(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フォークアセンブリは、第1のフォークアセンブリ及び第2のフォークアセンブリを備え、前記検出光学系は、前記第1のフォークアセンブリによって支持されて入射放射線を前記カートリッジ要素の検出区域に誘導する第1の光学系と、前記第2のフォークアセンブリによって支持されて前記カートリッジ要素の検出区域からの放射線を集光する第2の光学系とを備える、請求項6に記載のバイオ分離システム。
前記第1及び第2のフォークアセンブリは、前記カートリッジ要素の側方両側に配置され、前記第1及び第2のフォークアセンブリは、該第1及び第2のフォークアセンブリが前記カートリッジ要素に画成された検出窓内まで延出しない第1の位置と、該第1及び第2のフォークアセンブリが前記カートリッジ要素に画成された検出窓内まで延出する第2の位置との間で移動する、請求項7に記載のバイオ分離システム。
シャーシにより支持されるパンチャーをさらに備え、該パンチャーは、前記テーブル上に支持されるトレイに対して相対的に移動可能であり、それによってトレイを覆うシールにパンチで穴をあける、請求項6〜10のいずれか一項に記載のバイオ分離システム。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面を参照して様々な実施形態に関して本発明を以下に説明する。本発明の目的を達成する最良の形態に関連して本発明を説明するが、当業者であれば、本発明の精神又は範囲を逸脱することなく、これらの教示を鑑みて変更を加え得ることを理解するであろう。
【0022】
本発明は、高効率、高速、高スループットな生体分子分析のための高スループットキャピラリーゲル電気泳動(4チャネル)システムを提供する。4チャネルCGEアナライザー(Qsep400)は、DNA研究を実験室で実施するペースを顕著に加速させる新規に開発された製品であり、調製時間を数時間節約し、正確で一貫しておりかつ経済的な結果を確実にする。本発明の1つの態様では、マルチチャネル高性能キャピラリーゲル電気泳動アナライザーシステムは、DNA/RNA/糖タンパク質への適用のために最適化されている。そのシステムは、一体化されたデュアル光ファイバ蛍光検出技術(integrated dual fiber optic fluorescence detection technology)(励起及び発光検出)、並びに新規な4チャネル(流路)使い捨てゲルカートリッジを使用する。そのシステムは、全96サンプルを保持することができ、それらは1〜2時間以内に自動的に分析され得る。マルチカラー光ファイバ技術に基づく蛍光検出を用いるこの高スループットCGEシステムは、高速ジェノタイピング(遺伝子型判定)用途のために実験室で用いることができる。
【0023】
米国特許第8,778,155号及び同第8,784,626号、並びに米国特許出願公開第20150338347号(本明細書に全体が記載されているかのように、参照によってそれらのすべてが本明細書に組み込まれる)に開示の検出システムを含む、生物学的分析システムを参照する。これら特許及び特許出願は、本発明の出願人及び譲受人であるバイオプティックインコーポレイテッド(BiOptic,Inc.)に譲渡されたものである。特に、これら特許は、簡易化され、低コストで、高効率、高感度、高スループットのバイオ分離システム(例えば、キャピラリー電気泳動(CE)システム)を開示する。そのバイオ分離システムは、単一のチャネルキャピラリーカートリッジを用いて作業するように構成された装置であって検出構成を備える装置を含み、その検出構成は、光学系を分離カラムに微細に位置合わせする必要なしに、サンプル検体により放出される放射線(例えば、放射線誘起蛍光発光)を検出するために、入射放射線を分離チャネルに沿った検出区域に照射しかつ出力放射線を分離チャネルに沿った検出区域から検出するための光学系を含む。その装置は、バイオ分離用カートリッジの分離チャネル内でバイオ分離を自動的に行なうように構成される。CEシステムは、コストを減らすためにより単純な光学検出機構を有し、その光学検出機構は、操作の簡易さ、高効率、高感度及び高スループットでの迅速な分析を補完する。米国特許出願公開第20150338347号は、2色での蛍光検出をさらに開示する。本発明は、これらシステムを採用し、下記の開示に従ってシステムへの改善(すなわち、個々の個別のリザーバを有するマルチチャネルカートリッジ)を含めるように改変する。
【0024】
本発明の原理を非限定的に説明するために、キャピラリー分離カラムを用いるキャピラリー電気泳動に関する実施形態を参照することにより本発明を記載する。さらに、限定はされないが、放射線誘起蛍光検出(例えば、レーザ又はLED光源を用いる)に関連して本発明を記載する。蛍光法は、検体の分子が特定の波長での照射によって励起され、そして異なる波長の放射線を放出する分光光度分析法である。発光スペクトルは、定性分析及び定量分析の両方に関する情報を提供する。一般的に、吸光度検出より優れた蛍光検出の利点は、その優れた検出能(検出感度)である。効率的なフルオロフォアに関して、小容積での単一分子検出が実証されている。その理由は一部では、放出される放射線が入射放射線の波長とは異なる波長で検出される(例えば、放出される蛍光の波長は、励起放射線よりも長い波長である)結果として、蛍光信号が比較的暗いバックグラウンドに対して測定されるからである。
【0025】
システムの概要
分析機器の小型化及び自動化は、従来の多大な労力を要する技術(すなわち、手動のスラブゲル電気泳動)より優れた多くの利点を有する。これら利点として、データの精度及び再現性の改善、短い分析時間、最少のサンプル消費、自動化の向上、及び複雑なワークフローの統合が挙げられる。
【0026】
図1Aを参照して、キャピラリー電気泳動(CE)システム100は、模式的に示された検出構成を組み込む。CEシステム100は通常、キャピラリー分離カラム10(例えば、200〜500μmのO.D.(外径))を備え、このキャピラリー分離カラム10が内部分離チャネル12(例えば、25〜200μmのI.D.(内径))を画成し、それはキャピラリーカラム10であってよい(簡素化のために1つの分離チャネル/キャピラリーカラムのみを示す)。キャピラリーカラム10は、溶融シリカ、ガラス、ポリイミド、又は他のセラミック/ガラス質材料で作られたものでよい。分離カラム10の内壁(すなわち、分離チャネル12を画成する壁)を、静電気を帯電させてサンプル成分の電気泳動及び/又は動電的移動を容易にすることができる材料でコーティングしてよい。分離チャネル12に分離支持媒体を充填することができ、この分離支持媒体は、単なる電気泳動用バッファーであっても、或いは当技術分野で公知の(線状又は非線状ポリマー組成物の)ふるいゲルマトリックスであってもよい。
【0027】
キャピラリーカラム10の一方の端部は、電気泳動用バッファーのリザーバ14に接続される。キャピラリーカラム10の他方の端部は、別のリザーバ16に接続され、このリザーバ16は、サンプル(分離チャネル12に注入されることになる)及び電気泳動用バッファー(サンプル注入後に、分離を行うための)を交互に収容してよい。電源18は、電極20及び22を介して高電圧をリザーバ14及び16に供給する。
【0028】
電気泳動及び放射線誘起蛍光の機構は、それらを単独で考える場合は、本発明の範囲外である。完全を期するために、CEシステム100の動作については簡単に説明するので十分である。動作中、少なくとも1つの既知のフルオロフォアで標識した調製生体サンプルが、本発明の一部を構成しない多くの方法のいずれかの方法(例えば、サンプルリザーバからの動電的注入、又はシリンジポンプを用いた物理的圧力注入)により、検出区域から離れたキャピラリーカラムの遠端に導入される。DC電位(例えば、1〜30KV)が電源18から電極20及び22に印加されると、サンプルは、電位が印加された状態で、分離チャネル12に沿って方向24に移動し(例えば、負に帯電したサンプルは、
図1に示すように、正極22に向かって移動する)、サンプル成分のバンドに分離される。分離の程度及び分離チャネル12に沿って移動する距離は、サンプル成分の電気泳動移動度(migration mobility)、サンプル成分の質量及びサイズ又は長さ、並びに分離支持媒体などの、多くの要素によって異なる。サンプルを分離するための分離チャネル12内の駆動力は、電気泳動力、圧力、又は電気浸透流(EOF)手段とすることができる。
【0029】
サンプルが検出区域32に達すると、励起放射線が、励起ファイバ(excitation radiation)34を介して、方向35で検出区域32に導かれる。サンプル成分は、それぞれのサンプル成分の濃度に比例する(蛍光標識材料の量に比例する)強度で蛍光発光する。検出器42は、入射放射線の波長とは異なる1又は複数の波長で方向37に発光ファイバ(emission fiber)36を介して放出される蛍光の強度を検出する。検出された蛍光放射線は、多色(例えば二色)検出方式(
図11を参照して下記においてさらに説明する)により分析することができる。自動化システムに関して、プロセッサを有するコントローラ26(例えば、外付けのノートブックコンピュータ又はデスクトップコンピュータの形態、或いは、機器に内蔵された演算装置)は、CEシステム100の様々な構成要素の動作を制御して、キャピラリー電気泳動分離及びデータ収集、並びに下記に説明する他の機能の制御を行う。そのような制御の具体的な実施は、本明細書の開示を与えられた当業者の知識の範囲内である。
【0030】
検出構成
図1Aに示す特定の実施形態では、検出光学系構成(検出窓/区域32の辺りに位置するエリア30内に模式的に示される)は、
図1Bに示す実施形態に対応する(
図1Aにおける領域A)。(例えば、レーザ又はLED光源からの)入射放射線の方向35、検出区域における分離チャネルの軸、及び出力放射線の集光方向37はすべて、略同一平面にある。図示の実施形態では、本発明の検出構成は、検出区域の分離チャネルの両側に配置される光ファイバを有する。1つの実施形態では、光ファイバ、特に先球光ファイバ(すなわち、単一構造内でファイバ端の一部をなす微小球を先端とする光ファイバ)の形態の光導波路を用いて、入射放射線を検出区域に提供し及び/又は出力放射線を検出区域から集光する。
【0031】
図1Bを参照して、先球ファイバ(励起ファイバ34)は、放射線源(例えば、
図1Aに模式的に示すLED又はレーザ光源41)から延在し、励起放射線を方向35で検出区域32に導く。励起ファイバ34の先球は、検出区域32辺りの分離カラム10の外面に、又は外面の近くに配置される。図示の実施形態では、励起ファイバ34の先球は、分離カラム10の外面から距離を隔てて配置される(すなわち、非接触モード)。図示の実施形態では、もう一方の先球ファイバ(発光ファイバ36)は、検出器(例えば、
図1Aに模式的に示す蛍光検出器42)まで延在し、検出区域32から方向37に発光放射線を集光する。発光ファイバ36の先球は、検出区域32の辺りの分離カラム10の外面に、又は外面の近くに配置される。図示の実施形態では、発光ファイバ36の先球は、分離カラム10の外面から距離を隔てて配置される(非接触モード)。先球を有する励起ファイバ34及び発光ファイバ36は共に、非接触モードで(キャピラリーカラムの外面から離間して)分離カラム10の両側に配置され、バックグラウンド蛍光を低減させ、またキャピラリーカラム又は微小球のいずれに対しても物理的損傷を生じさせない。
【0032】
図1Bに示す実施形態では、示されている検出区域32にある構成要素は、略同一平面にある。具体的には、励起ファイバ34の長手軸、発光ファイバ36の長手軸、及びキャピラリーチャネル12の長手軸は、少なくとも検出区域32の領域において、実質的に同一平面内に位置合わせされている(すなわち、略同一平面上にある)。すなわち、励起ファイバ34、発光ファイバ36及びキャピラリーカラム10の長さ部分は、全体として湾曲する可能性はあるが、しかしながら少なくとも検出区域の領域の近くでは、励起ファイバ34の軸、発光ファイバ36の軸、及びキャピラリーチャネル12の軸は、実質的に同一平面内に位置合わせされ、励起ファイバ34から検出区域32に向かう入射放射線の方向35、検出区域32における分離チャネル12の軸、及び検出区域32から離れて発光ファイバ36に沿って出力される放射線の集光方向37は全て、略同一平面にある。
【0033】
さらに、検出区域32では、励起ファイバ34の軸と発光ファイバ36の軸とは一直線とはならず、角度をなすように並べられる。励起ファイバ34の軸及び発光ファイバ36の軸のうちの少なくとも一方の軸は、検出区域32における分離チャネル12の軸と直交していない。
図1Bに示す図示の実施形態では、励起ファイバ34の軸及び発光ファイバ36の軸は共に、分離チャネルの軸と直交しておらず、そして検出区域32における分離チャネル12の軸とそれぞれ角度39及び40をなしている。角度39及び角度40は、略同一であっても、又は異なっていてもよく、分離チャネル12の軸の基準方向、又はキャピラリーカラム10の基準部分(例えば、
図1Bに示す、ファイバ34と36との間のキャピラリーカラム10の部分)に対して測定して、90度未満、又は90度超とすることができる。例えば、同じ基準部分から測定して、角度39は90度未満とし、そして角度40は90度超とすることができる。
図1Bに示す実施形態では、角度39及び角度40は同一であり、かつ略同一平面内にある。
【0034】
図1Bに示す実施形態では、励起ファイバ34及び発光ファイバ36の両方はそれぞれ、200マイクロメートル径のコアを光導波路として外部クラッド層内に有し、そして350マイクロメートル径の球形先端(すなわち、ファイバコア径と球径との比が1:1.75)を有し、この球形先端は、融合されたコア及びクラッド材料を含む。球形先端は、略球形の外形を有する。これらの先球ファイバは、融着接続機を用いることにより形成することができ、或いは多数の市販品供給業者から入手することができる。キャピラリーカラム10は、200〜370マイクロメートル(例えば、360マイクロメートル)の外径、及び20〜150マイクロメートル(例えば、75マイクロメートル)の内径を有する。励起ファイバ34の先球の先端は、キャピラリーカラムの外面からおよそ50〜500マイクロメートルだけ離間し、そして発光ファイバ36の先球の先端は、キャピラリーカラムの外面からおよそ10〜500マイクロメートル(例えば、50〜200マイクロメートル)だけ離間している。或いは、発光ファイバ36は、その遠位端に500マイクロメートル径の球形先端を有する、300マイクロメートル径のコアを有することができる(すなわち、ファイバコア径と球径との比が1:2.5)。角度39及び40はそれぞれ、0度超〜90度未満、好ましくは20〜70度の間、さらに好ましくは30〜45度の範囲とすることができる。
図1Bに図示する実施形態では、角度39及び40は共に約70度である。ファイバ34及び36の球形端部はキャピラリーカラム10に接触していない。
【0035】
1つの実施形態では、光検出システムは、蛍光標識(FITC)抗体フラグメント検出のための励起放射線源として、スーパーブライトUV LED(例えば、LG Innotek/IRTronix又はDowa)を用いて構成される。モジュール設計及び光ファイバの結合により、励起放射線を、レーザモジュール(LIF適用のため)又は他の種類の安価な光源に交換する柔軟性がもたらされる。
【0036】
平端ファイバ(微小球レンズなしで端面がむき出しのファイバ)と比較して、先球ファイバは、励起ファイバ34の入射放射線の優れた集光性(集光度/出力密度)、ならびに広範囲角度の蛍光コレクタとして発光ファイバ36の高い集光効率(高い開口数:NA)をもたらし、蛍光信号集光能力を高め、そして検出感度を向上させることが判明している。大径コア(例えば、100〜1000マイクロメートル)及び高いNA(0.15〜0.5)のマルチモードファイバを用いると、LED又はレーザからの高出力光を励起ファイバ34に結合させることができる。微小球レンズを励起ファイバ34の遠位出力端に一体化させて設けることにより、高い結合効率を分離チャネル12(例えば、20〜200マイクロメートルのマイクロ流体チャネル)の内部で実現して、高い蛍光検出感度をもたらすことができる。
【0037】
キャピラリー分離チャネル12を指向する330〜350マイクロメートル径の球を有する(
図1Bを参照)、200マイクロメートルのコア径の小径励起ファイバ34が、より高い出力密度を有するより小さな焦点スポットをもたらし、それによって蛍光励起信号を最適化する。300マイクロメートルのコア径及び500マイクロメートル径の球形レンズを有する発光ファイバ36を用いて発光を集光すると、発光集光効率が高くなる。キャピラリーカラムの外径は360マイクロメートルであり、内径は75マイクロメートルである。
【0038】
先球ファイバを用いる2ファイバ検出構成は、内蔵バッファーリザーバを有する使い捨ての単一チャネル、単一キャピラリーカートリッジ概念に適用されている(米国特許第8,778,155号及び同第8,784,626号、並びに米国特許出願公開第20150338347号を参照)。本発明は、4X〜8Xの倍率で、分離時間(サイクル)を加速させるために(全96ウェルサンプルプレートの電気泳動について1時間)、同様の設計の複数のゲルカートリッジを利用する高スループット装置を提供する。
【0039】
試験サンプルを動電的注入によって分離キャピラリーカラム10に導入する。各チャネルにおける生体分子の動電的注入及び分離のために、高圧電源(例えば、EMCO,Sutter Creek,CA)を用いて、例えば500V〜20KVの電界をキャピラリーに供給する。各チャネルについて、広帯域光エネルギー(例えば、FWHM=20〜50nm)及び20〜100度の視野角を有する励起LEDを、大径コア励起光ファイバ(100〜1000マイクロメートル)の平端面(研磨端面又は劈開端面)に接続する。ラインフィルタ(FWHM=2〜50nm、帯域通過ラインフィルタ)を、先端部に350マイクロメートル径の先球加工を行った励起ファイバの200マイクロメートル径コアに光を結合させる手前のLEDの前面に配置して、バックグランドノイズを低減する。当該ファイバの微小球レンズ端部を、融着接続(高電圧印加による熱溶融)によって、高精度に制御された球径を持つように形成して、明確に定義される出射NA(開口数)及びスポットサイズを設定することにより、励起放射エネルギーをキャピラリーカラムの内径(分離チャネル)に結合させる。各チャネルに関して、分離検体により生成される蛍光発光信号を、キャピラリーチャネルの検出区域で、同様の先球ファイバ(500マイクロメートル径の球が付いた、より大きいコア径のファイバ)を用いて集光し、そして外部検出モジュール(例えば、
図1Aに模式的に示される蛍光検出器42)に中継するが、その外部検出モジュールは、1つ又は複数の光電子増倍管(PMTs)又はSiPMT又はCCDを含んでいてよく、また下記のさらなる開示に従い、多色検出のために、ビームスプリッタ、内蔵蛍光フィルタ(例えば、バンドパスフィルタ)も含んでいてよい。
【0040】
検出光学系及び検出方式のさらなる詳細については、米国特許第8,778,155号及び同第8,784,626号、並びに米国特許出願公開第20150338347号を参照することができ、それらは本明細書に全体が記載されているかのように、参照によってそれらのすべてが本明細書に組み込まれる。
【0041】
CE装置は、サンプル又は所望のプロセス(PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)増幅プロセスなど)の温度を制御するために、テーブル221(
図2Dを参照)(例えばその下又は上)に接続したペルチェ(Peltier)加熱/冷却モジュール207などの、温度制御機構を含むことができる。そのような温度制御は、別個の装置で2つのプロセスを行うことを必要とすることなく、単一装置においてPCR増幅及び電気泳動/検出の両方を行うことを容易にする。加えて、
図9Bに示すように、加熱/冷却モジュール207’(例えば、ペルチェモジュール)を設けてキャピラリーカートリッジ60の温度を制御する。示すように、温度制御された空気をファンによってキャピラリーカートリッジ60に循環させる。
【0042】
CE装置
図2Aは、CEシステム100に含まれるCE装置200の外観図を示す。本発明の1つの実施形態に従い、CE装置200は、上記のCEシステム100の構成要素のいくつかをその装置内に組み込む(例えば、電源、加圧ガス供給源、演算装置など、CEシステムの構成要素のいくつかは外部に設けてよい)。CE装置200は、
図1Aに模式的に示す構成要素などの構成要素を含む。
図2B及び2Cは、本発明の1つの実施形態に従うCE装置200の内部を示す断面図である。CE装置200は、本発明に従うカートリッジ60を収容するための格納ブロック205を含めて、様々な構成要素を含む。格納ブロックは、カートリッジインターフェース機構204を支持し、カートリッジインターフェース機構204は、上述した検出光学系を支持する複数のフォークアセンブリを含み、そしてカートリッジ内のキャピラリーカラムに検出光学系を接続/係合させる。
図2D及び2Eは、装置ハウジング内にあるCE装置200の構成要素をさらに示す模式図である。CE装置200は、サンプル輸送機構202(例えば、三軸X−Y−Z輸送機構)に作動可能に接続されるシステムボード201と、カートリッジインターフェース機構204と、光電子増倍管(PMT)モジュール206(
図2B及び2Dを参照)を含むものなどの光信号検出器と、高圧電源208(
図2Dを参照;別の態様では、当該電源は、CE装置200の外部に設けてもよい)と、検出光学系(例えば、
図1Bに示すような)と、加圧ガス供給源(当該加圧ガス供給源は、CE装置200の外部に設けてよいが、装置ハウジングのポートに接続される)と、を備える。
【0043】
ユーザインターフェース、並びに実験/試験設定及びパラメータのプログラムのために、コントローラ26を設ける。当該コントローラは、必要なアプリケーションソフトウェアルーチンを含み、それらはデータ圧縮アプリケーション(data reduction application)も含むことができる。コントローラ26は、装置200の一体部分とすることができる(例えば、アプリケーションルーチンをASIC(特殊用途向け集積回路)内で符号化処理した状態で、システムボード201の一部として)、或いは、当該コントローラは、CE装置200に接続される/インターフェース接続される別体ユニットとすることができる。図示の実施形態では、コントローラは、CE装置200のハウジングの外部に、CE装置200にシステムボード201を介してUSBインターフェース経由で接続されるデスクトップコンピュータ又はノートブックコンピュータの形態で設けられる。外部コントローラ26は、大容量記憶装置、ディスプレイ、キーボードなどを含むことができ、或いは、これらのユーザインターフェース構成要素のうちのいくつかは、CE装置200の一部となるように構成してもよい(例えば、前面ハウジングに取り付けられるディスプレイ及びキーボード)。別の態様では、システムボード201を、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、外部コントローラ26の一部として組み込むことができる。
【0044】
システムボード201は、例えば輸送機構202の移動、電源208の出力、PMTモジュール206、加圧ガスのバルブ開放、カートリッジインターフェース204の移動、RFID送信機/リーダなど、CE装置の様々な構成要素を駆動するのに必要な電子機器を含む。システムボード201は、図面に模式的に表示されていることに留意されたい。当該システムボード201は、特定の構成要素を制御する他の電子基板を含むことができ(例えば、サンプル輸送機構202におけるモータを制御する電子基板)、或いはこれらの他の基板を、システムボード201とは別体としてシステムボード201と通信させて、所望の機能を実行することができる。正確な電子基板構成は本発明には重要ではなく、本明細書に開示される所望の機能及び特徴を実現するために基板を構成することは、この技術分野の当業者の知識の範囲内である。コントローラ26及び/又はシステムボード201は、サンプル及び/又は試薬トレイ220を設置及び取り除くためにユーザがアクセスすることを可能にするように、装置ハウジングの前面パネル203(
図2Aを参照)に組み込むことができる。前面パネル203は、タッチスクリーンユーザーインターフェースディスプレイパネル25を備える。従って、タッチスクリーンパネル25をコントロールパネルとして用いて、装置200のコントローラ26の動作を設定することができる。図示するように、前面パネル203をステッピングモータ(Stepper Motor)によって駆動し、上にスライドさせて輸送機構202上にトレイ220(例えば、バッファー溶液、試薬及び/又はサンプルを支持する)を設置する/輸送機構202からトレイ220を取り除くためにアクセス可能にすることができ、また下にスライドさせてアクセスを防ぐことができる。
【0045】
図2Dに示すように、サンプル輸送機構202は、複数のウェル(例えば、標準の96ウェル滴定プレート)を有するトレイ220と、バッファー、クリーニング溶液、及び廃液回収のためのより大きなウェルを有するトレイ220aとを支持するテーブル221を備え、3自由度で移動する。複数のウェルは、クリーニング溶液及びサンプルを含むウェルと、廃液を回収するためのウェルとを含むことができる。図面では、X、Y、及びZは直交軸であることに留意されたい。Yは垂直軸であり;Xは装置を横切る水平方向(装置の背面に平行)であり;Zは、装置の内部に入り込み、そして装置から出て行く水平方向である。テーブル221は、輸送機構202によって制御されて、上下に移動し、さらに平面内を直線的に移動し、そしてその平面内で回転する。すなわち、テーブル221は、単一の水平方向(Z方向)、及び垂直方向(Y方向)に移動する。輸送機構202はさらに、垂直軸(Y軸)の周りのテーブル221の回転を制御するように構成することができる。テーブル221の動き(並進運動又は回転と並進運動との組合せ)により、トレイ220及びトレイ220a内の複数のウェルのいずれも、垂下する(depending)キャピラリーカラム60の先端が接近できるように設置することができる(
図3Aを参照)。
【0046】
加圧ガス供給源(例えば、加圧空気又はN
2)は、CE装置のハウジングの内部に設置されるガスカートリッジとすることができ、或いは装置ハウジングにあるガス接続ポートを介して加圧ガスをCE装置に供給する外部供給源(例えば、空気ポンプ)とすることができる(この場合、加圧ガス供給源は、外部ガス供給源に通じるガス接続ポートとすることができる)。加圧ガスは、適切なガス管及びバルブ(バルブは、システムボード201に作動可能に接続される)を介して、カートリッジ60のリザーバ62に供給される。
【0047】
電源208は、システムボード201に接続されるシステムDC電源222(例えば、外部AC電源からの12−24VDC)と、電気泳動をカートリッジ60内で行なうために、カートリッジ60の電極66及び67との電気コンタクトのための電極コンタクト/プローブに必要な高電圧を供給する可変高圧電源(例えば、1−30KV DC電圧)とを含む。別の態様では、外部AC電源から給電される内部12−24VDC電源を用いるのではなく、CE装置200は、外部12−24VDC電源を用いることができ、それによって、内部AC−DC変換を行なうことなくより簡単かつ安全に装置を使用できるようにする。またこれによって、屋外での携帯及び操作のためにバッテリ操作を可能にする。コンタクトプローブを、空圧で(例えば、ガス供給源からの加圧ガスを調節することにより、又は電気機械的に)作動させて、電極66及び67の露出表面に接触させることができ、或いは、コンタクトプローブを単純にばね荷重して、電極66及び67の露出表面に押し付け付勢することができる。コンタクトプローブのさらなる詳細については、米国特許第8,778,155号及び同第8,784,626号、並びに米国特許出願公開第20150338347号を参照することができ、それらは本明細書に全体が記載されているかのように、参照によってそれらのすべてが本明細書に組み込まれる。
【0048】
励起光ファイバ34は、システムボード201の一部とすることができる4チャネルLEDモジュール226(
図2D)の形態の光源に光結合させる。発光ファイバ36は、適切な光学フィルタを介してPMTモジュール206に光結合させる。PMTモジュール206の電気出力は、システムボード201に接続される。
【0049】
図9A及び9Bを参照して、カートリッジインターフェース機構204は、装置の格納ブロック205内に支持され、カートリッジ60を収容しさらに検出光学系に対してその位置を確実かつ正確に支持するように構成される。カートリッジ用扉261(
図2A〜2C)を装置ハウジングの上面に設けて、カートリッジ60の挿入及び取り出しを可能にする。
【0050】
図9A〜9Cに示すように、ホールパンチャー119を設けて、蒸発及び/又は汚染を防ぐためにサンプルトレイ220上に設けられる可能性があるシールに穴をあけるのを容易にする。ホールパンチャー119は、サンプルトレイ220を輸送機構によってテーブル221により上昇させたときにシールにパンチで穴をあける静止型のメカニカルパンチャー(例えば、テーブル221に対してCE装置のシャーシにより支持される)とすることができ、或いは、垂直に上/下させる及び/又は側方移動させるために空圧で又は電気機械的に作動させて、テーブル221に支持されるサンプルトレイ220のシールにパンチで穴をあけるパンチャーとすることもできる。
【0051】
マルチチャネルCEカートリッジ
本発明の1つの態様では、システム100は、CE装置200(例えば、
図2A〜2Eに示す)を備えるカートリッジ式バイオ分離システムであり、そのCE装置は、信頼性のある、小型の、簡易化された、脱着可能な、携行式の、入れ替え可能な、再使用可能な、低コストの、リサイクル可能な、及び/又は使い捨てのバイオ分離用カートリッジを利用するように構成され、当該カートリッジは、可動部品がなく組み付け及び使用が容易であり、かつ各チャネル用の個別の内蔵試薬(分離バッファー)リザーバを有する。図面に例示する実施形態において、バイオ分離用のマルチチャネルカートリッジは複数のカートリッジ要素を含み、各カートリッジ要素は、外部検出光学系を受け入れるための検出窓としての開口を画成する本体;前記本体内に支持されるキャピラリーカラム;及び前記本体の第1端部に取り付けられて、前記キャピラリーカラムの第1端部と流体連通するリザーバであって、単一のカートリッジ要素に専用であるリザーバ;を備え、前記複数のカートリッジ要素は連結しており、それぞれのカートリッジ要素のリザーバは流体連通していない。カートリッジ要素の各々は、ペンの一般形状にほぼ沿った全体サイズ及び長細い形状を有するように構成することができる。バイオ分離システム100は、光学系を含む上記の検出構成を備え、この光学系は、入射放射線を各分離チャネルに沿った検出区域に照射し、そしてその検出区域からの出力放射線を検出して、サンプル検体から放出される放射線(例えば、放射線誘起蛍光発光)を、光学系をキャピラリーカラムに微細に位置合わせする必要なしに検出する。システム100は、マルチチャネルバイオ分離用カートリッジの各分離チャネルにおいてバイオ分離を自動的に行なうように構成される。
【0052】
開示の実施形態において、本発明は、再使用可能な4チャネルゲルカートリッジを提供し、その4チャネルゲルカートリッジは、例えば11cmの有効分離長さを有する4マイクロ流体ガラスキャピラリー(20〜100μmの内径(ID))を組み込む一体型4独立ゲルリザーバ設計を有する堅牢な射出成型体における容易なプラグアンドプレイでの使用を可能にする。短縮されたキャピラリーの長さは、動作電圧(1〜15KV)を下げ、またペルチェ又は低温循環水槽などの高価な冷却システムを省くことを可能にする。その設計は、上部電極及び下部電極(アノード&カソード)、露出した検出区域、及びゲルカートリッジタイプに関するIDを提供しまたカートリッジ当たりの電気泳動回数を追跡するための埋め込みRFIDチップ/ラベルを含む。各カートリッジは、直線状ゲルマトリックス(linear gel-matrix)を含み、1μl〜20μlのサンプル量からわずか1pl程度を使って、サンプル当たりわずか2分程度で200サンプルを分析することができる。
【0053】
本発明のゲルカートリッジは、操作が容易なCGE装置の大量生産のための単純であるが非常に堅牢な設計アプローチであり、そのCGE装置は、バックグラウンドノイズの顕著な低減をもたらし、それによってS/Nを改善し、サンプル電気泳動当たり非常に低コストで生体分子の高い検出感度をもたらす。4チャネル独立ゲルリザーバ設計は、異なる分解能を達成するために異なるゲルマトリックス(バッファー)の組合せを使用する柔軟性を提供する。個々のチャネルを、異なる内径及び長さのガラスキャピラリーを用いて組み付けることにより、様々な生体分子のためにその性能を改善することができる(
図8A及び8B、並びに
図16及び17に関連して、下記のさらなる説明を参照)。分解能(又は分離度)を改善するためにより長い分離電気泳動を行うために、より長いキャピラリーチューブを1つのリザーバからカートリッジの次の部分までループさせることができる。
【0054】
図3A〜3Hは、本発明の1つの実施形態に従うマルチチャネルチャネルカートリッジ60を示す。図示するように、カートリッジ60は、4つの別個のカートリッジ要素60’を含み、各カートリッジ要素は単一チャネルに相当する/対応する。各カートリッジ要素はブレード形状である。4つより多くの又は少ないチャネルも、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく実施することができる(例えば、2、3、6、8チャネルなど)。キャピラリーカラム10は、カートリッジ60の各カートリッジ要素60’/チャネルにより、及び各カートリッジ要素60’/チャネル内に支持される。図示の実施形態では、カートリッジ要素60’はそれぞれ、細長で、略縦長の本体80を有する。カートリッジ60の図示される本体80は、略平筒状又はブレード形状であるが、当該本体80は、円形、正方形、矩形、六角形、楕円形、又は他の規則的な及び不規則な形状のような他の筒型断面形状を有することができる。図示のように、本体80は、略均一又は略一定の幅を有する本体部分を有し、本体の下端部分は本体部分の均一幅よりも狭くなっている。本体80の下端部分は先細りした狭小部となって、例えば略円錐形部分97で終端する。キャピラリーカラム10は、カートリッジ本体80の長手中心軸にほぼ沿って、カートリッジ本体80により又はカートリッジ本体80内に保持される。1つの実施形態では、カートリッジの全体サイズは、分離チャネルが30cmを超えない、好ましくは10〜20cmの範囲であることにより特徴付けられる。
【0055】
さらに、
図4A〜4C、5A〜5C、6A〜6B、及び7A〜7Cを参照して、出口のバッファーリザーバ62が、本体80の上端部分に取り付けられる。バッファーリザーバ62は、リザーバ62の上部開口を密閉する蓋85(例えば、ネジ式蓋又は栓)を含み、分離支持媒体(例えば、ゲルバッファー)をリザーバ内に保持する。追加の栓カバー85’を蓋85の下に設けてもよい。リザーバ62の底面は、溝93を画成する周縁部88と、キャピラリーカラム10を収容する貫通孔91を有する中心突出部90とを有する。リザーバ62の蓋85は、外部加圧ガス(例えば、窒素)供給源(例えば、以下に説明するCE装置の一部であるガスタンク又はポンプ)に接続するためのポート64(例えば、小さいドリル開口孔)を有する。(暫くの間カートリッジ60を使用しない場合は、ポート64を、短い帯状テープを貼り付けることにより密栓することができる)。加圧ガスによって必要な空圧を供給して、キャピラリーカラム10のキャピラリー分離チャネル12をパージし、そしてリザーバ62に収容される分離支持媒体(バッファー)をキャピラリー分離チャネル12に充填する。分離バッファーの粘度によって異なるが、最大60PSIまでの圧力を加えて、キャピラリーカラム10の充填を上部バッファーリザーバ62から行なうことができる。リザーバ62に、バッファーと電気的にコンタクトする電極66(アノード)を設ける。電極66(
図7Aを参照)は、開口63(
図6Aを参照)を通して外部に露出するコンタクト面を有する。
【0056】
さらに、内部構造を示す
図5A〜5C及び6A〜6Bを参照して、本体80は、2つのハーフカバー又は半殻体82及び83を含み、これらの半殻体は対向する内表面(すなわち、半殻体82及び83を組み付けたときに外部に露出しない面)に相補的構造を有し、それらは互いを映す鏡であってよい。半殻体82及び83は、外部光学系による検出区域32へのアクセスのための貫通開口又は窓86を画成する(以下に説明するCE装置に関連してさらに詳細に説明する)。半殻体82及び83の内部は略中空である。半殻体82及び83にはそれぞれフランジ92が設けられ、このフランジ92は、リザーバ62の溝93と、これらの部分が組み付けられると嵌合して、カートリッジ本体80の上端部分にある開放空洞内において、リザーバ62をカートリッジ60の本体80に強固に取り付ける。溝及び凹部(タブ101上の)を、半殻体82及び83の内部に沿った適切な位置に設けて、キャピラリーカラム10を挿通させる。半殻体82の外表面に、位置合わせ溝及び/又は位置指標凹部を設けて、カートリッジ60をCE装置に挿入するときに、CE装置に対するカートリッジ60の検出窓86の案内、並びに確実かつ正確な位置決め及び位置合わせを容易にすることができる。同様に、CE装置内での検出窓86の位置合わせ及び位置決めのために、半殻体83の外部に、位置指標凹部及び/又は溝を設ける。図示の実施形態では、カートリッジ60に、一方の縁部に沿って短いタブ51を設け、また他方の縁部に長いタブ52を設けており、それらはCE装置に設けられた相補的な溝/凹部と係合し、またそれらはCE装置に対してカートリッジ60を確実に位置合わせ及び方向合わせをするためにカートリッジにいくらかの非対称性を提供する。上記のように、別の態様では、カートリッジ60の表面に沿って凹部/溝を設けて、CE装置における相補的な位置指標構造と合わせて指標としてもよい。さらに、位置合わせ/位置指標凹部53(
図7B)を設けて、CE装置内に配設置される外部電源に対する電極67の位置合わせ及び位置決めを容易にすることができる。
【0057】
さらに、取り付けて合体させた2つの半殻体の断面図である
図3Hを参照して、検出区域32の上流及び下流の円筒スリーブ又はフェルール87が、キャピラリーカラム10をカートリッジ60の本体80内で支持している(
図4も参照)。キャピラリーカラム10をフェルール87に挿通させ、そしてキャピラリーカラム10の一方の端部は、リザーバ62の内部に延出して、リザーバ62に収容されるバッファーと流体連通し、そして他方の端部は、カートリッジ本体80の下側端部を超えて延出している。図示の実施形態(
図4B及び4Cを参照)では、キャピラリーカラム10の上側端部をリザーバ62内に固定するために、貫通孔を有するネジ付きニップル96をリザーバ62の基台にねじ込み、そしてO−リングシール96’を押圧圧縮する(
図4C及び7Cを参照)。キャピラリーカラム10の上側端部をニップル96に挿通させる。ネジ付きニップル96は、キャピラリーカラムを取り外す際、又は異なる長さのキャピラリーカラムを収容する際に、柔軟性をもたらす。別の態様として、ニップルを使用するのではなく、キャピラリーカラム10の端部を接着剤又はエポキシでリザーバ62に固定してもよい。フェルール87は、凹部94から窓86の位置まで延在するが、キャピラリーカラム10の検出区域32を露出させる。例えばネジ89(
図4Aを参照)、又はエポキシ、又はクリップにより、2つの半殻体82及び83を取り付け合体させて本体80を形成する。
【0058】
キャピラリーカラム10は、カートリッジ本体80内で支持されるフェルール87によって同軸に支持され、フェルール87のそれぞれは、カートリッジ本体によって片持ち梁状に支持され、かつ検出窓86の位置まで延出する端部を有し、そしてキャピラリーカラムに沿った検出区域は、これらのフェルール87の延出端部の間で露出する。カートリッジ60の下側端部は、別の電極67(カソード)である。電極67は、カートリッジ本体60の半殻体82及び83の円錐形部分97にある開口65を通して外部に露出するコンタクト面を有し、それによって、カートリッジ60を収容するように設計された以下に説明する実施形態(
図2A〜2Eを参照)のようなCE装置の内部に設置されたときに、電気泳動のためにCE装置において外部高電圧電源に接続することができる。下側電極67は、金属/導電スリーブの形態に構成され、当該スリーブは、カートリッジ60の下側端部から延出し、キャピラリーカラム10の垂下する端部の側面を完全に(例えば、同軸金属チューブの形態で)又は部分的に(例えば、ワイヤメッシュ、金網、又は金属ネットの形態で、或いはC字形断面を有する開放円筒状管の形態で)取り囲むが、キャピラリーカラム10の先端は外部バッファーリザーバとの流体連通のために露出している。キャピラリーカラム10の先端は、サンプルに一層良好に接近できるように電極67の端部を超えて(例えば0.5〜3mm)延出していてよく、それによってキャリーオーバーの問題を減らすことができる。
【0059】
示されている様々な部品を組み付けるために、リザーバ62の下端の周縁部88を、半殻体83の端部に収容し、その際にフランジ92はリザーバ62の溝93に挿入される。各カートリッジ要素60’に関して、キャピラリーカラム10をフェルール87に挿通させ、そして一方の端部を下側電極67に挿入させる。キャピラリーカラム10の他方の端部は、リザーバ62の下端開口91に、ニップル96を通して挿入する。ニップル96をリザーバ62の基台に締め付けて、O−リング96’を圧縮することにより、キャピラリーカラム10の本体に押し付けて密閉する。フェルール87の遠端を半殻体83の凹部94に挿入する。下側電極67は、半殻体83の円錐形部分97の内部に設けた溝95に配置され、電極の端部は、円錐形部分97を超えて延出する。接着剤を滴下して、電極67を溝95に固定することができる。他方の半殻体82を半殻体83の上に載置し、そして
図4Aに示すようにリベット又はネジ89のような適切な締結手段により半殻体83に取り付ける。リザーバ62に所望の分離支持媒体(例えば、ゲルバッファー)を充填し、蓋をする。完全に組み付けたカートリッジ60を試験し、さらにラベルすることができる。RFIDラベル150のような電子ラベルを、カートリッジ60(例えば、リザーバ62の外面)に埋め込む又は取り付けて、カートリッジの特定の構成(例えば、バッファー媒体、キャピラリーのサイズ、コーティング、及び長さ)の識別手段を提供することができる。RFIDラベルは、使用期限と共に電気泳動の回数に関する事前設定限界及びカートリッジタイプを含むことができる。カートリッジ60を組み付けた後、RFIDラベルに初期構成パラメータを付加する。RFIDは、再書き込み可能で情報を更新できるものであってよく、それによって、カートリッジの使用状況(例えば、電気泳動の回数、及び電気泳動時の条件及び/又は電気泳動パラメータ(例えば、印加電圧、持続時間、サンプル)、カートリッジを再調節した回数など)を追跡して、カートリッジの履歴を容易に把握することができる(例えば、以下に説明するCE装置によって、又は別体のリーダによって)。各カートリッジの有効使用期限の終了は、RFIDラベルから判断することもできる。別の態様として、バーコードラベルのような静止ラベルを取り付けてもよい。
【0060】
以下にさらに詳細に説明するように、CE装置200に取り付けられた状態での電気泳動動作では、下側電極67の端部をキャピラリーカラム10の開口端部と一緒に、外部バッファーリザーバに浸漬する。電気泳動を行なうために、バッファーリザーバ62内の電極66、及び外部リザーバに浸漬した電極67に、高電圧を供給し、バッファーにわたる高電圧回路を形成して、電気泳動経路をキャピラリーカラム10内に確立する。電極67は、キャピラリーカラム10の垂下する端部の破断を防止するための保護も提供する。
【0061】
カートリッジは、検出光学系を当該カートリッジに内蔵させる必要がなく、そして分離チャネルは、検出区域に対する微細な位置合わせを必要としない。具体的には、図示の実施形態では、カートリッジは内蔵検出光学系を含まない。検出区域32の領域を取り囲む検出窓86では、検出区域32の上流及び下流のスリーブ又はフェルール87が、キャピラリーカラム10をカートリッジ60の本体内で支持する。CE装置内で支持される外部励起ファイバ34及び発光ファイバ36は、分離チャネル/カラム10に合わせて画成された検出窓86を通して検出区域32に位置合わせされる。以下にさらに説明する図示の実施形態では、励起ファイバ34及び発光ファイバ36は、CE装置内でフォークアセンブリにより支持される(例えば、
図10を参照)。ファイバ34及び36の軸、並びにキャピラリーカラム10の軸は、同一平面にある。ファイバ34及び36の先球は、キャピラリーカラム10に近接するが、接触はしていない。すなわち、光ファイバは、分離チャネルの外面から離間した一体型の先球終端構造を有し、この先球構造は分離チャネルの外面とは接触しない。これは、
図1Bに示す検出光学系構成に準拠する。
【0062】
図示するように、カートリッジ60は、別個のカートリッジ要素60’により画成された別個のチャネルを有する。各チャネルは、個別のそれ自体のリザーバを有しているため、各カートリッジ要素60’/チャネル内の流れは、別のカートリッジ要素/チャネルから分離している。これは、バッファー媒体の化学的性質、及びキャピラリーの特徴(例えば、キャピラリーのサイズ、コーティング、及び長さ)を、各カートリッジ要素60’ついて別々に規定することを可能にし、それらは互いに異なっていてよい。さらに、下記に説明するCE装置において使用するために異なるカートリッジ60を容易に入れ替えて、特定のサンプルに基づく分離に適合させることができる。カートリッジは、取り替える、再使用のため再調節(recondition)する(例えば、新鮮なバッファー、シール材、新しいキャピラリーカラム及び/又は電極などで)、リサイクルする、又は廃棄することができる。
【0063】
本発明によるカートリッジは、比較的低コストで製造することができる。カートリッジの本体は、射出成形プラスチック(例えば、PVC、ポリウレタン、ポリカーボネート、アセタールなど)により作製することができる。電極は、ステンレス鋼により形成することができる。フェルールは、射出成形プラスチック材料により成形するか、又はアルミニウム加工部品又はガラス加工部品で構成することができる。
【0064】
図示の実施形態では、カートリッジ60の全体サイズは、20cm未満の長さ(例えば、約11〜15cm)であり、そして3cm未満(例えば、2〜3cm)の厚さである。カートリッジ60に収容することができるキャピラリーカラム10の長さは、50cm未満(例えば、約11〜15cm)であり、有効分離長さは11.5cmである。リザーバ62の容量は、20cc未満(例えば、約10〜20cc)である。
【0065】
図8Aを参照して、キャピラリーカラム10を、リザーバ62(アノード66を有する)から、同じカートリッジ要素60’内の対応するカソード67まで配索することができる。別の実施形態では、キャピラリーカラムを、1つのチャネルのリザーバ/電極(アノード)と別のチャネル内の電極(カソード)までの間に配索してもよく、それによって、より長いキャピラリーチューブを用いてより長い分離チャネルを画成することを可能にする。
図8Aに示すように、キャピラリーカラム10’を、カートリッジ要素60a’のリザーバ62(アノード66)と隣接するカートリッジ要素60b’のカソード67までの間に配索する。これによって、より長い有効分離長さを提供し、分離塩基の分解能を顕著に改善することができる(
図12〜19に関して下記において説明するように)。
図8Bは、キャピラリーカラムを収容するために、有効分離長さを超える縦の長さを有するカートリッジを使用する必要なしに、34.5cmの有効分離長さを有する38.5cmの長さのキャピラリーカラムを、2つ又は3つ以上のカートリッジ要素60’を介してカートリッジ60内に配索できることを示す。
【0066】
カートリッジインターフェース機構
カートリッジインターフェース機構204は、(例えば
図9A〜9Dに)示すように、カートリッジ60を収容するようにサイズ設定及び構成された開口を有する格納ブロック205内で支持される。格納ブロック205は、装置のシャーシに支持され、カートリッジ60を収容しそして当該カートリッジの位置を検出光学系210(励起ファイバ34及び発光ファイバ36を含む)に対して確実かつ正確に間欠移動(index)させるように構成される。
図3Eに示すように、例えば、一番右のカートリッジ要素60’は、一番左のカートリッジ要素60’よりも広い(すなわち、タブ52がある)。加えて、一番左のカートリッジ要素60’の上端部分の左側は、一番右のカートリッジ要素60’の上端部分の右側と比較してわずかに突出している(すなわち、タブ51がある)。これらの特徴は、カートリッジ60がCE装置に正しく挿入されたときに、下記に説明するフォークアセンブリ230に対してカートリッジ60の検出窓86を確実かつ正確に位置決め及び位置合わせすることを容易にするガイドを提供する。
【0067】
この図示の実施形態では、カートリッジ60は、格納ブロック205により垂直配向で支持され、キャピラリーカラム10の長手軸は、トレイ220の水平面に対して略垂直である。カートリッジの長手軸が試薬/サンプル容器に対して水平になるようにカートリッジを支持する構成も、本発明の範囲に含まれる。安全インターロック機能を設けて、電気泳動動作中にカートリッジ60が誤って格納ブロック205から外れるのを防止することができる。安全インターロック機能は、トレイ220の前扉(サンプル用扉)203、及びカートリッジ60を挿入するための上部扉(カートリッジ用扉)261も含んでいてよく、ユーザが誤って電気泳動動作中にこれらの扉を開けるのを防止することができる。安全インターロック(図示せず)は、電気泳動の終了手順(例えば、高電圧電源の遮断、及び以下に説明するフォークアセンブリ230の外側への移動)が実行されたときにのみ解除されることになる。また、格納ブロック205は、キャピラリーカートリッジ60のRFIDラベルと通信するために、RFIDリーダ/送信機を(例えば、格納ブロック205の外側に)を含む。
【0068】
カートリッジインターフェース機構204は、各チャネル用の一対の対向するフォークアセンブリ230を備える。各対のフォークアセンブリ230に関して、対向するフォークアセンブリの動作中の動きによってそれぞれのフォークアセンブリがカートリッジ要素60’のフェルール87に係合するように、軌道229が提供される。
図10A〜10Cも参照して、フォークアセンブリ230はスライド231に取り付けられ、これらのスライド231を作動させて、軌道229に沿って互いに向かう方向に及び互いから離れる方向に摺動させることができる。すなわち、図示の実施形態では、フォークアセンブリ230は、同じ軸に沿って摺動するように支持される。励起ファイバ34及び発光ファイバ36はそれぞれ、別個のフォークアセンブリ230上に支持される。フォークアセンブリ230は、励起ファイバ34及び発光ファイバ36の先球端部を、分離サンプル検体の検出のために、キャピラリーカラム10の検出区域68の近傍に配置するように構成される。フォークアセンブリ230の移動は、空圧又は電磁動作により実施することができる。図示の実施形態では、空圧ピストン233によってフォークアセンブリ230を移動させており、その空圧ピストン233は、システムボード201により制御される適切なバルブ(単数又は複数)(図示せず)によって調節される加圧ガス212の供給を利用することができる。
【0069】
各チャネルに関して、カートリッジ60は、対向するフォークアセンブリ230がカートリッジ60の側方両側に配置されるような様式で、フォークアセンブリ230に対して位置決めされ、これらのフォークアセンブリは、第1及び第2のフォークアセンブリがカートリッジ要素60’に画成された検出窓内まで延出しない第1の位置と、第1及び第2のフォークアセンブリがカートリッジに画成された検出窓内まで延出する第2の位置との間で移動する。フォークアセンブリ230は基本的に、カートリッジ要素60’をフォークアセンブリ230の間に挿入することを可能にするようにフォークアセンブリが離れている第1の位置と、フォークアセンブリが、カートリッジ60の検出窓86内において(インターロックされる)フェルール87を押圧する第2の位置との間で移動する。
【0070】
図示の実施形態では、4対のフォークアセンブリ230が、それぞれが
図10Aに示す配向で(すなわち、フォークアセンブリ230の平面が垂直になる)、平行に配列されている。いくつかのフォークアセンブリ対の軌道229は、隣接するカートリッジ要素60’の間の隙間にあることになる。
【0071】
フォークアセンブリ230の延出部分(extended portion)には、延出表面をフェルール87に対して位置合わせし易くする相補的な表面を設け、例えば、フェルール87の円筒形本体にぴったり合わせるためにV溝又は凹面236を設ける。
図10Dは、フェルール87に対して押圧された左のフォークアセンブリ230(励起ファイバ34を有する方のフォークアセンブリ)を示す簡易図である(単一のカートリッジ要素60’を模式的に示す)。この位置では、凹面236は、カートリッジ要素60’の検出窓86の中まで延出する。この位置では、左のフォークアセンブリ230に支持される光ファイバは、放射線をキャピラリーカラム10に送達する。右のフォークアセンブリ230もカートリッジ要素60’のフェルーレ87に係合し、右のフォークアセンブリ230に支持される検出光ファイバは検出区域32からの放射線を集光する。図示の特定の実施形態では、放射線誘起蛍光検出方法を実施するが、その代わりに他の種類の光学検出方法を、本発明の範囲及び精神を逸脱することなく実施することができる。両方のフォークアセンブリ230を一緒に移動させるように制御して、フェルール87をほぼ同時に押圧することができ、又は別々に移動させて、フェルール87を順番に押圧してもよい。図示の実施形態では、フェルール87は、光ファイバに一体化された終端先球がキャピラリーカラムの外面に触れることなく、キャピラリーカートリッジの外面から所定の距離を隔てて離間するように、フォークアセンブリ230の延出表面に対する停止部材となり、その所定の距離は、フォークアセンブリを上記の第1の位置と第2の位置との間で作動させるときに繰り返し維持され得る。
【0072】
図1Bに示す実施形態は、V字状に配向された光ファイバを示しているが、光ファイバは、直線状又は一列になるように構成してもよく(例えば、吸光度タイプの検出方法)、或いは、一方又は両方の光ファイバが、キャピラリーカラムの軸と直交する軸を有するように構成してもよい。さらに、放射線供給ファイバ及び放射線集光ファイバの両方を同じフォークアセンブリに取り付けて一つのフォークアセンブリのみを用いてもよい。
【0073】
システムボード201は、格納ブロック205内に保持されるカートリッジ60に対してサンプル/バッファートレイ220を位置決めする機能を含む、CE装置200の様々な機能、及びカートリッジインターフェース機構204の上記機能、並びに、電気泳動の終了の検出、及びカートリッジ60を格納ブロック205から取り出すための安全ロックの解除などの他の機能を制御する。
【0074】
電気泳動のためのシステム動作:
所望の電気泳動を行なうために、ユーザは、例えばフロントタッチスクリーンパネル25のインターフェースを用いることにより、コントローラ26(CE装置の外にあっても或いはCE装置内に内蔵されていてもよい)を用いて適切なパラメータを事前設定する。各カートリッジ要素60’内に適切な分離支持媒体(バッファー)と所望のサイズ及びコーティングを有するキャピラリーカラム10とを有するカートリッジ60を、格納ブロック205に挿入する。システムボード201に連携するコントローラ26は、CE装置200の制御を引き受けて以下のタスクを行なう。
【0075】
カートリッジは、各カートリッジ要素60’の検出窓86がフォークアセンブリ230に対して適切に位置決めされて、正しく挿入されると、格納ブロック205内で「ロック」される。各カートリッジ要素60’に関して、上部扉261を閉じて、空気流出口のO−リングをカートリッジリザーバ62の蓋85の上面に押圧して、空気流出口をカートリッジリザーバ62のポート64にアクセスさせると、加圧ガスがその供給源から加えられる。電気コンタクトプローブを電極66(開口63を介して電極224(
図9Dに模式的に示す))及び電極67(開口65を介して電極225(
図9Dに示す))に押し当てる。フォークアセンブリ230を移動させて、検出窓86内のフェルール87に嵌合させる。
【0076】
X方向、Y方向、及びZ方向を組み合わせることにより、サンプル輸送機構は、サンプル及びバッファートレイ220内の適切なウェルを、各カートリッジ要素60’内で支持されるキャピラリーカラム10の垂下する先端に対して位置決めする。必要に応じて、加圧ガスをカートリッジリザーバ62に流すことによりまずキャピラリーカラム10の中に存在する分離バッファーをパージし(キャピラリーカラムからの廃液を回収するために、特定のウェルを配置するようにトレイ220を移動させてよい)、及び/又はリザーバからの新鮮な分離バッファーを分離チャネルに充填する。
【0077】
1又は複数の試験サンプルをトレイ220の1又は複数のウェルに入れ、そのトレイ220を位置決めして、キャピラリーカラム10の垂下する先端、及び各カートリッジ要素60’の電極67の先端を、サンプルに浸す。電気的試料注入により(適切な高電圧を所定の期間、例えば60秒未満、例えば5〜10秒間印加することにより)、すなわちこの技術分野の当業者に周知の手順により、サンプルを分離キャピラリーカラム10に導入させる。
【0078】
次に、トレイ220のバッファーリザーバを位置決めして、キャピラリーカラム10の先端及び電極67の先端をリザーバに浸す。電気泳動は、特定のサンプル及び分離バッファー媒体に対して規定された期間にわたり、適切なレベルの高電圧を印加することにより行なわれる。電気泳動中、放射線誘起蛍光に対応するデータが、PMT206を介して収集される。データは電子ファイルに保存される。電気泳動が終了すると、トレイ220を降下させる。
【0079】
これ以上電気泳動を行なわない場合は、事前設定解除手順を実施することによりカートリッジ60を取り出すことができ、この事前設定解除手順には、加圧ガスの供給を停止する、フォークアセンブリ230をカートリッジ要素60’から離れるように移動させる(上に説明したように)、コンタクトプローブ224及び225(これらのプローブが作動可能である場合に)による電極66及び67との当接を解除する、及びカートリッジ60のロックを解除することが含まれる。カートリッジ60をこのようにして取り出すことができ、そして所望の時点で次の電気泳動のための別のカートリッジに取り替えることができる。
【0080】
同じ又は追加のサンプルに対してさらに電気泳動を行なうことが望まれる場合、リザーバを加圧することにより、前の電気泳動による古いバッファー(例えば、ゲルバッファー)をキャピラリーカラム60から廃液ウェルへとパージして、新鮮なバッファーでキャピラリーの詰め替えを行う。別のサンプルを上記のようにキャピラリーカラム60に装填して電気泳動を行う前に、各カートリッジ要素60’内のキャピラリーカラム60の先端をクリーニング溶液(ウェル内の)でクリーニングするようにトレイ220が配置される。
【0081】
キャピラリーカラムの出口においてバッファーリザーバ62に流入するサンプル検体は、リザーバの容積と比較してかなり少ない量及び体積濃度であり、また検体はゲルリザーバ内で混合されると予測されるので、過去の電気泳動から無視できる微量の検体しかリザーバ内に残らず、その微量の検体は、次の電気泳動のためにキャピラリーカラムに詰め替えたゲル中に均一に分散することに留意されたい。この無視できる微量の検体に起因するいずれのノイズも、データ分析において検出信号から容易に除去することができる比較的小さなバックグランドノイズとなる。
【0082】
これ以上電気泳動を行なわない場合は、事前設定解除手順を実施することによりカートリッジ60を取り出すことができ、この事前設定解除手順には、加圧ガスの供給を停止する、フォークアセンブリ230をカートリッジ60から離れるように移動させる(上に説明したように)、コンタクトプローブ224及び225(これらのプローブが作動可能である場合に)による電極66及び67との当接を解除する、及びカートリッジ60のロックを解除することが含まれる。カートリッジ60をこのようにして取り出すことができ、そして所望の時点で次の電気泳動のための別のカートリッジに取り替えることができる。
【0083】
上述の処理手順は、コントローラ26の自動化機能のうちの1つとしてプログラムすることができる。
【0084】
収集データは、適切なアプリケーションソフトウェアルーチンを使用して解析する。
図12を参照して、ピーク分離距離(peak separation interval)(時間及び#塩基)の分離度を半値幅(Full Width at Half Maximum(FWHM))アプローチを用いて決定する。
【0085】
分離度(塩基)=ピーク分離距離(#塩基)/(ピーク分離距離(時間)/FWHM(時間))
【0086】
典型的には、20〜100μm(典型的には70μm)のI.D.(内径)を有する15cmの長さのキャピラリー(11.5cmの有効長さを有する)をDNAフラグメント分析用の各カートリッジ/チャネルに用いる。155bp(塩基対)に関して達成される分離度は、POP−7ゲルを用いて1.95である。Qsep400の新規設計では、4チャネルカートリッジモジュール内でより長いキャピラリー(例えば、
図8A及び8Bを参照)を用いることができる。POP−7ポリマー分離マトリックス/変性ゲル(Applied Biosystems,Life Technology/ThermoFisher Scientific,Carlsbad CA)を充填した全長38.5cm(34.5cmの有効長さを有する)において、GX500−ROX DNAラダー(末端標識ssDNA;Applied Biosystems;Life Technologies/ThermoFisher Scientific,Carlsbad CAから購入)を用いて試験して、150bpと160bpに関して0.675の分離度(FWHM=2.0秒で、29.64秒のピーク分離距離)を達成することができる[分離度に関して上記の式を適用して、達成される分離度=(160−150)/(29.64秒/2.0秒)=0.675]
【0087】
機械的パッケージングの観点から、より長いキャピラリーを、単一チャネルの2つの電極間でループさせることができ、或いは、1つのチャネルの電極から第2、第3、又は第4のチャネル/電極まで配索/ループさせてもよい(
図8A及び8Bを参照)。
図13〜15は、より短い長さのキャピラリーと比較して、より長いキャピラリーを用いて達成することができるGX500−ROXの150bp−160bpの分離度を示す(
図13)。より長いキャピラリーでのGX500−ROXの150−160bpに関して、0.675の分離度が達成された(
図14及び15に示すズームイン図/拡大図を参照)。
図14及び15は、150−160塩基に関する
図13のズームイン図/拡大図であり、
図12は、式:分離度=(160−150)/(29.64秒/2.0秒)=0.675を用いてどのように0.675の分離度が得られるかを詳しく説明する。
【0088】
図11は、2色検出の1つの実施形態を示し、2つの異なる波長での蛍光検出のために発光信号37を2つの信号に分割するためのファイバコンバイナ/スプリッタ61を含む。1x2ファイバコンバイナ/スプリッタ61は、発光ファイバ36の出力信号37を第1の発光ファイバ36a及び第2の発光ファイバ36bの入力へとつなげる。発光ファイバ36は、少なくとも2つの波長λ1及びλ2の蛍光を含む。この実施形態では、λ1は検出デキストランラダーの蛍光の波長に対応し、λ2は検出グリカンプロファイルの蛍光の波長に対応する。第1の発光ファイバ36aは、発光ファイバ36からの発光信号をλ1の蛍光を検出する第1のPMT1へと経路制御し、第2の発光ファイバ36bは、発光ファイバ36からの発光信号をλ2の蛍光を検出する第2のPMT2へと経路制御する。ファイバコンバイナは、少なくとも2つの波長(例えば、λ1及びλ2)又は2つの範囲の波長の直交偏光を分割するタイプのものであってよい(例えば、Thorlabs 1X2カプラ又はGould 1X2ファイバスプリッタ)。加えて、
図11に示していないが、1又は複数のバンドパスフィルタを、PMT1及び/又はPMT2と、第1の発光ファイバ36a及び/又は第2の発光ファイバ36bの対応する出力との間に設けてもよい。2色検出の別の実施形態は、ダイクロイックフィルタ/ビームスプリッタを利用して、2つの異なる波長での蛍光検出のために発光信号37を2つの発光信号に分割するものである。適切なビームスプリッタの例は、ソーラボ社(ThorLabs,Inc.,)から購入できるモデル番号DMLP P425のロングパス型のダイクロイックミラーであり、それは45°の入射角、425nmのカットオフ波長を有し、440〜700nmの透過帯域、及び380〜410nmの反射帯域である。加えて、
図11に示していないが、1又は複数のバンドパスフィルタを、PMT1及び/又はPMT2と、第1の発光ファイバ36a及び/又は第2の発光ファイバ36bの対応する出力との間に設けてもよい。二色検出アプローチのさらなる詳細は、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願公開第20150338347号に見ることができ、参照により本明細書に組み込まれる。
【0089】
本発明によると、2色検出を実施できることにより蛍光検出が改善され、より高速でかつ正確なピーク同定を行うことができる。各分離チャネルに関して、単一の励起(LED又はレーザ)を用いて、2つの異なるフルオロフォアを励起する。2つの検出器(PMT)と共に、1つの発光色素(フルオロフォア)をサンプル用に用い、第2の色素(フルオロフォア)を参照ラダー(DNAラダー又はグリカンラダー:すなわちデキストラン)の電気泳動用に用いる。正確なピーク同定のためにポストデータ収集解析ソフトウェア(ポストCE分離分析)を用いて、両方の検出器からの結果を同期化し、互いに重ねて表示する(転位された電気泳動図)。
【0090】
図16〜19は、上記のCE装置を用いて実施した様々な電気泳動の結果を示す。具体的には、
図16は、1分未満でのDNAラダー(20〜5000bpの範囲)の4チャネル電気泳動の結果を示す。
図17は、2〜1000bpの範囲での2色検出(検出器1+検出器2)の結果を示す。
図18は、グリカンサンプル(検出器2)の結果の上にグリカンラダー(検出器1)の結果を移したものを示す。
図19は、グリカンラダー(検出器1)の結果及びグリカンサンプル(検出器2)の結果を個別に、矢印により揃えて示す。
【0091】
上記のCEシステムを用いてグリカンプロファイリングを実施して、本発明が、高効率、高速、高スループットのグリカン分析(N−グリカン)用の、費用効率の高いキャピラリーゲル電気泳動システムを提供することが判明した。その新規な方法及びシステムは、研究所で糖タンパク質研究を行うペースを加速させ、調製時間を数時間節約し、正確で一貫した及び経済的な結果を確実にする。
【0092】
2色検出は、サンプルの分離及び検出を単一の電気永動で行うように簡易化及び短縮し、さらにピーク同定のための正確なデータ解析を確実にする。二重色素検出(すなわち、2つの色素標識)は、グリカンプロファイリングのため又はDNA分析において再現性のあるピーク同定及びサイジングをもたらす堅牢でかつ正確な方法である。
【0093】
マイクロ光検出の簡易性はまた、光学系(励起光学系又は発光光学系)をカートリッジアセンブリ内で使用することなく高スループット(すなわち、マルチチャネル)型のゲルカートリッジを設計する柔軟性も提供し、従ってカートリッジのコストを下げることができる。
【0094】
従って、本発明によるCEシステムのための新規な蛍光ファイバベースの検出は、(例えば、グリカンプロファイリング又はDNA及びRNA分析、及び/又はジェノタイピングのために)設計の簡易性、操作の容易性、及び消耗品コストの低減をもたらす。それは、装置の据え付けに要する基本経費、及び試験試薬やバッファー含有キャピラリーカートリッジなどの消耗品に関する定常的な必要経費の両方に由来する持続的かつ安定な経常収益の流れを必要とする研究用及び臨床用検査薬開発研究所/産業に対して特に、良好な解決策を提供する。
【0095】
本発明を好適な実施形態を参照しながら具体的に示しまた説明してきたが、当業者であれば、本発明の精神、範囲及び教示から逸脱することなく、構成及び詳細に様々な変更を加え得ることを理解するであろう。
最後に、本発明の好ましい実施態様を項分け記載する。
[実施態様1]
複数のカートリッジ要素を含む、サンプルのバイオ分離用のマルチチャネルカートリッジであって、各カートリッジ要素は:
外部検出光学系を受け入れるための検出窓としての開口を画成する本体と、
前記本体内に支持されるキャピラリーカラムと、
前記本体の第1端部に取り付けられて前記キャピラリーカラムの第1端部と流体連通する、各カートリッジ要素に専用のリザーバと、
を備え、前記複数のカートリッジ要素は連結しており、それぞれのカートリッジ要素のリザーバ同士は流体連通していない、マルチチャネルカートリッジ。
[実施態様2]
前記複数のカートリッジ要素は平面内で逐次連結している、実施態様1に記載のマルチチャネルカートリッジ。
[実施態様3]
少なくとも1つのカートリッジ要素の前記検出窓は、前記キャピラリーカラムに沿ったある部分を露出させ、前記検出窓を通して該部分に対して外部検出光学系が位置合わせされる、実施態様1に記載のマルチチャネルカートリッジ。
[実施態様4]
前記キャピラリーカラムは、前記本体内に支持される2つのフェルールにより同軸に支持され、前記2つのフェルールのそれぞれが、前記本体により片持ち梁状に支持され、かつ前記検出窓内まで延出する端部を有し、キャピラリーカラムに沿った検出区域が、前記2つのフェルールの延出端部の間で露出する、実施態様3に記載のマルチチャネルカートリッジ。
[実施態様5]
前記本体が、細長で、略縦長のブレード形状である、実施態様1に記載のマルチチャネルカートリッジ。
[実施態様6]
前記キャピラリーカラムは、前記本体の中心軸に沿って支持される、実施態様5に記載のマルチチャネルカートリッジ。
[実施態様7]
各カートリッジ要素において、前記本体の第2端部が、ある幅を有する本体部分から延出しており、前記本体の第2端部は前記本体部分の幅よりも狭い、実施態様1に記載のマルチチャネルカートリッジ。
[実施態様8]
前記本体の前記第2端部は、前記本体部分から狭い端部へと次第に細くなる、実施態様7に記載のマルチチャネルカートリッジ。
[実施態様9]
少なくとも第1のカートリッジ要素は、リザーバにアノードをさらに備え、該アノードはリザーバに収容される流体に導電結合されており、かつそれぞれのカートリッジ要素のアノード同士はカートリッジ内で導電結合されていない、実施態様1に記載のマルチチャネルカートリッジ。
[実施態様10]
少なくとも第2のカートリッジ要素は、前記本体の第2端部に配置されるカソードをさらに備え、前記キャピラリーカラムは、前記第1のカートリッジ要素のリザーバと前記第2のカートリッジ要素のカソードとの間に延在する、実施態様9に記載のマルチチャネルカートリッジ。
[実施態様11]
各カートリッジ要素はアノード及びカソードを備え、前記カソードはカートリッジ要素の本体の第2端部に配置され、各カートリッジ要素において、前記キャピラリーカラムは前記リザーバと前記カソードとの間に延在し、検出窓内のキャピラリーカラムに沿ったある部分が露出され、前記検出窓を通して該部分に対して外部検出光学系が位置合わせされる、実施態様9に記載のマルチチャネルカートリッジ。
[実施態様12]
各カートリッジ要素が異なる分離チャネルを画成する、実施態様11に記載のマルチチャネルカートリッジ。
[実施態様13]
バイオ分離用のマルチチャネルカートリッジにおいて、
外部検出光学系を受け入れるための検出窓としての複数の開口を画成する本体であって、各検出窓が、複数の分離チャネルの個別の1つに対応する、本体と、
前記本体に取り付けた複数のリザーバであって、各リザーバが、前記複数の分離チャネルの個別の1つに対応する、複数のリザーバと、
複数のキャピラリーカラムであって、各キャピラリーカラムが、個別のリザーバと流体連結する第1端部、及び前記リザーバから離れて前記本体の遠位端まで延在する第2端部を有する、複数のキャピラリーカラムと
を備える、バイオ分離用のマルチチャネルカートリッジ。
[実施態様14]
シャーシと、
各カートリッジ要素の本体が前記シャーシによって支持される、実施態様1に記載のマルチチャネルカートリッジと、
サンプル及びバッファーを収容する少なくとも1つのトレイを、前記カートリッジ内のカートリッジ要素の1つに支持される少なくとも1つのキャピラリーカラムの延出端部に対して支持するテーブルと、
検出光学系を支持する少なくとも1つのフォークアセンブリであって、前記カートリッジ要素に画成された検出窓内まで延出するように移動できるフォークアセンブリと、
前記キャピラリーカラム内でサンプルのバイオ分離を行なう分離機構と、
前記キャピラリーカラム内でサンプルのバイオ分離を行なうために前記フォークアセンブリの移動及び前記分離機構を制御するコントローラと、
を備える、バイオ分離システム。
[実施態様15]
前記フォークアセンブリは、第1のフォークアセンブリ及び第2のフォークアセンブリを備え、前記検出光学系は、前記第1のフォークアセンブリによって支持されて入射放射線を前記カートリッジ要素の検出区域に誘導する第1の光学系と、前記第2のフォークアセンブリによって支持されて前記カートリッジ要素の検出区域からの放射線を集光する第2の光学系とを備える、実施態様14に記載のバイオ分離システム。
[実施態様16]
前記第1及び第2のフォークアセンブリは、前記カートリッジ要素の側方両側に配置され、前記第1及び第2のフォークアセンブリは、該第1及び第2のフォークアセンブリが前記カートリッジ要素に画成された検出窓内まで延出しない第1の位置と、該第1及び第2のフォークアセンブリが前記カートリッジ要素に画成された検出窓内まで延出する第2の位置との間で移動する、実施態様15に記載のバイオ分離システム。
[実施態様17]
前記トレイにあるサンプルの温度を制御する温度制御機構をさらに備える、実施態様14に記載のバイオ分離システム。
[実施態様18]
前記カートリッジ要素の温度を制御する温度制御機構をさらに備える、実施態様17に記載のバイオ分離システム。
[実施態様19]
シャーシにより支持されるパンチャーをさらに備え、該パンチャーは、前記テーブル上に支持されるトレイに対して相対的に移動可能であり、それによってトレイを覆うシールにパンチで穴をあける、実施態様14に記載のバイオ分離システム。
[実施態様20]
シャーシと、
実施態様1に記載のマルチチャネルカートリッジであって、前記カートリッジ要素の本体が前記シャーシによって支持され、各カートリッジ要素が異なる分離チャネルを画成する、マルチチャネルカートリッジと、
サンプル及びバッファーを収容する少なくとも1つのトレイを、前記カートリッジ要素の本体により支持されるキャピラリーカラムの延出端部に対して支持するテーブルと、
検出光学系を支持する複数のフォークアセンブリであって、該フォークアセンブリは、それぞれのカートリッジ要素に画成された検出窓内まで延出するように移動でき、各分離チャネルは少なくとも1つのフォークアセンブリを備える、フォークアセンブリと、
前記キャピラリーカラムにより画成されるそれぞれの分離チャネル内でサンプルのバイオ分離を行なう分離機構と、
前記キャピラリーカラム内でサンプルの分離を行なうために前記フォークアセンブリの移動及び前記分離機構を制御するコントローラと、
を備える、バイオ分離システム。
[実施態様21]
各フォークアセンブリは、第1のフォークアセンブリ及び第2のフォークアセンブリを備え、前記検出光学系は、前記第1のフォークアセンブリによって支持されて入射放射線を対応するカートリッジ要素の検出区域に誘導する第1の光学系と、前記第2のフォークアセンブリによって支持されて対応するカートリッジ要素の前記検出区域からの放射線を集光する第2の光学系とを備え、前記第1及び第2のフォークアセンブリは、前記対応するカートリッジ要素の側方両側に配置され、前記第1及び第2のフォークアセンブリは、該第1及び第2のフォークアセンブリが前記対応するカートリッジ要素に画成された検出窓内まで延出しない第1の位置と、該第1及び第2のフォークアセンブリが前記対応するカートリッジ要素に画成された検出窓内まで延出する第2の位置との間で移動する、実施態様19に記載のバイオ分離システム。