(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
  以下、本発明の限定的ではない例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明をする。
 
【0010】
  本発明の第1実施形態に係るドローン洗浄システム100について説明する。
図1はドローン洗浄システム100を示す側面図である。
 
【0011】
  ドローン洗浄システム100は、汚れや有害物質等の付着物が付いた飛行体1を液体で洗浄するためのシステムである。
図1に示すように、ドローン洗浄システム100は、飛行体1と、洗浄槽110と、を含んで構成される。除去対象である付着物の種類は、特に限定されない。例えば、砂埃や粉塵、放射性物質等が挙げられる。
 
【0012】
  洗浄槽110は、飛行体1を洗浄するための液体が貯められている槽である。洗浄槽110に貯められる液体の種類は、特に限定されず、付着物に応じて適宜選択される。本実施形態では、洗浄槽110に貯められる液体として水を使用している。
 
【0013】
  本実施形態のドローン洗浄システム100は、洗浄槽110である第1洗浄槽111と、第2洗浄槽112と、第3洗浄槽113の3槽を用いる三段式の洗浄システムである。第1洗浄槽111は、付着物が付いた飛行体1が最初に入る槽である。第2洗浄槽112は、第1洗浄槽111内の水で洗浄された飛行体1が入る槽である。第3洗浄槽113は、第2洗浄槽112内の水で洗浄された飛行体1が入る槽である。
 
【0014】
  次に、飛行体1について説明する。本実施形態に係る飛行体1は、無人で飛行可能なドローンである。なお、「無人で飛行可能」とは、飛行体に人が搭乗しない状態で飛行できることを意味し、自律飛行可能である場合だけでなく、人によって飛行体が遠隔操縦される場合も含む。
 
【0015】
  飛行体1は、本体部10と、本体部10から延出するアーム部20と、アーム部20に支持される回転翼30と、回転翼30の角度を変更する角度変更機構40と、を備える。また、飛行体1は、空中で飛行する飛行モードと、液中で本体部10を洗浄する洗浄モードの2つのモードを備える。
図2は飛行モードにおける飛行体1の側面図であり、
図3は洗浄モードにおける飛行体1の側面図である。
 
【0016】
  本体部10は、平面視において飛行体1の中心に位置し、制御装置60やカメラ74等のセンサ類の電子機器(例えばCPU、メモリ等を有し、制御プログラムを実行するコンピュータ装置等)を備える。また、本体部10の下側には、着陸平面に接地する脚部(図示省略)が配置される。
 
【0017】
  アーム部20は、その一側の端部(以下、基端部)が本体部10に接続され、他側の端部(以下、先端部)に回転翼30が配置される支持部である。本実施形態では、4本(複数)のアーム部20のそれぞれが、平面視において本体部10から放射状(径方向)に延びている。また、アーム部20は略水平方向に延びている。4本のアーム部20の間隔は、平面視における周方向で等間隔となっている。なお、
図2及び
図3では、紙面奥側に位置する2本のアーム部20が紙面手前側に位置するアーム部20によって隠れている。
 
【0018】
  回転翼30は、飛行体1の本体部10を飛行させるための空気流を回転によって発生させる。
図2に示すように、回転翼30はアーム部20の先端部に配置される回転翼駆動部32に回転自在に取り付けられる。回転翼駆動部32には、回転翼30を回転させる正逆回転可能な回転翼モータ31が内蔵される。飛行モードにおいて、回転翼モータ31の駆動によって回転翼30が回転すると、下方に向かう空気流が発生する。
 
【0019】
  本実施形態では、4本のアーム部20のそれぞれに回転翼30及び回転翼駆動部32が支持される。即ち、本実施形態の飛行体1は、4個の回転翼30と4個の回転翼駆動部32を備える。また、4個の回転翼30の間隔は、アーム部20と同様に平面視における周方向で等間隔となっている。なお、
図2及び
図3では、紙面奥側に位置する2個の回転翼30や2個の回転翼駆動部32が紙面手前側に位置する回転翼30や回転翼駆動部32によって隠れている。
 
【0020】
  次に、角度変更機構40について説明する。角度変更機構40は、洗浄モードにおいて、液中で回転翼30の回転によって発生する液体の流れが本体部10に向かうように本体部10に対する回転翼30の角度を変更する機構である。本実施形態の角度変更機構40は、アーム部20に対する回転翼30の角度を変更する第1角度変更機構41を有する。第1角度変更機構41は、第1関節部411と、第1角度変更モータ412と、を含む。
 
【0021】
  第1関節部411は、アーム部20と回転翼駆動部32の間に配置される。具体的には、第1関節部411は、アーム部20の先端部に可動軸Bを支点として回転可能に保持される。可動軸Bは、平面視においてアーム部20の延出方向に直交する方向に延びる軸である。第1関節部411には、回転翼駆動部32が取り付けられる。
 
【0022】
  第1角度変更モータ412は、アーム部20の先端部に内蔵される。第1角度変更モータ412の駆動により、可動軸Bを支点として第1関節部411が回転するとともに、回転翼駆動部32と当該回転翼駆動部32に取り付けられる回転翼30も可動軸Bを支点として回転する。この結果、
図2及び
図3に示すように、第1角度変更機構41によってアーム部20に対する回転翼30の回転軸Aの角度が変更される。
図3に示すように、液中において回転軸Aがアーム部20に対して平行になる位置まで第1関節部411を回転させ、回転翼モータ31を駆動し回転翼30を回転させることで、本体部10に向かう液体の流れである水流Fが発生する。
 
【0023】
  次に、制御装置60について説明する。
図4は、飛行体1の制御装置60に関する電気的な構成を示すブロック図である。
図4において回転翼30や回転翼モータ31、第1角度変更モータ412については、右回りの順にアルファベットを付し、回転翼30a〜30d、回転翼モータ31a〜31d、第1角度変更モータ412a〜412dを区別して説明する。
 
【0024】
  制御装置60は、例えばCPU、メモリ等を有し、制御プログラムを実行するコンピュータであり、飛行体1の空中での飛行や液中での潜行等の各種の制御処理を実行する。制御装置60には、バッテリ等の電源装置(図示省略)、カメラ74等の検出部、操作用コントローラやGPS等の外部装置と信号の送受信を行う通信装置75、ジャイロセンサ71、加速度センサ72、高度センサ73等の各種電子機器が電気的に接続される。
 
【0025】
  図4に示すように、制御装置60は、モード選択部61と、飛行制御部62と、洗浄制御部63と、を備える。モード選択部61と、飛行制御部62と、洗浄制御部63は、制御装置60に記憶されるプログラムの一部によって構成される。
 
【0026】
  モード選択部61は、飛行体1が回転翼30の回転によって空気流を発生させて空中を飛行する飛行モードと、液中で角度変更機構40を制御して回転翼30の回転によって本体部10に向かう液体の流れを発生させる洗浄モードを選択可能である。
 
【0027】
  モード選択部61は、予め制御装置60に記憶された自律制御用のプログラムに基づき、飛行モードと洗浄モードを選択する。具体的には、モード選択部61は、予め設定されたルートに沿って飛行する飛行体1が所定の地点に到達すると飛行モードから洗浄モードに切り替わる構成としてもよい。そして、モード選択部61は、液中に潜った飛行体1が所定の時間経過後に、洗浄モードから飛行モードに切り替わり、液中から空中に浮上する構成としてもよい。
 
【0028】
  また、モード選択部61は、通信装置75等を介して受信した情報に基づき、飛行モードと洗浄モードを選択してもよい。例えば、モード選択部61は、外部の操作コントローラに入力され、通信装置75に受信された情報に基いて飛行モードと洗浄モードを選択してもよい。また、例えば、GPS等の位置情報を取得する通信装置75やカメラ74から取得される飛行体1と洗浄槽110との間の距離情報に基いて、飛行モードと洗浄モードを選択してもよい。
 
【0029】
  飛行体1の動作は、飛行モードが選択されると飛行制御部62によって制御され、洗浄モードが選択されると洗浄制御部63によって制御される。
 
【0030】
  飛行制御部62は、飛行モードにおいて、ジャイロセンサ71、加速度センサ72、高度センサ73、カメラ74、通信装置75等からの各種情報や予め定められた自律制御用のプログラムに基づいて飛行体1の飛行を制御する。飛行制御部62は、回転翼モータ31a〜31dの駆動を制御することにより、回転翼30a〜30dの回転数等を調整する。
 
【0031】
  洗浄制御部63は、洗浄モードにおいて、ジャイロセンサ71、加速度センサ72、高度センサ73、カメラ74、通信装置75等からの各種情報や予め定められた自律制御用のプログラムに基づいて、飛行体1の液中での動作を制御する。
 
【0032】
  飛行体1が液中に潜ると、洗浄制御部63は、回転翼30a〜30dの回転数を制御して液中での本体部10の姿勢を制御する。具体的には、洗浄制御部63は、回転翼モータ31a〜31dの駆動を制御することで回転翼30a〜30dの回転数を制御し、回転翼30a〜30dのそれぞれの回転によって発生する水流Fの強さを調整して本体部10の姿勢を制御する。
 
【0033】
  また、洗浄制御部63は、第1角度変更機構41の第1角度変更モータ412a〜412dの駆動を制御することにより、回転翼30a〜30dの回転によって発生する水流Fの方向を調整する。具体的には、洗浄制御部63は、第1角度変更モータ412a〜412dの駆動を制御して、アーム部20に対する回転翼30a〜30dの回転軸Aの角度を変更する。例えば、
図3に示すように、洗浄制御部63は、アーム部20に対して回転翼30の回転軸Aが平行になるように調整した後に回転翼30を回転させて、本体部10の側部に向かう水流Fを発生させる。これにより、本体部10の側部に向かう水流Fが発生し、当該水流Fが本体部10の側部に当たり、付着物が本体部10から除去される。よって、追加の装置を用いずに空気流を発生させる回転翼30の回転を利用して本体部10の表面の付着物を除去できる。
 
【0034】
  また、本実施形態では、4個の回転翼30の間隔は、平面視における周方向で等間隔となっている。このため、例えば、洗浄制御部63が回転翼30a〜30dの各回転軸Aがアーム部20に対して平行になるように調整し、各回転翼30a〜30dの回転数を略一致させることで、四方向から本体部10の側部に対して略同じ強さの水流Fを当てることができる。これにより、液中での安定した姿勢を維持しつつ、本体部10を洗浄できる。
 
【0035】
  次に、ドローン洗浄システム100による飛行体1の洗浄の一例について説明する。
図5は飛行体1が洗浄される様子を模式的に示す側面図である。
図5(A)は飛行体1が飛行モードから洗浄モードに切り替わり、洗浄槽110の第1洗浄槽111に潜った状態を示す図、
図5(B)は第1洗浄槽111内で飛行体1の本体部10が洗浄されている状態を示す図、
図5(C)は第2洗浄槽112内で飛行体1の本体部10が洗浄されている状態を示す図、
図5(D)は第3洗浄槽113内で飛行体1の本体部10が洗浄されている状態を示す図である。
図5では、人間の立ち入りが困難な場所で作業を行った飛行体1に付着した放射性物質等の有害な物質を除去するためのシステムを例に説明する。
 
【0036】
  放射線物質等の有害な物質が存在する場所での作業を終えた飛行体1が飛行制御部62の飛行制御によって洗浄槽110の上空に到着すると、モード選択部61によって飛行モードから洗浄モードに切り替わる。洗浄モードに切り替わると、
図1(A)に示すように、洗浄制御部63によって回転翼モータ31の駆動が制御され、飛行体1が第1洗浄槽111の液中に潜る。
 
【0037】
  飛行体1が第1洗浄槽111の液中に潜ると、洗浄制御部63によって第1角度変更モータ412の駆動が制御され、回転翼30の回転軸Aがアーム部20に対して平行になるように第1関節部411が回転する。そして、
図5(B)に示すように、洗浄制御部63が回転翼モータ31を駆動し回転翼30を回転させることで、本体部10に向かう水流Fが発生し、当該水流Fが本体部10の側部に当たり、本体部10に付いた付着物が除去される。
 
【0038】
  所定の時間経過後に、洗浄制御部63が第1角度変更機構41の第1角度変更モータ412を駆動して、回転翼30の角度を回転軸Aがアーム部20に対して側面視で直交するように変更する。そして、モード選択部61によって洗浄モードから飛行モードに切り替わる。飛行モードに切り替わると、飛行制御部62が回転翼モータ31を駆動し、回転翼30を回転させることで液中から飛行体1が浮上し、第2洗浄槽112に移動する。
 
【0039】
  飛行体1が第2洗浄槽112に移動すると、モード選択部61が飛行モードから洗浄モードに切り替える。洗浄モードに切り替わると、洗浄制御部63によって回転翼モータ31の駆動が制御され、飛行体1が第2洗浄槽112の液中に潜る。そして、
図1(C)に示すように、洗浄制御部63によって第1洗浄槽111の液中で行った動作が繰り返される。
 
【0040】
  所定時間経過後に、洗浄モードから飛行モードに切り替わり、液中から飛行体1が浮上し、第3洗浄槽113に移動して液中に潜る。液中に潜ると、
図1(D)に示すように、第1洗浄槽111や第2洗浄槽112の液中で行った動作を繰り返す。
 
【0041】
  本実施形態では、第1洗浄槽111において回転翼30の回転によって発生する水流Fを本体部10の表面に当てることで付着物を除去できる。そして、第1洗浄槽111内で洗浄された飛行体1を第2洗浄槽112に移動させて再び洗浄するので、飛行体1の本体部10の付着物をより確実に除去できる。また、第2洗浄槽112の液中に混入される付着物の量を低減できる。さらに、除去対象の付着物が付着した飛行体1の洗浄を複数回行う場合であっても、第3洗浄槽113の液体は第1洗浄槽111及び第2洗浄槽を経由した飛行体1の洗浄に用いられるので、第3洗浄槽113の液体の汚染が抑えられた状態を維持できる。
 
【0042】
  次に、本発明の第1実施形態に係るドローン洗浄システム100の変形例について説明する。第1実施形態の変形例に係るドローン洗浄システム100は、飛行体1Aと、洗浄槽110と、を含んで構成される。上記実施形態と本変形例とでは、飛行体の構成が異なる。なお、飛行体1と同様の飛行体1Aの構成については、同様の符号を付してその説明を省略する場合がある。
 
【0043】
  図6は飛行体1Aの側面図である。
図6に示すように、飛行体1Aは、本体部10と、本体部10から延出するアーム部20と、アーム部20に支持される回転翼30と、回転翼30の角度を変更する角度変更機構40Aと、を備える。飛行体1Aは、角度変更機構40Aの構成が飛行体1とは主に異なる。
 
【0044】
  角度変更機構40Aは、洗浄モードにおいて、液中で回転翼30の回転によって発生する液体の流れが本体部10に向かうように本体部10に対する回転翼30の角度を変更する機構である。角度変更機構40Aは、アーム部20に対する回転翼30の角度を変更する第1角度変更機構41に加えて、本体部10に対するアーム部20の角度を変更する第2角度変更機構42を有する。第2角度変更機構42は、第2関節部421と、第2角度変更モータ422と、を含む。
 
【0045】
  第2関節部421は、本体部10とアーム部20の間に配置される。具体的には、第2関節部421は、アーム部20の基端部に取り付けられ、可動軸Cを支点として本体部10に回転可能に保持される。可動軸Cは、平面視においてアーム部20の延出方向に直交する方向に延びる軸である。
 
【0046】
  第2角度変更モータ422は、本体部10に内蔵される。第2角度変更モータ422が駆動することによって可動軸Cを支点として第2関節部421が回転するとともに、第2関節部421に取り付けられるアーム部20も可動軸Cを支点として回転する。
 
【0047】
  次に、第2角度変更機構42によるアーム部20の可動領域について説明する。
図6では、洗浄モードにおいて、角度変更機構40Aによって移動したアーム部20や回転翼30等の一例を二点鎖線で示している。
図6に示すように、第2角度変更機構42によってアーム部20が本体部10から径方向(
図6では左右方向)に延びる状態から下方向に延びる状態や上方向に延びる状態に変更できる。回転翼30を支持するアーム部20の本体部10に対する角度が変更されるので、本体部10に対する回転翼30の角度も変更される。また、第1角度変更機構41によって回転軸Aがアーム部20に対して平行になる位置まで回転翼30の角度を調整できる。
 
【0048】
  次に、制御装置60Aについて説明する。
図7は、飛行体1Aの制御装置60Aに関する電気的な構成を示すブロック図である。
図7において回転翼30や回転翼モータ31、第1角度変更モータ412、第2角度変更モータ422については、右回りの順にアルファベットを付し、回転翼30a〜30d、回転翼モータ31a〜31d、第1角度変更モータ412a〜412d、第2角度変更モータ422a〜422dを区別して説明する。
 
【0049】
  図7に示すように、制御装置60Aは、モード選択部61と、飛行制御部62と、洗浄制御部63Aと、を備える。モード選択部61と、飛行制御部62と、洗浄制御部63Aは、制御装置60Aに記憶されるプログラムの一部によって構成される。
 
【0050】
  洗浄制御部63Aは、洗浄モードにおいて、ジャイロセンサ71、加速度センサ72、高度センサ73、カメラ74、通信装置75等からの各種情報や予め設定された自律制御用のプログラムに基づいて、飛行体1の空中から液中に潜る動作や液中での動作を制御する。
 
【0051】
  飛行体1Aが液中に潜ると、回転翼30a〜30dの回転数を制御して液中での本体部10の姿勢を制御する。具体的には、洗浄制御部63は、回転翼モータ31a〜31dの駆動を制御することで回転翼30a〜30dの回転数を制御し、回転翼30a〜30dのそれぞれの回転によって発生する水流Fの強さを調整して本体部10の姿勢を制御する。
 
【0052】
  また、洗浄制御部63Aは、第1角度変更機構41の第1角度変更モータ412a〜412dの駆動を制御することにより、回転翼30a〜30dの回転によって発生する水流Fを本体部10の側部に当てる。具体的には、洗浄制御部63Aは、第1角度変更モータ412a〜412dの駆動を制御して、アーム部20に対する回転翼30a〜30dの回転軸Aの角度を変更する。例えば、アーム部20に対して回転翼30a〜30dの各回転軸Aが平行になるように調整した後で、回転翼30a〜30dを回転させることで、本体部10の側部に水流Fを当てることができる。これにより、本体部10の側部の付着物をより確実に除去できる。
 
【0053】
  また、洗浄制御部63Aは、第2角度変更機構42の第2角度変更モータ422a〜422dの駆動を制御することにより、回転翼30a〜30dの回転によって発生する水流Fを本体部10の上部及び下部に当てる。具体的には、洗浄制御部63Aは、第2角度変更モータ422a〜422dの駆動を制御して、本体部10に対するアーム部20の角度を変更する。例えば、洗浄制御部63Aが第2角度変更モータ422a,422cの駆動を制御して、回転翼30a及び回転翼30cを支持するアーム部20が本体部10から下方向に延出するようにアーム部20の角度を調整する。そして、洗浄制御部63Aが第2角度変更モータ422b,422dの駆動を制御して、回転翼30b及び回転翼30dを支持するアーム部20が本体部10から上方向に延出するようにアーム部20の角度を調整する。そして、回転翼30a〜30dを回転させることで、本体部10の上部及び下部に水流Fを当てることができる。これにより、本体部10の上部及び下部の付着物をより確実に除去できる。
 
【0054】
  次に、洗浄モードにおいて、本体部10の上部及び下部を洗浄する場合の飛行体1Aの状態の一例について
図8を参照しながら説明する。
図8においてアーム部20、回転翼30、回転翼モータ31については、平面視において右回りの順にアルファベットを付し、アーム部20a〜20d、回転翼30a〜30d、回転翼モータ31a〜31dを区別して説明する。
 
【0055】
  まず、第1角度変更機構41によって各回転軸Aがアーム部20に対して平行になるように回転翼30a〜30dの角度を変更する。そして、
図8に示すように、第2角度変更機構42によってアーム部20a,20cを本体部10から下方向に延出させ、アーム部20b,20dを本体部10から上方向に延出させるように本体部10に対するアーム部20a〜20dの角度を変更する。この結果、回転翼30a,30cが本体部10の下方に位置し、回転翼30b,30dが本体部10の上方に位置する。
 
【0056】
  本実施形態では、飛行体1Aの回転翼30a〜30dの間隔が、平面視における周方向で等間隔となっている。また、平面視で見たときに、回転翼30aは回転翼30cと本体部10を中心として対向する位置に配置され、回転翼30bは回転翼30dと本体部10を中心として対向する位置に配置される。このため、回転翼30a,30cが本体部10の下方に位置し、回転翼30b,30dが本体部10の上方に位置する状態で、回転翼30a〜30dを略同じ回転数で回転させることで、上下方向から本体部10に対して略同じ強さの水流Fをバランス良くに当てることができる。これにより、液中での安定した姿勢を維持しつつ、本体部10の上部及び下部を洗浄できる。
 
【0057】
  また、本実施形態では、角度変更機構40Aによって本体部10に対する回転翼30の角度を変更することで、本体部10の側部や上部、下部に水流Fを当てることができる。これにより、本体部10の全体に水流Fを当てることができ、本体部10の付着物をより確実に除去できる。
 
【0058】
  次に、本発明の第2実施形態に係るドローン洗浄システム100Aについて説明する。
図9はドローン洗浄システム100Aを示す側面図である。なお、上記実施形態と同様の構成については、同様の符号を付してその説明を省略する場合がある。
 
【0059】
  図9に示すように、ドローン洗浄システム100Aは、飛行体1Aと、洗浄槽110Aと、を含んで構成される。ドローン洗浄システム100Aは、洗浄槽110Aである第1洗浄槽111Aと第2洗浄槽112の2槽を用いて飛行体1Aを洗浄する二段式の洗浄システムである。なお、
図9において、洗浄される飛行体1Aの様子を二点鎖線で示している。
 
【0060】
  第1洗浄槽111Aは、付着物が付いた飛行体1が最初に潜行する槽である。第1洗浄槽111Aは、その底部に槽内の液体を外部に排出可能な排出部114を備える。第2洗浄槽112は、第1洗浄槽111Aの液中で洗浄された飛行体1が入る槽である。第1洗浄槽111Aが排出部114を備えるので、第1洗浄槽111Aの液体が飛行体1の付着物によって汚れた場合に、排出部114から液体を排出して入れ替えることができる。これにより、付着物を有する飛行体1Aの洗浄を複数回行う場合であっても、第2洗浄槽112の液体の汚染を抑制できる。また、飛行体1Aを洗浄するための設備をより小型化できる。
 
【0061】
  以上の説明から明らかなように、本発明の各実施形態は、以下の各構成により、それぞれ有利な効果を奏する。
 
【0062】
  本発明の実施形態に係る飛行体(1、1A)は、液中を潜行可能な飛行体(1、1A)であって、本体部(10)と、本体部(10)を移動させるための空気流を回転によって発生させる回転翼(30)と、液中で回転翼(30)の回転によって発生する水流(F)が本体部(10)に向かうように本体部(10)に対する回転翼(30)の角度を変更する角度変更機構(40、40A)と、回転翼(30)の回転によって空気流を発生させて空中を飛行する飛行モードと、液中で角度変更機構(40、40A)を制御して回転翼(30)の回転によって本体部(10)に向かう水流(F)を発生させる洗浄モードを選択可能な制御部(60、60A)と、を備える。これにより、洗浄モードにおいて、角度変更機構(40、40A)を制御して本体部(10)に対する回転翼(30)の角度を変更できるので、飛行するための空気流を発生される回転翼(30)の回転を利用して発生させた本体部(10)に向かう水流(F)を本体部(10)に当てることができる。よって、手作業によらず、かつ大掛かりな装置を用いることなく本体部(10)を洗浄できる。
 
【0063】
  本発明の実施形態に係る飛行体(1、1A)において、回転翼(30)は、複数配置され、制御部(60、60A)は、複数の回転翼(30)の回転数を制御して液中での姿勢を制御する。これにより、液中でバランスを取りながら、安定した姿勢で本体部(10)を洗浄できる。
 
【0064】
  本発明の実施形態に係る飛行体(1A)において、本体部(10)から延出し、回転翼(30)を支持するアーム部(20)を更に備え、角度変更機構(40A)は、支持部(20)に対する回転翼(30)の回転軸(A)の角度を変更する第1角度変更機構(41)と、本体部(10)に対するアーム部(20)の角度を変更する第2角度変更機構(42)と、を有する。これにより、アーム部(20)に対する回転翼(30)の回転軸(A)の角度や本体部(10)に対して回転翼(30)を支持するアーム部(20)の角度を変更できるので、回転翼(30)の回転によって発生する水流(F)の方向や水流(F)が発生する回転翼(30)の位置を変更できる。よって、本体部(10)の側部だけでなく、例えば本体部(10)の上部や下部にも水流を当てることができ、本体部(10)に付いた付着物をより確実に除去できる。
 
【0065】
  以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
 
【0066】
  上記実施形態では、飛行体1がアーム部20に対する回転翼30の回転軸Aの角度が変更される第1角度変更機構41を備え、飛行体1Aが第1角度変更機構41に加えて、本体部10に対するアーム部20の角度を変更する第2角度変更機構42を備えるが、飛行体1、1Aがさらに回転翼30のピッチ角を変更する機構を備える構成としてもよい。これにより、回転翼30の回転によって発生する液体の流れの方向をより細かく調整できる。
 
【0067】
  上記実施形態では、ドローン洗浄システム100が洗浄槽110と飛行体1又は飛行体1Aを含んで構成され、ドローン洗浄システム100Aが飛行体1Aと洗浄槽110Aを含んで構成されるが、ドローン洗浄システムを飛行体1と洗浄槽110Aを含む構成としてもよい。
 
【0068】
  第1実施形態では、ドローン洗浄システム100の洗浄槽110の数を3槽としたが、槽の数は特に限定されない。例えば、1槽であっても、2槽であっても、4槽以上であってもよい。
 
【0069】
  第2実施形態では、ドローン洗浄システム100Aの第1洗浄槽111Aのみが排出部114を備えているが、第2洗浄槽112も排出部114を備える構成としてもよい。
 
 
【解決手段】飛行体1は、液中を潜行可能な飛行体1であって、本体部10と、本体部10を移動させるための空気流を回転によって発生させる回転翼30と、液中で回転翼30の回転によって発生する水流Fが本体部10に向かうように本体部10に対する回転翼30の角度を変更する角度変更機構40と、回転翼30の回転によって空気流を発生させて空中を飛行する飛行モードと、液中で角度変更機構40を制御して回転翼30の回転によって本体部10に向かう水流Fを発生させる洗浄モードを選択可能な制御装置60と、を備える。