特許第6934128号(P6934128)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6934128ESP生産ラインのためのロングキロメートルで圧延することができる圧延機ロール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6934128
(24)【登録日】2021年8月25日
(45)【発行日】2021年9月15日
(54)【発明の名称】ESP生産ラインのためのロングキロメートルで圧延することができる圧延機ロール
(51)【国際特許分類】
   B21B 27/02 20060101AFI20210906BHJP
   B21C 51/00 20060101ALI20210906BHJP
   B21B 38/10 20060101ALI20210906BHJP
   B21B 1/46 20060101ALI20210906BHJP
   B21B 1/26 20060101ALI20210906BHJP
   B21B 37/18 20060101ALI20210906BHJP
【FI】
   B21B27/02 A
   B21C51/00 N
   B21B38/10 Z
   B21B1/46 A
   B21B1/26 E
   B21B37/18 110Z
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-565721(P2018-565721)
(86)(22)【出願日】2017年6月13日
(65)【公表番号】特表2019-522567(P2019-522567A)
(43)【公表日】2019年8月15日
(86)【国際出願番号】CN2017088053
(87)【国際公開番号】WO2017215595
(87)【国際公開日】20171221
【審査請求日】2019年1月30日
(31)【優先権主張番号】201620572000.3
(32)【優先日】2016年6月15日
(33)【優先権主張国】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514151454
【氏名又は名称】アルヴェディ・スティール・エンジニアリング・エッセ・ピ・ア
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジョヴァンニ・アルヴェディ
【審査官】 河口 展明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−198313(JP,A)
【文献】 特開2013−226572(JP,A)
【文献】 特開昭62−068606(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0192790(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0101450(US,A1)
【文献】 特開2000−015308(JP,A)
【文献】 特開昭60−082211(JP,A)
【文献】 特開昭59−001006(JP,A)
【文献】 特開昭62−068611(JP,A)
【文献】 特開平03−000406(JP,A)
【文献】 米国特許第6295851(US,B1)
【文献】 米国特許第4864836(US,A)
【文献】 米国特許第6324881(US,B1)
【文献】 米国特許第3948072(US,A)
【文献】 米国特許第5714692(US,A)
【文献】 欧州特許第0153849(EP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 27/00−38/12
B21C 51/00
B21B 1/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ESP生産ラインのための圧延機であって、前記圧延機は、
ロール(3、4)と、
軸受箱(2)と、
ロールシフト用油圧シリンダ(1)と
を備え、前記ロール(3、4)は上ロール(3)と下ロール(4)とを含み、前記ロール(3、4)の端部がそれぞれの前記軸受箱(2)にそれぞれ連結され、前記ロール(3、4)の一端がそれぞれの前記ロールシフト用油圧シリンダ(1)と連結され、
前記ロール(3、4)の表面の中間部分が内向きに落ち込み、前記ロール(3、4)の一端が、外に向かって徐々に小さくなる錐台の形状であり、
前記ロール(3、4)の他端が円筒形であり
前記ロール(3、4)の錐台形状の端の勾配は0.01以下であり、前記勾配はR/Lに等しく、ここで、Lは前記ロール(3、4)の錐台形状の端の長さであり、Rは前記ロール(3、4)の錐台形状の端の径方向の延長であり、
前記上ロール(3)と前記下ロール(4)とは同じロールプロファイルを有し、反対方向に位置決めされ、
摩耗(Δr)が径方向に前記ロール(3、4)に生じたとき、前記ロール(3、4)は、前記ロールシフト用油圧シリンダ(1)によって、反対の水平方向に、同じロールシフト値(s)だけシフトされ、
前記ロールシフト値(s)は、摩耗(Δr)を前記ロール(3、4)の錐台形状の端の勾配で除算した値に等しい、ESP生産ラインのための圧延機。
【請求項2】
内向きに落ち込む前記ロールの表面の前記中間部分の前記ロールプロファイルの曲線が余弦曲線または多項式ロールプロファイル曲線である、請求項1に記載の圧延機。
【請求項3】
前記多項式ロールプロファイル曲線は放物曲線である、請求項2に記載の圧延機。
【請求項4】
前記上ロール(3)のための前記軸受箱(2)は、前記ロール(3、4)を鉛直方向において調節するためのロール調節油圧シリンダ(5、5a)に連結される、請求項1から3のいずれか一項に記載の圧延機。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の圧延機を使用する方法であって、前記上ロール(3)および前記下ロール(4)の摩耗(Δr)を補償するために、前記上ロール(3)は、前記上ロールに連結された前記ロールシフト用油圧シリンダ(1)を用いて、ロールシフト値(s)に対応する距離だけ第1の水平方向にシフトされ、前記下ロール(4)は、前記下ロール(4)に連結されたロールシフト用油圧シリンダ(1)を用いて、同じ距離だけ第2の水平方向にシフトされ、前記第1の水平方向は前記第2の水平方向と反対であり、前記ロールシフト値(s)はs=Δr*L/Rであり、ここで、Lは前記ロール(3、4)の錐台形状の端の長さであり、Rは前記ロール(3、4)の錐台形状の端の径方向の延長であり、Δrは前記摩耗である方法。
【請求項6】
圧延する間、前記上ロール(3)と前記下ロール(4)とがシフトされる前記距離が、安定した様態または不安定な様態で時間と共に増加する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記上ロール(3)は、ロール調節油圧シリンダ(5)によって鉛直方向に下降させられる、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記下ロール(4)の鉛直方向位置は一定に維持され、前記上ロール(3)は、前記上ロール(3)と前記下ロール(4)との両方の径方向における前記摩耗(Δr)の合計に対応する距離だけ下降させられる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記上ロール(3)は、径方向における前記上ロール(3)の前記摩耗(Δr)に対応する距離だけ下降させられ、前記下ロール(4)は、径方向における前記下ロール(4)の前記摩耗(Δr)に対応する距離だけ上昇させられる、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記上ロール(3)が下降させられる前記距離が、前記下ロール(4)が上昇させられる前記距離に対応する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記上ロール(3)は、前記上ロール(3)と連結された前記ロールシフト用油圧シリンダ(1)を用いて、前記ロールシフト値(s)に対応する距離だけ前記第1の水平方向にシフトされ、前記上ロール(3)は、ロール調節油圧シリンダ(5)によって鉛直方向に下降させられ、前記下ロール(4)は、前記下ロール(4)に連結された前記ロールシフト用油圧シリンダ(1)を用いて、同じ前記距離だけ前記第2の水平方向にシフトされ、前記下ロール(4)は、ロール調節油圧シリンダ(5a)によって前記鉛直方向に上昇させられ、前記上ロール(3)が下降させられる前記距離は、前記下ロール(4)が上昇させられる前記距離に対応する、請求項5から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記上ロール(3)および前記下ロール(4)の最大のシフト距離は300mmから600mmの間である、請求項5から11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧延機ロールに関し、詳細には、ESP生産ラインで使用されるのに適するロングキロメートルで圧延することができる圧延機ロールと、その圧延機ロールを備える、ロングキロメートルで圧延するための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
ESPエンドレス帯鋼生産ラインは、連続した鋳造機械と圧延ラインとの間にしっかりとした連結を達成しており、それによって、従来の熱間連続圧延におけるような頻繁なスレッドインおよびスレッドアウトによって引き起こされる鋼のスクラップ損失を排除する。そのようにすることで、ESP生産工程およびESP生産ラインは、特に薄いゲージの製品について、安定した圧延工程を実現している。
【0003】
概して、薄いゲージの製品の経済的な利益は、厚いゲージの製品の経済的な利益より大きい。ESPの最大の利益は、大きな質量流量で薄いゲージの製品を圧延する優れた能力である。ESP圧延工程は、「厚い-薄い-厚い」の移行形態を特徴としており、つまり、ESPラインの開始後、最終的な圧延製品はやや厚く、その後、最終的な圧延製品のゲージは徐々に薄くなり、途切れのない圧延キャンペーンの終わりの前に、最終的な圧延製品のゲージが再びより厚くなる。薄いゲージの割合を向上させるための核心は、圧延キロメートルを増加させることにあり、これは、鋳造機械の連続的な鋳造トン数の増加と、ロール摩耗の低減とを意味する。連続的な鋳造トン数は鋳造用ノズルの寿命によって制限され、ロール摩耗は、圧延製品の保証される要件によって制限される。現在、ESP連続鋳造で使用するノズルの寿命は、耐えることのできる範囲に入っており、ロール摩耗に起因するロール接触および圧延製品の制御不能が、圧延キロメートルを制限する主要要因であり、これを、本発明による最適化されたロールプロファイルによって解決しようとするものである。
【0004】
現在、圧延機ロールのロールプロファイルは、ロングキロメートルの圧延を実施するとき、より大きな部分的な摩耗を特徴とする主に余弦関数の凹状である。摩耗のため、ロール同士の間、具体的には、ロールの縁同士の間の接触(ボックスホールまたはロールキスとしても知られている)が容易に起こる可能性があり、そのため、圧延製品の滑らかな圧延と幾何学的特性とがもはや保証できなくなる。結果として、先行技術による圧延機ロールの圧延キロメートルは80km以下となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の技術的な課題は、先行技術の上記の短所を克服することを目的として、ロングキロメートルで圧延することができ、ESP生産ラインで使用できる圧延機ロールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、この技術的な問題を、ロールと、軸受箱と、ロールシフト用油圧シリンダとを備え、前記ロールは上ロールと下ロールとを含み、前記ロールの両端が軸受箱とそれぞれ連結され、ロールの一端がロールシフト用油圧シリンダと連結され、前記ロールの表面の中間部分が内向きに落ち込み、ロールの一端が、外に向かって徐々に小さくなる錐台の形状であり、ロールの他端が円筒形であり、前記上ロールと前記下ロールとは同じロールプロファイルを有し、反対方向に位置決めされる、ESP生産ラインのために使用されるロングキロメートルで圧延することができる圧延機ロールによって解決する。
【0007】
各々のロールの両端は、それぞれのロールを圧延機スタンドにおいて回転可能に搭載するための軸受箱に連結される。各々のロールは、錐台形状の第1の端と、凹状の形を有する中間部分と、円筒の形を伴う第2の端とを特徴とする。上ロールは下ロールと反対の方向に位置決めされ、つまり、上ロールが、左手側にある錐台形状の端と、凹状の中間部と、右手側にある円筒形の端とを特徴とする場合、従って同じ圧延機スタンドに配置される下ロールは、左手側にある円筒形の端と、凹状の中間部と、右手側にある錐台形状の端とを特徴とする。当然ながら、逆の配置も可能である。各々のロールの一端は、水平方向にロールをシフトするためのロールシフト用油圧シリンダに連結される。ロールシフト用油圧シリンダは、典型的には、300mmから600mmの間のストロークを有するロングストロークシリンダである。上ロールに連結されたロールシフト用油圧シリンダによって水平方向に(例えば、左から右へと)上ロールをシフトすることによって、および、下ロールに連結されたロールシフト用油圧シリンダによって反対の水平方向に(例えば、右から左へと)下ロールをシフトすることによって、圧延ロールが途切れのない動作を維持できる最大のキロメートルが、およそ80kmから150kmまで増加する。それによって、ロールを再研磨するための保守コストが低減され、シーケンス開始が減るために生産量が増加し、薄いゲージの圧延製品の生産が増加する。
【0008】
内向きに落ち込む前記ロール表面の中間部分のロールプロファイルの曲線が余弦曲線または多項式ロールプロファイル曲線である。具体的には、多項式ロールプロファイル曲線は放物曲線である。
【0009】
前記錐台の勾配は、錐台の径方向の延長Rと錐台の長さLとの間の比として定められる。
【0010】
錐台の勾配は、ロールの摩耗Δrとロールシフト値sとの間の比に対応する(勾配の定義については図2を参照されたい)。
【0011】
前記錐台の勾配は好ましくは0.01以下である。
【0012】
有利には、上ロールのための軸受箱、好ましくは、上ロールのための軸受箱および下ロールのための軸受箱は、ロールを鉛直方向において調節するためのロール調節油圧シリンダに連結される。ロール調節油圧シリンダの代わりに、電気駆動部(例えば、ネジ駆動部)が使用されてもよい。それによって、上ロールと下ロールとの間のロール隙間を、ロールの摩耗に拘わらず一定に維持できる。
【0013】
本発明の有利な実施形態によれば、圧延製品の厚さを測定するための厚さゲージが制御装置に接続され、制御装置は、圧延製品の厚さの目標値と、圧延製品の測定された厚さとの間の差である厚さ誤差eを決定し、制御装置は、厚さ誤差に応じて上ローラと下ローラとを互いに反対の水平方向にシフトするために、ロールシフト用油圧シリンダに接続される。エンドレスな生産の間、上ロールおよび下ロールの鉛直方向位置は概して一定のままである。そのため、圧延の間に連続的または非連続的に決定され得る厚さ誤差eは、上ロールおよび下ロールの径方向の摩耗の合計に対応する。ロールは、厚さ誤差eの関数として互いに反対の水平方向にシフトされる。
【0014】
厚さ誤差eを決定することの代替または追加として、圧延の間の上ロールおよび下ロールの摩耗Δrを決定するための摩耗監視装置が使用されてもよい。摩耗監視装置は、圧延力、圧延速度、圧延時間、圧延素材の材料などの圧延パラメータを考慮する。摩耗監視装置は制御装置に接続され、制御装置は、摩耗Δrの関数として上ロールと下ロールとを互いに反対の水平方向にシフトするために、ロールシフト用油圧シリンダに接続される。
【0015】
圧延製品の厚さを圧延の間に一定に保つ目的のために、制御装置は、厚さ誤差eおよび摩耗Δrの少なくとも一方に応じて上ロールを鉛直方向において調節するために、上ロールのためのロール調節油圧シリンダに接続される。
【0016】
圧延製品の厚さとパスラインとの両方を圧延の間に一定に保つ目的のために、制御装置は、厚さ誤差eおよび摩耗Δrに応じて下ロールを鉛直方向において調節するために、下ロールのためのロール調節油圧シリンダ(または、電気駆動部)に接続される。
【0017】
本発明のさらなる技術的な課題は、本発明による圧延機ロールを備えるロングキロメートルで圧延するための有利な方法を提供することである。方法を利用することで、ロールが連続動作において維持され得る時間が向上されるだけでなく、圧延製品の幾何学的な形、特にクラウンが、ロングキロメートルで圧延する間に良好なままとなる。
【0018】
これは、以下の方法ステップ、すなわち、上ロールおよび下ロールの摩耗を補償するために、上ロールは、上ロールに連結されたロールシフト用油圧シリンダを用いて、ロールシフト値に対応する距離だけ第1の水平方向にシフトされ、下ロールは、下ロールに連結されたシフト用油圧シリンダを用いて、前記距離だけ第2の水平方向にシフトされ、第1の水平方向は第2の水平方向と反対である、方法ステップによって達成される。上ロールと下ロールとを圧延の間に互いに反対の水平方向にシフトすることで、圧延機ロールは、はるかにより長く圧延ミルで利用でき、圧延機ロールは、はるかにより多くのキロメートルを圧延できる。また、圧延製品の形は圧延の間に悪化しない。
【0019】
圧延する間、上ロールと下ロールとがシフトされる距離が、安定した様態または不安定な様態で時間と共に増加することは有利である。別の言い方をすれば、上ロールも下ロールも、シフトされる距離が典型的には時間と共に増加するように一方の方向のみにシフトされるため、水平方向において往復することはない。増加は、絶え間なく行われる、つまり途切れることなく行われるか、または不規則に行われる、つまり増加は一時的に停止される。
【0020】
ロールの摩耗による厚さの変化を補償するために、上ロールをロール調節油圧シリンダによって鉛直方向に下降させることは有益である。
【0021】
下ロールの鉛直方向位置が一定に維持される場合、上ロールと下ロールとの両方の径方向における摩耗の合計に対応する距離だけ上ロールを下降させることが好ましい。そのようにすることで、圧延製品の厚さは、ロールの摩耗にも拘らず維持できる。
【0022】
上ロールおよび下ロールの鉛直方向位置が圧延の間に変化され得る場合、上ロールは、径方向における上ロールの摩耗に対応する距離だけ下降させられ、下ロールは、軽方向における下ロールの摩耗に対応する距離だけ上昇させられることが好ましい。そのようにすることで、圧延製品のいわゆる「パスライン」が一定に維持される。
【0023】
上ロールの材料が下ロールの材料と同一である場合、上ロールが下降させられる距離は、下ロールが上昇させられる距離に対応することが好ましい。
【0024】
圧延の間、上ロールは、上ロールと連結されたロールシフト用油圧シリンダを用いて、ロールシフト値に対応する距離だけ第1の水平方向にシフトされ、上ロールは、ロール調節油圧シリンダによって鉛直方向に下降させられ、下ロールは、下ロールに連結されたシフト用油圧シリンダを用いて、同じ距離だけ第2の水平方向にシフトされ、下ロールは、ロール調節油圧シリンダによって鉛直方向に上昇させられ、上ロールが下降させられる距離は、下ロールが上昇させられる距離に対応することが好ましい。そのようにすることで、圧延製品の厚さおよびパスラインは、ロールの摩耗にも拘らず一定のままである。
【0025】
概して、上ロールおよび下ロールの最大のシフト距離を300mmから600mmの間に設定することは有益である。ロールが最大のシフト距離だけシフトされると、またはその前であっても、ロールは交換されることになる。
【0026】
圧延の間に適切なロールのシフトを可能とするために、圧延製品の厚さを圧延の間に測定し、圧延製品の厚さの目標値と、圧延製品の測定された厚さとの間の差である厚さ誤差eを、圧延の間に計算することは有利であり、上ロールと下ロールとは、厚さ誤差eの関数として互いに反対の水平方向にシフトされる。
【0027】
厚さ誤差を計算することに代えて、上ロールおよび下ロールの摩耗Δrを、圧延力、例えばロールや圧延製品などの温度、圧延速度、圧延時間、圧延素材やロールなどの材料などの圧延パラメータを考慮して、圧延の間に決定することは有利であり、上ロールと下ロールとは、摩耗Δrの関数として互いに反対の水平方向にシフトされる。
【0028】
上ロールおよび下ロールをロールシフト値sだけシフトすることは有益である。ここで、sは以下のとおりである。
【0029】
【数1】
【0030】
ここで、Lはロールの錐台形状の端の長さであり、Rは、ロールの錐台形状の端の径方向の延長であり、Δrは摩耗である。
【0031】
先行技術と比較して、本発明は以下の顕著な有益な効果を有している。
1. エッジ接触が回避されることで、薄いゲージのロングキロメートルでの圧延を保証する。
2. 圧延製品の制御不能が低減され、それによって最終製品の優れた品質を確保する。
3. 圧延製品の優れた幾何学的な形。
4. 圧延製品の厚さおよびパスラインを圧延キャンペーンの間に一定に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明による圧延機ロールの構造を示す図である。
図2】本発明による上ロールおよび下ロールのプロファイルを示す図である。
図3】本発明による、摩耗の前後の下ロールの形を示す図である。
図4】本発明による、摩耗の後の上ロールおよび下ロールの形を示す図である。
図5】本発明による圧延機ロールの、図1の代替の構造を示す図である。
図6】本発明による圧延機ロールを備えるロングキロメートルで圧延するための方法ステップを示す図である。
図7】本発明によるロングキロメートルで圧延するための図6の方法ステップの第1の代替を示す図である。
図8】本発明によるロングキロメートルで圧延するための図6の方法ステップの第2の代替を示す図である。
図9】本発明によるロールの錐台形状の端のプロファイルを示す図である。
図10】本発明による、ESPラインにおける圧延機ロールの構造を示す概略図である。
図11】本発明による摩耗監視装置の機能を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、添付の図面および以下のような実施形態との組み合わせで詳細にさらに説明される。
【0034】
図1に示しているように、本発明は、ロール3および4と、ロール3および4の両側に位置づけられた軸受箱2と、2つのロールシフト用油圧シリンダ1とを備え、前記ロールは上ロール3と下ロール4とを備える。前記ロールの両端が軸受箱2とそれぞれ連結され、前記ロールの一端がロールシフト用油圧シリンダ1と連結されており、油圧シリンダ1の作用の下で、ロール3、4は、互いに反対の水平方向に軸方向のロールのシフトを実施する。
【0035】
図1および図2に示しているように、前記ロール3、4の表面の中間部分は、落ち込んだ区域を形成するために内向きに落ち込んでおり、最適化された計画では、前記落ち込んだ区域のロール表面のロールプロファイル曲線は余弦曲線または多項式ロールプロファイル曲線である。ロール3、4の一端は、外向きに徐々に小さくなる錐台の形状であり、そのためロール表面は補償傾斜を形成し、錐台傾斜の勾配は、好ましくは0.01以下であり、R/Lによって定められる錐台の勾配は、摩耗Δrとロールのシフト距離sとの間の比に対応する。本発明の好ましい実施形態によれば、R/L≦0.01である。ロールの他端は円筒形であり、つまり、その区域の直径はどこでも同一である。
【0036】
前記上ロール3と前記下ロール4とは同じロールプロファイルを有し、反対方向に位置決めされている。この設計はロールの摩耗の補償を可能にする。一端に円筒があり他端に錐台がある非対称の設計は以下の利点を有し、すなわち、ロールのシフトがロールの摩耗と合致しないとき、圧延製品の制御不能を、重力および平面の支持を用いてある程度まで低減させることができ、さらに、摩耗が発生した後、ロールの寿命および適用可能な表面を増加させるために、ロールの二次的な回転または研磨が円筒の区域で実施され得る。
【0037】
図2に示しているように、ロールのシフトは、反対の水平方向にシフトする形態を用い、つまり、ロールは、円錐の端から円筒の端まで、互いに反対の水平方向に移動する。ロールがシフトされる方向は、矢印で指示されている。
【0038】
摩耗の形態が図3に示されている下ロールは例として解釈され、点線aは摩耗前の曲線位置であり、実線bは摩耗後の曲線位置である。
【0039】
上ロール3と下ロール4とが一体に組み合わされた後、それらの関係が図4に示されており、摩耗Δrが径方向で圧延機ロールに起こったとき、鋼帯の縁は、圧延機ロールの横へのシフトを介して円錐の区域の近くにある状態のままとなり、上ロールと下ロールとの間に接触の危険性はない。ロールがシフトされる距離sは、s=Δr*L/Rの関係によって与えられる。
【0040】
図5に、本発明による代替の圧延機ロールが描写されている。図1に存在する部品に加えて、上ロール3の鉛直方向位置は油圧調節シリンダ5によって調節できる。そのようにすることで、圧延製品の厚さは、摩滅された上ロール3および下ロール4の場合であっても一定に維持できる。任意選択で、下ロール4の鉛直方向位置も、一対の油圧調節シリンダ5aによって調節でき、任意選択の要素は点線によって描写されている。上ロール3の上方に配置された油圧調節シリンダ5と、下ロール4の下方に配置された油圧調節シリンダ5aとの組み合わせによって、圧延製品の厚さだけでなく、圧延製品のパスラインも、圧延の間に一定に維持できる。
【0041】
図6に、本発明による圧延機ロールを使用するロングキロメートルで圧延するための方法の第1の変形が、概略的に描写されている。左の描画は最初の状況を示しており、圧延素材は、上ロールおよび下ロールによって厚さh0まで圧延される。真ん中の描画は、いくらかの時間の圧延の後の状況を描写しており、上ロールと下ロールとの両方の半径が、摩耗のためにΔrだけ減少している。摩耗Δrは、圧延力、圧延速度、圧延時間、圧延素材の材料などの圧延パラメータを考慮して、摩耗監視装置によって決定される。上ローラおよび下ローラの鉛直方向位置を変えない場合、厚さは、摩耗のためにh0+2*Δrまで増加する。クラウンの形を有する圧延製品の圧延を続けるために、上ロールと下ロールとの両方が距離sだけシフトされ、ここで、sは以下のとおりである。
【0042】
【数2】
【0043】
ここで、Lは錐台の長さであり、Rは、図9に描写したような錐台の径方向の延長である。上ロールは水平方向に右から左へとシフトされ、下ロールは、反対の方向、つまり、左から右へとシフトされる。右の描画は、いくらかのより長い時間の圧延の後の状況を描写しており、上ロールと下ロールとの両方の半径が、摩耗のために2*Δrだけ各々減少している。そのため、圧延製品の厚さはh0+4*Δrまで増加する。摩耗Δrが再び決定され、クラウンの形を有する圧延製品の圧延を続けるために、上ロールと下ロールとの両方が距離2sだけシフトされる。図6による方法の利点はその単純さであり、それにも拘らず圧延は長い距離にわたって続けることができる。
【0044】
図7に、本発明による圧延機ロールを使用するロングキロメートルで圧延するための方法の第2の変形が、概略的に描写されている。左の描画は、図6の左の描画に描写されているように、最初の状況を示している。真ん中の描画は、いくらかの時間の圧延の後の状況を描写しており、上ロールと下ロールとの両方の半径が、摩耗のためにΔrだけ各々減少している。摩耗Δrが、摩耗監視装置によって再び決定される。上ローラおよび下ローラの鉛直方向位置を変えない場合、厚さは、摩耗のためにh0+2*Δrまで増加する。クラウンの形を有する圧延製品の圧延を続けるために、上ロールと下ロールとの両方が距離sだけシフトされ、上ロールは、鉛直方向に距離2*Δrだけ下降させられる。ここで、sは以下のとおりである。
【0045】
【数3】
【0046】
そのようにすることで、圧延製品の厚さはh0のままになる。右の描画は、いくらかのより長い時間の圧延の後の状況を描写しており、上ロールと下ロールとの両方の半径が、摩耗のために2*Δrだけ各々減少している。そのため、および、上ローラおよび下ローラの鉛直方向位置の変化がない場合、厚さは、摩耗のため、h0+2*Δrまで増加することになる。摩耗Δrが再び決定され、クラウンの形を有する圧延製品の圧延を続けるために、上ロールと下ロールとの両方が距離2sだけシフトされ、上ロールは鉛直方向に追加の2*Δrだけさらに下降させられ、左の描画に描写されている最初の鉛直方向位置に対して4*Δrとする。図7による方法の利点は、圧延を長い距離にわたって続けることができ、圧延製品の厚さをh0に一定に維持できることである。図7では、下ロールの鉛直方向位置が一定のままである。
【0047】
図8に、本発明による圧延機ロールを使用するロングキロメートルで圧延するための方法の第3の変形が、概略的に描写されている。左の描画は、図6の左の描画に描写されているように、最初の状況を示している。真ん中の描画は、いくらかの時間の圧延の後の状況を描写しており、上ロールと下ロールとの両方の半径が、摩耗のためにΔrだけ各々減少している。摩耗Δrが、摩耗監視装置によって再び決定される。クラウンの形を有する圧延製品の圧延を続けるために、上ロールと下ロールとの両方が距離sだけシフトされ、上ロールは、鉛直方向に距離Δrだけ下降させられ、下ロールは、鉛直方向に距離Δrだけ上昇させられる。ここで、sは以下のとおりである。
【0048】
【数4】
【0049】
そのようにすることで、圧延製品の厚さはh0のままとなり、圧延製品のいわゆるパスラインは一定のままである。右の描画は、いくらかのより長い時間の圧延の後の状況を描写しており、上ロールと下ロールとの両方の半径が、摩耗のために2*Δrだけ各々減少している。径方向におけるロールの摩耗Δrが再び決定され、クラウンの形を有する圧延製品の圧延を続けるために、上ロールと下ロールとの両方が距離2sだけシフトされ、上ロールは鉛直方向に追加の距離Δrだけさらに下降させられ、左の描画に描写されている鉛直方向位置に対して2*Δrとし、下ロールは鉛直方向に追加の距離Δrだけさらに上昇させられ、左の描画に描写されている鉛直方向位置に対して2*Δrとする。図8による方法の利点は、圧延を長い距離にわたって続けることができ、圧延製品の厚さをh0に一定に維持することができ、圧延製品のパスラインも一定のままとなることである。
【0050】
図6図8には、摩耗がなく、水平方向のロールのシフトがなく、鉛直方向のロールの調節がない場合のロールのプロファイルが、点線によって描写されている。
【0051】
図9に、ロールの錐台形状の端の幾何学的形状が描写されており、これは、軸方向における錐台の長さL、錐台の径方向の延長、および角度αを含み、これらの関係は以下の通りである。
【0052】
【数5】
【0053】
図10は、5つの圧延機スタンド9を伴うESPラインの仕上げ圧延機の配置を示している。仕上げ圧延機の後、圧延製品を層流冷却するための冷却ヘッダ8を伴う冷却区域が設置されている。仕上げ圧延機の最後の圧延機スタンド9の出口と冷却ラインの最初の冷却ヘッダ8との間に、圧延製品の厚さを測定するための厚さ測定装置6が設置されている。厚さに対応する測定信号10が制御装置7へと送信される。制御装置7は、圧延製品の目標厚さ11と、厚さ測定装置によって測定された圧延製品の厚さとの差である厚さ誤差eを計算する。制御装置7は、厚さ誤差eに対応する信号を圧延機スタンド9へと送信し、圧延機スタンドの上ローラおよび下ローラは、厚さ誤差eに応じて互いに反対の水平方向にシフトされる。図10の実施形態は、単一のロールスタンドのみにおける本発明による方法の実施を示している。しかしながら、本発明は、単一のロールスタンドに限定されず、例えば、冷却区域の前の最後の3つのロールスタンドといった、複数のロールスタンドに適用できる。
【0054】
図11は、上ローラおよび下ローラをシフトするための油圧シフトシリンダと組み合わされた摩耗監視装置12の機能を示している。圧延力F、上ローラおよび下ローラの回転速度rev、または、ロールの回転数が、摩耗監視装置12へと連続的に供給される。ここで、ロールの回転数は以下のとおりである。
【0055】
【数6】
【0056】
これらの入力信号を用いて、摩耗監視装置12は上ロールおよび下ロールの摩耗Δrを連続的に計算する。摩耗Δrに応じて、制御装置7は、上ロールに連結された油圧シフトシリンダと、下ロールに連結された油圧シフトシリンダとに信号を出力する。これらの信号に応じて、両方のロールが、互いに反対の水平方向に同じ距離だけシフトされる。
【0057】
本発明は、圧延機ロールの摩耗を保証することができ、それによってロールの圧延キロメートルを引き伸ばして、圧延製品の適切な幾何学的形状と、帯鋼の幅方向における厚さプロファイルとを保証しつつ、150kmを超える圧延を実現する。
【0058】
本発明に関して本発明の特定の実施形態を詳細に説明したが、この分野における技術者またはエンジニアに関して、本発明の本質および範囲から逸脱することなく行われる様々な明白な変更が本発明の保護範囲にあることは、留意される。
【符号の説明】
【0059】
1 ロールシフト用油圧シリンダ
2 軸受箱
3 上ロール
4 下ロール
5 上ロールのためのロール調節シリンダ
5a 下ロールのためのロール調節シリンダ
6 厚さゲージ
7 制御装置
8 冷却ヘッダ
9 圧延機スタンド
10 測定値
11 目標値
12 摩耗監視装置
α 錐台の勾配角度
e 厚さ誤差
L 錐台の長さ
R 錐台の径方向延長
Δr 径方向における摩耗
s ロールシフト値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11