特許第6933760号(P6933760)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6933760
(24)【登録日】2021年8月23日
(45)【発行日】2021年9月8日
(54)【発明の名称】粘着構造及び電子装置
(51)【国際特許分類】
   B32B 9/00 20060101AFI20210826BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20210826BHJP
   B32B 7/027 20190101ALI20210826BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20210826BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20210826BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20210826BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20210826BHJP
【FI】
   B32B9/00 A
   B32B27/00 M
   B32B7/027
   C09J7/38
   C09J201/00
   C09J11/04
   H01L23/36 D
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-135348(P2020-135348)
(22)【出願日】2020年8月7日
(65)【公開番号】特開2021-28169(P2021-28169A)
(43)【公開日】2021年2月25日
【審査請求日】2020年8月7日
(31)【優先権主張番号】201921288466.0
(32)【優先日】2019年8月9日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520240063
【氏名又は名称】河南▲き▼力新材料科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100076831
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 捷雄
(72)【発明者】
【氏名】蕭 毅豪
(72)【発明者】
【氏名】黄 軍凱
(72)【発明者】
【氏名】何 銘祥
【審査官】 赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−528827(JP,A)
【文献】 特表2016−515933(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2014−0068950(KR,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0216654(US,A1)
【文献】 特開2005−314480(JP,A)
【文献】 特開2014−127518(JP,A)
【文献】 特表2020−521713(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00− 43/00
C09J 1/00− 5/10
C09J 9/00−201/00
H01L 23/34− 23/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材に設けられ、複数の第1のグラフェン微片を含む第1の粘着層と、を備える、粘着構造であって、
一部の複数の前記第1のグラフェン微片は、前記第1の粘着層の2つの対向する表面から突出し、各前記第1のグラフェン微片の厚さは0.3nm以上で且つ3nm以下であり、各前記第1のグラフェン微片の長径は1μm以上で且つ30μm以下である、
ことを特徴とする粘着構造。
【請求項2】
前記粘着構造は、第1の離型層を更に含み、
前記第1の離型層は前記第1の粘着層における前記基材から離れた側に設けられる、請求項1に記載の粘着構造。
【請求項3】
前記粘着構造は、第2の粘着層を更に含み、
前記第2の粘着層は前記基材における前記第1の粘着層から離れた側に設けられ、且つ複数の第2のグラフェン微片を含み、一部の複数の前記第2のグラフェン微片は、前記第2の粘着層の2つの対向する表面から突出する、請求項1に記載の粘着構造。
【請求項4】
各前記第2のグラフェン微片の厚さは0.3nm以上で且つ3nm以下であり、各前記第2のグラフェン微片の長径は1μm以上で且つ30μm以下である、請求項3に記載の粘着構造。
【請求項5】
前記粘着構造は、第2の離型層を更に含み、
前記第2の離型層は前記第2の粘着層における前記基材から離れた側に設けられる、請求項3に記載の粘着構造。
【請求項6】
熱源と、
基材と、前記基材に設けられる第1の粘着層と、前記基材における前記第1の粘着層から離れた側に設けられる第2の粘着層と、を含む、前記熱源に設けられる粘着構造と、
前記粘着構造を介して前記熱源に連結される放熱構造と、を備える電子装置であって、
前記第1の粘着層又は前記第2の粘着層は複数のグラフェン微片を含み、一部の複数の前記グラフェン微片は前記第1の粘着層又は前記第2の粘着層の2つの対向する表面から突出し、各前記グラフェン微片の厚さは0.3nm以上で且つ3nm以下であり、各前記グラフェン微片の長径は1μm以上で且つ30μm以下である、ことを特徴とする電子装置。
【請求項7】
前記第2の粘着層は、粘着材を更に含み、
前記粘着材中に複数の前記グラフェン微片が混合される、請求項6に記載の電子装置。
【請求項8】
前記放熱構造はグラフェン放熱フィルムである、請求項6に記載の電子装置。
【請求項9】
前記電子装置は、弾性放熱構造を更に含み、
前記弾性放熱構造は前記放熱構造における前記粘着構造から離れた側に設けられる、請求項6に記載の電子装置。
【請求項10】
前記電子装置は、弾性放熱構造を更に含み、
前記弾性放熱構造は前記熱源と前記粘着構造との間に設けられる、請求項6に記載の電子装置。
【請求項11】
前記電子装置は、携帯電話機、ノート型パソコン、タブレットPC、テレビ受像機、ディスプレイ、バックライトモジュール、又は照明モジュールである、請求項6に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粘着構造及びこの粘着構造を備える電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の進歩に伴って、フラット型電子装置、例えば表示パネル、バックライトモジュール、又は照明モジュールの設計及び研究開発については、薄型化、大型化及び高性能化が優先的に考慮されている。薄型化、大型化及び高性能化が求められる状況において、電子装置では従来と比べてより多くの発熱の発生は避けられないため、「放熱」はすでに電子装置において欠くことのできない必須機能となっている。
【0003】
フラットディスプレイ、例えば有機EL(OLED)ディスプレイを例として、従来技術の多くは、放熱構造を粘着材料でディスプレイの裏面に貼り付け、放熱構造を通して、ディスプレイが生じた熱を案内して外へ排出する。しかしながら、従来技術の粘着要素は、一般的に断熱材料から製作されるものであり、熱伝導効果が劣っているから、ディスプレイの放熱効果に間接的に影響するという欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、従来のディスプレイにおいて、ディスプレイの裏面に粘着材料を用いて放熱構造を貼り付けることで、熱伝導効果が劣っており、ディスプレイの放熱効果に影響を与える、というこれまでの問題を解決することにある。
【0005】
本発明は、粘着機能を持つだけでなく、更に電子装置の放熱効果も上げられる粘着構造、及びこの粘着構造を備える電子装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、基材と、前記基材に設けられ、複数の第1のグラフェン微片を含む第1の粘着層と、を備える粘着構造であって、一部の複数の前記第1のグラフェン微片は、前記第1の粘着層の2つの対向する表面から突出し、各前記第1のグラフェン微片の厚さは0.3nm以上で且つ3nm以下(本願において、「以上」とは「それと同等またはそれより大きい」ことを意味し、「以下」とは「それと同等またはそれより小さい」ことを意味する、以下同様)であり、各前記第1のグラフェン微片の長径は1μm以上で且つ30μm以下である、ことを特徴とする粘着構造を提供する。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の電子装置によれば、熱源と、粘着構造と、放熱構造とを備え、前記粘着構造は前記熱源に設けられるとともに、基材と、前記基材に設けられる第1の粘着層と、前記基材における前記第1の粘着層から離れた側に設けられる第2の粘着層と、を含み、前記放熱構造は前記粘着構造を介して前記熱源に連結される。前記第1の粘着層又は前記第2の粘着層は複数のグラフェン微片を含み、一部の複数の前記グラフェン微片は前記第1の粘着層又は前記第2の粘着層の2つの対向する表面から突出し、各前記グラフェン微片の厚さは0.3nm以上で且つ3nm以下であり、各前記グラフェン微片の長径は1μm以上で且つ30μm以下である。
【0008】
好適な実施例において、粘着構造は第1の離型層を更に含み、第1の離型層は第1の粘着層における基材から離れた側に設けられる。
【0009】
好適な実施例において、粘着構造は第2の粘着層を更に含み、第2の粘着層は基材における第1の粘着層から離れた側に設けられ、且つ複数の第2のグラフェン微片を含み、一部の複数の第2のグラフェン微片は、第2の粘着層の2つの対向する表面から突出する。
【0010】
好適な実施例において、各第2のグラフェン微片の厚さは0.3nm以上で且つ3nm以下であり、各第2のグラフェン微片の長径は1μm以上で且つ30μm以下である。
【0011】
好適な実施例において、粘着構造は第2の離型層を更に含み、第2の離型層は第2の粘着層における基材から離れた側に設けられる。
【0012】
好適な実施例において、第2の粘着層は粘着材を更に含み、粘着材中に複数のグラフェン微片が混合される。
【0013】
好適な実施例において、放熱構造はグラフェン放熱フィルムである。
【0014】
好適な実施例において、電子装置は弾性放熱構造を更に含み、弾性放熱構造は放熱構造における粘着構造から離れた側に設けられる。
【0015】
好適な実施例において、電子装置は弾性放熱構造を更に含み、弾性放熱構造は熱源と粘着構造との間に設けられる。
【0016】
好適な実施例において、電子装置は携帯電話機、ノート型パソコン、タブレットPC、テレビ受像機、ディスプレイ、バックライトモジュール、又は照明モジュールである。
【0017】
上記によれば、本発明の粘着構造及びこの粘着構造を備える電子装置においては、グラフェン微片を粘着層中に含み、一部のグラフェン微片は粘着層の2つの対向する表面から突出し、そしてグラフェン微片の条件限定によって、熱伝導率を向上させて、電子装置の放熱効果が上げられる。
【発明の効果】
【0018】
上記を受けて、本発明の粘着構造では、粘着機能を持つだけでなく、更に電子装置の放熱効果を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1A】本発明の一つの実施例の粘着構造の概略図である。
図1B図1Aの粘着構造における粘着層のグラフェン微片の概略図である。
図2A図1Aの粘着構造における領域Aの拡大概略図である。
図2B図1Aの粘着構造における領域Bの拡大概略図である。
図3】本発明のもう一つの実施例の粘着構造の概略図である。
図4A】本発明の更に異なる実施例の粘着構造の概略図である。
図4B】本発明の更に異なる実施例の粘着構造の概略図である。
図5A】本発明の粘着構造をディスプレイに応用した場合の放熱のための積層の構成を示す概略図である。
図5B】本発明の粘着構造をディスプレイに応用した場合の放熱のための積層のもう一つの構成を示す概略図である。
図5C】本発明の粘着構造をディスプレイに応用した場合の放熱のための積層の更に異なる構成を示す概略図である。
図5D】本発明の粘着構造をディスプレイに応用した場合の放熱のための積層の更に異なる構成を示す概略図である。
図5E】本発明の粘着構造をディスプレイに応用した場合の放熱のための積層の更に異なる構成を示す概略図である。
図5F】本発明の粘着構造をディスプレイに応用した場合の放熱のための積層の更に異なる構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下にて関連する図面を参照し、本発明の一部実施例の粘着構造及びこの粘着構造を備える電子装置を説明する。同じ構成要素には同じ符号を付して、以下の実施例にて表される構成要素は単に概略的なものであり、実際の比率及びサイズを表すものではない。
【0021】
本発明の粘着構造は例えば携帯電話機、ノート型パソコン、タブレットPC、テレビ受像機、ディスプレイ、バックライトモジュール、又は照明モジュールに運用するが、これらに限定されず、その他の分野のフラットパネル型電子装置にも応用でき、またそれらにも限定されない。本願の粘着構造は粘着機能(粘着、貼り合わせ)を有する以外に、電子装置に応用したときには、電子装置の放熱効果を上げることができる。
【0022】
図1Aは本発明の一つの実施例の粘着構造の概略図であり、図1B図1Aの粘着構造における粘着層のグラフェン微片の概略図であり、図2A及び図2Bはそれぞれ図1Aの粘着構造における領域A、領域Bの拡大概略図である。
【0023】
まずは図1A及び図1Bを参照されたい。本実施例の粘着構造1は、基材11と、粘着層12とを含む。
【0024】
基材11の材料は例えば紙類、布類、ポリエステル類[例えばポリエチレンテレフタラート(PET)]、又はその組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0025】
粘着層12は、基材11に設けられており、本実施例では、粘着層12が上の表面S1、下の表面S2、という2つの対向する表面を有し、その上の表面S1が基材11の下の表面に設けられるものから成る粘着層12を例示している。図2A及び図2Bに示すように、粘着層12は、複数のグラフェン微片121と、粘着材122とを含み、これらのグラフェン微片121は粘着材122中に混合される。粘着層12において、一部のグラフェン微片121は完全に粘着層12の内部に位置するが、又一部のグラフェン微片121は粘着層12の2つの対向する表面から突出する[つまり粘着層12の上の表面S1(図2A)と下の表面S2(図2B)から突出する)]。
【0026】
また、図1Bに示すように、粘着層12において、各グラフェン微片121の厚さdは0.3nm以上で且つ3nm以下(0.3nm≦ d ≦ 3nm)とすることができ、各グラフェン微片121の長径L(即ち、最大幅)は1μm以上で且つ30μm以下(1μm≦ L ≦ 30μm)とすることができる。本実施例の粘着層12において、グラフェン微片121の含有量は0より大きく且つ15%以下(0< グラフェン微片含有量 ≦ 15%)であり、例えば1.5%、3.2%、5%、7.5%、11%、13%、又はその他の含有量とすることができる。そして、粘着材122は例えば感圧接着剤(Pressure sensitive adhesive、以下、単に「PSA」とも記す)とすることができるが、これに限定されず、その材料は例えばガム系、アクリル系、シリコーン系、又はその組み合わせとすることができ、その化学構造は例えばガム類、アクリル酸類、有機シリコーン類、又はその組み合わせとすることができるが、これらに限定されない。
【0027】
図1Aを参照されたい。粘着層12が粘着材122を含む故に粘着性を持つから、基材11と粘着層12とを含む粘着構造1は、粘着層12の下の表面S2を介して、物体に貼り付けることができる。また、粘着層12はグラフェン微片121を更に含み、グラフェン微片121の厚さdは0.3nm以上で且つ3nm以下であり、グラフェン微片121の長径Lは1μm以上で且つ30μm以下であり、且つ一部のグラフェン微片121は粘着層12の2つの対向する表面から突出する。よって、粘着構造1は以下の長所を備える:[1]グラフェン微片121の厚さが薄く(0.3nmと3nmとの間にある)、長径が小さく(1μmと30μmとの間にある)、しかも高い熱伝導係数を持っているから、粘着機能を有するとともに、放熱効果もグラフェン微片121により上げられ、熱伝導率の向上に有利である。[2]グラフェン微片121の高いヤング率(Young's modulus)で、粘着構造1の全体の強度を向上させる。[3]グラフェン微片は電磁波を吸収できるから、粘着構造1は電磁波を遮る効果を更に有する。
【0028】
図3を参照されたい。図3は本発明のもう一つの実施例の粘着構造の概略図である。
【0029】
図3に示すように、本実施例の粘着構造1aと前記実施例の粘着構造1とは、その素子構成及び各素子の接続関係は概ね同じである。相違点は、本実施例の粘着構造1aでは、離型層13を更に含むものである。離型層13は粘着層12における基材11から離れた側に設けられ、具体的には、本実施例において、離型層13は、粘着層12の下の表面S2に設けられることにより、粘着層12の粘着性を保護し、粘着構造1aを一面テープとするものになる。離型層13の材料は例えば紙類、布類、ポリエステル類[例えばポリエチレンテレフタラート(PET)]、又はその組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。粘着構造1aを使用する場合は、まず離型層13を剥いて、粘着層12の下の表面S2を介して、基材11と粘着層12とを含む粘着構造1aを物体に貼り付ける。他の実施例において、粘着構造1aは超薄型一面テープであり、厚さは2μm以下である。
【0030】
図4A及び図4Bは、夫々本発明の異なる実施例の粘着構造の概略図である。
【0031】
図4Aを参照されたい。本実施例における粘着構造2は、基材21と、第1の粘着層22と、第2の粘着層24とを含む。
【0032】
基材21の材料は例えば紙類、布類、ポリエステル類[例えばポリエチレンテレフタラート(PET)]、又はその組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。本実施例は、粘着構造2の支持性と強度を向上させるため、PETから成る基材21を例示として説明する。
【0033】
第1の粘着層22は、基材21に設けられており、本実施例では、第1の粘着層22が基材21の下の表面に設けられたものを例示している。本実施例の第1の粘着層22は、前記粘着構造1の粘着層12と同じであり、複数の第1のグラフェン微片と粘着材とを含み、これらの第1のグラフェン微片は粘着材中に混合される。粘着材は例えばPSAとすることができるが、これに限定されず、その材料は例えばガム系、アクリル系、シリコーン系、又はその組み合わせとすることができ、その化学構造は例えばガム類、アクリル酸類、有機シリコーン類、又はその組み合わせとすることができるが、これらに限定されない。また、本実施例の第1の粘着層22の第1のグラフェン微片は、前記粘着構造1のグラフェン微片121と同じであり、その厚さは0.3nm以上で且つ3nm以下であり、その長径は1μm以上で且つ30μm以下である。本実施例の第1の粘着層22において、第1のグラフェン微片の含有量は0より大きく且つ15%以下であり、例えば1.5%、3.2%、5%、7.5%、11%、13%、又はその他の含有量とすることができ、一部の第1のグラフェン微片は完全に第1の粘着層22の内部に位置するが、又一部の第1のグラフェン微片は第1の粘着層22の2つの対向する表面から突出し(つまり第1の粘着層22の上の表面S1と下の表面S2から突出する)、これらの特徴も前記粘着構造1の粘着層12と同じである。
【0034】
第2の粘着層24は、基材21における第1の粘着層22から離れた側に設けられており、本実施例では、第2の粘着層24が基材21における第1の粘着層22から離れた側の上の表面に設けられたものを例示している。第2の粘着層24の材料、サイズ(厚さ、長径)及び比率は、第1の粘着層22の材料、サイズ(厚さ、長径)及び比率と同じとすることができる。第2の粘着層24は複数の第2のグラフェン微片と粘着材とを含み、これらの第2のグラフェン微片は粘着材中に混合され、且つ一部の第2のグラフェン微片も第2の粘着層24の2つの対向する表面から突出する(つまり第2の粘着層24の上の表面S3と下の表面S4から突出する)。異なる実施例において、第2の粘着層24の材料は第1の粘着層22と同じであるが、そのサイズ及び比率は第1の粘着層22と異なり、本発明は限定しない。
【0035】
本実施例における粘着構造2は両面テープであって、厚さは例えば3μm以上である。粘着構造2を使用する場合は、第1の粘着層22の下の表面S2を介して、粘着構造2を物体(例えば熱源)に貼り付け、且つ第2の粘着層24の上の表面S3を用いて、例えば放熱構造に連結する。本実施例における放熱構造は例えば放熱フィルムであって、例えばグラフェン放熱フィルム(Graphene Thermal Film、GTF)とすることができるが、これに限定されない。他の実施例において、粘着構造2は第2の粘着層24の上の表面S3を介して物体(例えば熱源)に貼り付けられ、且つ第1の粘着層22の下の表面S2を用いて、放熱構造に連結されるが、本発明は限定しない。
【0036】
また、図4Bを参照されたい。本実施例の粘着構造2aと前記実施例の粘着構造2とは、その素子構成及び各素子の接続関係は概ね同じである。相違点は、本実施例の粘着構造2aでは、第1の離型層23と、第2の離型層25とを更に含むものである。
【0037】
本実施例の第1の離型層23は、前記粘着構造1の離型層13と同じく、第1の粘着層22における基材21から離れた側に設けられており、具体的には、第1の粘着層22における基材21から離れた側の下の表面S2に設けられている。第2の離型層25は、第2の粘着層24における基材21から離れた側に設けられており、具体的には、第2の粘着層24における基材21から離れた側の上の表面S3に設けられている。一部の実施例において、粘着構造2aは両面テープであって、厚さは例えば3μm以上である。そして、第2の離型層25は第1の離型層23と同じか又は異なる材料とすることができるが、本発明は限定しない。
【0038】
従って、粘着構造2aを使用する場合は、第1の離型層23及び第2の離型層25を剥いて、例えば第1の粘着層22の下の表面S2を介して粘着構造2aを物体(例えば熱源)に貼り付けるとともに、第2の粘着層24の上の表面S3を用いて放熱構造(例えば放熱フィルム)に連結することにより、熱源が生じた熱が粘着構造2aを通じて、放熱構造に伝導され、放熱効果を向上させる。
【0039】
本発明は、熱源と、粘着構造と、放熱構造とを含む電子装置を更に開示する。粘着構造は熱源に設けられ、放熱構造は粘着構造を介して熱源に連結される。前記粘着構造は上記した粘着構造1、1a、2、2a、又はその変化態様とすることができるものであって、具体的な技術内容はすでに上記中に詳述しているため、別途説明はしない。粘着構造における粘着層はグラフェン微片を含み、且つグラフェン微片は粘着層の2つの対向する表面から突出するため、グラフェン微片がそれぞれ熱源及び放熱構造に接触することによって、熱伝導経路の提供を促進するとともに、熱源が生じた熱は粘着構造を通じて放熱構造に伝導され、更に放熱構造により電子装置が生じた熱を外部へ排出する。
【0040】
電子装置は、例えばフラットパネルディスプレイ又はフラット光源とすることができるが、それらに限定されず、具体的には例えば携帯電話機、ノート型パソコン、タブレットPC、テレビ受像機、ディスプレイ、バックライトモジュール、照明モジュール、又はその他のフラットパネル型電子装置を含むが、それらにも限定されない。一部の実施例において、電子装置はフラットパネルディスプレイ[例えば発光ダイオード(LED)ディスプレイ、有機EL(OLED)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)を含むが、それらに限らない]である場合、熱源は表示パネルであり表示面を有し、その表示面と対向する表面に直接的又は間接的(例えば粘着材を更に介する)に貼り付ける粘着構造により、放熱構造は熱源に連結され、熱の伝導及び放熱をサポートし、フラットパネルディスプレイの放熱効果を向上させる。他の実施例において、電子装置はフラット光源[例えばバックライトモジュール、LED照明(LED lighting)モジュール、又はOLED照明(OLED lighting)モジュールを含むが、それらに限らない]である場合、熱源は発光ユニットであり光出射面を有し、その光出射面と対向する表面に直接的又は間接的(例えば粘着材を更に介する)に貼り付ける粘着構造により、放熱構造は熱源に連結され、熱の伝導及び放熱をサポートし、フラット光源の放熱効果を向上させる。
【0041】
また、図5Aないし図5Fは、それぞれ本発明の粘着構造をディスプレイに応用した場合の放熱のための積層の構成を示す概略図である。
【0042】
一部の実施例において、図5Aに示すように、ディスプレイ3(熱源、例えば有機ELディスプレイ)の裏面上(表示面の反対表面)にて、本発明の粘着構造4、放熱フィルム5、他方の本発明の粘着構造6及び弾性放熱構造7を下から上に順次積層する。前記弾性放熱構造7は多孔性弾性部材と、複数の熱伝導部材とを含む。多孔性弾性部材は弾性を有するとともに、複数の気泡を有する発泡体であって、その材料は一般的な発泡フォームの材料と同じであり、例えばアクリル樹脂(Acrylic)、ポリウレタン(Polyurethane、 PU)、ポリエチレン(Polyethylene)、ポリプロピレン(Polypropylene)、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(Ethylene-Propylene-Diene Monomer、 EPDM)、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA樹脂)、又はその組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。上記したこれら材料において、アクリル樹脂及びポリウレタンで形成される気泡形状(Bubble shape)は半独立半連続気泡(Semi-closed cell)であって、柔軟性、圧縮性、及び振動吸収能力が比較的優れており、熱に対する安定性も比較的優れている。一方、ポリエチレン及びポリプロピレンで形成される気泡形状は独立気泡(Closed cell)であって、圧縮性及び振動吸収能力は比較的劣るが、湿度に対する安定性は比較的優れている。
【0043】
これらの熱伝導部材は多孔性弾性部材中に混合される。熱伝導部材は高熱伝導性材料とすることができる上、顆粒、粉末又は微片状とすることができ、その材料には、例えばグラフェン、グラファイト、カーボンナノチューブ、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化ホウ素(BN)、その組み合わせ、又はその他適した高熱伝導性材料が含まれるが、これらに限定されない。本実施例における熱伝導部材の材料はグラフェン微片(厚さ及び長径の限定条件は前述のとおりとする)であって、且つ「最密充填」の方法で多孔性弾性部材中に混合される。「最密充填」の方法により、これらの熱伝導部材の間の接触面積が大きいため、弾性放熱構造7は高い熱伝導効果が得られる。
【0044】
また、図5Bに示すように、ディスプレイ3の裏面上にて、弾性放熱構造7、粘着構造4、放熱フィルム5及び他方の粘着層6を順次積層する。
【0045】
また、図5Cに示すように、ディスプレイ3の裏面上にて、粘着構造4、放熱フィルム5、他方の粘着構造6、弾性放熱構造7及びもう一つの粘着構造8を順次積層する。
【0046】
また、図5Dに示すように、ディスプレイ3の裏面上にて、粘着構造4、放熱フィルム5及び弾性放熱構造7を順次積層する。
【0047】
また、図5Eに示すように、ディスプレイ3の裏面上にて、粘着構造4、弾性放熱構造7及び放熱フィルム5を順次積層する。
【0048】
また、図5Fに示すように、ディスプレイ3の裏面上にて、粘着構造4、放熱フィルム5、弾性放熱構造7及び他方の粘着構造6を順次積層する。
【0049】
上記した粘着構造4、6、8(図5A図5F)は前記した粘着構造1、1a、2、2a(図1A図3図4A図4B)、又はその変化態様とすることができるものであって、本発明では限定しない。また、上記したディスプレイ3、弾性放熱構造7、放熱フィルム5及び粘着構造4、6、8の積層関係は単に例示に過ぎず、異なる応用例において、異なる配列組み合わせが可能であって、熱源の放熱要求に応じて決定できるものであり、本発明では限定しない。
【0050】
上記をまとめるに、本発明の粘着構造及びこの粘着構造を備える電子装置においては、グラフェン微片を粘着層中に含み、一部のグラフェン微片は粘着層の2つの対向する表面から突出し、そして、グラフェン微片の条件限定によって、熱伝導を助け、電子装置の放熱効果を向上させる。
【0051】
上記は単に例示に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明の技術思想及び範囲を超えることなく、これに対して行う等価の修正又は変更のいずれも、別紙の特許請求の範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明では、グラフェン微片を粘着層中に含み、一部のグラフェン微片は粘着層の2つの対向する表面から突出し、及びグラフェン微片の条件限定によって、熱伝導を助け、電子装置の放熱効果を向上させる。
【符号の説明】
【0053】
1、1a、2、2a、4、6、8 粘着構造
11、21 基材
12 粘着層
121 グラフェン微片
122 粘着材
13 離型層
22 第1の粘着層
23 第1の離型層
24 第2の粘着層
25 第2の離型層
3 ディスプレイ
5 放熱フィルム
7 弾性放熱構造
A、B 領域
d 厚さ
L 長径
S1、S3 上の表面
S2、S4 下の表面
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F