【実施例】
【0062】
〔in silicoモデリング〕
ヒトCRMP2に対する化合物のin silicoドッキングを行った。簡単に言えば、53個のドッキングされた化合物を有するヒトCRMP2の構造を分析した。CRMP2に結合する低分子を探索するために、コンピュータによるスクリーニングを用いた。ドッキングは、SUMO付加のモチーフの中のK374残基を収容するCRMP2における10Å
3のポケットに集中させた。得られた複合体を、すべり(Glide)スコアおよび他のエネルギー関連条件を用いてランク分けした。ほとんどの化合物は、CRMP2上の2つの異なる部位にドッキングした。先導的な化合物を確認するために、化合物のドッキングからCRMP 1、4および5の結晶構造までのすべりスコアを用いた。
【0063】
〔スクリーニング分析〕
ALPHA分析によって、Ubc9−CRMP2抑制剤のスクリーニングを行った。簡単に言えば、さらに先導的な化合物を確認するために、in silicoモデリングでの先導的な化合物として確認された100μMの化合物を、Ubc9−CRMP2たんぱく質の相互作用のパーセント抑制について分析した。
【0064】
〔ベラトラジンで誘導されたスクリーン〕
NaV不活性化の抑制剤であるベラトラジンは、Na
+の開口を増加させることによって、電圧開閉式のカルシウムチャンネルの開口をもたらす脱分極を起こす。レシオメトリック(ratiometric)Fura2−AM分析によって、カルシウムの流入をモニターした。ここで、本発明の種々の化合物を用いて感覚神経を一晩中培養し、ベラトラジンで誘導されたカルシウムの流入に影響を与える能力をテストした。対照(DMSO、0.03%)および化合物において、平均340nm/380nmの比率を要約する棒をプロットした。条件あたり>100細胞からのデータを得た。閾値より上を示す化合物は、おそらく活性化剤を表していると思われ、一方、閾値より下を示す化合物は、Nav1.7に影響を与えるCRMP2のSUMO付加の潜在的な抑制剤として確認された。
【0065】
〔ラットの行動痛み分析〕
化合物AZ002は、神経損傷で誘導された慢性痛みのモデルにおいて、機械的な過敏性を逆転させた。AZ002(5μg/10μL)の脊髄投与は、神経障害性痛みの神経枝結紮損傷モデルにおいて、機械的な過敏性を著しく逆転させた。前足引き閾値の結果、AZ002投与後の30ないし240分の時間に(n=6、*p<0.05)著しく逆転した、損傷の7日後での著しい減少となったが、媒体対照(DMSO)ではそうならなかった。
【0066】
さらに、AZ002(5μg/10μL)およびAZ008(5μg/10μL)の脊髄投与は、神経障害性痛みの神経枝結紮損傷モデルにおいて、機械的な過敏性を著しく逆転させた。前足引き閾値の結果、AZ002投与後の15、30、90および120分の時間に(n=6、*p<0.05)、および、AZ008投与後の90、120、150および210分の時間に(n=6、*p<0.05)、著しく逆転した、損傷の7日後での著しい減少となった。対照として損傷後の基準線を用い、一方通行のANOVAおよびその後のDunnett’s Multiple Comparison Testを用いてデータを分析した。
【0067】
〔カテコールアミンA分化(differentiated)(CAD)およびヒト胎児腎臓293(HEK293)細胞株の培養およびトランスフェクション〕
マウスの神経由来のCADおよびヒト由来のHEK293細胞を、37℃、5% CO
2の標準細胞培養条件で増殖させた。全ての培地に、10,000μg/mlのストックから、10% FBS(Hyclone)および1%ペニシリン/硫酸ストレプトマイシンを補った。CAD細胞をDMEM/F12培地で維持し、HEK293細胞をDMEM培地で維持した。Dr.Theodore R.Cummins(Indiana University School of Medicine)から、種々のNaV1.Xアイソフォーム(isoforms)を発現するHEK293細胞株を得た。pTargetベクターにおけるhNaV1.1、pcDNA3.1−modベクターにおけるrNaV1.3またはhNaV1.7、または、pRcCMVIIベクターにおけるNaV1.5の燐酸カルシウム沈殿トランスフェクションによって、NaV1.Xサブタイプ(subtypes)を安定して発現するHEK293細胞が生成された。NaV1.X発現細胞を選択するために、ゲネチシン(Geneticin)(Cat#10131035、Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA)を500μg/mlで用いた。全体のナトリウム電流に対してNaV1.7による〜80%の寄与により、モデルの神経細胞株として、CAD細胞を選択した。この〜80%の寄与は、HWTX−IV(Alomone Laboratories、Jerusalem、Israel)およびProTox−II(Sigma、St.Louis、MO)の両方によって、NaV1.7のアイソフォーム特異性の遮断によって決定した。細胞は、2μg/μlのCRMP2プラスミドおよび/または1μg/μlの他の指示されたプラスミドと複合された1μg/μlのポリエチレンイミン(PEI)(Sigma、St.Louis、MO)を用いてトランスフェクションした。これらの条件下で、トランスフェクション効率は〜50%であった。たんぱく質の定量化に必要な、より高いトランスフェクション効率を達成するために、製造者の指示に沿い、Lipofectamine 2000(Cat#11668019、Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA)を用いてトランスフェクションされた細胞においていくつかのウェスタンブロットを行った。これらのケースでは、トランスフェクション効率は典型的には>95%であった。500nMの濃度で、製造者の指示に沿い、Lipofectamine 2000を用いてsiRNAをトランスフェクションした。すべての実験は、トランスフェクション後の48hと72hとの間に行った。プラスミドのトランスフェクションはdsRed蛍光性によって確認し、ノックダウンはウェスタンブロットによって確認した。
【0068】
〔ラットの主要な後根神経節DRGの神経細胞の培養およびトランスフェクション〕
ラットDRGの神経細胞を50−174gのSprague−Dawleyラットから分離し、次いで、公知の処置を用いてトランスフェクションした。簡単に言えば、背部の皮膚と筋肉を除去することと、解体段階に並行に最高点の骨の処理を行うことによって、DRGを露出させた。次いで、DRGが集められ、その根で切り取って形を整え、中性のプロテアーゼ(3.125mg.ml−1、Cat#LS02104、Worthington、Lakewood、NJ)とコラゲナーゼType I(5mg.ml−1、Cat#LS004194、Worthington、Lakewood、NJ)とを含む3mlの、重炭酸塩の無い、血清の無い、無菌のDMEM(Cat#11965、Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA)溶液にて消化し、異邦人の撹拌下で45分、37℃にて培養した。次いで、分離されたDRG神経細胞(〜1.5x106)を穏やかに遠心分離し、細胞を集め、10,000μg/mlのストックからの1%ペニシリン/硫酸ストレプトマイシン、30ng.ml−1の神経増殖因子、および10%のウシ胎仔血清(Hyclone)を含有するDRG培地DMEMで洗浄した。集められた細胞を、上述の動作濃度で、プラスミドまたはsiRNAを含有する核因子トランスフェクション試薬に再度懸濁した。次いで、細胞を、Amaxa Biosystem(Lonza、Basel、スイス)にて電気穿孔法プロトコルO−003に付し、ポリ−D−リジンおよびラミニンでコーティングされたガラスの12mmまたは15mmのカバーガラス上に置いた。トランスフェクション効率は定期的に20%ないし30%であり、細胞死はおよそ〜10%であった。Aδ−およびc−線維痛覚神経細胞(fiber nociceptive neuron)を狙うために、小さい直径の神経細胞を選択した。ラットDRG培養については、小さい細胞は〜<30μmであると考えられた。
【0069】
〔パッチクランプ電気生理現象〕
EPC 10 Amplifier−HEKAを用いて、室温で、全部の細胞の電圧クランプおよび電流クランプの記録を行った。電圧クランプCAD細胞記録のための内部溶液は、110 CsCl、5 MgSO
4、10 EGTA、4 ATP Na2−ATP、および25 HEPES(pH 7.3、290−310 mOsm/L)を含み(mMで)、外部溶液は、100 NaCl、10 塩化テトラエチルアンモニウム、1 CaCl
2、1 CdCl
2、1 MgCl
2、10 D−グルコース、4 4−アミノピリジン、0.1 NiCl
2、10 HEPES(pH7.3、310−315mosM/L)を含んだ(mMで)。DRGおよびHEK293細胞については、電圧クランプのための内部溶液は、140 CsF、1.1Cs−EGTA、10 NaClおよび15 HEPES(pH7.3、290−310mOsm/L)を含み(mMで)、外部溶液は、140 NaCl、3 KCl、30 塩化テトラエチルアンモニウム、1 CaCl
2、0.5 CdCl
2、1 MgCl
2、10 D−グルコース、10 HEPES(pH7.3、310−315mosM/L)を含んだ(mMで)。DRGについては、電流クランプのための内部溶液は、140 KCl、10 NaCl、1 MgCl
2、1 EGTA、10 HEPES(pH7.2)および1 ATP−Mg(pH7.3、285−295mOsm/L)を含み(mMで)、外部溶液は、154 NaCl、5.6 KCl、2 CaCl
2、2.0 MgCl
2、1.0 グルコースおよび10 HEPES(pH7.4、305−315mOsm/L)を含んだ(mMで)。クラスリンで媒介されるエンドサイトーシスを20μM Pitstop2(Cat#ab120687、Abcam、Cambridge、MA)で防止した実験では、実験の前に組織細胞ウェルにて化合物を培養した。Sutter InstrumentsからのP−97電極引き抜き器具で、Warner Instrumentsからの標準壁ホウケイ酸塩ガラスキャピラリから電極を引き抜き、熱で磨き上げて、内部溶液で満たしたときに最終抵抗を1.5−3メガオームとした。全体の細胞キャパシタンスと直列抵抗を、電圧クランプ実験についてP/4法にてデジタル的に減算した直線リーク電流で補償し、電流クランプ実験においてブリッジバランスを補償した。信号を10kHzでフィルター処理し、10−20kHzでデジタル化した。直列抵抗またはブリッジバランスが15メガオームを超える、または、実験方針から30%を超えて変動する細胞は、データセットから省いた。HEKAからのFitmasterソフトウェアおよびOriginLab CorpからのOrigin9.0ソフトウェアを用いて分析を行った。
【0070】
〔電圧クランププロトコル〕
CAD細胞およびHEK293細胞を、電流−密度(I−V)プロトコルおよび高速不活性化電圧プロトコルに付した。I−Vプロトコルでは、細胞は、5mVの増加量で−70mVから+60mVまでの20msの電圧ステップでの脱分極の前に、−80mVの保持電位に保持された。この結果、電流密度データの収集によって、電流対(vs.)電圧の関数としてのナトリウムチャンネルの活性化と、典型的に〜0−10mVの近くで観察されて細胞キャパシタンス(pF)に対して正規化されたピーク電流密度と、を分析することが可能になった。高速不活性化プロトコルでは、細胞は、5mVの増加量で−120mVから−10mVまでの間での500ms間の過分極化および再分極のパルスの前に、−80mVの保持電位に保持された。このステップは、20msに対する0mVのテストパルスが、最大電流に対して正規化された相対的な高速不活性化を示すことができるように、チャンネルの種々のパーセンテージを高速不活性化状態に調整した。ラットおよびヒトの両方からのDRGを、電流−密度(I−V)プロトコルとH−無限大(予備パルス(pre−pulse)不活性化プロトコル)とに付した。TTX−R寄与を評価するため、500nMのTTXで培養した後でI−Vプロトコルを実行した。−100mVに保持した後、5mVの増加量で−70mVから+60mVまでの200msの電圧ステップによって、ピーク電流の分析が可能になった。TTX−Rピーク電流密度は、常に、0mVに近い脱分極で、および、電圧ステッププロトコルの10ms以内で、測定された。NaV1.8およびNaV1.9 TTX−R電流の以前確認された特性を考慮すれば、この電圧依存性と活性化プロフィールは、およそNaV1.8電流のピーク電流密度の分析を示した。したがって、−60mVまでの電圧パルスに続く150msに存在するナトリウム電流を分析し、NaV1.9電流を分離する確立された方法である。しかしながら、CRMP2プラスミドで電気穿孔した細胞では、このプロトコルではNaV1.9電流は観察されなかった。CRMP2修飾の変化に応じたNaV1.9電流の分析は、記録溶液とトランスフェクションプロトコルの最適化との両方を必要としうる可能性がある。このTTX−R電流密度データから推論はすべきではない。
【0071】
H−無限大プロトコルでは、細胞を、−100mVに保持し、10mVの増加量で−120mVから0mVまで変化する1s間の調整電圧ステップに付した。この調整ステップの次に、電流を分析するための200ms間の0mVテストパルスが続いた。H−無限大プロトコルは、TTX−S電流を評価するために、全体の電流(−120mVの予備パルスの後に利用可能な電流)から、電気的に分離されたTTX−R(−40mVの予備パルスの後に利用可能な電流)を減算することを可能にする。このプロトコルは、TTX−Rチャンネル対(vs.)TTX−Sチャンネルの差動不活性化動力学(differential inactivation kinetics)によって可能であり、ここで、TTX−S電流は、活性化し、その後、1sの−40mVのパルス中に高速不活性化する。電圧プロトコル中の減速(run−down)または加速(run−up)を評価するために、また、時間の関数として変化した電流を有する細胞からデータを省くために、全てのプロトコルに対し、テストパルスを、電圧プロトコルの前後に実行した。
【0072】
〔留置くも膜下カテーテル〕
ラットを麻酔し(ケタミン/キシラジン麻酔、80/12mg/kg i.p.;Sigma−Aldrich)、定位の頭部ホルダーに置いた。くも膜下槽マグナが露出されて切断され、8cmのカテーテル(PE−10;Stoelting)を注入し、脊髄の腰部で終結させた。深い筋肉の中にカテーテルが縫合され(3−0絹縫合)、首の後ろで外面化(externalized)し、皮膚はオートクリップで閉じた。留置カニューレの注入の5−7日後の回復期間の後に、神経枝結紮損傷が誘導された。
【0073】
〔神経枝結紮損傷(SNI)〕
イソフルレン麻酔下(2L/分の空気中で、5%誘導、2.0%維持)で、左後部太腿の横表面上の皮膚を切開した。大腿二頭筋を無遠慮に(bluntly)切開し、坐骨神経の3つの末端分岐を露出した。簡単に言えば、共通の腓骨分岐および脛骨分岐を、4−0絹できつく縛り、結紮まで2.0mm離れた所で軸索切断した。偽の動物も同じ処理を受けたが、露出した神経は縛られなかった。切開の封鎖は、2つの層で行われた。筋肉は5−0 吸収性の縫合糸でいったん縫合され、皮膚は自動的に切り取られた。動物は、任意の試験の前の5−7日間、回復することが許容された。
【0074】
〔機械的異痛症〕
行動評価の前に30分間、吊り下げられた金網のかごの中でラットを新環境に慣れるようにさせた。左後部足の横足底表面に垂直になっていることが立証された、校正されたvon Freyフィラメント(g)に対する反応を測定するために、前(基準線前)、SNI後(基準線後)および5時間まで、を用いた。Dixonノンパラメトリックテストを用いて、前足引き閾値をグラムで計算し、GraphPad Prism 6.0において、前足引き閾値(平均±標準誤差、SEM)として表現した。全ての行動実験は、条件を隠して行われた。
【0075】
〔化合物の合成〕
以下の略語を用いる:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt);ジクロロメタン(DCM);酢酸エチル(EtOAc);メタノール(MeOH);2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロフォスフェート(HBTU);N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA);N,N−ジメチルホルムアミド(DMF);エタノール(EtOH);トリエチルアミン(Et
3N);薄層クロマトグラフィー(TLC);核磁気共鳴(NMR);1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)および1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジニウム 3−オキシド ヘキサフルオロフォスフェート(HATU)。
【0076】
〔一般的手順〕
全ての化学物質は、商業的供給メーカーから購入した。全ての溶媒は、Fischer Scientificから得られた。フラッシュ・クロマトグラフィーは、シリカゲル(230/400メッシュ、Fisher Scientific)で行った。全ての無水反応は、窒素の正圧下で行った。HPLC−MS分析は、Zorbax C18逆相カラムを用いたAgilent 1100シリーズ機器にて行った。HRMSの結果は、apex−Qe機器にて得られた。全ての1H−NMRおよび13C−NMRスペクトルは、重水素を含む溶媒を用いて、BRUKER AVANCE−III 400MHz NMR機器で記録した。スペクトルは、ppmで報告され、重水素を含むDMSO(1Hに対して2.49ppm、13Cに対して39.5ppm)または重水素を含むクロロホルム(1Hに対して7.26ppm、13Cに対して77ppm)と関連する。高分解能質量スペクトル(HRMS)は、Bruker 9.4 T Apex−Qh FTICR質量分析計で得られた。全ての化合物は、MSまたはUV吸収度検出器のいずれかを用いて、HPLCによって純度を分析した。全ての最終化合物は、≧95%の純度を示した。
【0077】
〔3−フルオロ−4−ヒドロキシ−N−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル)ベンズアミドの合成〕
窒素注入口および磁気撹拌棒を備えた25mLの丸底フラスコに、200mg(1.28mmol)の3−フルオロ−4−ヒドロキシ安息香酸を加えた。反応に、塩化チオニル(2ml、27.32mmol)をゆっくり加えた。次いで、混合物を110℃で2時間撹拌し、その後、追加の塩化チオニル(1ml、13.66mmol)を加えた。反応混合物を還流させながら一晩中撹拌した。過剰の塩化チオニルをトルエンで共蒸発(co−evaporated)させ、225mg(100%)の所望の生成物を得た。無加工の生成物を次のステップで用いた。225mg(1.28mmol)の3−フルオロ−4−ヒドロキシベンゾイルクロライドを含有するフラスコに、CH
2Cl
2(5mL)中の4−(4−メチルピペラジン−1−イル)アニリン(245mg、1.28mmol)およびEt
3N(131mg、1.29mmol)を加えた。次いで、混合物を室温で一晩中撹拌した。反応混合物に10mLの水を加え、得られた緑色の沈殿を濾過した。沈殿を真空で乾燥し、253mg(60%)の所望の生成物を暗緑色の固体として得た。
1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 8.36(s、1H)、7.64(s、1H)、7.09(d、J=8.5Hz、1H)、6.62(d、J=8.5Hz、2H)、5.20(s、2H)、4.32(bs、4H)、2.54(t、J=5.1Hz、4H)、2.34(d、J=0.7Hz、3H)。HPLC−MS:予想:330(MH+);実測:330。
【0078】
〔3−フルオロ−N−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル)−4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)ベンズアミドの合成〕
窒素注入口および磁気撹拌棒を備えた丸底フラスコに、炭酸カリウム(254mg、1.84mmol)、3−フルオロ−4−ヒドロキシ−N−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル)ベンズアミド 3(200mg、0.62mmol)、ヨウ化カリウム(10mg、0.06mmol)、アセトニトリル(5mL)を加えた。混合物を30分間撹拌し、その後、4−(2−クロロエチル)−塩酸ピペリジン(112mg、0.61mmol)を加えた。次いで、混合物を還流温度で一晩中撹拌した。形成された灰色の沈殿を濾過し、水で洗浄し、次いで、真空で乾燥した。HPLCは、10%の3−フルオロ−4−ヒドロキシ−N−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル)ベンズアミドがまだ反応中に存在していることを示した。反応に、炭酸カリウム(38.10mg、0.28mmol)、ヨウ化カリウム(1.5mg、0.006mmol)、アセトニトリル(5mL)および4−(2−クロロエチル)塩酸ピペリジン(16.8mg、0.09mmol)を加えた。次いで、混合物を還流温度で一晩中撹拌した。形成された灰色の沈殿を濾過し、水で洗浄し、次いで、真空で乾燥し、151mg(55%)の生成物を得た。極逆相HPLCを用いて灰色の固体を精製し、51mg(6%)の純粋な3−フルオロ−N−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル)−4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)ベンズアミドを蟻酸塩として得た。
1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ 9.55(s、1H、NH
+)、8.51(s、1H、HCOO
−)、7.61(d、J=9.1Hz、2H)、7.50(dd、J=13.5、2.3Hz、1H)、7.45(dd、J=8.6、2.3Hz、1H)、6.93(d、J=9.2Hz、2H)、6.55(t、J=8.6Hz、1H)、3.71−3.31(m、10H)、3.16(s、3H)、2.67(t、J=5.9Hz、2H)、2.44−2.32(m、4H)、1.53−1.40(m、4H)、1.41−1.26(m、2H)。
13C NMR(101MHz、DMSO−d6)δ 165.58、164.95、145.33、133.46、125.42、121.46、119.14、116.27、114.78(d、J=21.2Hz)、59.89、59.17、54.21、51.81、46.82、42.81、25.91、24.24。HPLC−MS:予想:441(MH+);実測:441。
【0079】
〔エチル 4−ヒドロキシ−3−メトキシベンゾエートの合成〕
窒素注入口および磁気撹拌棒を備えた丸底フラスコに、EtOH(400mL)中のバニリン酸(10g、59.49mmol)の溶液を加えた。上記の溶液に、600mg(6.11mmol)のconc.H
2SO
4を加えた。次いで、混合物を還流温度で48時間撹拌した。溶液をロータリー・エバポレータにかけた。次いで、残渣に水(100mL)を加え、次いで、分液漏斗を用いて、分離された緑がかった油を除去した。次いで、生成物を真空で乾燥し、11.45g(98%)のエチル 4−ヒドロキシ−3−メトキシベンゾエートを得た。
1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ7.62(dd、J=8.5、2.1Hz、1H)、7.53(d、J=1.8Hz、1H)、6.91(d、J=8.6Hz、1H)、4.33(q、J=7.1Hz、2H)、3.91(s、3H)、1.36(t、J=7.3Hz、3H)。HPLC−MS:予想:197(MH+);実測:197。
【0080】
〔エチル 3−メトキシ−4−((3−(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)ベンゾエートの合成〕
窒素注入口および磁気撹拌棒を備えた25mLの丸底フラスコに、炭酸カリウム(1.86g、13.46mmol)、エチル 4−ヒドロキシ−3−メトキシベンゾエート(1.2g、6.12mmol)およびCH
3CN(26mL)を加えた。混合物を30分間撹拌し、その後、1−(ブロモメチル)−3−(トリフルオロメチル)ベンゼン(1.59g、6.65mmol)を加えた。次いで、混合物を還流温度で一晩中撹拌した。反応混合物をロータリー・エバポレータにかけた。次いで、残渣に水(100mL)を加え、次いで、水相をEtOAc(3x50mL)で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、次いで、真空で乾燥し、2.08g(96%)のエチル 3−メトキシ−4−((3−(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)ベンゾエートをベージュ色の固体として得た。
1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.69(s、1H)、7.63(d、J=2.0Hz、1H)、7.60(d、J=2.0Hz、1H)、7.57(d、J=2.0Hz、1H)、7.56(s、1H)、7.48(t、J=7.7Hz、1H)、6.87(d、J=8.4Hz、1H)、5.22(s、2H)、4.34(q、J=7.1Hz、2H)、3.93(s、3H)、1.36(t、J=7.1Hz、3H)。HPLC−MS:予想:355(MH+);実測:355。
【0081】
〔エチル 4−((4−シアノベンジル)オキシ)−3−メトキシベンゾエートの合成〕
エチル 3−メトキシ−4−((3−(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)ベンゾエートと同様の手順を用いて、エチル 4−((4−シアノベンジル)オキシ)−3−メトキシベンゾエートを2.04g(49%)のベージュ色の固体として合成した。
1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.80−7.35(m、6H)、6.82(d、J=8.4Hz、1H)、5.24(s、2H)、4.34(q、J=7.1Hz、2H)、3.93(s、3H)、1.36(t、J=7.1Hz、3H)。
【0082】
〔エチル 3−メトキシ−4−((4−(トリフルオロメトキシ)ベンジル)オキシ)ベンゾエートの合成〕
エチル 3−メトキシ−4−((3−(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)ベンゾエートと同様の手順を用いて、エチル 3−メトキシ−4−((4−(トリフルオロメトキシ)ベンジル)オキシ)ベンゾエートを2.26gのベージュ色の固体として合成した。
1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.61(ddd、J=8.4、2.0、0.8Hz、1H)、7.56(s、1H)、7.45(d、J=8.9Hz、2H)、7.21(d、J=8.1Hz、2H)、6.86(d、J=8.4Hz、1H)、4.33(q、J=7.4Hz、1H)、3.92(s、7H)、1.36(t、J=7.1Hz、1H)。
【0083】
〔3−メトキシ−4−((3−(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)安息香酸の合成〕
窒素注入口および磁気撹拌棒を備えた25mLの丸底フラスコに、MeOH(28mL)中の3−メトキシ−4−((3−(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)ベンゾエート(2.08g、5.88mmol)の溶液を加えた。上記のものに、8mLの5% NaOHを加えた。反応混合物を室温で一晩中撹拌した。混合物をロータリー・エバポレータにかけ、20mLの冷水を加えた。水相を6N HClで酸性にした。沈殿を濾過し、固体を5mLの水で洗浄し、次いで、真空で乾燥し、純粋な3−メトキシ−4−((3−(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)安息香酸として1.67g(87%)の白色の固体を得た。
1H NMR(400MHz、Methanol−d4)δ 7.77(s、1H)、7.71(d、J=6.7Hz、1H)、7.69−7.47(m、4H)、7.07(dd、J=8.4、2.7Hz、1H)、5.24(s、2H)、3.88(s、3H)。
【0084】
〔4−((4−シアノベンジル)オキシ)−3−メトキシ安息香酸の合成〕
3−メトキシ−4−((3−(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)安息香酸と同様の手順を用いて、4−((4−シアノベンジル)オキシ)−3−メトキシ安息香酸を合成し、純粋で所望の生成物として1.28g(74%)の白色の固体を得た。
1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.65(dt、J=6.3、1.4Hz、2H)、7.61−7.56(m、1H)、7.56−7.50(m、3H)、7.24(t、J=1.7Hz、1H)、5.22(s、2H)、3.92(s、3H)。HPLC−MS(ネガティブモード):予想:282(M−1);実測:282。
【0085】
〔3−メトキシ−4−((4−(トリフルオロメトキシ)ベンジル)オキシ)安息香酸の合成〕
3−メトキシ−4−((3−(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)安息香酸と同様の手順を用いて、3−メトキシ−4−((4−(トリフルオロメトキシ)ベンジル)オキシ)安息香酸を合成し、純粋で所望の生成物として2.096g(100%)の白色の固体を得た。
1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.58(dd、J=15.1、1.9Hz、2H)、7.45(d、J=8.7Hz、2H)、7.21(d、J=8.6Hz、2H)、6.87(d、J=8.5Hz、1H)、5.17(s、2H)、3.87(s、3H)。HPLC−MS(ネガティブモード):予想:341(M−1);実測:341。
【0086】
〔3−メトキシ−4−((3−(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)ベンゾイルクロライドの合成〕
300mg(0.83mmol)の3−メトキシ−4−((3−(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)安息香酸を含む25mLの丸底フラスコに、塩化チオニル(1.5ml、20.68mmol)を加えた。混合物を110℃で2時間撹拌し、その後、追加の塩化チオニル(1.0ml、13.78mmol)を加えた。反応混合物を還流させながら一晩中撹拌した。過剰の塩化チオニルをトルエンで共蒸発させ、292mg(>100%)の3−メトキシ−4−((3−(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)ベンゾイルクロライドを得た。化合物を次のステップで用いた。
【0087】
〔4−((4−シアノベンジル)オキシ)−3−メトキシベンゾイルクロライドの合成〕
3−メトキシ−4−((3−(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)ベンゾイルクロライドと同様の手順を用いて、4−((4−シアノベンジル)オキシ)−3−メトキシベンゾイルクロライドを合成し、ベージュ色の固体として451mg(85%)の所望の生成物を得た。
1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.75(d、J=8.5Hz、1H)、7.66(t、J=7.9Hz、2H)、7.55(s、2H)、7.53(s、1H)、6.85(dd、J=22.7、8.6Hz、1H)、5.26(s、2H)、3.93(s、3H)。
【0088】
〔3−メトキシ−4−((4−(トリフルオロメトキシ)ベンジル)オキシ)ベンゾイルクロライドの合成〕
3−メトキシ−4−((3−(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)ベンゾイルクロライドと同様の手順を用いて、3−メトキシ−4−((4−(トリフルオロメトキシ)ベンジル)オキシ)ベンゾイルクロライドを合成し、ベージュ色の固体として463mg(78%)の所望の生成物を得た。化合物を次のステップで用いた。
【0089】
〔3−メトキシ−N−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル)−4−((4−(トリフルオロメトキシ)ベンジル)オキシ)ベンズアミドの合成〕
窒素注入口および磁気撹拌棒を備えた丸底フラスコに、CH
2Cl
2(5mL)中の3−メトキシ−4−((4−(トリフルオロメトキシ)ベンジル)オキシ)ベンゾイルクロライド(147mg、0.41mmol)、4−(4−メチルピペラジン−1−イル)アニリン(78mg、0.41mmol)およびEt
3N(0.13mL、0.93mmol)を加えた。次いで、混合物を室温で一晩中撹拌した。沈殿を濾過し、薄い灰色の固体をCH
2Cl
2で洗浄し、次いで、真空で乾燥し、17mg(8%)の純粋な3−メトキシ−N−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル)−4−((4−(トリフルオロメトキシ)ベンジル)オキシ)ベンズアミドを得た。
1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ 9.88(s、1H)、7.65−7.43(m、6H)、7.38(d、J=8.2Hz、2H)、7.11(d、J=8.6Hz、1H)、6.88(d、J=9.0Hz、2H)、5.18(s、2H)、3.82(s、3H)、3.16−2.89(m、4H)、2.44−2.33(m、4H)、2.18(s、3H)。
13C NMR(101MHz、DMSO−d6)δ 164.70、150.50、148.97、148.35、147.81、136.73、131.46、130.43、129.87、128.12、122.34、121.81(d、J=10.9Hz)、121.29(d、J=14.4Hz)、120.77、115.84、112.90(d、J=39.0Hz)、111.66(d、J=59.9Hz)、69.30、56.13(d、J=16.7Hz)、55.07(t、J=30.8Hz)、48.91、46.21(d、J=31.9Hz)。HPLC−MS:予想:516(MH
+);実測:516。HPLC−MS:予想:516(MH
+);実測:516。
【0090】
〔3−メトキシ−N−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル)−4−((3−(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)ベンズアミドの合成〕
窒素注入口および磁気撹拌棒を備えた丸底フラスコに、CH
2Cl
2(5mL)中の3−メトキシ−4−((3−(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)ベンゾイルクロライド(143mg、0.415mmol)、4−(4−メチルピペラジン−1−イル)アニリン(79.4mg、0.415mmol)およびEt
3N(0.15mL、1.08mmol)を加えた。次いで、混合物を室温で一晩中撹拌した。次いで、原料を濾過し、白色の固体を得た。白色の固体をCH
2Cl
2で洗浄し、真空で乾燥し、10mgの所望の化合物を得た。沈殿に10mLの水を加え、水相をCH
2Cl
2で抽出した。有機層をNa
2SO
4で乾燥し、濾過し、ロータリー・エバポレータにかけた。CH
2Cl
2中の10% MeOHを用いて原料をプレパラティブTLCによって精製し、80mgの3−メトキシ−N−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル)−4−((3−(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)ベンズアミドを得た。全体に渡っての収量は90mg(39%)であった。
1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ 9.86(s、1H)、7.82(s、1H)、7.75(d、J=9.0Hz、1H)、7.69(d、J=8.8Hz、1H)、7.62(t、J=8.2Hz、1H)、7.58−7.45(m、4H)、7.14(d、J=8.6Hz、1H)、6.89(d、J=9.1Hz、2H)、5.26(s、2H)、3.83(s、3H)、3.15−2.95(m、4H)、2.48(t、J=4.7Hz、4H、DMSO NMR溶媒ピークによって部分的にカバーされる)、2.21(s、3H)。
13C NMR(101MHz、DMSO−d6)δ 164.72、150.47、149.10、147.84、138.81、132.25、131.52、130.08、128.37、125.93−125.06(m)、124.64(d、J=4.1Hz)、122.07、121.10、115.92、113.17、111.76、69.50、56.20、55.05、48.88、46.12。HPLC−MS:予想:500(MH+);実測:500。
【0091】
〔4−((4−シアノベンジル)オキシ)−3−メトキシ−N−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル)ベンズアミドの合成〕
3−メトキシ−N−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル)−4−((3−(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)ベンズアミドの合成と同様の手順を用いて、4−((4−シアノベンジル)オキシ)−3−メトキシ−N−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル)ベンズアミドを調製した。
1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ 9.96(s、1H)、7.85(d、J=8.4Hz、2H)、7.67−7.57(m、4H)、7.57−7.50(m、2H)、7.09(d、J=9.1Hz、1H)、6.96(d、J=9.1Hz、2H)、5.27(s、2H)、3.84(s、3H)、3.80−3.50(m、4H)、2.75(s、3H)、2.58−2.28で(bs、DMSOピークの下にカバーされたピペラジン環からの4つのプロトン)。
13C NMR(101MHz、DMSO−d6)δ 165.02、150.30、148.98、146.32、142.94、132.86(d、J=32.3Hz)、132.39、128.58(d、J=36.7Hz)、128.06、122.23(d、J=37.8Hz)、121.15(d、J=38.5Hz)、119.20、116.67、113.03(d、J=15.9Hz)、111.60(d、J=37.6Hz)、110.92、69.27、56.16(d、J=22.9Hz)、52.91、46.53、42.68(d、J=28.4Hz)。HPLC−MS:予想:457(MH
+);実測:457。
【0092】
〔4−((4−シアノベンジル)オキシ)−3−メトキシ−N−(4−(4−メトキシピペリジン−1−イル)フェニル)ベンズアミドの合成〕
窒素注入口および磁気撹拌棒を備えた丸底フラスコに、CH
2Cl
2(5mL)中の4−((4−シアノベンジル)オキシ)−3−メトキシベンゾイルクロライド(142mg、0.47mmol)、4−(4−メトキシピペリジン−1−イル)アニリン(97mg、0.47mmol)およびEt
3N(0.14mL、1.00mmol)を加えた。反応混合物をH
2Oで洗浄し、水相をCH
2Cl
2で抽出した。有機層をNa
2SO
4で乾燥し、濾過し、次いで、ロータリー・エバポレータを用いて濃縮した。残渣に10mLのCH
2Cl
2および4mLの3Nメタノール性HClを加え、室温で5時間撹拌した。次いで、反応混合物を濃縮し、次いで、真空で乾燥し、無加工の生成物として黒色の固体を得た。生成物をEtOHに溶解し、灰色がかった化合物を濾過し、真空で乾燥し、50mg(21%)の4−((4−シアノベンジル)オキシ)−3−メトキシ−N−(4−(4−メトキシピペリジン−1−イル)フェニル)ベンズアミド(100% HPLC純度)を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ 10.34(s、1H)、7.92−7.82(m、4H)、7.79−7.66(m、2H)、7.62(d、J=6.7Hz、2H)、7.60−7.55(m、3H)、7.12(d、J=9.1Hz、1H)、5.28(s、2H)、3.85(s、3H)、3.61−3.48(m、5H)、3.27(s、3H)、2.29−2.11(m、2H)、2.08−1.88(m、2H)。
13C NMR(101MHz、DMSO−d6)δ 165.40、150.71、149.10、142.97、133.86−131.37(m)、128.85、128.25、127.67、122.79−120.35(m)、121.14、119.16、113.31、112.83、112.28、111.67、111.00、69.31、56.34、56.22、55.84、55.53。HPLC−MS:予想:472(MH
+);実測:472。
【0093】
〔N−(4−(4−メトキシピペリジン−1−イル)フェニル)ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−カルボキサミドの合成〕
窒素注入口および磁気撹拌棒を備えた丸底フラスコに、CH
2Cl
2(5mL)中のベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−カルボニルクロライド(136mg、0.74mmol)、4−(4−メトキシピペリジン−1−イル)アニリン(150mg、0.74mmol)およびEt
3N(0.30mL、2.15mmol)を加えた。次いで、混合物を室温で一晩中撹拌した。反応に20mLの水を加え、層を分離した。次いで、水相をCH
2Cl
2(2x15mL)で洗浄した。次いで、合わせた有機溶媒をNa
2SO
4で乾燥し、濾過し、ロータリー・エバポレーションによって濃縮し、次いで、真空で乾燥した。原料をカラムクロマトグラフィーによって精製し、ヘキサン中の35% EtOAcで生成物を溶出させ、41mg(16%)のN−(4−(4−メトキシピペリジン−1−イル)フェニル)ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−カルボキサミドをベージュ色の固体として得た。
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ 7.54−7.50(m、3H)、7.45(s、1H)、7.00(d、J=8Hz、1H)、6.88(d、J=8Hz、2H)、6.09(s、2H)、3.43−3.37(m、2H)、3.30−3.25(m、1H)、3.23(s、3H)、2.82−2.76(m、2H)、1.91−1.87(m、2H)、1.52−1.44(m、2H)。
13C NMR(101MHz、DMSO−d6)δ164.30、150.20、147.80、147.73、131.25、129.36、122.99、121.89、116.35、108.30、108.00(d、J=4.5Hz)、102.12(t、J=6.1Hz)、75.83、55.26(d、J=4.3Hz)、47.15、30.61。HPLC−MS:予想:355(MH
+);実測:355。
【0094】
〔N−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル)ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−カルボキサミドの合成〕
窒素注入口および磁気撹拌棒を備えた丸底フラスコに、CH
2Cl
2(5mL)中のベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−カルボニルクロライド(164mg、0.89mmol)、4−(4−メチルピペラジン−1−イル)アニリン(170mg、0.89mmol)およびEt
3N(0.38mL、2.73mmol)を加えた。次いで、混合物を室温で一晩中撹拌した。次いで、形成された沈殿を濾過し、CH
2Cl
2で洗浄し、残渣を真空で乾燥し、205mg(68%)のN−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル)ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−カルボキサミドを黒みがかった固体として得た。
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ 9.83(s、1H、NH)、7.55−7.52(m、3H)、7.50(s、1H)、7.00(d、J=8Hz、1H)、6.87(d、J=8Hz、2H)、6.09(s、2H)、3.05(t、J=8Hz、4H)、2.41(t、J=8Hz、4H)、3.23(s、3H)。
13C NMR(101MHz、DMSO−d6)δ 164.30、150.20、147.83、147.73、131.45、129.35、12.03、121.87(d、J=4.5Hz)、115.85、108.30、108.00(d、J=4.5Hz)、102.15(t、J=6.1Hz)、55.07、48.90、46.21(d、J=4.3Hz)。HPLC−MS:予想:340(MH
+);実測:340。
【0095】
〔エチル 3−フルオロ−4−ヒドロキシベンゾエートの合成〕
エチル 4−ヒドロキシ−3−メトキシベンゾエートの調製と同様の手順を用いて、エチル 3−フルオロ−4−ヒドロキシベンゾエートを合成し、保存時にベージュ色の固体に変わるような黄色の固体として1.67g(56%)の所望の生成物を得た。1H NMR(400MHz、Methanol−d4)δ 7.87−7.36(m、2H)、7.94(t、J=7.6Hz、1H)、4.30(q、J=7.4Hz、2H)、1.34(t、J=7.1Hz、3H)。HPLC−MS:予想:185(MH+);実測:185。
【0096】
〔エチル 3−フルオロ−4−(2−モルフォリノエトキシ)ベンゾエートの合成〕
エチル 3−メトキシ−4−((3−(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)ベンゾエートの調製と同様の手順を用いて、エチル 3−フルオロ−4−(2−モルフォリノエトキシ)ベンゾエートを合成し、ベージュ色の固体として1.26g(98%)の所望の生成物を得た。
1H NMR(400MHz、Chloroform−d)δ 7.77(d、J=8.5Hz、1H)、7.72(d、J=11.7Hz、1H)、6.95(t、J=9.1Hz、1H)、4.32(q、J=7.6Hz、2H)、4.21(t、J=5.7Hz、2H)、3.74−3.66(m、4H)、2.83(t、J=5.7Hz、2H)、2.63−2.45(m、4H)、1.35(t、J=7.1Hz、3H)。HPLC−MS:予想:299(M+1);実測:299。
【0097】
〔3−フルオロ−4−(2−モルフォリノエトキシ)安息香酸の合成〕
3−メトキシ−4−((3−(トリフルオロメチル)ベンジル)オキシ)安息香酸の調製と同様の手順を用いて、3−フルオロ−4−(2−モルフォリノエトキシ)安息香酸を合成し、純粋で所望の生成物としてベージュ色の固体の1.25g(100%)を得た。
1H NMR(400MHz、Methanol−d4)δ 8.51(s、1H)、7.70(d、J=8.5Hz、1H)、7.62(dd、J=12.4、2.0Hz、1H)、7.06(t、J=8.4Hz、1H)、4.23(t、J=5.4Hz、2H)、3.70−3.64(m、2H)、2.83(t、J=5.4Hz、2H)、2.67−2.56(m、4H)、2.51(t、J=6.0Hz、2H)。HPLC−MS:予想:270(MH+);実測:270。
【0098】
〔3−フルオロ−N−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル)−4−(2−モルフォリノエトキシ)ベンズアミドの合成〕
窒素注入口および磁気撹拌棒を備えた丸底フラスコに、3mL DMF中の3−フルオロ−4−(2−モルフォリノエトキシ)安息香酸(135mg、0.05mmol)、HATU(494mg、1.3mmol)およびDIPEA(0.1mL、0.73mmol)の混合物を加えた。次いで、混合物を室温で1時間撹拌した。上記の溶液に、4−(4−メチルピペラジン−1−イル)アニリン(95mg、0.50mmol)を加えた。混合物を室温で16時間撹拌した。混合物に飽和NaHCO
3溶液を加え、水相をCH
2Cl
2で抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥し、濾過し、ロータリー・エバポレーションによって除去し、DCM中の10% MeOHを用いて原料をプレパラティブTLCによって精製し、126mg(57%)の純粋な3−フルオロ−N−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル)−4−(2−モルフォリノエトキシ)ベンズアミドを得た。
1H NMR(400MHz、Chloroform−d)δ 7.62−7.54(m、2H)、7.46(d、J=8.9Hz、2H)、6.96(t、J=8.5Hz、1H)、6.87(d、J=9.0Hz、2H)、4.19(t、J=5.7Hz、2H)、3.69(t、J=4.8Hz、4H)、3.15(t、J=5.2Hz、4H)、2.81(t、J=5.7Hz、2H)、2.60−2.49(m、8H)、2.32(s、3H)。
13C NMR(101MHz、Chloroform−d)δ 163.98、153.32、150.86、149.57(d、J=10.9Hz)、148.42、130.16、128.08(d、J=5.5Hz)、123.50(d、J=15.5Hz)、121.78(d、J=14.4Hz)、116.49、115.37、114.10、67.55(t、J=7.3Hz)、66.90(t、J=15.2Hz)、57.30(t、J=8.6Hz)、55.04(t、J=11.8Hz)、54.11(t、J=12.9Hz)、49.36(t、J=3.6Hz)、46.11(d、J=14.2Hz)。HPLC−MS:予想:443(MH
+);実測:443。
【0099】
上記の本発明の記載は、例証と記述の目的のために示した。上記のものは、本発明をここに記載した形式に限定することを意図しない。本発明の記述は、1つ以上の実施形態およびある変形および修飾を含んでいるが、例えば、本記述の理解の後に当業者の技術および知識の範囲内となり得るような、他の変形および修飾も本発明の範囲内である。特許請求されるものの、代替の、交換可能な、および/または等価な構造、機能、範囲またはステップを含めて、このような代替の、交換可能な、および/または等価な構造、機能、範囲またはステップがここに記載されているかどうかにかかわらず、また、特許可能な主題を公に献呈することを意図せず、許可される範囲にまで、代替の実施形態を含む権利を得ることが意図される。ここで引用した全ての参考文献は、参照によりその全体が盛り込まれる。