【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された技術では、前述したようにテーブルの収納や引き出しにジャッキ機構を用いている。
【0008】
このような構成では、次のような改善すべき問題点がある。
すなわち、床下に形成される収納凹部の容積として、テーブルを収納する容積に加えてジャッキ機構を設置するための容積が必要であることから、収納凹部の容積が大きくなる問題点である。
【0009】
また、テーブルを引き上げた際に、その下部がジャッキ機構によって支持されているために、収納凹部の開口部がジャッキ機構によって閉塞されてしまう問題点である。
【0010】
このように、収納凹部の開口部が塞がれると、使用者は、着座した状態において、足をテーブルの下に伸ばすか、あるいは、足を組んだ状態の着座姿勢を余儀なくされる。
【0011】
さらに、ジャッキ機構を設けることによる構造の煩雑化やコストの高騰を招くといった問題点もある。
【0012】
本発明は、このような従来において残されている問題点に鑑みてなされたもので、テーブルの収納凹部の容積を極力小さくし、テーブルを引き上げた際に、収納凹部の開口部を開放状態に保持して、使用者が着座した際に、足を開口部から収納凹部内に挿入可能にして楽な着座姿勢を確保することができ、かつ、これらをより簡便な構成によって実現することの可能な収納式テーブルを提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の収納式テーブルは、前述した課題を解決するために、上方に開放された開口部を有する収納凹部と、前記開口部の内周に形成された係止段部と、この係止段部に係止されて前記開口部を開閉可能に閉塞するテーブル天板と、前記テーブル天板を前記収納凹部から取り出した状態において、このテーブル天板に着脱可能に取り付けられるとともに、前記係止段部に係合させられる複数の脚とを備えていることを特徴とする。
【0014】
このように構成された収納式テーブルは、まず、テーブル天板を収納凹部から取り出すことにより収納凹部の開口部を開放するとともに、係止段部を露出させる。
【0015】
ついで、テーブル天板の裏面に複数の脚を取り付けてテーブルを組み上げた後に、このテーブルを、テーブル天板を脚が下方となるように姿勢を変更し、下方に位置させられた各脚を係止段部に係合させる。
【0016】
このような手順により、収納凹部の開口部が開放され、かつ、テーブル天板が床面から所定距離離間した状態に保持されて、床上にテーブルが組み上げられる。
【0017】
このようにテーブルが床上に組み上げられた状態において、収納凹部の開口部とテーブル天板の下面との間に空間が形成される。
【0018】
この空間部により、収納凹部から開口部を経て床面上方に至る連続空間が形成され、開口部周縁の床面を座面とした堀構造が形成される。
【0019】
これによって使用者は、開口部周縁の床面に座り、かつ、足を収納凹部内に垂らした姿勢、すなわち、椅子に座っているような楽な感覚で使用することができる。
【0020】
一方、テーブルの収納は、前述した手順と逆の手順によって行なうことができる。
【0021】
そして、テーブルの組み立てや収納の作業が、テーブル天板を引き出してその裏面に複数の脚を取り付けてテーブルを組み立て、このテーブルをひっくり返して脚を係止段部に係合させる手順と、これらの手順と逆の手順によって行なうことができる。
【0022】
かつ、各手順は極めて簡素な手順であることから、テーブルの組み立てや収納の作業を容易に行なうことができる。
【0023】
そして、テーブル天板から切り離された脚は、収納凹部内に収納しておくことができる。
【0024】
前記係止段部は、前記開口部の縁部から下方へ所定距離間隔をおいた部位に形成されていることが好ましい。
【0025】
このような構成とすることにより、前記距離をテーブル天板の厚みと略一致させると、テーブル天板を係止段部に係合させて収納した際に、テーブル天板の面と床面とを面一とすることができる。
【0026】
これによって、テーブル天板を収納した状態において、床面に段差が生じることを防止し、歩行の安全を確保することができる。
【0027】
また、床面を畳等の表面材によって覆う場合、開口部の縁部と係止段部との距離をテーブル天板の厚みに表面材の厚みを加えた長さとすることにより、テーブル天板を覆う表面材と、他の部位を覆う表面材とを面一として、テーブル天板を収納したことによる床面の違和感を緩和することができる。
【0028】
前記係止段部の対向する部位間に、係合させられるテーブル天板の面を支持する複数の支持ロッドが着脱可能に装着された構成とすることができる。
【0029】
このような構成とすることにより、テーブル天板を収納した状態において、このテーブル天板を複数箇所で支持することができ、歩行等によりテーブル天板に加重が作用した場合でも、テーブル天板の変形を抑制することができる。
【0030】
この結果、テーブル天板が収納された位置における床面が沈むといった不具合を解消することができる。
【0031】
前記支持ロッドには、テーブル天板の面が当接させられる緩衝材が設けられた構成とすることが好ましい。
【0032】
このような構成とすることにより、テーブル天板に加重等が作用した際に、テーブル本体と支持ロッドとのずれを緩衝材によって吸収することにより、きしみ音の発生を防止することができるとともに、テーブル天板の損傷を防止することができる。
【0033】
前記テーブルの裏面には、このテーブル天板の面と略相似形をなすバックアッププレートが装着され、このバックアッププレートに形成された複数の切り欠きによってテーブル天板の裏面を露出する露出部が形成され、この露出部に脚が固定される構成とすることができる。
【0034】
このような構成とすることにより、脚の取り付け位置を明確にしてその装着作業を容易にすることができる。
【0035】
そして、前記脚の固定は、露出部に固定プレートを立設しておき、この固定プレートを、脚と脚に螺着される固定ボルトによって挟持することによって行なうことができる。