(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コントローラは、前記撮像装置からの信号に基づいて前記撮像装置が異常状態または停止状態にあるか否かを判定し、前記撮像装置が前記異常状態または前記停止状態にあると判定した場合、前記調光ミラーの前記反射率を上昇させる請求項1に記載のサイドミラー装置。
前記コントローラは、前記撮像装置によって生成された画像に、輝度の代表値が所定値より高い高輝度領域があると、前記高輝度領域に対応する前記調光ミラーの部分の前記透過率を低下させる請求項1または2に記載のサイドミラー装置。
車両に搭載され、透過率および反射率が変更可能な調光ミラーと、撮像光学系を含み、前記調光ミラーの反射面とは反対側の面に対向して前記撮像光学系が配置される撮像装置と、前記撮像装置からの信号に基づいて前記撮像装置が異常状態または停止状態にあるか否かを判定し、前記撮像装置が異常状態または停止状態であると判定した場合、前記調光ミラーの反射率を上昇させ、前記撮像装置の露光時間が所定時間未満であると、前記調光ミラーの前記透過率を低下させるコントローラと、を含むサイドミラー装置と、
前記撮像装置が前記異常状態または前記停止状態である判定された場合、前記異常状態または前記停止状態を示す情報を表示する表示装置と、
を備えるサイドミラーシステム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
本開示の一実施形態にかかるサイドミラーシステム1は、
図1に示すように、サイドミラー装置2と、表示装置3とを備え、車両4に搭載される。2つのサイドミラーシステム1が車両4に搭載されてもよい。
【0013】
本開示における「車両」は、自動車および産業車両を含むが、これに限られず、鉄道車両および生活車両、滑走路を走行する固定翼機を含めてよい。自動車は、乗用車、トラック、バス、二輪車、およびトロリーバス等を含むがこれに限られず、道路上を走行する他の車両を含んでよい。産業車両は、農業および建設向けの産業車両を含む。産業車両は、フォークリフト、およびゴルフカートを含むがこれに限られない。農業向けの産業車両は、トラクター、耕耘機、移植機、バインダー、コンバイン、および芝刈り機を含むが、これに限られない。建設向けの産業車両は、ブルドーザー、スクレーバー、ショベルカー、クレーン車、ダンプカー、およびロードローラを含むが、これに限られない。車両は、人力で走行するものを含む。なお、車両の分類は、上述に限られない。例えば、自動車は、道路を走行可能な産業車両を含んでよく、複数の分類に同じ車両が含まれてよい。
【0014】
サイドミラー装置2は、
図2に示すように、ミラーユニット21と、撮像装置22と、ミラー制御部23とを含んで構成される。
【0015】
ミラーユニット21は、
図3に示すように、調光ミラー211と、ミラー筺体212とを含んで構成される。
【0016】
調光ミラー211は、
図4に示すように、複数のミラーセグメント211aによって構成される。複数のミラーセグメント211aは、面内方向に互いに隣接して配列される。
図4に示す例では、各ミラーセグメント211aは矩形であるがこの限りではない。各ミラーセグメント211aは任意の形状であってよい。
図4に示す例では、調光ミラー211は、所定方向に4個、所定方向に直交する方向に7個、配列された合計28個のミラーセグメント211aから構成されるが、この限りではない。調光ミラー211は、任意の個数のミラーセグメント211aから構成されてよい。
【0017】
各ミラーセグメント211aは、後述するコントローラ232の制御により透過率および反射率が変化するミラーである。各ミラーセグメント211aの透過率が上昇すると反射率が低下する。各ミラーセグメント211aの透過率が低下すると反射率が上昇する。一例として、各ミラーセグメント211aは、透明基材、透明電極、調光ミラー層、触媒層、接着性電解質、およびイオン貯蔵層を含む。コントローラ232の制御によって所定の極性の電圧が印加されると、各ミラーセグメント211aのイオン貯蔵層中の水素イオンが調光ミラー層に移動する。調光ミラー層は水素イオンと反応することによって透明な金属水素化物に変化する。これによって、調光ミラー211の透過率が上昇し、反射率が低下する。コントローラ232の制御によって、所定の極性と反対の極性の電圧が印加されると、各ミラーセグメント211aの金属水素化物から水素イオンが離脱して金属に変化する。これによって、各ミラーセグメント211aの透過率は低下し、反射率が上昇する。各ミラーセグメント211aがコントローラ232によって独立して制御されることによって、各ミラーセグメント211aの透過率はそれぞれ独立して変更可能である。
【0018】
調光ミラー211は、
図3〜
図5に示すように、平面部211bと曲面部211cとを有してよい。平面部211bは、調光ミラー211において平面により構成される部分である。曲面部211cは、調光ミラー211において曲面により構成される部分である。曲面部211cは、平面部211bより車両4の本体に対して遠くに配置される。言い換えれば、車両4内に着席する運転者にとって、曲面部211cより平面部211bが近くにあってよい。
【0019】
調光ミラー211は、車両4の後方または側方から平面部211bに入射した光の少なくとも一部が反射された場合に、反射された光が運転者席に座った運転者の眼に到達するように配置される。例えば、調光ミラー211は、車体の側面であって、運転者の眼の位置より前方に配置される。
図1に示したように、2つのサイドミラーシステム1が車両4に搭載される場合、2つのサイドミラーシステム1がそれぞれ備える2つの調光ミラー211は、車体の左右それぞれの外側面に配置される。
【0020】
ミラー筺体212は、調光ミラー211とともに、調光ミラー211の反射面211rを少なくとも一の外側面としたケースを構成する。
【0021】
撮像装置22は、
図5および
図6に示すように、調光ミラー211とミラー筺体212とによって構成されたケース内に収容される。撮像装置22は、
図2に示したように、撮像光学系221と、撮像素子222と、プロセッサ223と、通信部224とを含んで構成される。
【0022】
撮像光学系221は、1つ以上のレンズを含んで構成される。撮像光学系221は、被写体から入射した光を撮像素子222の撮像面において被写体像として結像させる。レンズは、広角レンズを採用しうる。
図5に示したように、撮像装置22は、撮像光学系221が調光ミラー211の反射面211rとは反対側の面に対向するように配置される。
【0023】
撮像素子222は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサまたはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等で構成される。撮像素子222は、撮像光学系221が構成するレンズの光軸OXに垂直に取り付けられる。撮像素子222は、被写体像を撮像して、画像を生成する。具体的には、撮像素子222は、撮像光学系221によって結像された被写体像を光電変換することによって画像信号を生成する。
【0024】
プロセッサ223は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであってよい。プロセッサ223は、公知の方法により被写体の輝度に基づいて露光時間およびゲインを決定する。例えば、プロセッサ223は、撮像素子222が受光した光の光量に基づいて露光時間およびゲインを決定してよい。この場合、プロセッサ223は、撮像素子222が受光した光の光量が多いほど、露光時間を短く決定する。プロセッサ223は、撮像素子222が受光した光の光量が多いほど、ゲインを低く決定する。プロセッサ223は、決定した露光時間およびゲインで撮像素子222に被写体像を撮像させることにより画像を生成させる。
【0025】
プロセッサ223は、撮像素子222によって生成された画像の歪みを補正してよい。
【0026】
例えば、上述のように、撮像光学系221に含まれるレンズが広角レンズである場合、プロセッサ223は、広角レンズにより画像に発生した歪みを、公知の方法により補正してよい。
【0027】
例えば、プロセッサ223は、曲面部211cを透過した光により撮像された、画像の領域を補正してよい。上述したように、調光ミラー211は、平面部211bおよび曲面部211cを有する。
図7に示すように、平面部211bに入射する光L
bの光路に対する、屈折を経て射出された光L
bの光路の変化は、光L
bの入射位置が異なっても同一である。これに対して、曲面部211cに入射する光L
cの光路に対する、屈折を経て射出された光L
cの光路の変化は、曲面部211cにおける光L
cの入射位置によって異なる。したがって、曲面部211cを透過した光により形成された画像の部分は歪むことがある。プロセッサ223は、曲面部211cの曲率、厚さ等の特性に応じて予め定められた歪み補正テーブルを用いて、歪みを補正してよい。
【0028】
プロセッサ223は、通信部224が、撮像素子222によって生成された画像信号をミラー制御部23および表示装置3に送信するよう制御する。プロセッサ223は、上述のように歪みを補正する場合、通信部224が、補正された画像を示す画像信号をミラー制御部23および表示装置3に送信するよう制御する。プロセッサ223は、通信部224が、露光時間を示す露光時間信号をミラー制御部23に送信するよう制御する。
【0029】
プロセッサ223は、公知の方法により撮像素子222の異常を検出する。プロセッサ223は、異常が検出された場合、通信部224が異常信号を送信するよう制御する。異常信号は、撮像素子222に異常が検出されたことを示す信号である。
【0030】
通信部224は、プロセッサ223の制御により各種の信号を送信する。具体的には、通信部224は、画像信号を表示装置3に送信する。通信部224は、露光時間信号をミラー制御部23に送信する。通信部224は、異常信号をミラー制御部23に送信する。
【0031】
ミラー制御部23は、
図2に示したように、通信部231とコントローラ232とを含んで構成される。
【0032】
通信部231は、各種の信号を表示装置3および撮像装置22から受信する。例えば、通信部231は、撮像装置22から異常信号を受信する。通信部231は、撮像装置22から画像信号を受信する。通信部231は、撮像装置22から露光時間信号を受信する。
【0033】
コントローラ232は、例えばCPU等のプロセッサであってよい。コントローラ232は、他の構成要素が統合されたSoC(System-on-a-Chip)等の集積回路であってもよい。コントローラ232は、複数の集積回路を組み合わせて構成されてもよい。
【0034】
コントローラ232は、撮像装置22から受信した各種の信号に基づいて、調光ミラー211の透過率および反射率を制御する。コントローラ232による各種の信号に基づく制御には、各種の信号を受信したか否かに基づく制御を含む。ここで、コントローラ232が実行する調光ミラー211の制御の詳細について説明する。
【0035】
コントローラ232は、撮像装置22が異常状態または停止状態であるか否かを判定する。具体的には、コントローラ232は、撮像装置22から異常信号を受信した場合、撮像装置22が異常状態であると判定する。コントローラ232は、撮像装置22から信号を受信しない場合、撮像装置22が異常状態または停止状態にあると判定する。コントローラ232は、撮像装置22が異常状態または停止状態であると判定すると、調光ミラー211の反射率を現在の反射率以上に上昇させてよい。コントローラ232は、例えば、調光ミラー211の透過率を、該調光ミラー211が実現しうる反射率の最大値にまで上昇させてよい。
【0036】
コントローラ232は、撮像装置22から送信された露光時間信号で示される露光時間に基づいて調光ミラー211を制御してよい。具体的には、コントローラ232は、露光時間が所定時間以上であるか否かを判定する。所定時間は、例えば、商用電源周波数の1周期の時間であってよい。コントローラ232は、撮像装置22の露光時間が所定時間未満であると判定すると、調光ミラー211の透過率を低下させる。コントローラ232は、プロセッサ223によって決定された露光時間が所定時間以上になるまで調光ミラー211の透過率を低下させてよい。
【0037】
ここで、信号機および他車両のヘッドライトのような所定周波数で点滅する光源が被写体に含まれる場合に、撮像装置22によって生成される画像について説明する。所定周波数で点滅する光源は、例えば、LED(Light Emitting Diode)またはHID(High Intensity Discharge)である。上述したように、プロセッサ223は、被写体の輝度が高いほど露光時間を短く決定する。
図8に示すように、プロセッサ223によって決定された露光時間が光源の周期より短い場合、第1フレームの撮像においては露光時間が光源の点灯時間に対応し、第2フレームの撮像においては露光時間が光源の消灯時間に対応することがある。この場合、撮像装置22が同一の被写体を撮像していても第1フレームと第2フレームとの画像における輝度が異なるため、複数の画像を連続して再生した映像にフリッカが発生することがある。
【0038】
上述したように、コントローラ232が調光ミラー211の透過率を低下させると、プロセッサ223は、露光時間を長くするよう決定する。これにより、
図9に示すように、第1フレームおよび第2フレームそれぞれの撮像時間における露光時間に光源の点灯時間および消灯時間の両方が含まれ、第1フレームと第2フレームとの画像の輝度の差が低減されうる。したがって、複数の画像を連続して再生した映像に発生するフリッカが低減されうる。
【0039】
コントローラ232は、撮像素子222によって生成された画像を構成する画素の輝度値に基づいて調光ミラー211を制御してよい。具体的には、コントローラ232は、
図4に示したような画像Imに含まれる複数の領域Imaそれぞれについて、各領域Imaに含まれる複数の画素の輝度値の代表値を算出する。代表値は、複数の画素の輝度値に統計的な演算を施した値であり、例えば、平均値、中央値等である。コントローラ232は、各領域Imaにおける代表値が所定値以上であるか否かを判定する。コントローラ232は、輝度の代表値が所定値以上である領域Ima(高輝度領域)があると判定すると、高輝度領域に対応する調光ミラー211の部分の透過率を低下させる。高輝度領域に対応する調光ミラー211の部分とは、複数のミラーセグメント211aのうち、高輝度領域を形成する光が透過するミラーセグメント211aである。
【0040】
コントローラ232は、ユーザによって入力された命令に基づいて、表示装置3が、撮像装置22によって生成された画像を拡大または縮小して表示するよう制御してよい。コントローラ232は、ユーザによって入力された命令に基づいて、表示装置3に表示される画像の明るさを制御してよい。
【0041】
コントローラ232は、通信部231が、撮像装置22から異常信号を受信した場合、撮像装置22が異常状態であることを示す信号を表示装置3に送信させる。コントローラ232は、通信部231が、撮像装置22から画像信号を受信しなかった場合、撮像装置22が異常状態または停止状態であることを示す信号を表示装置3に送信させる。
【0042】
表示装置3は、コントローラ232によって撮像装置22が異常状態または停止状態であると判定されると、異常状態または停止状態を示す情報を表示する。具体的には、表示装置3は、コントローラ232の制御により通信部231から送信された、撮像装置22が異常状態または停止状態であることを示す信号を受信すると、撮像装置22に異常状態または停止状態であることを示す情報を表示する。
【0043】
続いて、
図10のフローチャートを用いて、コントローラ232による調光ミラー211の制御について説明する。コントローラ232は、サイドミラー装置2が起動されると、処理を開始する。
【0044】
まず、コントローラ232は、撮像装置22から異常信号を受信したか否かを判定する(ステップS11)。
【0045】
コントローラ232は、異常信号を受信しなかったと判定すると、撮像装置22から画像信号を受信したか否かを判定する(ステップS12)。
【0046】
コントローラ232は、ステップS12で画像信号を受信した場合、撮像装置22から露光時間信号を受信する(ステップS13)。
【0047】
次に、コントローラ232は、ステップS13で受信した露光時間信号によって示される露光時間が所定時間未満であるか否かを判定する(ステップS14)。
【0048】
コントローラ232は、露光時間が所定時間以上であると判定すると、調光ミラー211の透過率を維持する(ステップS15)。
【0049】
コントローラ232は、露光時間が所定時間未満であると判定すると、調光ミラー211の透過率を低下させる(ステップS16)。
【0050】
次に、コントローラ232は、撮像装置22から受信した画像信号によって示される画像に、輝度の代表値が所定値以上の高輝度領域があるか否かを判定する(ステップS17)。
【0051】
コントローラ232は、画像に高輝度領域があると判定した場合、該高輝度領域に対応するミラーセグメント211aの透過率を低下させる(ステップS18)。
【0052】
コントローラ232は、ステップS11で異常信号を受信したと判定した場合、あるいはステップS12で画像信号を受信しなかったと判定した場合、調光ミラー211の反射率を上昇させる(ステップS19)。
【0053】
次に、コントローラ232は、通信部231が、撮像装置22の異常または停止を示す信号を表示装置3に送信するよう制御する(ステップS20)。
【0054】
次に、コントローラ232は、通信部231が、表示装置3を停止させるための停止信号を送信するよう制御する(ステップS21)。ステップS11で異常信号を受信していた場合、コントローラ232は、通信部231が、撮像装置22を停止させるための停止信号を送信するよう制御する(ステップS21)。
【0055】
以上説明したように、本実施形態によれば、サイドミラー装置2は、車両4に搭載された調光ミラー211と、撮像装置22と、調光ミラー211の透過率を制御するコントローラ232とを備える。このため、調光ミラー211の透過率および反射率は環境に応じて変更されうる。したがって、運転者は、調光ミラー211を介して撮像装置22が生成した画像、または調光ミラー211に反射され直接視界に入る像のいずれかによりを車両4の後方および側方を良好に視認することができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、コントローラ232は、撮像装置22が異常状態または停止状態であると判定すると、調光ミラー211の反射率を上昇させる。撮像装置22が正常に動作しない場合、運転者は表示装置3により画像を視認できなくなる。このとき、透過率が低下することによって調光ミラー211の反射率が上昇するため、運転者は、反射率の高い調光ミラー211を介して車両4の後方および側方を良好に視認することができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、コントローラ232は、撮像装置22の露光時間が所定時間より短いと判定すると、調光ミラー211の透過率を低下させる。調光ミラー211の透過率が低下されると、上述したように、プロセッサ223は、露光時間を長くするよう決定する。このため、被写体に周期的に点滅する光源を含む場合に、各フレームの撮像時間における露光時間に光源の点灯時間および消灯時間の両方が含まれ、同一の被写体の像を含む複数の画像における輝度の差が低減されうる。したがって、これらの画像を連続して再生した映像に発生するフリッカが低減されうる。
【0058】
また、本実施形態によれば、コントローラ232は、画像に、高輝度領域があると判定すると、該高輝度領域に対応するミラーセグメント211aの透過率を低下させる。これによって、プロセッサ223が高輝度領域に起因して露光時間を短縮したり、ゲインを低下させたりすることによって、高輝度領域以外の領域の輝度が下がり、運転者が画像を視認しにくくなることが回避されうる。
【0059】
また、本実施形態によれば、調光ミラー211は、曲面により構成される曲面部211cを少なくとも含む。例えば、
図11に示す比較例のように、調光ミラー211が平面部211bのみによって構成される場合、撮像光学系221に入射すべき光の一部がミラー筺体212に遮断されて入射できないことがある。そのため、特に、撮像光学系221が広角レンズを含む場合、運転者が視認すべき範囲の被写体が撮像されえないことがある。調光ミラー211が平面部211bのみによって構成される場合であっても、
図12に示す比較例のように、調光ミラー211が本実施形態の調光ミラー211のミラー面より大きくされることによって、運転者が視認すべき範囲の被写体が撮像されえる。しかし、この場合、サイドミラー装置2が大型化し、車両4が狭路を運転するときに、道路沿いの障害物、建造物等に接触しやすいといった不都合が発生することがある。これに対して、本実施形態では、調光ミラー211は曲面部211cを少なくとも含む。このため、サイドミラー装置2の大型化が回避され、かつ、撮像装置22は、運転者が視認すべき範囲の被写体を撮像することができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、撮像装置22は曲面部211cに対応する画像の領域を補正する。上述したように、曲面部211cを透過した光が撮像素子222に到達することによって生成された画像の部分は歪むことがある。本実施形態では、撮像装置22は、該歪みを補正する。このため、運転者は歪みの補正された画像を視認することができる。
【0061】
また、本実施形態によれば、表示装置3は、コントローラ232によって撮像装置22が異常状態または停止状態であると判定されると、異常状態または停止状態を示す情報を表示する。このため、運転者は、撮像装置22に異常が発生していること、および撮像装置22が停止していることを認識することができる。したがって、運転者は、表示装置3を介してではなく、調光ミラー211を介して周辺を視認するよう留意することができる。
【0062】
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨および範囲内で、多くの変更および置換ができることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限されるものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形または変更が可能である。例えば、実施形態および実施例に記載の複数の構成ブロックを1つに組合せたり、あるいは1つの構成ブロックを分割したりすることが可能である。
【0063】
上述の実施形態では、撮像装置22のプロセッサ223が歪みを補正するとしたが、この限りではない。例えば、プロセッサ223は、通信部224が、歪みが補正される前の画像を示す画像信号をミラー制御部23に送信するよう制御してもよい。そして、ミラー制御部23の通信部231が画像信号を受信し、コントローラ232が、画像信号によって示される画像の歪みを補正してもよい。
【0064】
上述の実施形態では、通信部224が画像信号を表示装置3に送信するとしたが、この限りではない。例えば、ミラー制御部23が、撮像装置22から受信した画像信号を表示装置3に送信してもよい。特に、撮像装置22のプロセッサ223ではなくミラー制御部23のコントローラ232が画像の歪みを補正する場合、ミラー制御部23の通信部231が補正された画像を示す画像信号を表示装置3に送信する。
【0065】
上述の実施形態では、プロセッサ223は、撮像素子222が受光した光の光量に基づいて露光時間およびゲインを決定するとしたが、この限りではない。例えば、プロセッサ223は、輝度センサに被写体の輝度を検出させてもよい。この場合、輝度センサは、撮像装置22に内蔵されてもよいし、撮像装置22とは別体で構成されてもよい。プロセッサ223は、輝度センサにより検出された輝度が高いほど、露光時間を短く決定する。プロセッサ223は、輝度センサにより検出された輝度が高いほど、ゲインを低く決定する。
【0066】
上述の実施形態では、コントローラ232は、撮像装置22から受信した各種の信号に基づいて調光ミラー211を制御するとしたが、この限りではない。コントローラ232は、撮像装置22とは別体の各種の装置または機器から送信された信号に基づいて調光ミラー211を制御してもよい。例えば、コントローラ232は、輝度センサにより検出された輝度を示す輝度信号を受信してよい。コントローラ232は、受信した輝度信号に基づいて調光ミラー211を制御してよい。
【0067】
上述の実施形態では、コントローラ232は、ステップS12で画像信号を受信したと判定すると、ステップS13からステップS18の処理を実行するとしたが、これに限られない。例えば、コントローラ232は、ステップS13からステップS18の処理のうち、ステップS13からステップS16までの処理のみを実行してもよい。例えば、コントローラ232は、ステップS13からステップS18の処理のうち、ステップS17およびステップS18の処理のみを実行してもよい。