【文献】
Konstantin Korotkov, 外1名,"Computerized analysis of pigmented skin lesions: A review",Artificial Intelligence in Medicine,Elsevier,2012年10月,第56巻, 第2号,p.69-90
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
色素沈着斑を識別するためのシステムであって、プロセッサおよびメモリコンポーネントを含むコンピューティング装置を備え、前記メモリコンポーネントはロジックを格納し、該ロジックは、前記プロセッサによって実行されるとき、前記コンピューティング装置に、
(i)交差偏光を使用して捕捉された対象者のデジタル画像を受信させ、
(ii)前記対象者のベースライン画像を受信させ、
(iii)前記対象者の前記画像内の色素沈着斑を識別させ、
(iv)前記画像内の前記色素沈着斑を区別するために、前記対象者の前記画像に電子的に注釈を付けさせ、
(v)前記色素沈着斑を所定のクラスに分類させ、
(vi)前記所定のクラスに従って、前記色素沈着斑を治療するための製品を決定させ、
(vii)前記対象者による使用のための前記製品に関連する情報を提供させ、
前記画像内の前記色素沈着斑を識別することは、前記色素沈着斑の低レベルの画像のテクスチャ特徴を決定することを含み、
前記色素沈着斑の低レベルの画像のテクスチャ特徴を決定することは、前記画像のテクスチャ特徴を記述することができるように、皮膚斑の境界に対して前記色素沈着斑を識別するための前記画像のピクセル近傍を定義することを含むことを特徴とするシステム。
前記所定のクラスは、以下の:日光性黒子、肝斑、脂漏性角化症、色素細胞性母斑、そばかす、光線角化症、炎症後色素沈着、および上記のいずれでもない、もののうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のシステム。
前記ロジックは、前記コンピューティング装置に、さらに、前記ベースライン画像を前記対象者の前記画像と比較させ、前記色素沈着斑の変化を決定させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のシステム。
前記ロジックは、前記コンピューティング装置に、さらに、回転不変性の均一な局所バイナリパターン(LBP)から前記色素沈着斑のテクスチャ特徴を決定させることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載のシステム。
前記ロジックは、前記コンピューティング装置に、さらに、前記色素沈着斑の形状を近似するフィッティングされた楕円を作成させることによって、前記色素沈着斑の空間的特徴を決定させることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載のシステム。
前記ロジックは、前記コンピューティング装置に、さらに、前記色素沈着斑のピクセル近傍を決定させ、および前記ピクセル近傍内の複数のピクセルのピクセル強度を決定させることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載のシステム。
前記色素沈着斑を分類することは、前記色素沈着斑の約2から約25個の間の寸法特徴を分析することを含むことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載のシステム。
前記寸法特徴は、前記色素沈着斑内の平均強度、前記色素沈着斑のピクセル近傍内の平均強度、前記色素沈着斑を近似するフィッティングされた楕円の偏心率、フィッティングされた楕円の長軸の長さ、フィッティングされた楕円の短軸の長さ、色素沈着斑の面積、局所バイナリパターン(LBP)ヒストグラムの第1のビン値、LBPヒストグラムの第2のビン値、LBPヒストグラムの第3のビン値、LBPヒストグラムの第4のビン値、LBPヒストグラムの第5のビン値、LBPヒストグラムの第6のビン値、LBPヒストグラムの第7のビン値、LBPヒストグラムの第8のビン値、LBPヒストグラムの第9のビン値、LBPヒストグラムの第10のビン値、Rチャンネルにおける最大強度、Rチャンネルにおける最小強度、Rチャンネルにおける平均強度、Gチャンネルにおける最大強度、Gチャンネルにおける最小強度、Gチャンネルにおける平均強度、Bチャンネルにおける最大強度、Bチャンネルにおける最小強度、およびBチャンネルにおける平均強度、から選択された少なくとも2つの寸法特徴を含むことを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
「約」は、記載された値の15%以内を包括的に意味する。
【0011】
本明細書における「美容」は、人体の領域に所望の視覚的効果を提供する非医学的方法を意味する。視覚的な美容効果は、一時的、半永久的、又は永久的なものであってもよい。
【0012】
「化粧料」は、美容効果(例えば、クレンジング、美化、魅力促進および/又は容姿変更)をもたらすために哺乳動物の身体又はその任意の部分に擦り込む、注ぐ、振りかける、噴霧する、導入する、又は他の方法で塗布することを目的とした任意の物質およびその任意の成分を意味する。
【0013】
「化粧品製品」は、化粧料(例えば、肌保湿剤、ローション、香水、口紅、爪磨き、眼および顔用メークアップ用前処理、クレンジングシャンプー、ヘアカラー、剃毛準備、並びに脱臭剤)を含む製品である。
【0014】
「色素沈着した」および「色素沈着斑」は、身体の同じ一般的な領域における皮膚の近傍部分と比較して相対的に高いメラニン含量を有する皮膚の局所的部分を意味する。色素沈着した染みの例としては、加齢による染み、メラニン沈着、褐色斑、そばかす、炎症後色素沈着、日光による色素沈着などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
「〜の外観を改善する」は、例えば色素沈着斑の皮膚斑領域の比率の低減および/又は色素沈着斑のL
*値の増大によって定量化することができる、皮膚外観の測定可能な所望の変化又は効果を提供することを意味する。皮膚斑領域の比率およびL
*値並びにこれらの特性の変化を決定するための方法は、当業者には周知である。これらの方法のいくつかの非限定的な例が、同時係属中の米国特許出願第15/402,332号に記載されている。
【0016】
「スキンケア」は、皮膚状態を調節および/又は改善することを意味する。いくつかの非限定的な例としては、より滑らかで、より均一な外観および/若しくは感触を提供することによって皮膚の外観および/若しくは感触を改善すること;皮膚の1つ以上の層の厚さを増加させること;皮膚の弾性又は弾力性を改善すること;皮膚のハリを改善すること;並びに皮膚の脂っぽい、てかてかした、および/若しくはくすんだ外観を低減し、皮膚の水和状態若しくは保湿を改善し、小皺および/若しくは皺の外観を改善し、皮膚剥脱若しくは落屑を改善し、皮膚を膨化させ、皮膚バリア特性を改善し、皮膚の色合いを改善し、赤み若しくは皮膚の染みの外観を低減させ、かつ/又は皮膚の明るさ、つや、若しくは透明感を改善することが挙げられる。
【0017】
「対象者」は、本明細書の方法およびシステムが美容目的で使用される人を指す。
【0018】
本明細書では、色素沈着斑を識別するためのシステムおよび方法について開示する。異なる種類の色素沈着斑は治療および予後も異なるため、本明細書のシステムおよび方法は、計画管理を行うための色素沈着斑の正確な診断および一貫したモニタリングを提供するように構成することができる。例えば、本明細書のシステムおよび方法は、顔面の色素沈着斑を、日光性黒子、肝斑、脂漏性角化症、色素細胞性母斑、そばかす、光線角化症、炎症後色素沈着、および上記のいずれでもないものの8つの異なる種類の色素沈着に自動的に分類するように構成することができる。驚くべきことに、本明細書に記載されるように色素沈着斑を分類および注釈付けすることは、色素沈着斑の適切な治療および低減に劇的な効果をもたらすことが見出された。色素沈着斑の画像の周囲にフィッティングされた楕円を作成し、ピクセル解析を行って色素沈着斑のテクスチャを決定するプロセスによって、色素沈着斑の分類、治療、および外観を大幅に改善することも見出された。具体的には、本方法は、コンピュータが色素沈着斑の分類を正確に予測する能力を改善する。
【0019】
図1は、色素沈着斑を識別するための例示的なコンピューティング環境を示す。例解されるように、ネットワーク100は、ユーザコンピューティング装置102a、分注装置102b、モバイル装置102c、およびリモートコンピューティング装置104と連結されている。ネットワーク100は、任意の広域ネットワーク、ローカルネットワークなどを含み得る。一例として、ネットワーク100は、インターネット、公衆交換電話ネットワーク、セルラーネットワーク(3G、4G、LTEなど)を含むことができる。同様に、ネットワーク100は、ローカルエリアネットワーク、Bluetoothネットワーク、Zigbee、近距離通信などのローカルネットワークを含んでもよい。
【0020】
ネットワーク100には、ユーザコンピューティング装置102a、分注装置102b、およびモバイル装置102cが連結されている(本明細書では個別に、又は集合的に「装置102」と称される)。ユーザコンピューティング装置102aは、画像を捕捉する、リモートコンピューティング装置104と通信する、かつ/又は1つ以上のユーザインタフェースをユーザに提供するために使用することができる任意のコンピューティング装置として構成することもできる。したがって、ユーザコンピューティング装置102aは、パーソナルコンピュータ、ラップトップなどとして構成されてもよい。さらに、画像捕捉装置を、ユーザコンピューティング装置102a(および/又は装置102b、102c)に統合することもできるが、システムのいくつかの実施形態は、本明細書に記載される画像を捕捉し、その画像を(又は画像に関連するデータ)を適当な装置に転送することができる別の画像捕捉装置(例えば、従来のスタンドアローン式デジタルカメラ)を含んでもよい。
【0021】
分注装置102bは、コンピュータ、ディスプレイ、入力装置、および1つ以上の製品を分注するためのハードウェアを含むことができる。したがって、分注装置102bは、1つ以上の化粧品又は化粧料などの製品を分注する能力を除いて、ユーザコンピューティング装置102aと同様の機能を有することができる。モバイル装置102cもまた、同様のハードウェアおよび機能を含んでもよいが、携帯電話、タブレット、携帯情報端末などとして構成することができる。
【0022】
いずれにせよ、ユーザコンピューティング装置102a、分注装置102b、および/又はモバイル装置102cは、対象者のデジタル画像を捕捉するように構成された画像捕捉装置を含むことができる。下記により詳細に述べるように、画像のうちの一部は、交差偏光および/又はフィルタを含んでもよい。したがって、画像捕捉装置のいくつかの実施形態は、画像を捕捉する際に1つ以上のレンズを用いることができる。他の実施形態では、交差偏光は望ましくない場合があり、したがって用いられない場合がある。
【0023】
リモートコンピューティング装置104は、ネットワーク100を介してユーザコンピューティング装置102a、分注装置102bおよび/又はモバイル装置102cと通信するように構成することができる。このため、リモートコンピューティング装置104は、サーバ、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、ラップトップ、ノートブック、キオスクなどとして構成されてもよい。リモートコンピューティング装置104は、識別子ロジック144aおよび治療ロジック144bを格納した
図9に示すようなメモリコンポーネント140および他のコンポーネントを含むことができる。下記でより詳細に述べるように、識別子ロジック144aは、画像を分析して色素沈着斑を識別するように構成することができる。治療ロジック144bは、識別された色素沈着斑を治療するための1つ以上の製品および/又は治療レジメンを決定するように構成することができる。
【0024】
識別子ロジック144aおよび治療ロジック144bは、リモートコンピューティング装置104のメモリコンポーネント140内に存在するものとして示されているが、これはあくまで一例に過ぎない点は理解されよう。いくつかの実施形態は、ユーザコンピューティング装置102a、分注装置102b、および/又はモバイル装置102c内で記載された機能を実行するためのロジックを有するように構成することができる。同様に、いくつかの実施形態は、記載される機能の少なくとも一部を提供するために、
図1に示されない別のコンピューティング装置を用いるように構成されてもよい。
【0025】
本明細書に記載されるシステムおよび方法は、実施形態に応じて、化粧品の分野における(例えば、スキンケア用で)消費者に、又は医療分野における患者に用いることができる点も理解されよう。医療分野に関連する実施形態は、医学的状態の治療に関する製品および/又は方法を含む。これは、医療専門家による操作を必要とする製品、医療診断の過程で医療専門家によって使用される製品、医療専門家による治療を必要とする疾患又は他の医学的状態の治療に使用される製品、処方箋とともに販売される製品、並びに美容整形外科医、皮膚科医、内科医、および製薬会社の活動を含む。
【0026】
さらに、リモートコンピューティング装置104は、
図1ではロジック144a、144bを含むものとして示されているが、これも一例に過ぎない点は理解されよう。いくつかの実施形態では、装置102は、リモートコンピューティング装置104とは独立して動作してもよく、更新および他の管理データのためにリモートコンピューティング装置104のみと通信してもよい。他の実施形態は、リモートコンピューティング装置104が、本明細書に記載される処理の実質的に全てを提供し、ユーザコンピューティング装置102aが単に端末として使用されるように構成することもできる。さらに他の実施形態は、これらの例の組み合わせとして動作してもよく、かつ/又は装置102のうちの別のものの機能を提供するために装置102のうちの1つ以上を活用することができる。一例として、ユーザは、モバイル装置102cを介して画像を捕捉することができ、その画像を分注装置102bに送信し、推奨される製品および治療を分析して提供することができる。
【0027】
図2は、本明細書に記載される実施形態に従って、対象者の画像を捕捉して皮膚斑の判定を実行するためのユーザインタフェース230を示している。例解されるように、ユーザインタフェース230は、捕捉画像、画像捕捉オプション232、フィルタ画像捕捉オプション234、皮膚斑判定実行オプション236、および手動皮膚斑識別オプション238を含んでいる。
【0028】
画像捕捉オプション232を選択することで、装置102は、対象者の画像を捕捉することができる。上記に述べたように、画像は、装置102によって捕捉することができるか、又は装置102および/若しくはリモートコンピューティング装置104に通信することができる。いずれにせよ、画像は、対象者の顔面の1つ以上の色素沈着斑を示すことができ、対象者の白色光画像、未フィルタリング画像、および/又はベースライン画像であり得る。
【0029】
フィルタ画像捕捉オプション234を選択することで、交差偏光画像を捕捉することができる。特定の実施形態に応じて、交差偏光画像は、交差偏光を用いて捕捉してもよく、かつ/又は交差偏光フィルタを介して捕捉してもよい。交差偏光画像は、いくつかの実施形態では、デジタル画像である。皮膚斑判定実行オプション236を選択することで、皮膚斑の識別および分類を開始することができる。手動皮膚斑識別オプション238を選択することで、ユーザは、下記でより詳細に述べるように色素沈着斑を手動で識別することができる。
【0030】
図2からの皮膚斑判定実行オプション236の選択に応じて、
図3に例解されるユーザインタフェース330を提供することができる。さらに、リモートコンピューティング装置104(および/又は実施形態に応じて装置102)は、画像を処理し、対象者の画像の色素沈着斑を識別および分類することができる。ユーザインタフェース330は、皮膚斑注釈付けオプション332、皮膚斑ズームフィルタオプション334、手動皮膚斑注釈付けオプション336、皮膚斑ズームオプション338、および皮膚斑除去オプション340も含んでいる。
【0031】
また、ユーザインタフェース330には、対象者の画像342、並びに色素沈着斑の画像344および346も示される。皮膚斑注釈付けオプション332を選択することで、画像342に、識別された皮膚斑を強調するオーバーレイ348によって注釈を付けることができる。皮膚斑ズームフィルタオプション334を選択することで、識別された皮膚斑の交差偏光画像およびズームされた画像(例えば、2x、3x、4x、5x、10x、又はさらには最大100xの倍率)である、対象者のデジタル画像344を提供することができる。手動皮膚斑注釈付けオプション336を選択することで、ユーザが手動で画像を選択および注釈付けするための追加オプションを提供することができる。皮膚斑ズームオプション338を選択することで、注釈付けされた色素沈着斑のズームされた画像(例えば、2x、3x、4x、5x、10x、又はさらには最大100xの倍率)であるベースライン画像346を提供することができる(フィルタなし)。いくつかの実施形態では、対象者のデジタル画像344をベースライン画像346と比較して、色素沈着斑の少なくとも1つの特徴を決定することができる。皮膚斑除去オプション340を選択することで、以前に識別された皮膚斑をユーザによる検討対象から除外することができる。
【0032】
図3に示されるように、画像のズームされたバージョンを比較することができるが、これはあくまで一実施形態に過ぎない点を理解されたい。いくつかの実施形態は、複数の色素沈着斑を同じ領域のフィルタリングされた画像と含むことができる対象者の皮膚のより大きな部分のベースライン画像を比較するように構成される。さらに、いくつかの実施形態は、ベースライン画像をフィルタリングされていない画像として用い、デジタル画像をクロスフィルタリングされた画像として用いるが、これもやはり一実施形態である。いくつかの実施形態は、異なる時点で同一(又は実質的に同様)の画像を比較して色素沈着斑の進行を比較する。
【0033】
図4は、本明細書に記載される実施形態に従った、色素沈着斑の空間的特徴を定義するためのフィッティングされた楕円を作成するためのユーザインタフェース430を示す。
図3の皮膚斑注釈付けオプション332および/又は
図2の皮膚斑判定実行オプション236を選択することで、対象者の皮膚の変色を分析することができる。一例として、各皮膚斑を分類するため、25種類の寸法特徴(又は最大約25種類)を、交差偏光画像のそれぞれの領域から導出して色素沈着斑を特徴付けることができる。これらの実施形態では、各皮膚斑についてコントラスト、形状、サイズ、テクスチャ、および異なるチャンネル(例えば、RGB色空間)内の色を考慮する。決定木、AdaBoostingなどを含む、1つ以上のマルチクラス学習アルゴリズムを用いて皮膚斑を分類することができる。マルチクラス誤り訂正出力符合(ECOC)も同様に用いることができる。ECOCアルゴリズムは、バイナリベースの学習者から構築されたマルチクラス分類子であり、異なるクラス(すなわち、皮膚斑を特徴付けるために用いられる特性)を区別するための符合設計を利用する。ECOCは、それぞれのクラスの所定のバイナリコードのセットを割り当て、バイナリベースの学習者がバイナリコード内の各ビット位置について訓練される。ある試験サンプル特徴について、分類子は代表的なバイナリコードを生成し、これを既存のクラスについて予め定義されたバイナリコードと比較する。このサンプルは、最短コード距離を有するクラスに割り当てられる。分類に用いられる特徴の例を、下記表1に示す。
【0035】
形状関連パラメータを導出するには、
図4に例解されるように、皮膚斑領域と同じ(又は実質的に同様の)正規化された第2の中心モーメントを用いてフィッティングされた楕円432を、皮膚斑の境界に対してフィッティングする。フィッティングされた楕円432を用いることで、色素沈着斑を識別するためのピクセル近傍を定義および/又は作成することができる。フィッティングされた楕円の偏心率は、以下のように定義することができる。すなわち、
【0036】
【数1】
式中、aは長軸の長さであり、bは短軸の長さである。偏心率の値0は円を示し、偏心率の値1は線分を示す。
【0037】
皮膚斑のテクスチャ特徴は、回転不変性の均一な局所バイナリパターン(LBP)から導出することができる。LBP演算子は、画像内の各ピクセルの3×3ピクセルの近傍を中心ピクセル値(下記表2に示す)で閾化し、結果として得られたバイナリパターンをマッピングすることによって、画像内の各ピクセル(又は複数のピクセル)にラベルを割り当てる。回転不変性の均一なLBPラベルは以下のように定義される。すなわち、
【0038】
【数2】
式中、(g
i−g
0)≧0である場合、s(g
i−g
0)=1であり、(g
i−g
0)≦0である場合、s(g
i−g
0)=0であり、U(LBP
8)は、そのパターン内の空間的推移の数を計算する均一演算子である(例えば、0から1への、又はその逆のビット値の変化)。これにより、その発生頻度が画像のテクスチャ特徴を記述する10ビンの正規化ヒストグラムとして表される10個の異なるラベル(0,1,2...,9)が与えられる。これは、表2に示すように、ピクセル近傍の複数のピクセルのピクセル強度および/又はピクセル色を測定および/又は比較するために使用することができる。
【0040】
このLBPプロセスを使用することにより、色素沈着斑の低レベルのテクスチャ特徴を決定することができる。テクスチャは、多くの場合、異なる種類の色素沈着斑の差別化因子であることから、このクラスは、特定の種類の色素沈着斑を識別する上で有用となり得る。
【0041】
再び
図4を参照すると、上記に述べた計算結果を見るための計算結果ビューオプション434を提供することができる。再処理オプション436によって、同じ情報、異なる情報、および/又は異なる画像を使用して皮膚斑を再処理することができる。色素沈着斑の特徴が識別された時点で、色素沈着斑を、日光性黒子、肝斑、脂漏性角化症、色素細胞性母斑、そばかす、光線角化症、炎症後色素沈着、および上記のいずれでもないものの8つの可能な分類のうちの1つ以上のものに従って分類することができる。
図4は、生じ得る計算および処理の例解として示されている点を理解されたい。したがって、いくつかの実施形態は、ユーザに表示するためのユーザインタフェース430が実際に提供されない場合があるが、本明細書に記載される結果として得られる出力を提供するために内部で計算することもできる。
【0042】
図5は、本明細書に記載される実施形態に従う、対象者の複数の色素沈着斑を捕捉するためのユーザインタフェース530を示す。例解されるように、対象者の複数の色素沈着斑を識別し、分類することができる。さらに、識別された皮膚斑の1つ以上に、識別された皮膚斑の位置および種類をユーザに示すための注釈を付けることができる。さらに、製品を適用する場所を例解するために、対象者の画像上で治療領域に注釈を付けることができる。
図5にはまた、治療提供オプション532、製品提供オプション534、皮膚斑分類提供オプション536、およびリターンオプション538を含む、ユーザが選択することができる様々なオプションも例解されている。
【0043】
治療提供オプション532を選択することで、
図7に例解されるような治療レジメンを示すことができる。製品提供オプション534を選択することで、やはり
図7に例解されるようにユーザに製品を示すことができる。皮膚斑分類提供オプション536を選択することで、
図6に例解されるように、例えば画像上のテクスチャリストおよび/又は色コード(若しくは他のコード)によって、複数の異なる分類された皮膚斑を識別するための色素沈着斑の1つ以上についての分類のリストをユーザに伝えることができる。リターンオプション538を選択することで、ユーザはその前のユーザインタフェースに戻ることができる。
【0044】
図6は、本明細書に記載される実施形態に従う、対象者の複数の異なる色素沈着斑を分類するためのユーザインタフェース630を示す。色素沈着斑の分類に応じて、ユーザインタフェース630は、それぞれの種類の皮膚斑の位置をより容易に識別し、問題のある領域および治療領域を識別するためのこれらの皮膚斑の色コードをユーザに提供する。ユーザが利用可能な他のオプションとしては、治療提供オプション632、製品提供オプション634、およびリターンオプション636が含まれる。
【0045】
治療提供オプション632を選択することで、
図7に例解されるような治療レジメンを示すことができる。製品提供オプション634を選択することで、やはり
図7に例解されるような推奨される製品を示すことができる。
【0046】
図7は、本明細書に記載される実施形態に従う、推奨される製品を示すためのユーザインタフェース730を示す。オプション532、534(
図5)、632および/又は634(
図6)のうちの1つ以上をユーザが選択することで、ユーザインタフェース730を示すことができる。例解されるように、ユーザインタフェース730は、推奨される製品、並びに一般的なスキンケア用の製品、および/又は識別および分類された種類の色素沈着斑を治療するための製品をユーザが購入するための購入オプション732、734、736を示すことができる。特定の実施形態に応じて、購入オプション732、734、736のうちの1つ以上を選択することで、製品を分注するかつ/又は購入待機状態とすることができる。
【0047】
さらに、識別された問題のある領域の1つ以上に対して治療レジメンが示されてもよい。治療レジメンおよび推奨される製品は、色素沈着斑の分類に基づいたものとすることができる。理解されるように、対象者はそれぞれの個々の皮膚斑に異なる製品を適用することができない場合があるため、製品および治療レジメンは、対象者が、複数の皮膚斑を含む皮膚の領域に製品を適用することしかできないものと想定している。したがって、カスタマイズされた治療レジメンおよび製品を、このような製品の予想されるマクロレベルの適用を考慮して提供することができる。
【0048】
経過追跡オプション738、治療シミュレーションオプション740およびホームオプション742も示されている。経過追跡オプションを選択することで、ユーザは、色素沈着斑が時間の経過とともにどのように変化したか(治療レジメンにより改善されたか、又は治療レジメンを用いずに悪化したか)を例解する対象者の履歴画像を見ることができる。治療シミュレーションオプション740を選択することで、対象者が治療レジメンに従った場合に期待することができる改善をシミュレートした画像を示すことができる。ホームオプション742を選択することで、ユーザはその前のユーザインタフェースに戻ることができる。
【0049】
図8は、本明細書に記載される実施形態に従う、色素沈着斑を識別する方法を例解する。フローチャート800のブロック850に例解されるように、対象者のデジタル画像を受信することができる。ブロック852において、色素沈着斑は、対象者のデジタル画像において判定および/又は識別することができる。ブロック854において、色素沈着斑を所定のクラスに分類することができる。ブロック856において、所定の分類に従って色素沈着斑を治療するための治療レジメンを決定することができる。ブロック858において、治療レジメンに関する情報を対象者による使用のために提供することができる。ブロック860において、ユーザによる選択に応じて、治療レジメンの一環である製品を分注することができる。
図8に例解される方法の各工程のより詳細な説明は、上記の開示に見ることができる点は認識されよう。
【0050】
図9は、本明細書に記載される実施形態に従う、色素沈着斑を識別するためのリモートコンピューティング装置104を例解する。例解されるように、リモートコンピューティング装置104は、プロセッサ930、入力/出力ハードウェア932、ネットワークインタフェースハードウェア934、データ格納コンポーネント936(皮膚斑データ938a、治療データ938b、および/又は他のデータを格納する)、およびメモリコンポーネント140を含む。メモリコンポーネント140は、揮発性および/又は不揮発性メモリ等として構成されてもよく、そのため、それは、ランダムアクセスメモリ(SRAM、DRAM、および/又は他の種類のRAM)、フラッシュメモリ、セキュアデジタル(SD)メモリ、レジスタ、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、および/又は他の種類の非一時的コンピュータ読み取り可能媒体を含んでもよい。特定の実施形態に応じて、これらの非一過性コンピュータ可読媒体は、リモートコンピューティング装置104の内部に、および/又はリモートコンピューティング装置104の外部に存在してよい。
【0051】
メモリコンポーネント140は、オペレーティングロジック942、識別子ロジック144a、および治療ロジック144bを格納することができる。一例として、識別子ロジック144aおよび治療ロジック144bはそれぞれ、コンピュータプログラム、ファームウェア、および/又はハードウェアとしてそれぞれを具体化することができる複数の異なるロジックを含む。ローカルインタフェース946は、
図9にも含まれ、リモートコンピューティング装置104のコンポーネント間の通信を促進するためのバス又は他の通信インタフェースとして実施することができる。
【0052】
プロセッサ930は、(例えばデータ格納コンポーネント936および/又はメモリコンポーネント140から)命令を受信して実行するように動作可能な任意の処理コンポーネントを含むことができる。入出力ハードウェア932は、マイクロフォン、スピーカ、ディスプレイ、および/又は他のハードウェアを含んでもよく、かつ/又はそれらとインタフェースするように構成することができる。
【0053】
ネットワークインタフェースハードウェア934は、アンテナ、モデム、LANポート、ワイヤレスフィディリティ(Wi−Fi)カード、WiMaxカード、Bluetoothチップ、USBカード、移動通信ハードウェア、並びに/又は他のネットワークおよび/若しくは装置と通信するための他のハードウェアを含む、任意の有線又は無線ネットワークハードウェアを含んでもよく、かつ/又はそれらと通信するように構成されてもよい。この接続により、リモートコンピューティング装置104と、ユーザコンピューティング装置102aのような他のコンピューティング装置との間の通信を促進することができる。
【0054】
動作ロジック942は、リモートコンピューティング装置104のコンポーネントを管理するためのオペレーティングシステムおよび/又は他のソフトウェアを含んでもよい。やはり上記に述べたように、識別子ロジック144aはメモリコンポーネント140内に存在してよく、プロセッサ930に1つ以上の色素沈着斑を識別、分類、および注釈付けさせるように構成することができる。同様に、上記に述べたように、治療ロジック144bを用いて1つ以上の色素沈着斑を処置するための製品および治療レジメンを決定することができる。
【0055】
図9のコンポーネントは、リモートコンピューティング装置104の内部に存在するものとして例解されているが、これはあくまで一例に過ぎない点を理解されたい。いくつかの実施形態では、コンポーネントの1つ以上が、リモートコンピューティング装置104の外部に存在してもよい。リモートコンピューティング装置104は1個の装置として例解されているが、これもあくまで一例に過ぎない点も理解されたい。いくつかの実施形態では、識別子ロジック144aおよび治療ロジック144bは、異なるコンピューティング装置上に存在してもよい。一例として、本明細書に記載する機能および/又はコンポーネントのうちの1つ以上は、リモートコンピューティング装置104および/又はユーザコンピューティング装置102aによって提供することができ、これらは、ネットワーク100を介してリモートコンピューティング装置104と連結することができる。
【0056】
さらに、リモートコンピューティング装置104は、識別子ロジック144aおよび治療ロジック144bとともに、別個のロジックコンポーネントとして例解されているが、これもやはり一例に過ぎない。いくつかの実施形態では、1個のロジックによってリモートコンピューティング装置104に上記の機能を提供させることができる。
【0057】
本明細書にて開示された寸法および値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。代わりに、特に指示がない限り、このような寸法はそれぞれ、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。さらに、本明細書に記載される全ての数値範囲はより狭い範囲を包含する。区切られた上下の範囲制限は、明示的に区切られていない更なる範囲を作る上で互換性がある。本明細書に記載する実施形態は、本明細書に記載の必須構成要素並びに任意成分を含み得る、それらから本質的になり得る、又はそれらからなり得る。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに他の意味を示さない限り、複数形も含むものとする。
【0058】
相互参照される又は関連する全ての特許又は特許出願、および本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本願に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのような発明全てを教示、示唆又は開示するとはみなされない。さらに、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照することによって組み込まれた文書内の同じ用語の意味又は定義と矛盾する場合、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0059】
本明細書中で「実施形態(複数可)」等と言った場合、その実施形態と関連付けて説明される特定の材料、特徴、構造および/又は特性が少なくとも1つの実施形態、場合によりいくつかの実施形態に含まれることを意味するが、全ての実施形態が記載される材料、特徴、構造、および/又は特性を含むことを意味するものではない点は理解されよう。さらに、材料、特徴、構造、および/又は特性は、異なる実施形態にわたって、任意の好適な方法で組み合わされてもよく、材料、特徴、構造、および/又は特性は、説明されるものから除外されてもよいし、代用されてもよい。したがって、本明細書に記載されている実施形態および態様は、別段明記しない限り又は不適合性が明示されてされない限り、組み合わせて明示的に例示されていなくても、他の実施態様および/又は態様の要素又は構成成分を含むか又はこれらと組み合わされることが可能である。