(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
[1.第一実施形態]
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に示す各実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の各実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除するものではない。また、各実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。さらに、各実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
【0013】
以下の各実施形態では、冷却装置を超低温フリーザとした例を説明する。なお、冷却装置とは、冷凍装置や、冷蔵装置や、超低温フリーザや、これらの機能を併せ持つものを含む概念である。また、超低温フリーザとは、庫内を超低温(例えば−80℃程度)まで冷却するものをいう。
【0014】
また、超低温フリーザにおいて、使用時にユーザが正対する側(後述の外扉及び内扉のある側)を前、その反対を後とする。また、前から後に向かって視た場合を基準に左右を定め、右方向及び左方向を総称して幅方向という。また、超低温フリーザを構成する部品についても、超低温フリーザに組み立てられた状態を基準に前後左右を定め、後述の外扉及び内扉については閉じられた状態を基準に前後を定める。
【0015】
また、各実施形態を説明するための全図において、同一要素は原則として同一の符号を付し、その説明を省略することもある。
【0016】
[1−1.超低温フリーザの全体構成]
超低温フリーザ1の全体構成を
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は、本発明の第一実施形態における超低温フリーザの全体構成を、外扉が開かれ且つ内扉が閉じられた状態で示す斜視図である。
図2は、本発明の第一実施形態における超低温フリーザの全体構成を、外扉と内扉とが共に開かれた状態で示す斜視図である。
【0017】
超低温フリーザ1は、
図1及び
図2に示すよう、筐体2と、内扉3と、外扉4と、機械室5と、を備える。
【0018】
筐体2は、前方(第一方向)に開口する内部空間20を備える。内部空間20は、保存対象が収容される空間である。
【0019】
内部空間20は、仕切壁21と、仕切壁21の前端に設けられた後述の仕切体26とにより、上下に並ぶ〔第二方向(下方又は上方)に向かって並ぶ〕2つの内部空間22,22に分割される。以下の説明では、筐体2の内部空間22に臨む面を内周面という。なお、各内部空間22は仕切壁23によりさらに上下に2分割される。
【0020】
内扉3は、各内部空間22に対して設けられており、上下二段に設けられている。各内扉3の前面右縁は、筐体2の前面右縁に、上下に並設された複数のヒンジ6により固定される。外扉4は、筐体2の前面右縁に、内扉3よりも外側(つまり右側)において、上下に設けられた複数のヒンジ7により固定される。
【0021】
このような構成により、内部空間22の入口すなわち筐体2の開口部22aが、内扉3と外扉4とによって二重に開閉されるようになっている。具体的には、内扉3は、上下に延在する回転中心線CLiを中心に、左側を揺動端として水平に揺動自在であり、ユーザ操作によって、内部空間22の入口、つまり開口部22aを開閉する。外扉4は、内扉3の回転中心線CLiの外側(つまり右側)において上下に延在する中心線CLoを中心に水平に揺動自在であり、開口部22aを、内扉3の外側(つまり前方)から開閉する。
【0022】
筐体2,内扉3及び外扉4の内部には、それぞれ断熱材が備えられており、内部空間22が低温に保持されるようになっている。
【0023】
さらに、内扉3の外周(上面,右側面,下面及び左側面)には全周に亘ってパッキン10(シール部材)が設けられている。同様に、外扉4の外周(上面,右側面,下面及び左側面)には全周に亘ってパッキン15が設けられている。パッキン10,15を設けることで、内扉3及び外扉4を閉じたときの内扉3及び外扉4と筐体2の密着性が向上し、内部空間22の密閉性が向上する。
【0024】
また、外扉4には、開閉時にユーザが把持するハンドル40が設けられている。ハンドル40は、本実施形態では、ロック機構を有する。ロック機構は、外扉4を閉じた状態でロックしたり、外扉4を開くことができるようにロック状態を解除したりするためのものである。外扉4がロック機構でロックされることで、超低温フリーザ1の気密性・断熱性を高くすることが出来る。
【0025】
機械室5は、本実施形態では、筐体2の下部に設けられ、冷凍サイクルの要部が格納される。
【0026】
[1−2.断熱構造]
本発明の第一実施形態に断熱構造について、
図3及び
図4を参照して説明する。
図3は、
図1の線A−Aに沿う超低温フリーザ1の鉛直断面を右側から視た要部断面図である。
図4は、
図1の線B−Bに沿う超低温フリーザ1の鉛直断面を右側から見た模式的な全体断面図である。
【0027】
先ず
図3を参照して説明すると、各内扉3の外周面は、全周に亘って樹脂製の扉ブレーカ30により構成される。扉ブレーカ30の後部30a(以下「ブレーカ後部30a」ともいう)は、
図3に示す内扉3が閉じた状態において、概略、上下方向の位置が一定で前後方向に延在するように構成される。なお、扉ブレーカ30の前部は、ユーザが内扉3を開閉する際に手で操作する把手30bとされ、操作しやすいように湾曲形状とされている。把手30bは、内扉3を閉める際に筐体ブレーカ25と当接することで内扉3を止めるストッパとしても機能する。
【0028】
そして、扉ブレーカ30の外周面には全周に亘ってパッキン10が取り付けられている。扉ブレーカ30の後部30aには、幅方向内側に陥没した取り付け用の凹部30cが設けられている。この凹部30cに、パッキン10の取り付け用の凸部が外周側から挿入される。これにより、内扉3の外周面にパッキン10が固定される。
【0029】
筐体2の内周面の入口部は、全周に亘って樹脂製の筐体ブレーカ25により構成される。すなわち、筐体2には、上下に並ぶ各開口部22a(
図2参照)を取り囲むようにして筐体ブレーカ25が備えられている。
【0030】
筐体ブレーカ25の後部25aは、内扉3が閉じられた状態において、パッキン10を圧縮する圧縮面として機能する。このブレーカ後部25aは、後方(第三方向)になるにしたがって幅方向内側(内部空間22の上下左右の中心側)に位置する斜面として形成される。そこで、後部25aを、以下「ブレーカ斜面部25a」という。内扉3は、閉じられた状態において、圧縮状態のパッキン10により押圧されるようになるので、閉じられた状態が維持される。
【0031】
そして、上方の筐体ブレーカ25は、この筐体ブレーカ25が囲む開口部22a側に凹んだ形状をしており、同様に、下方に筐体ブレーカ25は、この筐体ブレーカ25が囲む開口部22a側に凹んだ形状をしている。これらの筐体ブレーカ25は、上方の筐体ブレーカ25の下側周面と、下方の筐体ブレーカ25の上側周面とを突き合わせるように配置されている。この上下から突き合わされた筐体ブレーカ25,25の相互間に、幅方向に延在する中空構造の仕切体26が形成される。そして、この仕切体26の後面から仕切壁21が水平に(又は略水平に)筐体2の内周後面に掛け渡される。
【0032】
仕切体26の内部には、後部に、幅方向に延在する真空断熱材26aが配置され、前部に、幅方向に延在する樹脂断熱材26bが配置されている。樹脂断熱材26bは、例えばウレタン発泡樹脂であり、仕切体26の内周面と真空断熱材26aとの隙間を埋めるように仕切体26の内部に充填されている。
【0033】
次に、
図4を参照して、内扉3に内蔵された真空断熱材3aと、仕切体26に内蔵された真空断熱材26aの配置について説明する。
図4に示すように、上下に並ぶ各内扉3の内部には、内扉3が閉じられた状態において後部となる側に真空断熱材3aが配置されている。また、仕切体26の内部には上述したように後部に真空断熱材26aが配置されている。真空断熱材3a,26aをこのように配置することで、これらの真空断熱材3a,26aを前後にオーバラップさせている〔換言すると、第二方向側(下方向又は上方向)から視た場合にオーバラップするようにしている〕。
【0034】
なお、筐体2の天井壁及び底壁にもそれぞれ真空断熱材2aが設けられている。
【0035】
[1−3.作用・効果]
図4を参照して本発明の第一実施形態の作用・効果を説明する。
【0036】
(1)内扉3に設けられた真空断熱材3aと、仕切体26に設けられた真空断熱材26aとが、内扉3を閉じた状態において、上方側から視た場合にオーバラップするように配置されている。したがって、真空断熱材3aと真空断熱材26aとの隙間において形成される熱伝達経路が狭くなるので、超低温フリーザ1の断熱性能をさらに向上できる。これにより、内部空間22の冷熱が、内扉3から内扉3と外扉4との間に伝わることを抑制でき、内扉3と外扉4との間における結露や霜の発生を抑制できる。
【0037】
(2)仕切体26の内部に前面又は後面(本実施形態の場合は後面)に真空断熱材26aが配置されている。したがって、例えば仕切体26の内部の上面又は下面に真空断熱材26aを配置する場合に較べて、上方及び下方の内扉3の真空断熱材3aとの隙間を狭くすることが可能となる。したがって、断熱性能の高い真空断熱材26aにより、仕切体26を介して外部から熱が伝わることを抑制することが可能となる。
【0038】
(3)真空断熱材は形状の自由度が比較的低いため、仕切体26に内部形状にあわせて成型することが困難である。このため、仕切体26の内周面と真空断熱材26aとの間に隙間が生じやすいが、樹脂断熱材26bを仕切体26の内部に流し込むようにして当該隙間を埋めることができる。したがって、この点でも、仕切体26の断熱性能ひいては超低温フリーザ1の断熱性能を向上できる。また、内扉3が閉じられて開口部22aに押し込まれると、内扉3により仕切体26が押圧されるが、仕切体26の内部の隙間に樹脂断熱材が充填されることで仕切体26が補強されるので、押圧による仕切体26の変形を防止できる。
【0039】
(4)上下に並ぶ筐体ブレーカ25の相互間で仕切体26が形成されるので、仕切体26用に別途部品を用意して組み立てることが不要となる。したがって、製造工程の簡略化及び製造コストの低減を図ることができる。
【0040】
(5)仕切体26の内部において、前方よりも低温の内部空間22の後方に、樹脂断熱材26bに較べて温度による体積変化の少ない真空断熱材26aが設けられている。したがって、内部空間22の低温によって断熱材が収縮して隙間が生じ仕切体26の断熱性が低下してしまうことを抑制できる。
【0041】
[1−4.変形例]
本実施形態の変形例について、
図5を参照して説明する。
図5は、
図4(
図1の線B−Bに沿う超低温フリーザ1の鉛直断面を右側から見た模式的な全体断面図)に対応する図である。
【0042】
本変形例の超低温フリーザ1Bは、仕切体26の内部の構成が前記実施形態と異なる。具体的には、仕切体26の内部において、前壁から後壁に亘る水平姿勢の真空断熱材26aが、上壁側と下壁側とにそれぞれ設けられている。これらの真空断熱材26a,26aの相互間には隙間が設けられており、仕切体26の内部には、この隙間を埋めるように樹脂断熱材26bが充填されている。
【0043】
真空断熱材26aをこのように配置することで、前記実施形態と同様に、これらの真空断熱材26aと、内扉3の内部に設けられた真空断熱材3aとを、下方向又は上方向(第二方向)側から視た場合にオーバラップさせるようにしている。これにより前記実施形態と同様の効果が得られる。
【0044】
この他の構成は、前記実施形態と同様なので説明を省略する。
【0045】
[2.第二実施形態]
本発明の第二実施形態について、
図6を参照して説明する。
図6は、
図4(
図1の線B−Bに沿う超低温フリーザ1の鉛直断面を右側から見た模式的な全体断面図)に対応する図である。
【0046】
本実施形態の超低温フリーザ1Aでは、筐体2と仕切体26Aとの前面において、開口部22aの周囲にパッキン10Aが設けられている。内扉3が閉じられた状態では、各パッキン10Aは内扉3により前方側から押圧されて圧縮状態となり、内扉3に密着する。
【0047】
各内扉3の内部には、後壁内周面を覆うように真空断熱材3aが配置されている。また、仕切体26Aの内部には、前壁内周面を覆うように真空断熱材26aが配置され、真空断熱材26aの後方には、真空断熱材26aと仕切体26Aの内周面との隙間を埋めるように樹脂断熱材26bが配置されている。上方の内扉3の真空断熱材3aの下縁と、仕切体26Aの真空断熱材26aの上縁とが、前方側から視た場合においてオーバラップしている。同様に、下方の内扉3の真空断熱材3aの上縁と、仕切体26Aの真空断熱材26aの下縁とが、前方側から視た場合においてオーバラップしている。
【0048】
この他の構成は第一実施形態と同様なので説明を省略する。
【0049】
本第二実施形態によれば、第一実施形態の超低温フリーザ1とはパッキン10Aの取り付け方の異なる超低温フリーザ1Aにおいて、内扉3の真空断熱材3aと仕切体26Aの真空断熱材26aとをオーバラップさせる。これにより、真空断熱材3aと真空断熱材26aとの隙間に形成される熱伝達経路が狭くなるので、第一実施形態と同様に超低温フリーザ1の断熱性能を向上できる。特に、真空断熱材26aを仕切体26Aの前壁側に配置しているので、仕切体26Aの前方の内扉3の真空断熱材3aとの距離が近くなり、高い断熱性能が得られる。
【0050】
[3.その他]
(1)上記実施形態では、仕切体26Aの内部に真空断熱材26aに加えて樹脂断熱材26bを設けたが、真空断熱材26aだけを配置してもよく、第一実施形態又は第二実施形態の構成において樹脂断熱材26bを省略してもよい。
【0051】
(2)上記実施形態では、本発明の断熱構造を内扉3に適用した例を説明したが、本発明の断熱構造は、外扉が複数ある冷却装置において、外扉の相互間に配置された仕切体にも適用可能である。
【0052】
2018年5月25日出願の特願2018−100878の日本出願に含まれる明細書、特許請求の範囲、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。