【実施例1】
【0044】
図3は本発明実施例の概要の説明図である。本実施例ではヘリコプタのメインボディ3の裏面の固定部(後述)からランディングギア7を取り外し、代わりに上記固定部に輸送用架台20を固定する。この作業は、ヘリコプタをメインシャフト2をクレーン等(図示せず)で吊り上げた状態で行われる。
【0045】
図4は本発明実施例のヘリコプタの輸送用架台の斜視図、
図5は平面図、
図6は側面図である。
図4〜
図6において、21はコ字型鋼材からなる平行な2本の縦フレームである。22は平行な縦フレーム21の前方に直交してネジ止めで固定される前方横フレーム、23は平行な縦フレーム21の後方に直交してネジ止めで固定される後方横フレームである。前方と後方の横フレーム22、23は、角柱鋼材で構成される。
【0046】
縦フレーム21の後方横フレーム23の取付け用孔は長孔に形成され、この長孔に沿った矢印方向に移動可能にねじ止めされる。これによって、メインボディ3の裏面の固定部の間隔に多少誤差があっても、後方横フレーム23の取付け位置の移動調整で、輸送用架台20を確実に固定することができる。
【0047】
24は、前方横フレーム22の上に所定高さで固定される丸パイプ鋼材からなる前方取付け部である。前方取付け部24は、縦フレーム21の底部から高さL1に設定される。
25は、後方横フレーム23の上に前方取付け部24より低い所定高さで固定される丸パイプ鋼材からなる後方取付け部である。
【0048】
前方取付け部24は、両側を前方横フレーム22に固定される所定高さの2個の前脚28を有し、後方取付け部25は、両側を後方横フレーム23に固定される所定高さに2個の後脚30を有する。前脚28と後脚30は共に角柱鋼材で構成され、前脚28の高さ寸法は後脚30より高く設定される。
【0049】
前方取付け部24および後方取付け部25は、それぞれ、ヘリコプタのメインボディ3の裏面の前方固定部と後方固定部(いずれも後述)に取付けられる。
【0050】
前方取付け部24と後方取付け部25は、ヘリコプタから取り外されたランディングギア7の前と後の高さより低い高さ寸法に設定される。この構成により輸送車両の荷台でのヘリコプタの搭載高さを出来るだけ低くなるようにする。
【0051】
各前脚28には、前方取付け部24と接続されるコーナに傾斜部29が形成される。傾斜部29は、前方取付け部24をメインボディ3の裏面に固定するに際し、ヘリコプタから延びている配線や付属物等を挟まないように避けることができる。
【0052】
26は各縦フレーム21の前端を前方に所定長さLだけ突出するように形成された延長部で、36は延長部の先端である。27は延長部26の先端がネジ止めで固定される前方補強フレームで、L形鋼で構成される。
【0053】
31、32は、それぞれ前方取付け部24および後方取付け部25の上面に設けられたずれ防止ピンであり、ヘリコプタ輸送時の振動によるメインボディ3の固定部との横ずれを防止する。
【0054】
33は、2本の縦フレーム21の8か所に設けられた固定フックで、図示しないワイヤによって輸送用架台20を輸送車両の荷台に固定する。前方取付け部24と後方取付け部25を介してヘリコプタを輸送用架台20に固定し、固定フック33を介して輸送用架台20を輸送車両の荷台に固定することにより、ヘリコプタが輸送車両の荷台に固定される。
【0055】
35は、両端が2本の縦フレーム21の中央付近にねじ止め固定された中央補強フレームで、L形鋼で構成されて縦フレーム21の中央部分を補強する。
【0056】
図7〜
図10は、輸送用架台20を組立および分解するときの部品単位を示す説明図である。
図7は前方横フレーム22と前方取付け部24との部品単位の説明図であり、(A)は正面図で、(B)は側面図である。前方取付け部24とその両端が前脚28を介して前方横フレーム22に固定されて部品単位が構成される。
【0057】
図8は後方横フレーム23と後方取付け部25の部品単位の説明図であり、(A)は正面図で、(B)は側面図である。後方取付け部25とその両端が後脚30を介して後方横フレーム23に固定されて部品単位が構成される。
【0058】
図9は前方補強フレーム27及び中央補強フレーム35の2本の部品単位の説明図であり、(A)は正面図で、(B)は側面図である。
図10は縦フレームの1本の部品単位の説明図であり、(A)は正面図で、(B)は側面図である。
【0059】
図7〜
図10に示す輸送用架台20の部品単位は、人力による安全な重量(例えば35kg以下等)で、かつ、組み立て易い単位となるように設定されており、ヘリコプタの格納倉庫などへの運び入れと、輸送用架台20の組立てを容易に敏速に行うことができる。
【0060】
次に、
図11と
図12を用いて、ヘリコプタのメインボディ3の裏面の固定部の構造と、輸送用架台20の取付け方を説明する。13はヘリコプタのメインボディ3の裏面であり、ランディングギア7が取り付けられるU字状溝で形成される前方固定部10と後方固定部11が設けられている。
【0061】
上記ランディングギア7が外された後、前方固定部10と後方固定部11に、それぞれ輸送用架台20の前方取付け部24と後方取付け部25が固定される。
【0062】
前方取付け部24と後方取付け部25は丸パイプ鋼材からなり、それぞれ前方固定部10と後方固定部11のU字状溝に入り込む寸法に設定されている。したがって、U字状溝に入り込んだ状態で、前方取付け部24と後方取付け部25の下面がメインボディ3の裏面13と同一面となる。
【0063】
この状態で、取付け金具12(
図12に破線で示す)をメインボディ3の裏面13に固定する。前方取付け部24は、前方固定部10と取付け金具12に挟まれた状態で固定される。同様にして、後方取付け部25も後方固定部11に固定される。
【0064】
次に、
図13〜
図15を用いて、ヘリコプタのメインボディ3の裏面の固定部からランディングギア7を取り外し、上記固定部に輸送用架台20を固定する作業手順を説明する。
【0065】
先ず、
図13に示すように、メインボディ3とテールブーム6を備えたヘリコプタのメインシャフトをクレーン(図示せず)に水平に吊下げた状態でランディングギア7を取り外す。
【0066】
次いで、
図14に示すように、地面103に配置された輸送用架台20の前方取付け部24と後方取付け部25を目指してヘリコプタを吊降ろし、それぞれメインボディ3の前方固定部10と後方固定部11に嵌め込む。そして、取付け金具12によって、輸送用架台20をメインボディ3の裏面に固定する(
図15)。
【0067】
ヘリコプタは、
図13、
図14では水平姿勢なので、多少揺れても安定した状態でランディングギア7の取外しと輸送用架台20の取付けが行われる。
【0068】
前方取付け部24が後方取付け部25より高さが高いので、輸送用架台20が取付けられた状態のヘリコプタは、
図14の水平から少し後傾した姿勢となる。
【0069】
ヘリコプタの輸送車両への積込みは、
図15〜
図18に示す手順で行われる。先ず、
図15の状態からメインシャフトをクレーン(図示せず)で水平に吊上げ、
図16のように輸送車両100の荷台101の上方に移動する。輸送車両100は、例えばトレーラである。
【0070】
ヘリコプタは水平に維持された状態で移動し、輸送用架台20の下面が荷台101に接するように吊降ろされ、
図17に示すように、後傾した姿勢で設置される。ヘリコプタは、水平姿勢の状態で荷台101に吊り降ろされるので、風などで多少揺れても安定した状態で荷台101に設置される。
【0071】
ところで、トレーラを使い公道で輸送するためには予め特殊車両の通行許可を取得する必要がある。ここで、
図17に示す荷台101に搭載された状態(実線で示される)は、
図23と同様にテールブーム6が荷台101から後方に大きく突出している。この場合、規定される積載寸法を超えてテールブーム6が突出することから、上記通行許可の取得により多くの時間を要すことがあり、結果的に輸送上のコストアップ要因が生じる。
【0072】
本実施例では、
図17に破線で示すように、テールブーム6をメインボディ3から分離し、荷台101にはメインボディ3のみを搭載する(
図18)。分離したテールブーム6は、別のトラック(不図示)で運搬される。このようにテールブーム6を分割し、荷台101の規定寸法から積載物(ヘリコプタのメインボディ3)がはみ出ないようにすることで、上述の通行許可の取得に対してより優位な条件に設定できるとともに、公道輸送時におけるリスクを低減し、安全に輸送することができる。
【0073】
なお、テールブーム6は、別のトラックの荷台から後方に突出しない様に、図示しない支持物によって水平安定板5の支持軸等が支持され、荷台に固定される。
【0074】
図18に示す状態で、目的地(飛行場など)に到着したヘリコプタは、荷台101からクレーンによってメインボディ3が吊上げられ、地面に降ろされる。
【0075】
輸送車両100の荷台101上のメインボディ3は、テールブーム6が分離されているので、メインシャフトで吊り上げられると、
図19に示すように前傾姿勢となる。テールブーム6が分離されることにより、メインボディ3の重心が前に移動したためである。
【0076】
メインボディ3は、荷台101から離れる間際は、前傾したメインボディ3の先端が荷台101に接近する。本実施例では、荷台101から離れる間際は、
図19に示すように、輸送用架台20の縦フレーム21の先端36が荷台101に最後まで接触し、メインボディ3の先端が荷台101に接触するのを避けている。
【0077】
クレーンによって吊上げられたメインボディ3は、所定場所に移動して吊降ろされる。地面103に降ろされる場合は、
図20に示すようにメインボディ3が前傾姿勢で吊降ろされるが、輸送用架台20の縦フレーム21の先端36が地面103に最初に接触し、さらに吊降ろされると、縦フレーム21の全体が地面103に接触する。
【0078】
このように、前傾姿勢のメインボディ3の荷台からの吊上げ(
図19)と、地面への吊降ろし(
図20)では、輸送用架台20の縦フレーム21の先端36が荷台101や地面103に直接接触し、メインボディ3の下端が荷台101や地面103に直接接触することが無い。
【0079】
したがって、ヘリコプタの全体重量の大部分を占めるメインボディ3が、直接荷台101や地面103に接触することがないので、その重量によるメインボディ3の損傷を防止でき、安全にヘリコプタの積み降ろしを行うことができる。
【0080】
地面103に設置された後、メインボディ3にテールブーム6が取り付けられる。そして、クレーンで再度メインシャフト2を吊上げてヘリコプタを水平姿勢に維持した状態で、前方固定部10と後方固定部11から輸送用架台20を取り外し、代わりにランディングギア7を取り付ける。
【0081】
次に、メインボディ3の下端が荷台101や地面103に直接接触しないようにするための輸送用架台20の寸法の設定について述べる。
【0082】
図21に示すように、吊上げ状態のメインボディ3の下端位置をH1、輸送用架台20の延長部26の先端36の位置をH2、位置H1とH2の差をDとする。吊上げ状態で、メインボディ3の下端が荷台や地面に直接接触しないようにするには、位置H1より位置H2が下に位置する必要がある。
【0083】
本実施例では、テールブーム6が分離されている状態のメインボディ3を上記メインシャフト2から吊上げたとき、輸送用架台20の延長部26の先端36の位置H2が、上記メインボディの最下端の位置H1より下に位置するように、延長部26の長さLを設定している。
【0084】
輸送用架台20の前方固定部10の高さ寸法L1またはLの寸法を大きく設定すると、位置H1とH2の差Dが大きくなるので、メインボディ3は荷台や地面に接触しにくくなってより安全となる。
【0085】
しかし、L1を大きく設定すると、輸送用架台20の高さ寸法が大きくなるので、荷台でのヘリコプタの搭載高さが高くなって、好ましくない。
【0086】
したがって、L1を大きくすることなく、延長部26の長さLの寸法を調整することで、メインボディ3が荷台や地面に直接接触しない程度の安全な大きさに設定すれば、ヘリコプタの搭載高さを低く抑えた状態で、メインボディ3の損傷を防止することができる。
【0087】
延長部26の長さLの設定値は、例えば、メインボディ3をメインシャフト2で吊上げたとき、クレーン(図示せず)の先端を中心とする搖動時の、輸送用架台20の延長部26の搖動軌跡より、メインボディ3の搖動軌跡が距離Dだけ内側に位置するように設定される。
【0088】
ヘリコプタは目的に沿った仕様に基づいて取付け部品が決まるので、メインボディ3の重量配分が異なってくる。したがって、輸送用架台20は、実際のヘリコプタに合わせてメインボディの損傷を防止するための寸法設定が必要となる。