特許第6934211号(P6934211)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6934211
(24)【登録日】2021年8月25日
(45)【発行日】2021年9月15日
(54)【発明の名称】建物用ドアーハンドルの軸受装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 3/06 20060101AFI20210906BHJP
   E05C 1/16 20060101ALI20210906BHJP
【FI】
   E05B3/06 B
   E05C1/16 B
【請求項の数】8
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2020-86923(P2020-86923)
(22)【出願日】2020年5月18日
【審査請求日】2020年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】593121634
【氏名又は名称】双葉実業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230115336
【弁護士】
【氏名又は名称】山下 綾
(72)【発明者】
【氏名】村上 秀文
(72)【発明者】
【氏名】新田 典昭
【審査官】 砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−349101(JP,A)
【文献】 特開2009−281000(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/183056(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00−3/10
E05C 1/00−5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアー(D)を貫通横断する一定長さ(L)の両端部に、そのドアー開閉用ハンドル(Hf)(Hr)の一対が取り付けられたハンドル軸(10)を、
上記ドアー(D)に固定される取付座盤(21)と、その取付座盤(21)の中心部へ上記ハンドル(Hf)(Hr)と一体回動し得るように差し込み嵌合された可動側軌道盤(22)と、上記取付座盤(21)と相俟って可動側軌道盤(22)を抜け止め状態に保つべく、その取付座盤(21)に組み付け一体化された固定側軌道盤(23)と、その両軌道盤(22)(23)における上記ハンドル軸(10)の軸線(A−A)と直交する関係状態にある軌道面(22a)(23a)同士が向かい合う相互間へ、転動自在に介挿セットされた複数のボール(24a)とから成るスラストベアリング(Bf)(Br)の一対によって、
上記ドアー(D)へ回動できるように軸受けしたことを特徴とする建物用ドアーハンドルの軸受装置。
【請求項2】
各スラストベアリング(Bf)(Br)をなす可動側軌道盤(22)の芯筒(25)から、所要数の径大なフランジ(26)を連続一体に張り出すと共に、
そのフランジ(26)の張り出し基端部に切り欠いた内向き開放するボールリテーナー受け入れ凹周溝(28)の内部へ、点在分布するスチールボール(24a)のリテーナー(24)を挿入セットして、その内側から固定側軌道盤(23)を閉鎖状態に組み付ける一方、
同じくフランジ(26)の張り出し中途部から外向き連続一体に張り出すボス受け入れ筒(29)の内周面を、ドアー開閉用ハンドル(Hf)(Hr)のボス(17)と対応合致する楕円形に造形して、
その可動側軌道盤(22)におけるボス受け入れ筒(29)の楕円形をなす内部へ、上記ハンドル(Hf)(Hr)のボス(17)を一体回動し得るように差し込み嵌合したことを特徴とする請求項1記載の建物用ドアーハンドルの軸受装置。
【請求項3】
各スラストベアリング(Bf)(Br)の可動側軌道盤(22)におけるボス受け入れ筒(29)の外周面から、その内周面に造形された楕円形の円弧面(29a)と平行な円弧状係合凸片(30)の向かい合う一対を隆起させる一方、
上記軌道盤(22)の径大な張り出しフランジ(26)と嵌合するフランジ受け入れ溝(32)と、そのフランジ(26)よりも径小なボス受け入れ筒用挿通口(31)とを、取付座盤(21)の中心部に各々形成すると共に、
その取付座盤(21)におけるボス受け入れ筒用挿通口(31)の開口周縁部へ、上記軌道盤(22)側の係合凸片(30)を受け入れる対応的な一対の回動角度規制凹溝(33)を、その係合凸片(30)の円弧長さ(β)よりも長い円弧長さ(γ)の円弧状に切り欠いて、
上記軌道盤(22)のボス受け入れ筒(29)へボス(17)が差し込み嵌合されたドアー開閉用ハンドル(Hf)(Hr)を、上記係合凸片(30)の円弧長さ(β)とその回動角度規制凹溝(33)の円弧長さ(γ)との長短差に基づいて規制された一定の角度範囲(θ)だけしか回動しないように定めたことを特徴とする請求項2記載の建物用ドアーハンドルの軸受装置。
【請求項4】
ドアー開閉用ハンドル(Hf)(Hr)が回動し得る一定の角度範囲(θ)を、時計方向への17度と反時計方向への17度に設定したことを特徴とする請求項3記載の建物用ドアーハンドルの軸受装置。
【請求項5】
各スラストベアリング(Bf)(Br)の取付座盤(21)を内向き開放する断面ほぼコ字形の円盤とし、固定側軌道盤(23)をその取付座盤(21)へ内側から閉鎖状態に嵌合する径小な円盤として、
上記取付座盤(21)における固定側軌道盤(23)を被覆する径大な円形周縁部から、複数の係止爪(34)を全体的な放射対称分布型として内向きに突設する一方、
上記軌道盤(23)の円形周縁部に複数の爪受け入れ切欠(39)を対応形成して、
その取付座盤(21)側の係止爪(34)を上記軌道盤(23)側の爪受け入れ切欠(39)へ差し込み係止させることにより、取付座盤(21)と固定側軌道盤(23)とを組み付け一体化したことを特徴とする請求項1記載の建物用ドアーハンドルの軸受装置。
【請求項6】
何れか一方のスラストベアリング(Br)における取付座盤(21)から他方のスラストベアリング(Bf)に向かって、並列する一対の長い差込み脚筒(36)を連続一体に張り出し、
他方のスラストベアリング(Bf)における同じく取付座盤(21)から一方の上記スラストベアリング(Br)に向かって、その差込み脚筒(36)の短い受け入れ脚筒(37)を対応的に張り出すと共に、
上記差込み脚筒(36)をドアー(D)に貫通横断させて、その受け入れ脚筒(37)へ差し込み嵌合し、且つ上記受け入れ脚筒(37)から差込み脚筒(36)の内部へ固定ネジ(38)をねじ込むことにより、一対の上記スラストベアリング(Bf)(Br)を連結一体化したことを特徴とする請求項1記載の建物用ドアーハンドルの軸受装置。
【請求項7】
各スラストベアリング(Bf)(Br)を構成する取付座盤(21)以外の可動側軌道盤(22)と固定側軌道盤(23)並びにボールリテーナー(24)が、その両スラストベアリング(Bf)(Br)での互いに同一であることを特徴とする請求項1記載の建物用ドアーハンドルの軸受装置。
【請求項8】
各スラストベアリング(Bf)(Br)を構成する取付座盤(21)と可動側軌道盤(22)、固定側軌道盤(23)並びにボールリテーナー(24)のうち、そのボール(24a)を除くほかの部品がすべて同じポリアセタールやFRP、その他の高強度な合成樹脂から作成されていることを特徴とする請求項1記載の建物用ドアーハンドルの軸受装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建物用ドアーハンドルのガタツキ防止と外観化粧効果(意匠性)の達成上有効な軸受装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建物のピボットヒンジ式ドアー(回動扉)にレバー形態やノブ形態の開閉用ハンドルを取り付け施工する際、そのドアーへ固定した丸座に対して、ハンドルを強く押し込むことにより、その丸座との嵌め合い公差を少なくすると、ハンドルの回動操作が重くなる一方、その回動操作を軽快に行えるようにすべく、丸座への押し込みを弱めると、ハンドルのガタツキや異音を生じるため、その上記公差を最小限に調整セットすることは至難の業である。
【0003】
このような問題を解決するために、ハンドルとその丸座との向かい合う相互間へラジアルベアリングを介挿設置して、これによりハンドル軸を回動自在に軸受けした建物用ドアーハンドル装置が、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4288616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の上記ピボットヒンジ式ドアー(回動扉)では、その木口の錠面からラッチを出没させるために、ドアー開閉用ハンドルを回動操作するとほぼ同時に、そのハンドルを握り持ったままで押したり又は引いたりして、ドアーの開閉を行っている通例であるが、このようなハンドル軸の軸線方向に沿って加わる操作力を、上記特許文献1に開示されたラジアルベアリング(4)によって受け止める(対抗する)ことは不可能である。
【0006】
まして、その特許文献1に記載されたドアーハンドル装置の構成では、ハンドル座(1)がラジアルベアリング(4)における外輪(4a)の幅全体を支持しておらず、そのベアリング(4)におけるハンドル本体(3)の軸部(3c)を支持した内輪(4b)の角部と言わば対角線上にある外輪(4a)の角部だけを、局部的に支持しているに過ぎない。
【0007】
その結果、上記ハンドル軸(スピンドル)(2)の軸線方向に沿って作用する荷重(特にハンドル本体(3)を強く押し込む力)を、ラジアルベアリング(4)によって受け止める(対抗する)ことができないこととも相俟って、そのハンドル軸(スピンドル)(2)の振れ動きや一対のハンドル本体(3)のグラツキなどを生じるおそれがあり、そのハンドル本体(3)を常時円滑に安定良く回動作用させることができない。
【0008】
更に、上記ドアーハンドル装置の構成ではハンドル本体(3)とハンドル座(1)との前後相互間に、必ず一定の間隙を確保しなければならないため、ラジアルベアリング(4)の外輪(4a)が見苦しく露呈することになり、塵埃が侵入・付着するおそれもある。
【0009】
その場合、ハンドル本体(3)側に上記外輪(4a)の覆い部(3f)を設けたとしても、その覆い部(3f)とハンドル座(1)の先端部との前後相互間に、やはり一定の間隙を確保する必要があることに変わりはないため、優美な外観化粧効果(意匠性)と防塵効果を得られないのである。
【0010】
この点、ハンドル座(1)を厚肉化又は広幅化すればする程、上記間隙は外界から見やすい位置に開口露呈することになるため、その外観化粧効果(意匠性)がますます低下する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明はこのような課題の改良を目的としており、その目的を達成するために、請求項1ではドアーを貫通横断する一定長さの両端部に、そのドアー開閉用ハンドルの一対が取り付けられたハンドル軸を、
【0012】
上記ドアーに固定される取付座盤と、その取付座盤の中心部へ上記ハンドルと一体回動し得るように差し込み嵌合された可動側軌道盤と、上記取付座盤と相俟って可動側軌道盤を抜け止め状態に保つべく、その取付座盤に組み付け一体化された固定側軌道盤と、その両軌道盤における上記ハンドル軸の軸線と直交する関係状態にある軌道面同士が向かい合う相互間へ、転動自在に介挿セットされた複数のボールとから成るスラストベアリングの一対によって、
【0013】
上記ドアーへ回動できるように軸受けしたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項2では各スラストベアリングをなす可動側軌道盤の芯筒から、所要数の径大なフランジを連続一体に張り出すと共に、
【0015】
そのフランジの張り出し基端部に切り欠いた内向き開放するボールリテーナー受け入れ凹周溝の内部へ、点在分布するスチールボールのリテーナーを挿入セットして、その内側から固定側軌道盤を閉鎖状態に組み付ける一方、
【0016】
同じくフランジの張り出し中途部から外向き連続一体に張り出すボス受け入れ筒の内周面を、ドアー開閉用ハンドルのボスと対応合致する楕円形に造形して、
【0017】
その可動側軌道盤におけるボス受け入れ筒の楕円形をなす内部へ、上記ハンドルのボスを一体回動し得るように差し込み嵌合したことを特徴とする。
【0018】
請求項3では各スラストベアリングの可動側軌道盤におけるボス受け入れ筒の外周面から、その内周面に造形された楕円形の円弧面と平行な円弧状係合凸片の向かい合う一対を隆起させる一方、
【0019】
上記軌道盤の径大な張り出しフランジと嵌合するフランジ受け入れ溝と、そのフランジよりも径小なボス受け入れ筒用挿通口とを、取付座盤の中心部に各々形成すると共に、
【0020】
その取付座盤におけるボス受け入れ筒用挿通口の開口周縁部へ、上記軌道盤側の係合凸片を受け入れる対応的な一対の回動角度規制凹溝を、その係合凸片の円弧長さよりも長い円弧長さの円弧状に切り欠いて、
【0021】
上記軌道盤のボス受け入れ筒へボスが差し込み嵌合されたドアー開閉用ハンドルを、上記係合凸片の円弧長さとその回動角度規制凹溝の円弧長さとの長短差に基づいて規制された一定の角度範囲だけしか回動しないように定めたことを特徴とする。
【0022】
請求項4ではドアー開閉用ハンドルが回動し得る一定の角度範囲を、時計方向への17度と反時計方向への17度に設定したことを特徴とする。
【0023】
請求項5では各スラストベアリングの取付座盤を内向き開放する断面ほぼコ字形の円盤とし、固定側軌道盤をその取付座盤へ内側から閉鎖状態に嵌合する径小な円盤として、
【0024】
上記取付座盤における固定側軌道盤を被覆する径大な円形周縁部から、複数の係止爪を全体的な放射対称分布型として内向きに突設する一方、
【0025】
上記軌道盤の円形周縁部に複数の爪受け入れ切欠を対応形成して、
【0026】
その取付座盤側の係止爪を上記軌道盤側の爪受け入れ切欠へ差し込み係止させることにより、取付座盤と固定側軌道盤とを組み付け一体化したことを特徴とする。
【0027】
請求項6では何れか一方のスラストベアリングにおける取付座盤から他方のスラストベアリングに向かって、並列する一対の長い差込み脚筒を連続一体に張り出し、
【0028】
他方のスラストベアリングにおける同じく取付座盤から一方の上記スラストベアリングに向かって、その差込み脚筒の短い受け入れ脚筒を対応的に張り出すと共に、
【0029】
上記差込み脚筒をドアーに貫通横断させて、その受け入れ脚筒へ差し込み嵌合し、且つ上記受け入れ脚筒から差込み脚筒の内部へ固定ネジをねじ込むことにより、一対の上記スラストベアリングを連結一体化したことを特徴とする。
【0030】
請求項7では各スラストベアリングを構成する取付座盤以外の可動側軌道盤と固定側軌道盤並びにボールリテーナーが、その両スラストベアリングでの互いに同一であることを特徴とする。
【0031】
請求項8では各スラストベアリングを構成する取付座盤と可動側軌道盤、固定側軌道盤並びにボールリテーナーのうち、そのボールを除くほかの部品がすべて同じポリアセタールやFRP、その他の高強度な合成樹脂から作成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
請求項1の上記構成によれば、ドアーへの取り付け施工時にその開閉用ハンドルを強く押し込んだり、またドアーの開閉操作時にそのハンドルを繰り返し押し込んだりしても、その時にはハンドルを軸受けしているスラストベアリングのボールが、可動側軌道盤と固定側軌道盤における上記ハンドル軸の軸線と直交する平面をなす軌道面と点接触して、その向かい合う軌道面を転動するため、そのハンドル軸の軸線方向に沿って加わる上記押し込み力(荷重)を受け止める(押し込み力に対抗する)ことができることとも相俟って、上記ハンドルが常時安定良く円滑に回動作用し、振れ動きやグラツキ、ガタツキ音、ブリネル圧痕などを生じるおそれはない。その意味で施工性や操作性、寸法安定性、耐用性などに優れる。
【0033】
また、請求項2の構成を採用するならば、複数のスチールボールが点在分布するボールリテーナーを、可動側軌道盤の径大な張り出しフランジと固定側軌道盤によって、その可動側軌道盤のボールリテーナー受け入れ凹周溝内へ脱落のおそれなく確実に閉じ込めることができるほか、ドアー開閉用ハンドルの楕円形ボスを可動側軌道盤の対応する楕円形ボス受け入れ筒へ差し込み嵌合することにより、その両者を確実に安定良く一体回動させることができる効果もある。
【0034】
その場合、請求項3の構成を採用するならば、可動側軌道盤における上記ボス受け入れ筒の外周面から隆起する円弧長さの短い円弧状係合凸片を、取付座盤におけるボス受け入れ筒用挿通口の開口周縁部に切り欠き形成された円弧長さの長い円弧状回動角度規制凹溝へ、差し込み係合させることによって、その円弧長さの長短差に基づき規制された一定の角度範囲だけしか、上記ドアー開閉用ハンドルが回動しないように設定することができ、そのハンドルをいたずらに大きく(広角度に)回動する無駄を無くせる。
【0035】
その一定の回動角度範囲について、請求項4の構成を採用するならば、上記ハンドルを時計方向(右廻り)と反時計方向(左廻り)へ、僅かに17度ずつ回動操作するだけでドアーを開閉し得るため、操作性がますます向上し、便利でもある。
【0036】
請求項5の構成を採用するならば、ボールリテーナーが挿入セットされた可動側軌道盤を抜け止め状態に保つべく、取付座盤の径大な円形周縁部から内向きに突出する複数の係止爪を、固定側軌道盤の径小な円形周縁部に対応形成された爪受け入れ切欠へ、差し込み係止させることによって、その取付座盤と固定側軌道盤を組み付け固定することができ、しかもその固定側軌道盤はこれよりも径大な取付座盤によって、包囲状態に被覆されているため、スラストベアリングの組立作業性と外観化粧効果(意匠性)に優れる。
【0037】
また、請求項6の構成を採用するならば、両スラストベアリングにおける何れか一方の取付座盤から張り出す長い差込み脚筒を、ドアーの内方又は外方からドアーに貫通横断させて、残る他方の取付座盤から逆向きに張り出す短い受け入れ脚筒へ差し込み嵌合した上、その受け入れ脚筒から差込み脚筒の内部へ固定ネジをねじ込むことにより、両スラストベアリングの取付座盤同士をドアーへの挟み付け状態に連結一体化するようになっているため、そのドアーに対する取り付け施工をすばやく便利に行え、その施工状態も安定する。
【0038】
更に、請求項7の構成を採用するならば、スラストベアリングの組立を容易に行え、最大限の量産効果を得られる。
【0039】
請求項8の構成を採用するならば、ドアー開閉用ハンドルの支持強度と軽量さに富むスラストベアリングを得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の実施形態に係る建物用ドアーハンドルの施工状態を示す外観斜面図である。
図2図1のドアーを省略して示す縦断面図である。
図3】同じく横断面図である。
図4図3の先付け側ハンドルを抽出して示す断面図である。
図5】同じく後付け側のハンドルを抽出して示す断面図である。
図6図5の一部を切り欠いて示す正面図である。
図7図2のスラストベアリングを抽出して示す正面図である。
図8図7の8−8線断面図である。
図9図7の9−9線断面図である。
図10図8の横断面図である。
図11図10の11−11線断面図である。
図12図8の一部を抽出して示す拡大図である。
図13】各スラストベアリングを構成する可動側軌道盤の正面図である。
図14図13の背面図である。
図15図13の15−15線断面図である。
図16図15の一部を抽出して示す拡大図である。
図17】何れか一方のスラストベアリングを構成する取付座盤の正面図である。
図18図17の背面図である。
図19図17の19−19線断面図である。
図20図18の20−20線断面図である。
図21】残る他方のスラストベアリングを構成する取付座盤の正面図である。
図22図21の背面図である。
図23図21の23−23線断面図である。
図24図22の24−24線断面図である。
図25】ハンドルの一定に規制された回動角度範囲を示す正面図である。
図26】各スラストベアリングを構成する固定側軌道盤の正面図である。
図27図26の背面図である。
図28図27の28−28線断面図である。
図29】一方のスラストベアリングの組立順序を示す分解斜面図である。
図30】同じく図29の逆方向から見た分解斜面図である。
図31】他方のスラストベアリングの組立順序を示す分解斜面図である。
図32】同じく図31の逆方向から見た分解斜面図である。
図33】ドアーに対する両スラストベアリングの組付け施工順序を示す斜面図である。
図34】同じく図33の逆方向から見た斜面図である。
図35】両スラストベアリングが固定設置されたドアー(図示省略)に対する両ハンドルの取付け施工順序を示す斜面図である。
図36図35に引続く施工順序を示す斜面図である。
図37】両ハンドルの取付け施工完了状態を示す斜面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施形態を詳述する。図1〜3はその実施形態に係る建物用ドアーハンドルの施工状態を示しており、図4〜28はそのドアーハンドルを構成する各種部品図である。
【0042】
上記建物用ドアーハンドルは図1〜3から明白なように、ピボットヒンジ式ドアー(回動扉)(D)を貫通横断する一定長さ(例えば96mm)(L)のハンドル軸(10)と、そのハンドル軸(10)がドアー(D)の内・外表面から張り出す両端部に、各々取り付け固定された一対のドアー開閉用ハンドル(Hf)(Hr)と、その両ハンドル(Hf)(Hr)が固定されたハンドル軸(10)を、回動自在に支持する一対のスラストベアリング(Bf)(Br)とを有している。
【0043】
そして、そのハンドル(Hf)(Hr)をドアー(D)の内・外方向から各々時計方向(右廻り)又は反時計方向(左廻り)へ回動操作すれば、上記ドアー(D)に内蔵設置されているケース錠(11)のラッチ(12)が出没し、そのドアー(D)を開閉することができるようになっている。(13)はドアー(D)に形成された貫通口である。尚、図示の実施形態ではドアー開閉用ハンドル(Hf)(Hr)として、レバーハンドルを採用しているが、これに代わるノブ形態(所謂握り玉)のハンドルが採用されることもある。
【0044】
ドアーハンドルを構成する各種部品のうち、上記ハンドル軸(10)は断面方形に組立一体化されて角軸として、ケース錠(11)に対応形成された角穴(図示省略)と嵌合しており、その両端部付近には一対の固定ネジ受け入れ孔(14)が設けられている。
【0045】
その固定ネジ受け入れ孔(14)へ各々ねじ込まれる固定ネジ(15)によって、上記ハンドル軸(10)へ一体回動し得るように取り付け固定される一対のハンドル(Hf)(Hr)は、図4〜6のようにハンドル軸(10)に嵌合する角形の取付口(16)と、向かい合う一対の円弧面(17a)と平行な扁平面(17b)とから成る楕円形のボス(17)と、後述のスラストベアリング(Bf)(Br)を被覆する円形のカバーフランジ(18)とを備えた構成として、互いに同一である。
【0046】
但し、その両ハンドル(Hf)(Hr)のうち、ハンドル軸(10)へ先付けされる一方(図2、3の右側ハンドル(Hf))の固定ネジ挿通孔(19)が円形をなしているに比し、同じくハンドル軸(10)へ後付けされる他方(図2、3の左側ハンドル(Hr))の固定ネジ挿通孔(20)は、上記ハンドル軸(10)の軸線(A−A)方向に沿い延在する細長い楕円形をなすことによって、ハンドル軸(10)への取り付け固定上、その位置決め調整を行えるようになっている点で、両ハンドル(Hf)(Hr)の構成は僅かに相違する。
【0047】
上記スラストベアリング(Bf)(Br)の一対は何れも図2、3や図7〜12のようなドアー(D)に対する取付座盤(21)と、その取付座盤(21)の中心部へ上記ハンドル(Hf)(Hr)と一体回動し得るように差し込み嵌合された可動側軌道盤(軌道輪)(22)と、上記取付座盤(21)と相俟って(協働して)可動側軌道盤(22)を抜け止め状態に保持(拘束)するため、その取付座盤(21)に組み付け一体化された固定側軌道盤(23)と、可動側軌道盤(22)と固定側軌道盤(23)における上記ハンドル軸(10)の軸線(A−A)と直交する関係状態にある軌道面(22a)(23a)同士が向かい合う相互間へ、介挿セットされたボールリテーナー(24)とから成り、そのリテーナー(24)に点在分布状態として保持された複数(図示実施形態では合計6個)のスチールボール(24a)が、上記軌道面(22a)(23a)を転動することによって、ドアー開閉用ハンドル(Hf)(Hr)の回動時における摺動(摩擦)抵抗を低減すると共に、ガタツキや異音などが発生するおそれを防止するようになっている。
【0048】
上記スラストベアリング(Bf)(Br)の構成部品を詳しく説明すると、先ず可動側軌道盤(軌道輪)(22)は図13〜16から明白なように、中心部に芯筒(25)を具備しており、その芯筒(25)の外周面からは径大なフランジ(26)が連続一体に張り出されている。
【0049】
その径大な張り出しフランジ(26)の個数は全体的な円形をなす1個であっても良いが、図示の実施形態ではその円形の周縁部に向かい合う一対の皿状切欠き凹溝(27)が付与されることにより、言わば分割状態に残存する向かい合う一対の円弧状に造形されている。(α)はその各張り出しフランジ(26)の円弧長さ又は開き角(中心角)を示している。
【0050】
(28)は径大な上記フランジ(26)の張り出し基端部に切り欠き形成された内向き開放するボールリテーナー受け入れ凹周溝であり、その溝底面が上記ハンドル軸(10)の軸線(A−A)と直交する軌道面(22a)をなす。ボールリテーナー受け入れ凹周溝(28)の内部に挿入セットされたボールリテーナー(24)のスチールボール(24a)が、その軌道面(22a)を転動することになる。
【0051】
その場合、ボールリテーナー(24)はその受け入れ凹周溝(28)を内側から閉鎖する別個な固定側軌道盤(23)によって、上記可動側軌道盤(22)からの脱落不能に封止されることになる。
【0052】
また、同じく径大な上記フランジ(26)の張り出し中途部からは、ドアー開閉用ハンドル(Hf)(Hr)のボス(17)を受け入れるボス受け入れ筒(29)が、上記芯筒(25)と逆向きの外方へ連続一体に張り出されている。
【0053】
しかも、そのボス受け入れ筒(29)の内周面は上記ハンドル(Hf)(Hr)のボス(17)と対応合致する楕円形に造形されており、そのボス受け入れ筒(29)の内部へハンドル(Hf)(Hr)のボス(17)が差し込み嵌合されることによって、そのハンドル(Hf)(Hr)と上記可動側軌道盤(22)とが一体回動し得るようになっている。(29a)は上記ボス受け入れ筒(29)における向かい合う一対の円弧面、(29b)は同じく向かい合う一対の平行な扁平面を示している。
【0054】
更に、上記可動側軌道盤(22)におけるボス受け入れ筒(29)の円形な外周面からは、その内周面に造形された上記楕円形の円弧面(29a)と平行な円弧状をなす向かい合う一対の係合凸片(30)が、連続一体に隆起されている。(β)はその各係合凸片(30)の円弧長さ又は開き角(中心角)である。
【0055】
尚、その一対の係合凸片(30)はこれを受け入れる上記取付座盤(21)の後述する回動角度規制凹溝と係合して、ドアー開閉用ハンドル(Hf)(Hr)の回動角度を一定に規制することとなる。
【0056】
次に、スラストベアリング(Bf)(Br)の取付座盤(21)は図17〜24のような内向き開放する断面ほぼコ字形の円盤であって、その中心部には上記可動側軌道盤(22)のボス受け入れ筒(29)を逃し出すためのボス受け入れ筒用挿通口(31)と、同じく可動側軌道盤(22)における向かい合う一対の上記円弧状張り出しフランジ(26)と嵌合するフランジ受け入れ溝(32)とが形成されている。そのボス受け入れ筒用挿通口(31)とこれよりも径大なフランジ受け入れ溝(32)は、何れも円形を呈している。
【0057】
そして、そのボス受け入れ筒用挿通口(31)の開口周縁部には上記可動側軌道盤(22)における円弧状の係合凸片(30)を受け入れる向かい合う一対の回動角度規制凹溝(33)が切り欠き形成されている。
【0058】
その場合、その一対の回動角度規制凹溝(33)も対応的な円弧状として、上記係合凸片(30)と係合するように造形されているが、その各回動角度規制凹溝(33)の円弧長さ又は開き角(中心角)(γ)は各係合凸片(30)の上記円弧長さ又は開き角(中心角)(β)よりも比較的長く又は広角に設定されている。
【0059】
その長短差又は広狭差に基づいて、上記係合凸片(30)を備えた可動側軌道盤(22)と、これにより軸受けされたドアー開閉用ハンドル(Hf)(Hr)が、図25のように両回動角度規制凹溝(33)の円弧長さ又は開き角(中心角)(γ)を2等分する共通の中心線(O−O)から、時計方向(右廻り)と半時計方向(左廻り)へ同等の一定角度範囲(好ましくは17度ずつ)(θ)だけしか回動しないように規制されているのである。
【0060】
(34)は上記取付座盤(21)の円形周縁部から全体的な放射対称分布型として、内向き連続一体に突設された複数(図示実施形態では合計4個)の係止爪であり、固定側軌道盤(23)の後述する爪受け入れ切欠へ差し込み係止されて、その固定側軌道盤(23)と組み付け一体化されることになる。
【0061】
その際、取付座盤(21)の円形周縁部には上記係止爪(34)の各個を挟む位置関係に分布する複数(同じく図示実施形態では合計8個)のスリット(割溝)(35)が切り込み形成されており、これによって弾力性が付与された係止爪(34)を、その爪受け入れ切欠へすばやく確実に係止することができるようになっている。
【0062】
ここまでに説明した取付座盤(21)の構成は、一対のスラストベアリング(Bf)(Br)において互いに同一であるが、下記の点だけ相違する。
【0063】
つまり、両スラストベアリング(Bf)(Br)のうち、何れか一方(図8、10の左側スラストベアリング(Br))の取付座盤(21)におけるボス受け入れ筒用挿通口(31)の周辺部からは、上記ハンドル軸(10)の軸線(A−A)と平行に延在して、ドアー(D)を貫通横断できる長い一対の差込み脚筒(36)が、内向き連続一体に張り出されている。
【0064】
これに比して、残る他方(図8、9の右側スラストベアリング(Bf))の取付座盤(21)における同じくボス受け入れ筒用挿通口(31)の周辺部からは、上記長い差込み脚筒(36)を受け入れる一対の短い受け入れ脚筒(37)が、やはり内向き連続一体に張り出されており、その差込み脚筒(36)と受け入れ脚筒(37)との向かい合う対応関係にある。
【0065】
そして、一方の長い差込み脚筒(36)をドアー(D)に貫通横断させて、他方の短い受け入れ脚筒(37)へ差し込み嵌合した上、その短い受け入れ脚筒(37)から逆に長い差込み脚筒(36)の内部へ、各々固定ネジ(38)をねじ込むことにより、両スラストベアリング(Bf)(Br)の取付座盤(21)同士を連結一体化することができるようになっている。
【0066】
その場合、上記差込み脚筒(36)とその受け入れ脚筒(37)との一対ずつは、何れも取付座盤(21)の両回動角度規制凹溝(33)を2等分する共通の上記中心線(O−O)と直交する仮想線上に並列しており、可動側軌道盤(22)の皿状切欠き凹溝(27)と対応する位置にあるため、可動側軌道盤(22)と全然干渉せず、その軌道盤(22)の回動を阻害するおそれはない。
【0067】
更に、スラストベアリング(Bf)(Br)の固定側軌道盤(23)は図26〜28のような上記取付座盤(21)へ内側から嵌合する径小の扁平な円盤であり、その円形周縁部にはこれよりも径大な取付座盤(21)の円形周縁部から突出する上記係止爪(34)を受け入れる爪受け入れ切欠(39)の複数が、その係止爪(34)と対応位置する全体的な放射対称分布型に設けられている。
【0068】
複数の上記係止爪(34)をその爪受け入れ切欠(39)へ差し込み係止させて、径大な円形の取付座盤(21)とこれによって被覆される径小な固定側軌道盤(23)とを組み付け一体化すれば、上記可動側軌道盤(22)とボールリテーナー(24)がその取付座盤(21)と固定側軌道盤(23)により、図8〜10のような内外方向から言わば挟み込まれた状態に拘束されることとなる。
【0069】
(40)は固定側軌道盤(23)の円形周縁部に付与された向かい合う一対の円弧状切欠き凹溝であって、上記可動側軌道盤(22)の円形周縁部に付与された皿状の切欠き凹溝(27)と対応位置しており、上記取付座盤(21)側の差込み脚筒(36)又はその受け入れ脚筒(37)を逃し入れる。
【0070】
また、(41)は上記可動側軌道盤(22)の芯筒(25)を逃し出すための円形な芯筒用挿通口であり、固定側軌道盤(23)の中心部に開口形成されている。その固定側軌道盤(23)おける芯筒用挿通口(41)の周辺部は、可動側軌道盤(22)における上記ボールリテーナー受け入れ凹周溝(28)の溝底面(軌道面)(22a)と向かい合う軌道面(23a)として、やはりハンドル軸(10)の軸線(A−A)と直交する平面をなし、ボールリテーナー(24)に保持されたスチールボール(24a)の転動を許容する。
【0071】
上記の説明から明白なように、各スラストベアリング(Bf)(Br)を構成する各種部品のうち、取付座盤(21)を除くほかの可動側軌道盤(22)と固定側軌道盤(23)並びにボールリテーナー(24)は、一対のスラストベアリング(Bf)(Br)において互いに同一であり、その区別なく使用できるようになっている。
【0072】
尚、図示の実施形態では上記スラストベアリング(Bf)(Br)を構成する各種部品のうち、そのスチールボール(24a)を除くほかの構成部品が、すべて同じポリアセタール(商品名:ジュラコン)やFRP(ガラス繊維や炭素繊維などの各種繊維強化プラスチック)、その他の高強度な合成樹脂から作成されている。
【0073】
図示実施形態の建物用ドアーハンドルは上記構成を備えており、そのドアー(D)への取り付け施工に当たっては、一対のスラストベアリング(Bf)(Br)を予め次のように組み立てておく。
【0074】
即ち、その何れか一方のスラストベアリング(Br)については図29、30のように、長い差込み脚筒(36)が張り出す取付座盤(21)のボス受け入れ筒用挿通口(31)へ可動側軌道盤(22)のボス受け入れ筒(29)を、その軌道盤(22)側の係合凸片(30)が座盤(21)側の回動角度規制凹溝(33)と係合するように差し込み嵌合し、これと相前後して、その可動側軌道盤(22)のボールリテーナー受け入れ凹周溝(28)へボールリテーナー(24)を挿入セットすると共に、そのボールリテーナー(24)を抜け止め状態に閉鎖すべく、上記取付座盤(21)へ固定側軌道盤(23)を嵌合するように差し込み係止させて、その軌道盤(23)と座盤(21)とを組み付け固定する。
【0075】
また、残る他方のスラストベアリング(Bf)については図31、32のように、短い受け入れ脚筒(37)が張り出す取付座盤(21)のボス受け入れ筒用挿通口(31)へ同じく可動側軌道盤(22)のボス受け入れ筒(29)を、その軌道盤(22)側の係合凸片(30)が座盤(21)側の回動角度規制凹溝(33)と係合する状態に差し込み嵌合し、これと相前後して、やはりその可動側軌道盤(22)のボールリテーナー受け入れ凹周溝(28)へボールリテーナー(24)を挿入セットし、そのボールリテーナー(24)を抜け止め状態に閉鎖すべく、上記取付座盤(21)へ固定側軌道盤(23)を嵌合する如く差し込み係止させて、その軌道盤(23)と座盤(21)とを組み付け固定する。
【0076】
尚、このような各スラストベアリング(Bf)(Br)の構成部品を組み立てる順序は、上記の順序のみに限らず、自由に決定することができる。
【0077】
そして、図33、34に示唆する如く、上記組立状態にある一方のスラストベアリング(Br)が具備する長い差込み脚筒(36)をドアー(D)の貫通口(13)へ、そのドアー(D)の内方又は外方から貫通横断させて、残る他方のスラストベアリング(Bf)が具備する短い受け入れ脚筒(37)へ差し込み嵌合した上、その受け入れ脚筒(37)から差込み脚筒(36)の内部へ固定ネジ(38)をねじ込むことにより、両スラストベアリング(Bf)(Br)を図7〜12のようにドアー(D)の内・外表面へ挟み付く状態に組付け一体化するのである。
【0078】
それから図35〜37(説明の都合上ドアーは図示省略)のように、一定長さ(L)の一端部にドアー開閉用ハンドル(Hf)が固定ネジ(15)により先付けされたハンドル軸(10)を、何れか一方のスラストベアリング(Bf)における可動側軌道盤(22)の芯筒(25)から、そのハンドル(Hf)のボス(17)が軌道盤(22)側のボス受け入れ筒(29)と正しく嵌合するように、他方のスラストベアリング(Br)における同じ可動側軌道盤(22)の芯筒(25)へドアー(D)の横断状態に差し込み貫通させて、その他方のスラストベアリング(Br)から張り出し露呈した上記ハンドル軸(10)の他端部へ位置調整側のドアー開閉用ハンドル(Hr)を、やはりそのボス(17)が他方の上記スラストベアリング(Br)における可動側軌道盤(22)のボス受け入れ筒(29)と正しく嵌合するように差し込んだ上、固定ネジ(15)によって後付けするのであり、その際に後付け側のハンドル(Hr)に開口する楕円形の固定ネジ挿通孔(20)を利用して、そのハンドル(Hr)の位置決め調整を行えば良い。
【0079】
そうすれば、その図1〜3のような施工完了状態において、ドアー(D)の内・外方向から開閉用ハンドル(Hf)(Hr)を各々時計方向(右廻り)又は反時計方向(左廻り)へ、上記した一定の角度範囲(θ)(図示実施形態では17度ずつ)だけ回動操作することにより、上記ラッチ(12)を出没させて、図外のドアー枠に対応設置されているストライクと施・解錠することができ、しかもそのハンドル(Hf)(Hr)を握り持ったままで、上記ハンドル軸(10)の軸線(A−A)に沿って押したり、引いたりすることにより、ドアー(D)の開閉操作を行えるのである。
【0080】
その場合、両スラストベアリング(Bf)(Br)におけるボールリテーナー(24)を挟み込んでいる可動側軌道盤(22)と固定側軌道盤(23)は、そのベアリング(Bf)(Br)の取付座盤(21)によって包囲状態に被覆されており、その取付座盤(21)は更にドアー開閉用ハンドル(Hf)(Hr)のカバーフランジ(18)によって、言わば二重に被覆されているため、優れた外観化粧効果(意匠性)と防塵効果を得られる。
【0081】
更に、ドアー(D)を開閉する使用時に、そのハンドル(Hf)(Hr)を繰り返し強く押し込み操作したり、またドアー(D)への施工時にハンドル(Hf)(Hr)を強く押し込んで組付けたりしても、そのハンドル(Hf)(Hr)を軸受けしている上記スラストベアリング(Bf)(Br)は、耐荷力を発揮すると共に、そのボールリテーナー(24)に保持されているボール(24a)が、その可動側軌道盤(22)と固定側軌道盤(23)におけるハンドル軸(10)の軸線(A−A)と直交する平面をなす軌道面(22a)(23a)と点接触して、その軌道面(22a)(23a)を転がるようになっているため、上記ハンドル(Hf)(Hr)の摺動(摩擦)抵抗が低減されて、これを円滑に安定良く回動作用させることができるのであり、ガタツキやブリネル圧痕、異音などが発生するおそれはなく、耐用性も向上する。
【符号の説明】
【0082】
(10)・・・ハンドル軸
(15)(38)・・・固定ネジ
(17)・・・ボス
(17a)(29a)・・・円弧面
(17b)(29b)・・・扁平面
(18)・・・カバーフランジ
(21)・・・取付座盤
(22)・・・可動側軌道盤
(23)・・・固定側軌道盤
(22a)(23a)・・・軌道面
(24)・・・ボールリテーナー
(24a)・・・スチールボール
(25)・・・芯筒
(26)・・・張り出しフランジ
(28)・・・ボールリテーナー受け入れ凹周溝
(29)・・・ボス受け入れ筒
(30)・・・係合凸片
(31)・・・ボス受け入れ筒用挿通口
(32)・・・フランジ受け入れ溝
(33)・・・回動角度規制凹溝
(34)・・・係止爪
(35)・・・スリット
(36)・・・差込み脚筒
(37)・・・受け入れ脚筒
(39)・・・爪受け入れ切欠
(41)・・・芯筒用挿通口
(D)・・・ドアー
(L)・・・長さ
(Bf)(Br)・・・スラストベアリング
(Hf)(Hr)・・・ドアー開閉用ハンドル
(A−A)・・・軸線
(O−O)・・・中心線(2等分線)
(α)(β)(γ)・・・円弧長さ(開き角)
(θ)・・・回動角度範囲
【要約】      (修正有)
【課題】施工性と操作性並びに意匠性に富む建物用ドアーハンドルの軸受装置を提供する。
【解決手段】ドアーDに固定される取付座盤21と、その座盤の中心部へハンドルHf、Hrと一体回動し得るよう嵌合された可動側軌道盤22と、上記座盤と相俟って可動側軌道盤を抜け止め状態に保つため、その座盤に組付け一体化された固定側軌道盤23と、その両軌道盤の軌道面同士が向かい合う相互間に介挿セットされたボールリテーナー24とから成る一対のスラストベアリングBf、Brによって、一対のハンドルが両端部に取り付けられたハンドル軸10をドアーDへ回動できるように軸受けした。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
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図11
図12
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図15
図16
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