特許第6934103号(P6934103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士機械製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6934103-クリーニング装置 図000002
  • 特許6934103-クリーニング装置 図000003
  • 特許6934103-クリーニング装置 図000004
  • 特許6934103-クリーニング装置 図000005
  • 特許6934103-クリーニング装置 図000006
  • 特許6934103-クリーニング装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6934103
(24)【登録日】2021年8月24日
(45)【発行日】2021年9月8日
(54)【発明の名称】クリーニング装置
(51)【国際特許分類】
   B41F 35/00 20060101AFI20210826BHJP
【FI】
   B41F35/00 C
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-504495(P2020-504495)
(86)(22)【出願日】2018年3月5日
(86)【国際出願番号】JP2018008358
(87)【国際公開番号】WO2019171433
(87)【国際公開日】20190912
【審査請求日】2020年3月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】100125737
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 昭博
(72)【発明者】
【氏名】蛭川 立雄
【審査官】 四垂 将志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−067985(JP,A)
【文献】 特開平04−344247(JP,A)
【文献】 特開平05−338122(JP,A)
【文献】 特開2008−137266(JP,A)
【文献】 米国特許第06036787(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F35/00
B41J2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のクリーニングペーパが巻回された巻出しローラと、
前記巻出しローラから巻出される前記クリーニングペーパを巻取りモータの回転により巻き取る巻取りローラと、
前記巻出しローラと前記巻取りローラとの間の渡り部において前記クリーニングペーパを押上げる押上げ装置と、
前記クリーニングペーパの幅方向の中央部を端部より高くして前記渡り部を通過する前記クリーニングペーパを支持するペーパ支持部材とを有し、
前記ペーパ支持部材は、前記クリーニングペーパの送り方向に対して前記押上げ装置の前後で前記クリーニングペーパを支持するクリーニング装置。
【請求項2】
帯状のクリーニングペーパが巻回された巻出しローラと
前記巻出しローラから巻出される前記クリーニングペーパを巻取りモータの回転により巻き取る巻取りローラと、
前記巻出しローラと前記巻取りローラとの間の渡り部において前記クリーニングペーパを押上げる押上げ装置と、
前記クリーニングペーパの幅方向の中央部を端部より高くして前記渡り部を通過する前記クリーニングペーパを支持するペーパ支持部材とを有し、
前記ペーパ支持部材は、昇降する前記押上げ装置の押し当て部に合わせた開口部が形成され、中央部分を山形にした板部材であるクリーニング装置
【請求項3】
帯状のクリーニングペーパが巻回された巻出しローラと
前記巻出しローラから巻出される前記クリーニングペーパを巻取りモータの回転により巻き取る巻取りローラと、
前記巻出しローラと前記巻取りローラとの間の渡り部において前記クリーニングペーパを押上げる押上げ装置と、
前記クリーニングペーパの幅方向の中央部を端部より高くして前記渡り部を通過する前記クリーニングペーパを支持するペーパ支持部材とを有し、
前記ペーパ支持部材は、前記クリーニングペーパの送り方向に対して前記押上げ装置の前後に配置され、中央部分を山形にした棒部材であるクリーニング装置
【請求項4】
帯状のクリーニングペーパが巻回された巻出しローラと
前記巻出しローラから巻出される前記クリーニングペーパを巻取りモータの回転により巻き取る巻取りローラと、
前記巻出しローラと前記巻取りローラとの間の渡り部において前記クリーニングペーパを押上げる押上げ装置と、
前記クリーニングペーパの幅方向の中央部を端部より高くして前記渡り部を通過する前記クリーニングペーパを支持するペーパ支持部材とを有し、
前記ペーパ支持部材は、前記クリーニングペーパの送り方向に対して前記押上げ装置の前後に配置され、中央部分に一又は二以上の突起部材を設けた棒部材であるクリーニング装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン印刷機に搭載されたクリーニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーン印刷機では、マスクに形成された印刷パターン(印刷用のパターン孔)を通して基板にクリームはんだが印刷される。その際、マスクに対して上面からクリームはんだが塗り延ばされ、印刷パターン孔を通ってマスク下面に回り込むが、印刷後にマスク下面に残ったものが汚れとなる。この汚れは印刷に際して基板に付着して印刷不良の原因になってしまう。そのため、スクリーン印刷機にはマスクに対する汚れの除去を行うクリーニング装置が搭載されている。
【0003】
下記特許文献1に記載のクリーニング装置は、クリーニングペーパが巻出しローラから巻取りローラへと送られるように構成され、両ローラの間には押上げ装置が設けられている。押上げ装置は、クリーニングヘッドがエアシリンダによって上昇し、クリーニングペーパがマスクの下面に押し当てられるようになっている。また、両ローラの間にはクリーニングペーパを弛ませないように板状のシート支持部材が配置され、その上をクリーニングペーパが滑るようにして送られる。押上げ装置は、そのシート支持部材に形成された開口部を通して昇降するよう構成され、上方に突き出した拭取り位置と下方に引っ込んだ待機位置との移動が可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−230353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
こうした従来のクリーニング装置は、巻回されたクリーニングペーパが巻出しローラから引き出され、巻取りローラに送られる途中でマスクに押し当てられる。クリーニングペーパは片面だけがマスクに押し当てられるので、巻取りローラに巻き取られた後に、汚れていない反対側の未使用面を利用することが望まれる。そのためには巻取りローラ側で正しく巻き取られることが必要となる。しかし、従来のクリーニング装置では、使用済みのクリーニングペーパが巻き取られる際、幅方向に偏りが生じたり、巻き取った状態でシワが生じてしまうなど、正しく巻き取れないことがあった。正しく巻き取ることができない場合には、ロール径が大きくなってしまうなど、巻出しローラに取り付けることができず、クリーニングペーパを両面使用することもできなくなってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、クリーニングペーパを巻取り側で正しく巻き取るクリーニング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様におけるクリーニング装置は、帯状のクリーニングペーパが巻回された巻出しローラと、前記巻出しローラから巻出される前記クリーニングペーパを巻取りモータの回転により巻き取る巻取りローラと、前記巻出しローラと前記巻取りローラとの間の渡り部において前記クリーニングペーパを押上げる押上げ装置と、前記クリーニングペーパの幅方向の中央部を端部より高くして前記渡り部を通過する前記クリーニングペーパを支持するペーパ支持部材とを有し、前記ペーパ支持部材は、前記クリーニングペーパの送り方向に対して前記押上げ装置の前後で前記クリーニングペーパを支持する
【発明の効果】
【0008】
前記構成によれば、巻取りモータの駆動により巻出しローラから巻出された帯状のクリーニングペーパが巻取りローラに巻き取られるが、押上げ装置が下降した状態の渡り部分において、クリーニングペーパは幅方向の中央部が端部より高くなった状態でペーパ支持部材の上を滑るようにして通過する。そうしたクリーニングペーパは、送られる際の幅方向へのズレなどがなくなり、巻取りローラに正しく巻き取られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】クリーニング装置の一実施形態の内部構造を示した概略断面図である。
図2】クリーニング装置の第1実施形態を上方から示した斜視図である。
図3】第1実施形態のペーパ支持部材についてクリーニングペーパが送られる状態を示した斜視図である。
図4】クリーニング装置の第2実施形態を上方から示した斜視図である。
図5】第2実施形態のペーパ支持部材についてクリーニングペーパが送られる状態を示した斜視図である。
図6】第3実施形態のペーパ支持部材についてクリーニングペーパが送られる状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明に係るクリーニング装置の一実施形態について、図面を参照しながら以下に説明する。本実施形態のクリーニング装置はスクリーン印刷機に搭載されたものである。そのスクリーン印刷機は、基板に対してクリームはんだのスクリーン印刷を行うものであり、例えば、印刷状態を検査する検査機や基板に電子部品の装着を行う部品装着機などを組み合わせた基板生産ラインの一部を構成するものである。
【0011】
スクリーン印刷機は、機内にマスクが取り付けられ、その下側には搬送装置によって外部から基板が搬送される。マスクの上方側にはスキージ装置が設けられ、機体前後方向に移動することにより、マスク上のクリームはんだが塗り延ばしされる。そして、印刷パターン孔を通ったクリームはんだが基板に対して印刷される。印刷パターン孔を通ったクリームはんだは、一部がマスク下面に回り込んで汚れとなり、印刷の際に基板に付着などして印刷不良の原因になる。そのため、スクリーン印刷機には、溶剤を塗布したクリーニングペーパによってマスクの汚れを下面側から拭取るクリーニング装置が設けられている。
【0012】
図1は、そうしたクリーニング装置の内部構造を示した概略断面図である。クリーニング装置1は、クリーニングペーパ2が巻出しローラ3から巻き出され、使用済み部分が巻取りモータ4によって回転する巻取りローラ5に巻き取られる構成となっている。巻出しローラ3と巻取りローラ5とは回転軸が平行であり、クリーニングペーパ2が両者に掛け渡されている。すなわち、巻回されたクリーニングペーパ2が巻出しローラ3側にセットされ、そこから送り出されて巻取りローラ5に巻き取られる。ここで、クリーニングペーパ2について、巻出しローラ3側にセットされたものを巻出し側ロールペーパ2aとし、巻取りローラ5に巻取られたものを巻取りロールペーパ2bとする。
【0013】
巻出しローラ3と巻取りローラ5との間の渡り部10には、送り方向(図面右方向)に2本のペーパ支持部材6が設けられ、クリーニングペーパ2がその上を滑って送られるようになっている。ペーパ支持部材6は、巻出しローラ3や巻取りローラ5の回転軸と平行であり、各ローラに巻回されたクリーニングペーパ2よりも高い位置に配置されている。従って、巻出しローラ3から送り出されたクリーニングペーパ2は、弛まないように2本のペーパ支持部材6に掛け渡されて巻取りローラ5にまで送られることとなる。
【0014】
渡り部10には、2本のペーパ支持部材6の間に押上げ装置7が設けられている。押上げ装置7は、鉛直方向に設置されたエアシリンダを備え、上下方向に伸縮作動するロッド先端部にクリーニングヘッド8が固定されている。クリーニングヘッド8は、クリーニングペーパ2との接触部分に発泡剤や樹脂などが設けられたものである。このクリーニングヘッド8が上昇することより、図面において一点鎖線で示すように、クリーニングペーパ2が持ち上げられ、マスク50の下面に押し当てられるようになっている。そして、その状態でクリーニング装置1が機内を前後方向に移動することにより、マスク50の下面に対する拭取りが行われる。
【0015】
マスク50を拭取ったクリーニングペーパ2は、その使用済部分が巻取りローラ5側に送られるが、1回の送り量が一定になるように管理されている。クリーニング装置1には、揺動可能なアーム11に検出ドラム12が軸支され、バネ13によって巻出し側ロールペーパ2aに押し当てられている。検出ドラム12は、その円周側面が巻出し側ロールペーパ2aに常時押し当てられ、回転する巻出し側ロールペーパ2aとの摩擦抵抗によって連れ回りする。その検出ドラム12には複数の検出孔が形成されており、フォトセンサ15におけるON/OFFの検出信号により、1回の送り量に対応した検出ドラム12の回転角度が算出される。
【0016】
クリーニング装置1では、巻取りモータ4の駆動により巻取りローラ5が回転してクリーニングペーパ2が巻き取られ、巻出しローラ3側では巻出し側ロールペーパ2aからクリーニングペーパ2が引き出される。そのとき巻出し側ロールペーパ2aの回転に伴って検出ドラム12が連れ回りし、フォトセンサ15からは検出信号が出力される。スクリーン印刷機の制御装置は、巻取りモータ4を駆動させた後、その検出信号を基に停止させ一定の長さのクリーニングペーパ2が送り出される。そのため、クリーニングペーパ2は、マスク50を拭取った渡り部10の使用済み部分が未使用部分に入れ換えられる。
【0017】
こうした送り出しが何回も繰り返されることにより、巻出しローラ3側からクリーニングペーパ2が順次引き出されて巻取りローラ5に巻き取られる。クリーニングペーパ2は、巻出し側ロールペーパ2aの外側の面でマスク50を拭取り、巻取りロールペーパ2b側では、その拭取り面が内側になるように巻き取られる。そして、片側の面を使い切ったクリーニングペーパ2は、汚れていない反対側の未使用面がマスク50の拭取りに使用される。そのため、巻取りローラ5からは巻取りロールペーパ2bが取り外され、巻出しローラ3に巻出しロールペーパ2aとして再度取り付けられる。
【0018】
使用されたクリーニングペーパ2は、巻出し側ロールペーパ2aとして再利用を可能にするには、巻取りローラ5側で正しい巻取りが行われていることが必要となる。しかし、前記課題でも述べたように、従来のクリーニング装置は、巻取りローラ5で巻き取られた巻取りロールペーパ2bに横ズレやシワなどが生じ、あるいは巻き方が緩くなってしまうなどの巻取り不良が生じてしまっていた。そうした場合、巻取りロールペーパ2bを巻出しローラ3に取り付けたり、あるいは巻出し側ロールペーパ2aとして適切に送り出すことができず、クリーニングペーパ2の再利用を断念しなければならなかった。
【0019】
ここで、図2は、クリーニング装置1を上方から示した斜視図である。クリーニングペーパ2は、図示するように幅の広い帯状のペーパであり、巻出しローラ3から巻取りローラ5へと幅方向に規制されることなく送られている。そして、クリーニング装置1では、巻出しローラ3と巻取りローラ5の間でクリーニングペーパ2が自身の重さで撓んで巻取り時の弛みとならないように、下側からペーパ支持部材6によって支えられている。従って、クリーニングペーパ2が送り出されている場合には常にペーパ支持部材6と接触することになるが、本出願の発明者は、前述した巻取り不良についてこのペーパ支持部材6に着目した。
【0020】
従来のペーパ支持部材は、例えば渡り部10に設けられた平らな板材であって、クリーニングヘッド8が上下できるように中央に開口部が形成されたものである。クリーニングペーパ2は、クリーニングヘッド8が下降して開口部が空いたペーパ支持部材の上面を滑るようにして送られることとなる。その際、幅の広いクリーニングペーパ2が、ペーパ支持部材の上面を常に一定の状態で送られるわけではなく、引っ掛かりなどの僅かな抵抗などで左右のバランスが崩れてしまい、それがクリーニングペーパ2に横ズレやシワが生じさせ、あるいは巻取りロールペーパ2bのロール径の膨らみなどの原因ではないかと考えられる。
【0021】
そこで、本実施形態では、ペーパ支持部材6の形状によってクリーニングペーパ2に横ズレなどを防止する構成がとられている。図3は、上流側に位置するペーパ支持部材6についてクリーニングペーパ2が送られる状態を示した図である。ただし、分かり易いようにペーパ支持部材6の軸方向の長さと径の大きさの比率は実際とは異なっている。ペーパ支持部材6は、断面が円形の棒材であり、軸方向中央に直径が最も大きい大径部601が形成され、両端に向けて対称的に直径が小さくなるように小径部602が形成されている。例えば、大径部601と小径部602との直径の差は1mm程度である。2本のペーパ支持部材6は同一の形状および大きさで形成され、両端が回転しないように固定されている。
【0022】
クリーニング装置1では、巻出し側ロールペーパ2aから引き出されたクリーニングペーパ2は、2本のペーパ支持部材6を経て巻取りローラ5に巻き取られる。渡り部10を通過するクリーニングペーパ2は、幅方向の中央部分がペーパ支持部材6の大径部601によって持ち上げられ、端部よりも摺動抵抗が少し大きくなっている。特に、矢印で示す送り方向に見た場合に、2本あるペーパ支持部材6の下流側では、クリーニングペーパ2が巻取りローラ5に向けて下方に巻き込むようにして送られるが、クリーニングペーパ2は、幅方向の中央部分の摺動抵抗がより大きくなっている。
【0023】
よって、こうした本実施形態のクリーニング装置1では、ペーパ支持部材6上を通るクリーニングペーパ2の幅方向へのズレなどがなくなり、巻取りローラ5に正しく巻き取られるようになる。そして、巻取りロールペーパ2bを巻出し側ロールペーパ2aとして再利用することができる。また、クリーニングペーパ2の再利用により無駄をなくすことが可能になるが、本実施形態のクリーニング装置1によれば、ペーパ支持部材6を取り換える簡単な改良により安価に達成することができる。
【0024】
なお、ペーパ支持部材6は断面が円形の棒材であるが、加工し易さのための形状であって、クリーニングペーパ2が摺接する部分だけ本実施形態のような形状であれば必ずしも断面円形の棒材でなくてもよい。また、2本のペーパ支持部材6が設けられているが、条件によっては、効果の大きいと考えられる下流側の巻取りローラ5側にペーパ支持部材6を1本設けるようにしてもよい。
【0025】
次に、図4は、第2実施形態のクリーニング装置1Bを上方から示した斜視図である。具体的な構成は図1に示す前記第1実施形態と同じである。そのため、同じ構成については同じ符号を付して詳しい説明は省略する。このクリーニング装置1Bは、渡り部10に設けた2本のペーパ支持部材21に変更が加えられている。図5は、上流側のペーパ支持部材21についてクリーニングペーパ2が送られる状態を示した図である。ただし、分かり易いように軸方向の長さや各部材の径の大きさの比率は実際とは異なっている。
【0026】
2本のペーパ支持部材21は同じものであり、直径が一定の棒材211に2つのリング部材212が間隔を空けて一体に形成されている。リング部材212は、棒材211の軸方向中央部分に1つだけ設けるようにしてもよいが、本実施形態は、例えば他の部材との干渉を避けて中央部分にリング部材212を配置できない場合を想定したものである。その2つのリング部材212は、棒材211の軸方向中央の位置から対称的に配置されている。
【0027】
本実施形態のクリーニング装置1Bでも、渡り部10を通過するクリーニングペーパ2は、幅方向の中央部分が2つのリング部材212によって持ち上げられ、端部よりも摺動抵抗が少し大きくなっている。そして、矢印で示す送り方向に見た場合に、2本あるペーパ支持部材21の下流側でも、クリーニングペーパ2が巻取りローラ5に向けて下方に巻き込むようにして送られるため、より摺動抵抗が大きくなっている。従って、本実施形態のクリーニング装置1Bでも、ペーパ支持部材21上を通るクリーニングペーパ2の幅方向へのズレなどがなくなり、巻取りローラ5に正しく巻き取られるようになる。そして、巻取りロールペーパ2bを巻出し側ロールペーパ2aとして再利用することができる。
【0028】
また、クリーニングペーパ2の再利用により無駄をなくすことが可能になるが、本実施形態のクリーニング装置1Bでも、ペーパ支持部材21を取り換える簡単な改良により安価に達成することができる。なお、ペーパ支持部材21は、リング部材212が中央に1つだけであってもよく、また、送り方向に2本あるペーパ支持部材21は、例えば、それぞれ2つのリング部材212の間隔を上流側よりも下流側の方が狭くなるような、異なる配置であってもよい。更に、リング部材212の円周面が平らであるが、例えば円周方向の断面が山形になるようにしても良い。
【0029】
次に、図6は、第3実施形態のクリーニング装置を構成するペーパ支持部材23の一部を示した斜視図であり、特にペーパ支持部材23についてクリーニングペーパ2が送られる状態を示した図である。ここでも分かり易いように、各部の寸法の比率や角度は実際とは異なっている。クリーニング装置の全体的な構成は図1に示す前記第1実施形態と同じである。一方、渡り部10に設けたペーパ支持部材23は、従来例と同様の板材によって構成され、クリーニングヘッド8が上下方向に通過する開口部231が形成されたものである。しかし、ペーパ支持部材23は、矢印で示す送り方向に見た場合に、幅方向の中央部分232が高くなるように折り目を有する山形となっている。
【0030】
本実施形態でも、渡り部10を通過するクリーニングペーパ2は、幅方向の中央部分が山形のペーパ支持部材23によって持ち上げられ、端部よりも摺動抵抗が少し大きくなっている。そして、クリーニングペーパ2は、ペーパ支持部材23の下流側端部から巻取りローラ5に向けて下方に巻き込むようにして送られる。なお、ペーパ支持部材23の下流側端部は、下方に送られるクリーニングペーパ2が引っ掛からないように曲面が形成されている。従って、本実施形態でも、ペーパ支持部材23上を通るクリーニングペーパ2の幅方向へのズレなどがなくなり、巻取りローラ5に正しく巻き取られるようになる。そして、巻取りロールペーパ2bを巻出し側ロールペーパ2aとして再利用することができる。
【0031】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
ペーパ支持部材は、渡り部10を通過するクリーニングペーパ2を、その中央部を端部より高くなるようにしたものであれば、棒材や板材などについて限定はなく、その形状も前記実施形態のものには限られない。
【符号の説明】
【0032】
1…クリーニング装置 2…クリーニングペーパ 2a…巻出し側ロールペーパ 2b…巻取りロールペーパ 3…巻出しローラ 4…巻取りモータ 5…巻取りローラ 6…ペーパ支持部材 7…押上げ装置 8…クリーニングヘッド 10…渡り部
図1
図2
図3
図4
図5
図6