(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6933908
(24)【登録日】2021年8月24日
(45)【発行日】2021年9月8日
(54)【発明の名称】電気フライヤーの安全装置
(51)【国際特許分類】
A47J 37/12 20060101AFI20210826BHJP
【FI】
A47J37/12 331
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-41295(P2017-41295)
(22)【出願日】2017年3月6日
(65)【公開番号】特開2018-143487(P2018-143487A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2019年6月11日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】592181440
【氏名又は名称】株式会社マルゼン
(74)【代理人】
【識別番号】100100413
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 温
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀幸
【審査官】
沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−077245(JP,A)
【文献】
特開平10−023975(JP,A)
【文献】
特開平11−032923(JP,A)
【文献】
特開平11−299659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気フライヤーの安全装置であって、
前記電気フライヤーは、該電気フライヤーの外部に設置されたブレーカーから電源を供給されるように配置され、該電気フライヤーが、油槽内に設置される加熱ヒーターと、前記ブレーカーから電源を供給されて装置全体を制御するコントロール部と、前記コントロール部からの駆動信号に従って前記ブレーカーから前記加熱ヒーターへの通電を制御する電磁接触器と、前記コントロール部による前記駆動信号の供給動作をオン又はオフする電源スイッチと、前記油槽内に設置され、異常高温を感知して前記コントロール部に異常高温感知信号を出力する異常高温検知器とを有し、
前記電気フライヤーの前記電磁接触器の出力側に、該電磁接触器の接点の接触及び遮断に連動するリレー接点を有するリレーが設けられ、該リレー接点の接触又は遮断が前記コントロール部に入力されるように前記リレーと前記コントロール部とが接続され、
前記コントロール部が、前記異常高温検知器から異常高温検知信号を受け、前記電磁接触器に駆動信号を発していないにもかかわらず、前記リレーのリレー接点が遮断されていないことを検出した場合には、前記電磁接触器の接点に溶着ありと認識して指令により警報部を動作させ、前記電源スイッチを切っても前記警報部の動作を継続させることにより、前記ブレーカーを切ることでしか警報を解除できないようにされており、前記ブレーカーを切ることにより、前記電気フライヤーの前記加熱ヒーターへの通電を遮断すると共に、警報を解除することを特徴とする電気フライヤーの安全装置。
【請求項2】
前記ブレーカーを切ることにより警報が解除された後に前記ブレーカーを再度オンにすると、前記電源スイッチをオンにしなくても前記コントロール部への通電が行われ、前記コントロール部が前記警報部を動作させる、請求項1に記載の電気フライヤーの安全装置。
【請求項3】
前記電磁接触器が、供給電源側に設置される主電磁接触器と、該主電磁接触器よりも加熱ヒーター側に設置されるヒーター電磁接触器とからなり、
前記リレーが、前記主電磁接触器の出力側に設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気フライヤーの安全装置。
【請求項4】
前記電磁接触器が、供給電源側に設置される主電磁接触器と、該主電磁接触器よりも加熱ヒーター側に設置されるヒーター電磁接触器とからなり、
前記リレーが、前記主電磁接触器の出力側及び前記ヒーター電磁接触器の出力側に設けられた2つのリレーを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気フライヤーの安全装置。
【請求項5】
前記電磁接触器が、供給電源側に設置される主電磁接触器と、該主電磁接触器よりも加熱ヒーター側に設置されるヒーター電磁接触器とからなり、
前記リレーが、前記ヒーター電磁接触器の出力側に設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気フライヤーの安全装置。
【請求項6】
前記異常高温検知器が、複数の接点を有するハイリミットスイッチであり、該複数の接点の内の1つの接点が前記加熱ヒーターへの通電回路上に配置され、異常高温を検知した場合に、該接点を遮断することにより、前記電磁接触器の接点の溶着の認識の有無にかかわらず、前記加熱ヒーターの電源を直接切ることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1つに記載の電気フライヤーの安全装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気フライヤーの安全装置に関するものである。詳しくは、電気フライヤーにおいて、油槽内が異常高温であるにもかかわらず、電力供給を担う電磁接触器の接点が溶着状態であることから、火災の危険性があることを知らせるための安全装置である。
【背景技術】
【0002】
油槽内に設置される加熱ヒーターと、装置全体を制御するコントロール部と、コントロール部からの指令により加熱ヒーターへの通電を制御する電磁接触器と、油槽内に設置される異常高温検知器とを有する電気フライヤーにおいては、従来より槽内の異常高温による火災防止のための安全装置が採用されていた。
通常は、温度センサー又はハイリミットが異常高温を検知した場合、コントロール基板の電磁接触器への出力及びハイリミット自体の接点の利用で、電磁接触器の信号回路を切り、メイン通電を遮断すると同時に警報部を動作させて、利用者に電気フライヤーの正面に設置されている電源スイッチを切断させる方法が採用されていた。
【0003】
しかし、電気フライヤーの電源スイッチは、コントロール部である制御基板へ印加される電力を切断するもので、加熱ヒーターへ流れる電源を直接切断するものではない。通常、電源スイッチを切ると加熱ヒーターの電源が遮断されると考えられるが、電気フライヤーの電源スイッチを切ったとしても電磁接触器自体に不具合が発生し接点が解放されないと加熱ヒーターへの通電は遮断されない。
【0004】
その上、電気フライヤーの電源プラグは電気フライヤーの背面にあるため引き抜くことができない。そのため、電源遮断は分電盤のブレーカーを遮断しなければできない構造となっている。電源から加熱ヒーターへ印加されるAC三相200Vの電力を遮断するには、電気フライヤー設置の店内にある配電盤ブレーカーを遮断するしか方法はないのである。
【0005】
そこで、特許文献1に示されるように、加熱ヒーターへ流れる電流を検出するカレントトランスを設けることにより通電状態を制御装置が把握できるようにし、通電制御素子駆動信号が制御装置より出力されていないのにもかかわらず、加熱ヒーターへ流れる電流を検出した場合、検出した検出値がある数値以上であるならば通電制御素子の故障と制御装置が判断し、ある時間だけ報知装置を動作させた後、漏電遮断機を駆動させる信号を制御装置より出力して電気式フライヤー全体を停止するものが開示されている。
【0006】
特許文献1の装置では、カレントトランスにて検知した入力電流を読み取るための別の検出回路を必要とするもので、電気フライヤーのスペースの有効利用の要求に応えられるものではなかった。
【0007】
しかし、電気フライヤーにおける加熱ヒーターへの通電を行う電磁接触器は、電磁接触器自体の開閉回数からくる接点の寿命や、油煙侵入による接点の固着や、過電流による接点の溶着などが原因で、接点の溶着をおこすことが少なからずあった。このような場合、該電磁接触器の接点の溶着を認識することができないと、電気フライヤーの電源スイッチを遮断していても、加熱ヒーターへの通電が遮断されず火災へ至る事があった。即ち、この接点が溶着していると安全装置であるハイリミットなどの異常過熱防止装置が作動しても、電磁接触器の接点は遮断されないため電気フライヤーに設置されている安全装置は意味をなさないことになってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−32923号公開特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本願発明は、電気フライヤーの安全装置として、電磁接触器の接点の接触(ON)及び遮断(OFF)を感知し、電気フライヤー全体を制御するコントロール部へ出力するリレーを設け
、コントロール部が、異常高温検知器から異常高温検知信号を受け、電磁接触器への駆動信号を遮断しているにもかかわらず、リレーのリレー接点が遮断されていないことを検出した場合には、電磁接触器の接点の溶着と認識して、警報を発し、該警報をブレーカーを切ることによってのみ解除できるようにして、確実に、電気フライヤーの加熱を停止させ、火災へ繋がる原因を軽減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、第1の発明は、電気フライヤーの安全装置を次のように構成する。
第1に、
前記電気フライヤーは、該電気フライヤーの外部に設置されたブレーカーから電源を供給されるように配置され、該電気フライヤーが、油槽内に設置される加熱ヒーターと、
前記ブレーカーから電源を供給されて装置全体を制御するコントロール部と、
前記コントロール部からの駆動信号に
従って前記ブレーカーから前記加熱ヒーターへの通電を制御する電磁接触器と、
前記コントロール部による前記駆動信号の供給動作をオン又はオフする電源スイッチと、前記油槽内に設置され、
異常高温を感知して前記コントロール部
に異常高温
感知信号を
出力する異常高温検知器とを有す
る。
第2に、
前記電気フライヤーの
前記電磁接触器の
出力側に
、該電磁接触器の接点の接触及び遮断に連動するリレー接点を有するリレー
が設け
られ、該リレー接点の接触又は遮断が
前記コントロール部に入力されるように
前記リレーと
前記コントロール部と
が接続
される。
第3に、
前記コントロール部が、
前記異常高温検知器から異常高温検知信号を受け、
前記電磁接触器
に駆動信号を発していないにもかかわらず、
前記リレーのリレー接点が遮断されていないことを検出した場合には、
前記電磁接触器の接点に溶着ありと認識し
て指令により警報部を動作させ
、前記電源スイッチを切っても前記警報部
の動作を継続させることにより、前記ブレーカーを切ることでしか警報を解除できないようにされており、
前記ブレーカーを切ることにより、
前記電気フライヤーの
前記加熱ヒーターへの通電を遮断すると共に、警報を解除する。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、前記ブレーカーを切ることにより警報が解除された後に前記ブレーカーを再度オンにすると、前記電源スイッチをオンにしなくても前記コントロール部への通電が行われ、前記コントロール部が前記警報部を動作させることを特徴とする。
【0013】
第
3の発明は、第1
又は第2の発明において、
前記電磁接触器が、供給電源側に設置される主電磁接触器と、該主電磁接触器より
も加熱ヒーター側に設置されるヒーター電磁接触器とからなり、
前記リレーが、
前記主電磁接触器の
出力側に設けられたことを特徴とす
る。
【0014】
第
4の発明は、第1
又は第2の発明において、
前記電磁接触器が、供給電源側に設置される主電磁接触器と、該主電磁接触器より
も加熱ヒーター側に設置されるヒーター電磁接触器とからなり、
前記リレーが、
前記主電磁接触器の
出力側及び
前記ヒーター電磁接触器の
出力側に設けられ
た2つのリレーを含むことを特徴とす
る。
【0015】
第
5の発明は、第1
又は第2の発明において、
前記電磁接触器が、供給電源側に設置される主電磁接触器と、該主電磁接触器より
も加熱ヒーター側に設置されるヒーター電磁接触器とからなり、
前記リレーが、
前記ヒーター電磁接触器の
出力側に設けられ
たことを特徴とす
る。
【0016】
第
6の発明は、第1乃至第
5の何れか1つの発明において、
前記異常高温検知器が、複数の接点を有するハイリミットスイッチであり、該
複数の接点の
内の1つ
の接点が前記加熱ヒーターへの通電回路上に配置
され、異常高温を検知した場合に、該接点を遮断することにより、
前記電磁接触器の接点の溶着の認識の有無にかかわらず、
前記加熱ヒーターの電源を直接切ることを特徴とす
る。
【発明の効果】
【0018】
第1の発明
によれば、
コントロール部が、異常高温検知器から異常高温検知信号
を受け、電磁接触器
に駆動信号を発していないにもかかわらず
、リレーのリレー接点が遮断されていないことを検出した場合には、電磁接触器の接点に溶着ありと認識して、警報を発生させ
る。その結果、電気フライヤーの電磁接触器の接点の溶着が原因となるより危険の迫った火災を有効に防止できることとなった。
その上、リレー自体は小型なものを利用できるため、電気フライヤーの配電スペースを有効に利用でき、コンパクトな安全装置付の電気フライヤーとなった。
【0019】
また、第1の発明
によれば、警報部が警報を発した場合
に、電気フライヤーの外部に設置されたブレーカーを切ることでしか警報を解除できないようにしたため、警報解除には、ブレーカーを切ることが必要となり、電気フライヤー自体に装備される電源スイッチを遮断していて
も加熱ヒーターへの通電が遮断されず
に火災へ至る事があったという問題を解決することができた。
さらに、第2の発明によれば、ブレーカーを切ることにより警報が解除された後にブレーカーを再度オンにすると、電源スイッチをオンにしなくてもコントロール部への通電が行われて警報が発せられるので、より安全性を高めることができた。
【0020】
第
3の発明の効果ではあるが、リレーが、主電磁接触器の
出力側に設けられ
たことにより、主電磁接触器の接点の溶着を確実に把握できる
ことになった。
【0021】
第
4の発明の効果ではあるが、リレーが、主電磁接触器の
出力側及びヒーター電磁接触器の
出力側に設けら
れたことにより、主電磁接触器及びヒーター電磁接触器の何れの接点の溶着も把握でき、より安全性を高めることができた。
【0022】
第
5の発明の効果ではあるが、リレーが、ヒーター電磁接触器の
出力側に設けられ
たことにより、ヒーター電磁接触器の接点の溶着を確実に把握できる
ことになった。
【0023】
第
6の発明の効果ではあるが、異常高温を検知すると、加熱ヒーターへの通電回路上に配置されたハイリミットスイッチの接点を遮断して、加熱ヒーターへの電源供給を切る手段が付加されたので、より安全性
を高
めることができた。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態につき実施例と共に説明する。
本発明は、飲食店やコンビニエンスストアなどで食品の揚げ物を提供するために利用される業務用の電気フライヤーの安全装置に関するものである。
【0026】
実施例で示す安全装置に用いられる電気フライヤーの基本構造は、ボックス内に所要量の食用油が貯留される油槽が設置され、油槽内には食用油を加熱するための加熱ヒーターHが装備され、油槽の正面側に装置全体を制御するコントロール部CBを含む電装部があり、電装部の表面には電源スイッチや加熱スタートスイッチ、メニュー設定スイッチなどが配置された操作パネルが装着されている。尚、操作パネルには、表示及びブザー音により異常を知らせる警報部Aが装備されている。
【0027】
そして、実施例に用いられる電気フライヤーの油槽内には、食用油を加熱する加熱ヒーターHと、食用油の設定温度を管理するための温度センサーTHと、食用油の異常高温を検知するためのハイリミットHLが配置されている。本発明における異常高温検知のためには、ハイリミットHL及び温度センサーTHとも利用することが可能であるが、実施例での異常高温検知にはハイリミットHLが用いられている。
【0028】
以下、
図1及び
図3に従って、第1実施例に係る電気フライヤーの安全装置について説明する。
図1は、第1実施例に係る安全装置を具備した電気フライヤーの電気回路図であり、
図3は、同実施例の動作工程を示す説明図である。
【0029】
図1中最上部に示される符号RSTは、三相交流の200Vの電気フライヤーへの電源である。電源RSTの図中下方にある符号ELBはブレーカーであり、ブレーカーELBは、当該電気フライヤーが設置される施設内の電気フライヤーから離れた位置に配設されている。電源RSTはブレーカーELBを介して電気フライヤーの電装部と接続されている。
【0030】
電装部には、油槽内の加熱ヒーターHへの通電及び遮断を行う電磁接触器MC1、MC2と、電磁接触器MC1、MC2の制御を含め加熱ヒーターH全体を制御するコントロール部CBとが装備されている。尚、本実施例で電磁接触器は、主電磁接触器MC1とヒーター電磁接触器MC2の2種類が用いられているが、本願発明における電磁接触器は、単数であっても2種以外の複数であってもよい。
【0031】
図3(1)及び
図1に示されるようにブレーカーELBがONであると電源RSTから主電磁接触器MC1とコントロール部CBへ通電される。この時点では、コントロール部CBからの駆動信号出力がなされていないため、主電磁接触器MC1の接点S1は、
図1に示されるように遮断(OFF)されている。このため加熱ヒーターHへ向かう電流は、主電磁接触器MC1で遮断されている。
【0032】
尚、主電磁接触器MC1とコントロール部CBとの間には信号回路C1があり、コントロール部CBは、信号回路C1を通じ、主電磁接触器MC1へ駆動信号を出力する。該駆動信号により、主電磁接触器MC1の接点S1がONとなる。これによりヒーター電磁接触器MC2へと通電される。尚、主電磁接触器MC1の通電を遮断するには、当該信号回路C1を遮断(OFF)して、駆動信号の出力を遮断することにより行う。
【0033】
利用者が当該電気フライヤーの使用を開始する場合、
図3(2)に示されるように、正面パネルにある電源スイッチをONとする。これによりコントロール部CBが動作し、電気フライヤー自体に異常がないと認識した時、
図3(3)に示されるようにコントロール部CBより主電磁接触器MC1へ駆動信号が送られる。
【0034】
これにより
図3(4)に示されるように主電磁接触器MC1の接点S1はONとなり、ヒーター電磁接触器MC2へと通電される。
図1に示されるように、主電磁接触器MC1のOUT側の外部にはリレーRが配置されている。該リレーRは主電磁接触器MC1の接点S1の接触(ON)及び遮断(OFF)に連動するリレー接点R1を有している。
【0035】
該リレーRとコントロール部CBとは接続されており、リレー接点R1のON及びOFFはコントロール部CBへと入力される。従って、ヒーター電磁接触器MC2へと通電される時、
図3(5)のように、コントロール部CBが、リレー接点R1のON、即ち、主電磁接触器MC1の接点S1のONを検出する。
【0036】
ヒーター電磁接触器MC2は、加熱ヒーターHと接続されており、主電磁接触器MC1からの通電を受け、加熱ヒーターHの温度調節を行うものである。ヒーター電磁接触器MC2は、加熱ヒーターHへの通電及び遮断を行う接点S2を有している。加熱スタートスイッチを作動する前では、ヒーター電磁接触器MC2の接点S2は
図1に示されるようにOFFとされているため、加熱ヒーターHへは通電されていない。
【0037】
電気フライヤーで調理を開始する際には、
図3(6)に示すように、操作パネルの加熱スタートスイッチをONとする。この時、コントロール部CBは
図3(7)に示すように、ヒーター電磁接触器MC2に対し駆動信号を出力し、これによりヒーター電磁接触器MC2の接点S2はONとなり、
図3(8)に示すように、ヒーター電磁接触器MC2がONとなる。該駆動信号は、コントロール部CBとヒーター電磁接触器MC2間に設けられた信号回路C2を通じて出力される。これにより、
図3(9)に示すように、加熱ヒーターHにより油槽内の食用油が加熱され、揚げ物料理が行われる。尚、ヒーター電磁接触器MC2の通電を遮断するには、当該信号回路C2を遮断(OFF)して、駆動信号の出力を遮断することにより行う。
【0038】
油槽内には揚げ物料理に適する食用油温度を継続させるため、温度センサーTHが設置されている。加熱ヒーターHの連続加熱により油槽内の食用油の温度が高熱化すると、
図3(10)に示すように、温度センサーTHは設定高温を感知し、コントロール部CBが高温と判断し、
図3(11)のように、信号回路C2を遮断する。これにより、ヒーター電磁接触器MC2の接点S2がOFFとなり、
図3(12)に示すように、ヒーター電磁接触器MC2から加熱ヒーターHに対する通電が遮断される。
【0039】
加熱ヒーターHへの通電OFFの状態が継続すると、油槽内の食用油の温度は低下し、
図3(13)に示されるように温度センサーTHが設定低温を感知し、コントロール部CBが低温と判断し、
図3(14)のようにヒーター電磁接触器MC2へ駆動信号を出力し、
図3(15)のようにヒーター電磁接触器MC2の接点S2をONにする。これにより再度加熱ヒーターHに通電され、加熱が再開される。
【0040】
このようにヒーター電磁接触器MC2による温度制御を行いながら、揚げ物調理を行う訳であるが、何らかの理由でヒーター電磁接触器MC2による温度制御ができなくなると、油槽内の食用油の温度は発火の危険性ある温度まで上昇してしまう。そこで、発火危険温度である約310℃に近い設定温度約280℃を異常高温として、検出するハイリミットHLを油槽内に設置してある。
【0041】
ハイリミットHLは、複数の接点L11、L12を有し、そのうちの一つの接点L11(
図1中左側に示されるL11)を用いて、
図3(16)に示すように、コントロール部CBに対し異常高温感知信号を送り、主電磁接触器MC1及びヒーター電磁接触器MC2の信号回路C1、C2を遮断(OFF)している。但し、
図3(17)では、主電磁接触器MC1の信号回路C1を遮断(OFF)する場合のみを示している。尚、
図1の実施例ではコントロール部CBによる信号回路C1、C2の遮断とは別に、もう一方の接点L12(
図1中右側に示されるL12)を用いて、信号回路C1を直接遮断するようにして2重の安全性を確保している。
【0042】
正常な場合、この信号回路C1、C2のOFFにより、主電磁接触器MC1及びヒーター電磁接触器MC2はOFFとなり、加熱ヒーターHへの通電は遮断され、火災を予防できる。コントロール部CBが、主電磁接触器MC1への信号回路を遮断(OFF)すると、主電磁接触器MC1の接点S1は遮断(OFF)され、これと連動して動くリレーRのリレー接点R1も同様に遮断(OFF)され、コントロール部CBが、リレー接点R1の遮断(OFF)を認識する。
【0043】
主電磁接触器MC1が正常な場合、上記のように通電は遮断され、コントロール部CBはリレー接点R1のOFFを認識するが、主電磁接触器MC1の接点S1が溶着しているような場合、コントロール部CBが信号回路C1を遮断しても、
図3(18)に示すように、主電磁接触器MC1の通電は継続しており、リレー接点R1は、主電磁接触器MC1の接点S1と同様、
図3(19)に示すようにONとなっている。
【0044】
このように、主電磁接触器MC1への信号回路C1が遮断(OFF)されているにもかかわらず、リレーRのリレー接点R1がOFFとされず、ONであることをコントロール部CBが検知すると、
図3(20)に示すように主電磁接触器MC1の接点S1が溶着しているものとコントロール部CBが認識する。
【0045】
主電磁接触器MC1の接点S1が溶着しているものとコントロール部CBが認識すると、
図3(21)に示すようにコントロール部CBは警報部Aを動作させる。警報部Aは、表示及びブザー音により異常を知らせる。この警報部Aの動作は、電気フライヤーの電源スイッチを切ることでは解除できず、
図3(22)に示すようにブレーカーELBを手動で切ることでのみ解除でき、
図3(23)に示されるように警報部Aは動作を停止する。このように、警報の解除にブレーカーELBを切る行為が要求され、ブレーカーELBを切ることで加熱ヒーターHへの通電が遮断されるので、確実な加熱停止ができるものとなった。
【0046】
尚、ブレーカーELBを切ることにより電気フライヤー自体を停止させ、加熱も警報も停止されるが、再度、ブレーカーELBをONとすると、電気フライヤーの電源スイッチをONとしなくても、コントロール部CB及び主電磁接触器MC1への通電が行われる。このとき、主電磁接触器MC1の接点S1が溶着しているため、加熱ヒーターHへ通電される危険がある。しかし、コントロール部CBは、主電磁接触器MC1への駆動信号の出力も、リレー接点R1の遮断も認識しないため、主電磁接触器MC1の接点S1に溶着ありと認識して、警報部Aを動作させる。このようにハイリミットHLからの異常高温検知信号がなくても、警報は発せられ、より安全性を高めている。
【0047】
図1に示す電気フライヤーの安全装置は、主電磁接触器MC1のOUT側の外部にリレーRを設けたものであるが、ヒーター電磁接触器MC2のOUT側の外部にリレーRを設けてもよいし、主電磁接触器MC1及びヒーター電磁接触器MC2のOUT側の外部の2か所にリレーRを設けたものであってもよい。
【0048】
以上、
図1及び
図3に従い、第1実施例に係る安全装置を具備した電気フライヤーについて説明したが、以下、
図2に示される第2実施例に係る安全装置を具備した電気フライヤーについて説明する。
第1実施例と第2実施例との相違は、ハイリミットHLの利用の仕方の相違のみである。即ち、第1実施例ではハイリミットHLは接点L11を利用し、コントロール部CBにて、主電磁接触器MC1及びヒーター電磁接触器MC2への信号回路を遮断し、接点L12を利用して主電磁接触器MC1の信号回路を直接遮断し、両電磁接触器MC1、MC2の通電をOFFさせるものであるが、第2実施例でのハイリミットLHは、接点L21を利用して、コントロール部CBにて、主電磁接触器MC1及びヒーター電磁接触器MC2への信号回路を遮断して、両電磁接触器MC1、MC2の通電をOFFさせるが、他の接点L22は、これを利用して、加熱ヒーターHへの通電回路を直接遮断するようにしたものである。
これにより、何重にも安全を確保することができた。
【符号の説明】
【0049】
RST・・・・・・・・・・・・・・・電源
ELB・・・・・・・・・・・・・・・ブレーカー
CB・・・・・・・・・・・・・・・・コントロール部
MC1・・・・・・・・・・・・・・・主電磁接触器
S1・・・・・・・・・・・・・・・・主電磁接触器接点
R・・・・・・・・・・・・・・・・・リレー
R1・・・・・・・・・・・・・・・・リレー接点
MC2・・・・・・・・・・・・・・・ヒーター電磁接触器
S2・・・・・・・・・・・・・・・・ヒーター電磁接触器接点
H・・・・・・・・・・・・・・・・・加熱ヒーター
TH・・・・・・・・・・・・・・・・温度センサー
HL・・・・・・・・・・・・・・・・ハイリミット
L11、L12、L21、L22・・・ハイリミット接点
C1、C2・・・・・・・・・・・・・信号回路
A・・・・・・・・・・・・・・・・・警報部