特許第6933991号(P6933991)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6933991
(24)【登録日】2021年8月24日
(45)【発行日】2021年9月8日
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/56 20060101AFI20210826BHJP
   A47C 7/74 20060101ALI20210826BHJP
【FI】
   B60N2/56
   A47C7/74 C
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-52114(P2018-52114)
(22)【出願日】2018年3月20日
(65)【公開番号】特開2019-162948(P2019-162948A)
(43)【公開日】2019年9月26日
【審査請求日】2020年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133098
【氏名又は名称】株式会社タチエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】荒田 和善
(72)【発明者】
【氏名】筒井 孝夫
【審査官】 松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−276859(JP,A)
【文献】 特開2015−217776(JP,A)
【文献】 特開2016−022864(JP,A)
【文献】 特開2005−095342(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0227389(US,A1)
【文献】 特開2014−054500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/56
A47C 7/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風ファンと、
前記送風ファンから送り出された空気の通路を形成する送風用チャンバーと、
前記送風用チャンバーを挟み込み前記送風用チャンバーから送られた空気を通すための穴が複数の箇所に形成されたウレタンパッドと
を備えた車両用シートであって、
前記送風用チャンバーは、上面側チャンバーと前記上面側チャンバーと対向して設けられた下面側チャンバーとを有し、前記上面側チャンバー又は前記下面側チャンバーには複数の突起状の部材が形成されており、前記上面側チャンバーと前記下面側チャンバーとの前記対向する面の間隔が前記複数の突起状の部材で維持されており、
前記上面側チャンバー及び前記下面側チャンバーは樹脂で形成されており、前記上面側チャンバー又は前記下面側チャンバーの前記複数の突起状の部材が形成されている部分、及び、前記ウレタンパッドに形成された前記穴と重なる位置に形成された前記上面側チャンバーの穴の周辺の部分の間における前記樹脂の厚さが前記複数の突起状の部材が形成されている部分、及び、前記上面側チャンバーの前記穴の周辺の部分の前記樹脂よりも薄く形成されていることを特徴とする車両用シート。
【請求項2】
請求項1記載の車両用シートであって、前記送風用チャンバーの前記上面側チャンバーは、前記ウレタンパッドの前記穴が形成された前記複数の箇所を含む領域を面状に覆うように形成されていることを特徴とする車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のシートに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用シートには、送風ファンを備えて、この送風ファンから送られた空気をパッドの内部に形成されたダクトを通して、シートクッションの表面やシートバックの表面から排出させて、着座面の温度を調整する機能を備えたものがある。
【0003】
このような構成を備えたシートバックについて、例えば特許文献1には、一対の分割型からなり、ダクト経路にエア導入口とエア噴出口とを有する配風用ダクトがセットされ、発泡原料の注入及び型閉じを経て、ダクトを埋設してシートパッドを発泡成形するダクト入りシートパッド用発泡型であって、一の前記分割型の型面で、エア導入口又はエア噴出口に対応する部位に半球状の突部が設けられ、両分割型の型閉じにより、型内にセットされたダクトに係るエア導入口内又はエア噴出口内へ突部が入り込んで、そのエア導入口又はエア噴出口64を塞ぐようにして、ダクト経路にエア導入口とエア噴出口がある配風用ダクトを埋設してシートパッドを一体発泡成形する際、発泡原料がエア導入口やエア噴出口からダクト内に侵入するのを阻止できるようにしたダクト入りシートパッド用発泡型について記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、排気用ファンから、取付けブラケットを介してクッション部材に送風する構成について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−105816号公報
【特許文献2】特開2003−165325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
車両用シートのニーズの一つとして、シートを薄型化して車内の空間をできるだけ広くするようにすることがある。このシートを薄型化する上では、シートバックを空調するためにシートバック側に取り付けられた送風ファンがシートの厚みを決める要因の一つになっている。
【0007】
シートバック側に取り付けられた空調用の送風ファンから送られた空気は、特許文献1に記載されているように、シートバックの内部に配置されたダクトを通ってシートパッドに形成された空気噴出し穴を通ってシートバックの表面に噴出される構成となっている。
【0008】
このような構成においては、シートバックの各部から空気を噴出させるために、ダクトには細長い管路が形成されている。このような細長い管路の先端部分付近からもシートパッドに形成された空気噴出し穴から十分に空気を噴出させるようにするためには、送風ファンの容量をある程度大きくしなければならない。
【0009】
このような容量の大きい送風ファンを用いた場合、特許文献2に記載されているように、取付けブラケットを介して排気用ファンからクッション部材に形成された貫通穴に送風するような構成となり、送風ファンの大きさ(厚さ)がシートを薄型化する上で、シートの厚みを決定する要因の一つになってしまう。
【0010】
本発明は、上記したような従来技術の課題を解決して、シートの薄型化を実現する上で、送風ファンの厚さがシートの厚みを決定する要因の一つとならないような、比較的容量が小さい送風ファンを使えるような車両用シートを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
また、上記した課題を解決するために、本発明では、送風ファンと、この送風ファンから送り出された空気の通路を形成する送風用チャンバーと、送風用チャンバーを挟み込み送風チャンバーから送られた空気を通すための穴が複数の箇所に形成されたウレタンパッドとを備えた車両用シートにおいて、送風用チャンバーを、上面側チャンバーとこの上面側チャンバーと対向して設けられた下面側チャンバーとを有し、上面側チャンバー又は下面側チャンバーには複数の突起状の部材が形成されており、上面側チャンバーと下面側チャンバーとの対向する面の間隔が複数の突起状の部材で維持されており、上面側チャンバー及び下面側チャンバーは樹脂で形成されており、上面側チャンバー又は下面側チャンバーの複数の突起状の部材が形成されている部分、及び、ウレタンパッドに形成された穴と重なる位置に形成された上面側チャンバーの穴の周辺の部分の間における樹脂の厚さが複数の突起状の部材が形成されている部分、及び、上面側チャンバーの穴の周辺の部分の樹脂よりも薄く形成されるように構成した。

【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、送風ファンから送り出された空気をシートの表面から噴出させるためにシートの内部に形成された送風用の通路を空気抵抗ができるだけ小さくなるような構造とすることにより、送風ファンの容量が従来と比べて小さく厚みの薄い小型の送風ファンを採用することを可能にし、シートを薄型化することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る車両用シートの外観を示す車両用シートの斜視図である。
図2】本発明の実施例1に係る車両用シートのシートバックの図1におけるA−A断面矢視図である。
図3】本発明の実施例1に係る車両用シートのシートバックの図2におけるB部を拡大した断面図である。
図4】本発明の実施例1に係る車両用シートのシートバックの上面側ウレタンパッドの斜視図である。
図5】本発明の実施例1に係る車両用シートのシートバックの送風用チャンバーのうち上面側チャンバの斜視図である。
図6】本発明の実施例1に係る車両用シートのシートバックの送風用チャンバーのうち下面側チャンバの斜視図である。
図7】本発明の実施例1に係る車両用シートのシートバックの送風用チャンバーの端部付近の断面図である。
図8】本発明の実施例1に係る車両用シートのシートバックの下面側ウレタンパッドの斜視図である。
図9】本発明の実施例1に係る車両用シートのシートバックの送風用チャンバーの上面側チャンバに1対の穴3314と3315とを複数個所に設けた状態を示す上面側チャンバの斜視図である。
図10】本発明の実施例1に係る車両用シートのシートバックにおいて、送風用チャンバーの上面側チャンバに設けた1対の穴3314と3315との間の部分に上面側ウレタンパッド31の表面を覆う表皮部材312の縫合部分313を吊り込むための吊り込み部材314を取り付けた状態を示す車両用シートのシートバックの部分断面図である。
図11】本発明の実施例2に係る車両用シートのシートバックの送風用チャンバーの断面図である。
図12】本発明の実施例2に係る車両用シートのシートバックの送風用チャンバーの平面図である。
図13】本発明の実施例3に係る車両用シートのシートバックの送風用チャンバーの断面図である。
図14】本発明の実施例3に係る車両用シートのシートバックの送風用チャンバーの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、送風ファンから送り出された空気をシートの表面から噴出させるためにシートの内部に形成された送風用の通路(従来のダクトに相当)を、空気抵抗ができるだけ小さくなるような構造にしたものである。これにより、送風ファンの容量を従来と比べて小さくすることを可能にし、従来と比べて厚みの薄い小型の送風ファンを採用することを可能にしたものである。これにより、シートを薄型化することを可能にした。
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、図を用いて説明する。なお、本発明は以下に説明する実施例に限定されるものではなく,様々な変形例が含まれる。下記に説明する実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明するものであり,必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また,ある実施例の構成の一部を他の実施例に置き換えることが可能であり,また,ある実施例の構成に他の実施例を加えることも可能である。また,各実施例の構成の一部について,他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【実施例1】
【0017】
本発明に係る車両用シート1の外観を図1に示す。本発明に係る車両用シート1は、搭乗者が着座するシートクッション2、シートクッション2に着座した搭乗者が背をもたれかけるシートバック3、搭乗者の頭部を支えるヘッドレスト4を備え、シートクッション2の両側のサイドにはサイドサポート5が形成されている。
【0018】
図1におけるシートバック3のA−A断面の矢視図を図2に示す。図2には、シートバックの断面構造のうち、本実施例に係るシートバックを構成するウレタンパッドの部分について示し、その他の構成については省略し、簡略化して示している。
【0019】
図2に示した構成において、31は搭乗者の背中が触れるシートバック3の上面側ウレタンパッド、32は下面側ウレタンパッドで、この上面側ウレタンパッド31と下面側ウレタンパッド32との間に送風用のチャンバー33が挟み込まれた構成を有している。また、下面側ウレタンパッド32には穴状の窓部321が形成されており、この窓部において送風ファン34が送風用のチャンバー33と接続されている。
【0020】
図2におけるBの丸で囲んだ部分の詳細を図3に示す。上面側ウレタンパッド31と下面側ウレタンパッド32とで挟まれた送風用のチャンバー33は、上面側チャンバー331と下面側チャンバー332と形成され、上面側チャンバー331と下面側チャンバー332との間は、上面側チャンバー331に形成されたボス3312によって一定の間隔が保たれている。
【0021】
図4には、上面側ウレタンパッド31の斜視図を示す。上面側ウレタンパッド31には、送風ファン34から送り出された空気を、着座した搭乗者の背中の側に吹き出すための穴である貫通穴311が多数形成されている。
【0022】
図5には、上面側チャンバー331の斜視図を示す。上面側チャンバー331には、上面側ウレタンパッド31に形成された全ての貫通穴311をカバーするような形状を有しており、上面側ウレタンパッド31側の全ての貫通穴311に対応する位置に送風穴3311が形成されている。即ち、上面側チャンバー331は、特許文献1に記載されているような枝分れした複数の送風用の通路を有する形ではなく、上面側ウレタンパッド31側に形成された全ての貫通穴311が形成された領域をカバーするような、広い面の形状に形成されている。
【0023】
また、上面側チャンバー331は、着座した搭乗者がシートバック3に背中をもたれかけたときの搭乗者の背中の形状に添った形に湾曲した形状を有している。更に、図5における上面側チャンバー331の裏面側には、図3に示したようなボス3312が複数の箇所に形成されている。
【0024】
なお、ボス3312は、下面側チャンバー332の側に形成しても良い。更に、ボス3312を、上面側チャンバー331の側と下面側チャンバー332の側とに形成しても良い。また、ボス3312の断面形状は全て同じである必要はない。例えば、比較的大きな力が係る部分では大きな断面積を有して、比較的大きな力がかかっても上面側チャンバー331と下面側チャンバー332との間隔を維持できるようにし、比較的小さな力しかかからない部分は断面積を小さくして流通する空気に対する抵抗が小さくなるように形成しても良い。
【0025】
上面側チャンバー331の上面と接する上面側ウレタンパッド31の側の面は、上面側チャンバー331の上面とほぼ同じ曲面形状に形成されている。
【0026】
図6には、下面側チャンバー332の斜視図を示す。下面側チャンバー332は上面側チャンバー331とほぼ同じ形状を有しており、送風ファンを取り付けるための穴3321が形成されている。
【0027】
上面側チャンバー331と下面側チャンバー332とは、樹脂部品であって、モールドにより成形される。図7に上面側チャンバー331と下面側チャンバー332と組み合わせた状態における端部付近を示す。上面側チャンバー331の端部3313が下面側チャンバー332の側に延びて、下面側チャンバー332を嵌め込むような形状になっている。下面側チャンバー332を上面側チャンバー331に嵌め込んだ状態で、上面側チャンバー331に形成された複数のボス3312が下面側チャンバー332に当たる。
【0028】
上面側チャンバー331と下面側チャンバー332との間の送風部分は、上面側ウレタンパッド31の貫通穴311が形成された複数の領域を面状に覆う上面側チャンバー331と下面側チャンバー332の幅方向全体に亘って形成され、比較的大きな断面積が確保されている。これにより、特許文献1又は2に記載されている構成と比べて、送風抵抗を比較的小さくすることができる。この上面側チャンバー331と下面側チャンバー332との間の送風部分は、上面側チャンバー331に形成された複数のボス3312で間隔が保たれるので、着座した搭乗者がシートバック3に背をもたれた状態でも、上面側チャンバー331と下面側チャンバー332との間に形成された空間(送風部分)は潰されることがない。その結果、送風抵抗を従来の断面積が比較的小さい送風用ダクトを用いた場合と比べて小さくすることができるので、送風ファン34として、従来と比べて小型のものを採用することができる。
【0029】
このように、送風ファン34として従来と比べて比較的小型のものを採用できるようにしたことにより、特許文献2に記載されているような取付け部ラケットを用いずに、送風ファン34を、下面側チャンバー332に直接、又は取付け部材を介して取り付けることができるようになる。
【0030】
図8には、下面側ウレタンパッド32の斜視図を示す。下面側ウレタンパッド32の上面は、下面側ウレタンパッド32が接する下面側チャンバー332の下面の形状と同様な形状に成形されている。また、下面側ウレタンパッド32には、下面側チャンバー332に取付けた送風ファン34と干渉しないように、窓部321が形成されている。
【0031】
このように、下面側ウレタンパッド32に形成した窓部321の内部で送風ファン34を下面側チャンバー332に直接取り付けることができるようにしたことにより、図2の断面図に示したように、送風ファン34を下面側ウレタンパッド32に埋め込んだ形になり、少なくとも下面側ウレタンパッド32の厚み分だけシートバック3を薄型化することができる。
【0032】
ここで、図9に示すように、上面側チャンバー331に1対の穴3314と3315とを複数個所に設け、図10に示すように、上面側ウレタンパッド31の表面を覆う表皮部材312の縫合部分313を吊り込むための吊り込み部材314を取り付けるようにしてもよい。このような構成とすることにより、従来上面側ウレタンパッド31の中に埋め込んでいた吊り込み部材314を取り付けるためのワイヤを無くすことができる。
【0033】
本実施例によれば、シートバックを構成するウレタンパッドの内部の送風路の断面積を大きくして送風抵抗を低減したことにより、従来と比べて比較的小型の送風ファンを採用することが可能になり、シートバックの厚みを低減することができるようになった。
【実施例2】
【0034】
本発明の第2の実施例を、図11及び図12を用いて説明する。
本実施例においては、実施例1で説明した、樹脂材料をモールドにより成形した上面側チャンバー331と下面側チャンバー332とに代えて、図11(a)に示すような、上面側チャンバー431と下面側チャンバー432とを用いる。
【0035】
本実施例における上面側チャンバー431は、実施例1で説明した送風穴3311が形成される領域及びボス3312が形成される領域と、それらが形成されない領域とに分ける。このうち、送風穴4313が形成される領域及びボス4314が形成される領域は、実施例1の場合と同様に樹脂をモールドして形成した樹脂部材4311を用いる。一方、送風穴3311又はボス3312が形成されない領域については、エラストマーなどの柔軟な部材4312で形成し、樹脂をモールドすることにより成形した部材と接続する。
【0036】
下面側チャンバー432は、上面側チャンバー431の樹脂部材4311に対向する領域を、樹脂をモールドして形成した樹脂部材4321で形成し、上面側チャンバー431のエラストマーなどの柔軟な部材4312で形成した領域に対抗する領域をエラストマーなどの柔軟な部材4322で形成する。
【0037】
これにより、図11の(a)に示すような断面構造を有するチャンバー430が形成される。このチャンバー430は、実施例1で説明したチャンバー33の場合と異なり、上面側チャンバー431と下面側チャンバー432とを平坦な形状に成形する。
【0038】
図12には、図11の(a)の状態における上面側チャンバー431の一部分の平面図を示す。上面側チャンバー431は、送風穴4313またはボス4314が形成された樹脂をモールドして形成した樹脂部材4311が、エラストマーなどの柔軟な部材4312で接続された構造を有している。
【0039】
このような構造のチャンバー430を用いたシートバック3に搭乗者が背をもたれかけた場合、チャンバー430は、図11の(b)に示すように、柔軟な部材4312で形成された領域が変形して、搭乗者の背中に沿った形状に変形する。
【0040】
本実施例によれば、シートバック3に搭乗者が背をもたれかけても、上面側チャンバー431と下面側チャンバー432とが、ボス4314の高さ分の間隔を保った状態で搭乗者の背中に沿った形状に変形するので、搭乗者の違和感を無くすことができると共に、従来と比べて比較的小型の送風ファンを採用することが可能になり、シートバックの厚みを低減することができるようになった。
【実施例3】
【0041】
本実施例では、実施例2で説明したエラストマーなどの柔軟な部材4312に代えて、樹脂をモールドして形成した樹脂部材4321と同じ材料を用いて薄く形成し、この部分に柔軟性を持たせた場合について説明する。
【0042】
図13に、本実施例に係る上面側チャンバー531と下面側チャンバー532との断面図を、図14に上面側チャンバー531の一部分の平面図を示す。本実施例に係る上面側チャンバー531は、樹脂をモールドして形成した樹脂部材5311で形成されており、送風穴5313またはボス5314が形成されている部分以外の部分に、薄肉化した部分5312が形成されている。下面側チャンバー532にも、樹脂をモールドして形成した樹脂部材5321のうち、上面側チャンバー531の薄肉化した部分5312に対向する位置に、薄肉化した部分5322が形成されている。
【0043】
このような構造のチャンバー530を用いたシートバック3に搭乗者が背をもたれかけた場合、チャンバー530は、薄肉化した部分5312及び5322形成された領域が変形して、搭乗者の背中に沿った形状に変形する。
【0044】
本実施例によれば、シートバック3に搭乗者が背をもたれかけても、上面側チャンバー531と下面側チャンバー532とが、ボス5314の高さ分の間隔を保った状態で搭乗者の背中に沿った形状に変形するので、搭乗者の違和感を無くすことができると共に、従来と比べて比較的小型の送風ファンを採用することが可能になり、シートバックの厚みを低減することができるようになった。
【0045】
上記した実施例1乃至3は、シートバック3に本発明を適用した場合について説明したが、シートクッション2に適用することもできる。
【0046】
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0047】
1・・・車両用シート 2・・・シートクッション 3・・・シートバック 4・・・ヘッドレスト4 5・・・サイドサポート 31・・・上面側ウレタンパッド 32・・・下面側ウレタンパッド 33、430,530・・・チャンバー 34・・・送風ファン 321・・・窓部 331・・・上面側チャンバー 332・・・下面側チャンバー 3311・・・送風穴 3312・・・ボス 4311、4321・・・樹脂部材 4312、4322・・・柔軟な部材 5311・・・樹脂部材 5312・・・薄肉化した部分。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14