加熱するように構成された回転磁石のアレイは、金属物品210のおよそ全幅以上にわたって延在する磁気回転子などの、金属物品210の温度を効率的に上昇させるようにサイズ合わせおよび位置決めされた磁石を含み得る。金属物品210を浮上させるように構成された回転磁石のアレイは、金属物品210に実質的な熱を与えずに、金属物品210を効率的に浮上させるようにサイズ合わせおよび位置決めされた磁石、例えば、金属物品210の全幅未満(例えば、金属物品210の横方向の幅のおよそ95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、もしくは10%、またはそれら未満)を占有する1つ以上の回転磁石を含む磁気回転子を含み得る。
【0076】
いくつかの場合において、任意選択の冷却剤ノズル222を加熱および浮揚ゾーン203内に位置付けて、金属物品210を所望の設定温度に維持するために、追加の温度制御を提供することができる。冷却剤ノズル222の各々は、金属物品210への冷却剤の塗布を制御するために、個々の制御部(例えば、弁)を有し得る。
【0077】
1つ以上のセンサ224を加熱および浮揚ゾーン203内に配置して、金属物品210の温度などの金属物品210の特性および/または加熱装置200内の雰囲気の特性を測定し得る。センサ224からの測定値は、コントローラ226に提供され得る。いくつかの場合において、コントローラ226は、センサ224からの測定値を使用して、回転磁石214のアレイもしくは他の加熱デバイス、または冷却剤ノズル222などの、加熱装置200の態様に動的制御を提供し得る。コントローラ226は、センサ224からのフィードバックを使用して、所望の設定温度が加熱プロセス中に達成および維持されることを確保し得る。
【0078】
いくつかの場合において、加熱装置200は、不活性雰囲気を含む任意選択のチャンバ220を含み得る。ガスポート228は、ガス供給部からチャンバ220に不活性ガスまたは最小限の反応性ガスを供給し得、したがって金属物品210を囲む不活性雰囲気を維持する。チャンバ220は、非導電性および/または断熱性材料などの任意の適切な材料で作製され得る。いくつかの場合において、チャンバ220は、Kevlar
(登録商標)または同様の材料から作製され得る。
【0079】
図3は、本開示の特定の態様による、回転磁石を使用した連続加熱装置300を示す概略図および温度チャート340の組み合わせである。温度チャート340は、加熱装置300に沿って異なる距離で金属物品310のおよその温度342を表示するように、加熱装置300と位置合わせされる。点線の円は、
図4に示される拡大図の指標である。
図3の加熱装置300は、
図1の加熱装置100であり得る。金属ストリップまたは金属スラブなどの金属物品310は、加熱装置300を通って下流方向312に進行し得る。
【0080】
加熱装置300は、加熱ゾーン302と、浮揚ゾーン304と、を含む。加熱ゾーン302において、回転磁石のアレイ314は、金属物品310を加熱して金属物品310の温度を上昇させ得る。回転磁石のアレイ314は、互いに長手方向に離間配置された6個の磁気回転子336の対を含み、磁気回転子336の各対は、金属物品310の両側に対向する上部回転子および底部回転子を含む。いくつかの場合において、回転磁石のアレイ314は、他の構成および/または配向で他の数の回転磁石(例えば、他の数の回転子)を含み得る。温度チャート340は、金属物品310が磁気回転子336の対の各々を通過するにつれて、金属物品310の温度342が上昇することを示している。金属物品310の温度342は、加熱ゾーン302内で入口温度346から所望の設定温度344まで上昇する。
【0081】
浮揚ゾーン304において、回転磁石のアレイ316が金属物品310を浮上させ、金属物品310が所望の設定温度344で所望の継続時間ソーキングされることを可能にする。任意選択の冷却剤ディスペンサ(
図1の冷却剤ノズル122など)を使用して、回転磁石のアレイ316からのいかなる加熱効果にもかかわらず、温度342を所望の設定温度344に維持することに役立ち得る。回転磁石のアレイ316は、いくつかの回転子334、例えば、31個の回転子334を含み得る。各回転子334は、金属物品310の全幅未満(例えば、金属物品310の横方向の幅のおよそ95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、もしくは10%、またはそれら未満)を占有する1つ以上の横方向に離間配置された回転磁石を含み得る。
【0082】
不活性雰囲気を閉じ込めるためのチャンバは、上壁330および底壁332、ならびに側壁(図示せず)によって部分的に画定され得る。上壁330および底壁332、ならびに任意選択で側壁の各々は、非導電性かつ断熱性の材料で作製され得る。いくつかの場合において、上壁330、底壁332、および側壁のうちの一方または両方の一部または全体は、伝導性および/もしくは磁性の材料で作製され得、または伝導性および/もしくは磁性材料をそれに連結させ得る。この伝導性および/または磁性材料は、所望の方式で、加熱ゾーン302の磁気回転子336などの1つ以上の磁気回転子からの磁束(例えば、フラックスディレクタとして)と、逸らすことに役立ち得る。壁が存在しない場合、磁束は、別の方式で、加熱ゾーン302の磁気回転子336などの1つ以上の磁気回転子から逸らされ得る。
【0083】
金属物品310は、加熱装置300を通って進行する際に、上壁330と底壁332との間を通過し得る。加熱ゾーン302内の回転磁石のアレイ314の回転子336および浮揚ゾーン304内の回転磁石のアレイ316の回転子334は、上壁330および/または底壁332とは反対側のチャンバの外側に位置決めされて金属物品310を形成し得る。
【0084】
図4は、本開示の特定の態様による、
図3の加熱装置300の部分400を示す拡大概略側面図である。
図4の部分400は、
図3では点線の円で表されている。加熱ゾーンの回転子336は、金属物品310の上方および下方に位置決めされ、かつ上壁330および底壁332によって形成されたチャンバ420の外側に位置決めされている。浮揚ゾーンの回転子334は、金属製物品310の下方にのみ位置決めされ、底壁332の下方では、チャンバ420の外側に位置決めされる。
【0085】
図5は、本開示の特定の態様による、永久磁石回転子500の破断側面図である。永久磁石回転子500は、
図1の回転磁石のアレイ114、116または
図2の回転磁石のアレイ214のうちの任意の回転子であるのに適した回転子の一例である。磁気回転子500は、1つ以上の磁気源550を含み得る。
図5に見られるように、磁気回転子500は、永久磁石である8個の磁気源550を含む。磁石は任意の適切な配向に配列され得る。磁気源550は、隣接する永久磁石が半径方向外側を向く異なる極(例えば、N、S、N、S、N、S、N、Sが交互になっている)を提供するように配列され得る。サマリウムコバルト、ネオジム、または他の磁石などの任意の適切な永久磁石が使用され得る。いくつかの場合において、サマリウムコバルト磁石がネオジム磁石よりも望ましいことがあり、というのも、サマリウムコバルト磁石は、より高い熱と共によりゆっくりと磁場強度を落とし得るからである。しかしながら、いくつかの場合において、ネオジム磁石は、より低温でより強い磁場強度を有するので、ネオジム磁石がサマリウムコバルト磁石よりも望ましいことがある。
【0086】
磁気源550は、シェル552によって包囲され得る。シェル552は、磁束を通過させることができる任意の適切な材料であり得る。いくつかの場合において、シェル552は、非金属製コーティングで作製され得るか、またはそれをさらに含み得る。いくつかの場合において、シェル552は、Kevlar
(登録商標)コーティングを含み得る。
【0087】
いくつかの場合において、磁気回転子500は、中心軸556を有する強磁性コア554を含み得る。磁気回転子500は、磁気源550を支持するのに適した他の内部構成を含み得る。任意の適切な数の磁気源550が使用され得るが、6個または8個の磁気源550などの偶数個の磁気源550を用いて効率的な結果が達成され得ることが分かった。
【0088】
磁気源550は、磁気回転子500の円周の任意の割合をカバーするようにサイズ合わせされ得る。磁気回転子500の円周のおよそ40%〜95%、50%〜90%、または70%〜80%を占有するようにサイズ合わせされた磁気源550を用いて効率的な結果が達成され得る。
【0089】
磁気回転子500は、任意の適切なサイズに形成され得るが、200mm〜600mm、少なくとも300mm、少なくとも400mm、少なくとも500mm、または少なくとも600mmの直径を有する回転子を用いて効率的な結果が達成され得ることが分かった。
【0090】
各磁気源550の厚さは、磁気回転子500内に収まることができる任意の適切な厚さであり得るが、15mm、15〜100mm、15〜40mm、20〜40mm、25〜35mm、30mm、もしくは50mm、または少なくともそれらの範囲の永久磁石の厚さを用いて効率的な結果が達成され得ることが分かった。他の厚さも使用され得る。
【0091】
試行錯誤により、単一の回転子の周りに位置決めされた6個または8個の磁石を用いて非常に効率的な加熱力が得られることが決定されたが、他の数の磁石も使用され得る。使用する磁石が多すぎると、加熱力は低下し得る。いくつかの場合において、磁石の数は、設置および/または保守費用(例えば、購入する磁石の数)を最小限に抑えるように選択され得る。いくつかの場合において、磁石の数は、金属ストリップに隣接する磁石の移動に起因して、金属ストリップに生じる張力変動を最小限に抑えるように選択され得る。例えば、非常に少数の磁石は、より大きいおよび/またはより長い張力変動を引き起こし得るのに対して、より多くの磁石は、より小さいおよび/またはより短い変動を引き起こし得る。試行錯誤により、磁石が回転子の円周の40%〜95%、より具体的には回転子の円周の50%〜90%または70%〜80%を占有するときに、非常に効率的な加熱力が得られることが決定された。試行錯誤により、回転子の直径が大きい、例えば、200、300、400、500、もしくは600mm、またはそれらより大きい場合に、非常に効率的な加熱力が得られることが決定された。さらに、より大きい回転子を使用すると、磁石のコストを最小限に抑えるのに役立ち得る。試行錯誤により、回転子の直径が大きい、例えば、200、300、400、500、もしくは600mm、またはそれらより大きい場合に、非常に効率的な加熱力が得られることが決定された。さらに、より大きい回転子を使用すると、磁石のコストを最小限に抑えるのに役立ち得る。いくつかの場合において、より小さい回転子(例えば、直径が600、500、400、300、もしくは200mm、またはそれら未満)が、金属物品を浮上させるのに特に適し得るのに対して、より大きい回転子は、金属物品を加熱するのに特に適し得る。
【0092】
回転子の速度が増加するにつれて、加熱力は増加する傾向がある。しかしながら、いくつかの場合において、回転子の速度が閾値レベルに達すると、さらなる速度の増加は、金属ストリップの固有のインダクタンスおよび抵抗率特性に起因して、加熱効率に悪影響を及ぼすであろう。毎分およそ1800回転で、またはその付近で(例えば、毎分1800回転の1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、または20%の範囲内)、部分的には、様々な位置の主電源に見られる60Hzの周波数で回転子モータを制御することが簡単であることに起因して望ましい速度となり得ることが決定された。いくつかの場合において、使用される回転子モータおよび/または供給される主電源に基づいて、他の周波数が選択され得る。回転子速度は、金属ストリップに加えられる熱エネルギーの量を制御するための有用な方法であり得るが、一定の回転子速度を維持し、かつ垂直の間隙の制御および他の制御を使用して、金属ストリップに加えられる熱エネルギー量を調整することが有利であり得ると決定された。
【0093】
試行錯誤により、回転子内の永久磁石の厚さが15〜40mm、20〜40mm、もしくは25〜35mmの間、または30mmもしくはその付近にあるとき、非常に効率的な加熱力が得られると決定された。より厚い磁石では強い加熱力が得られるが、上記範囲内の磁石を使用すると、磁石の設置/維持費用を抑えながら、同時に十分に強い加熱力を提供することができる。
【0094】
図6は、本開示の特定の態様による、磁気加熱および張力制御のために磁石を回転させるアレイ600を示す概略図およびグラフの組み合わせである。回転磁石のアレイ600は、金属物品602を加熱することができると共に、金属物品602に張力変化を誘発することができる複数の回転子608、610を含み得る。
図6を参照して説明したような磁気加熱および張力制御は、加熱用回転子および浮上用回転子を含む、任意の適切な回転子と共に使用され得る。磁気加熱は、
図1の加熱装置100などの加熱装置の加熱ゾーン内で起こり得、張力制御は、加熱装置内のいずれの場所でも起こり得る。
【0095】
図6の左側部分は、金属物品602の両側に直接位置決めされた回転子608を示す。金属物品602が第1の回転子608の対の間の間隙に入ると、
図6の張力線609に見られるように、張力は、最初に比較的高くなり得る。各回転子608を上流方向に回転させることによって、回転子608は、
図6の温度線601に見られるように、金属物品602の温度を上昇させながら、同時に張力調整を与え得る。上流方向に動作する各一連の回転子608は、金属ストリップの温度を上昇させながら、金属ストリップの張力を減少させ得る。金属物品602の温度が上昇すると、過度の張力および/または物理的接触が望ましくなくなり、金属物品602に欠陥が生じる可能性があるので、この技術は特に有益である。金属物品602内の温度を上昇させ、かつ張力を減少させるために磁気回転子608を使用することは、金属物品602と回転子608との間に物理的な接触をなすことなく達成され得る。
【0096】
図6の右側部分は、加熱を提供しながら、同時に張力を増加させるように動作する回転子610を示す。金属物品602が回転子610の間隙を通過するとき、張力は最初は比較的低くてもよく、また増加してもよい。したがって、本明細書に記載の磁気回転子610は、金属物品602に接触する必要なく、金属物品602の温度を上昇させること、金属物品602内の張力を増加させることとの両方に特に有用であり得る。磁気回転子610を下流方向に回転させることによって、回転子610は、金属物品602の温度を上昇させながら、同時に金属物品602内の張力を増加させ得る。
【0097】
加熱回転子の代わりに浮上回転子が使用される場合、浮上回転子は、金属物品に著しい加熱を提供することなく張力を増加または減少させ得る。
【0098】
図7は、本開示の特定の態様による、加熱装置717を使用した部分的に分離された連続鋳造システム700を示す概略図である。
図1の加熱装置100のような加熱装置717は、完全にまたは部分的に分離された連続鋳造システムにおいて特に有用であり得る。
【0099】
部分的に分離された連続鋳造システム700は、連続した対のベルトキャスタ708などの連続鋳造デバイスを含むが、対のロールキャスタなどの他の連続鋳造デバイスも使用され得る。連続ベルトキャスタ708は、液体金属736を凝固させるのに十分な冷却速度で液体金属736から熱を抽出することができる対向ベルトを含み、この後で固体は金属物品710として連続ベルトキャスタ708を通過して出る。連続ベルトキャスタ708を出るときの金属物品710の厚さは、およそ16mmであり得るが、他の厚さも使用され得る。連続ベルトキャスタ708は、所望の鋳造速度で動作し得る。対向するベルトは、任意の適切な材料から作製され得るが、いくつかの場合において、ベルトは銅またはアルミニウムから作製され得る。連続ベルトキャスタ708内の冷却システムは、連続ベルトキャスタ708を出る金属物品710が200℃〜530℃の温度を有するように、液体金属736から十分な熱を抽出し得るが、他の範囲も使用され得る。
【0100】
いくつかの場合において、加熱装置717(例えば、
図1の加熱装置100)は、連続ベルトキャスタ708の出口近傍の連続ベルトキャスタ708の下流に位置決めされ得る。いくつかの場合において、連続ベルトキャスタ708と加熱装置717との間に、任意選択のピンチロール715が位置決めされ得る。加熱装置717は、金属物品710の温度を所望の設定温度に上昇させることができ、これはおよそ570℃(例えば、500〜570℃、520〜560℃、あるいは560℃もしくは570℃またはその付近)であり、その温度を所望の時間の間維持し得る。加熱装置717は、連続鋳造機の708の出口速度で移動しながら、金属物品710が加熱装置717を、1分〜10分でもしくはその付近で、またはより好ましくは、1分および7分でもしくはその範囲で通過することを可能にするのに十分な長さであり得る。
【0101】
いくつかの場合において、加熱装置717の下流かつ巻き取り装置の上流に、熱間圧延スタンド784が任意選択で位置決めされ得る。熱間圧延スタンド784は、金属物品710の厚さを、少なくとも70%、またはより好ましくは50%〜75%だけ減少させ得る。いくつかの場合において、熱間圧延スタンド784の代わりに、粗圧延機が使用され得る。圧延後焼き入れ部719は、金属物品710が熱間圧延スタンド784を出た後に、その金属物品710の温度を低下させ得る。圧延後焼き入れ部719は、有益な冶金学的特性を与え得る。いくつかの場合において、任意選択の圧延前焼き入れ部713は、加熱装置717と熱間圧延スタンド784との間の金属物品710の温度を低下させ得、これは、金属物品710に有益な冶金学的特性を与え得る。圧延前焼き入れ部713および/または圧延後焼入れ部719は、金属物品710の温度を200℃/秒またはその付近の速度で低下させ得る。巻き取る前に、金属物品710は、縁部トリマ721による縁部トリミングが施され得る。巻き取りの間、金属物品710は、中間コイル712(例えば、ホットバンド)に巻き取られ得、中間コイル712が所望の長さまたはサイズに達すると、剪断部723は、金属物品710を分割し得る。この中間コイル712は、後で圧延機内で圧延機にとって最も望ましい速度で、さらに加工され得る。したがって、圧延機の速度と連続鋳造機の速度とは分離され得、互いに制限される必要はない。
【0102】
しかしながら、他の場合において、金属物品710は、最初に中間コイル712に巻き取られることなく、さらに加工され得る。
【0103】
図8〜
図11は、載置するかまたは通板させる手順を示す側面概略図である。
【0104】
図8は、本開示の特定の態様による、金属物品を通板させる前の開いた構成の加熱装置800を示す概略図である。加熱装置800は、
図3の加熱装置300と同様であり得る。加熱装置800は、加熱ゾーンに回転磁石のアレイ814を含み、浮揚ゾーンに回転磁石のアレイ816を含み得る。開位置にあるとき、不活性雰囲気のためのチャンバの上壁830は、底壁832から離れて持ち上げられ得る。回転磁石のアレイ814の上部回転子836は、上壁830と一緒に持ち上げられ得る。いくつかの場合において、上壁830および回転子836を持ち上げる代わりに、上壁830および回転子836を底壁832から離れるように別様に移動させ得る。金属物品を通板させることは、回転磁石のアレイ814、816の回転磁石を回転させながら、加熱装置800の上流端部から金属物品を挿入して、金属物品を浮上させながら金属物品を通板させることによって開始し得る。
【0105】
図9は、本開示の特定の態様による、金属物品910が加熱装置900に通されている間、開構成にある加熱装置900を示す概略図である。加熱装置900は、金属物品810が通されている間の、
図8の加熱装置800であり得る。金属物品910を通板させることは、金属物品910が回転磁石のアレイ914、916の回転磁石を回転させながら、加熱装置900の上流端部から挿入され、これにより金属物品910を浮上させながら、金属物品910を通板させるときに起こる。
【0106】
図10は、本開示の特定の態様による、金属物品1010が加熱装置1000に通された後の、開構成にある加熱装置1000を示す概略図である。加熱装置1000は、金属物品1010が通されているが、加熱装置800を閉位置に配置する前の、
図8の加熱装置800であり得る。金属物品1010が完全に通された後、金属物品1010は、回転磁石のアレイ1014、1016を使用して浮上され続け得る。
【0107】
図11は、本開示の特定の態様による、金属物品1110が適所に通された閉構成にある加熱装置1100を示す概略図である。加熱装置1100は、金属物品1110が通され、加熱装置800が閉位置に移動された後の、
図8の加熱装置800であり得る。
図10に関して示されているように、金属物品1110が通された後、不活性雰囲気のためのチャンバの上壁1130は、底壁1132に隣接するその通常の動作位置に戻って、チャンバを形成し得る。回転磁石のアレイ1114の上部回転子1136は、下降させることができ、または別様に上壁1130と共に定位置に戻され得る。金属物品1110がその中に通された閉構成になると、加熱装置1100は、本明細書に記載のように動作し得る。
【0108】
図12は、本開示の特定の態様による、金属物品を加熱するためのプロセス1200を示すフローチャートである。プロセス1200は、
図1の加熱装置100または
図2の加熱装置200などの本明細書に記載の加熱装置を使用して実施され得る。
【0109】
ブロック1202において、金属物品は、加熱ゾーン内に位置決めされ得る。不連続加熱装置の場合、金属物品を加熱ゾーン内に位置決めすることは、金属物品を加熱ゾーン内の恒久的または一時的な開口部に挿入することを含み得る。連続加熱装置の場合、金属物品を加熱ゾーン内に位置決めすることは、金属物品を加熱ゾーンの入口に連続的に挿入することを含み得る。
【0110】
ブロック1204において、金属物品は、加熱ゾーンで加熱され得る。加熱は急速に起こり得る。加熱は加熱デバイスに基づいて起こり得、加熱デバイスは、温度センサフィードバックによって動的に制御可能であってもよいかまたはそうでなくてもよい。適切な加熱デバイスの例として、誘導加熱器および/または回転磁石のアレイが挙げられる。金属物品を加熱するために回転磁石のアレイを使用することは、有益な結果を伴い得る。
【0111】
ブロック1206において、金属物品は、回転磁石のアレイを使用して浮揚ゾーンで浮上される。不連続加熱装置の場合、浮揚ゾーンは加熱ゾーンと同じであり得、それによって同じ空間を占有し得る。かかる場合、浮上のために使用される回転磁石のアレイの一部または全部はまた、ブロック1204の加熱デバイスとして熱を提供し得る。連続加熱装置の場合、浮揚ゾーンは、加熱ゾーンの直後に位置付けられ得、金属物品は、加熱ゾーンから浮揚ゾーンに方向付けられ得る。
【0112】
ブロック1208において、温度設定点は、浮揚ゾーンで所望の継続時間維持され得る。不連続加熱装置の場合、継続時間は時間または他の同様の技術によって確立され得る。連続加熱装置の場合、継続時間は、金属物品の進行速度と浮揚ゾーンの長さとの組み合わせによって確立され得る。
【0113】
任意選択のブロック1210において、金属物品は、チャンバ(例えば、ガス充填チャンバまたは不活性ガス充填チャンバ)内に通され得る。金属物品を通板させることは、チャンバの上壁と底壁とを分離することと、それらの間に金属物品を挿入することと、チャンバを形成するために上壁および底壁を所定の位置に再固定することと、を含み得る。
【0114】
以下の実施例は、本発明をさらに説明するのに役立つが、同時にそのいかなる限定も構成しない。それどころか、本明細書の説明を読んだ後に、本発明の趣旨から逸脱することなくそれら自体を当業者に示唆し得る様々な実施形態、変更および均等物に頼ることができることを明確に理解されたい。以下の実施例に記載されている研究の間、特に明記しない限り、従来の手順に従った。説明の目的ために、手順のいくつかを以下に説明する。
【0115】
第1の試験の例では、6xxxシリーズのアルミニウムの厚さ1mmのストリップを、2つの長手方向に離間して対向する回転子の対(例えば、金属ストリップの上方および下方に配置された回転子)に配列された4個の回転子を含む、加熱用の回転磁石のアレイを通して送った。金属ストリップを60m/分の速度で回転する磁石のアレイを通過させた。ストリップはおよそ30℃で回転磁石のアレイに入り、およそ170℃で出た。回転磁石のアレイは、およそ75%〜およそ80%の効率で動作し、1メートル未満の長手方向空間を占有した。比較すると、標準的なCASH加工ライン内の同様の加熱装置は、5メートル超を占有することになり、誘導加熱によって加熱された場合、およそ50%の効率で動作し得る。第1の試験の例の回転磁石のアレイは、本明細書に記載の加熱装置の加熱ゾーンの全部または一部としての実施に適し得る。
【0116】
第2の試験の例では、厚さ16mmのアルミニウムスラブを10m/分で非接触加熱装置を通過させた。加熱装置は、長さ3または4メートルの加熱ゾーンと、それに続くおよそ30メートルの浮揚ゾーンを含んでいた。加熱ゾーンは、金属スラブに80℃の温度上昇を与えることができる6個の長手方向に離間配置された対向する回転子の対を含んでいた。加熱ゾーンで所望の設定温度に到達し、浮揚ゾーンで長さおよそ33〜およそ34メートルの加熱装置内で30分間維持した。浮揚ゾーンは、金属スラブの下方にのみ位置決めされた31個の長手方向に離間配置された回転子を含んでいた。回転子の各々は、6つまたは7つの横方向に離間配置された回転磁石を含み、順次回転子は、互いからオフセットされた回転磁石を有し、浮揚ゾーン内で回転磁石の千鳥状アレイを形成した。補助冷却デバイス(例えば、冷却剤ディスペンサ)を浮揚ゾーンで使用して、金属スラブの温度を設定温度の5℃以内に維持した。
【0117】
例示される実施形態を含む、実施形態の上述の説明は、例示および説明の目的のためにだけ提示され、また、包括的であること、または開示される正確な形態に限定することを意図しない。それらの非常に多くの修正形態、適合、および用途が当業者に明らかになるであろう。
【0118】
以下で使用される場合、一連の実施例へのいかなる言及も、それらの実施例の各々に対する言及として離接的に理解されるべきである(例えば、「実施例1〜4」は、「実施例1、2、3、または4」として理解されるべきである)。
【0119】
実施例1は、加熱装置であり、金属物品を受け入れるための加熱ゾーンであって、加熱ゾーンが、金属物品の温度を上昇させるための少なくとも1つの加熱デバイスを含む、加熱ゾーンと、金属物品の温度を維持するための加熱ゾーンに連結された浮揚ゾーンと、を備え、浮揚ゾーンが、金属物品を浮上させるための浮揚デバイスのアレイを含み、少なくとも1つの加熱デバイスおよび浮揚デバイスのアレイのうちの少なくとも一方が、金属物品に隣接して位置決めされた磁気回転子のアレイを含む。
【0120】
実施例2は、実施例1の加熱装置であり、磁気回転子のアレイの各磁気回転子が、少なくとも1つの永久磁石を含む。
【0121】
実施例3は、実施例1または2の加熱装置であり、加熱ゾーンとおよび浮揚ゾーンが、互いに重なり合っている。
【0122】
実施例4は、実施例3の加熱装置であり、少なくとも1つの加熱デバイスおよび浮揚デバイスのアレイの両方が、磁気回転子の配列を含む。
【0123】
実施例5は、実施例1または2の加熱装置であり、浮揚ゾーンが、加熱ゾーンの直後に下流方向に位置付けられ、加熱ゾーンが、金属物品を連続的に受け入れるための入口を含み、浮揚ゾーンが、金属物品を連続的に排出するための出口を含む。
【0124】
実施例6は、実施例1〜3または5の加熱装置であり、少なくとも1つの加熱デバイスが、磁気回転子のアレイを含む。
【0125】
実施例7は実施例6の加熱装置であり、浮揚デバイスのアレイが、追加の磁気回転子のアレイを含む。
【0126】
実施例8は、実施例1〜4または5の加熱装置であり、浮揚デバイスのアレイが、磁気回転子のアレイを含む。
【0127】
実施例9は、実施例8の加熱装置であり、磁気回転子のアレイが各々、横方向に離間配置された磁石を含む複数の回転子を含む。
【0128】
実施例10は、実施例1〜9の加熱装置であり、金属物品の温度を測定するように位置決めされた温度センサと、感知された温度に基づいて少なくとも1つの加熱デバイスを制御するために、温度センサおよび少なくとも1つの加熱デバイスに連結されたコントローラと、をさらに備える。
【0129】
実施例11は、実施例1〜10の加熱装置であり、冷却剤流体の源に連結され、冷却剤流体を金属物品上に分配するように位置決めされた1つ以上の冷却ノズル、および1つ以上の加熱ノズルのうちの少なくとも1つをさらに備える。
【0130】
実施例12は、実施例11の加熱装置であり、金属物品の温度を測定するように位置決めされた温度センサと、1つ以上の冷却ノズルによって分配される冷却剤流体の量を制御するように、温度センサおよび1つ以上の冷却ノズルに連結されたコントローラと、をさらに備える。
【0131】
実施例13は、実施例11の加熱装置であり、金属物品の温度を測定するように位置決めされた温度センサと、温度センサおよび1つ以上の加熱ノズルに連結されて、1つ以上の冷却ノズルによって加えられる熱の量を制御するコントローラと、をさらに備える。
【0132】
実施例14は、実施例1〜13の加熱装置であり、磁気回転子のアレイが、金属物品の横方向の幅に平行であり、かつ下流方向に垂直である回転軸の周りで回転する。
【0133】
実施例15は、実施例1〜14の加熱装置であり、チャンバをさらに備え、金属物品が、浮揚ゾーンまたは加熱ゾーンのうちの少なくとも一方においてチャンバ内に位置決めされ、磁気回転子のアレイが、金属物品からチャンバ壁の反対側に位置決めされる。
【0134】
実施例16は実施例15の加熱装置であり、チャンバは、金属物品を浮揚ゾーンおよび加熱ゾーンのうちの少なくとも一方に通板させることを容易にするように、底壁から分離可能な上壁を含む。
【0135】
実施例17は、実施例15または16の加熱装置であり、チャンバは、非導電性の断熱材料で作製されている。
【0136】
実施例18は、実施例15〜17の加熱装置であり、チャンバは、チャンバを不活性ガスの供給部に接続する1つ以上のポートを含む。
【0137】
実施例19は、方法であり、本開示の例は、金属物品を加熱装置の加熱ゾーンに位置決めすることと、金属物品を加熱ゾーン内で設定温度に加熱することと、金属物品を浮揚ゾーンで浮上させることであって、金属物品を加熱することおよび金属物品を浮上させることのうちの少なくとも一方が、金属物品に隣接して変化する磁場を生成する少なくとも1つの磁気回転子を回転させることを含む、浮上させることと、金属物品が浮揚ゾーン内で浮上されている間、設定温度を一定の継続時間維持することと、を含む。
【0138】
実施例20は、実施例19の方法であり、少なくとも1つの磁気回転子の各々は、共通の回転軸の周りで回転可能な1つ以上の永久磁石を含む。
【0139】
実施例21は、実施例19または20の方法であり、加熱ゾーンおよび浮揚ゾーンは、互いに重なり合っている。
【0140】
実施例22は、実施例19〜21の方法であり、金属物品を加熱することおよび金属物品を浮上させることの両方は、少なくとも1つの磁気回転子を回転させることを含む。
【0141】
実施例23は、実施例19〜22の方法であり、金属物品を加熱ゾーンから浮揚ゾーンに方向付けることをさらに含み、浮揚ゾーンが、加熱ゾーンの直後に下流方向に位置付けられ、金属物品を加熱ゾーンに位置決めすることが、金属物品を加熱ゾーンに連続的に受け入れることを含む。
【0142】
実施例24は、実施例19〜23の方法であり、金属物品を加熱することは、少なくとも1つの磁気回転子のうちの1つ以上を回転させることを含む。
【0143】
実施例25は、実施例24の方法であり、金属物品を浮上させることは、追加の磁気回転子のアレイを回転させることを含む。
【0144】
実施例26は、実施例19〜25の方法であり、金属物品を浮上させることは、少なくとも1つの磁気回転子を回転させることを含む。
【0145】
実施例27は、実施例26の方法であり、少なくとも1つの磁気回転子の各々は、共通の回転軸の周りで回転可能な複数の横方向に離間配置された磁石を含む。
【0146】
実施例28は、実施例19〜27の方法であり、温度センサを使用して金属物品の温度を測定することと、測定された温度に基づいて加熱デバイスを制御することと、をさらに含む。
【0147】
実施例29は、実施例19〜28の方法であり、1つ以上の冷却ノズルを使用して、冷却剤流体を金属物品に提供することをさらに含む。
【0148】
実施例30は、実施例29の方法であり、温度センサを使用して、金属物品の温度を測定することと、測定された温度に基づいて冷却剤流体の分配を制御することと、をさらに含む。
【0149】
実施例31は、実施例19〜30の方法であり、1つ以上の加熱ノズルを使用して、金属物品を加熱することをさらに含む。
【0150】
実施例32は、実施例31の方法であり、温度センサを使用して、金属物品の温度を測定することと、測定された温度に基づいて金属物品の加熱を制御することと、をさらに含む。
【0151】
実施例33は、実施例19〜32の方法であり、少なくとも1つの磁気回転子の各々は、金属物品の横方向の幅に平行であり、かつ金属物品の下流方向に垂直である回転軸の周りで回転する。
【0152】
実施例34は、実施例19〜33の方法であり、金属物品を浮上させることは、金属物品をチャンバ内で浮上させることと、チャンバを通して変化する磁場を生成することと、を含む。いくつかの場合において、チャンバを通して変化する磁場を生成することは、金属物品からチャンバ壁の反対側に位置決めされた少なくとも1つの磁気回転子から変化する磁場を生成することを含む。
【0153】
実施例35は、実施例34の方法であり、方法は、金属物品をチャンバ内に通板させることをさらに含み、金属物品を通板させることが、チャンバの上壁および底壁を分離することと、金属物品を上壁および底壁の間に挿入することと、上壁および底壁を一緒に再固定することと、を含む。
【0154】
実施例36は、実施例34または35の方法であり、金属物品を浮上させることは、チャンバの非導電性の断熱材料を通して変化する磁場を生成することを含む。
【0155】
実施例37は、実施例34〜36の方法であり、チャンバに不活性ガスを供給することをさらに含む。
【0156】
実施例38は、実施例34〜37の方法であり、チャンバは断熱チャンバである。
【0157】
実施例39は、実施例34〜38の方法であり、チャンバは、ガス充填チャンバである。